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河合教授が解説を執筆した『河合隼雄自伝―未来への記憶―』が出版されました

1507kawai_jiden.png 河合俊雄教授が解説を執筆した『河合隼雄自伝―未来への記憶―』が新潮社より出版されました。2001年に岩波新書より発刊された『未来への記憶―自伝の試み』を改題し、その後の話がインタビュー形式でまとめられた「未来への記憶のつづき」(『私が語り伝えたかったこと』河出書房新社所収)も収められています。河合教授の解説では、自伝に出てくる出来事や登場人物にまつわるエピソードが筆者ならではの立ち位置と視点から紹介され、本書をより深く読み進めるためのヒントが提供されています。
 また、河合隼雄財団のウェブサイトでは、あたたかいまなざしと親しみやすい言葉で本書の魅力が紹介されています。
『河合隼雄自伝ー未来への記憶』が新潮文庫より増補・復刊されます | 一般社団法人河合隼雄財団

 父河合隼雄は、あまり自分のことを語るのを好まない人であったと思う。『魂にメスはいらないーユング心理学講義』(朝日出版社・一九七九年、講談社+α文庫・一九九年)として出版された谷川俊太郎との対談の後も、「谷川さんが、ぼくの個人的なことをいろいろ聞いてきて、話さなあかんかったから困ったわ」とぼやいていたのを記憶している。本書のあとがきに、「人間は思い出話にうつつを抜かすようになると、もうおしまいだ、などとよく言っていた」と書いてあるように、家族の中での会話でもおよそ自分の思い出話や自慢話に耽るということがなかった。よくあるような、飲んだら必ず同じ思い出話が出てくる父親や先生のイメージというのとは無縁の人だったと思う。
 その意味では、常に今を生きている人だった。そして何かを目標にしたりしていたのではなくて、今を懸命に、また楽しく生きているうちに「まさか」ということが数多く展開していったのが河合隼雄の人生であったことが、本書を読むと如実にわかると思われる。数学を学んでいて、まさか心理学を研究するようになるとは思ってもいなかっただろうし、心理学の道に入ってきてもまさかユング派の分析家になるとは考えていなかっただろうし、ましてや自分の考えや著書がこれほど世の中に受け入れられるようになるとは夢にも思っていなかっただろう。
 *  *  *
 本書は基本的に、スイス留学から帰国した三十六歳までのところで終わっている。過去の人間関係については語れるが、現在の人間関係については語れないということが大きいのかもしれない。幸い『文藝別冊・河合隼雄』に掲載された「未来への記憶の続き」(河出書房新社『私が語り伝えたかったこと』所収、二〇一四年)を本書では補うことによって、二〇〇一年までの活動は織り込まれることになった。その後には、集大成の仕事というべき『神話と日本人の心』(岩波書店、二〇〇三年)の出版とまたもや思いがけないこととしての文化庁長官就任が待っている。そして残念ながら、これもまた思いがけないことに、文化庁長官在職中に河合隼雄は脳梗塞で倒れ、その後の闘病と多くの人の祈りにもかかわらず、意識が回復することなく、二〇〇七年七月十九日に亡くなったのである。
 この突然の最後のために、河合隼雄は語られないことを一層多く残したかもしれない。しかしそれは、われわれの未来へのためのポテンシャルであって、本書が、そして河合隼雄の他の作品が、多くの読者にとっての「未来への記憶」となるように願いたい。
(「今を生き、未来を残した人、河合隼雄」河合俊雄(臨床心理学者)」より)

『河合隼雄自伝―未来への記憶―』
著者:河合隼雄
発行:新潮社/2015年5月
価格:810円(税込)
判型:文庫版401頁
ISBN-10: 4101252343
ISBN-13: 978-4101252346
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2015/07/30

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