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河合教授の講演録が『箱庭療法学会』に掲載されました

 2014年10月4日に東洋英和女学院大学でおこなわれた日本箱庭療法学会第28回大会シンポジウムに登壇した河合俊雄教授の講演録が『箱庭療法学研究』第28巻第1号(発行:日本箱庭療法学会)に掲載されました。河合教授は、同学会の公開シンポジウム「場への信頼―共に在ること、創ること-」に登壇しました。
 シンポジウムで河合教授は、西洋子東洋英和女学院大学教授の発表「共創的な身体表現の場ー月と水」、三輪敬之早稲田大学理工学術院教授による発表「Dual interfaceー場がない世界, 場がある世界」に対するコメント提供者として、司会の小坂和子東洋英和女学院大学教授らと共に対話をおこないました。

IMG_0244.jpg「場への信頼―共に在ること、創ること-」『箱庭療法学研究』2015 Vol.28 No.1 p.99-130
[シンポジスト]
・早稲田大学理工学術院 三輪 敬之 教授
・東洋英和女学院大学人間科学部 西 洋子 教授
・京都大学こころの未来研究センター 河合俊雄 教授
[司会]
・東洋英和女学院大学 小坂和子 教授
「場」を超える
 河合:そして、手合わせ表現での5つのモードについてのお話がありましたが, 最初はやっぱり「手合わせ」で, 二者関係的に見えますが, その段階を超えていっています。心理療法でも, 最初の段階の, 自分の前の鏡を拭くとか, 二者で探り合う関係といったところを超えていかなければならないところがあると思うんです。そう考えると, 例えば精神分析なんかのような, 二者関係もモデルだけでやっていくのは無理があるのではないか, そうした二者関係を超えていかないことには通用しないのではないか, ということが, お二人の話を聞いていてよく表れているように思いました。
 それから, 三輪先生のデータをつくるセンス, ポイントには本当に驚かされました。「手合わせ」には5つのモードがあるとか, 自由に動いているということは, 実はブラウン運動と同じなんだとか, 心理療法がサイエンスから見ても意味を成しているということを示してもらえるのはとてもありがたいと思いますし, 心理療法がやっているところをそういう形で捉えることができたらいいな, と思います。(中略)
 心理療法がその場だけのものにとどまらず, その人が生きている現実などにつながっていくというのは, その「場」というのがおそらく閉じられていないからだと思います。そうすると, これはデータでとらえられる範囲を超えてしまいますが, すべてのものがつながっているという一つのモデルであると言えるのではないでしょうか。先ほど三輪先生が井筒俊彦の図を引かれていましたが, 井筒さんの論文は英語では “The Nexus of Ontological Events” で, これは「存在論的出来事のネクサス, 錯綜体がある」という華厳の世界を明らかにしています。三輪先生が焦点を当てておられること, あるいは心理療法で生じていることは, すべてのものがつながり合っているレベルにまで及んでいると思われます。
(講演録より)

東洋英和女学院大学のウェブサイトでは、当日の模様が写真付きで報告されています。
日本箱庭療法学会を開催致しました | 東洋英和女学院大学
日本箱庭療法学会ウェブサイト

2015/10/19

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