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河合教授の講演録が『箱庭療法学研究』に掲載されました

 2015年10月10日に東北福祉大学でおこなわれた日本箱庭療法学会第29回大会シンポジウムに登壇した河合俊雄教授の講演録が、『箱庭療法学研究』第29巻第1号(発行:日本箱庭療法学会)に掲載されました。
 同大会の一般公開シンポジウム「”ゆらぎの物語”を創る」に、河合教授は教育学研究科の田中康裕准教授と共にシンポジストとして登壇しました。田中准教授は、日本箱庭療法学会・日本ユング心理学会の合同震災対策ワーキンググループの発足経緯と被災地での活動の歩みを紹介。河合教授は、それぞれの登壇者の話題に光を当てながら、「人の生死にまつわること」「震災から見えてきた人間の心の複雑さ」「心と時間」という三つを軸に話し、講演者の笹原留似子氏(復元納棺師)、千葉久美子氏(前宮城県石巻高校養護教諭)、宇田川一夫東北福祉大学教授らと対話を行いました。

IMG_0244.jpg「”ゆらぎの物語”を創る」『箱庭療法学研究』2016 Vol.29 No.1 p.121-145
[講師]
・笹原留似子 復元納棺師・株式会社「桜」代表
[シンポジスト]
・千葉久美子 前宮城県石巻高校養護教諭
・河合俊雄 京都大学こころの未来研究センター
・田中康裕 京都大学
[司会]
・宇田川一夫 東北福祉大学
人の生死と心の複雑さ
体という接点
 宇田川:‥‥それでは最後に, 河合先生, どうぞよろしくお願いいたします。
 河合:私は, 田中先生とずっと一緒に石巻の支援に行っていましたので, 話すことが田中先生とほぼ同じになってしまうのではないかと思います。そこで, 田中先生とは違うことを三つほどお話しさせていただきたいと思います。
 一つは, 笹原さんのお話にもありましたが, 「人の生死にまつわること」というのは, 震災に関連して出てきているものもあると思いますが, それだけではないと思いますので, そのことについて。もう一つは, 「震災から見えてきた心の複雑さ」ということについて, それから, 三つめには, 「時間」についてもお話しできればと思っています。
 笠原さんのお話を伺いながら, これまでに私が見てきたお棺の中の顔が思い浮かんできていました。みなさんはどうでしたか。私の場合, バイク事故でトラックにはねられて亡くなった, 高校2年生のときの同級生でした。笹原さんのようにお上手ではなかったようで, 面影があまり感じられないご遺体でした。あるいは, 最近亡くなった精神科医の加藤清先生は, 本当に仏様のようなお顔だったな, などといろいろな方の顔を思い出していました。
 宇田川先生も先ほどおっしゃっていましたが, 笹原さんのお話は, 非常に心理療法に通じるところがあって, みなさんもそのように感じて聞いておられたのではないでしょうか。
 では, われわれとはどこが違うのかと考えると, われわれ心理療法家は, 体に触れることは原則できない。それに対して, 笹原さんは体に触れる。そしてそれによって浮かび上がってくるものがある。そこが違うところではないかと思いました。
 面白いなと思ったのが, われわれは直接体には触れませんが, 箱庭や夢を扱っているというのは, 体を扱っていることにかなり近いのではないかとも思うわけです。‥‥
(講演録より)

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第29回大会 開催概要
日本箱庭療法学会 | The Japan Association of Sandplay Therapy

2016/11/01

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