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内田准教授の論考が『生活協同組合研究』に掲載されました

 内田由紀子准教授の論考「幸福感研究と指標活用」が、公益財団法人生協総合研究所の発行する『生活協同組合研究』2016年11月号 Vol.490に掲載されました。
 「幸福について考える」というテーマに対して社会保障、労働、少子化など様々な視点から考察した論考が集まった特集において、内田准教授は文化心理学者の立場から、幸福度を指標化して活用するための施策およびこれまでの研究知見を紹介し、今後の社会システムのあり方について考察しています。

1611uchida_seikyo.png「幸福感研究と指標活用」京都大学こころの未来研究センター 内田由紀子
幸福とは何かを問う
 人々は日々の暮らしの中で、幸福に暮らすことを求めている。政治や経済など生活の基盤に関わる意思決定や, 様々な製品・サービスの開発なども, 本来的にはそこに暮らす人々の豊かで幸せな暮らしを実現するためになされるものである。(中略)
 幸福は主観的なものであるため, 「測定」を行い、さらに「比較」すること, そして何らかの「指標」として用いることについては長らく懐疑的な意見が先行していた。むしろ国の豊かさを示す指標として先進国・発展途上国の双方で用いられてきたのは, 経済指標のGDPであった。しかし現在では経済学や政治学, 社会工学など, より客観的な視点を用いた分析を好む分野の研究者からも, 「幸福」はその国や社会のあり方を示す重要な指針の一つとして注目されている。21世紀に入り, 経済成長の停滞, 少子高齢化, 地域の消失など, 高度経済成長期には見られなかった問題が顕在化し, 目指すべき方向性について問われ始めたのだといえる。
 そして幸福度指標を活用し, 社会制度や政治のあり方を評価してみようとする動きがあちこちで見られるようになった。幸せや不幸せという言葉は私たちにとって身近であるが故に, その中身を議論することは忘れられがちである。しかし何らかの「測定」が行われた結果に対して, どのようにして測定されたのか我々はしっかりと理解せねばならない。
 筆者の専門は「文化心理学」である。人の心の働きーたとえばものの考え方, 意思決定の仕方, 他者とのつながり方, 自分自身のとらえ方, 感情の経験の仕方など, 多岐にわたる心理活動が, 「文化」という現象とどのように関わっているかを実証的に研究する分野である。多数の研究知見から, 物の見方や人間関係についての理解, 他者の行動の原因の考え方などが, 文化を切り離しては理解できないということが示されてきた。幸福も国や時代によって, 異なるのかもしれない。‥‥
(論考より)
生活協同組合研究 2016年11月号 Vol.490 |公益財団法人生協総合研究所
(詳しい目次、特集の紹介が読めます)

2016/11/16

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