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吉岡教授らが編集、執筆した『「美少女」の記号論』(日本記号学会 編)が刊行されました

 吉岡洋教授が所属する日本記号学会が編集した『「美少女」の記号論: アンリアルな存在のリアリティ』(叢書セミオトポス12)が、2017年8月、新曜社より刊行されました。吉岡教授が学会会長を務めていた2015年に開催された日本記号学会第35回大会「美少女の記号論」での対話、発表を中心に、美少女を巡る様々な考察をまとめたユニークな書籍です。

1708yoshioka_kigo.png◆美少女の記号論に向けて 吉岡洋
 このような状況のなかで「美少女の記号論」を提起する意味とは何だろうか?二〇一五年の日本記号学会大会のテーマとして、「美少女」という言葉がなぜ心に響いたのだろうか?それはたぶん「美少女」が、ポピュラーな文化的アイコンのなかでは、とりわけ「神聖性」と「非現実性」を強く保持した、特殊な記号だと思えたからではないか。「美少女」とは、そもそも触れることができないもの、捕獲すること(把握=理解すること)が不可能なものという意味を持っているように感じられる。そして「美少女」という記号についてどう考えるにせよ、この非現実性や把握不能性が、とりあえずは美少女に関して共有されたひとつの「意味」であるということは、多くの人が同意するのではないだろうか。それでは、それをひとつの出発点として、どうやってその先に進めばいいか?それが、この大会の議論を通して話し合いたかったことである。
 私は、「美少女」とは虚構世界の表象であるばかりではなく、同時に私たち自身の人生に直接影響を与えるような、ある生のモデルでもあるのではないかと考えている。美少女というイメージを仮託される現実の少女たちはもちろんだが、より深いレベルにおいては、年齢や性別の異なった多くの人々にまで、自分自身の内的な理想像として、美少女は影響を及ぼしているように思えるのである。そこに、美少女に救済的な意味が与えられる、もうひとつの理由があるのかもしれない。別な言い方をするなら、「美少女」とはいわば、この世界に関与しながらも、つねに半分くらいしか関与していないような生き方を示す記号だとも言える。(中略)
 いずれにせよ、「美少女」という記号を退廃的な幻想やファンタジー、虚構性の牢獄からなんとか救い出したいというのが、私がこの大会を企画した主要な動機のひとつだった。さまざまな分野の方々による「美少女」解読を、ぜひお楽しみいただきたい。
(「はじめに」より)
A5判並製242頁 定価:本体2,800円+税
発売日 2017.8.31
ISBN 978-4-7885-1535-2

出版社(新曜社)の書籍ページ
Amazon.co.jpの書籍ページ

2017/09/12

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