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広井教授がアドバイザーを務めた『「岩手の幸福に関する指標」研究会』の最終報告書が公表されました

1709hiroi_gaiyo.png 広井良典教授がアドバイザーを務めた『「岩手の幸福に関する指標」研究会』の最終報告書が2017年9月7日に公表されました。
 同研究会は、岩手県としての独自の幸福度指標を策定する目的で昨年4月に岩手県庁に設置され、これまで関連の調査やワークショップ等と並行して8回の会合を重ねてきており、その成果としての幸福度指標がこのたびまとまったものです。岩手県としての強みや”岩手らしさ”も意識した地域独自の指標を作成することを重視しており、こころの未来研究センターの内田由紀子准教授の「協調的幸福感」の考え方も紹介されています。本報告書の内容を受けて、岩手県では今後幸福度に関連する具体的な政策展開を図っていくこととしています。
 なお最終報告書に掲載された広井教授のメッセージ文は以下のとおりです。
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 「岩手の幸福に関する指標」の検討を始めるということで、担当者の方が最初に御相談に来られたのが2015年の秋頃だったと思います。翌年2月には県庁で幸福度指標の意義等についてお話しする機会をいただきましたが、宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という一節も踏まえる中で、既存の幸福度指標に不足しているコミュニティといった視点を含め、岩手県としての独自の指標を策定したいという明確な意思を感じたことを印象深く覚えています。
 私はささやかながら東京都荒川区など日本の自治体での幸福度に関する政策に多少の関わりを持たせていただいていますが、ブータンのいわゆるGNHを含め、諸外国における幸福度指標の策定や関連政策が、基本的には国ないし中央政府が主導する形で展開しているのに対し、日本の場合は、先駆的な意識をもった自治体が自ら独自の幸福度指標を策定するという点が特徴的と思われます。まさに「幸せはローカルから」ということであり、今回の岩手における試みは、(グローバル化の先の)ローカライゼーションという新たな時代の流れを先取りするものと言えます。
 実際には、幸福度指標の策定は、①関連の調査を実施することを通じ、幸福が十分及んでいない領域や課題を発見し、政策の優先順位づけにつなげるという役割と、②そもそも自分たちの地域の豊かさや幸福とは何かを考えるプロセスを含め、地域のポジティブな価値や強みを見つけていく契機になる、という役割を持っていると考えられます。今回の岩手県での研究会では、県民意識調査等の丹念な調査・分析やワークショップの実施を通じこれら①②が意義深い形で実現しましたが、同時にこれは、ゴールというより今後の新たな政策展開に向けてのスタートラインに立ったということでもあるでしょう。たとえば30歳代などで生活満足度が相対的に低く、幸福の判断において家計の状況を重視する傾向が高いことは、将来世代を含む「地域の持続可能性」という視点を含め、若い世代への政策的支援が重要課題であることを示唆していると言えます。
 私自身はアドバイザーとしての十分な貢献はできませんでしたが、ソーシャル・キャピタルの重視など、幸福度指標に関する独自性や先駆性に富んだ成果がまとまったことを心よりお慶びしたいと思います。」
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 なお、岩手県の公式ウェブサイトにて、報告書の全てと資料のPDFが公開されています。下記リンク先にてご覧ください。
◇「岩手の幸福に関する指標」研究会報告書 – 岩手県
http://www.pref.iwate.jp/seisaku/hyouka/44982/058036.html
 

2017/09/19

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