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『ミネルヴァ通信「究」』に河合教授の連載第14回が掲載されました

 ミネルヴァ書房の発行する月刊誌『ミネルヴァ通信「究」(きわめる)』10月号に河合俊雄教授の連載「こころの最前線と古層」が掲載されました。
 今回のテーマは「イニシエーションの喪失」です。
 ここ2回にわたって、現代におけるイニシエーションについて論じられてきましたが、今回は、個人の内面においてもそれは失われつつあるということについて述べています。この世とこの世ならざる世界が決定的に分断されていてこそ、イニシエーションは成立しますが、現代の特徴はその境界がなくなってきているということです。
 発達障害の方の夢が例としてあげられていますが、そもそも、発達障害という概念や状態こそが現代の境界とイニシエーションの喪失を象徴しているものかもしれないということが指摘されています。

(解説:畑中千紘助教・上廣倫理財団寄付研究部門)

1710kawai_kiwameru.pngこころの最前線と古層(一四)
「イニシエーションの喪失」  河合俊雄
 イニシエーションは、近代社会においてもはや伝統的な儀式としては失われているかもしれないけれども、心理療法の中で夢などにイメージとして登場して、大いに意味を持つことを強調してきた。これはイニシエーションが共同体の中では重要ではなくなっても、個人の内面やこころの古層ではまだ生きていることを意味する。
 しかしながら、イニシエーションは個人の内面においてもむずかしくなってきているかもしれない。イニシエーションにおいては人格の全面的な変容が生じ、それはしばしば死と再生のイメージで示される。シャーマンのイニシエーションにおける解体のヴィジョンはその典型である。(中略)
 ところが、近年において増えている発達障害で典型的に認められるように、絶対的な境界の向こうの異世界というイメージは、現代においてむずかしくなってきている。….
(論考より)

出版社のページ(ここから『究』の講読が可能です)
https://www.minervashobo.co.jp/book/b317294.html

2017/10/05

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