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広井教授のエッセイ「『定常型』の豊かさや創造性を再発見する時」が京都新聞1月1日付「日本人の忘れもの」欄に掲載されました

 広井良典教授のエッセイが京都新聞2018年1月1日付の「日本人の忘れもの――未来を拓く京都の集い知恵会議」欄に掲載されました。  同欄は、日本の伝統文化を踏まえた、これからの日本社会の創生に向けた有識者の提言をまとめたものです。広井教授の文章は「「定常型」の豊かさや創造性を再発見する時」と題し、経済の単純な「拡大・成長」よりも「持続可能性」「循環」「相互扶助」といった価値により大きな力点を置いた思想が今後は重要で、それは日本の総人口の長期推移が平安遷都から江戸期までほぼフラットであったことにも示されるように、京都を中心とする千年の歴史の中で培われた理念でもあることを述べる内容となっています。

180101hiroi.png「定常型」の豊かさや創造性を再発見する時 広井良典 京都大学こころの未来研究センター教授  新年のメッセージとしてはいささか辛口で無粋な内容かもしれないが、以下記してみたい。  現在、政府の借金は、1000兆円(GDPの約2倍)を超え、国際的に見ても突出した規模のものとなっている。なんとなく、”他人事”の話題のように聞こえる面があるが、要するに私たち現在の日本人は、そうした膨大な借金を若い世代、そしてこれから生まれてくる世代にツケ回しして半ば平気でいることになる。(中略)  では、そもそもなぜこのような状況に至ったのかを考えてみると、それは物事を”短期的な損得”のみで考え、かつ「すべての問題は経済成長が解決してくれる」という発想に由来していると私は思う。そして、皮肉にも近年半ば日常的な光景のようになった、企業の不祥事で上層部が深々と頭を下げるといった例も、同じ根から派生していることに気付く。  これはまさに「日本人の忘れもの」というテーマとつながるのではないだろうか。例えば江戸期に、今風に言えば”地域再生コンサルタント”として活躍した二宮尊徳にしても、日本資本主義の父と呼ばれつつ、「論語と算盤」、つまり倫理と経済が両輪となってこそ事業は永続すると論じた渋沢栄一にしても、あるいは近江商人を含むその他無数の市井の人々にしても、彼らはみな短期的な損得や利潤拡大よりも、将来世代への継承ということを重視した活動を展開した。それは経済ないし経営の規模の単純な「拡大・成長」よりも、むしろ「持続可能性」「循環」「相互扶助」といった価値により大きな力点を置いた思想だったと言える。…. (2018年1月1日京都新聞 記事より)

日本人の忘れもの――未来を拓く京都の集い知恵会議ウェブサイト http://kyoto-np.jp/kp/kyo_np/info/nwc_wise/

2018/01/11

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