阿部修士特定准教授らの執筆した論文が心理学、神経科学の海外ニュースサイト『PsyPost』で紹介されました
阿部修士特定准教授らの執筆した論文が、人間行動、認知、社会に関する最新研究を報告する心理学、神経科学の海外ニュースサイト『PsyPost』(8月11日付)で紹介されました。
『PsyPost』には「認知神経科学のアプローチを使用して、嘘の神経基盤についての研究を続けてきました。最近は、人が正直、不正直な行動をする意思決定の脳メカニズムに焦点をおいた研究をしています。本研究では、サイコパス傾向が高い個人ほど嘘をつく際の反応時間が速く、また葛藤の検出などの心理過程に関わるとされる前部帯状回の活動が低いことが明らかになりました。」などの阿部特定准教授のコメントもあります。
尚、同論文は7月、国際学術誌『Social Cognitive & Affective Neuroscience』オンライン版に掲載されました。
『 Reduced engagement of the anterior cingulate cortex in the dishonest decision-making of incarcerated psychopaths 』
「サイコパス」は反社会性パーソナリティ障害として分類されており、良心の呵責や罪悪感、共感性の欠如といった特徴が指摘されています。サイコパスは平然と嘘をつく、ともされていますが、その背景にある心理学的・神経科学的メカニズムは解明されていませんでした。
本研究では、米国ニューメキシコ州の刑務所に収監中の囚人を対象に、移動可能なmobile MRI装置を用いた脳機能画像研究を実施しました。嘘をつく割合を測定する心理学的な課題を実施中に機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で脳活動の測定を行ったところ、嘘をつく割合が高い囚人の群において、サイコパス傾向が高いほど嘘をつく際の反応時間が速く、また葛藤の検出などの心理過程に関わるとされる前部帯状回の活動が低いことが明らかになりました。
これらの実験結果は、サイコパスがためらうことなく、半ば自動的に嘘をついてしまう傾向があることを示唆する、世界でも初の知見です。
Abe N, Greene JD, Kiehl KA (2018)
Reduced engagement of the anterior cingulate cortex in the dishonest decision-making of incarcerated psychopaths
Social Cognitive and Affective Neuroscience
2018/08/22