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「現代社会における〈毒〉の重要性」 展覧会&公開制作「ファルコマンⅡ-アート×毒×身体の不調的調和―」 オープニングシンポジウムを開催しました

 2018年11月10から11月25日までの25日間、京都市左京区元田中の「想念庵」において、吉岡洋特定教授のプロジェクトの美術展「ファルマコンII アート×毒×身体の不協的調和」が開催され、それに関連した研究集会として、11月11日に稲盛財団記念館3階大会議室においてシンポジウムが開かれました。

 

 美術展には、本展示企画者の大久保美紀氏、フロリアン・ガデン氏、犬丸暁氏、ジェレミー・セガール氏の4名の研究者/アーティストが出展し、古民家「想念庵」の1階と2階を用いて展示および公開制作が行われました。出展作家4名はいずれもフランス在住の日本人・フランス人ですが、このうち大久保美紀氏とフロリアン・ガデン氏は来日し、展覧会の設営を行ないました。

 大久保美紀氏の作品は「食べること」をテーマとするインスタレーションであり、自然酵母を用いてパンを作るというプロセスを、酵母採取用の果物、培養酵母、写真、テキストで紹介するものであり、来訪者は作られたパンを試食することもできました。食文化が過度に産業化され、食品の製造プロセスがしばしば隠されている現代社会に対して、疑問を投げかける作品でした。

展覧会の会場となった「想念庵」

大久保美紀氏の作品

 

 ガデン氏は2階の仮説アトリエにおいて会期中絵画作品「cellule babélienne 3(バベル的細胞)」を制作しました。これはDNAの二重螺旋構造を基にした巨大な建造物を描く迫力のある作品であり、そこには微生物、細胞内器官、バクテリア、ウィルスなどのイメージが用いられると同時に、全体としては西洋美術の伝統的主題である「バベルの塔」と「天国と地獄」の現代的表現を試みるものでもあります。11月24日には京都大学の山極寿一総長も訪問され、ガデン氏と作品について語り合われました。

フロリアン・ガデン氏 制作の様子

「cellule babélienne 3(バベル的細胞)」

 

 犬丸暁氏は、ルーペによって太陽光を集め紙面を焦がす「太陽光による昇華」という独自のテクニックを用いて制作された新シリーズ「ファルマコン」を発表しました。生命や物体に秘められた不可視のエネルギーを複雑に可視化する作品を展示しました。古い薬草図鑑を参照し、薬草が同時に<毒>としても利用されてきた事実に着目した絵画です。

 ジェレミー・セガール氏は、現在研究とレジデンスを行っているCHU(フランス・ナント市大学病院)の病棟において、使い古された布を用いたインスタレーションを発表しました。セガール氏はこれまでも呼吸器系感染症、免疫、身体と環境との関係に着目してきましたが、本展覧会では特に「緑化」と「消毒」を軸にした作品を出展しました。

犬丸暁氏の作品

ジェレミー・セガール氏の作品

 

 2018年11月12日に開催されたシンポジウム「ファルマコンII アート×毒×身体の不協的調和」では、吉岡洋特定教授が総合司会、大久保氏がモデレータをつとめ、出展作家であるセガール氏、ガデン氏、犬丸氏の3名による発表作品と研究に関する報告がありました(セガール、犬丸両氏はスカイプによる遠隔参加)。

 その後、食事療法士の辻野将之氏による講演「毒と共存するための食養生」が行われました。現代人は「毒」に怯えるが、同時に食文化が高度に産業化されている現代社会では、農薬や食品添加物などの「毒」をすべて拒絶することは困難であり、どのようにして「毒と共存するか」が重要となること、また食においては「こころ」がもっとも重要であり、神経質に「毒」を避け自然食にこだわり過ぎている人はかえって不健康であることが多いことなど、私たちの食についての日常的な態度をあらためて考え直すきっかけになりました。

吉岡洋特定教授

辻野将之氏

2018/12/12

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