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『ミネルヴァ通信「究」』に河合俊雄教授の連載第30回が掲載されました 

 ミネルヴァ書房の発行する月刊誌『ミネルヴァ通信「究」(きわめる)』2019年2月号に河合俊雄教授の連載「こころの最前線と古層」が掲載されました。

 今回のテーマは「精神病とこころの古層」です。

 今回の連載から、精神病と時代性との関連、さらにこころの古層との関係がテーマになっています。著者はまず、その時代の文化や課題が生み出す葛藤と大きく関連していた神経症に対し、精神病には時代の変化があまり関係ないと考えられるかもしれないと述べています。特に現代では、精神病には生物学的要因が明らかになり、服薬で症状がコントロールできるようになってきたため、心理療法や文化的・時代的なものが精神病に対して占める割合は激減しているかもしれないとも指摘しています。
 しかしその一方で、精神病と時代性との関連を検討する上で、著者は精神病の中から統合失調症を取り上げ、その発病時における他者に圧倒され、自身の主体性が破壊されてしまうような体験や、ある種の異界体験に着目していきます。
 統合失調症と同様に、現代において大きな問題となっている自閉症も、生物学的な基盤に関係するものですが、この自閉症スペクトラム障害では主体や他者が存在しないことが特徴になります。近代の後わりにカテゴリーとして確定された精神病、特に統合失調症と、現代の病である自閉症の間に、このような主体や他者に関する違いがあることに著者は着目しています。また、以前には修学旅行などで統合失調症を発病する人が多くいたのに対し、最近そうしたケースが少ないことにも触れ、この変化が、世界における異世界性や他者性が消滅した、あるいは弱まった、現代の時代性と関係する可能性にも言及しています。

(解説:粉川尚枝 特定研究員)

こころの最前線と古層(三〇)「精神病とこころの古層」河合俊雄

 このごろ神経症ということばがそもそも専門用語として使われなくなってきていることにも表れているように、神経症が時代性とおおいに関連していることは明らかであろう。たとえば二○世紀に入るころにフロイトが直面した症状はヒステリーで、フロイトはそれを無意識の性的欲望との関連で捉えたが、それは当時の抑圧的な文化と関係していた。また日本で最もポピュラーだった神経症は対人恐怖で、それは近代的自我を確立させようという時代の課題が生み出す葛藤から生じてきていた。その課題が意味をなくすにつれて、対人恐怖はあまり見られなくなってきているのは、この連載でもふれたことである。

 それに対して、精神病については、時代の変化があまり関係ないと考えられるかもしれない。…

(論考より)

 

出版社のページ(こちらから『究』の講読が可能です)

https://www.minervashobo.co.jp/book/b432728.html

2019/01/30

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