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佐伯特任教授による「こころの思想塾・講演会:「フェイクの時代」を考える」を開催しました

佐伯啓思特任教授が講師兼オーガナイザーを務める「こころの思想塾・講演会」が、2019710日に稲盛財団記念館3階大会議室で開催されました。

前半は、佐伯先生による講演が行われました。今回のテーマは、「「フェイクの時代」を考える」です。政治における「トランプ現象」、経済における「アベノミクス」、そして文化における「ITAI革命」。今日の社会を取り巻くそれらの現象は、ひとつの共通した特徴を持っています。それは、「フェイク」です。例えば、「フェイク・ニュース」の力を利用して人々の支持を取り付けるような政治や、製造業のような「実体経済」ではなく、金融や情報を中心とする「虚の経済」によって動かされる経済は、まさに「フェイク」が社会の中心に躍り出ていることを示しています。このような事態を文明論的な観点から捉えてみると、その根底には西洋思想が拠って立つものの考え方が潜んでいることが分かります。その意味で、「フェイクの時代」とは、西洋思想の必然的帰結とも言うことができるでしょう。

―――これが、講演のごく簡単な要約です。

後半には、佐伯先生が参加者からの質疑に答えるセクションが設けられました。事前に配られた質問用紙に講演についての質問を書いて頂き、それに対して先生が答えるというスタイルです。たくさんの質問が寄せられ、参加者の関心の高さがうかがえました。質問を取り上げられた方の中には、先生がお答した内容に対してさらにまた疑問をぶつけるなど、予定していた時間を超過するほど、盛り上がりを見せた質疑応答となりました。

(報告:下村智典特定研究員)

 

〇受講者の感想(開催後のアンケートから抜粋)

・「大変面白く拝聴いたしました。このフェイクの時代にどう惑わされず生きていくのか考えさせられます。やはり、自分自身で常に問い続け考えるということでしょうか。ありがとうございました。」(一般)

・「誰もが自分の好む見方で世の中を切り取っていて、全体をつかむことはできないと話されていたことはその通りだと思いました。フェイクの時代に「対話」が可能なのか、心配になりました。」(一般)

・「現代がどのような時代なのかと、その背景について認識できて大変勉強になりました。ありがとうございました。」(学生)

・「現代という多様な価値基準の存在する中で、一つの真実を探求することの困難さを感じつつ、その困難な中でもがき苦しむことの真実を見つめることを学びました。とても勉強になります。ありがとうございました。」(研究者)

・「わかりやすく、かつ奥深い内容で大変勉強になりました。トランプ現象の流れはたいへん興味深かったです。フェイクについて多角的にお話いただけて楽しく聞かせていただきました。」(一般)

・「初めて佐伯先生の講演を聞かせていただきましたが、現代の現象を歴史の流れや、根幹の思想に紐づけて述べておられて、人間の歴史は形を変えて同じような現象が起こっているということを思想として体現なさっているなと感動しました。1時間ではとてもじゃないですが、足りない内容だったと思います。とても貴重なお話ありがとうございました。」(学生)

 ・「「自分たちが現在、Fakeの世界に生きているのだということを知ることが大事である」との結論は面白かった。」(研究者)

・「政治に真実は存在しない、民主主義に普遍的に基になる信念は存在しない、という話に驚きました。また我々はフェイクの中にすでに生きているということを聞いて、自分がなんとなく現実の世界に生きづらさを感じていた謎がわかりました。今の時代に生まれ落ちたことはどうしようもないですから、これからはそんなフェイクでできた世界を楽しみつつ、何かその奥にある大事なものを自分なりに感じられるようにしたいとおもいます。でも、その考えるベースがメディアというフェイクによって発せられた情報なので、どうしたらよいのでしょうか?どうすればフェイクの中でフェイクならざる真実を自分の中で構築していけるのでしょうか?」(学生)

・「自分事としてのフェイクを、これからの日常生活の中で考え、とらえ直していくことをやってみたいと思いました。京都旅行の中で立ち寄らせていただきましたが、有意義な時間を過ごさせていただきました。愛媛から年に2度、京都を訪れて、考える機会をもちたいと思います。ありがとうございました。」(一般)

・「民主主義とポピュリズムや政治をとりまくフェイク・ニュースに興味があり、参加しました。2時間でしたが、お話を伺いながらたくさん考えさせられました。拡張を続けた西洋近代の行く先としてのフェイクという構造にはとても納得させられました。」(学生)

[DATA]
こころの思想塾・講演会:「フェイクの時代」を考える
佐伯啓思(こころの未来研究センター特任教授)
▽日時:2019年7月10日(水)
▽会場:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽対象:研究者、学生、一般
▽参加者数:87名

2019/09/24

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