ご挨拶

 >  センターについて >  ご挨拶


京都大学こころの未来研究センターは2007年4月に発足した、こころに関する学際的研究を推進し、それを元に社会に貢献するユニークな研究組織です。スタッフの研究分野は、神経科学、認知科学、文化・社会心理学、臨床心理学、仏教学、美学、公共政策学など、自然・人文・社会科学に広くまたがっています。発足当時は小さなセンターでしたが、様々なプロジェクトが加わり、また連携MRI研究施設も導入されて、文理融合型の組織として発展し、2017年7月30日には吉川左紀子初代センター長の下で創立10周年記念シンポジウムを開催することができました。

本研究センターは、英語名称にもKokoroを入れているように、日本語の「こころ」が持つニュアンスと広がりを大切にして研究しています。こころは、mind、spirit、soulなどで訳しきれるものではなくて、それどころか物や自然にまで広がっています。美的なものや芸道とのつながりも、日本での「こころ」の独特さを示しています。また「こころの未来」という名称は、未来ということばに含まれるヴィジョン性を志向しています。つまり単にこころの様々な面を研究するにとどまらず、未来社会における、こころのあり方や生き方についてのヴィジョンを模索し、提供していこうというものです。

科学技術の進歩やグローバル経済の発展はめざましく、欠くべからざるものですが、それは自然破壊、格差社会など新たな問題も生み出し、同時に原理主義などの反動も引き起こしています。さらには時代の変動に伴うこころの変化は、不適応やうつなど、個人においては否定的なものでまず現れてきます。それに対して、こころのケアやサポートなどの個別対応も重要ですが、時代とともに、こころはどのような方向に変化してきているのか、物質的な利便性や豊かさと異なるこころの豊かさとは何かというヴィジョンが必要です。

このような問いを受けつつ、本センターでは、こころに対して、実験・調査、実践、文献という異なる方法論で研究をしています。それは脳機能、認知などを実験によって研究する方法を取ることもあれば、人の行動や関係について社会的な調査を行うこともあり、また心理療法などの実践から研究することもあれば、仏教学のように文献を研究するという方法もあります。本センターではこころの研究領域として、「こころとからだ」、「こころときずな」、「こころと生き方」を挙げています。「こころとからだ」では、こころを脳から、また身体との関係から、「こころときずな」では、人間関係や社会でのこころを、「こころと生き方」は、世界観などとの関連でこころを研究するものです。本センターにおける多くの専門分野が、主にどれかの研究領域に入ると同時に、切り口としての3つのキーワードのどれにも関連しているとも言えます。

現在、多くの学問分野で、人のこころについての研究が進められています。しかし、いずれの分野でも専門化・細分化が進み、こころについてのグランドデザインが見失われがちです。これに対して本センターでは、各専門分野でトップレベルの研究を進めると同時に、それがこころそのものの探求と、未来のこころというヴィジョンをもたらすことを追究しようとしています。また国内、国外の研究組織を結ぶ研究者ネットワークを構築し、その相互交流を促進することにより、本センターが創造的な学際空間として機能することをめざしています。さらにはウェブサイト・学術情報誌『こころの未来』からの情報発信、京都こころ会議を含む公開シンポジウム、ワークショップ、セミナー等の開催を通じて、センターの研究活動、研究成果を広く社会に発信する役割をこれからも積極的に果たしてゆきたいと考えています。本センターの活動に対する、あたたかいご支援をよろしくお願いいたします。

こころの未来研究センター長河合 俊雄

吉川左紀子初代センター長(2007-2017)ご挨拶

PAGE TOP