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2020年12月6日にこころの未来研究センター研究報告会2020「動物のこころ・こころの中の動物」を開催しました

2020126日、こころの未来研究センター研究報告会2020「動物のこころ・こころの中の動物」を開催しました。今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、オンライン開催となりました。

まず3名の研究者が報告を行い、続くポスターセッションでは、2020年にセンターが取り組んだ「教育プロジェクト」「研究プロジェクト」「実践活動」「社会発信」「一般公募プロジェクト」の研究成果をポスター発表で報告し、その後、ディスカッサントを交えて議論を深める形で進められました。司会進行は阿部修士准教授が務めました。

 

はじめに河合俊雄センター長が、「コロナ禍の中でも形を変えて研究報告会を開催できたことを嬉しく思います。今年度も、昨年度に引き続き、こころの未来研究センターの内部の先生だけではなく、企画に合わせて外部の先生をお招きし研究報告を行っていくことにしました。今日の報告会が、新しい研究のアイデアが生まれていくきっかけになればと考えています。」と挨拶しました。

 

報告1では、幸島司郎教授(京都大学野生動物研究センター)をお招きし、「動物の行動を理解する」というテーマで、氷河の環境でしか生きられないユスリカの習性、イルカの眠り方、ヒトの白目等の研究結果から、動物と人間との共生についてご発表いただきました。指導教員から「おもしろいことを見つけてきなさい」と言われて研究が始まったお話は印象的で、動物の生態について研究する際には、その動物からすると自然で当然の生き方であるという視点も新鮮でした。氷河でも一方向に向かって歩き続ける雪虫の生態をその動物の世界に入っていきながら明らかにしていく研究視点は、人のこころを研究する際にも有用なものと考えられます。

 

報告2では、小村豊教授が、「動物の意識を探る」というテーマで、確信度の在り方に着目して実施した、サルに対する実験結果を報告し、動物の意思決定のプロセスを明らかにしようとする試みについて発表しました。人間だけではなく動物にも確信度の違いがあることが示唆され、それが意志の決定に関わってくることが明らかとなりました。また、意識の水準を測るような意識メーターを編み出そうとする新しい研究についても報告されました。これらのご報告から、人間のこころや意識の進化過程を考えていくうえで、動物の意識に関する実験から得られる理解は示唆に富んだものであると考えられました。

 

報告3では、鈴木優佳特定助教が、「心理療法における動物」というテーマで、心理療法過程でこころの変化に応じて登場する動物イメージに着目した分析結果を報告しました。心理的な葛藤を持つ群ではイヌやヘビなどのイメージがこころの広がりや変容に関わるところで、こころの問題を身体的に表現する群ではゾウなどのイメージがこころの対立やバランスの調和にかかわるところで、発達障害傾向を持つ群ではこころの原初的な課題に関わるところで原初的な動物イメージが登場しやすいことが示されました。動物イメージの持つ豊かな象徴性は、人間のこころの深層を考えることにつながるものと考えられます。

 

ポスターセッションの前に、当センターの研究者12名が、それぞれの研究プロジェクトについて1分間ずつダイジェストで紹介し、続いてそれぞれのポスターセッションに移りました。今年度のポスターセッションは、オンラインサイトを用いて実施しましたが、ウェブページ上に表示されたポスターを見ながら、センター内外の研究者や学生らと活発にディスカッションを行いました。

3つの研究報告に対するディスカッサントには、大坪庸介神戸大学大学院教授、仲野徹大阪大学大学院教授をお迎えし、登壇者、聴講者を交えた討論、質疑応答が行われました。動物だけではなく植物という観点へディスカッションが拡がり、また、より無意識や本能に近い動物のこころについてディスカッションが深まっていったことで、最終的には「こころ」とは何を指すのかという本質的な観点にまで議論が行われました。

 

最後に、広井良典副センター長が「今回は、動物のこころを手掛かりに、そもそもこころとは何か、人間とは何かという根源的なテーマにまでわたり、非常に興味深く示唆に富む報告会になったと思います。今後、様々なテーマへの拡がりが期待されるような、充実し本質に迫るような報告会にしていただいた皆様に感謝したいと思います。」と挨拶し、2020年度の研究報告会を終了しました。

 

〇参加者の感想(アンケートから抜粋)
・非常に面白く、様々な角度から心について考えることができました。
・研究報告会というものに初めて参加させていただきました。研究者の先生方同士のディスカッションが特に興味深かったです。
・普段は人間の身体性を中心に考えているので、他の動物の環境への応答を知れただけでも興味深かった。内容がたくさんあり、抄録にあるまでの議論に至らなかったのが残念だった。
・Zoom、ポスターセッションともに快適に参加することができました。
・オンラインだとポスターセッションが短く感じたので、コロナ収束後はぜひ現地にてゆっくり各研究内容についてお聞きしたいです。

 

[DATA]

▽日時:2020年12月6日(日)9時30分~13時25分
▽開催方法:オンライン開催(Zoom)
▽参加者数:60名
▽プログラム
9:30-9:35 開会の挨拶 
       河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター長・教授)
9:35-10:10 研究報告①「動物の行動を理解する」
       幸島司朗(京都大学野生動物研究センター・教授)
10:10-10:45 研究報告②「動物の意識を探る

       小村豊(京都大学こころの未来研究センター・教授)
10:45-11:20 研究報告③「心理療法における動物」
       鈴木優佳(京都大学こころの未来研究センター・特定助教)
11:20-11:30 休憩
11:30-11:45 こころの未来研究センター 研究プロジェクト紹介
11:45-12:10 オンラインポスターセッション 
12:10-12:20 休憩
12:20-13:20 ディスカッション 
       ディスカッサント:大坪庸介(神戸大学大学院人文学研究科・教授)
                仲野徹(大阪大学大学院医学研究科/生命機能研究科・教授)
13:20-13:25 閉会の挨拶
       広井良典(京都大学こころの未来研究センター 副センター長・教授)
司会 阿部修士(京都大学こころの未来研究センター・准教授)

2020/12/24

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