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【教員提案型連携研究プロジェクト】遺族の癒しと健康に関する研究

【平成28年度 教員提案型連携研究プロジェクト】遺族の癒しと健康に関する研究
研究代表者
カール・ベッカー 京都大学こころの未来研究センター 教授
共同研究員
金田 伊代 人間環境学研究科博士課程 大学院生
松本 光生 人間環境学研究科博士課程 大学院生
田中 陽子 人間環境学研究科博士課程 大学院生
                          (教員提案型)
 超高齢社会の日本では、現時点では毎年140万人、20年後には毎年約170万人の死亡が予測されている(内閣府)。一人が亡くなるに毎に、少なくともその4~7倍の遺族や友人が死別悲嘆に暮れる。つまり、毎年600~1200万人が死別悲嘆を経験し、今後20年の間に家族や友人の死別を経験しない日本人は皆無になる見込みである。
 死別悲嘆は、遺族のこころと身体に大きな打撃を与えかねない。近親者に先立たれて1~2年の間に死別悲嘆から回復できない人々は、悲嘆を抱えていない人々と比べて、急病、事故、うつや精神病、自殺未遂、突然死などの割合が高いと報告されている。これらの病気や事故は、周囲の者をさらに悲しませて負の連鎖を起こすばかりか、医療費や社会福祉費の増大に加え、社会全体の生産性を削ぐ事態も招きかねない。
 むしろ死別悲嘆を事前に軽減できる様になれば、悲しみの連鎖を食い止められるだけではなく、国家の生産性を維持し、医療福祉費の余計な出費を押さえられるはずである。海外では、この方面の研究はある程度行われているのに対し、日本では、皆無に等しい。
 最も死別悲嘆に関わる職種としては、僧侶や牧師の様な宗教者、医療福祉士、臨床心理士、葬儀社などが挙げられるが、最も多く関わるのは、葬儀社である。葬儀社の接し方一つで、遺族のこころは傷付けられたり癒されたりもするのである。従って、死別悲嘆に対する葬儀社の役割がひと際大きいと言える。ただし、社会も業界も必ずしもそれを認識しているとは限らないし、そのための訓練や教育が徹底しているとも言えない。本研究では、宗教者から葬儀社まで、死別されたばかりの遺族に最も大きな影響を及ぼす方々の態度と、それに対する遺族の反応や感想の関係を明らかにするものである。

2016/04/27

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