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第2回京都大学ヒマラヤ宗教研究会の報告

【イベント名】第2回京都大学ヒマラヤ宗教研究会
【日時】 2014年6 月2日(月)16:30~18:00
【場所】 京都大学こころの未来研究センター225会議室
【発表者】 安田章紀(京都大学こころの未来研究センター・研究員)
【講演題目】 「ゾクチェン概論」
【概要】
 「京都大学ヒマラヤ宗教研究会」の第2回研究会を開催しました。本研究会は、ヒマラヤ圏の宗教・歴史・文化に関心を持つ若手研究者が最新の研究成果を共有・議論する場として、昨年度からこころの未来研究センターで立ち上がったものです。今回はこころの未来研究センター安田章紀研究員が、ヒマラヤ圏で継承された宗教思想体系として知られる「ゾクチェン」について解説し、最新の知見を紹介しました。講演の要旨は以下の通りです。
 「ゾクチェン」は、チベット仏教ニンマ派の教義として有名であるが、その内実はあまり知られていない。ゾクチェンと一言にいっても、ほとんど一千年にも及ぶ長い歴史があり、それに携わった思想家・実践家も膨大な数に上る。例えば、ニンマ派の代表的学僧である14世紀のロンチェンパ1人をとっても、彼のゾクチェンの中には、「心部」の徹底した抽象的一元論と、「教誡部」の、哲学、儀式、身体技法が混然一体となった複雑な体系とが、共存している。しばしば発せられる「ゾクチェンとは何か」という問いに答えるには、歴史的にも思想的にも、未解明な部分があまりに大きいと言わざるを得ないのが現状である。したがって、これからの展望としては、残された膨大なゾクチェン文献の1つ1つに即し、どんな種類のゾクチェンが存在したかを逐一記録し、分析していく作業が求められる。
 研究会には仏教学、宗教学、歴史学、文化人類学等の研究者が参加して活発な意見交換が行われ、分野を越えた議論を通じてヒマラヤの宗教思想を理解する意義を共有する場となりました。
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(小西賢吾 こころの未来研究センター研究員)

2014/06/10

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