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2013年度前半期のブータン研究会・ワークショップの報告

2013年度前期には、計3回のブータン研究会・ワークショップを開催いたしました。
以下、各研究会、ワークショップの概要をご報告いたします。


【イベント名】第5回京都大学ブータン研究会
【日時】 2013年4月25日(火)17:00~18:30
【場所】 京都大学こころの未来研究センター(稲盛財団記念館2階)225会議室
【発表者】 上田晶子(大阪大学グローバルコーポレーションセンター・准教授)
【講演題目】「ブータンの農村におけるフードセキュリティ」
コメンテーター 熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター・准教授)

【発表概要】
近年、ブータンでは、首都ティンプへの人口集中とともに、各地で都市化が進行しています。その一方で、農村地域では過疎化に歯止めがかかりません。今回は上田晶子氏に、ブータンの農村におけるフードセキュリティの問題についてお話頂きました。
ブータンでは近代化が進むにつれ、道路交通網が変化し、労働形態が変容を遂げて来ています。また、都市化による首都ティンプへの人口集中の反面、過疎化によって農村地域がいかに変貌しつつあるかなどを事細かに解説して頂きました。さらに、食糧としての作物生産のみならず、換金作物による収入や、農業以外の収入源の実際などについても、これまでの歴史と現状の両面から、詳しく説明して頂きました。
 質疑応答では、コメンテーターの熊谷誠慈氏が、仏教学の視点から、ブータンの農村文化に垣間見える仏教的理念についてコメントを行いました。また他の参加者からも、中国との交易の歴史と現況、香辛料や食品の種類、都市部と農村部との関係などについて、多くの質問や意見が寄せられ、活発な議論が取り交わされました。

【イベント名】第6回京都大学ブータン研究会
【日時】 2013年7月4日(木)17:00~18:30
【場所】 京都大学こころの未来研究センター(稲盛財団記念館2階)225会議室
【発表者】 福島慎太郎氏(こころの未来研究センター・研究員)
【講演題目】「ブータンのGNH政策と幸福の多層性」
コメンテーター 内田由紀子氏(京都大学こころの未来研究センター・准教授)

【発表概要】
 GNH(国民総幸福)は、ブータン王国の代名詞ともいえる理念であり、国策の大きな基盤となっています。この理念を理解しなければ、ブータンという国の現在を理解することは難しいと言えます。
今回は、地域社会学、社会心理学の専門家である福島慎太郎氏に、地域社会学的視点から、ブータンのGNH政策の現状と今後の展望についてお話頂きました。
福島氏は、西ブータンのハ県の幸福度が他地域よりも高いことに注目し、その理由の1つとして農村コミュニティが機能していることを挙げました。日本でも都市部より農村部が高い幸福度を維持していることから、この現象は、地域差を超えた普遍的なものではないかという見解が、実例を交えながら解説され、幸福実現のためにコミュニティ(人のつながり)がいかに重要であるかが明確に示されました。
質疑応答では、コメンテーターの内田由紀子氏が、経済的な豊かさとこころの豊かさ、都市部と地方、地域と個人などのバランスをとりながら、いかに幸福度を高めていくべきかについて、さらに議論を掘り下げ、参加者全員で討議を行いました。

【イベント名】ブータンワークショップ(第7回京都大学ブータン研究会)
【日時】 2013年9月11日(水)13:00~14:30
【場所】 京都大学稲盛財団記念館3階中会議室
【発表者】 高橋孝郎氏(国際金融公社:元ブータン首相フェロー)
【講演題目】「ブータンのGNH(国民総幸福)政策の詳細と現状」
コメンテーター 内田由紀子氏(京都大学こころの未来研究センター・准教授)

【発表概要】
 ブータンはGNH(国民総幸福)を単なるスローガンに留めず、具体的な政策に反映させるために幾つもの施策を講じており、今や国内外から大きく注目されています。
本ワークショップでは、元ブータン首相フェローの高橋孝郎氏にお越し頂き、GNHの解説を行って頂いた上で、氏がGNH委員会の実務を自ら経験される中で学ばれた政府の取り組みの骨子と、GNH 調査から読み取れるブータンの現状について語って頂きました。また、ブータンの国会における与野党逆転を引き起こした本年7月の総選挙の背景にある経済問題についても解説して頂きました。そして、ブータンとGNH の可能性、そして日本がブータンから学ぶべき点など、有益な提言を行い、お話しを締めくくられました。
 質疑応答では、ブータンの金融政策や農業政策、国内の物流や輸出入、さらに、ブータンに対して日本以外の国々がどのような関心を抱いているかなど、様々な視点から質問がなされ、大変活発なディスカッションが行われました。


ワークショップの様子


GNH政策の基本構造を解説する高橋孝郎氏