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鎌田教授が寄稿した『乳房の文化論』が出版されました

1412kamata_nyubou.png 鎌田東二教授が論考を寄稿した『乳房の文化論』が、2014年11月に淡交社より出版されました。


 本書は、20年以上の歴史をもつ乳房文化研究会で発表された論考から13編がまとめられた一冊です。「特に人文科学の面における優れた論考」のひとつとして、鎌田教授の「チチとホト─乳房の日本文化史」が収められています。古くから、母性やエロティシズムの象徴とされてきた乳房、女陰の宗教文化史について、鎌田教授は神話や信仰の世界でそれらが大切にされてきた意味と具体的事例、自然のなかで信仰的シンボルとして創造された「チチ」「ホト」を図版で紹介しながら、宗教学、民俗学の視点から論考しています。


 以前、ポーラ文化研究所発行の『i s』という雑誌が「文化としての乳房」(66号、1994年)という特集を組んだ時、私は日本思想史の観点から「乳房の森」という一文を書いた。
 一般的に言って、乳房は人類文化にとって「母」を象徴する身体部位としてある。その証左に、『万葉集』において「母」にかかる枕詞は「たらちね」である。「たらちね」とは「垂れる乳の根」を差す「垂乳根」と表記する。が、「垂れる」という字は当て字で、乳房が垂れているという意味ではない。「垂乳根」とは「乳の満ちあふれる根源」という意味である。というのも、「垂れる」とは「足るを知る」の「足る」と同語源で、「満ちあふれる」とか「充満する」という意味だからである。(中略)
 同時に、男性にとって女性の乳房は、母的な根源的生命の次元だけではなく、蠱惑(こわく)や誘惑の対象となり、エロティシズムや性と結びつく。「母」の象徴としては誕生や養育や生命を意味するが、同時にそれは、成長した男にとっては、蠱惑する性的シンボルとも文化的チャームを持つ身体部位ともなり、さまざまなメタファーとしてはたらく。それは時には、目も眩む眩暈(げんうん)的なセックスシンボルとしてはたらく。この強烈な力と作用とは何なのか?
 そこには、生成する産出力に対する畏怖と神秘が含まれている。


(「チチとホト─乳房の日本文化史」論考「はじめに」より)


□書籍情報
『乳房の文化論』乳房文化研究会/編
出版社:淡交社
四六判 328頁
定価:本体2,052円
発売日:2014年11月25日
ISBN:978-4-473-03980-4


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