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鎌田教授の著書『世直しの思想』が出版されました

1603kamata_yonaoshi.png 鎌田東二教授の著書『世直しの思想』が、2016年1月、春秋社より出版されました。
 宗教哲学、民俗学、日本思想史、比較文明学を専門とする鎌田教授は、2008年4月にこころの未来研究センター教授に着任し、「楽しい世直し」を信条に研究活動をおこなってきました。本書は、センター着任以降に執筆した論考やエッセイを「世直し」というテーマに沿って改変し、書き下ろしの論考を加えたもので、2016年3月の定年退職までの鎌田教授の研究成果を凝縮した一冊です。


『世直しの思想』
鎌田東二
出版社: 春秋社 (2016/2/24)
単行本: 264ページ
ISBN-10: 439333342X
ISBN-13: 978-4393333426


 いつごろからか、自分の一番やりたいことは「世直し」であると公言するようになった。たぶん元号が「平成」になった頃からだ。
 その理由は、「平成」という元号にあった。昭和六十四年(一九八九)一月七日、第一二四代昭和天皇(一九〇一 - 一九八九)崩御の翌日の一月八日、小渕恵三内閣官房長官(当時)が記者会見で、「只今終了しました閣議で元号を改める政令が決定され、第一回臨時閣議後に申しました通り、本日中に公布される予定であります。新しい元号は『平成』であります」と宣言した報道を聞いて、わたしはすぐさま「平治の乱」(一一五九年)が起こる「乱世」に突入するのではないかという嫌な予感を持ったのである。(中略)
 前著『現代神道論ー霊性と生態智の探究』(春秋社、二〇一一年)の冒頭で、わたしはおおむね次のようなことを書いた。〈元号が「平成」(一九八九年一月八日)になった時から、それまでも主張していた「現代大中世」論(現代は中世の課題をいっそう拡大再生産したような困難の中にあるという時代認識)をさらに強く主張するようになった。慈円が言うように、世の中が「乱世」となり「武者の世」となっていくと直覚し、そのことを『朝日ジャーナル』での論文(一九八九年)や拙著『異界のフォノロジー』(河出書房新社、一九〇〇年)や音楽家の喜納昌吉氏との共著『霊性のネットワーク』(青弓社、一九九九年)などで強調してきた。そこで、日本中世には律令体制が大きく崩れ、征夷大将軍という令外の官が権力の中心となって二重権力構造が生まれたが、現代は米国という「征夷大将軍」に制圧され守護された二重権力構造の中に日本はあると主張してきたのだった。(中略)
 本書『世直しの思想』は、東日本大震災や巨大台風や御嶽山噴火を踏まえて、「災害と宗教と世直し」をつなげながら、過去・現在・未来の問題として論じたい。「世直し」は綺麗事ではないのだ。もう後はないところまで来ている。そんな切羽詰まった心境であるが、この二十年来、「楽しい世直し」を提唱して来た身として、どんな苦境にあっても、「楽しさ」の創造と探究とユーモアの表現を忘れてはならないと、いつも思っている。


(「序章 『世直し』への希求と実践」より)


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