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鎌田教授の著書『世阿弥―身心変容技法の思想』が出版されました

1603kamata_zeami.png 鎌田東二教授の著書『世阿弥―身心変容技法の思想』が、2016年3月、青土社より出版されました。
 世阿弥に対して多大な関心を寄せていたという鎌田教授は、2009年より世阿弥の著作を輪読する研究会を始め、以来、世阿弥の世界を探究する旅を続けてきました。
 本書は、宗教哲学者、民俗学者として鎌田教授が長年に渡って取り組んだ研究をベースに「身心変容技法」をキーワードとして世阿弥の世界に踏み込んだ、鎌田流「世阿弥論」です。


『世阿弥―身心変容技法の思想』
鎌田東二
出版社: 青土社 (2016/2/24)
定価 本体2600円+税
四六型上製/348頁
ISBN-10: 4791769139
ISBN-13: 978-4791769131


 これまで、世阿弥や能楽については、つとに能勢朝治、表章、天野文雄、松岡心平らを始め、近年には梅原猛や大谷節子や高桑いづみや西平直など、優れた先行研究が多々ある。その中で、世阿弥や能について専門的で確実な何ほどのことが言えるのか心もとないが、しかし世阿弥の巧みな誘発や挑発に乗ってみることで、思いもかけない展望と日本文化の深層が露わになってくることも期待できる。混迷する時代であればあるほど、「乱世」の中で格闘を続けた能作者兼能役者兼能思想家(能哲学者)の世阿弥と格闘し続ける意味は大きい。恐れずにその中にわが身を投じて格闘してみたい。(中略)
 本書『世阿弥』では、「乱世」における新しい救済や安心を生み出す一つの神事演劇的「身心変容技法」として、南北朝の動乱期を経て世阿弥が「申楽」(能)を編み出したことに焦点を当てながら、この文化イノベーションを単に過去の世阿弥時代の問題としてではなく、現代の主要なる課題として時代を串刺しにする「身心変容技法」の問題として縦横に論じてみたい。世阿弥は、「申楽」(能)を「魔縁」を退け、「福祐」をもたらすワザだと繰り返し強調した。また、『申楽談義』では、神事の奉仕こそが能役者の根本の務めであり、旅興行は生活手段なので、くれぐれも本末転倒してはならないと戒め、神事などをおろそかにするものには「神罰がくだる」とか「死後に地獄に落ちる」とまで言っている。とすれば、この能がいかに神聖な神事的呪術的なものであるかは明白であろう。
 とはいえ、そもそも世阿弥の言うその「魔縁」の「魔」が何であり、「福祐」の「福」が何であるかも見定め難いのが「乱世」のならいではある。だとしても、「身心変容技法」を修行者が目ざすべき理想の状態に近づけるための諸ワザであると捉えるならば、「乱世」を生きぬいていくための「身心処方」として参照し、学ぶところ大であろう。世阿弥と「身心変容技法」に焦点を当てながら、まずはじっくりとわれらの「身心」を遊動させてみることにしよう。


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