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吉川センター長のエッセイが京都新聞「キーワードきょうと」に掲載されました

 吉川左紀子センター長のエッセイが、2016年4月1日付の京都新聞一日版に掲載されました。


 京都新聞で毎月一日に発行される「一日版」のトップページでは、様々な分野で活動する執筆者が京都についてのエッセイを寄稿しています。吉川センター長は「時間を味方に魅力ある京都に」と題し、長い歴史のなかで伝統文化を培ってきた京都のよさと、自身がどのようにしてゆっくりと時間をかけて京都を好きになったかをソフトな語り口で紹介し、京都ファンの一人として「公共施設に和風の木造建築を取り入れては」と提言してます。


yoshikawa_kyotonp.png「時間を味方に 魅力ある京都に」吉川左紀子 京都大学こころの未来研究センター 教授、センター長


ゆっくり時間をかけて好きになる


 京都の真ん中、中京区のマンションに住むようになって、16年になります。若い頃は、春は梅や桜、秋は紅葉のきれいなお気に入りのスポットがあって、その季節になると車でドライブに行っていましたが、今は毎日の通勤経路がお気に入り。通勤途中、鴨川にかかる丸太町通りの橋から北山の方角を眺めると、四季折々の鴨川の流れや川岸の緑、遠くに見える下鴨神社の森など全体の風景が里山のようで、見るたびに「いいなあ...」としみじみします。鴨川だけでなく、東山や北山、西山近くの風景もいいですよね。
 人口150万の都会の中でこんな風景が毎日楽しめるのは、本当にすごいことだと思います。たとえば、一度でも「コンクリートで護岸工事をしよう!」と決めて実行してしまったとしたら、今のような鴨川はなかったはず。そう考えると、今、私たちが毎日目にしている風景は、ここに住んだ人たちが長い長い年月をかけて育ててきたものなんですね。こんなことを考えながら歩いていると、「この町はいいな」と思う度合いが、日々、アップしていくのを感じます。京都は長い歴史の中で作られてきた町ですから、ゆっくり時間をかけて好きになる、というのは正しい態度じゃないかと思っています。


(「一日版 キーワードきょうと」京都新聞 2016年4月1日付第1面 より)

センターのワークショップに参加した滋賀県立水口東高校の取り組みが朝日新聞で紹介されました

 こころの未来研究センターを訪問し、吉川センター長らによるワークショップに参加した滋賀県立水口東高校の取り組みが、2016年2月9日付の朝日新聞で紹介されました。
 2015年8月、オーストラリアの高校訪問を前にセンターを訪問した生徒さんたちは、豊かさや幸福についてのレクチャーを受け、滞在先で調査をおこなうための質問紙の作成方法について学びました。(当時の報告記事はこちら
 新聞では、現地訪問で実施した調査とその後のまとめについて詳しく紹介されました。生徒さんらが現地の高校生と交流しながら、調査を通じて幸福や豊かさについて国際的な視野で考えた取り組みが、写真と共に詳しくレポートされました。


1602asahi_shiga.png「豪州訪問 国際力磨く 幸せ感じ方比較 多様性理解」 県立水口東高校


 幸せや豊かさとは何だろうー。1、2年生25人が昨年8月末、豪州・クイーンズランド州の高校を訪れ、豊かさについて日本人との感じ方の違いがあるかアンケートを実施した。
 水口東は今年度、「スーパーグローバルハイスクール」のアソシエイト校に指定された。課題研究や国際交流を通じてコミュニケーション能力を身につけ、国際的な視野を持った「豊かな成熟社会を担う人材の育成」を学校の目標に掲げている。
 生徒たちは夏休みに質問を考え、「まわりの人に認められていると感じる」「大きな悩みごとはない」「自分だけでなく、身近なまわりの人も楽しい気持ちでいると思う」など48の設問と自由記述回答の3問を用意した。昨年度から相互訪問を始めたヒルブルックアングリカン校の先生や生徒、ホームステイ先で74人に調査。帰国後、同級生や保護者ら約750人に同じアンケートを実施し、昨年12月までに日豪での幸せの感じ方の比較をまとめた。


(朝日新聞/大阪版2016年2月9日)


滋賀県立水口東高校の生徒さんがセンターを訪問しました(2015.8.5)

鎌田教授のインタビューが『みずほプレミアムクラブだより』の特集に掲載されました

 鎌田東二教授のインタビューが、みずほ銀行とジェティービーが編集・発行する会員向け広報誌『みずほプレミアムクラブだより 華』2015年冬号(第37号/2015年12月)に掲載されました。「特集/門 〜見える門、見えざる門〜」において、鎌田教授は、古来から日本文化と日本人の心に関わってきた神社と鳥居の持つ意味や成り立ちについて、宗教学、民俗学の視点から解説。京都の伏見稲荷大社や奈良の大神神社の鳥居の持つ役割や意味を例に挙げ、日本文化の特質に深く根ざした「門」について考察しています。


1512kamata_mizuho.png鳥居をくぐり、門をくぐる。門を通じて"奥"を感じる。


 どうして日本人は門にこだわりを持ち、大切にしてきたのでしょうか。その形式や意匠に意味を感じて名前を付け、堀がないところに単独で建てて領域を示し、それをくぐることが重要な体験となるような門。こうして日本における門の特徴を整理すると、似ているものがあることに気づきました。それは鳥居です。(中略)
 もしかしたら、鳥居に対して感じることが、日本人が門に対して感じていることの奥に潜んでいるのかもしれません。そこで、神道や民俗学にくわしい京都大学こころの未来研究センター教授の鎌田東二先生にお話を伺いました。
 「門について、僕は門外漢なのですが...」と笑いながら、鎌田先生は門と鳥居について、次のようなお話をしてくれました。「門というものは、ある平面なり、空間なり、世界というものを切り取り、その奥を示していくための1つの仕掛け、装置ではないかと思います。次元が上がるたびに次の門、その次の門、そのまた次の門となっていくのです。それは、目に見える現実の門も見えない心の門も、どちらもその門を通過することで、内側の奥の方へと入っていく。そういう外と内、外と奥というものを仕分ける仕掛けが門なのです」(鎌田先生)。(中略)
 「日本文化の特質として、すべてを見せることなく、奥を感じさせるということがあるように思います。見せないことによって、それを推し量らせるというやり方です。見えないようにすること、見させないことによって畏怖心を強める。門は日本文化のあり方と深く関わりがあるように思います。だから、海外の門と出入り口という機能は同じでも、日本の門は独特なのではないでしょうか。」

鎌田教授のコラム「パリ同時多発テロ事件について思う」が徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 36」(2015年12月1日付)に鎌田東二教授のコラム「パリ同時多発テロ事件について思う」が掲載されました。2015年11月13日に起きたパリ同時多発テロによって、世界が危機的な事態に陥ったことを懸念する鎌田教授は、資本主義の資源獲得競争や政治的覇権争いに宗教、信仰が利用されている現状を指摘し、佐藤優氏と 橋爪大三郎氏の対談『あぶない一神教』(小学館新書)を引用しながら宗教の多様性を受容した上で議論することの重要性を説き、平和への道筋をたどる努力の必要性を訴えています。


1512kamata_tokushima.png「パリ同時多発テロ事件について思う 不気味な破局的事態 宗教の宗教の多様性排除が問題」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 11月13日の金曜日、パリで大きな変化が起きた。「13日の金曜日」という、フランスや英米などのキリスト教徒にとっては、不吉でいやな日に、パリ市内の6カ所で同時多発テロ事件が起こったのである。
 元号が「平成」に変わった26年前から、「現代大中世論」という「スパイラル史観」を主張し、「乱世」に突入したという歴史観を折に触れて言ってきたので、未来に起こってくるだろうさまざまな破局的な事態はある程度想定してきたが、それが戦争という形を取るのか、地震や火山噴火や台風や豪雪や異常気象の形を取るのか、パンデミック(世界的大流行)をもたらすような疾病の流行という形を取るのか、それともそのどれもが起こるのか具体的には予想し難かった。
 が、いざそれがこのような同時多発テロ事件という具体的な形で実現すると、あらためて暗澹たる気持ちになる。「平成」という元号になって世界が変わったように、このパリ同時多発テロ事件によって世界は変わったのである。(中略)
 このような事態を散見するにつけ、資本主義の資源獲得競争や政治的覇権争いに、宗教的観念や信仰が利用されていると思わざるをえない。佐藤氏が注意を促しているように「一神教は偏狭であるが、多神教は寛容だ」とか、「キリスト教やイスラム教は偏狭で、戦いばかり起こすが、仏教や神道は寛容で、平和愛好的だ」という言説や決めつけが問題だ。キリスト教の中でも寛容な教派はあるし、爆弾闘争を展開している仏教徒もいるし、八百万の神を信仰する神道の中でも排他的で攻撃的な集団はいる。


(記事より)

『京大広報』に第1回京都こころ会議シンポジウム、京都大学東京フォーラムの模様が掲載されました

 京都大学の広報誌『京大広報』の715号(2015年10月発行)に、第1回京都こころ会議シンポジウム(2015年9月13日開催/京都ホテルオークラ)の報告が掲載されました。また、同誌716号(2015年11月発行)に、吉川左紀子センター長が登壇した京都大学東京フォーラム(2015年10月20日開催/パレスホテル東京)の報告が掲載されました。


 それぞれの記事は、京都大学ウェブサイトの『京大広報』のページよりPDFをダウンロードしてご覧いただけます。


715.png第1回京都こころ会議シンポジウム「こころと歴史性」を開催


 9月13日(日),京都ホテルオークラにて第1回京都こころ会議シンポジウム「こころと歴史性」を開催した。4月に発足した「京都こころ会議」の第1回シンポジウムとして,こころの歴史性に焦点をあて, 5人の講演者がそれぞれの専門分野から講演,討論をおこない,400名を超える参加者が来場した。


(記事より抜粋。『京大広報』715号 PDF:8.12MB

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716.png京都大学東京フォーラムを開催


 本フォーラムでは,山極総長による挨拶の後,髙林純示生態学研究センター教授が「植物と昆虫の会話を解読する」と
題して,また阿形清和理学研究科教授が「切っても切ってもプラナリア─再生を科学する─」と題して講演を行った。続いて山極総長と髙林教授,阿形教授,吉川左紀子こころの未来研究センター教授の4名により,面白い研究とは何かについてのパネルディスカッションが行われた。


(記事より抜粋。『京大広報』716号 PDF:4.87MB


京大広報 | 京都大学ウェブサイト

鎌田教授の論考「命のメッセージつなぐ」が琉球新報に掲載されました

 鎌田東二教授の論考「『久高オデッセイ第三部』完成 命のメッセージつなぐ」が2015年11月27日付の琉球新報に掲載されました。2015年7月に逝去した映画監督・大重潤一郎氏の人生を振り返り、遺作となった映画「久高オデッセイ」第三部に懸けた思いと作品にこめられた祈りとメッセージについて、大重監督に寄り添い作品製作に携わった伴走者からの視点で解説しています。


1511kamata_ryukyu.png■論壇「『久高オデッセイ第三部』完成 命のメッセージつなぐ」鎌田東二 京都大学こころの未来研究センター教授


 大重潤一郎は1970年代から沖縄に焦点を当てて映画制作に取り組んできた。それが具体的な作品として結実したのは新城島で撮影した「光りの島」(95年)と「風の島」(96年)が最初であったが、その完成は大重の自宅があった神戸が阪神淡路大震災で甚大な被害を受けた直後のことであった。彼は多くの命が失われた後に、命の帰趨(きすう)を、そのよりどころとなる基底を沖縄に求めた。(中略)
 「神の島」としてニラーハラー信仰を伝えてきた久高島の12年間(イザイホーが行われる年に当たっていた02年から14年まで)を「比嘉康雄の魂」の導きを受けて撮り上げた三部作は、第一部では漁労祭祀の中心をなす男性神役ソールイガナシーの退任、第二部ではイザイホーで神女となった方々の退任が記録されている。そして第三部では新しい命の誕生と若い神女の登場が久高島の新たな息吹と「風」として、祈りと願いを込めつつ力強く表現されている。


(記事より)

鎌田教授の共著『満月交遊』の書評が徳島新聞に掲載されました

 鎌田東二教授と一条真也氏の往復書簡が収められた書籍『満月交遊 ムーンサルトレター(上・下)』(水曜社/2015年10月)の書評記事が、2015年11月27日付の徳島新聞に掲載されました。同紙の文化面の「とくしま出版録」において、徳島県立文学書道館の亀本美砂氏が「激動の時代をこぎゆく私たちの明日への羅針盤となるだろう」と、評しています。


1511kamata_mangetsu.png■とくしま出版録「現代を生きる羅針盤」...「満月交遊」鎌田東二・一条真也著


 阿南市出身の宗教哲学者・鎌田東二氏(京都大こころの未来研究センター教授)は、冠婚葬祭業大手の経営者であり作家の一条真也氏(2012年第2回孔子文学賞受賞)と、05年10月から満月の夜にウェブ上で文通を続けている。この文通は「ムーンサルトレター」と名付けられ、お互いの著書やプロジェクトをはじめ、閉塞した社会を乗り越えるための方策や知恵、直感と洞察が縦横無尽に語られる。(中略)
 二人の合い言葉は「楽しい世直し・心直し」。震撼する命と社会の危機を踏み越えようとする不屈の覚悟が読む者の心を揺さぶり、無力感や絶望の闇をも吹き払ってくれるようだ。


(記事より)


鎌田教授と一条真也氏の往復書簡が収められた『満月交遊 ムーンサルトレター(上・下)』が出版されました

内田准教授、荻原研究員らの研究成果が朝日新聞、日経新聞、毎日新聞、京都新聞などで取り上げられました

 2015年10月、『Frontiers in Psychology』に論文が掲載された内田由紀子准教授、荻原研究員らの研究成果が朝日新聞、日経新聞、毎日新聞、京都新聞など様々なメディアで取り上げられました。掲載内容の一部をご紹介します。


■「悠真くん、どう読むの? 読み方で個性の傾向強まる」
朝日新聞(2015年10月22日付)


 京大大学院教育学研究科の荻原祐二研究員らは、新生児の名前を調べているベネッセコーポレーションの名前データ(2005~13年分、年平均約4万件)を分析。上位10位の漢字の組み合わせや読み方が、全体に占める割合の推移を調べたところ、「大翔」や「悠真」など、漢字の組み合わせを選ぶ割合は変わらない一方、同じ読み方を選ぶ割合は減っていた。
 さらに、明治安田生命保険の名前調査データ(04~13年、年平均約8千件)を調べると、上位10位の漢字の組み合わせのうち、「結菜」を「ゆいな」「ゆな」「ゆうな」と読ませるなど、複数の読み方がある割合が増えていた。(記事はこちら


■「赤ちゃんの名前、読み方で個性競う? 京大調査 」
日本経済新聞(2015年10月22日付)


 大手企業が発表している赤ちゃんの名前ランキングを約10年分調べた結果、人気のある漢字に一般的でない読みを与えることで、個性的な名前を付ける傾向が増えていることが分かったと、京都大チームが22日付の海外科学誌電子版に発表した。
 チームの内田由紀子准教授(社会心理学)は「他人とは違う読みにすることで個性を出したいと考える親が増えているのではないか。個性をより重視する個人主義化が、日本文化の中で進んでいることを示唆している」と話した。(記事はこちら


■「新生児の名前:人気の漢字で、読み方は個性的に」
毎日新聞(2015年10月24日付)


 京都大大学院教育学研究科の荻原祐二研究員(文化心理学)らのグループは、最近の新生児の名前を分析したところ、使う漢字よりも、読み方で個性を出す傾向が強まっていることが分かったと発表した。日本が個人主義の文化に変容していることを示す研究結果としている。(記事はこちら


■「個性派ネーム解析、読みで独自性 京大、個人主義化を示唆」
京都新聞(2015年10月22日付)


 京大の荻原祐二教育学研究科研究員や内田由紀子こころの未来研究センター准教授らは、ベネッセコーポレーションと明治安田生命保険が公開している新生児の命名ランキングを用いて、人気のある漢字や読み方の動向を数値解析した。
 その結果、「太」「翔」「大」など人気のある一部の漢字が使われる割合が増加の傾向にある一方で、一般的な読み方を付ける割合は減少した。また、「大翔」を「ひろと」や「はると」「つばさ」のように、多様な読み方がある名前がランキングの上位を占める割合が高まっていた。(記事はこちら


■「名前に個性的読み増加、京大調査 個人主義化を示唆」
共同通信(2015年10月22日付)


 大手企業が発表している赤ちゃんの名前ランキングを約10年分調べた結果、人気のある漢字に一般的でない読みを与えることで、個性的な名前を付ける傾向が増えていることが分かったと、京都大チームが22日付の海外科学誌電子版に発表した。
 チームの内田由紀子准教授(社会心理学)は「他人とは違う読みにすることで個性を出したいと考える親が増えているのではないか。個性をより重視する個人主義化が、日本文化の中で進んでいることを示唆している」と話した。(記事はこちら


内田准教授、萩原研究員らの論文が『Frontiers in Psychology』に掲載されました
[研究成果] 個性的な名前を与える傾向が増加している -日本文化の個人主義化を示唆- | 京都大学ウェブサイト

鎌田教授の解説が『ロスト マンチュリア サマン』映画パンフレットに掲載されました

 日中共同プロジェクト合作記念作品『ロスト マンチュリア サマン』(2015年/制作:日本、中国/監督・音楽・構成:金大偉)の映画パンフレットに鎌田東二教授の解説と、アルタンジョラー連携研究員のコメントが掲載されました。
 映画は、『回生〜鶴見和子の遺言』(2001年)、『原郷の詩』(2011)、『花の億土へ』(2013)など鶴見和子氏や石牟礼道子氏の世界を映像表現してきた金大偉監督の最新作です。鎌田教授は、本作において金大偉氏が満州シャーマン(「薩満(さまん)」)の文化の担い手にスポットをあて、シャーマニズムの本質を見出していくプロセスや見どころについて宗教・民俗学者のまなざしから解説しています。


1511kamata_lost.png解説「ロスト マンチュリア サマン」鎌田東二

 「ロスト マンチュリア サマン」はこれまでの金大偉氏の映像作品とは大きく異なっている。たとえばこれまでの映像作品『回生〜鶴見和子の遺言』(2001年)『短歌百選〜回生から花道へ』(2004年)は鶴見和子氏の生きざまと歌の世界を、『しゅうりりえんえん』(2004年)『海霊の宮〜石牟礼道子の世界』(2006)『光凪』『原郷の詩』(ともに2011年)『花の億土へ』(2013年)は石牟礼道子氏の詩の世界を映像詩として表現したものだった。
 それに対して、「ロスト マンチュリア サマン」(Lost Manchuria Shamans)は金大偉氏みずからのルーツに深く潜り込み、失われたあるいは失われつつある満州シャーマンの世界の光と影を描いた作品である。前者は他者の詩の表現世界を、後者は自己のルーツと詩の源泉を探り当てようとする。まさに「魂のロードムービー」と称する所以である。
 シャーマンとは、超越の媒介者である。あの世とこの世、霊的世界と現実世界、見えないモノと見える物、相反し対立・分離するかに見える複数世界に接線や補助線を引いて交通可能な状態にし、両者をつなぎ、高次のバランスと秩序を確立しようとする存在だ。
 金大偉氏は、この失われゆくユーラシア「薩満(サツマン)文化」の核をなすシャーマンの後継者たらんとしている。本作の最後の金大偉氏自身のナレーション「私は天空を見た。天空もまた私を見た」の語がその証明である。


(パンフレットより)


金大偉作品の上映スケジュール
http://www.geocities.jp/taiiproject/schedule.html

鎌田教授のコラム「大学と学問の未来」が徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 35」(2015年11月2日付)に鎌田東二教授のコラム「大学と学問の未来」が掲載されました。2015年10月、文部科学省は国立大学の第3期中期目標・中期計画の素案を公表しました。鎌田教授は一連の議論の流れやおもな大学が採った方針などをまとめて紹介した上で、自身が考える「学問」的探究として「1.道としての学問」「2.方法としての学問」「3.表現としての学問」という3つの要素について解説。学問への創造的取り組みの一環として間もなく刊行する編著『講座スピリチュアル学第5巻 スピリチュアリティと教育』(発行:BNP)を紹介し、こうした活動によって、これからの学問と教育の未来の検証と創造に向けて一石を投じたい、と思いを伝えています。


1511kamata_tokushima.png「大学と学問の未来 創造性の発現 喫緊の課題 論文以外の表現可能」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 私は常々「教育」と切り離すことのできない「学問」的探究に次の3種があると考えている。1.道としての学問ー人格形成・人間的涵養(かんよう)を目指す。2.方法としての学問ー知性錬磨・認識機能高進・新知見獲得を目指す。3.表現としての学問ー学問的問いを詩や物語や演劇で表現するワザを磨く。
 第1の「道としての学問」とは、学問をする人間の志や動機や実存的意味や倫理に基づく人格形成・人間性の深化・涵養・錬磨を促す学問のあり方を示すものである。
 第2の「方法としての学問」とは、科学や人文学を含めて、すべて学問には一定の方法論や領域があるが、そのような知に至る明晰な方法や領域の特定を通して、ものの見方の更新や概念のイノベーションや新知識の発見と獲得を目指すあり方を示すものである。
 第3の「表現としての学問」とは、プラトンの対話編、アウグスティヌス「告白」、ニーチェの「ツァラトゥストラかく語りき」、空海の「三教指帰(さんごうしいき)」、中世の数学・数理問答テキストである法然の「選択本願念仏集」や吉田兼倶「唯一神道妙法要集」、宮沢賢治の「農民芸術概論網要」などを含め、問いと探究を新しい表現形式の中で探り深めていくあり方を示すものだ。(中略)
 大学や学問のあり方についての議論が活発になってきている現在、私たちは間もなく「講座スピリチュアリティ学第5巻 スピリチュアリティと教育」(BNP)と題する論著を刊行する。「スピリチュアリティ(霊性)」という観点が「教育」や「人間形成」に不可欠と考えているからである。これにより「学問と教育の未来」の検証と創造に向けて一石を投じたい。


(記事より)

船橋教授のインタビュー記事が学術研究支援室のウェブサイト「K.U.RESEARCH」に掲載されました

 船橋新太郎教授のインタビュー記事が、京都大学学術研究支援室が運営するウェブサイト「K.U.RESEARCH」に掲載されました。

 京都大学の研究者による「未踏領域への挑戦」を紹介するドキュメンタリー記事のページで、「前頭連合野の機能解明 〜船橋研究室の船出秘話〜」と題し、船橋教授の研究人生のはじまりから現在の取り組みに至るまでを克明に追った読み応えのあるドキュメンタリーとなっています。


Behind Kyoto University's Research Vol.06 前頭連合野の機能解明 〜船橋研究室の船出秘話〜 | K.U.RESEARCH


1511funahashi_kuresearch.pngBehind Kyoto University's Research Vol.06
前頭連合野の機能解明 〜船橋研究室の船出秘話〜
京都大学大学院人間・環境学研究科
こころの未来研究センター船橋研究室


ヒトの額のあたりに大脳皮質前頭連合野がある。この部位は時々刻々と変化する周囲の状況に基づいて、最適な判断や意思決定する機能を担っている。この前頭連合野の機能に関する研究で国内外から高い評価を受けている脳研究者が、船橋新太郎教授だ。前頭連合野の機能の解明という夢を叶えるべくアメリカへ飛び立った若き日の船橋教授が、京都大学の吉田キャンパスで脳研究をスタートさせるに至る波瀾万丈のエピソードをご紹介する。


Dream ---- 脳の迷宮へ
 いまや「脳科学」は教育系のテレビ番組だけでなく、娯楽番組や雑誌でも取り上げられ、一般の人々にも随分と身近な存在になった感がある。かつては医学系の研究者が行う研究分野だったが、今では、医学や工学のみならず、心理学、数学、物理学など、複数の異なる専門分野の研究者が参加する学際融合的な研究分野として、飛躍的に発展している。本ドキュメンタリーは、時代を四半世紀以上、さかのぼるところからはじまる。
 船橋は、当初から脳の機能に興味をもっていたわけではなかった。もともと生物学に興味があり、大学では生物学に進もうと考えていた。大学受験を準備していた時に、たまたま『卵はどのようにして親になるか----発生と分化のしくみ』(岩波新書)を読み、1個の細胞が様々に分化して個体ができあがる仕組みに魅了され、その著者であった林雄次郎教授が在籍する東京教育大学(現在の筑波大学)理学部動物学科へ進学した。
 ところが、である。....


(記事より 全文はこちら


京都大学学術支援研究室(KURA)ウェブサイト
船橋庵 | 船橋研究室ウェブサイト

第1回京都こころ会議シンポジウムが毎日新聞、読売新聞、京都新聞などで取り上げられました

 2015年9月13日、京都ホテルオークラで開催した第1回京都こころ会議シンポジウム「こころと歴史性」は、毎日新聞、読売新聞、京都新聞など様々なメディアで取り上げられました。掲載内容の一部をご紹介します。


1510kokoro_media.png■「こころで読み解く人類史 京都で会議、議論白熱8時間」
読売新聞(2015年10月15日付)


 宗教対立や民族紛争など世界が直面する問題を人間の<こころ>の観点からとらえ直す「第1回京都こころ会議」(京大こころの未来研究センター主催)が、京都市内で開かれた。(中略)
 臨床心理学者の河合俊雄・京大こころの未来研究センター教授は、こころの内外を巡る歴史性を語った。前近代では「こころ」は自然や異界とつながる「オープンシステム」で、病とは憑依や魂の喪失だった。西洋近代では「こころ」を個人の内部に閉じられたシステムとして把握し、病に対して心理療法が行われるように変化したのだが、前近代の世界観も「こころの古層」として息づいているという。
 議論は白熱し、8時間近くに及んだ。現代のインターネット社会で、なお「こころ」の問題が絶えないのはなぜか。個人、共同体、あるいは人と自然が「つながる」には何が必要か。人類のさらなる進化の可能性はー。人を人たらしめる、「こころ」の可能性を実感した会議だった。(記事より)


■「こころの歴史性に焦点 第1回京都こころ会議シンポジウム開催」
京都大学新聞(2015年10月1日)


 こころとその歴史性について考える第1回京都こころ会議シンポジウムが9月13日、京都ホテルオークラで開催され、これからの社会で「こころ」に求められるものについて分野の異なる5人の学者が発表した。
 まず吉川左紀子・こころの未来研究センター長が「こころ」という日本語のもつ多面性と複雑性について説明した。(中略)
 下條信輔・カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授は、個人史が年輪のように一つ所に蓄積された「来歴」という概念を提示し、色知覚や身体化した知性について来場者に体感させながら、「こころの発達に影響を及ぼす遺伝と環境の両要因は実に複雑に畳み込まれており、それゆえに来歴を振り返ることが重要」と主張した。(記事より)


■「人間 多角的に考える 多分野の学者ら分析 京都こころ会議」
毎日新聞(2015年9月28日)


 「歴史性がテーマ」
 会議では宗教学者の中沢新一・明治大野生の科学研究所長が「こころの構造と歴史」のテーマで講演。「どうすればモノとこころが統一的に理解できるかということに関心があった。現代はモノを理解する自然科学と、こころを理解する人文科学の方法論が分離している。だが神経科学的な情報伝達のあり方と、こおろの深層の構造とは同じ数学の言葉で表現できることが明らかになってきた。21世紀のサイエンスはモノとこころの統一が重要な要素になる。そのとき人文学が新しい生命をもって浮かび上がってくるだろう」などと期待を込めた。(記事より)


■「こころ」とは 多角的に議論 京大が初シンポ
京都新聞(2015年9月14日)


 京都大が立ち上げた「京都こころ会議」の第1回シンポジウムが13日、京都市中京区のホテルであった。脳科学や臨床心理学など幅広い分野の専門家や市民ら約400人が参加し、人間の「こころの成り立ち」や理解の歴史について学識者が多角的に論じた。(記事より)


■第1回京都こころ会議シンポジウム「こころと歴史性」
朝日新聞(2015年7月16日)


 9月13日午前9時半〜午後6時、京都市中京区河原町御池の京都ホテルオークラ。「こころ」という日本語に含まれる広がりや深いニュアンスを大切にしながら、豊かなこころが育まれる社会のあり方を議論する。吉川左紀子・京大こころの未来研究センター長の開会の言葉、稲盛和夫・稲盛財団理事長のあいさつなどの後、講演がある。(記事より)


第1回京都こころ会議シンポジウム「こころと歴史性」を開催しました
「京都こころ会議(Kokoro Initiative)」が発足し、調印式、記者発表がおこなわれました

鎌田教授のコメントが『中外日報』に掲載されました

 宗教・文化専門紙の中外日報(2015年10月14日付)に、鎌田東二教授のコメントが掲載されました。鎌田教授が制作に携わった大重潤一郎監督作品『久高オデッセイ第3章 風章』の上映会が京都でおこなわれたことと、今後の上映会開催の呼びかけを紹介すると共に、映画に含まれるメッセージについて、鎌田教授がコメントしています。


1510kamata_chugai.png「久高島の記録映画 上映会を呼びかけ」


 1978年以来断絶している島の最大神事イザイホーが、本来開催されるはずの2015年1月(旧暦14年11月)に実施するのかに県内・関係者の注目が集まる中、約12年間にわたり、島の移りゆく姿を撮影。大重監督は脳出血で半身不随になりながらも06年に第1部、09年に第2部を公開。神事が行われなかったイザイホー当日の島内の様子をカメラに収め、完結した。大重監督は完成直後に急逝した。
 制作者の鎌田東二京都大こころの未来研究センター教授は「都会では生活が様々に分断されているが、周囲8キロのこの島では世の中の全体をホリスティックに知ることができる。この作品は、これからの社会で必要になる。ローカルかつユニバーサルな感覚・世界観にあふれている」と話した。


(中外日報 2105.10.14付 記事より)


 また、神戸新聞(2015年10月12日)では、神戸ゆかりの映画監督として大重監督の生涯と作品が紹介され、数多くのメディアで同作品に関する記事が掲載されています。

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『2015年度ポケットゼミ「沖縄・久高島研究」久高島合宿文集』が完成しました

1510kamata_pocket.png 鎌田東二教授による2015年度ポケットゼミ「沖縄・久高島研究」の久高島合宿文集が完成しました。門前斐紀研究員(上廣こころ学研究部門)が編集し、鎌田教授が巻頭言を寄せています。


 合宿は、2015年9月11日から15日の期間、沖縄県南城市久高島にておこなわれました。文集には、参加した学生たちによるレポートが写真付で収められています。(右の表紙画像をクリックするとPDFが開きます)


巻頭言 2015 年度ポケゼミ「沖縄・久高島研究」久高島合宿文集に寄せて

 わたしがポケゼミ「沖縄・久高島研究」を始めたのは、2012年度からだった。東日本大震災が起って、文明や社会のあり方、そこでの人間の生き方や学問的探究のあり方などを深く問いかけ、再構築していく必要があると感じていた。
 また、京都大学の中でも非常に小規模なこころの未来研究センターという研究機関に勤めていて、教育学研究科の大学院での「臨床教育学演習」などの授業はあり、大学院生と議論する場はあったものの、学部生、とりわけ1回生と接する機会はほとんどなかった。
 そこで、フレッシュパーソンにぜひ「沖縄・久高島」の存在を通して、民俗学や宗教学や地域研究などフィールドワーク系の研究の面白さや醍醐味を経験してもらいたいと、本ポケゼミを始めたのだった。
 最初から「沖縄・久高島研究」と地域限定しているので、それなりの意識と関心を持つ学生が集まり、1班3~4名の編成にして、途中で2度のミニフィールドワーク体験(5月の葵祭と7月の祇園祭)や、フィールドワーク報告会(祇園祭フィールドワーク報告会)をするので、学生相互に交流も生まれたと思う。1回生の時期にこのような少人数ゼミで親しく交わる経験を持つことはとてもよいことだと思っている。
 わたしは、大重潤一郎監督(1946-2015)と 1998年に出逢い、それから「神戸からの祈り」「東京おひらきまつり」「NPO 法人沖縄映像文化研究所」「NPO 法人東京自由大学」など、いろいろなイベントや探究の場を共にしてきた。
 その大重潤一郎監督が外部講師・現地講師で、わたしが内部講師・引率教員というスタンスで、比嘉康雄著『日本人の魂の原郷―沖縄久高島』(集英社新書、2000年5月)をテキストに全篇をしっかり読み込み、班別に発表してもらいながら、討議していき、それを基盤に現地に繰り出すという手法を取った。そして、その最後の仕上げと新しいスタートが、9月の「久高島大運動会」に合わせて行なう「久高島合宿」であった。


(『2015年度ポケットゼミ「沖縄・久高島研究」久高島合宿文集』巻頭言より)

鎌田教授のコラム「平成は兵制か?」が徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 34」(2015年10月1日付)に鎌田東二教授のコラム「平成は兵制か?『乱世』に突入と直感 『平和に成る』道求め行動」が掲載されました。昭和から平成へと元号が変わった当時、平治の乱を想起したという鎌田教授は、「乱世にあってこそ楽しい世直しを」と独自の社会活動をおこなってきました。安保法案の可決など最近の日本の情勢から当時の直感に狂いはなかったと振り返る鎌田教授は、10度目の東日本大震災被災地調査で今なお震災の影響が残る現地の状況を報告すると共に、現世が真に「平和かつ平安に成る」道と方法を求め行動しなければならない、と強く思いを伝えています。


1510kamata_tokushima.png「平成は兵制か? 『乱世』に突入と直感 『平和に成る』道求め行動」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 「平成」からすぐに「平治」を想起するのは歴史的経緯や文脈無視の非論理的な飛躍と多くの人は言うだろう。そんなことは百も承知で私は「『平成』は兵制(兵政)になる」などと言って「オオカミ少年」のように思われた。が、そんなことはどうでもよかった。警告を発しなければならないという強烈な思いに駆られていたから。
 そのような思いもあって、こんな「乱世」にあってこそ「楽しい世直し」が必要と、「神戸からの祈り」「おひらきまつり」「NPO法人東京自由大学」などの社会活動を進めてきたが、それも根底に「平成ー兵制」という危機感があったからだ。そしてそうした歴史認識を「古代と近代が類似する」という「スパイラル史観」と「現代大中世論(大乱世)」として主張してきた。少しでも今を生きる緊張感と危機感と覚悟が定まればよいと思っていたから。
 このような中、さる9月19日に安全保障関連法案が参議院で可決された時、私の非科学的な予言と直感はいよいよ現実のものとなってきたと確信した。(中略)
 私は安保法案が可決される前日の18日から23日まで、福島県飯舘村や南相馬市から青森県八戸市までの東北被災地沿岸部1026キロを走りながら、半年に一度の第10回目の追跡調査を行った。そして飯舘村の最重要の聖地で、山の神・大山津見神を祭る山津見神社と奥宮の鎮座する虎捕山を参拝し、この秀麗な神の山の放射線量が高いことの事態の深刻さと矛盾を目の当たりにした時、戦後日本の「民主主義政治」と「資本主義経済」の欺瞞的なあり方と問題点に強い憤りを感じた。そして「平成」の世が真に「平和かつ平安に成る」道と方法をいかにしてたどることができるのか、求め行動し続けなければならないとあらためて思ったのである。


(記事より)

【10/9, 10/16(金)21:30〜放送】鎌田教授がKBS京都ラジオに出演します

 鎌田東二教授が出演したラジオトーク番組「Glow〜生きることが光になる〜」(KBS京都ラジオ)が、2015年10月9日(金)、10月16日(金)のそれぞれ21時半より放送されます。


 番組は、障害のある人たちをはじめ、自身の内から湧き上がる衝動のままに表現した芸術「アール・ブリュット」について語りながら、人の営みの深さや広がりについて、ゲストを交えて考えるトーク番組です(番組ウェブサイトより)。鎌田教授は、自身の研究テーマを紹介し、毎年大津で開催されている「アール・ブリュット」の展覧会や「アール・ブリュット」を含む障碍者アートの特色や可能性について、パーソナリティのアサダワタル氏と語り合いました。


151007kamata_glow.png□番組情報
番組名:「glow生きることが光になる」
テーマ:「アール・ブリュットをきっかけに人の営みを考える」
放送日:2015年10月9日(金)・16日(金)21:30~21:55
放送局:KBS京都ラジオ ※受信エリアはおもに近畿圏
ゲスト:鎌田東二 こころの未来研究センター教授
パーソナリティー:アサダワタル
現場リポーター:田端一恵
【提供】社会福祉法人グロー
http://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/glow/

鎌田教授のインタビュー「こころの風景」」が大分合同新聞、秋田魁新報に掲載されました

 鎌田東二教授のインタビュー記事「こころの風景」が、共同通信社の配信により大分合同新聞(2015年9月14日付)と秋田魁新報(2015年9月25日付)に掲載されました。日本各地で火山活動が活発となるなか、自然とどのように接し生きるべきか。インタビューで鎌田教授は、日本人が抱いてきた自然への畏怖心と自然から学び生きる「生態智」を呼び戻すことが重要である、と答えています。


1509kamata_kyodo.jpg「『神』としての火山活動 荒ぶる自然をおそれる 生命観研究の鎌田東二さん」


 「どの民族にも文化の古層には、自然への畏怖の念がある。日本の神道ではそれが、荒ぶる自然に対する『おそれつつしむ』という感覚です。火山を、ただ災害をもたらす存在ととらえるのは、人間が自然をコントロールできるという近代合理主義の感覚でしょう」
 そう話すのは、京都大こころの未来研究センター教授の鎌田東二さんだ。神道を中心に人間の自然観や生命観を研究する鎌田さんは、自然が人間に「牙をむく」「襲いかかる」という慣用句に潜む「人間中心主義」に違和感を覚えるという。「人間がちはやぶる(荒々しい)自然の中で、つつましく位置して生きること、つまり『生態智』を呼び戻すことが、今後の人類にとって必要だと思うのです」
 だが、アスファルトの上に立ち、コンクリートに囲まれながら、古代人の感覚を呼び戻すことなどできるのだろうか。実際に多くの「被害者」を生む災害に「神」を感じることはできるだろうかー。「ぜひ行ってみてください」と鎌田さんが言うのは、伊豆大島(東京都)の三原山。古来、人々は噴き上げるその火を「御神火」と呼んで信仰の対象にしてきたという。


(記事より)

鎌田教授の書評が紅書房の『紅通信』第七十三号に掲載されました

 鎌田東二教授の書評が紅書房の出版社発通信物『紅通信』第七十三号(2015年9月3日発行)に掲載されました。


 日本における「妖精学」の第一人者として知られる井村君江氏の『私の万華鏡ー文人たちとの一期一会』を取り上げた鎌田教授は、「井村マンダラの光彩」と題し、著者が国内外で出会った文人たちとの交友録を「それ自体が妖精の戯れかと思わせるほど軽やかにかつ濃密に『一期一会』を描いていく」と評し、本の登場人物であるカルメン・ブラッカー(民俗学者・日本研究者)と自身との邂逅について振り返っています。


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 著者はイギリスのケンブリッジ大学に三年間留学した際、毎週ブラッカー氏の研究室に招かれた。そのブラッカー氏からイギリス・フォークロア学会の会長で妖精研究の専門家であったキャサリン・ブリッグズ氏を紹介され、「妖精学」というフロンティアに参入していったのである。この偶然とも必然ともいえる"文縁"の綾なす曼荼羅模様は、「人事を尽くして天命を待つ」ではないが、「人事」を超えた「天命」の光彩を放っている。
 わたしは一九九四年の秋にロンドン大学でブラッカー氏と会った。同大学SOASで日本とアイルランドの宗教文化を比較する発表を行なった時に聴きに来てくれ、その後の懇親会で紹介されたのだった。幼い頃からシャーマニズムに否応なく関心を持ってきたわたしにとって、この『あずさ弓ー日本におけるシャーマン的行為』(秋山さと子訳、岩波現代選書、一九七九年)の著者との「一期一会」のロンドン大学での出逢いは、井村君江氏や鶴岡真弓氏や龍村仁氏によって誘われたアイルランド詣でへのさらなる引力となって、翌一九九五年には国際交流基金から派遣されてダブリン大学に客員研究員として赴くきっかけとなった。


(「井村マンダラの光彩」鎌田東二 - 一部抜粋)


紅書房ウェブサイト

鎌田教授のコラム「誕生と死と再生」が徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 33」(2015年9月1日付)に鎌田東二教授のコラム「誕生と死と再生〜北海道旭岳と福島からのいのちの挑戦」が掲載されました。8月22、23日、鎌田教授は北海道の東川町でおこなわれた助産院バースカムイ開院記念第1回「自然といのち」シンポジウムと、福島市で開催された「ふくしま未来神楽〜神楽を巡って」シンポジウムに登壇しました。旭岳の麓に誕生した助産院の門出にあたり、いのちと自然の関わりについて意義深い対話をおこなったことを報告すると共に、福島で実現した新しい創作神楽誕生に自身が大きく関わったエピソードや、発起人の和合亮一氏らの未来に向けた大きな挑戦について紹介しています。


1509kamata_tokushima.png「新しい創作神楽誕生 誕生と死と再生〜北海道旭岳と福島からのいのちの挑戦 貴重な『祀り』心込め支援」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 市川さんは、「いのちの誕生」といういのちの根源を伝えるに最適な地域である東川町で、「いのち」の根源を幅広く捉え、創造的ないのちの生み出される場を作りたいと「神々の誕生」を意味する助産院「バースカムイ」を開院した。
 そこで、東京大学医学研究科助教で循環器内かの稲葉敏郎さんが「いのち・医療の現場から」を、NPO法人大雪山自然学校代表の荒井一洋さんが「自分という自然に出会うー自然体験活動の実践現場から」を講演、私も「日本人の死生観ー古事記から遠藤周作まで」と題して問題提起した。
 ここで、荒井さんが自然の中で生き抜いていくためには「DSR=どうにか(D)する(S)力(R)」が必須であると主張したことには大変共感した。生存にとって逆境に強い「臨機応変力」こそ最大最高に重要であると日々考えている私としては膝を打つ指摘だった。
 翌23日、福島の詩人で高校教師の和合亮一さんが中心となって催された「未来の祀り・ふくしま」に参加した。(中略)
 実は、この創作神楽「ふくしま未来神楽」の"誕生"に私も一役買っている。2013年2月11日に朝日カルチャーセンター新宿で和合さんと対談した折、「震災直後に東北被災地を回っている時に、この禊もできなくなった環境の中での未曾有の事態の中でささげられる新しい祈りの言葉が必要だと思った、それができるのは当事者である和合さんのような人たちだ、ぜひ新しい祝詞や神楽や能のようなものを作ってほしい」とお願いした。それから2年半後、実に力強く感動的に和合さんはその問い掛けを実現してくれた。


(記事より)

『仏教タイムス』『六大新報』に東日本大震災関連シンポジウムに関するニュースが掲載されました

 第6回東日本大震災関連シンポジウム(開催:2015年7月9日/於:稲盛財団記念館3階大会議室)に関する記事が、宗教情報専門紙『仏教タイムス』ならびに真言宗の専門誌『六大新報』に掲載されました。いずれの紙面にも、当日の様子が写真と共にレポートされました。


1509shinsai_news.png■「京大こころの未来研究センターシンポ 5年目の被災地 "あっぱれ"と"哀しみ"と」
週刊仏教タイムス(2015.7/23.30合併号)


 京都大学こころの未来研究センターは9日、6回目となる「東日本大震災関連プロジェクトーこころの再生に向けて」を京都市左京区の稲盛財団記念館で開いた。「5年目を迎えた被災地の『復興』と現実」をテーマに芥川賞作家の臨済宗妙心寺派僧侶、玄侑宗久氏や東北大大学院で臨床宗教師の養成に力を注ぐ鈴木岩弓教授ら4人が、「心の復興」への課題を探った。(記事より)


■「京都大学シンポ開催 被災地の復興と現実テーマ 井上高野山大教授の報告も」
六大新報(2015.8/15)


 京都大学こころの未来研究センター(吉川左紀子センター長)が推進する東日本大震災関連プロジェクト(研究代表鎌田東二教授)では去る七月九日午後一時から、京都市左京区吉田の京都大学稲盛財団記念館で、第六回東日本大震災関連シンポジウムをテーマ「こころの再生に向けて〜五年目を迎えた被災地の『復興』と現実〜」で開催、五年目を迎える現地の実態を踏まえ今後の復興の在り方を討議した。(記事より)


第6回東日本大震災関連シンポジウム「こころの再生に向けて~5年目を迎えた被災地の「復興」と現実」が開催されました

鎌田教授が登壇した「神楽を巡って」シンポジウムの記事が『福島民友』に掲載されました

 2015年8月23日に福島市で開催された「神楽を巡って」シンポジウムに鎌田東二教授が登壇しました。シンポジウムは「未来の祀りふくしま」最終日におこなわれた「ふくしま未来神楽」の奉納に合わせて開催されたもので、震災後の福島で新しい神楽を創ることの意義について意見交換がなされ、福島県の地方紙『福島民友』にレポートが掲載されました。


1508kamata_kagura.png「新しい祈りの形模索 『未来の祀りふくしま』閉幕 『神楽を巡って』シンポ」
福島民友(2015.8.24)


 県民俗学芸能学会調査団団長の懸田弘訓さん、福島稲荷神社宮司の丹治正博さん、伊勢大御神宮司・県立博物館専門学芸員の森幸彦さん、宗教学者の鎌田東二さんが出演。同イベント発起人で詩人の和合亮一さんが司会を務めた。
 鎌田さんは、震災・原発事故後、既存の祝詞ではない新しい祈りの言葉を生み出す必要性を強く感じたことを紹介。和合さんに創作を提案したことで「未来の祀り」という新しい祈りの形につながったという。


(記事より)


(2015.10.6 追記)「福島民友新聞」9月16日付文化面にも同シンポジウムの記事が掲載されました
「『福島」の挑戦 意味探る シンポ「神楽を巡って」』
150916kamata_fukushima.png


「未来の祀りふくしま」ウェブサイト

鎌田教授の対談記事が『未来共創新聞』に掲載されました

 鎌田東二教授と哲学者・金泰昌氏の対談が、2015年6月22日付の『未来共創新聞』(発行:オフィス21)に掲載されました。日韓国交正常化50年を特集する企画において、山本恭司編集長による司会のもとで鎌田教授と金氏は、「韓人と日本人の霊性次元の対話・協働・開新」の可能性を探るべく、それぞれの研究の知見を提供し、対談をおこないました。



1508kamata_fcn.png 山本恭司(未来共創新聞編集長) 鎌田先生の『スピリチュアル学』(全7巻、ビイング・ネット・プレス発行)の第3巻「スピリチュアリティと平和」がこのほど上梓されました。そこでズバリお尋ねします。「スピリチュアリティ」とは何でしょうか。
 鎌田東二(京都大学教授) 私は「スピリチュアリティ」と「霊性」という言葉を翻訳で繋ぎながら考えてみました。「スピリチュアリティ」=霊性には大きく四つの特性があると思っております。
 一つは「根源性」です。自分自身を根源から成り立たせ、人間存在の一番根幹にあるものです。一番の核であり根っ子です。
 二つ目は「全体性」。「全体性」を「トータリティ」とか「ホーリスティック」と言い換えてもかまいません。要するに、宇宙の部分ではなくて宇宙全体であり普遍性に関わるという意味です。
 そして三つ目は変容性です。深化、成熟していくのです。変容とは、一皮も二皮も剥けて本質がどんどん露わになってくることです。例えば、3歳児が内蔵していた根源性と全体性は、歴史と経験が加味されて変容してゆき80歳になったときには深みを増しています。
 四つ目は、スピリチュアリティとは、私を私たらしめている方向性です。私はそれを「いのちのコンパス」と言っています。


(記事より)


未来共創新聞ウェブサイト

内田准教授の論考がエネルギー・文化研究所の発行する『CEL』Vol.110に掲載されました

1508uchida_cel.png 内田由紀子准教授の論考が、大阪ガス株式会社エネルギー・文化研究所の発行する情報誌『CEL』Vol.110(2015年7月発行)に掲載されました。


 特集『幸せな地域の暮らしをつくる』では、昨今、豊かさを計るための新たなものさしとして注目されている「幸福感」にフォーカスをあて、地域における取り組みや関連分野の研究者による知見を紹介しています。内田准教授は「未来への展望:問われる幸福の指標の活用」というタイトルで論考を寄稿。文化・社会心理学者としてこれまで進めてきた幸福感に関する研究や国内外での施策を紹介し、今後、人々の暮らしと地域のために幸福の指標をどう活用していくべきか考察・展望しています。


 全文がウェブに公開されています。下記リンク先にて電子ブックまたはPDFをダウンロードしてお読みください。


「未来への展望: 問われる幸福の指標の活用」
内田由紀子


1508uchida_cel2.png幸福を支える集合的要件
 世界各国で「幸せ」を指標化する動きが盛んだ。日本の「幸せ」はどのような特徴があるのか、それをふまえ、どのように幸福度を測り、活用していけばよいのだろうか。地域での幸福度を向上させ、持続可能な地域づくりにつなげるための、幸福の指標の活用について考察する。

はじめに
 21世紀に入ってから14年が経ち、経済成長の停滞、少子高齢化、地域の消失など、高度経済成長期には見られなかった問題が顕在化しているといわれている。 このような日本の現状に連動するように、特に先進国をはじめとする世界各国において、豊かな生き方の指針として「幸福」という概念が注目を集めている。社会科学をはじめとする学問分野の中でも「幸福感」研究が大きく取り上げられるようになり、その論文数も大きく増加、幸福というキーワードのもとに、幅広い研究フィールドの協働が進んでいる。


(論考より)


「未来への展望: 問われる幸福の指標の活用」内田由紀子 | CELウェブサイト
情報誌CEL Vol.110 目次/一括ダウンロード | CELウェブサイト

鎌田教授の講演報告が『兵庫・生と死を考える会 会報』第61号に掲載されました

 鎌田東二教授の講演報告が『兵庫・生と死を考える会 会報』第61号(2015年7月16日発行)に掲載されました。鎌田教授は、同会の2月例会において「死生観の今と昔 〜いのち・自然・ものがたり」という演題で、日本文化における死生観の変遷について、古事記などの物語などを紐解きながら古代から現代まで順を追って紹介し、現在のスピリチュアルケアやグリーフケアのあり方について考察しました。


IMG_9562.jpg「死生観の今と昔 〜いのち・自然・ものがたり」 鎌田東二


 さて、死生観の今と昔を振り返ってきて言えるのは、あらゆるいのちが自然の「中」にあることであり、そのいのちが活性化するためには死者儀礼やスピリチュアルケアや宗教的ケアを含め、こころやたましいに関わる物語と鎮魂のワザを持ち実践する必要があるということです。自然災害多発時代の今、いのちの源を自覚する物語や未来を生き抜いていくワザの開発と実践が求められています。


(報告より)


兵庫・生と死を考える会ウェブサイト

河合教授のコメントが読売新聞の戦後70年企画記事に掲載されました

 戦後70年をテーマに様々な分野を取材した読売新聞の企画記事「戦後70年 ここから変わった [2]恋愛小説」に、河合俊雄教授のコメントが写真付きで紹介されました。


 時代のうつりかわり、社会の変化と共に、文学作品が扱うテーマも変わり続けています。記事では、戦後以降にブームを呼んだ恋愛小説の変遷をたどり、人々が抱える心の問題が作品にも大きく映し出されていることに注目しています。河合教授は、社会的規範の薄れや生き方の多様化がむしろ人々に恋愛する難しさや価値の低下をもたらしていることを指摘しつつ、村上春樹作品の変化をとりあげて、現代人が「真に他者と出会い、愛せる」恋愛のあり方について考察しています。


IMG_9402.JPG「現代小説 必然的に複雑化」
京大教授・河合俊雄さん


 現代における恋愛は、多様化し、恋愛の持つ絶対的な価値が薄れたとも言えます。男女を巡る社会的規範や道徳、性に関する禁忌は薄れました。年齢差がある結婚や離婚、同性愛の話もよく耳にするようになった。
 でも、本当に恋愛関係は自由になり、可能性が広がったのか。制限が弱まって逆に、求めるものをつかみにくくなり、価値が少なくなった面もあるでしょう。(中略)
 村上春樹さんは初期、誰ともつながれない人間などをよく描いていた。だが近作では、『1Q84』をはじめ、現実の恋愛の成就を描こうとしているように見えます。恋愛は「完全な世界」を実現させるものではない。その事実を受け入れれば、人間は真に他者と出会い、愛せるのだとー。


(記事より)

鎌田教授のコラム「秘められた声を聞く 未来を切り開くために」が徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 32」(2015年8月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。この夏、安保法案の採決によって平和と憲法に関する大きな議論が巻き起こるなか、7月22日に映画監督の大重潤一郎監督が多くの関係者に見守られ逝去しました。鎌田教授が製作を務めた大重監督作品「久高オデッセイ 第三部 風章」が完成し、7月5日の完成記念上映会でスクリーン越しに観衆の前に登場した姿が記憶に新しいなかでの旅立ちでした。記事にて鎌田教授は、大重監督の生涯を丹念に振り返り、監督の「いのちのメッセージ」を聴き取る感覚こそが未来を切り開く力になる、と伝えています。


1508kamata_tokushima.png「秘められた声を聞く 未来を切り開くために 安保法案強行採決の愚と神の島のいのちのメッセージ」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 6月1日付で、「基地の島と神の島」と題する記事を寄稿したが、その後「神の島」と呼ばれる「久高島」を12年間ドキュメントした「久高オデッセイ」三部作が完成し、7月5日に東京両国の劇場シアターXで初公開された。300席で満席のところ、立ち見が出る盛況で新作「久高オデッセイ第三部 風章」は絶賛され、大反響を巻き起こした。
 だが、大重潤一郎監督はこの7月22日に死去した。(中略)
 死去する前に「聖者の行進をする」と言って何度も立ち上がり歩こうとした大重は海のかなたのニライカナイに行進していった。今、その大重の映像詩を、日本を代表する詩人吉増剛造が自作詩に変換しようとしている。このきな臭い状況にあってこの2人の詩人の「いのちのメッセージ」を聴き取る感覚こそが未来を切り開く力になると信じている。


(記事より)

阿部准教授のインタビュー「嘘の研究 脳科学で挑む」が産経新聞に掲載されました

 阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)のインタビュー「嘘の研究 脳科学で挑む」が、2015年7月6日付の産経新聞(京阪奈・京市内版)に掲載されました。「脳科学の観点から人間が嘘をつくメカニズムの解明に取り組む研究者」として、阿部准教授が現在の仕事を志すまでのいきさつや研究への思い、今後の豊富について語っています。


1507abe_sankei.png「嘘の研究 脳科学で挑む」京都大准教授 阿部修士さん(34)


 良くないと分かっていながら、誰しも無縁でいられないのが「嘘」。脳科学の観点から人間が嘘をつくメカニズムの解明に取り組む研究者がいると聞いて、京都大こころの未来研究センターを訪ねた。
 「嘘には、認知や記憶、感情など人間のあらゆる心の働きが含まれている。嘘について研究することで、人間の心のあり方を理解できるのではないか、と思っています」(中略)
 嘘のメカニズムに脳科学からアプローチする研究はまだ少ないが、それを解明することで教育や法律といった社会制度の改善にも役立つと考えている。
 これまでの経験から、研究においては学問分野をまたぐことに抵抗を感じる必要はないというのが持論。今後、環境や文化との関連、加齢による影響など、多角的に嘘の研究を進めていくという。


(記事より)

 

河合教授のインタビュー記事が朝日新聞日曜版「GLOBE」に掲載されました

 河合俊雄教授のインタビュー記事が、2015年7月5日付の朝日新聞日曜版「GLOBE」(毎月第一・第三日曜日発行)に掲載されました。


 この日の特集「大人って何だろう?」では、世界の若者や企業、教育の現場を取材し、現代における「大人になる条件」「大人の定義」を探るべくレポートしています。この特集の囲み記事において、河合教授は「主体」をめぐる問題についてインタビューに応えています。主体が形成されにくい現代社会では、今後、主体のない「ポストモダンの意識」が主流になる、すなわち「大人にならなくてもよい」とされる時代がくるのか、あるいは今後も「主体の確立」が人々にとって課題であり続け、「大人になる」ための試行錯誤が続くのか、心理臨床の現場から考察、コメントしています。


1507kawai_globe.png「大人にならなくてもよい時代」は来るのか?
河合俊雄(京都大学教授)


 近代社会が「大人になるための条件」として個人に求めてきたのが、他者や世界と向き合い、自律的に振る舞う主体を確立することでした。
 だが、主体の確立には常に困難が伴う。その葛藤が様々な症状となり、人々を苦しめてきました。
 かつての日本で多かったのが、「対人恐怖」という神経症です。対人恐怖の人は親密な人でも赤の他人でもなく、「顔見知り」程度の人に強い恐怖を抱く。それは日本人にとって、共同体から自立し、主体を確立することがいかに困難だったかを示しています。
 一方、現在の日本で大きな問題となっているのが発達障害です。
 発達障害は脳の機能障害とされていますが、それだけが原因ではない「発達障害的な心のありよう」も存在するのではないか。
 それは「主体がそもそも存在しない」という状態です。


(記事より)


「大人って何だろう?」 ー 朝日新聞GLOBE (特集記事の一部が読めます)

鎌田教授のコラム「春日大社と国宝本殿特別公開」が徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 31」(2015年7月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました6月30日まで特別公開された奈良・春日大社の国宝本殿について、鎌田教授は、本殿裏側の第一殿と第二殿の間にある磐座(いわくら)を拝した際の驚きを振り返り、古事記に記録される「国譲り」の場面を紹介しながら、その神秘性と霊性について考察しています。


1507kamata_tokushima.png「春日大社と国宝本殿特別公開 白磐座が放つ神秘力 霊性考え直すきっかけに」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 さて今回の特別公開で私は初めて「本殿磐座」を拝することができたのだが、腰が抜けるほど仰天した。そこに春日大社の信仰とは何であるか根本から覆されるような事実の開示があったからだ。「後殿」に祭られている五殿(栗柄神社・海本神社・杉本神社・佐軍神社・八雷神社)も不思議だが、それ以上に建御雷神=武甕槌命(鹿島神宮祭神)を祭る第一殿と経津主神(香取神宮祭神)を祭る第二殿との間にある真っ白の漆喰に塗り固められた磐座群が神秘不可思議であった。(中略)
 「白漆喰磐座」が第一殿と第二殿の「間」にあることは、建御雷神と経津主神の両武神の剣の霊力・威力を象徴し増幅させる。「古事記」には健御雷神は出雲の稲佐の浜で十握剣を抜いて波の上に逆さまに刺し立て、その剣の切先にあぐらをかいて座って大国主神に「国譲り」を迫った。春日大社第一殿には国譲り交渉で最高最大の力を発揮した大立役者の健御雷神が祭られているのだ。「古事記」の最大の見せ場はこの「国譲り」の場面であった。その主役の建御雷神が白漆喰=剣と波の上に乗ってこの国を絶対守護している姿をこの「白漆喰磐座」は象徴しているのではないか。「白漆喰磐座」の「白」はそのような国家守護の願いと霊力の象徴ではないかと感じ入ったのである。


(記事より)

鎌田教授が「久高オデッセイ」完成上映会に登壇し、映画の紹介記事が朝日新聞に掲載されました

1507kamata_kudaka.png 2015年7月5日、東京両国のシアターX(カイ)にて鎌田東二教授が製作を務めた大重潤一郎監督作品「久高オデッセイ第三部風(ふう)章」の完成上映会がNPO法人東京自由大学の主催でおこなわれました。


 当日は映画の三部作全編が上映され、鎌田教授が司会を務めるシンポジウムがおこなわれました。会場は300名を超える参加者で満席となりました。7月4日の朝日新聞には、映画の完成までを追ったレポートが掲載されました。(写真提供:沖縄映像文化研究所)


余命かけ銀幕に刻んだ「神の島」3部作完成


 「神の島」と言われる沖縄県の久高島で1970年代に途絶えた秘祭「イザイホー」。その復活を目指す島を12年にわたり撮り続けた映画が完成し、都内でも上映される。がんで余命宣告された大重潤一郎監督(69)=那覇市=は言う。「人間はいかに生きるべきか。その手がかりが、この島にある」

 沖縄本島の東に浮かぶ久高島。周囲約8キロ、島民約200人。12年に1度、島の女性が祭祀(さいし)集団に新たに加わるための秘祭が行われてきた。しかし、過疎化による後継者不足で78年を最後に途絶えていた。


(記事より)


 記事は朝日新聞デジタルのウェブサイト(下記リンク先)でご覧いただけます。


余命かけ銀幕に刻んだ「神の島」3部作完成 ー 朝日新聞デジタル


内田准教授による東日本大震災後の報道ならびにジャーナリストの感情経験を検証した論文が『PLOS ONE』に掲載されました

1506plos one.png 内田由紀子准教授らがセンターの「東日本大震災プロジェクト」にて実施した東日本大震災の報道内容分析ならびにメディアの記者の方々への質問紙調査を実施した研究が、オンラインジャーナル『PLOS ONE』に掲載されました。


書誌情報
Uchida, Y., Kanagawa, C., Takenishi, A., Harada, A., Okawa, K., & Yabuno, H. (2015).
How did the media report on the Great East Japan Earthquake? Objectivity and emotionality seeking in Japanese media coverage. PLoS ONE, e0125966.


 メディアが震災についての客観的な報道をする上での難しさに直面していたことを検証しています。研究1では震災後半年間のテレビや新聞の内容分析をおこない、メディアは客観的な事実情報を伝える傾向が高かった一方で、キャスターや記者のコメントは、感情的なところに訴えるものも見られたことを分析しています。また、研究2では115名の記者への調査を実施し、震災時の報道において記者たちは客観性を追求しようとされていたものの、実際に報道された記事に対しての客観性に対する自己評価は必ずしも高くなく、特に原発事故の報道の客観性担保が難しいと感じられていたという結果が報告されています。また、記者が取材活動を通じて感じた罪悪感や悲しみなどのネガティブな感情が、報道内容の客観性についての自己評価を下げる要因となっていたことなどが検証されています。


論文は下記リンクよりダウンロードできます
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0125966

鎌田教授のコラム「基地の島と神の島~『久高オデッセイ』三部作完成」が徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 30」(2015年6月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 鎌田教授が製作を担当する大重潤一郎監督作品「久高オデッセイ第三部風(ふう)章」がクランクアップし、7月5日に完成上映会が東京両国のシアターX(カイ)にておこなわれます。鎌田教授は、「神の島」と呼ばれる久高島の人々の暮らしや自然、神との共存を記録した映画の三部作制作の長い道のりを振り返り、基地問題で揺れる沖縄で本作品の完結編が完成した意義と意味について読者に問いかけています。


1506kamata_tokushima.png「基地の島と神の島~『久高オデッセイ』三部作完成」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 戦争後の政治と冷戦構造の下で「基地の島」となった沖縄本島には、古来東西に二つの「神の島」と呼ばれる島があった。東の南城市にある久高島と西の今帰仁村にある古宇利島である。この二つの「神の島」は、沖縄本島を対角線のように結ぶ東南と西北の位置にあって、冬至の朝日が昇り、没していく「太陽の穴(テガノアナ)」であり、沖縄の神観と自然信仰が集約された島だった。
 その東の「神の島」の記録映画をこの12年撮り続けてきたのが大重潤一郎監督である。(中略)
 映像を通して風や空気や気配を感じてほしいという「気配の魔術師」大重潤一郎の真骨頂がにじみ出ている入魂の作品「久高オデッセイ第三部」と三部作全編は、7月5日に東京両国のシアターX(カイ)で一挙上映される。
 この「久高オデッセイ」と名付けられた稀有なる命の賛歌を歌う映像叙事詩をぜひ多くの方々に見ていただきたい。その映画の第三部の語りを女優の鶴田真由氏、音楽を新実徳英氏が担当している。その声と歌を体で心で魂で聴いていただきたい。そして「基地の島」に「神の島」や「竜宮の宮」があることの意味と未来をよくよく考えてほしいのである。


(記事より)

鎌田教授の編著『スピリチュアリティと平和』の書評が徳島新聞に掲載されました

 鎌田東二教授が企画・編集をおこない、小林正弥千葉大学人文社会科学研究科教授、千葉眞国際基督教大学教授、内田樹神戸女学院大学名誉教授らと執筆した『講座スピリチュアル学 第3巻 スピリチュアリティと平和』の書評が、2015年5月27日付の徳島新聞朝刊・文化面「出版 話題」コーナーに掲載されました。記事は、鎌田教授のプロフィールと共に、「『公共』『友愛』『調和』など浮かび上がる数々のキーワード。単なる思考にとどまらず、実践や魂の在り方にまで論究していく」と本書を評しています。


150526kamata_tokushima.png平和に向けた可能性提起 『スピリチュアリティと平和』鎌田東二 企画・編


 編者は平和を「単に戦争がない状態ではない。生存と自由が脅かされることなく、安心してその人らしい生き方が安全な環境の中で達成される状態」とする。そして「この地上に実現したためしがあったか」と問い掛ける。(中略)
 現代の世相に激しく警鐘を鳴らすと同時に、特効薬ではないにせよ、具体的な方策を見いだそうとする主張には、各氏の熱意がうかがえる。一方で平和の実現へ、私たち自身の思考と実践が不可欠であることを突きつけられているようだ。(撫養佳孝)


『講座スピリチュアル学 第3巻 スピリチュアリティと平和』について詳しくは、下記の記事をご覧ください。


鎌田教授が企画・編集した『講座スピリチュアル学 第3巻 スピリチュアリティと平和』が出版されました | 15.04.01

鎌田教授の論考が『月刊京都』6月号に掲載されました

 鎌田東二教授の論考が『月刊京都』6月号に掲載されました。「霊性の京都学 ー京都の生態智を求めてー」というタイトルで長く続いている連載の69回目は、「スサノヲの到来とその時代」というテーマです。鎌田教授は北海道立函館美術館で開催されている「スサノヲの到来〜いのち・いかり・いのり」展が2014年美連協大賞をしたことを報告し、同展の魅力を古事記を紐解きながら解説。4月に出雲路を訪れて写真家・須田郡司氏や作家の田口ランディ氏らとおこなった「まないなイベントvol.5」において「『命主』と出雲と癒しのワザ」というテーマで講演をおこない、出雲神話について深く討論した当日の盛り上がりを紹介しました。これから、スサノヲのパワーが現代日本における日本的霊性の覚醒を促す起爆剤になるだろう、と強調しています。


1505kamata_gekkankyoto.png わたしはその出雲的な神々の力とはたらきをスサノヲと大国主に見るが、今回の函館美術館での「スサノヲの時代」の講演では「スサノヲの時代」を次のように位置づけた。
(1)「いのち」の根源に立ち返っていく時代=<霊性の時代>
(2)スサノヲは大海原という地球のバイタリズムを象徴し体現する神であるから、スサノヲの時代とは地球的・惑星的意識が共有される時代=<惑星意識・銀河系意識・宇宙意識の時代>
(3)スサノヲが歌を八俣大蛇を退治し、歌を歌い、天詔琴を弾じたように、スサノヲの時代とは魔物・モンスターに立ち向かい、人々の身心変容をもたらすワザを開発・活用する時代=<感性・芸術の時代>
 もちろん今現在そのような時代になっているかどうか、また今後そうなっていくかどうか不透明である。が、「スサノヲ力」の「爆発」によってそのような「スサノヲの時代」の「到来」を招来しなければならないと覚悟し、だからこそこの「スサノヲの到来展」を開催する意味と役割があるのだ。(中略)
 今回展示されている縄文土偶の中に、北海道の函館付近で発掘された「中空土偶」と呼ばれている土偶がある。本展では、南茅部町尾札部(現札幌市尾札部町)で発掘されたこの「中空土偶」に込められた死と再生の祈りが、スサノヲの死と再生の神話と物語につながると数珠つなぎにされている。そのアクロバチックな数珠つなぎのさまは祈りとも呪術ともアートとも言えるような凄まじいキュレーションで革命的だ。この革命が日本を変える、日本的霊性の覚醒を促す起爆剤になると確信している。


(「鎌田東二の霊性の京都学69 『スサノヲの到来とその時代』」より)

朝日新聞のオピニオン記事「リスク社会を生きる<上>」に内田准教授のコメントが掲載されました

 現代社会における「リスク」とは何か、またリスクとどう向き合っていくべきか。朝日新聞「未来への発想委員会」の委員とゲストが「リスク社会」をテーマに討論した記事が、5月8日付朝日新聞朝刊およびウェブ版に掲載されました。


 内田由紀子准教授は、ゲストとして討論に参加。文化・社会心理学者の視点から、日本人のメンタリティーと西洋型リスク社会との関係について、自身の研究に基づく知見を紹介しながら考察・提言しました。


IMG_8632.jpg「主体性引き出す場、醸成を」
京都大准教授 内田由紀子(うちだゆきこ)さん


 筆者は文化心理学という研究分野で、主に日米での心のあり方の違いを検討してきたが、「個人の主体性」に基づくリスク管理は、現状の日本的メンタリティーにはうまく適合していないように感じられる。
 欧米では、個人が意思決定しなければならないという意識が強い。一方で日本では、個人が確固たる「内なる主体」に従うことよりも、「他者との調和」や「状況を読むこと」を重視してフレキシブルに意思決定を行うことが求められる。主体性は絶対的なものではなく、場面ごとに異なる形で立ち現れる。
 こうした特性のルーツは、共同作業が必要な日本の農業にあるのかもしれない。(中略)
 責任を引き受けられる主体を育てるために、日本においては、地域や職場のような「場」「共同体」の力をもう一度醸成する必要があるのではなかろうか。そこに「集合的な主体」ないし「個人の主体を引き出し、受け入れる枠組み」の役割を持たせることが必要ではないか。それには人と人をつなぎ、場の力を醸成するプロフェッショナルの育成に力を注ぐことも重要だろう。


(記事より)


 記事は、朝日新聞デジタルでもお読みいただけます。下記リンク先をご覧ください(※無料会員登録が必要です)。


(未来への発想委員会)リスク社会を生きる:上 | 朝日新聞デジタル

鎌田教授が展覧会「スサノヲの到来」で講演し、同展が「美連協大賞」を受賞しました

1504kamata_susanowo.png 2015年4月11日より北海道函館市の道立函館美術館にて展覧会「スサノヲの到来-いのち、いかり、いのり」(主催:足利市立美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会)が始まりました。鎌田東二教授は、昨年11月の足利市立美術館での講演に引き続き、本展覧会においても「スサノヲの時代」というタイトルにて開催初日の4月11日に講演をおこないました。また、本展覧会の展図録に解説記事「スサノヲという爆発ー放浪する翁童神のメッセージ」を寄稿しています。


 「スサノヲの到来-いのち、いかり、いのり」展は、美術館連絡協議会が優れた企画を顕彰する「美連協大賞」において、2014年の大賞を受賞すると共に、展図録に寄稿された江尻潔氏による論文「スサノヲの到来」が、同賞の「美連協カタログ論文賞」に選ばれました。


 函館美術館での展覧会は、5月24日までです。その後、6月には山形県の山寺芭蕉記念館で、8月には渋谷区立松濤美術館で開催されます。詳しくは下記のリンク先をご覧ください。


「神話のスサノオ題材 多彩な芸術 道立函館美術館で特別展」


 日本の神話に登場するスサノオに関する芸術作品を集めた特別展「スサノヲの到来―いのち、いかり、いのり―」が11日、函館市五稜郭町の道立函館美術館で開幕した。

 同美術館など主催で、神話の中で八岐大蛇(やまたのおろち)を退治したとされるスサノオの姿を描いた絵画や、疫病を遠ざける神としてかたどられた彫刻など約220点を展示。民俗学者の研究史料、現代美術家の作品も紹介し、スサノオの持つ多面性を表現している。この日は「スサノヲの時代」と題した講演会も開かれ、京大こころの未来研究センターの鎌田東二教授(民俗学)が講演した。


北海道新聞 2014年4月14日付記事より)


展覧会の案内ページ→ 特別展 Special Exhibitions | 北海道立函館美術館
2015年までの開催地→ 展覧会紹介 | 美術館連絡協議会

河合教授の論考が『そだちの科学』24号に掲載されました

1504kawai_sodachinokagaku.png 河合俊雄教授の論考が、『そだちの科学』24号(日本評論社/2015年4月号)に掲載されました。精神発達、こころの形成と成長をテーマに扱った専門誌の特集「発達障害と発達論的理解」に、河合教授は「ユング派からみた発達障害」というタイトルで寄稿。これまでのこころの未来研究センターでの発達障害との取り組みで、主体という視点が大切なこと、発達障害の心理療法においてどのように主体が形成されてくるか、さらには文化的な側面を、ユング心理学に関連づけつつ論じたものです。


 論考では、ユング心理学の理論を紹介しつつ、プレイセラピーや箱庭などのイメージを用いた心理療法のなかでの主体の立ち現れについて、具体的な事例を挙げて解説。河合隼雄(京大名誉教授)による日本の昔話研究についても言及し、現代の発達障害研究のヒントとなり日本文化の特徴にも関わるものだと考察しています。さらに現代の発達障害の増加は、日本人の特徴であった主体の弱さが現代の社会構造のあいまいさによって浮き彫りになったのではないか、と社会の変化に対してまなざしを向けています。


ユング派からみた発達障害
京都大学こころの未来研究センター 河合俊雄


<発達障害への心理療法>


 発達障害、厳密に言うと広義での自閉症スペクトラム障害については、近年に認知科学や脳科学による研究が進み、生物学的な背景が明らかにされつつある。したがって発達障害は生育史に起因する問題ではなくて、脳中枢系の障害とされるに伴って、親子関係などに焦点を当てた心理療法よりも教育と訓練による支援が中心的な対処法になっている。ウィングは自閉症スペクトラムの三つの特徴として、相互的社会性の障害、コミュニケーションの障害と合わせて、想像力の障害を挙げている。ユング派の心理療法においては、箱庭や描画などのイメージが重視されるが、想像力の障害を特徴とする自閉症スペクトラムにおいて、そのようなアプローチは効果がないように思われるかもしれない。
 しかしプレイセラピーや箱庭などのイメージを用いた心理療法による成功例も存在する。筆者たちは京都大学こころの未来研究センターにおけるプロジェクトにおいて発達障害の心理療法に関わりつつそれを分析する中で、発達障害の問題は「主体の欠如」や「主体の弱さ」であって、心理療法を通じて主体を確立していくことが可能なのを明らかにしてきた。ここではそれをユング派の理論にも関係づけつつ、解説したい。


(論考より)


そだちの科学 24号(2015年4月号) | 日本評論社
『発達障害への心理療法的アプローチ』河合俊雄編著/田中康裕、畑中千紘、竹中菜苗著 | 創元社
『日本人の心を解く:夢・神話・物語の深層へ』河合隼雄著 河合俊雄訳 | 岩波書店

阿部准教授の研究が産経新聞記事「もう一人のあなた 嘘の構図 4」で紹介されました

 阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)の研究内容が、2015年4月5日付の産経新聞の連載記事「もう一人のあなた 嘘の構図 4」で紹介されました。


 「嘘をつく」という人間ならではといわれる行為に焦点を当てた連載記事第4回は、チンパンジーの研究を通して人の心の進化を探究する京大霊長類研究所の松沢哲郎教授と、認知神経科学が専門でfMRI(機能的磁気共鳴画像装置)を用いた人の正直・不正直さの研究を進める阿部准教授それぞれの研究知見をコメントと共に紹介。阿部准教授が昨年発表した「脳の側坐核の働きが活発な人ほど嘘をつく傾向が大きい」という研究成果が詳しく取り上げられました。


150405abe_sankei.pngチンパンジーは仲間をだましニヤッと笑った...
他者の心が分かる知性と表裏一体の「進化の副産物」


<嘘の個人差と脳との関係は...>


 ...人間の嘘にはどのようなメカニズムがあるのか。脳科学の観点から、そうした課題に迫る研究がある。京都大准教授の阿部修士(34)=認知神経科学=らは昨年8月、脳の特定領域の働きが活発な人ほど嘘をつく傾向が大きいとの研究成果を発表した。
 阿部らは、約30人の参加者がコインを投げ、裏が出るか表が出るかを予想。当たりなら賞金がもらえるゲームを実施した。ただし、正解したかどうかは自己申告だ。
 このとき、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で脳の働きを調べたところ、嘘をつくことによって賞金を得た人ほど、利益が得られることを期待する際に働く「側坐核(そくざかく)」という領域が活発なことが判明した。
 嘘と脳の関係を調べる研究はまだ始まったばかりだが、阿部は「嘘をつく度合いの個人差と、脳の特定領域との相関関係が明らかになったのは、世界でも初めてではないか」と語る。


(記事より)


 記事は産経新聞のウェブサイトに全文が掲載されています。下記リンクにアクセスしてお読みください。


【もう一人のあなた 嘘の構図(4)】 | 産経ニュース・産経WEST


内田准教授のたちばな賞受賞記事が『Kyoto University Research Activities』に掲載されました

 京都大学学術研究支援室の発行する外国向け研究紹介冊子『Kyoto University Research Activities Vol.4 No.4』に、第7回京都大学たちばな賞の記事が掲載され、研究者部門を受賞した内田由紀子准教授の研究紹介や授賞式の模様がカラー写真と共に掲載されました。


IMG_8456.jpg


 Research Activitiesの誌面データは、京都大学の公式ウェブサイトにて近日公開される予定です(現在準備中)。下記ページよりダウンロードしてお読みください。


外国向け研究紹介冊子 Kyoto University Research Activities | 京都大学


□関連記事
第7回京都大学たちばな賞 (優秀女性研究者賞)の受賞者決定および表彰式について
内田准教授がたちばな賞授賞式で研究発表をおこないました

内田准教授のインタビューが『一水』42号(大阪弁護士会会派・一水会発行)に掲載されました

 内田由紀子准教授のインタビュー「それぞれの社会における『幸せのカタチ』〜若手心理学者が「こころ」に迫る」が、大阪弁護士会の会派・一水会の会誌『一水』42号(2015年3月発行)に掲載されました。


 「幸せってなんだろう?」という特集において、内田准教授は社会心理学・文化心理学の研究者の道を選んだ経緯、「こころ」を学際的に研究するこころの未来研究センターの取り組み、幸福感や引きこもりといった研究を通して考える幸せな社会についてなど、10ページに渡るロングインタビューで数多くの質問に答えています。


1504uchida_issui.pngそれぞれの社会における「幸せのカタチ」
〜若手文化心理学者が「こころ」に迫る〜
内田由紀子氏


<幸せを「測る」〜日本は幸福な国か>


ー内田先生は、2010年12月から2013年3月まで、内閣府の「幸福度に関する研究会」の委員を務めておられましたね。この研究会の活動について教えていただけますか。


内田 近年、国際的にも幸福度の指標づくりに国家が積極的に関与していく動きがあって、例えばドイツでは大きなシンクタンクが継続した調査を行っていますし、フランスではノーベル経済学賞をとった学者などを招いて本格的に幸福度についての研究を始めました。OECDでも豊かさ指標を作るという流れになっています。
 そのような中、日本では、これまで内閣府が行っている「国民生活選好度調査」の中で、どの程度幸福か、どういった要因が幸福度の増減に影響しているのか、といった質問項目があるくらいで、国家レベルでの多角的な幸福度の指標は未だ策定されていない状態でした。
 それで、先ほど申し上げた国際的な流れの中で、日本でも、2010年に研究会が立ち上がりました。その後2011年に東日本大震災が起こったり、ブータンの国王ご夫妻が新婚旅行で被災地を訪問されて国会でスピーチをされたのをきっかけにブータンブームが起こったこともあり、幸福度の研究会に対しては国内外から多くの注目が集まって、マスメディアにも頻繁に取り上げられました。
 ただ残念ながら、この研究会はその後政権交代の流れもあって2013年に終了となり、作成された指標を使っての経年での大規模調査は実施されないままになっています。(中略)


<幸せを感じやすい社会にするために>


ー日本社会を、幸せを感じやすい社会にするためには、どのようなことが必要だと思われますか。


内田 おそらく、高度経済成長期など、経済的にどんどん発展していくことが求められた時代というのは、目標を達成し獲得していくこと、競争に勝っていくことが幸福であるという前提に基づいて、社会のシステムが構築されていったと思います。
 では、今の時代に何を幸福と感じるか。冒頭でお話しした地域の話とも関連すると思うのですが、人間には、やはり何かを成し得て競争に打ち勝って得られる幸福と、人から喜ばれたり人とつながったりして感じる幸福の、両論があると思うんですよね。あるいは、自然に触れることで感じる幸福もあるでしょう。そういった色々な幸福の感じ方のポテンシャルがある中で、これまで「関係性から得られる幸福感」のようなものを、ゆっくり感じられる社会のシステムになっていなかったとすれば、それをもう一度見直せるようなシステムにできないのかということを考えています。
 地方回帰の話も同じで、人口が都市に一極集中してきたことで、人とのつながりや安心感みたいなものが失われていったときに、地方に移住する方がおられるじゃないですか。そういう人たちに移住の理由を聞くと、自然とのつながりや地域とのつながりに関する幸福を求めていきたいからという答えをされる。その受け皿が都市にはないけど、地方にならあるということなのかなと思うんですよね。東京に一極集中になっている現状の中で、地方が何をするのかという問題がありますが、東京では感じられない幸福を、地方では見出すことのできる人が多いのであれば、そこに何か答えがあるような気がします。


(記事より)


大阪弁護士会「一水会」ウェブサイト

京都大学のスペシャルサイト「探検!京都大学」に内田准教授が登場しています

 2015年4月、京都大学の公式ホームページ内にスペシャルサイト 「探検!京都大学」が開設されました。中・高生や一般向けに京都大学の魅力を紹介するコンテンツで構成されており、そのなかで京大所属の研究者にスポットをあてたコーナー「京大先生図鑑」において、内田由紀子准教授が紹介されました。

1504kyodaitanken.png

 サイトは、京都大学が大事にしてきた「フィールドワーク」をイメージしたページづくりになっており、「惑星、京都大学」を探検しながら、大学の全体像、ユニークな研究内容や研究者を、カラフルなデザインや写真やわかりやすい内容で、大学の歴史や学風、実際のキャンパスライフを楽しく伝えています。「京大先生図鑑」では5名の研究者が豊富な写真やイラストで紹介されています。

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 内田准教授は、社会・文化心理学者になったいきさつや、研究内容、京大での活動の様子、趣味や持ち物、好きな食べ物など、様々な質問に答えています。「もし京大の先生になっていなかったら」「自分を漢字一文字に例えると」など、ユニークなトピックもあって、なかなか見られない研究者の一面をのぞくことができます。ぜひご覧ください。


スペシャルサイト「探検!京都大学」 | 京都大学ホームページ
「京大先生図鑑 02 内田由紀子 UCHIDA YUKIKO」

鎌田教授のコラム「京都現代藝苑2015と北野天満宮『悲とアニマ展』」が徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 28」(2015年4月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 2015年3月7日から14日まで京都市上京区の北野天満宮において、鎌田東二教授が研究代表者を務める「モノ学・感覚価値研究会」が主催する「悲とアニマ ー モノ学・感覚価値研究会アート分科会展」が開催されました。記事にて鎌田教授は、現代アートの総合イベント「現代京都藝苑2015」のひとつに位置付けられた本展を企画した経緯を紹介し、北野天満宮を舞台に選んだ理由、鎮魂供養の思いと未来への生の活力を形にし、多くの来場者と話題を集めたイベントの全容を鮮やかに振り返りました。


1504kamata_tokushima.png「京都現代藝苑2015と北野天満宮『悲とアニマ展』 伝統の」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 「悲とアニマ展」は、直接的には東日本大震災を機にもたらされた「悲」(グリーフ)を生死を超えた永遠のいのちに接続することを悲願として開催された。「悲」を生きる力や霊性=アニマに転換する信仰こそが北野天満宮の本質だと捉え、この展覧会をぜひとも北野天満宮で開催したいと考えたのである。
 昨今、東日本大震災、近畿大水害、各地の台風被害、御嶽山噴火、紛争やテロリズムや暴力など、国内外で天災も人災も多発している。このような現状の中で、芸術・芸能を通した鎮魂供養の試みとして、一宗一派も宗教の違いも超える「悲とアニマ」という広大無辺の大非・大慈への普遍的な祈りと鎮魂を実現し、死者への供養と生の活力としたいと考えたのだ。


(記事より)

内田准教授の講演録が『技術と普及』3月号に掲載されました

 内田由紀子准教授の講演録が、一般社団法人全国農業改良普及支援協会の発行する機関誌『技術と普及』2015年3月号に掲載されました。2014年11月25日に開催された第2回農業普及活動高度化全国研究大会(於:日本消防会館/東京都港区)において、内田准教授は「農業者・農業普及指導員調査から見る人の心をつなぐ力へのアプローチ」という演題にて記念講演をおこないました。講演では、普及指導員を対象とした大規模な調査研究から得た知見を紹介し、普及指導員が農業者同士のつながりやグループの活性化、問題解決にいかに影響し、農業地域の維持、発展、再生を支える鍵を握っているか、社会心理学者の視点から考察、提言しました。


IMG_8227.JPG■特集『第2回農業普及活動高度化全国研究大会(後編)』
記念講演「農業者・農業普及指導員調査から見る人の心をつなぐ力へのアプローチ」京都大学こころの未来研究センター 准教授 内田由紀子


 私は社会心理学・文化心理学と呼ばれる領域で、心理学のアプローチからさまざまな研究を行っています。特に、私たちの心と日本の社会・文化の関係について研究を行い、心の働きが社会の成り立ちとどのように関連しているか、調査や実験をし、解釈して意味を与える。それを社会へフィードバックすることを1つの研究の目標としています。そうした中で2008年頃から「普及はどういうものか」を研究してきました。
 今日の講演では、まずつながりの重要性を、次に調査結果からみたつながりの効果を、最後に社会心理学的知見から事例の検証をします。


(記事より)


『技術と普及』2015年3月号 | 一般社団法人全国農業改良普及支援協会ウェブサイト
内田准教授が平成26年度日本農業普及学会奨励賞を受賞しました

鎌田教授が登壇した品川セミナー「神道と仏教から見た心のワザ学と日本文化」記事が読売新聞に掲載されました

 2015年3月6日、京都大学東京オフィスで開催された「第58回品川セミナー」に鎌田東二教授が登壇しました。その模様が3月23日付の読売新聞朝刊科学面に写真付きで掲載されました。鎌田教授は、「神道と仏教から見た心のワザ学と日本文化」という演題にて講演。長年、取り組んでいる「身心変容技法の比較宗教学-心と体とモノをつなぐワザの総合的研究」を主軸に、『古事記』『日本書紀』『古今和歌集』『秘蔵宝鑰』(空海著)『秘密曼荼羅十住心論』などを紐解きながら、心のワザ学が日本文化における芸能、神事、仏道修行などといかに結びつき、日本人の精神性にどのように影響を及ぼしてきたかについて考察、解説しました。


1503kamata_yomiuri.png「京都大学品川セミナー 神道と仏教から見た心のワザ学と日本文化 こころの未来研究センター 鎌田東二教授」


 身心を切り替える「ワザ」に焦点をあてたい。平安時代の古今和歌集こそが、日本文化の原型であると考える。日本人は四季の自然風景や心の状態を和歌に詠み、悲しみや痛みなどの負の感情を切り替えてきた。つまり和歌は「心を直す」力を持っており、日本の伝統的、根本的な「心のワザ学」と言える。(中略)
 心のワザ学は仏道修行にも結びついた。比叡山や吉野熊野などに入り、滝行や瞑想などを行う。また刀作りや染色、陶芸などの日本独自の工芸にも、祈りと祭りを伴う心のワザ学がある。
 私は、現代は多極化し、戦国時代のような乱世の時代に突入したという「現代大中世論」を提唱している。阪神大震災や東日本大震災、集中豪雨などの自然災害が続く中、今一度、心の静けさをもたらす新たな日本文化が生まれてくるはずだ。


(記事より)


 記事は後日、読売オンラインでも公開される予定です。

河合教授による書籍紹介記事が『医道の日本』に掲載されました

1503kawai_ido.png 鍼灸・手技療法の専門誌『医道の日本』2014年12月号に、河合俊雄教授による書籍紹介記事が掲載されました。巻頭特集「治療家に勧めたい本はコレだ!」という企画で河合教授は、一般向けと心理療法家向けのちょうど中間にあたるおすすめの一冊として、『河合隼雄のカウンセリング教室』(河合隼雄著、創元社、2009年)を紹介、解説しています。


 記事と書籍について、詳しくは河合隼雄財団のウェブサイトで紹介されています。下記リンク先にアクセスしてお読みください。


「医道の日本」で『河合隼雄のカウンセリング教室』が紹介されています | 書籍・出版情報(河合隼雄財団ウェブサイト)

河合教授出演のラジオ番組「Kyoto University Academic Talk」の音声と映像が公開されました

1503kawai_fm.png 河合俊雄教授が出演したラジオ番組「Kyoto University Academic Talk」(α-STATION エフエム京都/2015年3月4日放送)の収録音声と映像が公開されました。


 毎週、京大の研究者がゲストとなって「学び」をキーワードにトークするコーナーで、河合教授は「心理療法から見る古来・現代・未来のこころ」をテーマにお話しました。河合教授は、人のこころと向き合う研究者として日々どのような取り組みをおこなっているか、東日本大震災の被災地における活動でみつめた人々のこころの回復過程などについて、様々な具体例と共にソフトな語り口で紹介しました。


 音声と動画は、下記リンクにある京都大学同窓会(京大アラムナイ)のFacebookページにて視聴できます。


(前半)『Kyoto University Academic Talk』(河合教授出演) | 京都大学同窓会(京大アラムナイ)Facebook
(後半)『Kyoto University Academic Talk』(河合教授出演) | 京都大学同窓会(京大アラムナイ)Facebook

鎌田教授のコラム「二宮尊徳に学ぶ」が徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 27」(2015年3月2日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 小学校の銅像で有名な二宮金次郎(尊徳)に関心を抱いた鎌田教授は、幕末の厳しい時代に苦労しながらも勉学に勤しみ小田原藩と幕府領復興に大きな功績を果たした尊徳の生涯をなぞりながら、彼の思想と実践を紹介し、未来へのヒントとメッセージを読み解いています。


1503kamata_tokushima.png「二宮尊徳に学ぶ 災害乗り越える知恵 自然と人の力を合わせ」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 尊徳は、「天道」と「人道」との区別を明確にした。人は自然のままがいいように考えているが、それは考え違いだ。「天道」のままにしておくと「荒地」になる。だから「人道」の手が入らなければならない。人造・人為が重要であると彼は強調する。尊徳は経済というリアルと倫理や生き方という理念を結びつけた。そして、「天理・天道」に任せるのではなく、「人道」を尽くし全うする。尊徳が力説したのは、人間社会に必要な「人道」の在り方である。
 「二宮翁夜話」(福住正兄聞書)で、尊徳は、「政を立、教を立、刑法を定め、礼法を制し、やかましくうるさく、世話をやきて、漸く人道は立なり、然を天理自然の道と思ふは、大なる誤也、能思ふべし」と説いている。自然放置はだめだ。やかましくうるさく、世話をやくことでしか「人道」が立ちゆかない。それが「人の道」というものであると。
 一農夫であった尊徳は、この世話の焼ける「人道」を「水車」に例えた。「水車」は、半分は水の流れに従うが、半分は水の流れに逆らう。つまり、半分自然で半分人口の存在、それが人間であり、「人道」である。単純な性善説でも性悪説でもない、「性善悪以前説」を説いた尊徳の教えと実践は、この災害多発時代を生き抜く知恵とアイデアと政策と活力に満ちている。大いに参考にすべきである。


(記事より)

阿部准教授の総説「不正直さの個人差を生み出す脳のメカニズム」が『Clinical Neuroscience』Vol.33 02月号に掲載されました

 神経領域を扱った医学誌『Clinical Neuroscience Vol.33 02月号』(発行:中外医学社/2015年2月)に、阿部修士准教授の総説「不正直さの個人差を生み出す脳のメカニズム」が掲載されました。


 「社会脳―Social Brain」がテーマとなった同誌2月号において阿部准教授は、昨年『Journal of Neuroscience』に掲載された自身の論文をはじめとするこれまでの研究成果の紹介やfMRI装置を用いた実験手法の解説をまじえながら、人間の正直さ・不正直さを生み出す脳のメカニズムに関する研究の背景と今後の展望を述べています。


1503abe_clinical_neuroscience.png-------------------------------------------------------
阿部修士 (2015)
不正直さの個人差を生み出す脳のメカニズム
Clinical Neuroscience 33 (2): 159-161 (中外医学社 東京)
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これまでの脳機能画像研究と限界点
 近年のヒトの脳の研究においては,陽電子断層撮像法 (positron emission tomography:PET)や機能的磁気共鳴 画像法(functional magnetic resonance imaging:fMRI)といった脳機能画像法の進歩に伴い,心理学的な課題を行なっている最中の脳活動を画像化することが可能である. 21世紀に入ってからは,不正直さ,すなわち嘘の神経基盤の研究が飛躍的に増加しており,多くの研究成果が報告されている.(中略)
 しかし,これまでの嘘の神経基盤に関する研究の多くにおいては,嘘を科学的に研究する上では見過ごせない重要な問題点が残されている.それは実験に参加している被験 者が,実験者から嘘をつくよう明示的に指示されていた点にある.嘘をつくことが実験という特殊な環境で正当化さ れていれば,被験者は嘘をつくことによる緊張感もなければ,罪悪感も生じない.本来,嘘は相手にばれないように つこうとするものであり,嘘をつくことが相手にあらかじめ把握され,かつ許容されている状況では現実世界における嘘とはいえない.したがって,「真実とは異なる回答をする」という点は比較的容易に実験的検討が可能であるが, 自発的な嘘の神経基盤にアプローチするのはそれほど簡単ではない.
 こうした背景のもと,近年の研究では Greeneらが開発したユニークな実験パラダイムに基づいた研究が報告されている.筆者らは最近,彼らのパラダイムを応用した研究によって,不正直さの個人差を規定する脳のメカニズムの一端を明らかにしたので,本稿にて紹介する.


(総説より)


□関連ページ
Clinical Neuroscience Vol.33 (15年) 02月号 社会脳 ―Social Brain(中外医学社ウェブサイト)
阿部准教授の論文が『Journal of Neuroscience』に掲載されました(2014.8.6)

鎌田教授のインタビュー「御嶽山 心の痛みに向き合うには」が朝日新聞に掲載されました

 鎌田東二教授のインタビューが朝日新聞(2014年11月10日)に掲載されました。御嶽山で起こった噴火を通し、自然の脅威と共に生きてきた日本人の心をみつめた記事において、鎌田教授は宗教学者、民俗学者の視点から解説。古くから自然への畏怖と畏敬の念を持って暮らしを営んできた日本人の精神的な歴史を振り返り、現代社会に生きる我々も人間中心、文明中心ではなく自然への感謝や謹みの念を持ちながら災害や身近な人の死と向き合うことの大切さを語っています。


IMG_8148.jpg「御嶽山 心の痛みに向き合うには 京大こころの未来研究センター・鎌田東二教授に聞く」


 日本人は自然の大いなる力を「千早振る神」として受け入れてきた。万葉集の枕詞ですね。ものすごいエネルギーで猛烈に早く振動する力。噴火や台風、地震は千早振る神の振る舞いと考えてきた。
 一方、神には穏やかな「ムスヒ」という面もある。生成する力のことで、古事記や日本書紀にタカミムスビやカミムスビの神が出てくる。豊かな恵みや多様性をもたらすムスヒという生命力が日本人の神の考え方の根本にある。(中略)
 明治維新による西洋化や戦後のアメリカナイズで日本人の伝統的な考え方が薄らいだ。百名山ブームのように近代登山はスポーツや自然体験、エンジョイやヘルシーという意識に変わった。山は恐れ、かしこみ、慎みを持って接する場という捉え方が弱まっている。その文化や歴史を踏まえて現代の自由の中で覚悟して山に登る必要がある。
 近年、災害は深刻になり、起きるスパンが早まっている。古代から「草木言問う」といって、山も海も大地もメッセージを発している。どう受け止め、どう生きるか。人間は自然から生み出されているが、人間が自然を生み出せるわけではない。人間中心、文明中心ではなく、自然に対する畏怖や畏敬、感謝、謹みの心を忘れてはいけない。


(記事より)

ワザとこころシンポジウムのレポートが『観世 3月号』に掲載されました

1503kanze.png 京都府とこころの未来研究センターの共同企画で開催したシンポジウム「ワザとこころ 能の伝承 ~稽古と修行と教育」(2015年1月12日開催/於:京都観世会館)のレポートが、月刊誌『観世 3月号』(発行:檜書店)に掲載されました。写真と共に、シンポジウムの模様が詳しく紹介されています。


「ワザとこころ・能の伝承 ~稽古と修行と教育」


 鎌田東二氏(同センター教授)の企画構成によるこの催しは、標記のテーマを能楽の伝承と修行や教育に照らして明らかにしていこうとの趣旨で進められた。
 第一部では「能の伝承ー稽古について」をテーマに、宗家と三郎太さん(千歳)による<神歌>そして宗家の仕舞<高砂>の実演を交えながら、鎌田氏の司会で宗家父子とのトークがおこなわれた。第二部ではテーマについて、宗家父子に、西平直氏(同大学教授・教育人間学)、河合俊雄氏(同大学教授・臨床心理学)も加わり、同じく鎌田氏の司会で進行した。


(記事より)


□関連ページ
京都府との共同企画「ワザとこころ 能の伝承~稽古と修行と教育」を開催しました(2015.1.27)

大荒行シンポジウムのレポート記事が仏教タイムスに掲載されました

 こころの未来研究センターで2014年11月に開催した「身心変容技法の比較宗教学 大荒行シンポジウム」のレポート記事が、週刊仏教タイムス(発行:佛教タイムス社/2014年12月4日付)に掲載されました。


IMG_8150.jpg「修験・回峰行・瀧行・水行... 指導者が精神を開陳 荒行シンポ」


 身心変容技法研究会(鎌田東二代表)は11月20・21日の両日、京都市左京区の京都大学稲盛財団記念館で「大荒行シンポジウム」を開催した。2日目は研究者を対象に実施されたが、初日は一般に公開され、研究成果を踏まえて金峯山修験道、熊野修験道、羽黒修験道、そして法華修験道とも言える日蓮宗の大荒行の「4大荒行」の先達・指導者を招き、伝統に基づく修行の良さや危険性などが話し合われた。(中略)
 鎌田氏は荒行指導者の4氏が発表したそれぞれの行の特色を整理した上で、上求菩提下化衆生と修理個成(つくりためなせ)の精神が共通しているとし、「神と仏がともにあって、それぞれの特色を失わずに、共同していけるような日本の文化の型というものを、我々の貴重な財産、文化遺産として見出し、実践していければ」と話した。


(記事より)


□関連ページ
「大荒行シンポジウム(科研 身心変容技法の比較宗教学)」を開催しました(2014.12.26)

「学士会会報・U7 vol.60」に、吉川センター長の講演録が掲載されました

 学士会会員向け情報誌「学士会会報・U7 vol.60」(2015年3月号、発行:学士会)に、吉川左紀子センター長の講演録が掲載されました。


 2014年10月18日、吉川センター長は第十八回関西茶話会にて「こころの科学は何をめざしているのか」という演題にて講演をおこないました。講演録では自身の心理学との出会いから始まり、こころの未来研究センターの設立の経緯からセンターの活動を紹介すると共に、「こころ」をめぐる研究としてどのようなプロジェクトを遂行しているのか、各領域の目的や取り組みの様子を豊富な写真や具体例を紹介しながら説明しました。また今後の展望として、こころの学際研究が人間科学のあらゆる分野とつながりながら新しい研究課題に取り組んでゆくだろう、と話しました。


IMG_8047.JPG「こころの科学は何をめざしているのか」吉川左紀子 京都大学こころの未来研究センター センター長


 「こころの未来研究センター」は、二〇〇七年に学内共同利用施設として設立されました。教授五名、准教授三名、助教三名、研究員が数名と、京大で一番規模の小さいセンターです。このセンター設立の直接のきっかけは、二〇〇三年から〇七年までの五年間、京都大学が京都府、京都市、稲盛財団とともに行ってきた「京都文化会議」です。(中略)
 「こころの未来研究センター」は小規模ですが、心理学、脳科学、宗教学、倫理学など、多様な分野の研究者がおります。そこで最初は、柱になる研究テーマを決めて、全員そのテーマに沿って研究してはどうかなどとあれこれ試行錯誤しましたが、なかなかうまくいきません。そこで、一人一人がやりたい研究を学内外の研究者と一緒に自由に行う「連携研究プロジェクト」を多数立ち上げて、そうした共同研究を中心にすすめるという方針に変更しました。
 最初は、おっかなびっくりといいますか、ちょっと腰が引けた気持ちで始めたのですが、この方針はなかなか具合がいいことが分かってきました。考えてみれば、「こころ」は人間にかかわること、人間が行っていることすべてに関係するキーワードです。センターの研究者が、学内外のさまざまな分野の研究者との共同研究に積極的に取り組むようになると、大学とか、研究者の世界だけでなく、例えば、胸部疾患の専門病院の看護師さんからの依頼で「マスクが患者とのコミュニケーションに及ぼす影響」について研究を行ったり、農業の普及指導員の方たちとともに「農業コミュニティにおいて普及指導員が果たす役割」の研究を行ったりといったように、センターで取り組む研究の幅が大きく広がっていきました。


(講演録より)


□関連ページ
「学士会会報・U7 vol.53」に、吉川センター長のインタビューが掲載されました(2013.12.31掲載)

鎌田教授が出演した『第15回地域伝統芸能まつり』がNHK Eテレで放映されます(3/14 午後2時〜)

 NHKホールで2015年2月21・22日に開催された「第15回地域伝統芸能まつり」に鎌田東二教授が出演しました。イベントの模様が、3月14日(土)午後2時からNHK Eテレで放映されます。


 日本各地の伝統芸能の担い手が一堂に集まり、それぞれが個性溢れる演目で披露した同イベントにおいて、鎌田教授は、岩手県から出演した紫波町の「山屋田植踊り」の解説をおこない、震災復興を祈念して締めくくりに法螺貝を吹きました。


1503kamata_NHK.png
日本各地の郷土芸能や伝統芸能が一堂に介し実演を披露する「地域伝統芸能まつり」。今回のテーマは『咲う(わらう)~まつりの輪に笑顔咲く~』。「江差餅つき囃子・北海道江差町」「山屋の田植踊・岩手県紫波町」「素盞雄神社の天王祭・東京都荒川区」「大脇の梯子獅子・愛知県豊明市」「明神ばやし・福井県越前町」「御嶽神楽・大分県豊後大野市」「京太郎・沖縄県読谷村」狂言「鬼瓦・山本東次郎」能「三笑・梅若玄祥」ほか


出演者 【司会】竹下景子、水谷彰宏


(NHK番組サイトより)


★番組情報
NHK Eテレ『まつりの響き~第15回地域伝統芸能まつり~』
2015年3月14日(土)午後2時〜4時
http://www2.nhk.or.jp/navi/detail/index.cgi?id=08_0378


★「第15回地域伝統芸能まつり~」のサイト
http://www.jafra.or.jp/matsuri/

3/4(水)15時台 河合教授がFM89.4「α-STATION エフエム京都」に出演します

kawai.png 河合俊雄教授が、京都のFM局「α-STATION エフエム京都」の番組「SUNNYSIDE BALCONY」毎週水曜日のコーナー「Kyoto University Academic Talk」に出演します。3月4日(水)の15時台に放送されます。


 毎週、京大の研究者がゲストとなって、「学び」をキーワードにそれぞれに個性あふれる内容で人気を集めているこのコーナー。臨床心理学を専門とし、人のこころと向き合いながら研究活動をおこなっている河合教授のトークをぜひお聴きください。


 なお、後日、京都大学同窓会(京大アラムナイ)のサイトおよびFacebookページにて音声が公開されます。あらためてご案内しますので、楽しみにお待ちください。


★河合教授出演の番組情報
FM89.4 α-STATION エフエム京都
『Kyoto University Academic Talk』
2015年3月4日(水)15時台
http://fm-kyoto.jp/


★京都大学同窓会(京大アラムナイ)のサイト
http://hp.alumni.kyoto-u.ac.jp/info/ku_academic.html
(後日、音声が公開されます)

2/26(木)20:00〜 鎌田教授がFM79.7「ラジオ・カフェ」に出演します(Webでもお聴きいただけます)

11026388_794172103981626_1979397911_n.jpg 鎌田東二教授が、京都のローカルラジオ局「ラジオ・カフェ」(FM79.7)の「京都遊空間~遊プロジェクト京都の『おもしろ発見・まち・京都』」でトークした番組が、2月26日(木)20時から放送されます。


 ナビゲーターは高嶋加代子さん。鎌田教授は、自身が会長を務める京都伝統文化の森推進協議会について、大西宏志京都造形芸大教授と共に紹介し、同協議会のキャラクター「くーりん」と「京だらぼっち」が登場する紙芝居のストーリーコンペに入選した吉田芽以さんも出演して、楽しいおしゃべりを繰り広げてきたそうです。写真は一緒に出演した大西先生のご提供です。楽しそうな雰囲気が伝わってきますね。
 合わせて、鎌田教授が代表の「モノ学・感覚価値研究会」が、3月7日から14日まで北野天満宮で開催する「悲とアニマ ー モノ学・感覚価値研究会アート分科会展」のイベント紹介もおこないました。


 番組はPCやスマートフォンからもお聴きいただけます。ぜひ26日木曜日の20時、下記リンク先からお楽しみください。


★鎌田教授出演の番組情報
京都遊空間~遊プロジェクト京都『おもしろ発見・まち・京都』
2015年2月26日(木)20:00~20:20
FM79.7京都三条ラジオカフェ
http://radiocafe.jp/

内田准教授のインタビューとセンターの紹介記事が日能研関西の『Nキューブ』に掲載されました

1501uchida_nichinoken_ncube.png 内田由紀子准教授のインタビューが日能研関西の発行する中学受験・進学情報誌『Nキューブ』vol.19に掲載されました。


 これからの時代に求められる子どもたちの教育について考える巻頭特集で、内田准教授は「内田由紀子博士の未来教育論」というタイトルでカラー4ページに渡ってインタビューに応えています。自身が取り組む幸福感についての研究を紹介し、研究者人生を歩み出すまでの道のりを丁寧に振り返りながら、未来について考えるヒントを提供しています。また、特集ページではこころの未来研究センターの取り組みが、センターで活動する教員たちの写真と共に紹介されました。


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「京都大学こころの未来研究センター 内田由紀子博士の未来教育論」


「幸福」って、何だと思いますか?ー 未来を切り拓くための新しい学力観のもとで、教育が実践されている昨今。これからの時代に求められる子どもたちの教育を考える時、真っ先に思い浮かんだのは、「こころ」のあり方でした。特集を組むにあたり、まずは、幸福感や他者理解、対人関係など、幅広く文化心理学・社会心理学の観点から研究を進めてこられた内田由紀子先生に、これからを生きるヒントについてうかがってみました。

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 私が大学で取り組んだ研究は「文化」と「こころ」の問題でした。文化心理学という分野になりますが、人のこころというものは必ず社会や文化の影響を受けているだろうという考えのもとに、国際比較などを行うというのが研究の基本スタンスです。大学院の博士課程の頃から、一つのフィールドとして「幸福感」に関する研究を始めました。幸福を望んだり、お金を得たいと思ったりすることは一般に普遍的だと思われていますが、実際にはそうではないこともあるのではないかという思いがありました。
 ちょうどその頃あたりからでしょうか。心理学者以外にも経済学者や政治学者なども幸福感について論じるようになってきました。それまでというのは、たとえばGDP(国内総生産)のように、客観的に測れるもの以外には、人の心の豊かさや社会の豊かさなどは測れないという考えだったけれども、主観というものを測定することにも意味があるのではないのかという動きが出てきたんですね。

1501uchida_nichinoken.png

(記事より)


 なお、本誌は書店などでの取り扱いはありませんが、日能研関西の各教室にて無料配布(在庫あるかぎり)されています。教室リストはこちら

ベッカー教授が監修・出演したTV番組が韓国教育テレビ(EBS)で放映されました

1411becker_EBS.png カール・ベッカー教授が、監修および出演したドキュメンタリー番組『Memento mori』が韓国教育テレビ(EBS)で2014年11月に放映されました。


 番組は、「Death(死)」をテーマとした3本立の長編で、死をめぐる様々な問題や科学的知見を世界各国への取材を通して深く掘り下げたドキュメンタリーとなっています。ベッカー教授は、番組全体に対してアドバイザーとして協力したほか、第2作目「Vitam aeternam」にて死生観に関するインタビューに応えています。映像には、こころの未来研究センターの全景が映し出され、ベッカー研究室で撮影されたインタビューの様子が含まれています。


 Youtubeにてオフィシャル映像をご覧いただけます。9分50秒頃よりベッカー教授が出演しています。下記リンク先よりご覧ください(※クリックすると動画がはじまります)。


1411becker_EBS_youtube.png
EBS Vitam aeternam | Youtube
(9分50秒頃よりベッカー教授が出演)


韓国EBSの番組紹介ページ(韓国語)
http://www.ebs.co.kr/tv/show?prodId=348&lectId=10260696

『螢雪時代』に阿部准教授の研究成果が掲載されました

 旺文社が発行する受験生向けの雑誌『螢雪時代』の「螢雪ジャーナル・キャンパスニュース」と、旺文社のウェブサイト「パスナビ」の情報欄に、阿部修士准教授が2014年8月に発表し、論文が『Journal of Neuroscience』に掲載された研究成果「どうして正直者と嘘つきがいるのか? ー脳活動からその原因を解明ー」が紹介されました。下記のリンク先で全文をご覧いただけます。


1411abe_keisetsu.png「なぜ正直者と嘘つきがいる? 脳活動からその原因を解明 京都大学」


 京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門阿部修士准教授たちのグループは、機能的磁気共鳴画像法と呼ばれる脳活動を間接的に測定する方法と、嘘をつく割合を測定する心理学的な課題を使って、正直さ・不正直さの個人差に関係する脳の仕組みについて解明した。(中略)
 阿部准教授は「今回の研究では、嘘をついてしまう人と正直な人とで脳の活動パターンに違いがある可能性を明らかにした。この結果は、人間の『道徳性』を科学的に理解するための重要なステップである」と語る。今後の研究の目標は「宇宙で最も複雑な存在」とも言われる脳の仕組みと、人間の心のメカニズムの関係性を明らかにすることという。


(『螢雪時代』2014年11月号 より)


なぜ正直者と嘘つきがいる? 脳活動からその原因を解明 / ニュース | 大学受験パスナビ:旺文社


□関連情報
阿部准教授の論文が『Journal of Neuroscience』に掲載されました

鎌田教授のインタビューが『月刊シアターΧ批評通信』に掲載されました

 鎌田東二教授のインタビューが、東京・両国の劇場シアターX(カイ)の発行する『月刊シアターΧ批評通信』51号(2014年12月号)の巻頭特集ページに掲載されました。


 昨年、鎌田教授の著書『超訳古事記』(ミシマ社)を原作とする舞台が、東京ノーヴィ・レパートリーシアター(TNRT)によって上演され話題を集めました。ロシア出身の演出家、レオニード・アニシモフ氏を魅了した「古事記」の世界観について、鎌田教授は本誌インタビューで長年の知見と共にダイナミックに語っています。


1412kamata_theaterX.png鎌田東二教授が語る日本の神話『古事記』
敗残者の系譜をどうやって鎮めるのか


 『古事記』はスピリチュアルケア、グリーフケア、鎮魂の書であるというのが私の結論です。何がスピリチュアルケアかと言えば、イザナミの死にまつわる悲しみやスサノオに現れてくる暴力性や荒魂(あらみたま)が出雲に伝承され、そういう出雲的な敗残者の系譜をどうやって鎮めるのかということになります。敗れた者、隠退していった者、スピリチュアルペインを受けた者たちが『古事記』の語りによって慰められ、鎮魂され、語りの中で蘇ってくるということです。そういう意味で『古事記』は語り物の『平家物語』や鎮魂の芸能である能と同じだというのが私の立場です。(略)
 各地に『古事記』にまつわる不思議な伝承が残っていて、単なる国家神話とは言えない部分が間違いなくあるのです。『古事記』は語りの力を遺憾なく伝えていて、日本に残る神話の中でもっとも語りの力が強烈です。まずそのことを踏まえる必要があると思います。私は『古事記』以前にも語りの世界はあったと思うのです。『古事記』はいくつもの神話の中の一つでしかないのです。私達は『古事記』を通してアーカイックな宇宙伝承の世界を考えていく手がかりを得ることができます。それは非常に広い東アジア的な、ユーラシア的な、南方的な世界につながり得る伝承世界だと思います。


(『月刊シアターX批評通信』51号より)


 2015年3月15日、東京・中野区の梅若能楽学院会館にて 「古事記~天と地といのちの架け橋~」(原作:鎌田東二『超訳古事記』)が上演されます。詳しくは下記リンク先をご覧ください。


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『古事記~天と地といのちの架け橋~』 | 東京ノーヴィ・レパートリーシアター(TNRT)ウェブサイト

吉川センター長のインタビューが『商工ジャーナル』に掲載されました

1502yoshikawa_shokojournal.png 吉川左紀子センター長のインタビューが、商工中金経済研究所の発行する経営情報誌『商工ジャーナル』2015年2月号にカラー4ページで掲載されました。


 中堅・中小企業向けにビジネス情報を発信している同誌の連載インタビューページ「今を語る(第145回)」で、吉川教授は、心理学という学問のなりたちや、それぞれの研究分野の特徴を分かりやすく紹介し、fMRIを用いた神経科学の進歩や、幸福感などを扱った文化心理学などの発展など、昨今の心理学研究の動向について幅広く紹介しています。また、様々な分野の研究者らが集まり学際研究を進めるこころの未来研究センターの取り組みについても紹介し、自身の今後の研究について展望を語っています。



1502yoshikawa_shokojournal2.png今を語る ー 第145回「目に見えない心の働きを見定める」
吉川左紀子氏(京都大学こころの未来研究センター長・教授)/ 聞き手 商工研常務執行役員・大西知彦


―心理学とはどのような学問ですか?
吉川 心理学には、実験や調査で心の働きを調べる基礎科学と、悩みをかかえるひとをカウンセリングなどによって支える、実践的な学問という両面があります。基礎科学としての心理学では、人は周りの世界をどう見ているのか、成長し大人になる過程で心はどう変化するのか、人の判断は周りの人にどんな影響を受けるのかなど、いろいろな問いを立てて調べています。長年心理学をやっていても、人はいかに自分の心を知らないのかと実感することも多いですね。ある意味、思いこみの集積が人の心なのかもしれません。(中略)
―地球上の七十億人は、生まれも育ちも違いますが、どう研究するのですか?
吉川 心理学が誕生してから百五十年近くたち、多くの研究者が取り組んできた学問の歴史があるので、心を研究するいろいろな方法が考案されています。最近は脳科学の研究手法も進歩していますから、人間の心の働きについて、脳の神経活動パターンを分析して調べることもできるようになりました。チンパンジーやゴリラなど、他の霊長類と比較することで人の心の特徴を調べる心理学もあります。こうした研究は、京大の霊長類研究所をはじめ日本では特に盛んで、比較心理学といわれています。文化の違いが人間の心の働きにどんな影響を及ぼすかを調べる文化心理学の研究も注目されています。人間の心の働きは本当に複雑ですから、さまざまな研究手法を組み合わせて実験や観察を積み重ねていくという地道な作業が必要なんですね。


(記事より)


商工ジャーナル | 商工中金経済研究所ウェブサイト

映画『花の億土へ』作品パンフレットに鎌田教授の解説が掲載されました

1501kamata_ishimure.png 作家・詩人の石牟礼道子氏の世界を描いた映像作品であり、彼女の「最後のメッセージ」として制作された『花の億土へ』(監督:金大偉、制作:藤原書店、2013年)が各地で上映されています。その作品パンフレットの解説を鎌田東二教授が執筆しました。


 水俣水銀中毒事件をモチーフとした名著『苦海浄土』を世に出し、「近代とは何か」というテーマを常に現代人に問い続けてきた石牟礼氏。鎌田教授は、石牟礼氏の発するメッセージと存在感覚が「すべての衆生に仏性を見出し礼拝する常不軽菩薩と通底する天台本覚思想」に通じ、また『日本書紀』において様々な神が存在し草木生類がみな言葉を発していたとされる世界をあらわした一節を想起させる、と述べ、本作品を「世界の息吹を取り戻そうとする、静かな、しかし激しい闘いと交響のメッセージなのである」と綴っています。


解説 鎌田東二


 石牟礼道子さんの胸を衝く言葉の数々の中で、とりわけ目に触れるたびに峻厳にして哀切を感じるのが次の言葉である。「まぼろしの湖の上にひらくひとすじの道をあるいて/まだ息絶えぬ原始を看取りに/わたしは急ぐ」(「木樵り」)。
 昭和三十年代、水俣病が顕在化する過程で発せられたこの詩の言葉が、石牟礼さんの生涯を貫き告げる声であるような気がしてならない。その言葉は、荒野を歩く予言者、岬の突端で常世に霊送りするシャーマン、深い森の中で蹲って草木虫の声々に耳を傾ける巫女山姥、大都市を雷神の如く駆け抜ける閃光馬を想い起こさせる。そして、観世音菩薩が三十三身に化身して衆生済度の業を果たすように、その様々なる声と振る舞いによって、「花の億土」への道が啓かれる。(中略)
 「花の億土へ」は、「毒死列島」日本から、このような生きとし生けるものが呼び交し合う「草木ことごとくよく言語(ものい)う」世界の息吹きを取り戻そうとする、静かな、しかし激しい闘いと交響のメッセージなのである。


(かまた・とうじ/京都大学こころの未来研究センター教授)


 なお、2015年度前半に刊行予定の当センター広報誌『こころの未来 14号』には、鎌田東二教授による石牟礼氏へのインタビューが掲載される予定です。どうぞ楽しみにお待ちください。


□関連情報
映画『花の億土へ』上映情報 | 藤原書店
鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました(石牟礼道子さんについて紹介)

鎌田教授について書かれたエッセイが日経新聞「交遊抄」に掲載されました

 日本経済新聞の朝刊文化面「交遊抄」(2015年1月17日付)に、鎌田東二教授について書かれたエッセイが掲載されました。書き手は、俳人・文筆家で幅広い活動で知られる堀本裕樹さん。國學院大学時代に俳句サークルで師事して以来、俳人として句集を出版し活躍するまで鎌田教授から受けた励まし、支えの数々を挙げ、心あたたまるエピソードを紹介しています。


1501kamata_nikkei.png「宇宙を詠める」堀本裕樹(ほりもと・ゆうき=俳人)


 俳句を始めたばかりの私に、「俳句は宇宙を詠めるんだ」と先生は教えてくれた。俳句の奥深さに気づかされたひと言であった。
 26歳の時、俳句総合誌から初めて原稿依頼があり作品が掲載された。それを読んでくださった先生から励ましの言葉と句集を編むようにと書かれた葉書が届いた。(中略)
 鎌田先生と出会って20年を越えた。神仏や自然に純真に向き合い、思索とフィールドワークを重ねる先生の背中をこれからも追い続けたい。


(2015.1.17付 日本経済新聞「交遊抄」より)

内田准教授のインタビューが載った『しあわせ予報2015 女性たちから未来は生まれる』(ベルメゾン)が発刊されました

1501uchida_bellemaison.png ベルメゾン生活スタイル研究所が発行する『しあわせ予報2015 女性たちから未来は生まれる』に内田由紀子准教授のインタビューが掲載されました。


 『しあわせ予報2015 女性たちから未来は生まれる』は、女性向けの通販を中心とした事業を手がける株式会社千趣会が運営する同研究所が、日本のイノベーションの原動力となる5つの「女子力」に注目。それぞれの女子力を活かして成果を上げている10の企業や団体と10人のロールモデルの取材を通して「働く女性が生みだす未来」を考察したA5判100ページにおよぶ冊子です。内田准教授は、「ウーマノベーションから広がる新しいしあわせのかたちとは?」というページにおいて10の質問に答える形で、冊子全体のまとめと考察を担う形で女性が新しいスタイルで幸福感を得るための現状分析や文化・社会心理学者の視点からのアドバイスを提供しています。


「内田由紀子先生に10の質問 ウーマノベーションから広がる新しいしあわせのかたちとは?」


働く女性のパワーが起こす、社会のイノベーション。
それはきっと、未来の「しあわせ多様社会」への第一歩。
ご自身も子育てをしながら研究に取り組み、
「こころとしあわせの関係」を見つめている
京都大学の内田由紀子先生に聞きました。
「先生、新しいしあわせのあり方って、どんなものですか?」


○内田由紀子さん 京都大学「こころの未来研究センター」准教授(社会心理学・文化心理学)
2003年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)にして、現在5歳児の母。アメリカミシガン大学やスタンフォード大学での客員研究員時代には、遠距離結婚生活を送る。2008年京都大学「こころの未来研究センター」に助教として着任、2011年より准教授。2010年から2013年まで内閣府「幸福度に関する研究会」委員。


冊子はウェブサイトで全文をお読みいただけます。下記リンク先にアクセスしてご覧ください。


しあわせ予報2015「女性たちから未来は生まれる。」- ベルメゾンデッセ
http://www.belle-desse.jp/cocoro/index.htm

阿部准教授が読売テレビ「ウェークアップ!ぷらす」に出演しました

1501abe_yomiuritv.png 2014年12月27日に放映された報道番組「ウェークアップ!ぷらす」(制作:読売テレビ」に阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)が出演しました。


 番組では、「2014総決算!嘘つきはどろぼうのはじまり」というテーマで、昨年に世の中を賑わした事件や出来事を振り返り、それらにひそむ「嘘」をキーワードに、人がなぜ嘘をつくのか、嘘にちなんだ話題の数々が特集として取り上げられました。冒頭、阿部准教授が昨年に論文発表した「人の正直さ・不正直さの個人差に関係する脳の仕組み」を調べた研究内容が詳しく紹介され、阿部准教授のコメントと共に「側坐核(そくざかく)の活動が高い人ほど、嘘をつく割合が高い」といった結果が図説で紹介されました。


 番組のホームページに詳しい内容が掲載されています。下記リンク先をご覧ください。


2014総決算!嘘つきはどろぼうのはじまり|ウェークアップ!ぷらす(ytv)


□関連情報:阿部准教授の論文の発表記事と概要はこちら
阿部准教授の共著論文が『Journal of Neuroscience』に掲載されました

吉川センター長のエッセイが京都新聞の元日特集に掲載されました

写真 (68).jpg 吉川左紀子センター長のエッセイが2015年1月1日付の京都新聞元日特集に掲載されました。


 「日本人の忘れもの知恵会議」という京都新聞がおこなっているキャンペーンの一環で、「こころ、ここに」というキャッチフレーズと共に、日本人が置き去りにした価値観を取り戻すための手掛かりをテーマに63人の文化人、企業経営者らがそれぞれの思いと言葉で綴っています。


 吉川センター長は、「ブータンの生活の中に日本人の『幸せ感』につながるものが」というタイトルで寄稿しました。特集には山極寿一京大総長も「生きる知恵を与えてくれた何の目的もなく集まり過ごす時間」という題でエッセイを寄せています。他に尾池和夫元総長(現京都造形芸術大学長)、養老孟司京都国際マンガミュージアム館長、哲学者の梅原猛氏、千宗室裏千家家元など、多彩な執筆陣が名を連ねています。


「ブータンの生活の中に日本人の『幸せ感』につながるものが」
吉川左紀子 京都大学こころの未来研究センター教授・同センター長


 2010年、京都大学とブータン王立大学との間でブータン友好プログラムという交流事業がスタートした。経済指標でみれば発展途上国ということになるのだろうが、ブータンを訪れその文化に触れた日本人は、老若男女と問わず、何とも言い難い「なつかしさ」を感じるという人が多い。私も、訪問団のメンバーとして初めてブータンを訪れて以後、ヒマラヤの中腹に位置するこの小国の持つ引力に引かれ、何度も出掛けては、その「なつかしさ」の正体を考え続けている。ブータンの人たちの毎日の生活の中に、日本人が感じる「幸せ感」につながる何かが、潜んでいるように思えるのだ。


(記事より)

鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 25」(2015年1月3日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 阪神淡路大震災から20年となる今月、鎌田教授は震災からの20年の日本の変化を振り返り、超高齢化社会、自然環境の汚染と破壊の進行、政策との乖離など厳しい状況を迎えているとし、「スパイラル史観」という歴史の大局的な見方を提示。持続可能な社会を構築するためには世界、国家レベルの改革に委ねるのではなく、各個の身の周りの「中間領域」を変化させ活性させるための意識的な取り組みが大きな鍵となる、と提唱しています。


1501kamata_tokushima.png「阪神大震災から20年 持続可能な社会目指し 自分の周りから変える」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 正月早々、暗い話で恐縮だが、私は「スパイラル史観」という歴史の大局的な見方を提示し、現代は中世のような多極化した分裂的な「乱世=武者の世」に突入したという「現代大中世論」を主張してきた。それが正しいかどうかは別として、広範囲に進行する混乱と破壊を超えて、したたかにしなやかにたくましく生き抜き、創造していく力をどう体得・体現していくかが鍵であり、自助・共助の多様なかたちを模索する挑戦的な取り組みを展開していかなければならない。
 私自身は、阪神大震災後、1998年に「神戸からの祈り」と「東京おひらきまつり」という創造性を結集し共助していく新しい「祭り」を起こす取り組みを始め、99年には「東京自由大学」というボランタリーで共助的な市民大学を友人たちと創った。世界とか国家とかの改革や変革だけでなく、自分たちの周りの「中間領域」をどう変え、活性化できる「中間者」となるか、それが「持続不可能性」の現実をも視野に入れた「持続可能な社会づくり」の最大の鍵であると思っている。


(記事より)

鎌田教授が企画・編集・執筆する『講座スピリチュアル学』シリーズが河北新報で紹介されました

 鎌田東二教授が企画・編集・執筆をおこない、全7巻のシリーズ書として刊行される『講座スピリチュアル学』(発行:ビイング・ネット・プレス)を紹介する記事が、2014年12月13日付の河北新報朝刊に掲載されました。書籍はすでに第2巻まで刊行されています。記事では、インタビュー風景写真と共に、本が作られた経緯、時代背景、スピリチュアル学の定義、本の構成などが丁寧に紹介されています。


1412kamata_kahoku.png「悲嘆と向き合う 京大教授『スピリチュアル学』刊行」

 かけがえのない人を失った悲嘆など、自然科学的アプローチでは論じきれない魂の叫びとの向き合い方を考察しようと、京都大こころの未来研究センター教授の鎌田東二さん(63)=宗教哲学=が「講座スピリチュアル学」と題する7巻シリーズの本の刊行を始めた。東日本大震災を機に、死後の世界までを丸ごと見据えた医療などの必要性を感じ、本を通しての問題提起を思い立った。
 スピリチュアルという言葉は「霊的」などと訳される。悲嘆へのケアは近年「スピリチュアルケア」とも呼ばれるが、どちらかといえば西欧発の概念で、日本では必ずしも浸透していない。
 今回のシリーズで提唱するスピリチュアル学について、鎌田さんは「こころとからだとたましいの全体を丸ごととらえ、生き方など生の価値に絡めた考察」と説明する。


(記事より)続きはこちら


記事は河北新報のウェブサイトで全文をお読みいただけます。下記リンクをクリックしてご覧ください。


悲嘆と向き合う 京大教授「スピリチュアル学」刊行 | 河北新報 ONLINE NEWS


◇関連情報
『講座スピリチュアル学 第1巻 スピリチュアルケア』(企画・編/鎌田東二、執筆/カール・ベッカー、鎌田東二ほか)が出版されました

徳島新聞に『講座スピリチュアル学 第1巻 スピリチュアルケア』(企画・編/鎌田東二、執筆/カール・ベッカー、鎌田東二ほか)の書評記事が掲載されました

1412tokushima_spiritual.png 京都新聞の読書欄(2014年11月13日付)に、鎌田東二教授が企画・編集をおこない、カール・ベッカー教授、島薗進 東京大学名誉教授・上智大学グリーフケア研究所特任所長、井上ウィマラ 高野山大学教授らと執筆した『講座スピリチュアル学 第1巻 スピリチュアルケア』の書評記事が掲載されました。徳島県立文学書道館の亀本美砂事業課主査が評しています。


 1995年に阪神大震災が起きたとき、「心的外傷後ストレス障害」のケアが注目され、「心のケア」が大きな社会問題となったが、2011年の東日本大震災においては「心のケア」という言葉や方法では対処しきれないほどの事態が引き起こされた。たくさんの行方不明者の捜索や確認作業に伴う深い悲嘆や絶望、また死者をどのように埋葬、鎮魂、供養すればよいのかという生存と生死の本質的な問題に直面して、「スピリチュアル(精神的・霊性的)」な次元にまで踏み込んだ対人援助が求められ、スピリチュアルケアや宗教ケアが必要とされたのだ。
 本書はそういった世相の中で構想された「スピリチュアル学」全7巻シリーズの第1冊であり、医療と健康、平和、環境、教育、芸術・芸能、宗教などに先だち、急迫した問題として「スピリチュアルケア」の理論と実践が取り上げられている。医療、宗教の第一線で今日的課題に取り組んできた論者たちにより、グリーフケアや死生観ワークをはじめ、さまざまな現場で実践されている技法や事例などが豊富に紹介される。また終章では本書の企画・編者である鎌田東二氏により、日本の風土とスピリチュアルケアについての考察がなされている。


(記事より)


◇関連情報
『講座スピリチュアル学 第1巻 スピリチュアルケア』(企画・編/鎌田東二、執筆/カール・ベッカー、鎌田東二ほか)が出版されました

鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 23」(2014年12月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 2014年秋より展覧会「スサノヲの到来-いのち、いかり、いのり」が開催されており、来年秋まで各地の美術館で開催されます。鎌田教授は、展覧会の展図録への解説記事「スサノヲという爆発ー放浪する翁童神のメッセージ」を寄稿し、11月には会場での講演もおこないました。記事では、古事記の中でダイナミックな存在感を放つ神スサノヲノミコトの魅力を紹介し、いまこの時期にスサノヲが注目され、展覧会が開催される意義を紹介しています。


1412kamata_tokushima.png「スサノヲの到来展 新しい世界を切りひらく 今の日本に必要な底力」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 10月18日から12月23日まで、栃木県足利市立美術館で「スサノヲの到来展」が開かれている。そこには縄文土偶から現代のアーティストの作品まで、時代を串刺しにする「スサノヲ的なるもの」が館内いっぱいに展示されている。(中略)
 「スサノヲの到来展」で特筆すべきは、神道家、金井南龍の絵画である。「妣(はは)の国」「昇り龍 降り龍」「富士諏訪木曽御嶽のウケヒ」など9作が展示されているのを見、そこに描かれている富士山や浅間山や霧島、高千穂の峰や御嶽山がみな噴火しているのを確認した。
 大地を揺るがし草木を枯らす荒ぶる荒ぶる啼きいさちる神。地震や台風や雷などの破壊的な自然災害とも結びつくが、同時にあらゆる「ケガレ(穢れ・気枯れ)」を禊祓(みそぎはら)い、新しい創造世界を切りひらく。破壊と創造、勇敢と繊細。この両義的相反する性格を持つスサノヲの到来こそ、今の日本に必要な底力の爆発ではないだろうか?


(記事より)


□関連記事
鎌田教授が展図録『スサノヲの到来-いのち、いかり、いのり』に解説を寄稿し、講演をおこないました

鎌田教授が展図録『スサノヲの到来-いのち、いかり、いのり』に解説を寄稿し、講演をおこないました

1412kamata_susanow.png 2014年10月18日より足利市立美術館にて展覧会「スサノヲの到来-いのち、いかり、いのり」(主催:足利市立美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会)が始まりました。足利では12月23日まで開催され、その後、2015年秋まで各地の美術館で開催されます。鎌田東二教授は、本展覧会の展図録に解説記事「スサノヲという爆発ー放浪する翁童神のメッセージ」を寄稿し、11月9日には、展覧会の開催地である足利市立美術館にて同タイトルの講演会で講師を務めました。


「スサノヲという爆発ー放浪する翁童神のメッセージ」鎌田東二


 スサノヲは爆発である。泣き虫の爆発であり、きかん気の爆発であり、暴れん坊の爆発である。
 また、スサノヲはスキャンダルである。アウトローであり、バガボンドであり、ヒッピーであり、ヒーローである。八頭八尾の八俣大蛇を退治することのできたスサノヲ自身が八頭八尾の怪物体である。異相の怪物神スサノヲ。
 この多面多層体のスサノヲ神話は、確かに、折口信夫の言う貴種流離譚のプロトタイプである。
 振り返ってわが人生を通観してみると、そのスサノヲとの遭遇の繰り返しであったと総括できる。まず、「オニ(鬼・大人)」を見ることから始まったわが人生で、初めて大きな社会発信をしたのが、一九七〇年五月、十九歳の時に、大阪の心斎橋で一ヶ月間『ロックンロール神話考』なるアングラ劇を作・演出したことにあった。(中略)
 研究面だけではなく、私生活の方でもスサノヲに遭遇し続けた。


(解説より)


講演会の様子はこちら→ 鎌田東二さんによる講演会行われました | 足利市立美術館ブログ
展覧会の案内ページ→ スサノヲの到来 -いのち、いかり、いのり | 足利市立美術館
2015年までの開催地→ 展覧会紹介 | 美術館連絡協議会

学術研究支援室のウェブサイト「K.U.RESEARCH」に内田准教授のインタビューが掲載されました

1412uchida_kyodaizukan.png 京都大学学術研究支援室が企画・運営するウェブサイト「K.U.RESEARCH」の研究者紹介ページ『京大人間図鑑』に内田由紀子准教授のインタビューが掲載されました。


『京大人間図鑑 Vol.05 内田由紀子 こころの未来研究センター准教授』 | K.U.RESEARCH


 自分に合う研究分野を探して回り道をした学部時代の思い出話から始まるインタビュー記事は、内田准教授が文化・社会心理学者として歩んできた道のりと研究者としての思い、ビジョンが丁寧に描かれています。内閣府の「幸福度に関する研究会」委員を務めて指標作成に携わったり、農村や漁村の地域コミュニティに生きる人たちの「つながり」に関する調査研究の経験談など、研究活動の軌跡が紹介されています。また、最近はビジネスの世界における人のこころに興味を広げ、企業理念や経営方針が働く人にもたらす幸福感、やりがい等について調査研究を進めている現状について爽やかに語っています。


京大人間図鑑 vol.5 こころの未来研究センター准教授 内田由紀子


近年、暮らしの豊かさを示す「幸福度」の指標作りが国内外で活発に行われています。他の国や地域との比較にとどまらず、固有の文化的特性の中で育まれる幸福感をどのように捉えるか。京都大学こころの未来研究センターの内田由紀子(うちだゆきこ)准教授は、文化・社会心理学の視点から、日本人の幸福感について研究しています。


――専門は、文化心理学・社会心理学とのことですが、研究を始められた経緯を教えてください。
内田准教授 高校生の頃、平家物語や今昔物語といった古典が好きで、文学部に入学しました。ところが何か違うなあと(笑)。しばらくして、自分が古文そのものを研究するのではなく、その物語から垣間見える登場人物の感情の動き、時代・文化の精神と「こころ」の関係性に興味があることに気付いたんです。それで三回生の時に教育学部に転部して臨床系の心理学を学ぶことにしました。(中略)


――文化心理学・社会心理学とは、どういったことを研究テーマとするのでしょうか。
内田准教授 文化や社会がどういった影響を心に及ぼすか、また、心がどのようにし文化や社会をつくりあげるか、その関係を解明することです。私はとりわけ、幸福を求めるルートが国や文化によって異なるという点に興味をもっており、認知・感情のしくみや対人関係の比較文化研究をテーマにしています。


(記事より。続きはこちら

内田准教授が寄稿した『女性研究者とワークライフバランス』の書評が京都新聞に掲載されました

 内田由紀子准教授が論考を寄稿した書籍『女性研究者とワークライフバランス: キャリアを積むこと、家族を持つこと』(新曜社)の書評が、2014年10月19日付の京都新聞読書欄に掲載されました。


写真 (60).jpg○出版あれこれ○「ワークライフバランスへの助言」


 仕事と妊娠・出産、遠距離結婚生活、主夫に支えられて、夫が育休を取った際の経済的デメリットーなど、ケースごとに体験を報告し課題を挙げている。内田由紀子・京都大こころの未来研究センター准教授や、夫の立場から郷式徹・龍谷大教授も執筆。体験を語りながら、遠距離結婚の章で内田准教授が「子育てはやはり文字通り『かけがえのない』幸せをもたらしてくれる」と書くなど、結婚や子育てを考える女性に励ましを送っている。


(京都新聞2014年10月19日付読書欄記事より)


□関連ページ
内田准教授が寄稿した『女性研究者とワークライフバランス: キャリアを積むこと、家族を持つこと』が出版されました
『女性研究者とワークライフバランス: キャリアを積むこと、家族を持つこと』:新曜社

内田准教授が西日本経済同友会合同懇談会で講演。高知新聞に掲載されました

 2014年10月3日、西日本経済同友会会員合同懇談会が高知市で開催され、内田由紀子准教授が基調講演をおこないました。西日本に18ある経済同友会より400人が参加したイベントでは、土佐経済同友会が提唱している県民の幸福度の指標づくりがテーマとなりました。内田准教授は「日本の地域における幸福感」という演題で講演し、その後のパネルディスカッションでも発言をおこないました。


 10月4日付の高知新聞経済面には、写真と共にイベントの開催が報じられ、内田准教授の講演内容が紹介されました。


写真.jpg「幸福度で地方発展を 高知市 西日本18同友会が懇談」


 「日本の地域における幸福感」と題した基調講演では、京都大学こころの未来研究センターの内田由紀子准教授が、幸福の感じ方には国や文化で違いがあり、単純な比較はできないと指摘。指標づくりは「どんな地域をつくりたいか、ビジョンが大事」と話した。


(高知新聞/2014年10月4日付朝刊経済面記事より)

吉川教授の解説記事が『児童心理』12月号に掲載されました

1411yoshikawa_jidoshinri.png 吉川左紀子教授の解説記事が、『児童心理』2014年12月号(発行:金子書房)に掲載されました。子どもの心をテーマにした教育者と父兄のための冊子の今号の特集は「コミュニケーション力を育てる」です。吉川教授は、「笑顔・表情を大切にする」というタイトルで、長年の認知心理学の研究で得た知見をもとに、具体的な実験結果を例にあげながら、「笑顔」「表情」が人と人を結びつけるコミュニケーションのツールとして大きな役割を果たすことを、分かりやすく解説しています。


□コミュニケーション力アップのために
「笑顔・表情を大切にする」京都大学教授 吉川左紀子


 わたしたちはふだん、人と話をするときに自分の顔がどんな表情を表出し、まわりの人たちにどんなメッセージ(気持ち)を伝えているのか、あまり気にせずに過ごしている。「顔(表情)は口よりもものを言う」とすれば、これは不思議なことである。口角や眉を上げ下げして「にっこり顔」や「むっつり顔」が作れることは、表情に対する自己効力感をもたらす。自分の表情に無頓着でいられるのは、「表情は、自分の思い通りに動いている」と感じているからかもしれない。しかし、自分がどんな表情で人と話をしているのか、知らないのは自分だけである。まわりの人たちには見えている自分の表情は自分には見えない。ときには、ここで紹介した実験手続きにならい、自分の表情をわざと誇張したり抑制したりして会話をしてみてはどうだろう。笑顔とコミュニケーションの深いつながりについて、気づくことがたくさんあるのではないかと考えている。


(記事より)


出版社の『児童心理』12月号紹介ページ
Amazon.co.jpの雑誌紹介ページ

鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 23」(2014年11月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 鎌田教授が代表を務めるNPO法人東京自由大学の「世直し講座」に講師としてやってきた塩見直紀さんは、暮らしにおいて農業を半分と、自分の才能を生かした仕事を半分おこなう「半農半X」の提唱者です。また、同じく新講師の矢野智徳さんは、「庭」環境から自然環境全体を再生させていこうとする「環境再生医」として活動中。鎌田教授は二人の取り組みを紹介し、自身が10年来提唱している「生態智」の考え方と重ね合わせながら、自然への畏怖畏敬を大切にしながら生きとし生けるものが助け合い柔軟に生き抜く知恵の実践が必要である、と強調しています。


1411kamata_tokushima.png「環境に即した知恵必要 半農半X人と環境再生医のメッセージ」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 今年の4月からNPO法人東京自由大学では新規に「世直し講座」を始めた。「世直し」を 1.鳥のように世界を俯瞰した視点から考える「鳥の目コース」 2.アリのように地域に根差し実践的な視点から考える「蟻の目コース」 3.第三の目で見えないモノを見る視点から考える「龍の目コース」という三つの「コース」から捉えてみることにした。(中略)
 そしてこのたび、「土を耕し、心を耕す」と題して、塩見直紀(半農半X研究所代表)と矢野智徳(NPO法人杜の会副理事長)両氏の「世直し」論を聴き、議論した。(中略)
 私はこの10年来、塩見さんや矢野さんがたどり提唱してきたような、多様性を認識し担保しつつ普遍的な臨床知に到る道と方法を「生態智」という概念とワザとして提唱している。「生態智」とは、「自然に対する深くつつましい畏怖・畏敬の念に基づく、暮しの中での鋭敏な観察と経験によって練り上げられた自然と人工との持続可能な創造的バランス維持システムの技法と知恵」である。経済成長よりも、大地に根差し地球環境に即した「生態智」に基づくケアサイクルの確立こそが21世紀の人類に最も必要な生き方であると確信している。
 台風や地震や噴火の「理」をつかみつつ、その「理」を生み出している大いなる産出力を畏怖畏敬し、つつしみをもって柔軟に助け合いながら生き抜いていくほか道はないのである。


(記事より)

河合教授、畑中助教による『大人の発達障害の見立てと心理療法』の書評が『心理臨床学研究』に掲載されました

1411kawai_shinririnsho.png 日本心理臨床学会が発行する学会誌『心理臨床学研究』vol.32 No.3 に、河合俊雄教授と田中康裕教育学研究科准教授が編著者を務め、畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)が二つの章を執筆した『大人の発達障害の見立てと心理療法』(創元社)の書評が掲載されました。評者は、滝川一廣学習院大学教授です。


 『大人の発達障害の見立てと心理療法 』は、上廣こころ学研究部門における臨床心理学領域のプロジェクトの一つである「大人の発達障害への心理療法的アプローチ」の研究成果がまとまった一冊です。書評では、全体に流れるテーマである「主体」の立ち上がりや世界の捉え分けに着目しながら書籍の全体像と各章の概要を紹介し、「『発達障害』を、ひとつのこころのあり方という観点から捉えて、心理療法的なアプローチの必要性と可能性とを追究し」、「『発達障害』とはいかなる現象かを考える上で示唆に富む内容をもっている」と評しています。


書評1『大人の発達障害の見立てと心理療法 河合俊雄/田中康裕 編』 評者 滝川一廣 学習院大学文学部


 本書の「発達障害」とは公汎性発達障害(自閉症スペクトラム)を指す。これを, 脳中枢神経系の障害という観点からではなく, ひとつのこころのあり方という観点から捉えて, 心理療法的なアプローチの必要性と可能性とを追究しているのが, 本書の大きな特色である。
 もう一つの特色は, 「大人」の発達障害を対象としたことである。ここで大人とは, 単に「成人年齢者」の謂いではなく, アンバランスはあるにせよ, 発達の歩みに極端なおくれはなく(だから幼小児期には発達障害とは気づかれず), 基本的な発達水準は成人レベルに達した人たちを指す。たとえば成人言語によるコミュニケーションが可能で, その点でも心理療法的アプローチに開かれていると言える。裏返せば, そこまで精神発達を遂げながらもなお抱える困難さに, この人々固有の「こころのあり方」が見てとれる。それがどんなあり方なのか, 1章で河合俊雄, 2章で田中康裕が論じている。
 河合は, そのこころのあり方の中核に「主体のなさ」を見る。そしてこれが本書所収の諸論文を貫く縦糸となっている。「主体」とはなにか。...


(書評より)


河合教授、畑中助教による『大人の発達障害の見立てと心理療法』が出版されました
出版社の書籍ページ
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内田准教授が内閣府主催シンポジウム「選択する未来」に登壇。多数のメディアで紹介されました

1410uchida_matsue.png 2014年10月14日、内閣府主催のシンポジウム「選択する未来」が島根県松江市で開催され、内田由紀子准教授が登壇しました。深刻とされる人口減少、少子化、高齢化への対策について議論するシンポジウムには、溝口善兵衛島根県知事、増田寬也前岩手県知事(「選択する未来」委員会委員)、樋口美雄慶應大学教授をはじめとする多彩なメンバーが参加しました。


 内田准教授の発言は、シンポジウムの開催を報じる多数のニュースで取り上げられました。山陰中央新報では、論説記事「人口減対策を提案」の冒頭から内田准教授の発言を引用し、「人々の価値観が人間関係の豊かさを求める方向に変わってきている」という流れに地域活性のヒントがある、と論じました(記事全文が閲覧可能です。こちら)。また、毎日新聞はシンポジウムで話題となった「働き方」について、企業や男性の働き方への価値観の変化を呼びかける内田准教授の提言を取り上げ、記事を締めくくっています。


◇掲載記事


山陰中央新報 ー 「論説 : 人口減対策を提案/島根らしさをどう生かす」(2014.10.15)
日本海新聞 ー 「人口減や高齢者社会考える 松江でシンポジウム」(2014.10.20)
・山陰中央新報「地方に人材、活力維持を 松江で政府主催シンポ 人口減歯止めへ議論」(一面ほか 2014.10.15)
・日本経済新聞「人口減社会巡り雇用や所得議論 内閣府主催、松江に330人」(2014.10.15)
・読売新聞「若者の県外流出防げ 内閣府シンポ」(地域・島根 2014.10.15)
・読売新聞「『選択する未来』シンポジウム in 東京・松江 夢持てる日本 共に」(特別面 2014.10.21)
・毎日新聞「未来の『働き方』論議 少子高齢化考えるシンポ 松江」(2014.10.16)


◇シンポジウム概要(内閣府のページ)
「選択する未来」シンポジウム 日本の未来像-人口急減・超高齢社会を乗り越える-

河合教授がエッセイを寄稿した『井筒俊彦全集 第七巻』<月報第7号>が刊行されました

1410kawai_izutsuzensyu.png 思想家・井筒俊彦の著作をまとめた『井筒俊彦全集』(慶應義塾大学出版会)が、2013年秋より順次刊行されています。各巻には毎回、著名人が執筆する『月報』が添えられており、2014年9月に出版された第七巻『イスラーム文化 1981年-1983年』の<月報第7号>に河合俊雄教授のエッセイが掲載されました。


「経験と哲学、イメージとことば ー井筒俊彦からの学びー」河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター教授)


 井筒俊彦という思想家の名前を知ったのは、一九七八年一月の『思想』における今道友信との対談「東西の哲学」が最初であったと思う。そのころの私はまだ京都大学教育学部の二年生で、実験実習、臨床心理学概論など心理学の専門の授業が既にはじまっていて、これから本格的になっていこうとしていたところだった。
 しかし私の関心はむしろ哲学の方に向いていく。幸いにきわめて自由というかルーズな大学であったので、文学部の辻村公一先生のハイデガー講読、上田閑照先生のマイスター・エックハルト講読などを潜って聴講していった。短いテキストを厳密に読んでいくことから深い思想が浮び上がってくることはまるで魔法のように思われたのである。そしてそれは私の経験に響くところがあった。
 一方で臨床心理学やユング心理学という経験や実践に裏づけられた学、他方で哲学という文献を読むことに基づく学への平行した関心というのは、やがて私の中に葛藤を引き起こす。また同時に私の中で、この両方は対立するものではなくて、共通するものがあるのではないかという予感も生まれてきた。
 その際に私をおおいに勇気づけてくれ、また参考になったのが井筒俊彦の著作である。


(『井筒俊彦全集 第七巻』<月報第7号>より)


 『井筒俊彦全集』は、全12巻+別巻で構成され、2015年秋までに全巻が刊行される予定です。


慶應義塾大学出版会『井筒俊彦全集』特集ページ


 なお、2014年11月8日には、井筒俊彦生誕100年記念トークセッションが慶應義塾三田キャンパスで開催され、河合教授が登壇します(参加無料/要申込)。興味のある方は、下記リンクをご覧ください。


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井筒俊彦生誕100年記念トークセッション 「伝播する井筒俊彦」

『現代密教』に鎌田教授の講演録「日本の風土と神仏習合の過去と未来」が掲載されました

 真言宗智山派の智山伝法院が発行する機関誌『現代密教』第25号(2014年3月発行)に鎌田東二教授の講演録が掲載されました。


 2013年2月25日に別院真福寺でおこなわれた智山伝法院主催の公開シンポジウム「自然と人間〜震災を契機とした仏教的自然観〜」にて、鎌田教授は赤坂憲雄学習院大学教授らと共にシンポジウムに参加しました。「日本の風土と神仏習合の過去と未来ー東北被災地をめぐりながら考えること」というテーマで講演した鎌田教授は、多様で豊かな日本の自然と文化をバッグボーンとする神道と、それに共鳴しながら人々の暮しに寄り添ってきた仏教それぞれの関係と歴史を紐解き、東日本大震災で浮き彫りになった寺社と地域の生態智との深い関わり、被災者の暮しと心を支えた仏神と伝統芸能の力について、東北被災地を幾度も巡った経験と長年の研究知見をもとに考察しました。


kamata_gendaimikkyo.jpg「日本の風土と神仏習合の過去と未来ー東北被災地をめぐりながら考えること」京都大学こころの未来研究センター教授 鎌田東二先生


 東日本大震災後、これまで私は四回にわたって福島県相馬市や名取、青森県八戸市までの四〇〇〜五〇〇キロ、一番長くは一〇〇〇キロ近くを巡りました。たくさんの神社、お寺、新宗教の施設や教会や仮設住宅を訪ね、そこで被災者の方々にお話を伺ってきました。その過程で、改めて思ったのは、日本に神社とお寺の両方があって、そして神道と仏教の伝統行事が町々や村々に、排他的でなく共存してくれていることを本当にありがたいと思いました。東北各地の被災地で、多くの神社やお寺が避難所となったり、地域の復興のよりどころになったり、そこで行われるさまざまな民俗芸能の姿が活力を与え、鎮魂、供養のしるしになっているのを見てきましたが、そのような思いを強く持った次第です。
 神仏習合の歴史と民俗を持っている日本の過去から、聖徳太子やおじいさんに当たる欽明天皇の時代から仏教が入ってきたと言われています。神道と仏教、神社とお寺が、時には少し争うこともありましたけれども、全体としてみれば、仲良く共存し、地域住民の精神的な支えや共同社会の大事な基盤、インフラになってきたという過去と伝統があり、今なおそのかたちが残っている。それは、恐らく未来にわたって日本の重要な文化特徴もしくは文化資源として伝えられていくだろう。こういう、今に生きる歴史文化遺産をこれから先も大いに生かしていく。そういう必要があると強く思ったわけです。


(講演録より)


◇関連情報
『現代仏教』第25号の紹介ページ - 智山伝法院ウェブサイト

鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 22」(2014年10月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 8月、鎌田教授は東北被災地を再び巡りました。浪江町では震災の傷跡がそのままの寺を訪問。復興が進まない被災地の現状と共に、旅先から戻った矢先に網膜剥離で緊急入院手術を受けた自身の過酷な体験について報告しています。入院期間中、作家・石牟礼道子氏による水俣病をテーマとした「苦海浄土」を妻から読み聞かせてもらった鎌田教授は、退院直後に実際に石牟礼氏に対面しておこなったインタビューの感想を記し、水俣、福島の経験をつなぎ合わせながら世に引き継いでいかねばならない、と語っています。


1410kamata_tokushima.png「痛ましさの中の希望 福島から水俣へ、そして『苦海浄土』の水俣から福島へ 祈りのような『福音』聴く」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 8月末、NPO法人東京自由大学の夏合宿で福島県の浪江町から岩手県まで400キロほど東北被災地を巡った。浪江町では特別許可をもらって、地元の真言宗のお寺の住職さんの案内で東日本大震災が起きた時の状態そのままになっているお寺を参拝した。一行で般若心経を唱え、法螺貝を奉奏した。(中略)
 入院中は、23時間うつぶせ状態を維持し、「山伏」ならぬ「うつぶせ行」の修行のようだった。入院中の2週間の間に石牟礼道子氏(87)の「苦海浄土」第1部、第2部全部と第3部の一部を毎日妻に読んでもらった。こうして「石牟礼道子全集」の第2巻と第3巻のほぼ2巻分、1000ページ余を耳で読んだ。
 そして実に悲しくも美しい作品であると思った。悲しみとは水俣病患者の痛みや苦しみと、その原因をなした企業や行政や国の対応の暴力的な無慈悲さ。美しさとは、病を得てもなお水俣の海とともに行きている人々の生活世界の、伝承世界とそれの感応する生の息吹の涸れることのない美しさ。つまりはタイトル通り、「苦海=苦界」と「浄土」とが共に鋭く深く美しく描かれ、ループしている奇跡のような作品であり、透明な祈りとやり場のない呪詛のこもった、実に深々と肺腑を抉り貫く作品だと感じ入った。


(記事より)

京都新聞に『講座スピリチュアル学 第1巻 スピリチュアルケア』(企画・編/鎌田東二、執筆/カール・ベッカー、鎌田東二ほか)の書評記事が掲載されました

 京都新聞の読書欄(2014年9月28日付)で、鎌田東二教授が企画・編集をおこない、カール・ベッカー教授、島薗進東京大学名誉教授・上智大学グリーフケア研究所特任所長、井上ウィマラ高野山大学教授らと執筆した『講座スピリチュアル学 第1巻 スピリチュアルケア』が紹介されました。


140928kamata_kyotonp.png○出版あれこれ 『スピリチュアル学 第1巻』


 「はじめに」で鎌田教授は、スピリチュアル学を、心と身体、魂の全体を丸ごと捉え生きがいなど生の価値に絡めて考察する学問と定義づけ、多くの被災者が出た東日本大震災では、心理学的な「心のケア」では対応できない深い悲しみにさらされた人が多く、スピリチュアルケアが注目されるようになった、と書く。


(記事より)


◇関連情報
『講座スピリチュアル学 第1巻 スピリチュアルケア』(企画・編/鎌田東二、執筆/カール・ベッカー、鎌田東二ほか)が出版されました

鎌田教授の著書『超訳 古事記』を原作にした舞台が上演されます

1409kamata_kojiki.png 鎌田東二教授の著書『超訳 古事記』(2009年 ミシマ社)と、セルゲイ・ズーバレフの戯曲『豊葦原の国にて』を原作にした舞台演劇『古事記〜天と地といのちの架け橋〜』が2014年10月7日から13日まで東京両国のシアターⅩ(カイ)にて全7公演でおこなわれます。


太古から、口づてに伝承された物語・古事記。
1300年の時を経て甦る遺伝子の記憶・・
この日本の心のエッセンスをつたえる神話を、現代の<儀式>として舞台化します。
神話的意識を取り戻し、
神話(=自然)の智恵をひらき、
"いま"へと伝承される美しく優しい古事記です。
舞台上の「儀式」を通して注がれる清らかなエネルギーが
現代人の心を癒す、奇跡の瞬間を体験してみませんか?


(『古事記〜天と地といのちの架け橋〜』ウェブサイトより)


 東京ノーヴイ・レパートリーシアターは、演出家レオニード・アニシモフが中心となって2004年に結成された演劇集団です。「傷ついた現代人の心を深く癒し、魂の糧となる本物の演劇」を生み出すことを目標に、ロシアの演劇理論、スタニスラフスキー・システムによる俳優訓練と、日本では稀なレパートリーシステムという長期連続公演を実践することで、極めて繊細で質の高い作品を発表しています。


 2009年にミシマ社より出版された鎌田教授の『超訳 古事記』は、『古事記』上巻の神話を鎌田教授が自身の記憶とイメージをもとに口語で語り切り、それをもとに一冊の本に仕上げた極めてユニークな書籍です。「天地開闢からスサノオ伝説まで、驚くほど平明でリズム感のよい語りは、神話本来の生命感を鮮明に伝えてくれる」(『週刊文春』09年11月19日号)と評価され、神話になじみのなかった若者にも受け入れられました。


 鎌田教授の語った古事記が、鬼才・レオニード・アニシモフによって舞台芸術となり、現代人のこころに新たな体験として届けられます。興味のある方は、ぜひご覧ください。


『古事記〜天と地といのちの架け橋〜』
原作:鎌田東二「超訳古事記」  / セルゲイ・ズーバレフ 戯曲「豊葦原の国にて」
演出:レオニード・アニシモフ
翻訳:遠坂創三  / 上演台本:東京ノーヴイ・レパートリーシアター
衣装デザイン:時広真吾(リリック) / ヘアメイク:佐藤圭
音楽:町田育弥 、後藤浩明  /  マイム指導:山本光洋
演出助手:アルチョム・アニシモフ / 芸術監督:レオニード・アニシモフ
主催・制作:東京ノーヴイ・レパートリーシアター
http://www.tokyo-novyi.com/japanese/kojiki.html


チラシのダウンロードはこちら→(表面)(裏面


『超訳 古事記』- ミシマ社(出版社の書籍ページ)

鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 21」(9月22日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 7月22日、こころの未来研究センターで第5回東日本大震災関連シンポジウム「こころの再生に向けて〜震災後の自然と社会」がおこなわれました。研究プロジェクトの鎌田教授は司会進行役を務め、参加者らと討議しました。今回のコラムではシンポジウムでの各講演を振り返り、震災後の社会が抱える問題と未来への課題について考察・提言しています。


1409kamata_tokushima.png「『分断』どう向き合う 震災後の自然と社会 いのちの連環 再構築を」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 さる7月22日、京都大学で第5回東日本大震災関連シンポジウム「こころの再生に向けて〜震災後の自然と社会」を開催した。冒頭で法螺貝の奉奏と黙祷をささげた後、研究プロジェクトの代表者である私が今回の企画の趣旨説明を行い、第1部では、ゲストの田中克氏(京都大名誉教授、森里海連環学)による「震災後の自然環境の変化」と草島進一氏(山形県議、羽黒山伏、元神戸元気村副代表)による「震災後の社会と持続可能な未来」の基調講演を持った。また、第2部として、プロジェクトメンバーの島薗進氏(東京大名誉教授、上智大グリーフケア研究所所長)による「原発事故が問いかけるもの」の報告の後、総合討論を行った。
 3者が共に指摘した問題点は、さまざまなところでさまざまな形で現れてくる「分断」にどう向き合うかということだった。その「分断」を超えて、地域性という空間軸においても、時代や歴史という時間軸においても、「いのち」の全体性やつながりを回復し再構築していく作業こそが未来を創るという至極当然の事実を、希望と光明を感じつつ確認した。


(記事より)


第5回東日本大震災関連シンポジウム「こころの再生に向けて~震災後の自然と社会」を開催しました - こころの未来研究センター

内田准教授のコメントが情報誌『シティリビング』に掲載されました

 女性向け情報誌『シティリビング』8月29日号(発行:サンケイリビング新聞社)に、内田由紀子准教授のコメントが掲載されました。


 シティリビングは、大阪・神戸を中心とするオフィスに無料配布されている発行部数約12万部の人気情報誌です。内田准教授は、今号の特集「読者白書 今の生活、満足している?」で、読者アンケートにもとづき発表された女性の暮らしの満足度調査について、交友関係や職場の雰囲気、経済面、恋愛・結婚などそれぞれの結果に基づき、文化・社会心理学者の視点からデータを読み解き、アドバイスしています。


1409uchida_living.pngオフィスで働く女性のための情報誌 シティリビング 2014.8.29
「読者白書 今の生活、満足している?」


日々仕事に精を出し、オフは思い思いにプライベートな時間を過ごしているシティ読者たち。今回はそんなみんなの、暮らしへの満足度をリサーチ。合わせて、「満足」「不満」と上手に付き合う方法をレクチャーします。


○この人に聞きました
内田由紀子さん
京都大学こころの未来研究センター准教授。専門は、幸福感・他者理解・対人関係についての文化心理学研究。2010年12月~2013年3月には、内閣府「幸福度に関する研究会」の委員を務めた。


(記事より)


 記事はシティリビングのウェブサイトでお読みいただけます。下記リンク先をご覧ください。


読者白書 今の生活、満足している? - シティリビングWeb

熊谷准教授のインタビューが京都新聞「探求人」に掲載されました

 熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)のインタビューが、8月23日付京都新聞朝刊の教育面「探求人」に掲載されました。インタビューでは、研究室での様子を写したカラー写真と共に、熊谷准教授が研究人生へと踏み出したいきさつからブータン仏教と出逢ったきっかけ、現在、ブータン学研究室で取り組んでいる古文書の解読や現地に溶け込んでの活動など、独創性に満ちた研究生活がいきいきと語られています。


1408kumagai_kyotonp.png「探求人 『幸せの国』の仏教思想に迫る よりよい社会へのヒント ブータンと精神文化交流を」京都大こころの未来研究センター准教授 熊谷誠慈さん(34)仏教学


 「GNHが生まれたルーツを探ることで、現代社会に応用できる知恵を見つけられないだろうか」。そんな思いから、12年に「ブータン学研究室」を京都大こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門に設け、国内やブータンの研究者とともにブータン仏教の研究を始めた。
 対象とするのは他の研究者が手をつけていない領域だ。現地で探し出した古文書を日本に持ち帰って解読を進める一方、寺院や遺跡を訪ね、僧侶や土地の長老からその歴史を聞き取った。これまでの研究で、ブータン仏教の二大宗派であるドゥク派とニンマ派、少数宗派のサキャ派の思想や成り立ちの全体像がつかめてきた。


(記事より)


□関連情報
こころの未来研究センター ブータン学研究室のページはこちら

阿部准教授の論文が京都新聞や多数のテレビ番組で報道されました

 『Journal of Neuroscience』に掲載された阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)の論文「Response to anticipated reward in the nucleus accumbens predicts behavior in an independent test of honesty」の内容が、京都新聞の「科学トピックス」や、全国放映のニュース番組やバラエティ番組などで多数報道されました。


 8月23日付の京都新聞朝刊の教育面では、論文の内容が詳しく説明され「人間の行動予測に役立つ可能性がある研究成果」と紹介されました。また、下記リストにあるように、テレビでも多数報道され、うそと脳活動の関係への社会の関心の高さがうかがえました。


1408abe_kyotonp.png【新聞報道:追加】
・京都新聞「科学トピックス うそと脳活動に関係」(8月23日付朝刊/教育面)


【テレビ報道:追加】
・日本テレビ ヒルナンデス(2014年8月6日)
・日本テレビ 情報ライブ ミヤネ屋(2014年8月6日)
・朝日放送 キャスト(2014年8月6日)
・日本テレビ Oha!4 NEWS LIVE (2014年8月7日)
・日本テレビ スッキリ!!(2014年8月7日)
・日本テレビ ウェークアップ!ぷらす(2014年8月9日)


□論文の発表記事と概要はこちら
阿部准教授の共著論文が『Journal of Neuroscience』に掲載されました

『心理臨床の広場』(日本心理臨床学会発行広報誌)に河合教授の論考が掲載されました

 日本心理臨床学会が発行する広報誌『心理臨床の広場』Vol.7 No.1(2014年8月30日)に、河合俊雄教授の論考が掲載されました。今号は「ことば」をテーマとした特集が組まれ、河合教授は「『赤の書』ーユングと言葉」というタイトルで寄稿しています。


 極彩色の絵やカリグラフィーなどイメージ的要素が中心の『赤の書』において、言葉はどのような役割を果たし、どのような意味が持っているのか。河合教授は、イメージを描写する第一層の言葉、第一層を解釈する役割を持ちながらも既存の概念を超える試みがなされている第二層の言葉、さらにイメージから切り離されて一次的な文節としてのはたらきを見せる独立したテキストなど、本の各部分での言葉が持つ特徴と役割について解説しています。


写真 (44).jpg「『赤の書』ーユングと言葉」 京都大学こころの未来研究センター 河合俊雄


 「あなたがたに物語った、私が自分の内的なイメージを追求していた歳月は、私の生涯において最も重要な時期であった。ほかのことはすべてこの時期から導きだすことができる。この時期にすべてが始まったのだ」と八〇歳を過ぎたユングは、自分の『赤の書』を振り返って語っています。ユングは第一次世界大戦の前に精神的危機に陥り、ヨーロッパが洪水になる恐ろしいヴィジョンに何度も襲われます。後に自分の見た夢やヴィジョンだけでなく、それらに基づいて、積極的にイメージを喚起していったアクティヴ・イマジネーションの内容を『黒の書』という日記に書きつけます。そのイメージの記述部分に、さらに絵と解釈するテキストを加えたのが『赤の書』です。ここには、後のユングの心理学の元になったもの全てがあると言えるでしょう。(中略)


 このように『赤の書』はイメージを中心としつつも、それを言葉で描写し、さらにそれを言葉で解釈したものです。また第三部の「試練」は深層が直接に言葉として分節されたものと考えられます。その意味で、このたび挿画を含まない、小判で廉価な『赤の書 テキスト版』(C.G.ユング/S.シャムダサーニ編/河合俊雄監訳、創元社、二〇一四年)が刊行されるのは、『赤の書』の言葉に焦点を当てるためにもよい機会になるのではと期待しています。


(記事より)


 なお、論考にもあるように、この夏、日本では河合教授の監訳のもと、挿画を含まないテキストのみの『赤の書 テキスト版』が刊行されました。


1408kawai_akanosho.png『赤の書 テキスト版』書籍情報はこちら(創元社のページ)

阿部准教授の論文が日本経済新聞で報道されました

 『Journal of Neuroscience』に掲載された阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)の論文「Response to anticipated reward in the nucleus accumbens predicts behavior in an independent test of honesty」の内容が、日本経済新聞(2014年8月6日夕刊14面)で報道されました。


1408abe_nikkei.png「うそつき、脳で分かる?京大、活動領域で解明 学生ら30人を測定」


脳の活動領域から正直者とうそつきの違いが分かったと、京都大の阿部修士特定准教授らの研究グループが発表した。報酬を期待する際に働く「側坐核」という領域の活動が活発な人ほど、うそをつく割合が高かったという。論文は7日、米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(電子版)に掲載される。


(記事より)


□論文の発表記事はこちら
阿部准教授の共著論文が『Journal of Neuroscience』に掲載されました

阿部准教授の論文がKTVニュースなど多数のメディアで報道されました

140807abe.png 『Journal of Neuroscience』に掲載された阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)の論文「Response to anticipated reward in the nucleus accumbens predicts behavior in an independent test of honesty」の内容が、日経新聞、KTV(関西テレビ)ニュース、読売テレビニュース、Yahoo!ニュース、マイナビニュース、ライブドアニュースなど、多数のメディアで報道されました。


 関西圏で放映されたKTVニュース(8月6日、午後2時55分〜)では、阿部准教授が大学本部でおこなった記者会見の模様やfMRIを用いた実験の様子が映し出され、今回の論文で発表された「正直な人、嘘をつく人は脳の側坐核(そくざかく)の活動に違いがある」という内容が図表と共に分かりやすく紹介されました。


 また、日本経済新聞の8月6日夕刊14面や、Yahoo!ニュースのトップ記事など、ニュースメディア各社でも報道されました。以下、ウェブ上でご覧いただけるニュースのリンク(2014年8月7日現在)をご紹介します。


うそつき、脳で分かる? =活動領域で解明―京大 - Yahoo!ニュース

"ウソつき"は脳で分かる...京大研究G発表 - 日テレNEWS24

なぜ正直者と嘘つきがいるのか?-京大が脳活動から原因を解明 - マイナビニュース

"ウソつき"は脳で分かる...京大研究G発表 - ライブドアニュース

うそつき、脳で分かる?=活動領域で解明―京大 - ガジェット通信


□論文の発表記事はこちら
阿部准教授の共著論文が『Journal of Neuroscience』に掲載されました

鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 20」(8月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 7月5日、鎌田教授は新日本研究所の主催する「3.11と音楽」の催しで、福島の詩人・和合亮一氏と作曲家・新実徳英氏の対談のコーディネーター役を務めました。原発事故後の緊迫のなか、ツイッターで心の言葉を発信し続けた和合氏、それに音楽をつけて歌にした新実氏。反響を呼んだ二人の取り組みに対し、神道ソングライターとして『歌と宗教: 歌うこと。そして祈ること』(ポプラ新書)という著書を持つ鎌田教授は、あらためて「歌の力」を実感し、その思いを綴っています。


1408kamata_tokushima.png「すべて超える歌の力『和合して新しい実となったつぶてソング』魂を抱きしめたと確信」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 「つぶてソング」と呼ばれる歌がある。7月5日、その歌を鎌倉市大船にある鎌倉芸術館で聴いた。新日本研究所(代表・島薗進)主催の「3.11と音楽」の催しで。メーンは「つぶてソング」12曲を含む、松原混声合唱団による作詞和合亮一・作曲新実徳英の合唱曲全17曲のコーラス。
 すばらしい合唱曲で、終了後のアンケートには、「感動した」「涙が止まらなかった」という感想が多く寄せられた。中には、「会場に光が満ち満ちていた」という感想もあった。
 この音楽イベントの冒頭で、福島の詩人である和合さんと、作曲家の新実さんの対話を私がコーディネーターとなって行うことになった。(中略)
 司会を進めながら、思わず私は言った。「演壇の机に貼られている和合さんと新実さんの姓を見ていると、『和合して新しい実となる』と読めますね!」と。歌うことが祈ることであり未来を切り拓くことであることを、その場にいた誰もがその恊働作業を通じて感じとった。
 音楽の力と希望。それはすべてを超える。国境も民族も性別も年齢も宗教も超える。超えて超えて超えて、人の心と大地を貫いて天まで届き、死者の魂を抱きしめたと確信した。そんな「歌の力」をあらためて確信した一日だった。


(記事より)

鎌田教授の書評が『週刊読書人』7/25号に掲載されました

 『週刊読書人』2014年7月25日号の特集記事「44人へのアンケート特集 2014年上半期の収穫から 印象に残った本132冊」に鎌田東二教授の執筆した書評記事が掲載されました。鎌田教授は、松嶋健氏(日本学術振興会特別研究員・国立民族学博物館外来研究員)の著作『プシコ ナウティカ―イタリア精神医療の人類学』(世界思想社)を筆頭に、岡田浩樹他編『宇宙人類の挑戦―人類の未来を問う』(昭和堂)、小木曽由佳『ユングとジェームズ―個と普遍をめぐる探求』(創元社)を紹介しました。


1407kamata_dokusyo.png 『プシコ ナウティカ―イタリア精神医療の人類学』(世界思想社)。人類学に元気がなくなって久しい。その衰退は、フィールドの不在と方法論の行き詰まりとして指摘されている。だが、どっこい。人類学は生きている。その証拠に、「イタリアの精神医療の人類学」という副題を持つ472頁の大著が刊行されたのだから。著者はイタリア中部の都市の地域精神保健サービスの諸施設を7年がけでフィールドワークし、「精神医療」から「精神保健」の移行を緻密かつダイナミックに描き出す。


(記事より)


週刊読書人のページはこちら(目次、執筆者一覧など)

河合教授の寄稿文「脱『他者』時代へのコミットメント」が毎日新聞に掲載されました

 7月7日付の毎日新聞夕刊文化面「パラダイムシフト――2100年への思考実験 第4部」の連載7回目に、河合俊雄教授の寄稿文「脱『他者』時代へのコミットメント」が掲載されました。


 新たな「思考の枠組み」について考える同紙の「パラダイムシフト」シリーズの第4部は「転換期の人類に求められる倫理を問う」というテーマで様々な分野の識者が寄稿しています。河合教授は心理療法家の視点から、若者の心の葛藤の欠如や罪悪感の希薄化について、臨床現場での事例を挙げながら、現代社会における善悪の基準の揺らぎや他者の視点による倫理観の消滅傾向との関連性について考察しています。この先、偏った倫理観や人工的に規定された倫理を超えるためのヒントとして、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』(新潮社)のキーワードとなった「コミットメント」(関与)を取り上げながら、自身の内部から発生する新たな倫理を模索するための手がかりを提示しています。


1407kawai_mainichi.png「脱『他者』時代へのコミットメント」河合 俊雄(京大教授・臨床心理学)


 心理療法は、「こうすべきだ」という基準から自由なことが大切である。たとえば、不登校の子どもに対しても、「学校に行くべきだ」という考えをすぐに押しつけない。それどころか親に暴力をふるったり、万引きをしたりする子どもに対しても、「暴力や万引きは悪いことだ」と教えない。そういう形でこころが求めざるをえないものは何かを考えていこうとする。たとえば万引きは、愛情など何か足りないものを求めているのかもしれない。
 その意味で心理療法は外の世界での倫理を一度括弧に入れて、個々人の内面の成長に取り組んでいると言えよう。だから倫理の揺らぎや葛藤に直面しやすい。親に暴力をふるうのが悪いこととわかっていても、怒りと衝動に圧倒される、などのように。
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 ところが、近年に葛藤や罪悪感をあまり感じないクライアント(心理療法を受ける人)が増えている。日本人の代表的な心理症状は、自意識の葛藤である対人恐怖であったのが、解離性症状や発達障害に代わってきていることにも関連しているようである。


(記事より)

河合教授の共編著『遠野物語 遭遇と鎮魂』の書評が中日新聞に掲載されました

1407kawai_chunichi.png 2014年3月に出版された河合俊雄教授の共編著『遠野物語 遭遇と鎮魂』(岩波書店)の書評が、6月29日付の中日新聞に掲載されました。書籍の共編者は赤坂憲雄学習院大学文学部教授で、著者には京都大学からは河合教授のほか、田中康裕教育学研究科准教授が加わっています。新聞では「『遭遇』と『鎮魂』をテーマに、臨床心理学と民俗学の視座から柳田国男の『遠野物語』を分析した論集。(中略)大震災以後の状況を背景に、九人の研究者が多様性に富んだテキストの読解を試みる」と評されました。


□関連情報
河合教授の共編著『遠野物語 遭遇と鎮魂』が出版されました - こころの未来研究センター
出版社(岩波書店)の書籍紹介ページ

鎌田教授が登壇した『シンポジウム「土・水・火・空を問う」』講演録が刊行されました

1407kamata_shinnihon.png 新日本研究所(代表・島薗進上智大学教授、東京大学名誉教授)が2014年4月、綾部市にて開催したシンポジウム「土・水・火・空を問う」の講演録が刊行されました。鎌田東二教授は司会進行役を務め、「日本で初の世界連邦都市宣言をおこなった綾部市」でシンポジウムを開催した経緯やシンポジウムのテーマの意味とねらいについて説明し、島薗進代表、金子啓明興福寺国宝館館長、四方八洲男綾部市前市長、紀藤正樹弁護士らパネリストと共に、宗教、文化、自然、霊性、現代人の心などについて、東日本大震災をめぐる諸問題や綾部で起こった大本の弾圧の歴史、国家と個人をつなぐ中間者としての役割など様々な話題を織り交ぜながら、壮大なテーマのもと縦横無尽にディスカッションしました。フルカラーの講演録には、数多くの写真と共にシンポジウムの模様が鮮やかに記録されています。


テーマ「土・水・火・空を問う」について


【鎌田】何故このようなシンポジウムの標題にさせていただいたのか、そして私自身が綾部とどのような地縁を持っているかを最初にお話しさせていただきます。
 皆様のお手元にパンフレットがあるかと存じますが、これを見てピンと来る人は少ないと思います。何故、このような抽象的と思えるようなタイトルを選んだのか、その主旨は何なのかと疑問に思う人もあると思います。
 パンフレットの裏を見ていただくと、「一九四八年三月、世界連邦憲法 シカゴ草案の一節」があります。
 「人類の存在に必要欠くべからざる四大要素、土地・水・空気・エネルギーは、人類の共同の財産である。」(中略)
 日本で最初に世界連邦都市を宣言した綾部の地で、世界連邦の根幹となる精神は、自分達が生息している生存環境そのものであり、エネルギーは「火」と見ることができるので、四大元素というものをもう一度根底から問い返していこうと考えました。また、未来に向かって、とりわけ東日本大震災と私達の生存環境がどんどん劣化する状況の中で、もう一度この問題を考えていこうという主旨で、このタイトルが選ばれました。一番普遍的なところである人類の環境問題を取り上げたいと考えたわけです。


(講演録より)

鎌田教授、河合教授の論考が『井筒俊彦 言語の根源と哲学の発生』に掲載されました

1407izutsu.png 今年は、世界的な思想家として知られる井筒俊彦の生誕100年にあたります。6月、河出書房新社より出版された『井筒俊彦 言語の根源と哲学の発生』に、鎌田東二教授と河合俊雄教授の論考が掲載されました。


 同書では、井筒俊彦の思想、哲学を様々な識者が様々な角度から論じています。鎌田教授は「井筒俊彦と東洋哲学」の章において、「詩と宗教と哲学の間 言語と身心変容技法」という題にて、井筒俊彦を「詩と宗教と哲学の間をつなぐ思想家」と位置づけ、西脇順三郎と折口信夫が与えた影響や、身心変容技法研究の視点から見た井筒の神秘哲学について、詳細に要点をまとめ解説しています。河合教授は「井筒哲学の基層」という章において、「井筒俊彦とエラノス精神」という題で執筆。ユング心理学と大きな関わりを持ったエラノス会議に何度も赴いた井筒俊彦の思想と「エラノス精神」について、また、井筒のあとをうけてエラノス会議に参加した河合隼雄京大名誉教授のエラノス、井筒との関わりについて論じています。


「詩と宗教と哲学の間 言語と身心変容技法」 鎌田東二


 井筒俊彦の仕事は実に広範に亘っているが、その全体を井筒自身がもくろみ多用した「共時的構造化」という観点を用いていえば、「詩と宗教と哲学の間」を探求したといえるだろう。その三者の間を往還しながら、自在かつ必然にその間を思索したといえるだろう。(中略)
 折口信夫と西脇順三郎。この韜晦で独自の創造的詩的言語を駆使する詩人研究者に接した特異な青年井筒俊彦。それがどれほどの強力で過酷な教育と思想錬磨と思索深化の機会となりトレーニングとなったか。実にゴージャスで過酷な学生時代を過ごしたものである。凡庸な学生なら到底務まらず、音を上げていたにちがいない。井筒俊彦は、詩と宗教と哲学の間を西脇順三郎と折口信夫という稀代の二人の慶應義塾大学教授によって往還させられたのだ。それは特異な経験であり僥倖ともいえる「修行」であった。『意識と本質 - 精神的東洋を索めて』(岩波書店、一九八三年)を読んでいると、井筒の問いの基底に、いつもこの特異な二人の詩人学者の「檄薬」が仕組まれ、効いているような思いに捕われる。


「井筒俊彦とエラノス精神」 河合俊雄


 井筒の論考は、常に現代に生きるこころを意識しており、「主体性、実存的な関わりのない、他人の思想の客観的な研究には始めから全然興味がない」とさえしている。だからこそ井筒の研究は、狭い意味の思想史研究や比較思想研究にとどまらずに、東洋思想を共時的に絡めて、現代における意義を問うものになったと思われる。主著の『意識と本質』はそれを端的に示しているであろう。
 井筒は冒頭にも引用した「『エラノス叢書』発刊に際して」の中で、次のように述べている。「エラノス会議は終わっても、エラノス精神は終わらない。それは現に、今もなお生きているし、おそらく今後も生き続けてゆくだろう。(中略)存在の異次元、不可視の次元にたいして人々の胸に情熱が燃え続けるかぎり。実存の深層領域にたいする人々の探究心が働き続けるかぎり......」その意味で、井筒の言うエラノス精神を受け継ぐとは、現代の思想のコンテキストで、また現代のこころのあり方に関連して実存の深層領域を捉えることではなかろうか。
 まさに河合隼雄が最晩年に華厳哲学と取り組もうとした試みも、このようなものとして理解できる。


『井筒俊彦 言語の根源と哲学の発生』出版社の書籍ページはこちら
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畑中助教の研究紹介記事が『Kyoto University Research Activities』に掲載されました

IMG_3471.jpg 京都大学の外国向け研究紹介冊子『Kyoto University Research Activities』(Vol.4 No.1 June 2014)に、畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)の研究紹介記事が、顔写真と共に掲載されました。女性研究者を特集した今号の「Cutting-Edge Research in Kyoto University」というコーナーにて、畑中助教は専門とする臨床心理学の研究において、災害のただ中と災害後における人々のこころの問題の表出と、それに向き合う心理学者の奮闘について英語で紹介しています。


" Do we need psychological problems? - Researching kokoro from the perspective of clinical psychology. " Chihiro Hatanaka, PhD / Uehiro Assistant Professor, Kokoro Research Center

During times of great disaster, the human psyche exhibits no psychological symptoms. The reality of the danger does not allow space for inner conflict. After the disaster, however, many psychological symptoms emerge. We found such phenomena in the care work for the Great East Japan earthquake. Even when peace is attained in the outer world, we need some inner struggles to work itself. Clinical psychologists research into the psychological problems and their transformation through the psychotherapy, which shows us the resilience and potential of our psyche.


冊子は、下記リンク先のページにて後日公開され、ダウンロードのうえご覧いただけます。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/issue/research_activities/index.htm

鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 19」(7月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 7月1日、政府は集団的自衛権の行使を限定容認する憲法解釈の変更を決定しました。鎌田教授は、安倍政権の「速攻」的な政策と今回の閣議決定について、これまで米国の庇護下にあった日本の有様を「子ども」に例え、「大人」になろうとしている現在の国策の本質的問題を指摘し、疑問を呈しています。


1407kamata.png「日本は『大人』なの? 守るべきものと少年」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 安倍政権は第1期から憲法改正に意欲を燃やす政権だった。それが途中で挫折して政権放棄し、政治家として再び頂点に立つことはできないと思っていたところ、諸般の政治力学や国際情勢、党内事情も絡み、再び自民党総裁となり、首相に返り咲いた。近年、希有な事例である。再選以降の安倍首相の活動は息もつかせぬ速攻だ。(中略)
 集団的自衛権の行使の憲法解釈がその一例である。これは国論を二分している。だが、実態は、誰が見ても、米国のプレゼンスを高め補強する政策にしか見えないのではないか。それは果たして日本の国民を守るものなのか?「安全保障」や「防衛」を言い募りながら、国民を一層の危険にさらすものではないのか?
 戦後、日本の国は国民を守る者になるのではなく、他国(米国)に守られる者になることでわが身の生育に一喜一憂してきた。米国の傘の下で安逸をむさぼってきたことは事実だ。その「12歳」の子どもが背伸びして「大人」になろうとしているのかもしれないが、それよりも、「永遠の少年」を国是として守り抜くような在り方を貫いてもいいのではないか。


(記事より)

河合教授の解説記事が『精神療法』増刊第1号に掲載されました

1406kawai_seishin.png 河合俊雄教授の解説記事「河合隼雄の三編」が、『精神療法』増刊第1号(原田誠一、精神療法編集部編)に掲載されました。


 「先達から学ぶ精神療法の世界:著者との対話への招待」というテーマで編まれた本号では、精神療法の先達による名著の数々が紹介されています。各書籍に対する解説、識者らによるコメント、さらにコメントに対するコメントがまとまっており、様々な視点から本の特徴を知り、読み方のアドバイスを得ることができます。河合教授は、河合隼雄京大名誉教授が残した『ユング心理学入門』『昔話と日本人の心』『ユング心理学と仏教』について、「河合隼雄の心理療法を理解し、そこから何らかのインパクトを得られる」三編として紹介。岩宮恵子島根大学教育学部教授と山中康裕京都大学名誉教授が、それぞれの視点から三つの書に対するコメントを寄せ、それらに河合俊雄教授がリコメント記事を書いています。


 河合隼雄財団のウェブサイト(下記リンク)に、より詳しく分かりやすい記事の紹介が掲載されていますので、ぜひそちらもお読みください。


精神療法増刊第1号に「河合隼雄の三編」がとりあげられています- 河合隼雄財団ウェブサイト


先達から学ぶ精神療法の世界:著者との対話への招待 『精神療法』増刊第1号 おもな目次

河合教授による村上春樹最新作の論評記事「女のいない男たちのインターフェイスしない関係」が『新潮』に掲載されました

1406kawai_shincho.png 村上春樹の9年ぶりの短編小説集『女のいない男たち』を論評した河合俊雄教授の記事、「女のいない男たちのインターフェイスしない関係」が、『新潮』2014年7月号に掲載されました。


 昨年出版されベストセラーとなった長編小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の論評、『色彩を持たない多崎つくるの現実への巡礼』(『新潮』2013年7月号掲載)が話題となった河合教授が、村上氏の一年ぶりの新作、9年ぶりの短編小説集の論評を手がけました。作品におさめられた6つの短編に共通して流れるテーマに光をあて、前作同様、心理学的な手法を用いながら作品の分析に挑んでいます。


「女のいない男たちのインターエフィスしない関係 村上春樹作品論」河合俊雄


『女のいない男たち』は短編集であるので、それを全体として一つの作品として扱ってよいのかどうかには疑問が残るかもしれない。しかしここでは、愛の対象が謎で、間接化されていて遠いという、一つの共通テーマから全体を読み解いてみたい。筆者はユング派の分析家なので、その視点を入れつつ考えたい。


(記事より抜粋)


□関連情報
『村上春樹の「物語」―夢テキストとして読み解く―』(河合俊雄/著、2011年、新潮社)
11kawai_murakami.png

河合教授のインタビューが東京新聞、中日新聞に掲載されました

 河合俊雄教授のインタビューが、東京新聞、中日新聞の5月10日付「考える広場」に掲載されました。世間を騒がせている「STAP細胞問題」と「偽ベートーベン問題」について、人々を感動から失望へとおとしめた出来事に何があったのか。河合教授はコメンテーターとして、それぞれの事件の背後に横たわる現代社会の問題をみつめ、自分と他者、社会との境界のゆらぎを指摘し、「コミットメント」(関わり)をキーワードに未来への提言をおこなっています。


1406kawai_chunichi.png「虚と実のあいだ オリジナル難しい」 京都大こころの未来研究センター教授 河合俊雄さん


 自分と他者、社会との境界がなくなってきたことは、とても心配。「これが自分だ」というものを守りたくなる反動が起きるからです。グローバル化によって原理主義が出てきたように、オウム真理教のようなものを信じたい、だまされたいというところまでいってしまいます。
 個の確立が必要ですが、それは夏目漱石でさえ無理でした。私は、村上春樹さんが河合隼雄(臨床心理学者)との対談で提起した「コミットメント(関わり)」が必要だと考えています。何かや誰かに自分を懸けて関わっていく。自分を固定するのでも、時代に流されるのでもない。どこかで立ち上がり、動くことが求められていると思います。


(記事より抜粋)


鎌田教授の編著『究極 日本の聖地』が『週刊現代』で紹介されました

 鎌田東二教授の編著『究極 日本の聖地』が、『週刊現代』で連載されている嵐山光三郎氏の「リレー読書日記」で紹介されました。嵐山光三郎氏は、「マニアックな専門書のなかにもキラリと光る名著る」をテーマに4冊の本を取り上げ、『究極 日本の聖地』の内容を詳しく紹介しています。


140606kamata.png「リレー読書日記:日本の聖地、泉鏡花、平凡出版。マニアックな専門書のなかにもキラリと光る名著があります」嵐山光三郎


 『究極 日本の聖地』の編著者、鎌田東二氏は神道ソングライターでフリーランス神主で京都大学こころの未来研究センターの教授である。『超訳 日本の古事記』(ミシマ社)が評判になった文学博士である。(略)
 あとがきを新潟から鶴岡へむかう、いなほ八三号自由席の車輛で書くというライブ感覚もよく、出羽三山神社の修験道を体感する。鎌田氏のますますの活躍を祈ります。


(『週刊現代』第20号/2014.6.2発売 より)


□関連ページ
鎌田教授の編著『究極 日本の聖地』が出版されました - こころの未来研究センター

内田准教授と阿部准教授のインタビューがリビング京都に掲載されました

1405uchida_abe_living.png 内田由紀子准教授と阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)のインタビューが、5月31日発行のリビング京都(発行:京都リビング新聞社)の巻頭特集記事「日々の暮らしを〝ごきげん〟に」に掲載されました。


 リビング京都は、京都市と近辺エリアの約49万世帯に配布されている総合生活情報紙です。毎週、暮らしのためになる知恵や専門家からのコメントをまとめた特集記事が好評で、今号は「ごきげん」という言葉にスポットをあて、ごきげんであることのメカニズムやメリットについて多方面からのアドバイスや経験談を取り上げています。内田准教授は、社会・文化心理学者の視点で「ごきげん」であることの心の状態を分析し、ごきげんになるための心の切り替え方についてアドバイスしています。また、阿部准教授は神経科学者の視点から「ごきげん」であることが脳に及ぼす影響などについて解説しています。


 記事は紙面のほか、リビング京都のウェブサイトでも全文をお読みいただけます。下記リンクにアクセスしてご覧ください。


□リビング京都 2013年3月23日号
「日々の暮らしを〝ごきげん〟に」
http://www.kyotoliving.co.jp/article/140531/front/index.html (ウェブ版)
http://book.kyotoliving.co.jp/living/140531c/#page=1 (紙面版)

鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 18」(6月2日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 5月24日、鎌田教授は東京ドイツ文化センターで開催された国際シンポジウム「老いと踊り」に参加し、「日本の神話と儀礼における翁童身体と舞踊」という演題で講演しました。鎌田教授は、シンポジウム全体での大きなテーマとして、西洋の舞踊世界における「老い」へのまなざしと扱い方について注目し、老いをタブー視する西洋と、それに反して老いと経験と年齢によって名人の境地へと達する非西洋社会における舞踊の世界との隔たりについて具体的な事例を取り上げました。また、現代の日本における「老いと踊り」の関係性が、今後、西洋の舞踊界のみならず、超少子高齢化が進む日本の一般的な社会にもどのように影響するか、「いかなる生存価値を新たに創り出すことができるか見極めていきたい」と綴っています。


1405kamata_tokushima.png「『老いと踊り』国際シンポジウム 西洋は若さが至上価値 日本では経験・年齢重要」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 この国際シンポジウムに招待されて、私は「日本の神話と儀礼における翁童身体と舞踊」と題して講演した。日本文化においては、古来、翁(オキナ)と媼(オバア)と童(ワラベ)が最も神に近い存在として、あるいは神の化身としてイメージされ尊重されてきたことを指摘し、脳の「翁」や、沖縄のノロやツカサなどのオバアの霊力について考察した。そしてそこにおいては、老人と子どもが変換可能で、相補的かつ相互侵入的であり、その「翁童身体」の原像が「古事記」に描かれた須佐之男命であることを示し、やなぎ氏の"老女マンダラ"の世界に対して"翁マンダラ"の世界を描いた。「7歳までは神の内」とか「60過ぎれば先祖に還る」などの伝承も、日本の「翁童文化」の一例である。
 このような日本文化における「老いと踊り」が、若さを至上価値としてきた欧米の人間観やダンス哲学にどのようなインパクトを与え、世界最先端を行く日本の超少子高齢化社会のありようにいかなる生存価値を新たに創り出すことができるか見極めていきたい。


(記事より)

鎌田教授が寄稿文を執筆した『ミャンマー仏教を語る』が出版されました

1405kamata_pagoda.png 鎌田東二教授が寄稿文を執筆した『ミャンマー仏教を語る : 世界平和パゴダの可能性』が、2014年5月、現代書林より出版されました。


 本書は、2013年9月に北九州市門司区にある国内唯一の本格的ミャンマー寺院「世界平和パゴダ」の運営再開を記念して開催された「門司 世界平和パゴダ建立五五周年記念 仏教文化交流『仏教が世界を救う』」シンポジウムをまとめたものです。鎌田教授は、「日本列島と日本の宗教文化の土壌に、戦後新たに育ち始めたミャンマーのパゴダの霊性が、いよいよ時と人を得て、次のステージへと展開し始めた」と、パゴダの再開に期待をこめたメッセージを寄稿しています。


○書籍情報


著者:一条真也、八坂和子、天野和公、井上ウィマラ
出版社:現代書林
出版年月日:2014/05/14
判型・ページ数:4-6・108ページ
定価:本体1,000円+税
ISBN:9784774514680


○目次


世界平和パゴダに想う 住職 ウ・ウィマラ長老
ミャンマーと日本のかけ橋をめざして 日緬仏教文化交流協会会長 佐久間進
第1章 世界平和パゴダと日本
第2章 ミャンマー仏教の役割
パゴダ・プロジェクトに寄せて〜縁の行者からの応答 鎌田東二


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WEBRONZA(ウェブロンザ)に下條特任教授の論考「ダライ・ラマとの対話」が掲載されました

140521shimojo_ronza.png 朝日新聞社の言説サイト「WEBRONZA(ウェブロンザ)」に、下條信輔特任教授(カリフォルニア工科大学教授)の論考記事「ダライ・ラマとの対話~仏教科学と近代科学、そして聖性」が掲載されました。


 2014年4月11日・12日にこころの未来研究センターとMind & Life Instituteが共同開催した国際会議Mapping the Mindに講演者として参加した下條教授は、会議でのダライ・ラマ法王の言葉を紹介しながら、法王が近代科学や教育に精通し、仏教的視点から科学を見つめ精力的に教育・研究事業に取り組んでいる背景について解説すると共に、登壇者それぞれの講演のエッセンスをまとめ、今回の会議の意義について考察しています。


WEBRONZA「ダライ・ラマとの対話~仏教科学と近代科学、そして聖性:下條信輔」はこちら

内田准教授のインタビューが男女共同参画推進センターの冊子に掲載。京都新聞で紹介されました

1405uchida_danjo2.JPG 男女共同参画推進センターが発行した冊子『未来に繋がる青いリボンのエトセトラ』に、内田由紀子准教授のインタビューが掲載されました。


『未来に繋がる青いリボンのエトセトラ』
発行:京都大学 研究国際部/男女共同参画推進本部(男女共同参画推進センター)/学術支援研究室(2014年4月)


○未来の研究者たちへ...京都大学の女性研究者から一言
p8「研究者という仕事は、女性に向いていると思います」 こころの未来研究センター 准教授 内田由紀子


 この冊子は、「未来の女性研究者へ、京都大学の女性研究者からのメッセージ」というキャッチフレーズで、京大で活躍する女性研究者たちの活動や人となり、研究者となった動機などをカジュアルに紹介したPR誌です。内田准教授は、心理学の道を選んだ経緯や研究活動を紹介すると共に、現在、家事・育児とバランスをとりながら研究する自身のスタイルについて話しています。


■京都新聞一面で紹介されました


 また、冊子が作られたことが4月30日付の京都新聞の一面コラム「洛中洛外」に載り、内田准教授のコメントが名前、所属センター名と共に紹介されました。


 冊子は、京都大学男女共同参画推進センターのウェブサイトでPDFが公開されています。下記リンクにアクセスし、ダウンロードしてご覧ください。


京都大学男女共同参画推進センターウェブサイト - 冊子「未来に繋がる青いリボンのエトセトラ」
http://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/news/2014/04/20140423gba.php

内田准教授の座談会記事が京大広報誌『紅萠(くれなゐもゆる)』に掲載されました

1405kurenai.png 京都大学の広報誌『紅萠(くれなゐもゆる)』25号(2014年3月発行)に、内田由紀子准教授が参加した座談会記事が掲載されました。


巻頭座談会「異文化のもとで学び、大きくて自由な世界を拓く」


○ゲスト:フォルカー・シュタンツェル 駐日ドイツ連邦共和国大使
○ホスト:赤松明彦 京都大学理事(学生・図書館担当)・副学長
清水展 京都大学東南アジア研究所長
○進行:内田由紀子 京都大学こころの未来研究センター准教授(『紅萠』編集専門部会)


 座談会では、ゲストにフォルカー・シュタンツェル駐日ドイツ連邦共和国大使(※座談会当時)を迎え、赤松明彦副学長と清水展東南アジア研究所長がホスト役として参加し、京大広報委員会『紅萠』編集専門部会のメンバーである内田准教授が進行役を務めています。大使の京大留学時代のエピソードや異文化接触を重ねて得た知見の数々をはじめ、グローバル化時代における異文化交流のありかたなど、読み応えのある内容となっています。


 『紅萠』は、京都大学のウェブサイトでPDFが公開されています。下記リンクにアクセスし、ダウンロードしてご覧ください。


京都大学ウェブサイト - 国内向け広報誌「紅萠(くれなゐもゆる)」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/issue/kurenai/

河合教授の論考「河合隼雄と井筒俊彦」が『三田文学』に掲載されました

140513kawai_mita.png 慶應義塾大学にゆかりのある文芸誌で100年近い歴史を持つ『三田文学』No.117号(2014年春季号)に河合俊雄教授の論考「河合隼雄と井筒俊彦」が掲載されました。井筒俊彦生誕100年を記念して組まれた特集に、安藤礼二氏、山本芳久氏、鏡リュウジ氏、田口ランディ氏らと共に稿を寄せています。父、河合隼雄京大名誉教授に影響を与えた井筒俊彦とその思想について、両者の邂逅の目撃者として綴っています。


「河合隼雄と井筒俊彦」 河合俊雄


『三田文学』一九九三年春季号(三十三号)に、河合隼雄は「井筒俊彦先生の思い出」と題する追悼のことばを寄せている。「目の前にある山が一瞬にして消え失せる。井筒先生が亡くなられたのは、それと同じことだと感じる。あれだけの該博な知識、しかも、それが生き生きとして平明な言葉で表現されてくる仕組み。それが一瞬にしてなくなってしまうなどということが、あってよいのだろうか、と思う。惜しんでもあまりあることだ」。このように河合隼雄は述べ、その突然の死を悼んでいる。そこには深い敬愛と哀悼の気持ちが込められているように思う。その人にしかできない、まだまだこれからという創造的な営みが、一夜にしてなくなってしまうなどということがあってよいのだろうか。しかしその同じ気持ちを河合隼雄の親しかった人たちが何年か後に味わうことになるのを、本人はもちろんまだ知るよしもない。


(記事より抜粋)


三田文学のウェブサイトはこちら
http://www.mitabungaku.jp/quarterly0.html


 

普及指導員についての研究論文(著者:竹村連携研究員・内田准教授・吉川教授)が『PLoS ONE』に掲載されました

1405uchida_journal.png こころの未来研究センターの教員提案型プロジェクトで実施された研究論文(竹村幸祐連携研究員・現滋賀大学経済学部准教授、内田由紀子准教授・吉川左紀子教授)"Roles of extension officers to promote social capital in Japanese agricultural communities." が、国際科学雑誌『PLoS ONE』に掲載されました。


 論文は、国内の農業普及指導員を対象にした大規模な社会心理学の手法に基づく調査結果をまとめたもので、農業普及指導員の農村コミュニティでの「つなぐ」力についてソーシャル・キャピタル(社会関係資本)という観点から分析しています。


 論文掲載のニュースは農業の総合月刊誌『技術と普及』5月号(発行:全国農業改良普及支援協会)にも掲載されました。


1405uchida_gijutsu1.png「【Topics】日本の普及指導員の仕事を世界へ発信 〜『農をつなぐ仕事』研究論文が海外学術雑誌に掲載〜」
『技術と普及』(全国農業改良普及支援協会)のウェブサイト


 なお、オープンアクセスジャーナルですので、どなたでも論文を読むことができます。下記リンクにアクセスしてご覧ください。


Takemura, K., Uchida, Y., & Yoshikawa S (2014). Roles of extension officers to promote social capital in Japanese agricultural communities. PLoS ONE 9:
e91975. doi:10.1371/journal.pone.0091975
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0091975

鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 17」(5月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 この春、鎌田教授は「宗教者災害支援連絡会」3周年記念シンポジウム「宗教と災害支援ー3.11以後と今後」、Mind&Life Instituteとこころの未来研究センターの共催による国際会議「Mapping the Mind」、新日本研究所主催のシンポジウム「土・水・火・空を問うー世界連邦都市綾部から」、韓国の東国大学校での講演会「アジア共同体の構築に向けた仏教と宗教の役割〜日本の宗教文化の視点から」など、様々な場に赴きました。鎌田教授は、これらの活動を報告すると共に、宗教学者の視点から現代社会における宗教の果たす役割や存在意義について考察しています。


140501kamata_tokushima17.png「今を生きる宗教の意義と力 心の平安に大きな役割 被災者と地域を支える」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授


 4月となって新学期が始まり、一挙に慌ただしくなった。加えてシンポジウムなどイベントも重なった。(中略)
 そして23日、韓国は慶州の仏教系(曹渓宗)大学の東国大学校で「アジア共同体の構築に向けた仏教と宗教の役割〜日本の宗教文化の視点から」と題して講演した。(中略)
 心を鎮め浄化する鎮魂供養の力を持つ芸能・芸術のワザや政治や政府に頼らない人間的なつながり・ネットワーク、友愛や慈悲や誠を供給する共感共同体の形成、そしてそれを基盤に作り上げる理知的認識の共有とそれを支える理想・願・意志の志向性の深化を問いかけた。
 世界は苦悩に満ちている、だが、そこから脱却する道があると仏教は教えるが、心の平安をもたらし共鳴・共存できる「アジア共同体」を作ることができなければ人類の未来が暗いことはいうまでもない。そこで宗教の役割はまだまだ大きなものがあると確信する。


(記事より)

鎌田教授のコメントが『中外日報』に掲載されました

 宗教・文化専門紙の中外日報(4月18日付)に、鎌田東二教授のコメントが掲載されました。歌う宗教者の活動を取りあげた特集記事「時事展描 歌うことは祈ること 苦悩を浄化する力」で、みずから神道ソングライターとして研究活動と共に音楽活動に取り組む鎌田教授が、宗教者が歌うことの意味についてコメントしています。


1404kamata_chugai.png「苦悩を浄化する力 京都大の鎌田教授」


 鎌田教授は、「歌は物事を理性的に判断、知的に納得するだけではなく、身体も感情も全てを包み込み、鎮魂する力を持っている」と話す。悲しみが曲になる課程で、苦悩を乗り越え、浄化する浄水器のような役割を担っているという。
 「人間は皆、苦しみ悲しみながら懸命に生きることで、既に歌っているといえます。これから先、自らの経験をもとに実際に歌う人がもっと増えてくれれば」ーー。


(記事より)

鎌田教授が新日本研究所のシンポジウムに登壇。京都新聞、あやべ市新聞に掲載されました

 鎌田東二教授が、4月19日に新日本研究所主催のシンポジウム「土・火・水・空(そら)を問う~世界連邦都市綾部から」にコーディネーターとして登壇しました。その模様が京都新聞(4月20日付)、あやべ市民新聞(4月23日付)に掲載されました。


 シンポジウムは、日本で初めて世界連邦都市宣言をした綾部市の市民ホールを会場に、混迷する社会の問題を見つめ、現代社会における宗教の役割を考えることを目的に開催されました。会議全体をまとめる役割を担った鎌田教授は、島薗進東京大名誉教授らと共に宗教の歴史から現代の宗教をめぐる問題と課題、東日本大震災で宗教が果たした役割など、多岐に渡るテーマについて討論をおこないました。


1404kamata_ayabe.png○「宗教の枠超え協力を 綾部でシンポ 社会での役割考える」


 宗教や哲学などの専門家でつくる「新日本研究所」(東京都港区)は19日、シンポジウム「土・火・水・空(そら)を問う~世界連邦都市綾部から」を綾部市並松町の市民センターで開き、社会における宗教の役割を考えた。(中略)
 京都大こころの未来研究センターの鎌田東二教授をコーディネーターに、研究所代表で宗教学者の島薗進東京大名誉教授、興福寺国宝館の金子啓明館長、弁護士の紀藤正樹氏、綾部市の四方八洲男前市町が意見を交わした。(京都新聞・4月20日付/記事より抜粋)


1404kamata_ayabe2.png○「宗教学の権威ら綾部に集結 宗教法人の社会貢献も促す」


 混迷する日本社会の病巣を見つめ、新しいヒューマニズムを再構築しようーと日本を代表する宗教学者らが綾部に集結して19日、並前町の市民センターでシンポジウムを開いた。(中略)
 神道の研究を始めた39年前に綾部を訪ね弾圧の跡地に立って国つ神の精神性を考え、誓いを立てたという鎌田さんは冒頭、パネリスト4人にシンポジウムの標題に沿って各自の活動紹介を求めた。(あやべ市民新聞・4月23日付/記事より抜粋)

内田准教授の解説記事が『地上』に掲載されました

1404uchida_chijo.png 内田由紀子准教授の解説記事「社会心理学から見えてきた 農の『つながり』力」が、JAグループの出版・文化団体である家の光協会が発行する農と食の総合誌『地上』2014年5月号に掲載されました。


 記事は、内田准教授が取り組んできた農業の普及指導員を対象とした大規模な調査研究をもとに、JAの営農指導員の啓発につながる具体的なアドバイスや事例紹介が盛り込まれています。普及員の仕事と農村でのつながりを研究するなかで、農の現場における「つながり」はなぜ大切なのか、どのような「つながり」方が効果を発揮するのか、上手につながりをつくる普及員はどのような活動をしているのか、内田准教授が自身の研究活動を通して見えてきたことを紹介しながら、若手の営農指導員が成長、活躍するためのアイデアを共に探る形で構成されています。


1404chijo.png「社会心理学からみえてきた 農の『つながり』力」解説・内田由紀子


 わたしたち心理学者は、つながりをつくりだす人の心の側面から「どうやったらよいつながりをつくれるのか」「つながりがなにを生み出しているのか」という問いを立て、研究してきました。
 わたしが勤めている研究機関では「きずな形成」をキーワードに研究が行われています。農業の素人だったわたしたちが地方農政局の紹介で農業の普及指導員(以下、普及員)を対象とした研修会に参加、「つながり」について話をさせていただいたことがきっかけとなって、普及員の仕事と農村でのつながりづくりについて調査研究することになりました。(中略)
 研究では、どういう行動をしている人が、普及員として指導の効果を上げているのか、うまくいっているのはどんな普及員なのかを調べてみました。すると、いろんな外部の組織とつながりを持っている普及員が、地域のつながりをうまくつくっていることがわかりました。


(記事より)


▽参考記事
『地上』2014年5月号雑誌紹介ページ(家の光協会)
『農をつなぐ仕事 ~普及指導員とコミュニティへの社会心理学的アプローチ~』(内田由紀子・竹村幸祐 著)書籍紹介ページ(創森社)

鎌田教授の論考「神道と音」が『怪』41号に掲載されました

1404kamata_kai.png 鎌田東二教授の論考「神道と音」が、妖怪マガジン『怪』41号(角川書店/2014年4月2日発行)に掲載されました。


 『怪』は年三回発行される妖怪専門ムック本です。「妖怪」をテーマに毎回、多彩な執筆陣が寄稿しています。鎌田教授は、第一特集「『音』異界の音をきく」において、神道と音の密接な関わりについて解説。神を扱った言葉の変遷や数々の『古事記』のエピソードと共に、神道と音と声と歌の結びつきについて考察しています。


特集「音」異界の音をきく 「神道と音」鎌田東二(神道ソングライター/京都大学こころの未来研究センター教授)


 神道にとって「音」は決定的に重要である。というのも、「神」の顕現が「雷=神鳴り=神成り」のイメージ複合をもって考えられていたからである。
 語源的に言えば、「雷」の古語は「稲妻」であるが、それは神が鳴らすものと考えられたために、「神鳴り=雷」と呼ばれるようになった。その「神鳴り」は、古代人にとって、何よりも、「ちはやぶる神」の神威の表象だったのである。「カミナリ」とは、そうしたちはやぶる神エネルギーの発現であり、発音であり、発生=発声であった。


(記事より抜粋)


『怪』41号:出版社(KADOKAWA)の書籍ページ
『怪』41号:Amazonの書籍ページ

鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 16」(4月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。


 揺れる国際情勢の中、日本では今年3月末に「ふるさとづくり有識者会議」の最終報告書がまとめられました。委員を務めた鎌田教授は、記事にて報告書の要点を紹介。日本の生態智や伝統が保たれ人々の絆や交流が築かれる場が「ふるさと」であると定義付け、ふるさとづくりの担い手や経済的基盤づくりについても議論がなされたことを報告し、今後のふるさとづくり推進のための取り組みとして、「ふるさと学」による誇りの回復、コーディネーターの育成、地域主導の後押し等が具体策として提示され、ガイドブックが全国に配布されたことを紹介しました。鎌田教授は、ふるさとづくりを「国づくり」へと連動させるためには様々な社会問題、地球問題への取り組みのグランドデザインが必要である、と提言しています。


140401kamata_tokushima.png「ふるさとづくり会議 生活の場活性化へ提言 国づくりとの連動が鍵」鎌田 東二 京大こころの未来研究センター教授


 ウクライナ共和国のクリミア自治共和国の帰属をめぐり米欧とロシアの対立が顕在化し、国際関係が大きく揺れ動き、軋んでいる。加えて、台湾の学生による国会議事堂占拠、北朝鮮によるミサイルの発射など、同列に論じられないものの、東アジア情勢も不安定さと緊迫度を増している。そのような中、政府の「ふるさとづくり有識者会議」が3月末に最終報告書をまとめた。(中略)
 こうした個別具体の「ふるさとづくり」が「国づくり」という大きな政策や方向性とどう連動し整合性を持つかが重要である。そしてその前提として、気象変動・地球環境問題、食糧問題、少子高齢化問題(人工構成問題)、基地・防衛問題、原発・エネルギー問題、TPP・貿易協定問題への取り組みのグランドデザインが必要だ。
 ふるさとづくりが絵に描いた餅にならないためにも、国づくりの基盤と基本が明示され、合意されねばならないが、しかし動乱の様相を見せる流動的な状況下にある現在、先行きは実に不透明であると言わねばならない。


(記事より)

内田准教授のインタビューがウェブマガジン「greenz.jp(グリーンズジェーピー)」に掲載されました

 内田由紀子准教授の研究と活動内容を紹介したロングインタビュー「"つながりの資本"から日本社会の幸福感を探求する『こころの未来研究センター』内田由紀子さんの仕事とは?」が、ウェブマガジン「greenz.jp(グリーンズジェーピー)」に掲載されました。


 インタビューでは、内田准教授が2008年にこころの未来研究センターに着任してから現在に到るまでの研究活動の道のりが丁寧に紹介されています。農業普及指導員を対象におこなった調査研究、海外の研究者らとおこなったひきこもり研究、昨年、初めて開催したダイアログバーなど、社会への関心とつながりを活かしながら研究と活動を進める内田准教授の等身大の姿にふれていただける内容となっています。


140326uchida_greenz.png"つながりの資本"から日本社会の幸福感を探求する「こころの未来研究センター」内田由紀子さんの仕事とは?


研究者にとって、社会課題とは新しい研究のヒントになりえるもの。「京都大学こころの未来研究センター」に勤務する内田由紀子さんもまた、基礎研究を元にしながらも、社会課題を心理学の手法で読み解くことによって自らの研究の幅を広げてきました。


社会課題に基礎研究をつなげる最初のきっかけとなったのは農業の普及指導員という「あまり知られていないけれど大切な仕事をする人たち」との出会い。心理学とはまったくかけはなれた農業の世界に飛びこんだことで、内田さんの世界は大きく変わることになりました。


心理学者から見る日本の農業の世界にはいったい何が起きていたのでしょうか?


(記事より)


 続きはぜひ「greenz.jp」のページをお読みください。


"つながりの資本"から日本社会の幸福感を探求する「こころの未来研究センター」内田由紀子さんの仕事とは? | greenz.jp

船橋教授の共著論文の概要が京大ホームページに掲載されました

 船橋新太郎教授と、オックスフォード大学の渡邉慶研究員(2012年2月までこころの未来研究センター研究員)の共著論文「Neural mechanisms of dual-task interference and cognitive capacity limitation in the prefrontal cortex」の概要「二つのことを同時にしようとすると、どちらも中途半端になる脳の仕組みを解明」が、京都大学の公式ホームページに掲載されました。


 ページでは、研究者のコメント、研究概要、詳しい研究成果が記されたドキュメントファイル(PDF)、京都大学学術情報リポジトリへのアクセスURLをまとめて参照いただけます。下記リンクからご覧ください。


二つのことを同時にしようとすると、どちらも中途半端になる脳の仕組みを解明 | 京都大学:お知らせ(2014.3.3)

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船橋教授の共著論文のレビューが『ライフサイエンス 新着論文レビュー』に掲載されました

 船橋新太郎教授と、オックスフォード大学の渡邉慶研究員(2012年2月までこころの未来研究センター研究員)の共著論文「Neural mechanisms of dual-task interference and cognitive capacity limitation in the prefrontal cortex」の著者レビューが3月18日、『ライフサイエンス 新着論文レビュー』に掲載されました。


『ライフサイエンス 新着論文レビュー』は、「トップジャーナルに掲載された日本人を著者とする生命科学分野の論文について、論文の著者自身の執筆による日本語のレビューをだれでも自由に閲覧・利用できるよう、いち早く公開するサイト(サイト紹介文)」です。


 論文の内容を日本語で詳しくお読みいただけます。下記のリンク先をご覧ください。


前頭連合野における神経活動の解析により二重課題干渉とこれにかかわる認知的な容量制限の神経機構を明らかにした/渡邉 慶・船橋新太郎|ライフサイエンス 新着論文レビュー
140318funahashi.png

鎌田教授のコメントが毎日新聞に掲載されました

 3月13日付の毎日新聞「聖地に怒り」記事に、鎌田東二教授のコメントが掲載されました。伊勢神宮や出雲大社をはじめとする各地の「パワースポット」で参拝者のマナー悪化が問題となっていることを報じた記事で、鎌田教授は長年の聖地巡礼・研究者の立場から、聖地に対して感謝の意を表することの大切さなどについてコメントしています。


140313kamata_mainichi.png「聖地に怒り 『パワースポット』参拝に誤解 宮津・真名井神社 柵設け『禁足』」


 高校時代から50年近く聖地巡礼を続けている鎌田東二・京大こころの未来研究センター教授(宗教哲学)は「場合によっては参拝への規制も必要だろう」とする一方で「聖地に関心が高まるのはいいこと。パワーのもらいっぱなしではなく、感謝と返礼の意を表すことが大切では」と話している。


(記事より)


■関連情報
鎌田教授の著書『聖地感覚』が出版されました(2013.11.06)

鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 15」(3月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。ソチオリンピックで話題をさらい感動をもたらしたフィギュアスケートの浅田真央選手の演技と発言について、中世日本の仏教者の「絶対他力と絶対自力の統合」に重ね合わせ、「自己最小化と自己最大化を同時に達成する矛盾を両立」させたと考察。日本の剣豪宮本武蔵にも通じるとし、武蔵の武道哲学の神髄を浅田選手の活躍に見た、と高く評価しました。


140301kamata_tokushima.png「浅田真央と宮本武蔵 武道哲学の神髄を具現 相反する概念統合し闘う」鎌田 東二 京大こころの未来研究センター教授


 ソチ冬期オリンピックで最も注目を集めたのは浅田真央選手の演技と発言であった。ショートプログラムでまさかの16位。が、フリーでは会心の自己ベスト。どちらもきわめてドラマチックで、見ている者の心をわしづかみにした。
 その浅田選手の演技と発言を見ていろいろと考えさせられた。アスリートたちは一瞬一瞬自分を捨てて、しかも自分を最大化するワザを磨き続けているのだなと尊敬の思いを抱いた。
 そこでは自己最小化と自己最大化を同時に達成する矛盾が両立しているように見える。そうでないと最高の演技はできないというのが極意のように思える。法然や親鸞など中世日本の仏教者の言葉を借りれば、絶対他力と絶対自力の統合である。
 それを実現することは実に困難だが、いつもそれに向かって自己投企し続ける冒険心と身を捨てる献身力が要る。そんな身心変容技法に関わる秘技を見せられたように思う。


(記事より)

鎌田教授のインタビューが「たいまつ通信」72号に掲載されました

 鎌田東二教授のインタビュー記事が、禅林舎の発行する「たいまつ通信」72号(3月10日発行)に掲載されました。1〜2面に渡るロングインタビューで、鎌田教授は最新刊『歌と宗教』について、本の完成に到るまでの背景や、歌との関わり、神話時代からの人々の生命の発露としての歌の起源と意味などについて語っています。


140310kamata_taimatsu.png「存在の根底に歌がある いのちそのもの、「生成」と「消滅」は表裏一体 京都大学教授 鎌田東二先生をたずねて」
 

ー先生が歌に目覚めるきっかけは、一九九〇年代に日本を襲った阪神・淡路大震災、オウム事件、そして酒鬼薔薇事件という三つの大きな出来事だったとか。


 私の場合は行動と生活と学問というものを切り離せず、実際に現場に出て、今ここで起こっている現実の出来事を、自分の生き方や研究といかに切り結んでいくかにつとめてきました。だけど、フィールドワーカーには目の前の事態をただ傍観者として観察するだけでいいのか、そういう問いが常に起こってきます。もちろん禁欲的に観察者に踏みとどまる立場もありますが、私は自分の性分や価値観として踏みとどまれずに、学問をひっくるめて参与できる関わり方を自分なりに探ってきました。そうして出てきた結果が、歌うことだったんです。


(記事より)


□関連情報
「鎌田教授の著書『歌と宗教 歌うこと。そして祈ること』が出版されました」(2014.1.6)

河合教授の論評記事が『新潮』3月号に掲載されました

 河合俊雄教授が村上春樹作品を読み解いた論評記事「村上春樹におけるインターフェイスとしての夢」が、『新潮』3月号に掲載されました。


 河合教授は同誌2013年7月号において、『色彩を持たない多崎つくるの現実への巡礼』という論評を発表し、村上作品の最新長編を「現代の意識とこころの課題に向き合った、新たな展開を遂げた作品」と位置づけています。今回は内容をさらに発展させ、作品で多く描かれる夢やイマジネーションが、近代意識に特有な「クローズドシステム」としてのこころにアプローチし、他者・身体・現実へとつながる「インターフェイス」の役割を果たしていると考察。数多くの事例を織り交ぜながら、心理療法との関連性やユング心理学との類似性について論じています。


140311kawai_shincho.png「村上春樹におけるインターフェイスとしての夢」


「それからつくるはもう一度眠りに落ちたのだろう。やがて彼は夢の中に目を覚ました。いや、正確にはそれを夢と呼ぶことはできないかもしれない。そこにあるのは、すべての夢の特質を具えた現実だった。それは特殊な時刻に、特殊な場所に解き放たれた想像力だけが立ち上げることのできる、異なった現実の相だった。」
 これは、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(以下『色彩を持たない......』)からの引用である。この作品は、これまでの村上春樹の長編小説とはかなり異なるものとなっている。特に、これまでの作品のような向こう側の世界や非現実の世界が描かれていないところが特徴的であろう。異世界への境界を簡単に超えていかないことに伴って、こころを閉じられた個人の内にあるものとする近代意識に特有な内面化が必然的に進み、他者との関係も現実的なものになっている。それを『ノルウェイの森』以来のリアリズムとか、ある種の平板化として捉える見方も存在するようである。しかしそのように異世界が消滅していったなかで、冒頭の引用でもふれられているような夢やイマジネーションの性質が特異である。それは必ずしも個人における内面的なものではないように思われ、いわばインターフェイスとして夢やイマジネーションが機能している場合が見られる。本論ではこの村上春樹の最新長編からインターフェイスとしてのイマジネーションや夢のはたらきについて取り上げ、それが実際の心理療法においてどのような位置を占めているかを示したい。


(記事より)


■関連情報
「河合教授による村上春樹最新作の論評記事『色彩を持たない多崎つくるの現実への巡礼』が『新潮』7月号に掲載されました」(2013.6.19)


『村上春樹の「物語」―夢テキストとして読み解く―』(河合俊雄/著、2011年、新潮社)

河合教授のインタビューが京都新聞に掲載されました

 河合俊雄教授のインタビュー記事が京都新聞3月1日付の「一日版 キーワードきょうと/私のキーワードKyoto」に掲載されました。河合教授はキーワードとしての京都を「魂の町」と表現しました。死者の魂と深く関わる京都の町を臨床心理学者、ユング派分析派のまなざしで見つめ、2016年に京都で開かれる国際分析心理学会に向けた想いを語っています。


140301kawai_kyoto.png「私のキーワードKyoto 『魂の町、京都』」 河合俊雄 臨床心理学者


 心理療法、特にユング心理学に関わる者からすると、京都については「魂の町」というキーワードがぴったりとする。心理療法は人のこころや魂という目に見えないものを対象としている。その成立には、こころを個人の内のものにしていった西洋での「内面化」のプロセスが重要である。キリスト教による内面の重視、近代における個人の確立なくして心理療法は存在しないのかもしれない。
 翻って京都のことを考えてみると、そこには独特の内面化が認められる。(略)
 京都の町は、死者の魂の循環で成り立っていて、また町のたたずまいそのものが魂の町であることを示している。世界のユング派の分析家が3年に一度集う国際分析心理学会の大会が2016年8月に京都で開かれる。大会テーマは、「アニマ・ムンディ(世界の魂)の移り変わり」と決まった。これは新プラトン主義の概念で、ユング心理学にとっても大切な、世界全体を包摂するような魂である。けれども、京都の町の魂がいまだに息づいているかどうか、それとも移り変わっていくのか、問うていきたい。


(記事より)


日本ユング派分析家協会ウェブサイト


徳島新聞に鎌田教授の著書『歌と宗教』の書評が掲載されました

 2月18日付の徳島新聞・文化欄「とくしま出版録」に、鎌田東二教授の著書『歌と宗教 歌うこと。そして祈ること』(ポプラ社/2014年1月発行)の書評が掲載されました。亀本美砂徳島県立文学書道館事業課主査による書評には、神道ソングライターとして歌い祈ることをライフワークとする鎌田教授の素顔と歌い始めるまでの道のりが丹念に紹介され、「歌によって人々の魂を癒やし、世界のありようを切り替えていこうとする著者の覚悟と悲願に、読む者の心も奮い立ってこよう」と熱いコメントが寄せられています。


140218kamata_tokushima.png「とくしま出版録 鎌田東二『歌と宗教』森羅万象の響きに応え」


 著者自身は、1995年に起きた阪神大震災とオウム真理教による地下鉄サリン事件、そして97年の酒鬼薔薇聖斗事件(神戸連続自動殺傷事件)から衝撃を受け、自分に何ができるのかを探し求めて、やがて歌うというアクションにつながっていったのだという。
 「理性的に物事を頭で考えて判断したり認識したり知的に納得したりするだけでなく、体も感情もすべて含めてまるごと納得し鎮魂するような形式が必要なのだ。それが、芸能や芸術の力だ」。声明や読経において、たとえ唱えている言葉の意味がわからなくても祈りの響きにわれわれが包まれ、えもいわれぬ感動に打たれたりするように、歌や祈りの言葉は国境や宗教を超えて、人々の魂、身体に直接働きかけるダイナミックな力動性を宿している。だから歌は人間の心を切り替え、世界のありようの感受のしかたや人間の関係性をも切り替えることができるのだとする。(中略)
 「無力であり、無常であるが...信じて、ただ、歌う」という彼の心に耳を澄まし「いのちの応答」の歌をともに歌いたいと思う。


(記事より)


■関連記事
鎌田教授の著書『歌と宗教 歌うこと。そして祈ること』が出版されました(2014.1.06)

内田准教授が講演したセミナーのレポートが『農林水産政策研究所レビュー』に掲載されました

 農林水産省農林水産政策研究所が発行する広報誌『農林水産政策研究所レビュー No.57』に、内田由紀子准教授と竹村幸祐京大経営管理大学院助教が昨年11月に同所でおこなったセミナーのレポートが掲載されました。


 セミナーは「農村コミュニティにおけるソーシャル・キャピタルとその構築:普及指導員調査からのアプローチ」という演題で開催されました。内田准教授と竹村助教が農業普及指導員を対象に実施した調査結果と、その成果をまとめた『農をつなぐ仕事~普及指導員とコミュニティへの社会心理学的アプローチ~』(創森社/2012年11月発行)の内容を中心に、「人とのつながり」に着目した農業・農村の新たな機能・価値に関する講演と意見交換がおこなわれました。


140227uchida_nousui.pngセミナー概要紹介:農村コミュニティにおけるソーシャル・キャピタルとその構築:普及指導員調査からのアプローチ
食料・環境領域 主任研究官 林 岳


講演者/京都大学こころの未来研究センター 内田由紀子氏、京都大学経営管理大学院 竹村幸祐氏  
日 時/平成25年11月20日(水)午後2時~4時30分
場 所/農林水産政策研究所セミナー室


 農業・農村を対象とした社会科学系の研究では,社会学,経済学などの手法を用いた分析は数多く見られるものの,心理学の手法を用いて行った研究分析はあまり見られません。このような中,京都大学こころの未来研究センター内田由紀子准教授と京都大学経営管理大学院竹村幸祐助教のお二方は,社会心理学の手法を用いて農業普及指導員を対象とした研究分析を行い,その成果は『農をつなぐ仕事』(内田・竹村(2012))としてまとめられています。
 このたび,内田先生,竹村先生にこのご著書の内容を詳しくご講演いただいたセミナーを開催しました。


(記事より抜粋)


 記事全文は農林水産政策研究所のウェブサイトで公開されています。下記リンクよりダウンロードしてご覧ください。


セミナー記事はこちら(PDF:453KB)

『農林水産政策研究所レビュー No.57』目次ページ(広報誌全体のダウンロード用リンクあり)

鎌田教授の論考が『スピリチュアルケア第62号』に掲載されました

 鎌田東二教授の論考「日本人のスピリチュアリティ」が、臨床パストラル教育研究センターの発行する機関誌『スピリチュアルケア第62号』(2014年1月20日号)に掲載されました。


 日本人のスピリチュアリティ(霊性)について鎌田教授は、中世の禅と念仏においてその極に達したと結論づけた鈴木大拙に対し、「『日本的霊性』の根幹は、日本人の自然崇拝・自然信仰にある」とし、「当然のように、神道や密教や日蓮思想の中にも日本的霊性は顕視している」と述べています。また、本居信長の歌「敷島の大和心を人問はば 朝日に匂ふ山桜花」を取り上げ、その清らかで素朴で力強い生命感覚を感得する「心」こそが「もののあはれを知る」心であり、「日本人のスピリチュアリティ」の根源にあるものだと考察します。さらに現代の日本人の精神のありようにも言及し、東日本大震災後にあらためて「絆」「地域社会」「地域の自然」が注目され、被災地での現地調査で伝統芸能が人々の精神の復興に大きく寄与する様子を目の当たりにした経験を述べながら、日本人のスピリチュアリティの脈動の存在を伝えています。


IMG_4645.jpg「日本人のスピリチュアリティ」京都大学こころの未来研究センター教授 鎌田東二


 東日本大震災直後から、わたしは半年に1度定期的に東北被災地の太平洋沿岸部を数百キロ追跡調査している。その中で、地域に伝わる神楽などの伝統芸能が地域と支援者を力強くつなぐ媒体になっていることをつぶさに目撃し、そのことを拙著『現代神道論――霊性と生態智の探究』(春秋社、2011 年)や『日本の聖地文化』(編著、創元社、2012年)、『日本の聖地』(編著、2014 年)で報告した。
 神楽などの民俗芸能は、確かに東北各地で、「絆」とも「鎮魂供養」とも「地域活力」ともなっていた。そして、それを保持継承してきた人々の心と生活の中に、消えることのない、絶えることのない脈動があった。それぞれの土地の「ちから」とか「いのち」というほかないものが、神楽や神社や寺院などの具体的な無形・有形の「かたち」として生きつづ
けていた。そこにわたしは「日本人のスピリチュアリティ」と呼ぶことのできる時と場所を超えてはたらきつづけている「いのち」の脈動を聴いた。
 今は、そのようにしか、「日本人のスピリチュアリティ」について語ることしかできない。


(記事より)


 なお、記事全文が臨床パストラル教育研究センターで公開されています。下記のリンクよりアクセスのうえ、ダウンロードしてご覧ください。


『スピリチュアルケア第62号』(1月20日発行)PDF 1.4MB

河合教授のインタビューが読売新聞に掲載されました

 河合俊雄教授のインタビュー記事「杜で語る未来 京大附置研シンポを前に」が、2月11日付の読売新聞に掲載されました。河合教授は、3月15日に宮城県仙台市で開催される「第9回 京都大学附置研究所・センターシンポジウム 京都大学仙台講演会 京都からの提言 21世紀の日本を考える『社会と科学者』」に登壇します。それに先立ち、インタビューでは講演テーマである「発達障害と現代の意識」にちなんだ話題として、近年の発達障害の増加の背景にある社会の様相や、東日本大震災後のこころのケアでのエピソードについて語っています。


140211kawaifuchiken_yomiuri.png「杜で語る未来 京大附置研シンポを前に こころの未来研究センター 河合俊雄教授」


 心理療法では、心に問題を抱えたクライアント(患者)の話を聞き、解決していきますが、大切なのは本人が主体的に考えること。「何とかしたい」と思って相談に来る人に「こうしなさい」と押しつけても、何の解決になりません。
 ところがネット社会では「あなたにお勧めの商品はこれです」という情報が送りつけられ、主体的な判断が難しくなっています。近年の発達障害の増加には、こうした環境も影響しているのでは、と思います。
 一方で、心は本来、強い回復力を持っています。それを実感したのが、東日本大震災でした。


(記事より抜粋)


第9回 京都大学附置研究所・センターシンポジウム 京都大学仙台講演会 京都からの提言 21世紀の日本を考える「社会と科学者」イベント案内(募集は締切りました)

鎌田教授の解説記事が読売新聞に掲載されました

 読売新聞の2月6日付夕刊2面「謎解き【京都】泉涌寺に天皇陵なぜ?」に、鎌田東二教授の解説記事が掲載されました。近世以降、泉涌寺は皇室の菩提所として四条天皇を皮切りに数々の天皇が葬られ、背後の月輪山には16の天皇陵があります。鎌田教授は、鎌倉時代から幕末まで泉涌寺が菩提所となったのは、都を守る東山三十六峰の独特の地形、永遠の生命のイメージを持つ月輪山が陵墓として役目を果たした背景がある、と説明。柳田国男の言葉を引用しながら、日本人の世界観の原点にもふれています。


140206kamata_yomiuri.png「謎解き【京都】泉涌寺に天皇陵なぜ? 永遠の生命思わせる地形 ー 著書『聖地感覚』に京都東山を取り上げた宗教学者 鎌田東二さん」


 東山三十六峰の一つ、月輪山に泉涌寺があります。
 泉が湧いて泉涌寺に改められる前は、仙遊寺と書いたそうですね。仙人が遊ぶような土地という、想像力が働いたのでしょう。
 そこは浮世離れした異界で、仙人ですから長寿、永遠の生命のイメージが維持されていた。月輪山の月も生命サイクルと長寿に結びつく。湧き続ける泉も永遠です。
 死んだ後は永遠の生命に連なって子孫を守る。そういう祈りと願いを込めて天皇の陵墓がここに設けられます。
 民俗学の柳田国男によれば、先祖代々の霊に見守られ、死んだら自分もそこへ溶け込む。これはわれわれにも重要な世界観なのです。


(記事より抜粋)


 鎌田教授は、著書『聖地感覚』(角川学芸出版/2013年10月文庫出版)で、東山三十六峰を聖地の一つに位置づけ紹介しています。「生態学的身体知」を鍛え上げる場として「東山修験道」の歩行(ほぎょう)修行を実践。みずから聖地を歩く修行の日々を本書に収めています。

131025seichikankaku_kamata.png『聖地感覚』紹介記事

内田准教授の研究紹介記事が『Kyoto University Research Activities』に掲載されました

140212uchida.png 内田由紀子准教授の研究紹介記事が、京都大学学術研究支援室の発行する『Kyoto University Research Activities Vol.3 No.3』に掲載されました。


 『Kyoto University Research Activities』は、京都大学のすべての分野から優れた研究を紹介する外国人向け研究紹介冊子です。内田准教授の記事は、先端の研究者を紹介する「Research Frontiers」のコーナーで、幸福感研究の実績と今後の展望などが図表や顔写真と共に紹介されています。


" Culture and Happiness Balance-Oriented Happiness in Japan." Dr. Yukiko Uchida Associate Professor, Kokoro Research Center


Dr. Uchida, a cultural psychologist, has been engaging in empirical research on happiness, the meaning of which differs across cultures. She was a member of the Commission on Well-Being Studies of the Japanese government. It has been pointed out that Japanese score of happiness is lower than other industrialized countries, but Dr. Uchida found that the meaning of happiness in Japan has "yin and yang"--thus for example, their ideal level of happiness is as a 7 on a 10-point scale. Unlike European-American cultures, happiness in Japan is evaluated by taking into account the ups and downs of life as a whole, and by "balancing" social relationships and harmony.


(記事より抜粋)


 記事は学術支援研究室のウェブサイトで全文をダウンロードしてお読みいただけます。下記リンク先のページからご覧ください。


『Kyoto University Research Activities Vol.3 No.3』|京都大学学術研究支援室
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鎌田教授のインタビュー記事が毎日新聞に掲載されました

 鎌田東二教授のインタビュー記事「祈りと自然 おそれと感謝今に」が1月15日付の毎日新聞京都版に掲載されました。同紙の新年企画連載の最終回に登場し、「なぜ祈るのか」という根源的な問いにこたえる鎌田教授は、日本人が古来から自然や神への畏怖を抱き、神社や寺での祈りや奉仕をおこなってきたこと、東日本大震災で神社や寺が被災した人々にとって重要な役割を果たした例を紹介。現代社会で生きる人々の心に「聖地感覚」を呼びさますようアピールしています。


140115kamata_mainichi.png「祈りと自然 なぜ祈るのか おそれと感謝今に 鎌田東二・京大教授に聞く」


 東日本大震災で津波が襲った岩手県野田村の愛宕神社では、小高い境内に多くの人が駆け上がって助かった。宮城県の仙台空港は被災したのに、近くの下増田神社は波がよけて無事だった。古い神社はそばに寺があり、お宝で避難生活ができた。現代の技術を駆使した防災設備よりも先祖が祈りを込めて大切にした場所がいかに役立つか、現地を歩いて実感しました。
 府や市町が盛んに呼びかける「海の京都」ですが、経済効果が目的なのですか?それではまさに本末転倒。府北部の祈りの歴史は古い。まずは住む人の聖なる感覚を呼び覚ますことが、地域の活性化に不可欠ではないでしょうか。


(記事より抜粋)


鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 14」(2月4日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。今年は「四国霊場開創1200年」にあたるといわれています。鎌田教授は、昨年11月に香川大学でおこなわれたシンポジウム「四国遍路の現代的意味」を取り上げ、四国遍路という聖地巡礼が体と心と文化に影響を与える力を持つこと、空海の四国遍路との関わりや著作の重要性について解説しています。また、高野山大学が4月より大阪サテライトキャンペスで開設する「別科スピリチュアルコース」を紹介し、期待感を示しています。


140204kamata_tokushima.png「四国霊場開創1200年 遍路がもたらす変革 高野山大の別科に期待」鎌田 東二 京大こころの未来研究センター教授


 四国遍路を含む「巡礼文化」や「聖地文化」に注目が集まることは悪いことではない。これまでに「聖地への旅」「聖地感覚」「日本の聖地文化」などの著書を出したことのある身としては、これを機に単なる「パワースポットブーム」では終わらない「聖地巡礼」の深まりを期待したい。
 そこで取り上げたいのが、昨年11月30日に香川大学で行われた第23回人体科学会の「旅とスピリチュアリティ」の中の公開シンポジウム「四国遍路の現代的意味」である。伴義孝(関西大名誉教授・身体文化論)、黒木賢一(大阪経済大教授・臨床心理学)、黒木幹夫(愛媛大名誉教授・倫理学)の3氏が興味深い問題提起をした。(略)
 それぞれに大変興味深い観点の提示と問題提起であった。とりわけ、四国遍路が体と心と文化の3層に直接関わり、変革をもたらす力を持っていることを再認識できたことは収穫だった。それらをすべて弘法大師が始めたわけではないとしても、空海の少年期以降の「歩行」や「修行」に四国遍路の淵源があることもあらためて確認できた。


(記事より抜粋)


鎌田教授の著書『歌と宗教』の書評が京都新聞に掲載されました

 鎌田東二教授の著書『歌と宗教』(ポプラ社/2014年1月)の書評が、2月2日付の『京都新聞』朝刊・読書面「新刊の本棚」コーナーに掲載されました。鎌田教授のプロフィールと共に「歌うという行為そのものの本質を探る一冊」と評されています。


IMG_0326.jpg「新刊の本棚 『歌と宗教』 鎌田東二著」


 著者は、京都大こころの未来研究センター教授で宗教学者。フィールドワークなどによる研究を重ねる一方で、神職の資格を持つ歌い手「神道ソングライター」として15年間活動を続ける。自身のユニークな足跡に触れながら、古来よりの祈りと歌との関わりをひもとく。(略)
 心身に働きかける歌の力を、古事記や旧約聖書、般若心経、黒人霊歌などさまざまな例をあげて説く。


(2/2付『京都新聞』記事より)


 『歌と宗教』について詳しくは下記の記事をご覧ください。


鎌田教授の著書『歌と宗教 歌うこと。そして祈ること』が出版されました:こころの未来研究センターHP