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岩手県滝沢市と「幸福感を育む環境づくりに関する包括連携協定」を締結しました

 こころの未来研究センター内田研究室(内田由紀子准教授)と岩手県滝沢市は2018年1月29日、「幸福感を育む環境づくりに関する包括連携協定」を締結しました。
 内田研究室と滝沢市は、同市が第1次滝沢市総合計画を進めていくに当たり、幸福感を育む環境づくりの観点から連携し、市内における意識調査等、滝沢市をフィールドとした研究に取り組んでいきます。
 同日、稲盛財団記念館1階セミナールームにおいて締結式が行われ、柳村典秀市長をはじめとする滝沢市の関係者、吉川左紀子センター長、内田由紀子准教授ならびに研究員らが出席し、協定書への署名、挨拶、概要説明、記念撮影が行われました。


 協定についての詳細は、下記の資料をご覧ください。


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□1月11日付の岩手日報に掲載 「滝沢市と京都大研究センター 幸福づくりへ二人三脚」
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(2018.1.11 岩手日報)


□岩手県滝沢市ウェブサイト:第1次滝沢市総合計画(幸福感を育む環境づくり)
http://www.city.takizawa.iwate.jp/admin/keiei/sougou_keikaku/kouhukukan.html


[発表資料]
京都大学こころの未来研究センターと滝沢市との連携協定締結について
―幸福感を育む環境づくりに関する包括連携協定―


概要
 京都大学こころの未来研究センターと、滝沢市の間で「幸福感を育む環境づくりに関する包括連携協定」を締結し、地域における新たな豊かさとしての「幸福」に関して、学術的な面及び実際の地域活動の面の両面から研究を進め、地域の豊かさや魅力についての検討を深めていく。


1. 背景
 現代の日本においては、人々が重視する豊かさがこれまでの「モノの豊かさ」から「こころの豊かさ」にシフトしている。滝沢市ではこのトレンドを受けて、市の将来像を「誰もが幸福を実感できる活力に満ちた地域」と設定し、その実現に向けた市総合計画では「幸福感を育む環境づくり(の基盤づくり)」を進めることで、人とのつながりを通じた市民の「こころの豊かさ」が育まれ、市の発展につながるという仮説を立てて市政を運営している。しかし、現状は前述の仮説に基づくものでしかないため、人とのつながりが地域の幸福にどのような影響を及ぼすのかという点について、データや客観的事実等に基づく、十分な分析による学術的根拠により裏付けを行う必要がある。
 京都大学こころの未来研究センターでは、内田由紀子准教授を研究代表者として、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)が実施する「持続可能な多世代共創社会のデザイン」研究開発領域の研究開発プロジェクトを推進している。本プロジェクトでは、地域の幸福を多面的に測定し、その結果を地域社会にフィードバックすることで、地域の強みを検討する機会を提供している。その一環として、京都大学こころの未来研究センターと滝沢市が、行政と学術という領域を超えた包括連携協定を結ぶことにより、市を対象とした調査分析を実施し、魅力的な地域のありかたについて提言を行っていく。


2. 研究手法・成果
・滝沢市内一部地域において、アンケート調査を実施、分析を行う。
・これまで滝沢市全市を対象に行ってきたアンケート調査の分析を行う。
・従来の関西地方での研究成果と、滝沢市での成果を比較することで、地域性を反映した多様な幸福感を検討する。


3. 波及効果、今後の予定
・自治体が「幸福」を掲げた市政運営を行うことが、これまで以上に一つの潮流となりうる
・東北地方~関西地方という多様なフィールドを活用し、地域性を加味した全国にまたがる幸福感醸成につながる。
・地域という場がもつ幸福の土壌が、そこに暮らす個人にどのように影響を与えるのか。また、個人は地域にどのように貢献するのか。こうした観点からあらたに幸福のあり方をとらえなおす。


4. 研究開発プロジェクトについて
・JST/RISTEX「持続可能な多世代共創社会のデザイン」研究開発領域・平成27年度採択プロジェクト
「地域の幸福の多面的側面の測定と持続可能な多世代共創社会に向けての実践的フィードバック」
研究代表者:内田由紀子・京都大学こころの未来研究センター准教授
https://ristex.jst.go.jp/i-gene/projects/h27/project_h27_1.html


<イメージ図>
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畑中助教に大阪府学校給食会より感謝状が授与されました

 畑中千紘助教(上廣倫理財団寄付研究部門)が、2017年12月25日に大阪市中央公会堂で開催された公益財団法人大阪府学校給食会設立60周年記念事業食育講演会において同会より感謝状を受け取りました。

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 栄養教諭、学校栄養職員に向けて、心理療法に基づいた心理学の専門知識を食育の現場において活用すること、発達障害への理解とアプローチや子どもの食とこころについてなどの研修を行ったことに対し、大阪府内の学校給食の充実および、学校給食会の事業に貢献したとして評価されたものです。


 今後も研究成果を広く社会に還元するため、こうした活動を行って参ります。


◇参考記事
畑中助教が平成29年度栄養教諭支援セミナー(主催:大阪府学校給食会)で講師を務めました


吉川教授の共著論文が平成29年度日本心理学会優秀論文賞を受賞しました

nunoi_yoshikawa.png 布井雅人聖泉大学講師と吉川左紀子教授の共著論文が、平成29年度日本心理学会優秀論文賞を受賞しました。


 受賞した論文は、『心理学研究』第87巻第4号に掲載された「表情の快・不快情報が選好判断に及ぼす影響―絶対数と割合の効果―」です。優秀論文賞は、同学会が発行するジャーナル「心理学研究」および"Japanese Psychological Research"の2誌に掲載された原著論文の中から学会に対して特に大きな貢献を果たした論文に与えられるものです。今回は、2016年に発表された計77論文の中から、4編が優秀論文賞に選ばれました。


 受賞理由は、以下の通りです。
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○理由の概要
 本研究は,社会的相互作用の効果について表情刺激を利用した認知心理学実験で検証したものであり,広範囲な心理学のテーマに関連している点が高く評価された。また,日常的に体験する社会的場面に正面から取り組み,複数の実験で一貫した結果を得て,読みやすい文章でまとめた点も評価された。
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 こころの未来研究センターでは、2015年に北山忍特任教授と阿部修士准教授が同学会国際賞を、内田由紀子准教授が優秀論文賞を受賞。2016年には下條信輔特任教授と内田准教授が国際賞を受賞しており、3年連続でセンターのスタッフが表彰される栄誉となりました。


 なお授賞式は、9月19日に開催された平成29年度日本心理学会会員集会において行われました。


優秀論文賞受賞論文一覧 | 日本心理学会ウェブサイト

上田助教らの研究が日本マインドフルネス学会で最優秀賞を受賞しました

 上田祥行助教が教育学研究科の藤野正寛日本学術振興会特別研究員(筆頭発表者)と進めている共同研究が、2016年11月5日・6日に開催された日本マインドフルネス学会第3回大会(早稲田大学)で「最優秀研究賞」ならびに「最優秀ポスター発表賞」を受賞しました。


 マインドフルネス瞑想における集中瞑想(FA)と洞察瞑想(OM)は、どちらも「内省を低下させる」、 「その背後のデフォルトモードネットワーク(DMN)の活動を低下させる」ことで、結果的に今この瞬間の幸福感を高める効果があるとされています。研究ではふたつの瞑想について、①それらを実現している神経基盤も共通なのか?②それらの効果は瞑想後にも持続するのか?という問題に注目し、fMRIを用いて瞑想時と瞑想後の神経基盤の機能的結合性の変化を調査しました。その結果、FAとOMでは、DMNに関わる神経基盤が異なることが明らかとなったほか、OMの瞑想後には、機能的結合性の変化が継続していることが分かりました。


 本研究は、こころの未来研究センターの連携MRI研究施設のfMRI 3T スキャナーを用いて実施されました。


◇発表タイトル
集中瞑想と洞察瞑想の神経基盤:線条体とデフォルトモードネットワーク間の機能的結合性の違い


◇発表者
藤野正寛1・上田祥行2(非会員)・水原啓暁3(非会員)・齋木潤4(非会員)・野村理朗1(非会員)
(1 京都大学大学院教育学研究科・2 京都大学こころの未来研究センター・ 3 京都大学大学院情報学研究科・4 京都大学大学院人間・環境学研究科)


◇受賞ポスター
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※クリックするとポスター画像(PDF)が開きます

「第7回 京大おもろトーク:アートな京大を目指して」('17.3.21開催)に吉川センター長、吉岡教授が登壇します

 2017年3月21日、京都大学 百周年時計台記念館にて「第7回 京大おもろトーク:アートな京大を目指して」(主催: 京都大学、後援: 京都大学こころの未来研究センター、京都大学アートサイエンスユニット)が開催されます。

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 第1部では、文化庁の内丸幸喜文化部長と山極壽一総長が対談します。第2部のパネルディスカッションは、「芸術と毒の微妙な関係」というテーマで、国際日本文化研究センタ-の小松和彦所長、ヴォイスギャラリー代表の松尾惠氏、吉岡洋教授がパネリストとして登壇し、吉川左紀子センター長がモデレーターを務めます。ほかに、物質-細胞統合システム拠点の亀井謙一郎准教授が司会を務め、土佐尚子アートサイエンスユニットユニット長が締めの挨拶を行い、幕間には、Duo Nagai Weitzel(永井千恵 氏 ・Joshua Weitzel 氏)インプロビゼーション演奏もあります。


 参加申込は、メールにて受け付けています(定員になり次第締め切り)。下記を参照のうえ、お申し込みください。


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第7回 京大おもろトーク:アートな京大を目指して
日時:平成29年3月21日(火)午後5時〜7時
場所:京都大学 百周年時計台記念館2階 国際交流ホールⅠ,Ⅱ


5時〜5時半
<第1部>対談
内丸 幸喜 氏(文化庁 文化部長)
山極 壽一 氏(京都大学 総長)


5時40分〜6時55分
<第2部>パネルディスカッション「芸術と毒の微妙な関係」
パネリスト
小松 和彦 氏(国際日本文化研究センタ- 所長)
松尾 惠 氏(ヴォイスギャラリー代表)
吉岡 洋 氏(京都大学 こころの未来研究センター特定教授)


モデレーター
吉川 左紀子 氏(京都大学 こころの未来研究センター長)


司会
亀井 謙一郎 氏(京都大学 物質-細胞統合システム拠点 特定准教授)


締めの挨拶
土佐 尚子 氏
(京都大学 アートサイエンスユニットユニット長 教授・2016年度文化庁文化交流使)


幕間のインプロビゼーション演奏
Duo Nagai Weitzel(永井千恵 氏 ・Joshua Weitzel 氏)


対象: どなたでも参加できます
参加費:無料
定員:100名(申し込みによる先着順)
お申し込み:request-kyodaiart@media.kyoto-u.ac.jpへ
お名前、ご所属、連絡先メールアドレス、電話番号を記入して、お申し込みください。


主催:京都大学
共催:京都大学 こころの未来研究センター、京都大学 アートサイエンスユニット


問い合わせ先:request-kyodaiart@media.kyoto-u.ac.jp
電話 075-753-9081(平日 午前10:00 〜 午後5:00)

下條特任教授、内田准教授が平成28年度日本心理学会国際賞を受賞しました

 下條信輔センター特任教授が平成28年度日本心理学会国際賞の特別賞を、内田由紀子准教授が同賞の奨励賞を受賞しました。

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 こころの未来研究センターでは、2015年に北山忍センター特任教授と阿部修士准教授がそれぞれ平成27年度日本心理学会国際賞の特別賞と奨励賞を受賞しており(受賞報告記事はこちら)、2年連続でセンターのスタッフが受賞する栄誉となりました。また、内田准教授は優秀論文賞も前年に受賞しており、2年続けての同学会からの表彰となりました。


 今回、下條特任教授は「国際的に特段に優れた研究業績をあげ心理学の発展に寄与した心理学者」として特別賞を受賞。内田准教授は、文化心理学・社会心理学の立場から、国際比較での実証研究(社会調査や心理学的実験研究)に基づき、心と文化の関係を理解するための研究を行い、数多くの国際誌での論文公刊や国際的な研究活動を展開している功績が認められ、「国際的に優れた業績を持つ中堅・若手心理学者」として奨励賞を受賞しました。


 なお授賞式は、11月5日に日本心理学会事務局(東京都文京区)で開催された平成28年度日本心理学会会員集会において行われました。


国際賞受賞者一覧 | 日本心理学会ウェブサイト
国際賞について | 日本心理学会ウェブサイト

梅村研究員が日本箱庭療法学会第30回大会で「日本箱庭療法学会河合隼雄賞」を受賞しました

IMG_8328.JPG 梅村高太郎研究員が、2016年10月15日・16日に帝塚山学院大学(大阪府堺市)で開催された日本箱庭療法学会第30回大会において「第17回日本箱庭療法学会河合隼雄賞」を受賞しました。


 本賞は,箱庭療法およびこれと関連する諸技法に関する優れた研究および実践活動を奨励する目的で、日本箱庭療法学会の創設者である河合隼雄京都大学名誉教授の名前を冠して設けられた賞です。
 日本箱庭療法学会誌『箱庭療法学研究』に発表された4つの論文と、当学会の木村晴子記念基金による助成を受けて出版された箱庭療法学モノグラフ第1巻『思春期男子の心理療法-身体化と主体の確立』の卓越性を評価されての受賞です。


◇受賞関連書籍
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『思春期男子の心理療法-身体化と主体の確立』(創元社,2014)


◇関連ページ
日本箱庭療法学会 学会賞・河合隼雄賞 | 日本箱庭療法学会
「河合教授、畑中助教、梅村研究員らが日本箱庭療法学会第30回大会で発表しました」 | 京都大学こころの未来研究センター

「支える人の学びの場 医療および教育専門職のためのこころ塾2016」の講義タイトルが決まりました

 こころの未来研究センターでは2016年秋、医療の現場や教育現場で働く専門職の方々を対象に、「支える人の学びの場 "こころ塾"」を、東北大学と京都大学で開講します。このたび、各講義タイトルが次の通り決まりましたのでお知らせします。


 受講申し込みは6月開始の予定です。講義題目などの詳細は、当サイトのイベント欄に後日掲載しますので、今しばらくお待ちください。


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医療および教育専門職のためのこころ塾2016仙台「発達障害の理解と支援:先端の知と実践をつなぐ」


会 場:東北大学文学部第1講義室
開催日時:9月24日(土)9時50分〜17時(受付開始 9時〜)


・講義:「自閉症の診断基準を神経機構から理解する」
    乾敏郎(追手門学院大学心理学部教授・こころの未来研究センター特任教授)
・講義:「子どもが育つ・親も育つ―親性機能の獲得とその神経機構」
    明和政子(京都大学大学院教育学研究科教授)
・事例報告:高畑脩平(奈良県総合リハビリテーションセンター作業療法士)


共催:東北大学大学院文学研究科心理学講座


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医療および教育専門職のためのこころ塾2016 「発達障害の理解と支援:先端の知と実践をつなぐ」


会 場:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
開催日時:10月8日(土)、10月15日(土)、10月22日(土)各日とも10時~17時まで(受付開始 9時30分~)


■10月8日(土)

・講義:「感情と身体性:感情の役割とその神経機構」
    乾敏郎(追手門学院大学心理学部教授・センター特任教授)
・講義:「周産期からの身体感覚と認知機能の発達」
    明和政子(教育学研究科教授)
・実践報告:小川詩乃(人間・環境学研究科)、田村綾菜(こころの未来研究センター)


■10月15日(土)
・講義:「円滑なコミュニケーションを支える神経機構」
    乾敏郎(追手門学院大学心理学部教授・センター特任教授)
・講義:「『社会性』という観点からみた精神科の病気と臨床」
    村井俊哉(医学研究科教授)
・事例報告 山本香織(福知山市民病院作業療法士)     


■10月22日(土)
・講義:「言語・非言語コミュニケーションの神経機構」
    乾敏郎(追手門学院大学心理学部教授・センター特任教授)
・講義:「イマドキの思春期の問題を考えるーネットのなかに拡散していくこころー」
    岩宮恵子(島根大学教育学部教授)
・講義:事例報告 小松則登(愛知県 心身障害者コロニー中央病院作業療法士)


共催:京都大学大学院医学研究科 脳機能リハビリテーション学分野 発達障害系研究室

教員着任のお知らせ

4月1日付で、以下の教員が着任しました。


広井良典 教授(公共政策、科学哲学)
小村 豊 教授(神経生理学)
吉岡 洋 特定教授(美学・芸術学)
一言英文 特定助教(文化心理学)


(氏名のリンクをクリックすると、プロフィールページが開きます。)

北山特任教授、阿部准教授が日本心理学会より国際賞を、内田准教授が優秀論文賞を受賞しました

 北山忍センター特任教授、阿部修士准教授が平成27年度日本心理学会国際賞を受賞し、内田由紀子准教授が平成27年度日本心理学会優秀論文賞を受賞しました。


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 日本心理学会では、日本の心理学の国際化を促進するために国際賞を設けており、「特別賞」「奨励賞」「功労賞」の3つのカテゴリで表彰しています。今回、北山特任教授は「国際的に特段に優れた研究業績をあげ心理学の発展に寄与した心理学者」として特別賞を、阿部准教授は「国際的に優れた業績を持つ中堅・若手心理学者」として奨励賞を受賞しました。


 また、優秀論文賞は、同学会が発行するジャーナル2誌に掲載された原著論文の中から学会に対して特に大きな貢献を果たした論文を選んで表彰しています。内田准教授は、2014年に"Japanese Psychological Research"(Vol.56 No.3) に掲載された論文 "You were always on my mind: The importance of "significant others" in the attenuation of retrieval-induced forgetting in Japan"が評価され、共著者らと共に受賞しました。


 3名は、2015年9月21日に名古屋マリオットアソシアホテル(名古屋市)でおこなわれた平成27年度日本心理学会会員集会において表彰を受け、北山特任教授は9月22日、阿部准教授は23日に国際賞受賞講演をおこないました。


国際賞について | 日本心理学会ウェブサイト
優秀論文賞について | 日本心理学会ウェブサイト

広島女学院高校の生徒さんがセンターを訪問し、内田准教授と懇談しました

 2015年8月7日、広島市の広島女学院中学高等学校の生徒さん9名がこころの未来研究センターを訪問しました。同校の卒業生である内田由紀子准教授と対面した生徒さんたちは、内田准教授より京都大学やこころの未来研究センター、心理学研究についての説明を受け、熱心に耳を傾けたり質問を投げかけていました。


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 こころの未来研究センターでは、学問、研究のよろこびを多くの人に伝え、研究成果を社会に発信すべく、引き続き次世代との交流活動を積極的におこなって参ります。


広島女学院中学高等学校ウェブサイト

福岡県立明善高校の生徒さんがセンターを訪問し、MRI施設の見学などをおこないました

 2015年8月4日、福岡県久留米市の福岡県立明善高校2年生の生徒さん31名がこころの未来研究センターを訪問し、鎌田東二教授と阿部修士准教授のレクチャーを受け、センター連携MRI研究施設を見学しました。文部科学省SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、その活動の一環として関西研修に訪れた同校の訪問は、昨年、一昨年に続き3度目となり、過去最多の31名が来訪されました。


 はじめに一行は、センター連携MRI研究施設に到着し、認知神経科学が専門の阿部准教授のレクチャーを受けました。阿部准教授は、fMRIの基礎的な知識や発展の歴史、MRI設備を用いて研究する際に注意すべき点、施設内の設備の説明など、動画や写真を多数示しながら紹介しました。その後、柳澤邦昭助教が実際に被験者となり、fMRIを用いた簡単な実験をおこない、生徒さんたちは隣室から実験の様子を見学。質疑応答では、「fMRIによる実験は子どもも被験者になれますか?」「先生はいまfMRIを使ってどんな研究をしているのですか?」といったやりとりがあり、最後まで生徒さんたちが施設内を熱心に見てまわる姿が印象的でした。


 続いて、こころの未来研究センター本館のある稲盛財団記念館へ移動し、大会議室にて鎌田教授がレクチャーをおこないました。比叡山に向かって颯爽と法螺貝を吹く鎌田教授の姿に生徒さんたちは釘付けに。講義では、新旧のジブリ映画の描き方について、時代、思想、宗教観などさまざまな要素で比較するなど、具体的で分かりやすい題材を用いて、宗教学、民俗学がどのような学問なのかについて、解説がありました。理系や文系の枠にとらわれず、分野横断的に研究が進んでいるこころの未来研究センターの特徴にふれた高校生のみなさんは、「初めて知る内容だった」「おもしろかったです」「進路を考える参考になった」などと、感想を話していました。


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福岡県立明善高校ウェブサイト

学術広報誌『こころの未来』第14号をウェブページに公開しました

 こころの未来研究センターが発行する学術広報誌『こころの未来』第14号が刊行されました。


kokoro_14.png今号の特集テーマは「里山」です。
「兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川......」。日本人にとってのふるさとの原風景は、里山ではないでしょうか。
実際には里山で暮らしたことがない人でも、里山の風景にふるさとのなつかしさを感じるのはどうしてなのか、と以前から不思議に思っていました。もしかすると日本の昔話に描かれる里山のイメージが、こころのふるさととして定着したのではないか、というのが今のわたしの「仮説」です。
私たちの先祖である昔話の登場人物の多くは、里山に暮らしています。
昔話の中の里山が、いつの間にか日本人のこころに共通するふるさと像を作り出してきたのかもしれません。一方、リアルな生活空間としての現代の里山は、里山資本主義、Satoyama Initiativeなどの言葉とともに、最近改めて注目されています。
森、里、海のつながりを見直す学際。的な学問領域も生まれています。
日本人にとって里山のもつ意味を、改めて考えてみたいと思います。


京都大学こころの未来研究センター長 

教授公募のお知らせ

こころの未来研究センターでは教授の公募をおこなっています。詳細は下記リンク先ページをご参照ください。


こころの未来研究センター教授公募要領

阿部准教授らのグループが第17回日本ヒト脳機能マッピング学会で若手奨励賞を受賞しました

1507mapping.png 2015年7月2日・3日に大阪・毎日新聞オーバルホールで開催された「第17回日本ヒト脳機能マッピング学会」において、阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)らのグループによるポスター発表(筆頭発表者:上田竜平京都大学文学研究科修士課程2回生、こころの未来研究センターオフィスアシスタント)が「若手奨励賞」を受賞しました。


【受賞した演題】
前頭前野・報酬系の活動が「無分別な恋愛行動」の個人差を説明する
上田竜平、蘆田宏、阿部修士


 若手奨励賞は、同学会で発表された演題の中から35歳以下の筆頭発表者による優秀な抄録に対して贈られる賞です。研究では、すでに特定の個人と交際している異性に対しても交際してみたいと感じる「無分別な恋愛行動」の個人差が、行動の抑制に関わる「前頭前野」と、報酬情報の処理に関わる「眼窩前頭皮質」という2つの領域における脳活動の個人差によって説明できる可能性が示されました。


 筆頭発表者の上田さんは、「大変光栄に思い、これからの研究生活の励みになります。今後は『我々ヒトが恋愛場面でどのように意思決定をしているか』という大きな問題を、さらに詳細に明らかにしていきたいと考えています」と、コメントしています。なお、本研究は、おもにこころの未来研究センター連携MRI研究施設のfMRI装置を利用して進められました。


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上田竜平さん(京大文学研究科修士2回)

センターのスタッフページを更新しました

 こころの未来研究センターのスタッフを紹介するスタッフ一覧のページを更新しました。2015年4月現在の教員と職員の写真、スタッフリストが掲載されています。研究者のリストの右側にある「詳細ページ」というリンクをクリックすると、それぞれのプロフィールと業績のページにアクセスできます。ぜひご覧ください。


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スタッフ一覧 | こころの未来研究センター

「京都こころ会議(Kokoro Initiative)」を発足。調印式、記者発表がおこなわれました

 この度、公益財団法人稲盛財団の支援を受け、「京都こころ会議(Kokoro Initiative)」を開催していくはこびとなりました。2015年4月14日、本会議の発足にあたって、京都大学百周年時計台記念館迎賓室にて調印式および記者発表がおこなわれました。


 調印式では、吉川左紀子センター長による京都こころ会議の趣旨説明、山極寿一京都大学総長ならびに稲盛和夫稲盛財団理事長からの挨拶があり、寄付同意書への調印がおこなわれました。報道記者による質疑応答では、河合俊雄教授が本会議の具体的な計画について、記者からの質問に答えました。当日の模様は地元のテレビ局、KBS京都のニュースで報じられたほか、毎日新聞、京都新聞、日刊工業新聞など多数のメディアで取り上げられました。


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 以下、こころの未来研究センターより発表したプレスリリースを記載いたします。


京都こころ会議(Kokoro Initiative)
こころの未来研究センター 河合俊雄(臨床心理学)


1)事業目的
 科学技術の進歩、グローバル化による大きな経済圏の出現、さらには近年の地球環境の変化が加わって、人々の生活や関係は大きく変わってきています。そしてそれらはおのずから人々の「こころ」のあり方に影響を及ぼし、時には「こころ」が変化についていけず、さまざまな問題を引き起こすこともあります。
 こうした現状に対して科学技術を頼りに、あるいは環境を変えることにより解決をはかろうとするのではなく、それに直面している人々の「こころ」そのものに焦点を当てて、より本質的な問題の理解とその解決に到る道筋を、丹念にたどることが必要なのではないでしょうか。
 人類がこれまでどのような「こころ」のあり方で世界と向き合い、「こころ」をどのように捉えてきたのかを踏まえつつ、「こころ」とは何かを探究し、さらにこれからの「こころ」に求められるあり方を明らかにすることが、今の私たちに求められていることではないかと考えます。
 「京都こころ会議」は、古来の「こころ」を踏まえてその未来を問い、また日本語の「こころ」という言葉に含蓄されているような広くて深いニュアンスから、こころの新しい理解を Kokoro Initiative として世界に向けて発信しようとするものです。
 2007年の設立以来、京都大学こころの未来研究センターの活動を通して蓄積されてきた、「こころ」についての学際的な研究とネットワークを生かしつつ、それをさらに広げ、深めていきたいと思います。


2)組織
・運営委員会:こころの未来研究センターを中心とした京都大学の全学的な委員会
・顧問・advisory board:稲盛和夫
・参加者:京都大学の研究者、国内外の招聘研究者、芸術家、企業家など。こころの未来研究センターが中心となってコアメンバーを形成し、研究会を重ねていく。


3)事業内容
1. 年に4回、「こころ研究会」をクローズドで開催する。その年度のテーマに沿って、研究者・芸術家・宗教家などを招聘して行う。
2. 「こころとは何か」を問う「京都こころ会議」、「国際京都こころ会議」を1年交代で行う。「こころ会議」には、稲盛和夫理事長と山極寿一総長の出席をお願いする。「こころ」が持つニュアンスの広がりを、「こころと歴史性」、「こころと共生」、「こころとグローバル社会」のように、様々な視点からこころのもつ多様性をクローズアップし、理解を深める。
3. 1と2の成果を、日本語、英語(Kokoro Initiative)でそれぞれ出版する。日本語の「こころ会議」についても英訳を行い京都大学のHP等を通じて発信する。


4) 事業計画
・2015年度
第1回京都こころ会議(1日間)「こころとは何か? - その歴史性」(仮)を9月13日(日)に京都で開催。講演者として中沢新一、山極寿一、広井良典ほか。稲盛和夫理事長も出席の予定。
こころ研究会を4回開催。
・2016年度
第1回国際京都こころ会議(2日間)
こころ研究会を4回開催。
・2017〜2020年度
第2〜3回「京都こころ会議」、「国際京都こころ会議」を開催。


□掲載媒体
KBS京都 京都新聞ニュース・天気予報(2015年4月15日 11:55〜放映)
「多分野の研究者『こころ』を議論 京大が『会議』設立へ」(京都新聞/2015年4月15日付朝刊23面)
「京都こころ会議 稲盛財団から活動支援寄付 京大」(日刊工業新聞/2015年4月15日19面)
「『こころ』の課題研究 9月に初会議 京大と稲盛財団」(毎日新聞/2015年4月16日22面)
「<京大・稲盛財団>「こころ」の課題、研究 9月に初会議 /京都」(gooニュース・毎日新聞/2015年4月16日)

特任教授が着任しました

 2015年4月、こころの未来研究センターに2名の特任教授が加わりました。


 乾敏郎特任教授は、認知神経科学を専門とし、2015年3月まで京都大学大学院情報学研究科教授を務め、2015年4月、京都大学名誉教授の称号を授与。センターが秋に開催している「支える人の学びの場 こころ塾」では毎年、メイン講師を務めています。


 佐伯啓思特任教授は、2015年3月まで京都大学大学院人間・環境学研究科教授を務め、2015年4月、京都大学名誉教授の称号を授与。共生文明学、現代文明論、現代社会論、社会思想史を研究テーマとし、数多くの著書を出版。政治・経済を中心に幅広く評論活動をおこなっています。


 詳しいプロフィールは、下記のリンク先をご覧ください。


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乾 敏郎 | Toshio Inui | センター特任教授 | 認知神経科学


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佐伯 啓思 | Keishi Saeki | センター特任教授 | 法学・政治学・経済学・社会学


内田准教授が平成26年度日本農業普及学会奨励賞を受賞しました

 内田由紀子准教授と竹村幸祐滋賀大学経済学部准教授(元こころの未来研究センター特定研究員・現連携研究員)が「平成26年度日本農業普及学会奨励賞」を受賞し、2015年3月6日に開催された日本農業普及学会平成26年度春季大会で表彰を受けました。


 内田准教授らは、2012年に農業の普及指導員を対象とした大規模な調査研究の結果をまとめた共著『農をつなぐ仕事 ~普及指導員とコミュニティへの社会心理学的アプローチ~』(発行:創森社)を出版。これら一連の研究と取り組みが高く評価され、今回の受賞となりました。


 内田准教授は、次のように受賞へのコメントを寄せています。
「農業普及指導という、社会心理学者の私たちにとっては未知なる世界での研究をスタートし、普及指導員全国調査、『農をつなぐ仕事』の出版、さらにはこのような受賞にまで至るとは思ってもみないことでした。研究の中には様々な出会いとつながりからもたらせられ、そこから新たな探検が始まることがあるということを学んだ大きな機会でした。関係機関の皆様方、普及指導員の皆様方に心より感謝申し上げます」。


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□関連ページ
日本農業普及学会ウェブサイト
『農をつなぐ仕事 ~普及指導員とコミュニティへの社会心理学的アプローチ~』(創森社)

内田准教授が「たちばな賞」を受賞しました。3月3日に表彰式・研究者発表がおこなわれます

1502uchida_tachibana_photo.png 内田由紀子准教授が、第7回京都大学たちばな賞(優秀女性研究者賞)を受賞しました。


 京都大学では、若手の女性研究者の優れた成果を讃える制度として、平成20年度より「京都大学たちばな賞(優秀女性研究者賞)」が創設され、毎年表彰しています。この度、内田准教授は京都大学のすべての分野の女性研究者から1名のみに授与される「研究者部門」を受賞。2015年3月3日に楽友会館でおこなわれる表彰式で山極総長から表彰を受け、「文化と幸福:日本における関係志向的幸福についての文化心理学的実証研究」という演題にて研究発表をおこないます。


 表彰式、研究発表の模様は、追って写真と共にご報告します。表彰式の詳細は下記リンク先をご覧ください。


第7回 京都大学「たちばな賞」(優秀女性研究者賞)表彰式 | 京都大学男女共同参画推進センター


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岡山操山中学校の生徒さんがセンターを訪問しました

1411umemura.png 11月13日、岡山県立岡山操山(そうざん)中学校の生徒さんが、こころの未来研究センターを訪問しました。


 同校では「未来航路プロジェクト」と名付けた総合学習プロジェクトをおこなっており、京都への研修旅行で様々な機関を訪問し、研究成果発表会と中学の卒論発表に向けた学習を進めています。昨年に続き、こころの未来研究センターには2年生の生徒さん3名が訪れました。当日は、臨床心理学を専門とする梅村高太郎研究員(上廣こころ学研究部門)が調査に応じ、心理学、心理ケア及びストレス改善に関する質問に対してレクチャーをおこないました(写真はレクチャー風景)。


 訪問された生徒さんから送られたお礼状には、「『カウンセリングでは一般的な解決法というものはない』という言葉に深く共感しました。自分の考えたプロジェクトについて多くの助言をいただき勉強になりました」、「心理学には実地での経験が必要、という話が胸に響きました。今回教えていただいたことを生かして、今後の発表につなげたいと思います」という意欲に満ちた嬉しい感想とお礼がしたためられていました。


 こころの未来研究センターでは、今後も未来を担う若い世代との交流を積極的におこなって参ります。


岡山操山(そうざん)中学校「未来航路プロジェクト」(2年生)

鎌田教授らのグループが京都大学学際研究着想コンテストで最優秀賞を受賞しました

 鎌田東二教授、伊勢武史京都大学フィールド科学教育センター准教授らによるグループが「2014京都大学学際研究着想コンテスト」で最優秀賞を受賞しました。


  京都大学学際融合教育研究推進センターが開催した同コンテストは、 京都大学の研究者からなる「分野融合チーム」による研究アイデアを競い合うユニークなイベントです。応募者は研究分野の垣根を越えたメンバーでグループを結成し、オリジナルな研究プランを一枚の概念図(ポンチ絵)にまとめ、書類審査やプレゼンテーション、質疑応答などの審査に挑みました。


 伊勢准教授・鎌田教授らのグループは、「人はなぜ、森で感動するのか。その多面性から本質へ」をキャッチフレーズに、宗教学、生態学、心理学、芸術等から多角的に森林をみつめ、森林が人に及ぼす様々な効果について総合的に研究するプランを提案。この内容が高い評価を受け、最優秀賞(研究支援金100万円)に輝きました。


 受賞にあたって伊勢准教授と鎌田教授は、「この秋から京大演習林の芦生演習林をフィールドに、『芦生遍路』や『芦生修験道』を開発し、異分野の研究者らと共に研究を進めていきたい」と意気込みを話しています。


↓受賞した研究概念図
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2014京都大学学際研究着想コンテストオフィシャルページ - 京都大学学際融合教育研究推進センター

京都大学東京オフィス連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」シリーズの講演録が公開されました

1409kyodainochi.png こころの未来研究センターでは、研究拠点のある京都以外の様々な場所に研究者が赴き、研究成果を発信しています。


 2014年5月から6月にかけて、京都大学東京オフィスで4回に渡っておこなわれた連続講演会「東京で学ぶ 京大の知 シリーズ15『こころの未来-私たちのこころは何を求めているのか』」には、吉川左紀子センター長、河合俊雄教授、内田由紀子准教授、阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)、熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)らが参加し、それぞれの研究分野での知見や成果を紹介し、ディスカッションをおこないました。


 この度、各講演会の詳しいレポートが京都大学のウェブサイトに公開されました。満員盛況となったレクチャーの様子をぜひご覧ください。


 以下、それぞれの概要とレポートへのリンクです。


○「日本文化における主体性とは何か -日本人の意識、感情、関係性からの考察」(2014年5月28日 )
講演者:内田由紀子准教授、ディスカッサント:吉川左紀子センター長
写真と詳しいレポート(PDF)


○「自分の意思で決めるとはどういうことか? -心理学と脳科学の視点から こころの未来研究センター」(2014年6月4日)
講演者: 阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)、ディスカッサント:河合俊雄教授
写真と詳しいレポート(PDF)


○「求めるべき幸福とは -ブータンの国民総幸福とその根底に横たわる精神性」(2014年6月11日)
講演者:熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)、ディスカッサント:吉川左紀子センター長
写真と詳しいレポート(PDF)


○「主体性は超えられるのか? -心理療法における揺らぎと超越」(2014年6月25日)
講演者:河合俊雄教授 、ディスカッサント:内田由紀子准教授
写真と詳しいレポート(PDF)

Michael Boigerさん(前センター滞在研究者)が国際学会賞「IACCP Harry and Pola Triandis Dissertation Award」を受賞しました

michael.pngMichael Boigerさん(前センター滞在研究員/マックス・プランク研究所・ドイツ)がこの度、国際学会賞「IACCP Harry and Pola Triandis Dissertation Award」を受賞し、フランスで開催されたIACCP学会にて受賞講演をおこないました。


Boigerさんは、2011年と2014年の二度(2011/9/16-12/8 & 2014/4/1-5/31)に渡りセンターに滞在し、受け入れ教員の内田由紀子准教授らと共に研究をおこないました。今回受賞した論文には、2011年の滞在時におこなった調査研究も含まれています。


なお今年、センター滞在中にオーストラリアのニュースメディア「SBS」より取材を受けたインタビューの動画をオンラインでご覧いただけます。「Shame (恥じ)」をテーマにした討論番組にて、Boigerさんは日米の恥じに対する感じ方の違いについて解説しています。


番組の動画はこちら(46分前後から登場します)
http://www.sbs.com.au/insight/episode/watchonline/615/Shame


Boigerさんの詳しいプロフィールはこちら(英語)

福岡県立明善高校の生徒さんがセンターを訪問しました

 強い陽射しが照りつける8月1日の午後、福岡県久留米市の福岡県立明善高校2年生の生徒さん19名がこころの未来研究センターを訪問し、鎌田東二教授と阿部修士准教授のレクチャーを受け、センター連携MRI研究施設を見学しました。


 文部科学省SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、その活動の一環として関西研修に訪れた同校は昨年に続いて2度目の訪問です。今回は、昨年の倍以上の生徒さんがやって来ました。まずはじめに鎌田教授が、こころの未来研究センターの取り組みを紹介しました。鎌田教授は、センター開設の経緯を振り返りながら、「こころをテーマにした、かつてないユニークなコンセプトで始まった研究センターです。最先端の脳科学から目に見えない魂の世界までを見つめる宗教学まで、様々な分野で横断的に研究を進めています」と、説明しました。


 また、自身の研究分野である宗教学、民俗学を取り上げ、研究の具体例を示す形で、スタジオジブリの映画「となりのトトロ」と「千と千尋の神隠し」を時代、経済、民俗、宗教、思想など様々な要素で比較し、「生きている人間の心や価値観は変化している。それらを比較しながら人のこころのありようを見つめる研究があることを知ってほしい。こころの未来研究センターには、日本で唯一のブータン学研究室もある。このように、様々な角度から学際研究を進めています」と話し、前半を締めくくりました。


 続いて、一行はセンター連携MRI研究施設に移動し、認知神経科学が専門の阿部准教授がfMRIを用いた心理学実験についてレクチャーしました。阿部准教授は「私はもともと高校では理系、でも大学では文系の学部に進みました。しかし途中で方向を変えて現在の認知神経科学の研究者の道へと到りました」と自己紹介し、現在、センターに設置されているMRIやその周辺設備を紹介しました。パワーポイントを用いて、fMRIの歴史と研究の現状や、MRI設備を用いて研究する際に注意すべき点などをレクチャーしました。その後は、大塚結喜研究員が実際に被験者となり、fMRIを用いた簡単な実験を行い、生徒さんたちは隣室から熱心に見学しました。見学のあと、「fMRIは人体には影響はありませんか?」「将来的にうそ発見器を作るようなことは可能ですか?」「暗記がうまくなるような脳の活用法はありますか?」など、多岐に渡る質問が投げかけられ、終始なごやかな雰囲気で見学時間が過ぎました。


 全てのレクチャーが終了したあと、生徒さんたちからは「生命やこころの大切さを考える研究があることを知ることができた」「鎌田先生の話は、聞いたことのない研究の話だったので新鮮だった」「実験まで見学できたのが面白かった」など、イキイキとした感想が寄せられました。今後も、こころの未来研究センターでは、次代を担う若き人材に対して、様々な形でセンターの取り組みをご紹介して参ります。


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トップページをリニューアルしました

140603hp.png いつもこころの未来研究センターのウェブサイトをご覧いただき、ありがとうございます。この度、トップページの構成を変更しました。


 新しくなったトップページは、イメージはこれまで通りで、左サイドに関連ページへのアイコンを揃え、中央に最新ニュース記事、右サイドにイベントの案内を掲載しました。さらに中央から下部分には、センターの研究者たちの論文掲載や出版物などの業績をご紹介する「出版・論文情報」の欄を新たに設けました。


 なお、センターではウェブサイトのほか、フェイスブックページ、ツイッターでも情報発信をおこなっています。ぜひ合わせてご覧ください。


□こころの未来研究センター
Facebookページ
https://www.facebook.com/kokoronomirai
Twitterアカウント
https://twitter.com/kokoronomirai

内田准教授の論文が『Japanese Psychological Research』に掲載されました

1405uchida_japanese.png 内田由紀子准教授の論文「You were always on my mind: The importance of "significant others" in the attenuation of retrieval-induced forgetting in Japan」が、日本心理学会の発行する英文学術誌『Japanese Psychological Research』に掲載されました。


 本論文では「検索誘導性忘却」という記憶研究のパラダイムを用いて、欧米とは異なり日本文化においては、「友人」や「家族」などのいわゆる「重要な他者」が「自己」と同様の効果を持って「忘却の耐性」を引き起こすことを示しています。


Yukiko Uchida, Taiji Ueno,& Yuri Miyamoto. You were always on my mind: The importance of "significant others" in the attenuation of retrieval-induced forgetting in Japan. Japanese Psychological Research. 21 APR 2014. DOI: 10.1111/jpr.12051
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jpr.12051/abstract


○Abstract
Research on memory has demonstrated that remembering material can cause forgetting of related information, which is known as retrieval-induced forgetting (RIF). Macrae and Roseveare identified "self" as one of the boundary conditions of this effect in the Western cultural context, showing that RIF was eliminated when material was encoded to be related to the self (known as self-referential effect), but not to significant others. In this study, we predicted and found that significant others could be another boundary condition in Japanese cultural contexts in which self and agency are more interdependent or conjoint; RIF was observed neither under best-friend-related encoding nor under family-related encoding in Japan. The effect of significant others is found uniquely in Japanese cultural contexts, suggesting that the cultural model of self has significant power in the spontaneous system of memory.

内田准教授のインタビューが男女共同参画推進センターの冊子に掲載。京都新聞で紹介されました

1405uchida_danjo2.JPG 男女共同参画推進センターが発行した冊子『未来に繋がる青いリボンのエトセトラ』に、内田由紀子准教授のインタビューが掲載されました。


『未来に繋がる青いリボンのエトセトラ』
発行:京都大学 研究国際部/男女共同参画推進本部(男女共同参画推進センター)/学術支援研究室(2014年4月)


○未来の研究者たちへ...京都大学の女性研究者から一言
p8「研究者という仕事は、女性に向いていると思います」 こころの未来研究センター 准教授 内田由紀子


 この冊子は、「未来の女性研究者へ、京都大学の女性研究者からのメッセージ」というキャッチフレーズで、京大で活躍する女性研究者たちの活動や人となり、研究者となった動機などをカジュアルに紹介したPR誌です。内田准教授は、心理学の道を選んだ経緯や研究活動を紹介すると共に、現在、家事・育児とバランスをとりながら研究する自身のスタイルについて話しています。


■京都新聞一面で紹介されました


 また、冊子が作られたことが4月30日付の京都新聞の一面コラム「洛中洛外」に載り、内田准教授のコメントが名前、所属センター名と共に紹介されました。


 冊子は、京都大学男女共同参画推進センターのウェブサイトでPDFが公開されています。下記リンクにアクセスし、ダウンロードしてご覧ください。


京都大学男女共同参画推進センターウェブサイト - 冊子「未来に繋がる青いリボンのエトセトラ」
http://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/news/2014/04/20140423gba.php

内田准教授の座談会記事が京大広報誌『紅萠(くれなゐもゆる)』に掲載されました

1405kurenai.png 京都大学の広報誌『紅萠(くれなゐもゆる)』25号(2014年3月発行)に、内田由紀子准教授が参加した座談会記事が掲載されました。


巻頭座談会「異文化のもとで学び、大きくて自由な世界を拓く」


○ゲスト:フォルカー・シュタンツェル 駐日ドイツ連邦共和国大使
○ホスト:赤松明彦 京都大学理事(学生・図書館担当)・副学長
清水展 京都大学東南アジア研究所長
○進行:内田由紀子 京都大学こころの未来研究センター准教授(『紅萠』編集専門部会)


 座談会では、ゲストにフォルカー・シュタンツェル駐日ドイツ連邦共和国大使(※座談会当時)を迎え、赤松明彦副学長と清水展東南アジア研究所長がホスト役として参加し、京大広報委員会『紅萠』編集専門部会のメンバーである内田准教授が進行役を務めています。大使の京大留学時代のエピソードや異文化接触を重ねて得た知見の数々をはじめ、グローバル化時代における異文化交流のありかたなど、読み応えのある内容となっています。


 『紅萠』は、京都大学のウェブサイトでPDFが公開されています。下記リンクにアクセスし、ダウンロードしてご覧ください。


京都大学ウェブサイト - 国内向け広報誌「紅萠(くれなゐもゆる)」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/issue/kurenai/

国際会議Mapping the Mindを開催しました【開催レポート】

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 2014年4月11日と12日の2日間、京都ホテルオークラにて、ダライ・ラマ法王ご臨席のもと、米国Mind & Life Instituteとの共催にて国際会議Mapping the Mindを開催しました。会議は「こころ(mind)」をテーマとして、12名のスピーカーがそれぞれの専門分野から4つのセッションに分かれて講演をおこない、モデレーターをまじえてダライ・ラマ法王と対話をおこないました。


 以下、それぞれの講演と法王との対話、および写真をご紹介します。


■開会式
 ・挨拶1 アーサー・ザイエンス(Mind & Life Institute代表)
 ・挨拶2 吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター長)
 ・司会 熊谷誠慈こころの未来研究センター准教授(上廣こころ学研究部門)
 ・マルク・ヘンリ デロッシュ白眉センター助教
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 はじめに、Mind & Life Institute代表のアーサー・ザイエンス氏が登壇し、挨拶しました。運営者、登壇者、来場者、協賛者それぞれに感謝の意を述べ、「Mapping the Mindというテーマは、私たちが人間として何であるかを知るための手掛かりになる。科学や、現代社会の側面から自己を見つめ、よりよく世界に十分に貢献するために、こころを理解するのが、今回のテーマです」とカンファレンスの主旨を説明しました。


 そして、ダライ・ラマ法王が会場全員による大きな拍手と共に登壇され、壇上の椅子におかけになりました。法王を歓迎する形で、こころの未来研究センターの吉川左紀子センター長が挨拶を述べました。吉川センター長は、2012年にロックフェラー大学で催された法王と科学者との対話の場で大きな感銘を受け、同様の集まりを京都で実現したいと強く願い、2013年にザイエンス氏をセンターに迎えて開催を合意し、この会議の開催に向けた長い準備が始まった経緯を話しました。吉川教授は、「科学者たちの持つ思考をいかなる形で宗教や潜在的な感情と関連付けるか、また、科学者の知見を思いやりや共感といった価値観とどう結びつけるべきか、今回の法王との対話は日本の科学者にとって、これら大きなテーマへの関心と理解を深める上でもまたとない機会です」と述べ、支援者や関係者への感謝の意を表しました。


 開催中の司会進行は、熊谷誠慈こころの未来研究センター准教授(上廣こころ学研究部門)と、マルク・ヘンリ デロッシュ白眉センター助教が務めました。


■ダライ・ラマ法王による基調講演
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 盛大な拍手に包まれるなか、壇上にのぼられたダライ・ラマ法王は、笑顔で基調講演にのぞまれました。


 法王は、「このような会議が日本で開かれることを非常に嬉しく思います」と冒頭でお話になり、「こころは、世界とつながっているものです。こころを理解することで人々は協力し合えます。グローバル化や経済発展が続くなか、一方で物質的な価値だけが世界に幸せをもたらす解にはなりません。内なる価値に注目し、科学者と協力し合うことで、こころについての知識が深まれば、それは(世界の幸福にとって)非常に大きな効果をもたらすでしょう。自然を重んじる神道や、仏教という伝統的な宗教がある日本で、このような対話を持つことはとてもふさわしいと思います。こころの研究に対して限定的だった科学の分野も少しずつ変化しています。様々なレベルにおけるこころ、脳の研究を広げていくことによって、知識を世界へと広めていくことはとても重要です」と、本会議の意味、宗教者と科学者が共に手を取り合い、こころの探究を深めることの重要性について述べられました。


■セッション1
 ・今枝由郎(元フランス国立科学研究センター 研究ディレクター)「初期仏教におけるこころ」
 ・トゥプテン・ジンパ(マギル大学兼任教授)「仏教心理学と瞑想実践に関する考察」
 ・チャード・デヴィッドソン(ウィスコンシン大学教授)「こころを変えて脳を変える:瞑想の脳科学的研究」
 ・モデレーター:アーサー・ザイエンス(Mind & Life Institute代表)
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 法王の講演に続いて、セッションが始まりました。ひとつめのセッションでは、Mind & Life Institute代表のアーサー・ザイエンス氏がモデレーター(舞台上での司会進行)を務めました。一番目には、元フランス国立科学研究センター研究ディレクターで、ブータンの国立図書館設立に尽力し、ブータン、チベットの仏教に詳しい今枝由郎氏が「歴史と文化における仏教」という演題で講演しました。今枝氏は、チベット仏教において教典などの教えが体系化されている現状を紹介し、日常の中で知識、価値、慈悲の精神の伝承がおこなわれ、真の仏教の伝統を学術的に発展、維持させていることを長年の研究から得た経験談として語り、日本の仏教の現状と比較しました。法王は、今枝氏の講演に対し、法王ご自身が幼少期から法典の勉強を続け、その後は学位取得に至るまで学問を継続してきたこと、僧侶らへの学問の奨励、学習の体系化に尽力してきた歴史を説明し、教育の重要性を強調されました。


 次に、マギル大学兼任教授で法王の通訳を担当するトゥプテン・ジンパ氏が「仏教心理学と瞑想実践に関する考察」という演題で講演しました。ジンパ氏は、仏教的な側面から" Mapping the mind "研究を進める上でのリソースやその特徴と目的、仏教的な理解と考え方が科学的探究にどのように貢献するかを順を追って解説されました。その中で、瞑想実践、阿毘達磨、プラマーナの各役割を紐解きながら、仏教的実践と科学的探究の両側面からこころを捉えていくことの重要性を強調されました。


 続いて、ウィスコンシン大学教授のリチャード・デヴィッドソン氏が「こころを変えて脳を変える:瞑想の脳科学的研究」という演題で講演をおこないました。デヴィッドソン氏は、慈悲というキーワードを介して新たな脳科学研究、発生遺伝学的研究、乳児に対する心理研究をMRIなどをはじめとする数々の手法によって進め、それにより、幼児でも選択肢があるときには利己的よりは愛他的な行動を選ぶこと、瞑想により脳機能、身体機能など様々な部分で変化が生じていること、こころのトレーニングによって、脳機能の変化のみならず遺伝子の在り方も変容すること、感情と注意力の回路が瞑想実践によって向上することなど、最新の研究結果を紹介されました。壇上でしばしば質問を投げかけながら耳を傾けられたダライ・ラマ法王は、「数百年前、50年前には想像できなったことが分かってきています。伝統的な方法論が説得力を持って、新たなスキルの学習方法、マインドトレーニングの有効性を示したのみならず、既に実用化され人々に貢献していることも示してもらえました。科学の手法を借りることで、協力の場が生まれ、問題解決に大いに貢献できるものだと思います。Mind & Life Instituteとしても、その貢献に協力できることを嬉しく思います」とコメントなさいました。


■セッション2
 ・ジェイ・ガーフィールド(イェールNUS教授)「認識の錯覚:仏教瑜伽行学派の観点から」
 ・アーサー・ザイエンス(アマースト大学名誉教授/Mind & Life Institute代表)「量子物理学におけるこころの役割」
 ・森重文(京都大学数理解析研究所教授)「芸術との比較における数学:求めるものは応用か、真理か、それとも美か?」
 ・モデレーター:入来篤史(理化学研究所 シニア・チームリーダー)
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 初日午後におこなわれたセッション2では、入来篤史こころの未来研究センター特任教授がモデレーターを務めました。イェールNUS大学教授のジェイ・ガーフィールド氏が、「認識の錯覚:仏教瑜伽行学派の観点から」という演題で講演をおこないました。ガーフィールド氏は、こころを理解する上での障害となり得る認知の錯覚の事例を数多く紹介し、こころを把握する上で重要な役割を果たす認知機能そのものの仕組みの研究と把握なくしては、こころ自体を理解することは難しいことを強調しました。


 続いて、Mind & Life Institute代表でアマースト大学名誉教授のアーサー・ザイエンス氏が、「量子物理学におけるこころの役割」という演題で講演しました。ザイエンス氏は自然現象を測る上での基礎学問である量子力学がいかにこころの分析と理解と関係しているか、ハイゼンベルグの不確定性原理やアインシュタインなど代表的な研究者や究極のコンピュータとされる量子コンピュータを紹介しながら現代科学はもとよりこころの研究の土台として量子力学の果たす役割について説明しました。


 ザイエンス氏の講演をさらに深める形で、セッション2の最後のスピーカーとして京都大学数理解析研究所 教授の森重文氏が「芸術との比較における数学:求めるものは応用か、真理か、それとも美か?」という演題で講演しました。森氏は数学の証明に到ったとき、アイデアのひらめきを得たときの美しさをピタゴラスの定理の紹介などを用いながら説明。また、アートと数学に通じる美しさについて、幾パターンもの光の重なりから「印象」を絵にしたモネと、代数幾何学で発展的な研究を果たしたグロタンディークの類似性を挙げ、数学とアートの美しさの共通点について話すと共に、「こころ、魂のような、言葉では記述できないものも、周辺に起きる現象を見ることで輪郭を浮き上がらせ理解に到ることが可能ではないか」、と問いかけました。セッション2の終わりには会場の参加者とのディスカッションの時間も設けられました。


■セッション3
 北山忍(ミシガン大学教授/京都大学こころの未来研究センター特任教授)「文化神経脳科学:文化・脳・遺伝子をつなぐ」
 ジョアン・ハリファックス(ウパーヤ禅センター長・創立者/老師)「プロセスベースによる慈悲の位置づけと、慈悲の修練におけるその影響」
 下條信輔(カリフォルニア工科大学教授/京都大学こころの未来研究センター特任教授)「潜在的なこころ、共感、そしてリアリティの共有」
 モデレーター:入来篤史(理化学研究所 シニア・チームリーダー)
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 国際会議Mapping the Mindの2日目の最初のセッションは、ミシガン大学教授・こころの未来研究センターの特任教授の北山忍氏による講演「文化神経脳科学:文化・脳・遺伝子をつなぐ」で始まりました。こころの形成には、文化的背景が大きく影響することを文化的神経科学の視点から説明しました。この分野のパイオニアである北山氏は、数多くの実験結果を紹介し、人間の脳が生態学、環境的、文化的要因によって影響を受け、地域差や文化差が人のこころと大きく関係している点を強調し、こころを理解するためには、脳と文化と遺伝子という様々な要因同士の関連性を考えなければいけない、と話しました。ダライ・ラマ法王は、このテーマに対して強い興味を示され、実験時に世代や性別を考慮する必要はないかといった具体的な質問を次々に投げかけられました。


 続いて、ウパーヤ禅センター長・創立者のジョアン・ハリファックス氏が、「プロセスベースによる慈悲の位置づけと、慈悲の修練におけるその影響」という演題で講演しました。エンド・オブ・ライフ・ケアに従事してきたハリファックス氏は、医療の現場従事者の燃え尽きや自殺が多発している現状を紹介し、患者と医療従事社双方のこころのケアと医療の質の向上を目的とした、慈悲のこころを活用するためのトレーニングの開発成果を報告しました。


 セッション3の最後は、カリフォルニア工科大学教授・こころの未来研究センター特任教授の下條信輔氏が「潜在的なこころ、共感、リアリティの共有」という演題で講演しました。下條氏は、認知神経学者の視点から、個人の個性や意思決定は、脳と社会との間の動的な相互作用が働いており、動的な社会的文脈で理解されるべきであると、自身の実験結果を数多く紹介しながら話しました。人と人は潜在的な意識下において繋がりを持ち、「シェアドリアリティ(リアリティの共有)」が社会的現象へと大きく影響する点についても指摘しました。ダライ・ラマ法王は、下條氏の話の合間にも数々の質問を投げかけ、科学の方面から瞑想集中の研究を進めることなどに強い関心を示され、共感することと慈悲の心を持つことについて「我々は社会的な動物です。自分をより大きな全体の一つとして考え、他者への思いやりを持つことから人類の幸福、悟りがもたらされます。思いやりと知恵を組み合わせることは非常に重要です」と述べられました。


■セッション4
 ・バリー・カーズィン(ヒューマンバリュー総合研究所所長)「情動の可塑性:健全な社会の構築に向けて」
 ・松見淳子(関西学院大学文学研究科長/教授)「子どものこころを探り、ポジティブな学校環境を創る:心理学におけるエビデンスベースの実践」
 ・長尾真(京都大学元総長)「コンピュータはどこまで人間に近づけるか」
 ・モデレーター:ジョアン・ハリファックス(ウパーヤ禅センター長・創立者/老師)
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 最終セッションでは、はじめにヒューマンバリュー総合研究所所長のバリー・カーズィン氏が、「情動の可塑性:健全な社会の構築に向けて」という演題で講演しました。カーズィン氏は、阿毘達磨の観点から感情と情動、心と意識をあらわすアナロジーとして6つのカテゴリー、51の心所を紹介し、こころがどのように機能するかについて仏教における定義と考え方、実践者の体験について解説しました。


 続いて、関西学院大学文学研究科長・教授の松見淳子氏は、「子どものこころを探り、ポジティブな学校環境を創る:心理学におけるエビデンスベースの実践」という演題で講演。地域の学校教育と連携して子どもにやる気を起こさせる教育プログラムの開発をおこなった事例を紹介し、子どもたちに明確な行動指針を持たせ自発的な行動を促すような仕組みの提供の大切さと実際の効果について解説しました。ダライ・ラマ法王は、研究対象となる子どもの年齢層や、プログラムが子どもの注意面と情動面ではどのような関係性があるか、などについて質問を投げかけられました。


 そして、国際会議の最後となる講演は、京都大学元総長で情報工学者の長尾真氏が、「コンピューターはどこまで人間に近づけるか」という演題で講演をおこないました。高齢化が進む日本で介護ロボットのニーズが高まる状況などを紹介しながら、コンピュータによる人工知能が人間と十分にコミュニケーションを取るレベルに達することがいかに困難であるか、情報工学者として言語処理の研究に長年取り組んできた経験から、時に聴衆の笑いを誘うエピソードもまじえ、法王からの数多くの質問に応えながら、コンピュータによる対話システム構築の可能性と課題について解説し、こうした研究は人間の脳機能、ひいてはこころの理解が必須であり、こころのマッピングにつながり得ると考察しました。セッション4の後には、総合質疑応答がおこなわれ、参加者がマイクを持ち法王や登壇者と対話の時間を持ちました。


■閉会式
 ・挨拶1 アーサー・ザイエンス(Mind & Life Institute代表)
 ・挨拶2 山極寿一(京都大学理学研究科教授)
 ・総合司会:熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門特定准教授)、マルク=ヘンリ・デロッシュ(京都大学白眉センター・特定助教)
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 すべてのセッションが終了し、閉会式がおこなわれました。参加者を代表して、京都大学理学研究科教授の山極寿一氏が挨拶に立ちました。霊長類学者として長くゴリラの生態を研究している山極氏は、「今回の会議で、多くのことを学びました。非概念的な概念、こころのマッピングを進めるために、今後も霊長類学を通して人の行動、こころ、生命の根源を探求する必要性を感じました。素晴らしいダイアログを企画してくださったことに感謝すると共に、ここに参加された皆さんは、今回のディスカッションを持ち帰り、それぞれの分野で次の対話を続けていただき、より実りある活動をおこなっていただきたい」と述べられました。


 続いて、Mind&Life Institute代表のアーサー・ザイエンス氏が、閉会の辞として、「こころのマッピングは、いま始まったばかりです。今回、神経科学者、心理学者、瞑想者、物理学者など、様々な角度から様々なレベルにおいて学ぶことができました。我々の内側にある神秘なものに対し、神経科学で得られたものを重ね合わせることによって、さらに深く探索し、未知なる領域に足を踏み入れることが必要です。法王さまは、世界の70億人に対するケアを、一人一人がお互いに、いかに大切にしなければいけないかということを強調されましたが、私たちは慈悲やケアの重要性を、人類に対し啓発をしていく必要があります」と述べ、会議の開催に尽力した吉川左紀子センター長、熊谷誠慈准教授、白眉センターのマルク・ヘンリ デロッシュ助教をはじめとする運営者に対し、熱く感謝の意を表しました。


 終わりに、尺八奏者であるエイドリアン・フリードマン氏による演奏がおこなわれ、登壇者や寄付者に法王よりカタの授与がおこなわれました。法王のご退場を見送る形で鎌田東二教授が法螺貝を吹奏し、国際会議Mapping the Mindが終了しました。

河合俊雄教授が東京自由大学で「人類の知の遺産・河合隼雄」について講演しました

1405kawai_tokyo.png 2014年5月11日、河合俊雄教授がNPO法人東京自由大学の開催する連続講義「人類の知の遺産」で、「河合隼雄」をテーマに講演をおこないました。


 同連続講義は本年度、「人類の夢見と思考のマンダラ世界を旅する」をテーマとし全7回の講義がおこなわれます。その第1回が河合俊雄教授による「河合隼雄」講座でした。


 河合隼雄財団のウェブサイトにそのレポートが掲載されています。下記リンクよりご覧ください。


河合隼雄財団
http://www.kawaihayao.jp/ja/00000107-03

鎌田教授がNHKラジオ第2「宗教の時間」に出演。5月11日(日)に再放送されます

P6134516.JPG 鎌田東二教授が5月4日、NHKラジオ第2放送の番組「宗教の時間」に出演しました。30分間の番組で、鎌田教授は長年とりくんできた「聖地」研究について、その知見、聖地の持つ意味、私たち日本人の暮らしとの関わりについて、じっくりと話しています。


 番組は、5月11日(日)午後6時半よりNHKラジオ第2放送にて再放送されます。ぜひお聴きください。


・番組名:NHKラジオ第2「宗教の時間」
・タイトル:「私の聖地発見」
・放送日時:2014年5月4日(日)午前8:30〜9:00
      再放送:5月11日(日)午後6:30〜7:00


【番組紹介】宗教の時間「私の聖地発見」

鎌田さんは行動派。全国の霊山霊地を訪ね石笛・ほら貝・横笛を奏上し祈る。聖地はこの世とあの世、現代と神話の世界をつなぐ絆である。人間にとって聖地の持つ意味を聞く。


NHK ONLINEより)

鎌田教授が新日本研究所のシンポジウムに登壇。京都新聞、あやべ市新聞に掲載されました

 鎌田東二教授が、4月19日に新日本研究所主催のシンポジウム「土・火・水・空(そら)を問う~世界連邦都市綾部から」にコーディネーターとして登壇しました。その模様が京都新聞(4月20日付)、あやべ市民新聞(4月23日付)に掲載されました。


 シンポジウムは、日本で初めて世界連邦都市宣言をした綾部市の市民ホールを会場に、混迷する社会の問題を見つめ、現代社会における宗教の役割を考えることを目的に開催されました。会議全体をまとめる役割を担った鎌田教授は、島薗進東京大名誉教授らと共に宗教の歴史から現代の宗教をめぐる問題と課題、東日本大震災で宗教が果たした役割など、多岐に渡るテーマについて討論をおこないました。


1404kamata_ayabe.png○「宗教の枠超え協力を 綾部でシンポ 社会での役割考える」


 宗教や哲学などの専門家でつくる「新日本研究所」(東京都港区)は19日、シンポジウム「土・火・水・空(そら)を問う~世界連邦都市綾部から」を綾部市並松町の市民センターで開き、社会における宗教の役割を考えた。(中略)
 京都大こころの未来研究センターの鎌田東二教授をコーディネーターに、研究所代表で宗教学者の島薗進東京大名誉教授、興福寺国宝館の金子啓明館長、弁護士の紀藤正樹氏、綾部市の四方八洲男前市町が意見を交わした。(京都新聞・4月20日付/記事より抜粋)


1404kamata_ayabe2.png○「宗教学の権威ら綾部に集結 宗教法人の社会貢献も促す」


 混迷する日本社会の病巣を見つめ、新しいヒューマニズムを再構築しようーと日本を代表する宗教学者らが綾部に集結して19日、並前町の市民センターでシンポジウムを開いた。(中略)
 神道の研究を始めた39年前に綾部を訪ね弾圧の跡地に立って国つ神の精神性を考え、誓いを立てたという鎌田さんは冒頭、パネリスト4人にシンポジウムの標題に沿って各自の活動紹介を求めた。(あやべ市民新聞・4月23日付/記事より抜粋)

河合教授が第9回京都大学附置研究所・センターシンポジウム(仙台)で講演。読売新聞に掲載されました

1404kawai_huchiken.png 京都大学の附置研究所・センターによる第9回シンポジウム「京都からの提言〜21世紀の日本を考える/社会と科学者」が3月15日に仙台市で開催され、その模様が、4月5日付の読売新聞朝刊特別面に掲載されました。


 こころの未来研究センターからは、河合俊雄教授が講演し、iPS細胞研究所の山中伸弥教授ら4人の講演者と共に討論および質疑応答をおこないました。河合教授は、「発達障害と現代の意識」という演題で講演。近年増加する発達障害の特徴について、分離や自立が困難な現代社会を反映したものと考察し、主体性を築くための心理療法の取り組みと具体的な事例を紹介しました。


京都大学附置研究所・センターのウェブサイト

海外からの研究者がセンターに滞在して研究活動をおこなっています

 こころの未来研究センターでは、本年度も世界各地から研究者を迎え、様々な形で共同研究を進めていきます。現在、滞在中の研究者は次の方たちです。


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Michael Boigerさん | ハマックス・プランク研究所 研究員  
滞在期間 2014年4月1日~2014年6月7日
(日本学術振興会外国人特別研究員)
研究テーマ:日独米における感情の共制御モデル
受入教員:内田由紀子准教授


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Lena Buchingerさん | ドイツ・フンボルト大学 学部生  
滞在期間 2014年4月10日~2014年6月8日
研究テーマ:文化と感情
受入教員:内田由紀子准教授

ダライ・ラマ法王ご臨席のもと、米国Mind & Life Instituteとの共催にて国際会議Mapping the Mindを開催しました。

 ダライ・ラマ法王ご臨席のもと、米国Mind & Life Instituteとの共催にて国際会議Mapping the Mindを開催しました。センターからは、吉川左紀子センター長、下條信輔特任教授、北山忍特任教授、入来篤史特任教授、熊谷誠慈特定准教授が参加しました。


 2014年4月11日(金)、12日(土)の2日間にわたり、京都ホテルオークラにて、国際会議Mapping the Mindを開催いたしました。同会議では、「こころ(mind)」をテーマとして、ダライ・ラマ法王14世、12名のスピーカー、および1名のモデレーターが各々の専門から講演、およびディスカッションを行いました。会場では、事前に招待された世界各国の財界人や研究者ら約300名が熱心に聴講し、11日夕方の懇談会では講演者と聴講者が親しく情報交換しました。
 本会議の模様は、後日、インターネット放送にて録画配信されることになっています。また、会議の報告レポートを近日中に公表する予定です。本会議の内容は以下のとおりです。


【企画名】 国際会議Mapping the Mind (こころの再定義):科学者・宗教者とダライ・ラマ法王との対話
【日時】 平成26年4月11日(金)8:30~15:30
         4月12日(土)9:00~15:00
【場所】 京都ホテルオークラ4階 暁雲の間


【4月11日(金)】

開会式

 開会挨拶1 アーサー・ザイエンス(Mind & Life Institute代表)
 開会挨拶2 吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター長)

セッション1

 ダライ・ラマ法王14世による基調講演
 今枝由郎(元フランス国立科学研究センター 研究ディレクター)「初期仏教におけるこころ」
トゥプテン・ジンパ(マギル大学兼任教授)「仏教心理学と瞑想実践に関する考察」
 リチャード・デヴィッドソン(ウィスコンシン大学教授)「こころを変えて脳を変える:瞑想の脳科学的研究」
※モデレーター:アーサー・ザイエンス(Mind & Life Institute代表)

セッション2

 ジェイ・ガーフィールド(イェールNUS教授)「認識の錯覚:仏教瑜伽行学派の観点から」
 アーサー・ザイエンス(アマースト大学名誉教授/Mind & Life Institute代表)「量子物理学におけるこころの役割」
  森重文(京都大学数理科学研究所所長/教授)「芸術との比較における数学:求めるものは応用か、真理か、それとも美か?」
※モデレーター:入来篤史(理化学研究所 シニア・チームリーダー)


【4月12日(土)】

セッション3

  北山忍(ミシガン大学教授/京都大学こころの未来研究センター特任教授)「文化神経脳科学:文化・脳・遺伝子をつなぐ」
  ジョアン・ハリファックス(ウパーヤ禅センター長・創立者/老師)「プロセスベースによる慈悲の位置づけと、慈悲の修練におけるその影響」
  下條信輔(カリフォルニア工科大学教授/京都大学こころの未来研究センター特任教授)「潜在的なこころ、共感、そしてリアリティの共有」
※モデレーター:入来篤史(理化学研究所 シニア・チームリーダー)

セッション4

  バリー・ケルジン(ヒューマンバリュー総合研究所所長)「情動の可塑性:健全な社会の構築に向けて」
  松見淳子(関西学院大学文学研究科長/教授)「子どものこころを探り、ポジティブな学校環境を創る:心理学におけるエビデンスベースの実践」
  長尾真(京都大学元総長)「コンピュータはどこまで人間に近づけるか」
※モデレーター:アーサー・ザイエンス(Mind & Life Institute代表)

閉会式

  閉会挨拶1 アーサー・ザイエンス(Mind & Life Institute代表)
  閉会挨拶2 山極寿一(京都大学理学研究科教授)
*総合司会:熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門特定准教授)、マルク=ヘンリ・デロッシュ(京都大学白眉センター・特定助教)



 本国際会議の開催にあたり、多大なご協力を頂いた、寄附者の皆様方、ならびに関係者各位に記して御礼申し上げます。

報告者:熊谷誠慈(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)

内田准教授のインタビューがウェブマガジン「greenz.jp(グリーンズジェーピー)」に掲載されました

 内田由紀子准教授の研究と活動内容を紹介したロングインタビュー「"つながりの資本"から日本社会の幸福感を探求する『こころの未来研究センター』内田由紀子さんの仕事とは?」が、ウェブマガジン「greenz.jp(グリーンズジェーピー)」に掲載されました。


 インタビューでは、内田准教授が2008年にこころの未来研究センターに着任してから現在に到るまでの研究活動の道のりが丁寧に紹介されています。農業普及指導員を対象におこなった調査研究、海外の研究者らとおこなったひきこもり研究、昨年、初めて開催したダイアログバーなど、社会への関心とつながりを活かしながら研究と活動を進める内田准教授の等身大の姿にふれていただける内容となっています。


140326uchida_greenz.png"つながりの資本"から日本社会の幸福感を探求する「こころの未来研究センター」内田由紀子さんの仕事とは?


研究者にとって、社会課題とは新しい研究のヒントになりえるもの。「京都大学こころの未来研究センター」に勤務する内田由紀子さんもまた、基礎研究を元にしながらも、社会課題を心理学の手法で読み解くことによって自らの研究の幅を広げてきました。


社会課題に基礎研究をつなげる最初のきっかけとなったのは農業の普及指導員という「あまり知られていないけれど大切な仕事をする人たち」との出会い。心理学とはまったくかけはなれた農業の世界に飛びこんだことで、内田さんの世界は大きく変わることになりました。


心理学者から見る日本の農業の世界にはいったい何が起きていたのでしょうか?


(記事より)


 続きはぜひ「greenz.jp」のページをお読みください。


"つながりの資本"から日本社会の幸福感を探求する「こころの未来研究センター」内田由紀子さんの仕事とは? | greenz.jp

清家助教が「終末期に対する早期支援」研究プロジェクトの一環でワークショップを開催しました

140328seike_engawa1.png 清家理助教(上廣こころ学研究部門)が、平成25年度の研究プロジェクト「終末期に対する早期支援ー日本人の倫理とこころに基づいた Advance Care Planning の開発研究」の一環で、国立長寿医療研究センター老年社会学研究部室長の村田千代栄さん(プロジェクト共同研究者)と共に愛知県常滑市で地域の高齢者を対象とするワークショップを開催しました。


 「縁がわカフェ」と名付けられたワークショップは、2013年10月から5回に渡って実施され、清家助教は2013年11月16日(土)『治療やケア現場で泣き寝入りしないためにー患者学A to Zー』と、2014年1月11日(土)『人生の終末期で泣き寝入りしないためにー終末期の備えを考えてみようー』の2回で講師を務めました。


 以下、清家助教によるレポートをご紹介します。


『治療やケア現場で泣き寝入りしないために-患者学A to Z-』,2013.11.16,常滑 
『人生の終末期で泣き寝入りしないために-終末期の備えを考えてみよう-』,2014.1.11,常滑


◇実施者:京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 特定助教 清家理、国立長寿医療研究センター老年社会学研究部室長 村田千代栄(平成25年度京大プロジェクト共同研究者)


140328seike_engawa2.png 2013年10月よりヘルスリテラシー(医療受療者が主体性をもって、治療や予防に参画していく行動)を高める目的で、5回シリーズのワークショップが開催されました。村田先生の故郷でもある愛知県常滑市をフィールドに、地域のパワフルリーダー渡辺様をはじめ、住民の方々と共に、試験的にスタートされた取り組みでした。京都大学プロジェクト側は、今後、実施を予定している「人生の終焉を自己決定できる力をつける取り組み」のニーズ探索目的で関わりました。2回にわたり提供したテーマ・話題は、『治療やケア現場で泣き寝入りしないために-患者学A to Z-』、『人生の終末期で泣き寝入りしないために-終末期の備えを考えてみよう-』でした。


 このワークショップより数ヶ月前に実施した別調査では、「自分の終焉をどのように迎えるのか」「万一に備えて、どのような医療を受けたくないのか」をいきなり考えても答えが出にくい結果が示されていました。そのため、重苦しい雰囲気だけが漂うか、全く興味関心がなく空振りで終わるか、いずれかに陥る危険性を危惧していました。しかし、ふたを開けてみると、茶話会のような肩が凝らない雰囲気の中、過去の医療体験で困ったこと、嫌だったこと、逆に嬉しかったことが参加者から口々に出され、次第に「こうしたらよかった」「こうしないといけない」など、自らの行動をふりかえる言葉がたくさん出ていました。また「延命治療」「人工呼吸器」等、医療用語を言っても、それが何なのか、何のためにあるのか、具体的にイメージできない方々が多くおられることも分かり、医療従事者感覚で当然のように用いている言葉にも留意する必要性を痛感しました。医療倫理では、倫理原則で「医療享受者の最大の利益」「自律(自己決定)」がありますが、その前に医療専門職の情報提供や説明のあり方(インフォームドコンセント、インフォームドチョイスを実施する上での対応方法等)もふりかえる必要性があります。平成26年度は、この辺の気づきを踏まえたアクションリサーチの実施を京都にて、地域住民、多職種とともに展開していく予定です。


 そして、今回の取り組みを通じて痛感したこと・・・それは、「人と人のつながり」です。家で閉じこもりがちな方、退職後いきなり地域で過ごす時間が増えて戸惑っている方等々、諸事情でつながりが断絶されている方々もおられました。今回のように、「生きること」に関連するテーマで集うことにより、悩みを打ち明けたり、何か助言的な知恵をもらえたり・・・そんなWin-Winの関係も見られました。この点も、今後のアクションリサーチの「核」になりそうです。


<報告:こころの未来研究センター助教(上廣こころ学研究部門)清家理>


◇メディア掲載
中日新聞知多版(2013年11月8日付朝刊/「和室解放 高齢者講座に」 )に掲載されました。

「京大生の思い2013」を発表します

 内田由紀子准教授らが担当する「こころの科学1」の授業では、2008年から毎年(2012年度をのぞく)、受講生を対象にアンケートをおこないウェブに公開しています。この試みも本年度で5回となりましたので、過去の結果の比較も合わせて掲載し、学生の意識の変化を追ってみました。2008年から今年にかけて、京大生の思いはどんな風に移り変わってきたのでしょうか?

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 アンケートでは、自分の性格やライフスタイルについて38項目の質問に「はい・いいえ」で回答を集めました。過去5回分、同じ質問ですので、回答数の変化から興味深い結果がみられます。例えば、「モテる」の指数は最低だった初回の2008年度の6.94から倍近い12.00にアップ。「美男・美女」「ほれっぽい」「親友がいる」と答えた人も増加しています。一方で、「勉強好き」「野心がある」「疑い深い」「悲観的」などの項目がこぞって過去最低に。かつて京大生らしいと言われた"critical thinking"な京大生は減少傾向にあるといえます。また、「宗教心がある」という回答も2008年から半分近い減少となり、時代を反映しているのかもしれません。


 内田由紀子准教授は「このようなデータは、長く蓄積していくことに価値があるので、これからも続けていきたいです」とコメントしています。アンケート結果は、下記リンクからご覧ください。


「京大生の思い2013(過去5回の比較も含む)」アンケート結果PDFファイル


>> 2011年度のファイルはこちら
>> 2010年度のファイルはこちら
>> 2009年度のファイルはこちら
>> 2008年度のファイルはこちら

阿部准教授と伊藤研究員の共著論文が『Brain Research』に掲載されました

140326abe_brain_research.png 阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)と伊藤文人日本学術振興会特別研究員らの共著論文が、脳神経科学の国際ジャーナル『Brain Research』(vol.1556, 27 March 2014)に掲載されました。


 この論文では、他者を傷つけてしまう「悪い嘘」と、他者を思いやってつく「良い嘘」が道徳的に許容できるか否かを判断する際の脳のメカニズムを調べた研究です。fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いた実験によって、この二種類の嘘の道徳判断は異なる神経基盤によって実現されていることが明らかになりました。


 論文の詳しい情報は、ジャーナルのウェブサイトをご覧ください。下記リンクからアクセス可能です。


Hayashi A, Abe N, Fujii T, Ito A, Ueno A, Koseki Y, Mugikura S, Takahashi S, Mori E (2014)
Dissociable neural systems for moral judgment of anti- and pro-social lying
Brain Research 1556: 46-56


URL:http://dx.doi.org/10.1016/j.brainres.2014.02.011


○Abstract
Pro-social lying, which serves to benefit listeners, is considered more socially and morally acceptable than anti-social lying, which serves to harm listeners. However, it is still unclear whether the neural mechanisms underlying the moral judgment of pro-social lying differ from those underlying the moral judgment of anti-social lying. We used functional magnetic resonance imaging (fMRI) to examine the neural activities associated with moral judgment in anti- and pro-social lying. During fMRI scanning, subjects were provided with scenarios describing a protagonist׳s anti- and pro-social lying and were then asked to judge whether the protagonist׳s act was morally appropriate. The behavioral data showed that anti-social lying was mostly judged to be morally inappropriate and that pro-social lying was mainly judged to be morally appropriate. The functional imaging data revealed dissociable neural systems for moral judgment in anti- and pro-social lying. The anti-social lying, which was judged to be morally inappropriate, was associated with increased activity in the right ventromedial prefrontal cortex, right middle frontal gyrus, right precuneus/posterior cingulate gyrus, left posterior cingulate gyrus, and bilateral temporoparietal junction when compared with the control condition. The pro-social lying, which was judged to be morally appropriate, was associated with increased activity in the right middle temporal gyrus, right supramarginal gyrus, and the left middle cingulate gyrus when compared with the control condition. No overlapping activity was observed during the moral judgment of anti- and pro-social lying. Our data suggest that cognitive and neural processes for the moral judgment of lying are modulated by whether the lie serves to harm or benefit listeners.

清家助教の共編著『認知症なんでも相談室』が出版されました

140320seike_ninchisyo.png 清家理助教(上廣こころ学研究部門)の共編著『患者さんとご家族から学ぶ 認知症なんでも相談室』が、3月20日にメジカルビュー社より出版されました。


 本書は、認知症に関する知識(病気のこと、治療方法等)から、予防方法、介護方法、終末期の対応まで、実生活で応用できるアドバイスをQ&A、コラムなどで分かりやすく解説されたものです。今回、本書に出てくる120のQuestionは、認知症を持つ方やそのご家族の声に基づいています。巻頭に掲載された「病期/情報・相談内容一覧」では、認知症を持つ方やご家族の質問に当てはまるカテゴリーがひと目で分かるようになっており、社会参加、医療倫理といった新たな分類項目も追加されました。また、認知症を持つ人のこころをケアし、回想法の実践につながる「俳句かるた」(作成者:鳥羽研二国立長寿医療研究センター病院長他)のアイデア紹介など、多彩なページ構成となっています。清家助教は、書籍全体の編集に携わり、社会資源(医療・福祉)の活用、終末期に関する章など多くの項目を執筆、編纂しました。


 書籍の序文、目次、Q&Aの一部を出版社とAmazon.co.jpのページで読むことができます。下記リンクよりご覧ください。


○書誌情報
『患者さんとご家族から学ぶ 認知症なんでも相談室』
国立長寿医療研究センター編
監修 鳥羽 研二、編集 武田 章敬、清家 理
定価 2,940円(本体 2,800 円+税)
B5判 168ページ 2色(一部カラー)
2014年3月20日刊行
ISBN978-4-7583-0487-0


○目次
キーワード索引
病期/情報・相談内容一覧


1 予防 認知症にならないためには?/Q01〜12、番外編


2.受診前 認知症かも? と思ったら/Q13〜23、コラム01


3.診断前 認知症かどうかはどう調べるの?/Q24〜25

 
4.診断後 えっ? 認知症! さて,どうしよう!/Q26〜49、コラム02〜05


5.認知症にはどんな治療があるの?/Q50〜105、コラム06〜16


6.小康状態期 認知症とうまく付き合っていくために!/Q106〜114、コラム17


7.終末期 穏やかに送り出してあげるために/Q115〜120、コラム18


出版社の書籍紹介ページ(「立ち読み」できます)
Amazon.co.jpの商品ページ(「なか見!検索」できます)

内田准教授の共著論文の概要が京大ホームページに掲載されました

 内田由紀子准教授と、京大教育学研究科大学院生の荻原祐二さんによる共著論文「Does individualism bring happiness? Negative effects of individualism on interpersonal relationships and happiness.」の概要「個人主義的な人は、親しい友人の数が少なく幸福感が低い -日本社会の個人主義化がもたらす負の側面を示唆-」が、京都大学の公式ホームページに掲載されました。


 ページでは、研究者のコメント、研究概要、詳しい研究成果が記されたドキュメントファイル(PDF)、書誌情報などをまとめて参照いただけます。下記リンクからご覧ください。


個人主義的な人は、親しい友人の数が少なく幸福感が低い -日本社会の個人主義化がもたらす負の側面を示唆- | 京都大学:お知らせ(2014.3.19)

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◇関連情報
内田准教授の共著論文が『Frontiers in Psychology』に掲載されました(2014.3.20)

内田准教授の共著論文が『Frontiers in Psychology』に掲載されました

1403005uchida.png 内田由紀子准教授と京大教育学研究科大学院生の荻原祐二さんによる共著論文「Does individualism bring happiness? Negative effects of individualism on interpersonal relationships and happiness.」が、2014年3月、心理学系のジャーナル『Frontiers in Psychology』に掲載されました。


Ogihara, Y., & Uchida, Y. (2014). Does individualism bring happiness? Negative effects of individualism on interpersonal relationships and happiness. Frontiers in Psychology, 5: 135.


○Abstract
We examined the negative effects of individualism in an East Asian culture. Although individualistic systems decrease interpersonal relationships through competition, individualistic values have prevailed in European American cultures. One reason is because individuals could overcome negativity by actively constructing interpersonal relationships. In contrast, people in East Asian cultures do not have such strategies to overcome the negative impact of individualistic systems, leading to decreased well-being. To test this hypothesis, we investigated the relationship between individualistic values, number of close friends, and subjective well-being (SWB). Study 1 indicated that individualistic values were negatively related with the number of close friends and SWB for Japanese college students but not for American college students. Moreover, Study 2 showed that even in an individualistic workplace in Japan, individualistic values were negatively related with the number of close friends and SWB. We discuss how cultural change toward increasing individualism might affect interpersonal relationships and well-being.


 日本とアメリカの大学生を対象に調査をおこなった本研究では、アメリカにおいては個人主義傾向と親しい友人の数や幸福感には関連がなかったものの、日本において個人主義傾向が高い人は、親しい友人の数が少なく、幸福感が低いことが分かりました。さらにこの関係は、日本において個人主義的で競争的な制度を導入している企業で働く成人においても同様であることが分かりました。


 この研究結果から著者らは、「日本社会の個人主義化が進む中で、個々人が個人主義社会で必要な心理・行動傾向を身に付けることが必要ではないか。同時に、個人が孤立しないような社会的な制度や場を設計することが効果的ではないか」とコメント。「今後は、個人主義傾向が対人関係や幸福感に与える影響について因果関係を含めたより具体的なプロセスの解明を行うことが必要。そのことにより、対人関係の不振によって生じる社会問題(ひきこもり、無縁社会化など)の解決・予防にも貢献することが可能と考えられる」と展望しました。


 なお、論文(英語)は、オンラインで全文をお読みいただけます。下記リンクからご覧ください。


◇『Frontiers in Psychology』ウェブサイト
http://journal.frontiersin.org/Journal/10.3389/fpsyg.2014.00135/full

船橋教授の共著論文の概要が京大ホームページに掲載されました

 船橋新太郎教授と、オックスフォード大学の渡邉慶研究員(2012年2月までこころの未来研究センター研究員)の共著論文「Neural mechanisms of dual-task interference and cognitive capacity limitation in the prefrontal cortex」の概要「二つのことを同時にしようとすると、どちらも中途半端になる脳の仕組みを解明」が、京都大学の公式ホームページに掲載されました。


 ページでは、研究者のコメント、研究概要、詳しい研究成果が記されたドキュメントファイル(PDF)、京都大学学術情報リポジトリへのアクセスURLをまとめて参照いただけます。下記リンクからご覧ください。


二つのことを同時にしようとすると、どちらも中途半端になる脳の仕組みを解明 | 京都大学:お知らせ(2014.3.3)

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船橋教授の共著論文のレビューが『ライフサイエンス 新着論文レビュー』に掲載されました

 船橋新太郎教授と、オックスフォード大学の渡邉慶研究員(2012年2月までこころの未来研究センター研究員)の共著論文「Neural mechanisms of dual-task interference and cognitive capacity limitation in the prefrontal cortex」の著者レビューが3月18日、『ライフサイエンス 新着論文レビュー』に掲載されました。


『ライフサイエンス 新着論文レビュー』は、「トップジャーナルに掲載された日本人を著者とする生命科学分野の論文について、論文の著者自身の執筆による日本語のレビューをだれでも自由に閲覧・利用できるよう、いち早く公開するサイト(サイト紹介文)」です。


 論文の内容を日本語で詳しくお読みいただけます。下記のリンク先をご覧ください。


前頭連合野における神経活動の解析により二重課題干渉とこれにかかわる認知的な容量制限の神経機構を明らかにした/渡邉 慶・船橋新太郎|ライフサイエンス 新着論文レビュー
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『身心変容技法研究』第3号、『モノ学・感覚価値研究』第8号を刊行しました

 鎌田東二教授が代表研究者を務める「身心変容技法の比較宗教学-心と体とモノをつなぐワザの総合的研究」の研究年報『身心変容技法研究』第3号ならびに「モノ学・感覚価値研究会」の研究年報『モノ学・感覚価値研究』第8号が刊行されました。年報は全てPDFで公開しています。下記リンクよりダウンロードしてご覧ください。


■『身心変容技法研究』第3号

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ダウンロード:表紙(2MB) 目次(1MB)  本文(8MB) 巻末(1MB)


 身心変容技法研究会は、多彩な研究メンバーによる最新の臨床心理学、精神医学の臨床研究や認知科学、脳神経科学の実験研究等を結びつけ、身体と心との相互的な関わりをワザやモノを媒介として様々な角度から分析し、「心の荒廃の時代」を突破するための理論と実践を提示することを目指しています。2013年度は、9回の定例公開研究会、国際シンポジウム、4回のフィールドワーク、毎月2回の定例分科研究会がおこなわれました。年報では、研究会での発表内容のほとんどが網羅されており、この一年で進められた研究の全容を知ることができます。


□身心変容技法研究会ホームページ
http://waza-sophia.la.coocan.jp/kennkyuukai.htm


■『モノ学・感覚価値研究』第8号

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(表紙:対馬・和多都美神社の海中鳥居、撮影:鎌田東二)


ダウンロード:表紙(2MB) 本文(15MB)


 「モノ学・感覚価値研究会」は、「モノ学の構築―"もののあはれ"および"もののけ"から"ものづくり"までを貫流する日本文明のモノ的創造力と感覚価値を検証する」を正式名称および副題とし、「『モノ』と人間、自然と人間、道具や文明と人間との新しい関係の構築可能性」をみつめ、「人間の幸福と平和と結びつく『モノ』認識と『感覚価値』のありようを探りながら、認識における『世直し』と『心直し』をしていく」ことを大きな目標としています(研究紹介より)。年報は、「第1部:モノ学の展開とこころのワザ学」「第2部:震災とモノ学アートの試み」「第3部:モノ学とコトバ学」の3部に分かれ、第2部には2011年から始まった「震災関連プロジェクトーこころの再生に向けて」の第4回シンポジウムの講演録が収められています。


□モノ学・感覚価値研究会ホームページ
http://mono-gaku.la.coocan.jp

河合教授が「阿留辺畿夜宇和コンサート」にトーク出演します

140312kawai_arubeki.png 河合俊雄教授が、4月13日(日)に開催される「-河合隼雄作「明恵 夢を生きる」より- 阿留辺畿夜宇和コンサート」(於:千麗舞山荘/京都市右京区)にトーク出演します。


 同コンサートは、舞踊家の西川千麗氏(2012年没)が河合隼雄京大名誉教授の著作『明恵 夢を生きる』をモチーフに制作し、海外でも高い評価を得た創作舞踊「阿留辺幾夜宇和(あるべきようは)」の音楽を通して、千麗氏の創作の軌跡をたどるイベントです。河合俊雄教授は当日、「亡き魂の現前‐千麗と河合隼雄」というタイトルで、明恵上人、河合隼雄、西川千麗それぞれが織り成した魂の世界をテーマに講話します。


 詳細は主催者のページをご覧ください(右上の画像をクリックすると当日の案内チラシをご覧いただけます)。


-河合隼雄作「明恵 夢を生きる」より- 阿留辺畿夜宇和コンサート

福島慎太郎研究員(上廣こころ学研究部門)が『社会階層と健康 国際会議2013』で優秀演題賞を受賞しました

上半身カラー写真_福島.PNG 福島慎太郎研究員(上廣こころ学研究部門)が、2013年8月31日・9月1日に東京大学で開催された『社会階層と健康 国際会議2013』において、優秀な演題発表をおこなった若手研究者に贈られる「優秀演題賞」を受賞しました。


 『社会階層と健康 国際会議2013』は、文部科学省科学研究費新学術領域「社会階層と健康」に関心を持つ、あるいは関連した研究をおこなう国内外の研究者や学生らが参加し、講演、シンポジウム、一般演題によるポスターおよび口頭発表などが2日間に渡っておこなわれました。


 福島研究員は「The synergy effect of economic and social capital on health: A multilevel analysis in rural areas of northern Kyoto prefecture」という演題で口頭発表をし、日本の農村地域においては、1)個人の経済水準が人々の幸福感を上昇させる効果は人間関係が密に形成されているコミュニティほど増大するとともに、2)コミュニティ全体の経済水準が人々の幸福感を上昇させることを提示しました。この発表が評価され、優秀演題賞を受賞しました。


『社会階層と健康 国際会議2013』概要
抄録集