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「フューチャーマインド2―アートと科学シンポジウム―

 「フューチャーマインド2―アートと科学シンポジウム―」を2018年2月18日(日)に稲盛財団記念館3階大会議室にて開催しました。世界各地で活躍するメディアアーティスト・研究者をお招きして、アートと科学を横断する作品制作、研究、教育に関わる様々な試みについて話を聴き、討論する場を設けました。
 はじめにシンポジウムの企画者でファシリテーターでもある京都大学こころの未来研究センターの吉岡洋特任教授よりシンポジウムの概要説明があり、続いて吉川左紀子センター長からはセンターを代表して挨拶がありました。
 イギリス、フランス、アメリカから4名の講師をお招きした今回のシンポジウムは、午前中に2名の講演と質疑応答、休憩をはさんで午後から残る2名の講演と質疑応答、最後は講師4名と参加者との全体討論を行いました。
ゲーム制作者を経てロンドン大学ゴルドスミス校コンピューティング学部で教えるウィリアム・レイサム教授は「Mutator VR Art and Research and Interdisciplinary Work Across Art and Science」、研究と芸術創作との重なりをテーマとするパリ第一大学のオルガ・キッセレーヴァ教授は「Artist as Researcher」、忘れられたメディア装置を手がかりに社会や人間とメディアとの関係を探究する"メディア考古学"の提唱者で、カリフォルニア大学のエルキ・フータモ教授は「Cyborgs, Posthumanism, and Media Archaeology:Concepts Looking for Contexts」、ロボット工学や創発概念を元に作品制作を行うオハイオ州立大学のケン・リナルド教授は「Semi-living machinic species」と題して、それぞれ自身の活動や、作品について画像と映像を交えて紹介しました。
 最後の全体討論では、会場の学生や研究者やアーティスから、非常に熱心な質問が飛び交い、討論はメディアアートや科学的研究と創造活動との境界領域に関するものなど密度の濃いものになりました。参加者からはこのような国際的な講演者からの話を聞く機会を得られてよかったという声をいただきました。


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[開催案内]
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[DATA]
▽日時:2月18日(日)10:00~17:00(開場09:30)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽講師:ウィリアム・レイサム教授(ロンドン大学ゴルドスミス校)
    オルガ・キッセレーヴァ教授(パリ第一大学)
    エルキ・フータモ教授(カリフォルニア大学)
    ケン・リナルド教授(オハイオ州立大学)
▽対象:研究者・学生
▽言語:英語(通訳なし)
▽参加者人数:27名


「支える人の学びの場 医療および教育専門職のための こころ塾2017」を開催しました

17kokorojuku.png 「支える人の学びの場 医療および教育専門職のためのこころ塾2017『感情と身体性:先端の知と実践をつなぐ』」を、2017年9月30日、10月21日、11月11日、京都大学稲盛財団記念館3階大会議室で開催しました。


 5年目を迎えた今回、作業療法士、理学療法士、臨床心理士、言語聴覚士などの医療の仕事に従事されている方々と、教育の仕事に従事されている方々を迎え、3日間の日程で実施しました。各回とも午前中は乾敏郎追手門学院大学心理学部教授(センター特任教授、京大名誉教授)による講義ならびに各回のゲスト講師一名による講義があり、午後には事例報告、グループディスカッションと発表、講師への質疑応答などの時間が設けられました。


 第1日目の9月30日、乾教授は「感情と身体性1:円滑なコミュニケーションを支える神経機構」と題して講義し、続いて医学研究科の村井俊哉教授が「社会性という観点から精神科の病気を理解する」という演題にて講義しました。午後には、医学部附属病院で作業療法士を務める加藤野百合先生が事例報告を行いました。第2日目の10月21日は、乾教授の講義「感情と身体性2:感情の役割とその神経機構」から始まり、続いて島根大学人間科学部(当時)の岩宮恵子教授が「思春期臨床にみる感情と身体性」という演題にて講義しました。事例報告は愛知県心身障害者コロニー中央病院・作業療法士の松田祥子先生が行いました。第3日目の11月11日は、乾教授の講義「感情と身体性3:自閉症の神経機構」に続いて、教育学研究科の森口佑介准教授が「自己制御の初期発達とその支援」と題して講義し、事例報告を医学研究科助教で作業療法士の松島佳苗先生が行いました。


 「先端の知と実践をつなぐ」というテーマの通り、最新の研究知見と現場での事例を共有しながら講師と参加者、参加者同士が学び、交流できた有意義な3日間となりました。


○受講者の感想(開催後のアンケートより)
・「毎回、どの講師の先生のお話も大変勉教になりました。事例報告は丁寧にまとめられたものばかりで、自分の実践に多くつながることがあり、参考になりました。グループ討議まで充実していて楽しく参加できました。(臨床心理士)」
・「多職種との人と出会え、別の視点を知る機会になりました。脳機能の研究、知見と現場での実践の両方を知ルことができたことも良かったです。普段、こどもと関わることはないですが、高齢者成人に関わる身としても参考になることがたくさんありました。(作業療法士)」
・「自閉症の理解につながり、身体の動きについても神経基盤で考えることで、今までとは異なる見方ができるようになりました。(学生)」
・「最新の研究と実践報告の両方を同時に、そしてそれらを関連づけて学べるのが魅力だと思います。(学校関係者)」
・「脳科学的な側面からの心の理解ができ、毎回異なる講師の先生方のお話が面白く、あっという間でした。(作業療法士)」


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[DATA]
「支える人の学びの場 医療および教育専門職のための こころ塾2017『感情と身体性:先端の知と実践をつなぐ』」
▽日時:2017年9月30日(土)、10月21日(土)、11月11日(土)各日とも10時~17時まで (受付開始 9時30分~)
▽会場:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム:
9:30~ 受付開始
10:00~11:15 講義① 乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授 / 京都大学こころの未来研究センター・特任教授)
11:30~12:45 講義② ゲスト講師
12:45~13:50 昼食
13:50~14:20 午前中の講義まとめ
14:20~15:10 事例報告
15:20~16:10 グループディスカッション
16:10~17:00 講師とのQ&A
9月30日(土) 
〇「感情と身体性1:円滑なコミュニケーションを支える神経機構」 乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授 / 京都大学こころの未来研究センター・特任教授)
〇「社会性という観点から精神科の病気を理解する」 村井俊哉(京都大学大学院医学研究科・教授)
〇事例報告 加藤野百合(京都大学医学部附属病院・作業療法士)
10月21日(土) 
〇「感情と身体性2:感情の役割とその神経機構」 乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授 / 京都大学こころの未来研究センター・特任教授)
〇「思春期臨床にみる感情と身体性」 岩宮恵子(島根大学人間科学部・教授・臨床心理士)
〇事例報告 松田祥子(愛知県心身障害者コロニー中央病院・作業療法士)
11月11日(土) 
〇「感情と身体性3:自閉症の神経機構」 乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授 / 京都大学こころの未来研究センター・特任教授)
〇「自己制御の初期発達とその支援」 森口佑介(京都大学大学院教育学研究科・准教授)
〇事例報告 松島佳苗(京都大学大学院医学研究科・助教・作業療法士)
▽参加人数:9/31:83名、10/21:80名、11/11:74名


主催:京都大学こころの未来研究センター
共催:京都大学大学院医学研究科 脳機能リハビリテーション学分野 発達障害系研究室

上廣こころ学研究部門 2016年度研究報告会「多様化するこころと共生」を開催しました

1612houkoku_uehiro.png こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 2016年度研究報告会「多様化するこころと共生」を、2016年12月11日、稲盛財団記念館大会議室にて開催しました。


 2012年4月に創設した「上廣こころ学研究部門」は、公益財団法人上廣倫理財団の支援のもと、現代の日本社会が必要とする、倫理を含む広義の「こころ学」に関するユニークな学際的研究に取り組んでいます。2016年度の報告会は「多様化するこころと共生」をテーマに、5名の研究者による口頭発表を行いました。午前中に開催した「こころの未来研究センター研究報告会2016『こころの拡がりと未来』」に続き、センターの取り組みに支援をいただいている関係者をはじめ、学内外の研究者、大学院生、学部生など、昨年を上回る114名にご参加いただきました。


 はじめに吉川左紀子センター長が開催の挨拶として、「上廣こころ学研究部門は、創設から5年の区切りを迎えました。大学を取り囲む厳しい環境のなか、若い研究者たちを外部より支援してくださることを本当にありがたく思うと共に、今後もこころと倫理をつなぐ研究を進めていきます」と話しました。続いて、公益財団法人上廣倫理財団の丸山登事務局長より来賓のご挨拶として、「研究者の皆さんには、多くの人々の生き方や考え方を追い求める努力の手助けになる研究を行っていただきたい。こころの未来研究センターを支援していることを大きな誇りに思っています」との言葉を頂戴しました。その後、河合俊雄教授が本研究部門の紹介を行い、メンバー構成や研究活動のあらまし、報告会の流れを紹介しました。


 一つめの研究報告は、カール・ベッカー教授が「多様化するこころと倫理」と題し、人々の価値観の多様化が急速に進む現代社会が持つ様々な問題を取り上げながら、本研究部門が目指すべきテーマと今後の展望について話しました。続いて、阿部修士准教授が「利己性の制御と幸福感:心理学と脳科学の視点から」と題し、准教授ら3名を中心に取り組んでいる幸福感プロジェクトの成果と知見を報告しました。三つめの報告は、清家理助教が「認知症をもつ人と家族介護者双方のWell-beingとストレスコーピング:医療倫理学・社会福祉学・老年医学の視点から」と題して、認知症をもつ人、家族介護者のニーズに即した包括的教育支援プログラムでの研究成果と具体的事例を紹介しました。四つめの報告は、畑中千紘助教が「非定型化する現代のこころ:臨床心理学の視点から」というタイトルで、臨床心理学の領域から本研究部門で扱う発達障害に続く現代特有のこころの問題について最新の研究知見を紹介しました。最後に、熊谷誠慈准教授が「アジアの精神性と幸福観:インド、チベット、ブータンを中心に」と題し、ブータンの国民総幸福度(GNH)政策における伝統的精神性の応用例、他国への応用例などを検討し、ポスト経済成長時代における「より良い生き方」について考察しました。締めくくりとして、広井良典教授が「それぞれの研究報告はミクロからマクロに及ぶ多様な発表であると同時に、深い部分でつながり合う内容で、現代社会の課題を学際的に研究し掘り下げ問題提起するものだった」と総括し、報告会は終了しました。


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上廣こころ学研究部門 2016年度研究報告会「多様化するこころと共生」
▽日時:2016年12月11日(日)14:30~17:40(14:00 受付開始)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
・14:30-14:35 センター長挨拶:吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター 教授・センター長)
・14:35-14:40 来賓ご挨拶:丸山登(公益財団法人 上廣倫理財団 事務局長)
・14:40-14:55 上廣こころ学研究部門の取組紹介:河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター 教授・副センター長・上廣こころ学研究部門兼任)
・14:55-15:35 研究報告①「多様化するこころと倫理」カール・ベッカー(京都大学こころの未来研究センター 教授・上廣こころ学研究部門兼任)
・15:35-16:00 研究報告②「利己性の制御と幸福感:心理学と脳科学の視点から」阿部修士(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 特定准教授)
・16:00-16:10 休憩
・16:10-16:35 研究報告③「認知症をもつ人と家族介護者双方のWell-beingとストレスコーピング:医療倫理学・社会福祉学・老年医学の視点から」清家 理(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 特定助教)
・16:35-17:00 研究報告④「非定型化する現代のこころ:臨床心理学の視点から」畑中千紘(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 特定助教)
・17:00-17:25 研究報告⑤「アジアの精神性と幸福観:インド、チベット、ブータンを中心に」熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 特定准教授)
・17:25-17:40 総括:広井良典(京都大学こころの未来研究センター 教授・上廣こころ学研究部門兼任)
司会:熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)
▽参加人数:114名

こころの未来研究センター研究報告会2016「こころの拡がりと未来」を開催しました

1612houkoku_center.png こころの未来研究センター研究報告会2016「こころの拡がりと未来」を、2016年12月11日、稲盛財団記念館中会議室(発表会場)および大会議室(ポスター会場)にて開催しました。日頃、センターの取り組みに支援をいただいている関係者をはじめ、学内外の研究者、大学院生、学部生など多くの方々にお越しいただきました。


 当日は、2016年に進められた連携研究プロジェクトの研究成果をポスター掲示すると共に、4月にセンター教授に着任した小村豊教授、広井良典教授、吉岡洋教授の3名が研究報告を行い、ディスカッサントを交えて議論を深めました。はじめに吉川左紀子センター長が開会の挨拶として、平成28年度のセンターの活動や研究者らの功績を振り返ると共に、2017年に10周年記念シンポジウムを開催することを紹介し、「この10年間、多くの方々にサポートをいただきながら、こころとからだ、こころときずな、こころと生き方の3領域にかかわる研究を学際的に進めてきました。今後、20周年、30周年に向け、引き続きこころの学際研究に取り組んで参ります」と話しました。


 研究報告は、はじめに小村教授が「意識は、自然科学に「こころ」を開くのか?」というタイトルで、意識という難解なテーマに対し神経科学、心理学・情報学・ 医学・物理学を融合させて取り組んできたこれまでの知見と今後の展望について報告しました。続いて、広井教授が「持続可能な社会、持続可能なこころ」というタイトルで、「拡大・成長」から「成熟・定常化」への移行という重大な転換期とする現代において注目すべき社会デザインだと考える「持続可能な福祉社会」について考察、提言しました。そして、大会議室でのポスターセッションと休憩を挟んだのち、三つめの報告では吉岡教授が「アートとこころの未来」というタイトルで、美学・芸術学の理論的研究と共に芸術活動の現場で実践研究に取り組んできたこれまでの足どりと、本年度の活動実績を紹介しました。その後、ディスカッサントに大阪大学大学院生命機能研究科・医学系研究科の仲野徹教授とフィールド科学教育研究センターの伊勢武史准教授をお迎えし、登壇者、聴講者を交えた活発な討論、質疑応答がおこなわれ、河合俊雄教授による閉会の挨拶で終了しました。司会進行は内田由紀子准教授が務めました。


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こころの未来研究センター研究報告会2016「こころの拡がりと未来」
▽日時:2016年12月11日(日)9:30~13:20(9:00 受付開始)
▽会場:京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室(ポスター会場:大会議室)
▽対象:研究者、学生
▽プログラム
・ 9:30 - 9:35 開会の挨拶 吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター 教授・センター長 )
・ 9:35 - 10:10 研究報告①「意識は、自然科学に「こころ」を開くのか?」小村豊(京都大学こころの未来研究センター 教授)
・10:10 - 10:45 研究報告②「持続可能な社会、持続可能なこころ」広井良典(京都大学こころの未来研究センター 教授)
・10:45 - 11:20 研究報告③「アートとこころの未来」吉岡洋(京都大学こころの未来研究センター 特定教授)
・11:20 - 12:00 ポスターセッション + 休憩
・12:00 - 13:15 ディスカッション ディスカッサント:仲野徹(大阪大学大学院生命機能研究科/医学系研究科 教授)、伊勢武史(京都大学フィールド科学教育研究センター 准教授)
・13:15 - 13:20 閉会の挨拶 河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター 教授・副センター長)
▽参加者数:75名

「支える人の学びの場 医療および教育専門職のための こころ塾2016」を開催しました

2016kokorojuku1.png 「支える人の学びの場 医療および教育専門職のための こころ塾2016」が、2016年10月8日、10月15日、10月22日、京都大学稲盛財団記念館3階大会議室で開催されました。2013年にこころ塾が開講して4年目を迎えた今回、作業療法士、理学療法士、臨床心理士、言語聴覚士などの医療の仕事に従事されている方々と、教育の仕事に従事されている方々など総勢87名を迎え、3日間のコースで実施しました。


 各日とも全体の司会進行は吉川左紀子センター長が務め、午前中は認知科学、認知神経科学が専門の乾敏郎追手門学院大学心理学部教授(センター特任教授、京大名誉教授)による講義が行われ、午後にはゲスト講師による講義と事例(実践)報告があり、参加者によるディスカッションと講師への質疑応答の時間が設けられました。


 第1日目の10月8日、乾教授は「感情と身体性:感情の役割とその神経機構」と題して講義し、続いて国際高等教育院・教育学研究科の明和政子教授が「周産期からの身体感覚と認知機能の発達」という演題にて講義しました。また、人間・環境学研究科・日本学術振興会特別研究員PDの小川詩乃研究員と、愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所の田村綾菜研究員が実践報告を行いました。第2日目の10月15日は、乾教授の講義「円滑なコミュニケーションを支える神経機構」から始まり、続いて医学研究科の村井俊哉教授が「「社会性」という観点からみた精神科の病気と臨床」という演題にて講義しました。事例報告では、市立福知山市民病院で作業療法士を務める山本香織先生が、医療の場からの報告を行いました。第3日目の10月22日は、乾教授の講義「言語・非言語コミュニケーションの神経機構」に続いて、島根大学教育学部の岩宮恵子教授が「イマドキの思春期の問題を考える―ネットのなかに拡散していくこころ―」と題して講義し、事例報告を愛知県身心障害者コロニー中央病院で作業療法士を務める小松則登先生が行いました。


 講義後の参加者によるディスカッションでは、グループごとに質問項目をまとめて発表し、間近に座った先生方が解説を行いました。当日の講師に加えて医学研究科の加藤寿宏准教授も回答陣に加わり、各日とも活発な質疑応答が繰り広げられました。参加者からは、「臨床の現場で感じていることを整理する上でとても役立つ内容で、楽しく学ばせてもらえた」、「座学とグループ討議が組み合わさっているため、様々な職種の方と知り合いになり、意見を聞くことができた」、「参加者が熱心で質問も活発なので刺激を受けた」(アンケートより抜粋)などの感想が寄せられました。


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「支える人の学びの場 医療および教育専門職のための こころ塾2016」
▽日時:2016年10月8日(土)/10月15日(土)/10月22日(土)各日10時~17時まで(受付開始9時30分~)
▽会場:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム:
9:30~ 受付開始
10:00~12:00 講義① 乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授/京都大学・名誉教授)
12:00~13:00 昼 食
13:00~14:30 講義② ゲスト講師
14:40~15:20 事例(実践)報告
15:30~16:00 グループディスカッション
16:00~17:00 講師とのQ&A
10月8日(土) 
〇「感情と身体性:感情の役割とその神経機構」 乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授 / 京都大学こころの未来研究センター・特任教授)
〇「周産期からの身体感覚と認知機能の発達」 明和政子(京都大学国際高等教育院 / 大学院教育学研究科・教授)
〇実践報告 小川詩乃(京都大学大学院人間・環境学研究科・日本学術振興会特別研究員PD)・田村綾菜(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所・リサーチレジデント)
10月15日(土) 
〇「円滑なコミュニケーションを支える神経機構」 乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授 / 京都大学こころの未来研究センター・特任教授)
〇「「社会性」という観点からみた精神科の病気と臨床」 村井俊哉(京都大学大学院医学研究科・教授)
〇事例報告 山本香織(市立福知山市民病院・作業療法士)
10月22日(土) 
〇「言語・非言語コミュニケーションの神経機構」 乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授 / 京都大学こころの未来研究センター・特任教授)
〇「イマドキの思春期の問題を考える―ネットのなかに拡散していくこころ―」 岩宮恵子(島根大学教育学部・教授・臨床心理士)
〇事例報告 小松則登(愛知県心身障害者コロニー中央病院・作業療法士)
▽参加人数:87名


主催:京都大学こころの未来研究センター
共催:京都大学大学院医学研究科 脳機能リハビリテーション学分野 発達障害系研究室

上廣こころ学研究部門 2015年度研究報告会「身体(からだ)からこころを問い直す」を開催しました

 こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 2015年度研究報告会「身体(からだ)からこころを問い直す」を、2015年12月20日、稲盛財団記念館大会議室にて開催しました。


 こころの未来研究センターでは2012年4月より、公益財団法人上廣倫理財団の支援のもと「上廣こころ学研究部門」を開設し、現代の日本社会が必要とする、倫理を含む広義の「こころ学」に関するユニークな学際的研究活動をおこなっています。今年度の研究報告会は「身体(からだ)からこころを問い直す」をテーマに、3名の研究者による口頭発表とディスカッションをおこないました。午前中に開催した「こころの未来研究センター研究報告会2015『からだ・こころ・きずな』」に引き続き、センターの取り組みに支援をいただいている関係者をはじめ、学内外の研究者、大学院生、学部生など97名にご参加いただきました。


 冒頭、吉川左紀子センター長が挨拶に立ち、「上廣こころ学研究部門では上廣倫理財団のご支援とご理解のもと、『京都大学の知的伝統を受け継ぐと共に、こころと倫理をつなぎ未来に向かう研究を推進する』という主旨で研究に取り組んでいます」と説明しました。続いて、丸山登公益財団法人上廣倫理財団事務局長より来賓のご挨拶を頂き、財団設立に到るエピソードと財団の活動理念、京都大学と本報告会に寄せる期待についてお話を頂きました。その後、鎌田東二教授が本研究部門の取り組みを紹介しました。ひとつめの研究報告は、門前斐紀研究員が「芸術からこころを問い直す」と題し、芸術活動に備わる倫理的作用に焦点をあて、東日本大震災における芸能復興の事例などを用いて発表しました。続いて、梅村高太郎研究員が「心身症からこころを問い直す」と題し、平成26年度より取り組んでいる「身体疾患・症状に関する心理療法の研究」プロジェクトから発展させた実証研究の成果と知見を報告しました。三つめの報告では「介護からこころを問い直す」と題し、カール・ベッカー教授が長らく取り組んできた介護者・看護者が直面する心理的ストレスに関する研究と、介護者・看護者のストレス予防の為の診断法についての研究成果を紹介しました。


 その後、部門研究者による全体討論がおこなわれ、熊谷誠慈准教授の司会進行のもと、清家理助教、畑中千紘助教、福島慎太郎青山学院大学総合文化政策学部助教らが発表者と共にディスカッションをおこないました。締めくくりとして、河合俊雄教授が「若手研究者は上廣こころ学研究部門という、非常に豊かでハードな環境のなか研究に取り組んでいる。今日、登壇した若い人たちの話から、アクションリサーチのなかで起こってくることを見つめることの大切さをあらためて認識した」と総括し、報告会は終了しました。


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[開催ポスター]
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▽日時:2015年12月20日(日)14:30~17:45(14:00 受付開始)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
・14:30 - 14:35 センター長挨拶 吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター・教授/センター長)
・14:35 - 14:40 来賓ご挨拶 丸山登(公益財団法人 上廣倫理財団・事務局長)
・14:40 - 14:50 上廣こころ学研究部門の取組紹介 鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター・教授/上廣こころ学研究部門兼任)
・14:50 - 15:20 研究報告①「芸術からこころを問い直す」門前斐紀(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・非常勤研究員)
・15:20 - 15:50 研究報告②「心身症からこころを問い直す」梅村高太郎(京都大学こころの未来研究センター・非常勤研究員)
・15:50 - 16:20 研究報告③「介護からこころを問い直す」カール・ベッカー(京都大学こころの未来研究センター・教授/上廣こころ学研究部門兼任)
・16:20 - 16:40 休憩 (質問用紙回収)
・16:40 - 17:40 部門研究者による全体討論 モデレーター:熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)、ディスカッサント:清家理(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定助教)、畑中千紘(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定助教)、福島慎太郎(青山学院大学総合文化政策学部・助教)
・17:40 - 17:45 閉会の挨拶 河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター・教授/上廣こころ学研究部門兼任)
司会:阿部修士(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)
▽参加人数:97名

こころの未来研究センター研究報告会2015「からだ・こころ・きずな」を開催しました

 こころの未来研究センター研究報告会2015「からだ・こころ・きずな」を、2015年12月20日、稲盛財団記念館中会議室(発表会場)および大会議室(ポスター会場)にて開催しました。


 当日は、2015年に進められた35の連携研究プロジェクトの研究成果をポスター発表で報告すると共に、3つの研究報告をおこない、ディスカッサントを交えて議論を深めました。日頃、センターの取り組みに支援をいただいている関係者をはじめ、学内外の研究者、大学院生、学部生など多くの方々にお越しいただきました。はじめに吉川左紀子センター長が開会の挨拶として、平成27年度のセンターのおもな取り組みを振り返ると共に、「今日は、センターの研究者による研究報告をもとにディスカッサントの先生方をまじえて活発な議論の場にしたい」と話しました。


 ひとつめの報告では、船橋新太郎教授が「動物の脳からヒトのこころを探る」というタイトルで、こころを探る研究として取り組んでいる、サルを用いた前頭連合野外側部の神経活動を調べた実験のあらましを紹介しました。続いて、鎌田東二教授が、「こころのワザ学~こころはどこにあり、どのように現れるのか?日本研究の立場から」というタイトルで、日本古来から現代まで受け継がれる日本人の「こころ」観について、『古事記』を中心とする文献・思想研究から東日本大震災の被災地へ繰り返し赴いたアクションリサーチまで幅広い取り組みを紹介し、研究成果を報告しました。そして、大会議室でのポスターセッションと休憩を挟んだのち、三つめの報告では内田由紀子准教授が、「こころときずなのインターフェース:集合的幸福へのアプローチ」というタイトルで、現在、取り組んでいる地域や企業を対象とした集団における幸福の実証研究を紹介し、集合的幸福を支える社会関係資本(社会的きずな)のあり方について考察しました。その後、ディスカッサントに堀智孝白眉センタープログラムマネージャーと広井良典千葉大学法政経学部教授をお迎えし、登壇者、聴講者を交えた活発な討論、質疑応答がおこなわれ、河合俊雄教授による閉会の挨拶で締めくくりました。


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[開催ポスター]
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[DATA]
▽日時:2015年12月20日(日) 9:30~13:00(9:00~受付開始)
▽会場:京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室(ポスター会場:大会議室)
▽プログラム
・9:30-9:35 開会の挨拶 吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター・教授・センター長)
・9:35-10:15 研究報告① 「動物の脳からヒトのこころを探る」船橋新太郎(京都大学こころの未来研究センター・教授)
・10:15-10:55 研究報告② 「こころのワザ学~こころはどこにあり、どのように現れるのか? 日本研究の立場から」鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター・教授) 
・10:55-11:35 ポスターセッション+休憩
・11:35-12:15 研究報告③「こころときずなのインターフェース:集合的幸福へのアプローチ」内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター・特定准教授)  
・12:15-13:15 ディスカッション
ディスカッサント:広井良典(千葉大学法政経学部・教授)、堀智孝(京都大学特任教授、白眉センター・プログラムマネージャー)
・13:15-13:20 閉会の挨拶 河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター・教授)
司会進行:熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター・特定准教授)
▽参加者数:61名

佐伯特任教授による「こころの思想塾」を開催しました

shisoujuku.jpg 佐伯啓思特任教授による講座「こころの思想塾:現代の経済・経営を考える」が、2015年9月30日、10月14日、10月28日、11月11日、11月25日の全5回に渡り、稲盛財団記念館小会議室および中会議室でおこなわれました。


今日、日本経済をとりまく状況は急激に変化しつつあります。グローバルの市場競争がますます激しくなるなかで、日本は人口減少・高齢化の先端を走り、しかも、それなりの成熟経済を実現し、もはやただ成長を目指せばよい、という段階にはありません。また、物的な豊かさがそのまま日本人の幸福につながるものでもありません。経済についての新たな哲学や思想が必要とされているのです。この講座では、いわば文明論的な視点から、経済・経営についての思想を論じ、その将来像をさぐってみます。


(開催案内より)


 全5回のうち初回、2回目と最終回は佐伯特任教授がメイン講師を務め、3回目は内田由紀子准教授、4回目は金井一頼大阪商業大学総合経営学部教授(大阪大学名誉教授)がゲスト講師として参加し、前半1時間のレクチャー、後半1時間のディスカッションで進められました。
 会社員、教育関係者、研究職など様々な分野から受講者22名が集まりました。現代の日本経済やそれを取り巻く事象について現状分析と問題提起をおこない、日本の将来像について講師、参加者が共に考え活発に意見を交わし合う場となりました。


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○参加者の感想


・日常的に感じている問題意識を、歴史的、経済学的論点から整理していただき、大変勉強になりました。
・5回とも中身の濃いセミナーだった。これから日本および日本企業はどういう方向へ進むべきか、考えさせられた。内田先生、金井先生の話も新鮮だった。
・根本に疑問を呈するお話を、非常に丁寧にお話頂き、自分の思考を進める良い刺激を頂戴しました。
・日常とは異なる視点で物事、経済の事象を考えられるようになった。
・少人数、相互発信形式で面白かったです。


(アンケートより抜粋)


[DATA]
「こころの思想塾:現代の経済・経営を考える」
▽講師・オーガナイザー 佐伯啓思(こころの未来研究センター特任教授)
▽ゲスト講師 10月28日:内田由紀子(こころの未来研究センター准教授)、11月11日:金井一頼(大阪商業大学総合経営学部教授・大阪大学名誉教授)
▽開催日時:2015年9月30日(水)、10月14日(水)、10月28日(水)、11月11日(水)、11月25日(水)いずれも17時30分〜19時30分(講演1時間、ディスカッション1時間)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽参加人数:22名

fMRI解析セミナー「脳領域間結合解析基礎編+SPM豆知識」を開催しました

 2015年12月3日・4日の2日間、fMRI解析セミナー「脳領域間結合解析基礎編+SPM豆知識」を稲盛財団記念館大会議室にて開催しました。講師には、河内山隆紀先生(株式会社ATR-Promotions、脳活動イメージングセンタ)をお迎えしました。
 本セミナーは、2日間に渡る講義と実習を通じてfMRIにおける領域間解析のスキル獲得を目的としており、今回で三度目となります。理論と知識を講義で学び、実践的な解析について河内山先生からのアドバイスを受けながら実習で経験できる講義として毎回好評のセミナーです。今回は主に初心者~中級者程度を対象とし、脳領域間のネットワークを解析するための手法や、画像解析のスタンダードなソフトであるSPMの豆知識について、講義と実習をおこなって頂きました。


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○参加者の感想
・大変密度の高いセミナーで、基本的な事柄から、発展的な内容まで学ぶことができ、参加して本当によかった。
・PPIの全体像が理解できただけではなく、普段どうすればいいかわからなかった点を色々と知ることができた。作業効率がぐっとあがりそうです。
・実験上、必要になりそうなあらゆるケースが想定されていたので、非常に実用性の高い内容だった。
・河内山先生のレクチャーは、高度な理論から、かゆいところに手が届く豆知識まで、いつもながら感心しています。今後もリ ピータとして参加させていただきたいです。
・講義内容がとてもわかりやすくて、実習にもいつもより時間が あったため、うまくできてよかったと思います。今回の講義でSPM基礎におけるたくさんの豆知識を教えていただいて非常に役に立ちます。
・講義を通じて普段やっていることの意味が改めてわかったのがよかった。Atlas等、普段のSPMにはないものまで教えていただけてよかった。


[開催ポスター]
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[DATA]
fMRI解析セミナー「脳領域間結合解析基礎編+SPM豆知識」
▽日時:2015年12月3日(木)・4日(金)両日とも10:00 - 12:00、及び13:30 - 17:00
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽講師:河内山隆紀先生(株式会社ATR-Promotions, 脳活動イメージングセンタ)、企画・進行:阿部修士
▽参加者数:37名
主催:京都大学こころの未来研究センター

「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2015」を開催しました

 1511kokorojuku_snsei.png「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2015」が、2015年10月17日、10月24日、11月7日、京都大学稲盛財団記念館3階大会議室で開催されました。先生向けのこころ塾は2年目を迎え、2015年は3日間の日程でおこなわれました。


現代の社会には、人を支えることを仕事としている人たちがたくさんいます。中でも、教育や医療の現場で働く人たちは、子どもやお年寄り、病気の人や身体の不自由な人たちが安心して暮らせる社会の、一番の担い手でもあります。そして、支える人たち自身も元気で健やかに毎日を過ごせることが、私たちのめざす日本社会の姿ではないかと考えます。京都大学こころの未来研究センターでは、こうした考えのもとで「支える人たちが元気になる学びの場」を作ることを発想し、2013年から「こころ塾」を開講しています。


(イベント案内より)


 初日の10月17日、会場の稲盛財団記念館3階大会議室には、各地で教鞭を取る先生方45名が集まりました。各日とも全体の司会進行は吉川左紀子センター長が務め、午前中は認知科学、認知神経科学が専門の乾敏郎追手門学院大学心理学部教授(京都大学名誉教授)による講義がおこなわれました。第1日目、乾教授は「円滑なコミュニケーションを支える脳機構」という演題で、他者とのコミュニケーションに焦点を当て脳のメカニズムについて解説しました。次に、村井俊哉医学研究科教授が「『社会性』という観点から心の健康について考える」という演題で、現代社会における精神科の病の背景や現在取り組んでいる新たな精神医学からの視点で社会性、脳、心の病気、精神医学の接点について考察しました。実践報告では、小川詩乃人間・環境学研究科・日本学術振興会特別研究員と田村綾菜愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所リサーチレジデントが、発達障害の子どもたちに対する個別学習支援のとりくみについて、具体的な事例を紹介しました。


 第2日目の10月24日は、乾教授の講義「認知機能の発達とその脳内機構」から始まり、続いて岩宮恵子島根大学教育学部教授が「子どもたちの心を縛るもの:『イツメン(いつものメンバー)』と『ぼっち』から考える」という演題にて昨今の臨床、研究事例から現代の子どもたちをめぐる心の問題について講義しました。実践報告では、加藤寿宏医学研究科准教授が、日々の実践研究からの知見を映像で具体的に紹介しました。


 第3日目の11月7日は、乾教授による「体で学ぶ神経機構:潜在学習」という演題での講義、続いて、キミヤーズ塾・塾長の村上公也先生による「笑顔・考える・つながる授業づくり―目からウロコの教材・教具―」という演題での講義があり、数多くの教材と映像による事例紹介を具体的に示しながら講義をおこないました。実践報告は、奈良県総合リハビリテーションセンターの高畑脩平先生が、読字障害への作業療法支援について、読字や眼球運動の基本的なメカニズムを紹介しながら作業療法上の効果や判断方法についての知見を紹介しました。


 各日とも講義と実践報告の後には、参加者が幾つかのテーブルに分かれてディスカッションをおこない、講師への質問項目をまとめて発表、その後、先生方による解説の時間が設けられ、各日とも活発な質疑応答が繰り広げられました。参加者アンケートでは、「脳の働きと他者のイメージについて知る機会になった。(講師の)著書を入 手し、復習したい」、「作業療法で改善される事例を聞くことによって、より理解が深まった」、「遠かったが、3回参加できて沢山参考になることがあった。さまざまな立場の方と会ってお話を聞くことができた」など、具体的な感想が数多く寄せられました。


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[DATA]
「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2015」
▽日時:第1日/2015年10月17日(土)、第2日/2015年10月24日(土)、第2日/2015年11月7日(土) 各日10:00~17:00(受付開始 9:30~)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽講師:
10月17日(土) 
 〇「円滑なコミュニケーションを支える脳機構」乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授/京都大学・名誉教授)
 〇「「社会性」という観点から心の健康について考える」村井俊哉(京都大学医学研究科・教授)
 〇実践報告 小川詩乃(京都大学人間・環境学研究科・日本学術振興会特別研究員PD)・田村綾菜(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所・リサーチレジデント)
10月24日(土) 
 〇「認知機能の発達とその脳内機構」乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授/京都大学・名誉教授)
 〇「子どもたちの心を縛るもの:「イツメン(いつものメンバー)」と「ぼっち」から考える」岩宮恵子(島根大学教育学部・教授・臨床心理士)
 〇実践報告 加藤寿宏(京都大学医学研究科・准教授・作業療法士)
11月7日(土) 
 〇「体で学ぶ神経機構:潜在学習」乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授/京都大学・名誉教授)
 〇「笑顔・考える・つながる授業づくり―目からウロコの教材・教具―」村上公也(キミヤーズ塾・塾長)
 〇実践報告 高畑脩平(奈良県総合リハビリテーションセンター・作業療法士)
▽プログラム:
10:00~12:00 講義① 乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授/京都大学・名誉教授)
12:00~13:00 昼食
13:00~14:30 講義② ゲスト講師
14:40~15:20 実践報告
15:30~16:00 グループディスカッション
16:00~17:00 講師とのQ&A
▽参加者数:第1日/45名、第2日/38名、第3日/38名
主催:京都大学こころの未来研究センター
共催:京都大学医学研究科 脳機能リハビリテーション学分野 発達障害系研究室

「支える人の学びの場 こころ塾2015 仙台」を開催しました

 2015年9月5日、「支える人の学びの場 こころ塾2015 仙台」が宮城県仙台市の東北大学片平さくらホールで開催されました。二度目の開催となった仙台でのこころ塾は、今回も宮城県を中心に東北や関東方面、北海道などから62名の方々にお越しいただきました。作業療法士、臨床心理士、言語聴覚士の職に就かれている方をはじめ、学校関係者の方、医療に携わりたいという学生さんも参加されました。


 午前中は乾敏郎先生(追手門学院大学心理学部教授、京都大学名誉教授)が、「自閉症の発症機序と共感障害の脳内機構」というテーマで講演しました。午後は明和政子先生(教育学研究科教授)が、「サル真似を超えて―ヒトの社会性認知の発達基盤」というテーマで講演したのち、松島佳苗先生(医学研究科准教授)、嶋谷和之先生(大阪市更生療育センター)が事例報告をおこない、加藤寿宏先生(医学研究科准教授)を含めた登壇者全員にてディスカッションをおこないました。全体の司会進行は、吉川左紀子センター長が務めました。


 参加者のアンケートでは、「最先端の研究成果について学ぶ機会が得られた」「昨年に引続き今年も受講した。今、現場で実践していることが、どう(子どもに)影響しているのか、(子どもが)何をどう捕らえているのかを知ることができた」「事例報告と脳のシステムとの関係を取り上げた討議がとても勉強になった」「講義を通して、自身の知識の振り返りや研鑽ができた」(※感想の一部を抜粋)など、手応えのあるコメントを頂きました。


 10月17日からは京都にて「先生のためのこころ塾2015」を、11月8日からは「医療専門職のためのこころ塾2014」を開催します。興味のある方は募集要項をご覧ください。


「先生のためのこころ塾2015」募集要項ページ
「医療専門職のためのこころ塾2015」募集要項ページ


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[開催ポスター]
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[DATA]
▽ 日時:2015年9月5日(土)9時50分~17時 (受付開始時間 9時~)
▽ 会場:東北大学 片平さくらホール(宮城県仙台市青葉区片平2-1-1)
▽ プログラム:
9:50-10:00  挨拶 吉川左紀子 (京都大学こころの未来研究センター・センター長)
10:00-11:30 講演 「自閉症の発症機序と共感障害の脳内機構」
          乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授/京都大学・名誉教授)
11:30-12:50 休憩 ※会場内では飲食ができませんので、近隣の飲食店をご利用ください。
12:50-14:00 講演 「サル真似を超えて―ヒトの社会性認知の発達基盤」
          明和政子(京都大学教育学研究科・教授)
14:20-17:00 事例報告と討議
           松島佳苗(京都大学医学研究科・助教・作業療法士)
           嶋谷和之(大阪市更生療育センター・作業療法士)
           加藤寿宏(京都大学医学研究科・准教授・作業療法士)
           乾敏郎、明和政子
           吉川左紀子(司会)
▽参加資格:教育や医療に関係する仕事に就いている方
▽参加費:無料
▽参加者数:62名

主催:京都大学こころの未来研究センター
共催:京都大学大学院医学研究科 脳機能リハビリテーション学分野 発達障害系研究室
後援:東北大学文学研究科 心理学研究室

fMRI体験セミナー2015 を開催しました

1509fmri.png 2015年9月1日、2日の両日、「fMRI体験セミナー2015」をこころの未来研究センター連携MRI研究施設南部総合研究1号館地階MRI実験室にて開催しました。


 本セミナーは、おもに学内の大学院生・学部生・研究員を対象に、現在の脳機能画像研究における主要ツールの一つ「機能的磁気共鳴画像法(fMRI)」による研究を、センターにあるMRI実験室を用いて実際に体験・学習してもらうためにおこなっています。3度目を迎えた2015年は、阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)、上田祥行助教、柳澤邦昭助教、浅野孝平研究員が企画運営、レクチャーおよび実験指導を担当しました。


 今年も教育学研究科、文学研究科、人間環境学研究科、総合生存学館、高等教育研究開発推進センターなどから両日合わせて12名が参加しました。はじめに、MRIの基礎と脳機能画像研究の概要について説明を受け、参加者全員がfMRI装置を実際に使った課題をおこないました。MRI装置の中では、右手の運動と左手の運動をおこなう課題を体験。実験後は、その場で担当者と共にデータの解析へ。運動課題によって脳のどの領域に活動が生じているかを実際に見て分析に挑戦し、質疑応答とディスカッションで知識を深めました。


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<参加者の感想> ※アンケートより一部抜粋


・実験でMRIに入ったのは初めてだったので、今後の実験デザインを考える上でも参考になりました。また。先生方から様々なお話を伺え、その場で解析もしていただけたので、イメージもわきました。
・装置の中に実際に入ることができ、被験者の気持ちが少し分かってよかったです(実際に実験を組む時の参考になります)。
・内容が充実していました。体験、講義、ディスカッションのバランスが良かったです。
・初めて自分の脳を見て、とても感動しました。(略)ますます脳への関心が高まり、脳科学の分野の先生方のお話もきくことができたので、素晴らしい機会になりました。
・異分野の研究について勉強できました。


[DATA]
「fMRI体験セミナー2015」
▽日時:2015年9月1日(火)、2日(水)13:00~17:00 
▽場所:南部総合研究1号館地階MRI実験室
▽参加費:無料
▽対象:京都大学に所属する大学院生。今後、機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging; fMRI)による研究を行おうと考えている方。
▽担当者:阿部修士(こころの未来研究センター・特定准教授)、上田祥行(こころの未来研究センター・特定助教)、柳澤邦昭(こころの未来研究センター・特定助教)、浅野孝平(こころの未来研究センター・特定研究員)
▽主催:京都大学こころの未来研究センター
▽参加者数:1日・6人、2日・6人


<報告:阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)>

福岡県立明善高校の生徒さんがセンターを訪問しました

 2015年8月4日、福岡県久留米市の福岡県立明善高校2年生の生徒さん31名がこころの未来研究センターを訪問し、鎌田東二教授と阿部修士准教授のレクチャーを受け、センター連携MRI研究施設を見学しました。文部科学省SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、その活動の一環として関西研修に訪れた同校の訪問は、昨年、一昨年に続き3度目となり、過去最多の31名が来訪されました。


 はじめに一行は、センター連携MRI研究施設に到着し、認知神経科学が専門の阿部准教授のレクチャーを受けました。阿部准教授は、fMRIの基礎的な知識や発展の歴史、MRI設備を用いて研究する際に注意すべき点、施設内の設備の説明など、動画や写真を多数示しながら紹介しました。その後、柳澤邦昭助教が実際に被験者となり、fMRIを用いた簡単な実験をおこない、生徒さんたちは隣室から実験の様子を見学。質疑応答では、「fMRIによる実験は子どもも被験者になれますか?」「実際に先生はいまfMRIを使ってどんな研究をしているのですか?」といったやりとりがあり、最後まで生徒さんたちが施設内を熱心に見てまわる姿が印象的でした。


 続いて、こころの未来研究センター本館のある稲盛財団記念館へ移動し、大会議室にて鎌田教授がレクチャーをおこないました。比叡山に向かって颯爽と法螺貝を吹く鎌田教授の姿に生徒さんたちは釘付けに。講義では、新旧のジブリ映画の描き方について、時代、思想、宗教観などさまざまな要素で比較するなど、具体的で分かりやすい題材を用いて、宗教学、民俗学がどのような学問なのかについて、解説がありました。理系や文系の枠にとらわれず、分野横断的に研究が進んでいるこころの未来研究センターの特徴にふれた高校生のみなさんは、「初めて知る内容だった」「おもしろかったです」「進路を考える参考になった」などと、感想を話していました。


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福岡県立明善高校ウェブサイト

滋賀県立水口東高校の生徒さんがセンターを訪問しました

 2015年8月4日、滋賀県立水口東高等学校1年生と2年生の生徒さん19名と、同校の先生10名がセンターを訪問し、吉川左紀子センター長のレクチャーとワークショップに参加しました。ワークショップでは上田祥行助教、藏口佳奈研究員、嶺本和沙教務補佐員もアドヴァイザーを務めました。


 SGH(スーパーグローバルハイスクール)アソシエイト校に認定され、グローバル人材の育成をめざして幅広い活動をおこなっている同校は、8月に予定しているオーストラリアへの派遣研修を前に、地元・滋賀にいきづく近江商人の知恵「三方よし(売り手よし・買い手よし・世間よし)」を現代を生き抜く思想へと発展させ、21世紀における「豊かさ」について考えるため、海外との比較研究を実施する手法について学び考える目的でセンターを訪問しました。


 吉川センター長は、「豊かさと幸せについて考える 国際比較の調査の前に」というタイトルでレクチャーをおこない、経済的な指標で測られる幸せや豊かさと、こころで感じる幸せや豊かさの違いについて、心理学の研究例を挙げながらお話ししました。続いておこなったワークショップでは、生徒さんたちがみずから豊かさや幸福について意見を書き出したものを参考に質問紙作成に挑戦し、グループごとに発表をおこないました。


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「孤立防止のための互助・自助強化プログラム開発研究 くらしの学び庵」(初級3期目)第1回〜第3回レポート

 2014年度から始まった連続セミナー『くらしの学び庵』の第3期が上京区の町家「風伝館」でおこなわれています。2015年5月から6月にかけて開催された第1回〜3回のレポートをお届けします。


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第3期 第1回 「毎日できる運動で衰え知らず!」 2015年5月16日
講師:京都大学大学院医学研究科 青山朋樹 先生


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 穏やかな初夏の陽気のなか、くらしの学び庵初級コース3期目がスタートし、はじめに開会式を執りおこないました。プロジェクトリーダーの清家理助教よりコースガイダンス、吉川左紀子センター長と熊野和子様(風伝館を管理されている信頼資本財団ご所属)より、学びあい、出会った方々との交流の大切さについてのお話がなされました。
 第1回目は京都大学医学研究科の青山朋樹先生にご講義いただきました。関節や筋肉の仕組みの説明から始まり、日々の運動の際に注目する点まで、実際の動きも交えながらお話いただきました。日頃から運動をされている参加者が多く、自分の運動方法や痛みとの付き合い方などでアドバイスを受け、実生活に役立てようと多くの質問が寄せられました。終了後は先生も交じって、菓子とほうじ茶でご歓談いただき、盛況のなか終了しました。


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第3期 第2回「毎日できる栄養管理で病気知らず!」 2015年5月27日
講師:京都大学医学部附属病院 幣憲一郎 先生


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 少し汗ばむ陽気の中、第2回目は京都大学病院の幣憲一郎先生より栄養についてご講義いただきました。昨今、TVや新聞・雑誌などで、さまざまな健康食品情報があるためか、マスコミが発信する情報に関する質問などが多く寄せられました。幣先生からは、よく噛むこと、食べる順番など、日々のちょっとした工夫や心がけについてお話があり、具体的な質問と活発な質疑応答が続きました。締めくくりとして、「小さなことを今日からぜひ続けてください。」とアドバイスをいただきました。よろず相談会では、法律の小山先生、福祉の清家先生も加わり、栄養以外の悩みや相談事にも対応していただきました。参加者間での交流も見られ、和気藹々とした雰囲気のなか終了しました。


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第3期 第3回「老化と病気の予防で錆び知らず!」 2015年6月10日
講師:国立長寿医療研究センター 副院長 荒井秀典 先生


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 風伝館の紫陽花も色づき始めた梅雨の中休み、第3回目が開講されました。今回は国立長寿医療研究センターの荒井先生にご講義いただきました。老化や病気に至るまでの身体の状態や、それを予防するためには何が大切かについて、第1回、第2回の講義内容と関連付けながらお話くださいました。また、関心が高まっている認知症や終末期の医療についても最新の研究データを元にお話しくださりました。参加者の方からもご家族やご友人の実際の体験に基づくお話があがり、各自が実感を持って考えながら講義に集中されている様子が印象的でした。終了後の茶話会ではくらしの学び庵をお手伝いしている学生も参加させていただきました。今日の講義内容をもとに、前回から続けている地域活動や健康活動などをお互い紹介しあいなど、世代間の交流も見られました。


<報告:鈴木大河(京都大学総合人間学部)>


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[開催ポスター]

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「支える人の学びの場 こころ塾2015 仙台 〜発達障害の理解と支援:先端の知と実践をつなぐ〜」(9/5)の申込受付がはじまりました

 こころの未来研究センターでは、2015年9月5日、宮城県仙台市の東北大学片平さくらホールを会場に、「こころ塾2015仙台」を開催します。


 今年のこころ塾2015仙台は「発達障害の理解と支援:先端の知と実践をつなぐ」というテーマで、教育や医療に関係する仕事に就いている方を対象に以下のプログラムで開催します。普段なかなか京都大学に足を運びにくい地域の方々にも、ぜひご参加いただければと思います。


↓イベント詳細と申込はこちら
支える人の学びの場 こころ塾2015 仙台「発達障害の理解と支援:先端の知と実践をつなぐ」



<こころ塾2015 仙台>
1506kokorojuku_sendai.png「発達障害の理解と支援:先端の知と実践をつなぐ」


- 9:50-10:00  挨拶 吉川左紀子 (京都大学こころの未来研究センター・センター長)
- 10:00-11:30 講演「自閉症の発症機序と共感障害の脳内機構」乾敏郎(追手門学院大学心理学部・教授/京都大学・名誉教授)
- 11:30-12:50 休憩
- 12:50-14:00 講演「サル真似を超えて―ヒトの社会性認知の発達基盤」明和政子(京都大学教育学研究科・教授)
- 14:20-17:00 事例報告と討議
嶋谷和之(大阪市更生療育センター・作業療法士)
加藤寿宏(京都大学医学研究科・准教授・作業療法士)
松島佳苗(京都大学医学研究科・助教・作業療法士)
乾敏郎、明和政子
吉川左紀子(司会)


1506kokorojuku_sendai_kaijou.png会場:東北大学片平さくらホール(宮城県仙台市)


▽参考ページ:2014年のレポート
「支える人の学びの場 こころ塾2014 仙台」を開催しました

「医療専門職のためのこころ塾2015」(11/8・11/21・11/29開催)の講師・講義タイトルが決まりました

 こころの未来研究センターでは、作業療法士、理学療法士、臨床心理士、言語聴覚士の方々を対象とした「医療専門職のためのこころ塾」を2013年より開催しています。2015年度は、11月8日・11月21日・11月29日の日程で、下記の講師、講義タイトルにて実施します。今年も講義と事例報告のほか、グループディスカッションや講師とのQ&Aの時間を設け、活発な学びの機会を提供します。


 また、9月3日には「こころ塾2015仙台」(会場:東北大学)を、10/17日・10月24日・11月7日には学校教育に従事する方を対象とした「先生のためのこころ塾2015」(会場:京都大学稲盛財団記念館)を開催します。いずれも参加受付を6月上旬に開始する予定です。センターのウェブサイト「イベント欄」やフェイスブック(Facebook)ページ等でご案内しますので、しばらくお待ちください。


<医療専門職のためのこころ塾2015>日程・講師・講義タイトル


1506kokorojuku_info_photo.png11月8日(日)
講義1 乾敏郎(追手門学院大学心理学部教授/京都大学名誉教授)
「認知、感情と身体性:感情の役割とその神経機構」
講義2 熊田孝恒(京都大学情報学研究科教授)
「実行系注意と自己統制のメカニズムとその発達・障害」
事例報告 寺尾智樹(埼玉県立小児医療センター 作業療法士)


11月21日(土) 
講義1 乾敏郎(追手門学院大学心理学部教授/京都大学名誉教授)
「言語・非言語コミュニケーションの神経機構」
講義2 船曳康子(京都大学人間・環境学研究科准教授)
「「治す・つきあう」のバランスとその支援」
事例報告 草野佑介(京都大学医学部附属病院 作業療法士)


11月29日(日)
講義1 乾敏郎(追手門学院大学心理学部教授/京都大学名誉教授)
「共感脳と発達障害」
講義2 松見淳子(関西学院大学文学部・教授)
「地域に根付く子どもの発達支援:実践と研究の一体化」
事例報告 小松則登(愛知県身心障害者コロニー中央病院 作業療法士)


※会場:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室(京都市左京区吉田下阿達町46)


▽参考ページ:2014年のレポート
「支える人の学びの場 医療専門職のためのこころ塾2014」(11/9、11/16、11/22、11/23)を開催しました

「先生のためのこころ塾2015」(10/17・10/24・11/7開催)の講師・講義タイトルが決まりました

 こころの未来研究センターでは、2014年より学校教育に携わる先生方を対象とした「先生のためのこころ塾」を開催しています。2015年は、下記の講師、講義タイトルにて3日間の日程で開催します。また、同じこころ塾のシリーズとして2013年からおこなっている作業療法士、理学療法士、臨床心理士、言語聴覚士の方々を対象とした「医療専門職のためのこころ塾2015」も開催します(2015年の日程はこちら)。


 こころ塾2015の詳しいご案内と参加受付は、6月上旬に開始する予定です。センターのウェブサイト「イベント欄」やフェイスブック(Facebook)ページ等でご案内しますので、しばらくお待ちください。


<先生のためのこころ塾2015> 日程・講師・講義タイトル


1505kokorojuku_koushi.png10月17日(土)
講義1 乾 敏郎(追手門学院大学心理学部・京都大学名誉教授)
「円滑なコミュニケーションを支える脳機構」
講義2 村井俊哉(京都大学医学研究科)
「「社会性」という観点から心の健康について考える」
実践報告 小川詩乃(医学研究科・日本学術振興会特別研究員PD)・田村綾菜(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所・リサーチレジデント)


10月24日(土)、
乾 敏郎(追手門学院大学心理学部・京都大学名誉教授)
「認知機能の発達とその脳内機構」
岩宮恵子(島根大学教育学部)
「子どもたちの心を縛るもの:「イツメン(いつものメンバー)」と 「ぼっち」から考える」
実践報告 加藤寿宏(京都大学医学研究科)


11月7日(土) 
乾 敏郎(追手門学院大学心理学部・京都大学名誉教授)
「体で学ぶ神経機構:潜在学習」
村上公也(キミヤーズ塾)
「笑顔・考える・つながる授業づくり-目からウロコの教材・教具-」
実践報告 高畑脩平(奈良県総合リハビリテーションセンター)


※会場:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室(京都市左京区吉田下阿達町46)


▽参考ページ:2014年のレポート
「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2014」(Aコース第1日)を開催しました
「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2014」(Aコース第2日)を開催しました

「くらしの学び庵」(初級2期目)第6回レポート

 2014年10月より上京区の風伝館にて一般向けの連続セミナー『くらしの学び庵』が開催され、2期目が終了しました。本セミナーは、「孤立防止のための互助・自助強化プログラム開発」プロジェクトの大きな柱となる取り組みです。本セミナーの企画・運営・司会進行に携わる清家理助教による初級第2期の第6回のレポートをお届けします。 初級2期第1回〜5回のレポートはこちら


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第2期 第6回 「老後の備えって?―アリとキリギリス物語-」+修了式 2015年3月28日
講師:京都信用金庫業務部接客ていねい推進課 田中聡先生

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 この日は、京都信用金庫業務部接客ていねい推進課の田中聡先生に「老後の備えって?―アリとキリギリス物語-」というタイトルでお話いただきました。具体的な例を示していただきながら、資産運用、相続についてのシミュレーションを参加者の皆さんに実践していただきました。なかなか普段、気軽に話に上がってこないテーマということもあり、田中先生のお話から「今後の生活にも使えるし、友達や親せきにも教えてあげたい」という声もありました。
 終了後には第2期修了式を実施し、吉川左紀子センター長より修了書が手渡されました。「卒業証書以来です」「人生何歳になっても学ぶことは楽しい」といった感想が寄せられ、2期目が終了しました。


<報告:清家理助教(上廣こころ学研究部門)>


[開催ポスター]

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 『くらしの学び庵 初級コース3期目』は2015年5月16日(土)より開始します。詳しい日程・概要はこちら

「くらしの学び庵」(初級2期目)第1回〜第5回レポート

 2014年10月より、上京区の風伝館にて一般向けの連続セミナー『くらしの学び庵』が開催されています。「孤立防止のための互助・自助強化プログラム開発」プロジェクトの大きな柱となるイベントで、昨年末には初級第1期が終了。2015年1月より第2期がスタートしています。本セミナーの企画・運営・司会進行に携わる清家理助教による初級第2期の第1回〜5回のレポートをお届けします。 初級1期のレポートはこちら


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第2期 第1回 「毎日できる運動で衰え知らず!」 2015年1月17日
講師:京都大学大学院医学研究科 青山朋樹 先生


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 くらしの学び庵初級コース2期目は、新年松の内明けてすぐ30名でスタートしました。はじめに開会式とオリエンテーションがおこなわれ、吉川左紀子センター長は挨拶のなかで、「これから学びをすすめていく30名の方々が共に学んでいくすばらしさ」についてお話しました。第2期1回目の講義は、京都大学大学院医学研究科の青山朋樹先生でした。実際、膝痛や腰痛、人工関節を入れたことによる運動への恐怖感を持ちながら生活されている方も多く、講義中の参加者の方々は真剣そのもの。少しでも実生活に応用させたいと質問も多数寄せられました。講義後、ちゃぶ台には京菓子とほうじ茶が並び、自己紹介を兼ねた情報交換や講師をまじえた交流がおこなわれました。


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第2期 第2回「毎日できる栄養管理で衰え知らず!」 2015年1月24日
講師:京都大学医学部附属病院 幣憲一郎 先生


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 第2回目は、京都大学医学部附属病院の幣憲一郎先生による講義「毎日できる栄養管理で衰え知らず!」でした。「太りたくないけど、食べたいものを食べたい」「テレビで、『これが長生きにいい!』って言われたら、すぐ飛びついてしまうけど、実際、何がいいのか分からない」など、講義前から様々な悩みが疑問が参加者から出ていました。その一つ一つに丁寧に答えていく形で、Q&A方式で講義は進行しました。「よく噛むこと、まめに運動すること、しっかり寝ること、今日からできる小さなことを実践していきましょう」いうと幣先生からのメッセージに、決意を新たにする参加者の方も多く見られました。


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第2期 第3回「老化と病気の予防で錆び知らず!」 2015年2月14日
講師:国立長寿医療研究センター 荒井秀典 先生


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 第3回目の講義は、国立長寿医療研究センターの荒井秀典先生でした。第1回目、第2回目の講義のまとめ、そして、予防から終末期に至るまで、身体の何を気をつければいいのか、最新の知見をもとに分かりやすいお話をいただきました。講義では、何が実証されているもので正しい知識なのか、「情報に惑わされない知識」の提供がなされ、一語一句聞き漏らすまいと必死にメモをとる参加者の方の姿が印象的でした。また、くらしの学び庵では、京都大学の総合人間科学部3・4回生専門科目「研究調査法演習」の一環で、参加者の方への聞き取り調査の実習をおこなっています。この日も学生と参加者が調査を通じて交流しました。


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第2期 第4回 「健やかなこころで暮らす知恵」 2015年2月28日
講師:京都大学こころの未来研究センター 吉川左紀子教授・センター長


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 第4回目、吉川左紀子センター長による講義「健やかなこころで暮らす知恵」がおこなわれました。心理学研究からの知見に基づいたアドバイスと共に、国民総幸福(GNH)を国の理念に掲げているブータンの人々の暮らしなどが紹介されました。また、即実践できることとして、「毎日ひとつ、よかったことを書いてみましょう」というアドバイスがあり、参加者の間では「今夜からやってみよう」といった声が聞かれました。この日の会場には、参加者のお子さんの姿が見られ、学生のお手伝いをする様子に参加者の方々の笑顔がこぼれ、和やかな空気が流れていました。


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第2期 第5回 「介護って何?」 2015年3月14日
講師:京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 清家理 助教


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 第5回目は「介護って何?」というテーマで講義をおこないました。実際に介護に直面されている方のための具体的な事例を出し、利用できる制度やサービスのこと、相談に行くとよい機関などをグループ学習も入れながら、4択クイズ形式で進行しました。身近な人に対して「何かしてあげたいが、何ができるんだろう」と真剣に悩む参加者に対し、皆で一緒に考える、といったシーンも見られました。この日は、学生も4択クイズに参加し、普段の講義以上に苦戦していました。参加者の方から、教えていただくことで、新たな学びを得たようです。


<報告:清家理助教(上廣こころ学研究部門)>


[開催ポスター]

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「くらしの学び庵」(初級1期目)第5回・第6回+修了式レポート

 2014年10月より、上京区の風伝館にて一般向けの連続セミナー『くらしの学び庵』が開催されています。「孤立防止のための互助・自助強化プログラム開発」プロジェクトの大きな柱となるイベントで、2014年12月3日には第5回が、17日には初級1期目を締めくくる第6回が開催されました。本セミナーの企画・運営・司会進行に携わる清家理助教によるレポートをお届けします。 第1回・第2回レポート 第3回・第4回レポート


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第1期:第5回 「介護って何?」2014年12月3日
講師:こころの未来研究センター 上廣こころ学研究部門 清家理

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 第5回は「介護って何?」をテーマに、ディスカッション型講義を実施しました。今後の備えとして、いざという時に、どこに相談に行って、どうすればいいのか、Q&A方式で講師と参加者の方々が語り合いながら和気藹々と学ぶ時間となりました。この日は国立長寿医療研究センター地域医療連携室副看護師長・銘苅尚子氏と退院調整看護師・住江浩美氏にゲストとしてお越しいただき、よろず相談会の看護領域で参加者からの質問にお答えいただきました。もし寝たきりで胃ろうになってしまった場合、一度入れると外せないのか、どうして病院の入院期間は決められているのか等、今話題の問題をたずねる参加者の方々が多く見受けられました。


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第6回「老後の備えって アリとキリギリス問題」+修了式 2014年12月17日
講師:京都信用金庫業務部接客ていねい推進課 田中聡先生


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 この日は「老後の備え」をテーマに、京都信用金庫業務部接客ていねい推進課の田中聡先生に講義をいただきました。講義後には、「うちの場合は~」と、個々の事例に基づいた質問が数多く寄せられていました。よろず相談会では、「栄養の講義後、こんな感じで頑張っていますが、大丈夫でしょうか?」「こころの持ち方に関するお話を聞いて、実践しています」などの報告が聞かれるようになり、互いの相談を聞いて意見を出し合う場面が見られました。終了後には第1期修了式を実施し、吉川左紀子センター長より修了書が手渡されました。


 今回、京都大学総合人間学部の学生が運営に参加し、高齢者に興味関心がある学生のアドバンスト的な学習の一環で、参加者の方への生活実態に関する聞き取り調査や、受付、お茶出し、会場の準備・片付け等をおこないました。開催中は、学生と参加者の皆さんによる世代間交流の様子がうかがえました。


<報告:清家理助教(上廣こころ学研究部門)>


[開催ポスター]

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fMRI解析セミナー「resting-state fMRI」を開催しました

 2015年2月26日・27日の2日間、fMRI解析セミナー「resting-state fMRI」を稲盛財団記念館大会議室にて開催しました。講師には、河内山隆紀先生(株式会社ATR-Promotions、脳活動イメージングセンタ)をお迎えしました。


 本セミナーは、2日間に渡る講義と実習を通じてfMRIにおける領域間解析のスキル獲得を目的としています。今回は、安静時の脳のはたらきを調べる「resting-state fMRI」という手法についてのセミナーでした。講義では解析手法として、Seedとの相関に基づく分析法、周波数に基づく分析法、独立成分分析法(ICA)などが対象となり、豊富な資料と共に幅広い内容が網羅されました。実習では参加者それぞれが持参したPCを用いて、自ら手を動かしながら実際のデータを解析しました。前回に続いて今回も体系的な理論、知識を講義で学んだのち、実践的な解析を実習で経験できた参加者からは好評の声があがっていました。


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○参加者の感想
・分かりやすく実践的なテキスト内容で大変勉強になりました。
・内容が盛り沢山で非常に勉強になりました。Tipsや各処理の中身についての説明を豊富にして下さったので、単なる技術の習得にとどまらず解析内容も深めることができました。
・普段手を出せないSPMの手法やSPM以外のソフトウェアについて日本語で集中的に学べる大変貴重な機会だと思います。
・いつものようにすばらしいご講義、ありがとうございます。テキストが充実していて助かります。
・今まで知らなかった便利なツールを学ぶことができ、明日からの解析に役立ちそうです。テキストがすごく親切で自習できるのがうれしいです。
・今までインターネット上の情報を集め、独学で解析方法を学んでいたので、今回のセミナーを通して、これまで抱いていた疑問、つまづいていた点が解決され、非常に役に立ちました。今回学んだ知識をもとに、自己流で行った解析を再度見直したいと思います。
・勉強になりました。レクチャー&実践のスタイル、よいと思います。


[開催ポスター]
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[DATA]
fMRI解析セミナー「脳領域間結合解析」
▽日時 2015年2月26日(木)・27日(金)
両日とも10:00 - 12:00、及び13:30 - 17:00
▽場所:稲盛財団記念館3階大会議室
▽講師:河内山隆紀(株式会社ATR-Promotions, 脳活動イメージングセンタ)
▽企画進行:阿部修士(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門准教授)
▽参加者数:41名

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こころの未来 脳科学集中レクチャー2014「脳損傷からみたこころ」を開催しました

 こころの未来 脳科学集中レクチャー2014「脳損傷からみたこころ」が、2014年12月25日(木)・26日(金)の2日間、稲盛財団記念館大会議室で開催されました。講師に森悦朗先生(東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学教授)をお迎えし、神経心理学の基礎から最新の脳画像研究についての知見までを網羅した内容で講義をおこなっていただきました。


 2日間に渡る集中講義では、言葉の障害である失語症や、記憶の障害である健忘症候群など、脳の損傷がもたらす心理過程の障害についての基礎知識を最新の研究成果を交えながらお話しいただきました。また、人間の脳を研究する方法として、脳損傷の患者さんを対象とした神経心理学が最も長い歴史をもつことなど、多岐にわたる研究の背景・動向などもご紹介いただきました。


 参加者アンケートには「脳そのものの基本から丁寧に話していただけたので自分の知識の整理にもなり有益だった」、「森先生の分かりやすい説明で、こわれた脳、こわれた心、脳損傷から機能障害を起こす心理過程について理解できた」、「講義が大変面白く、今後研究を進める上で大きなヒントになった」など、好評なコメントが多数寄せられました。


< 報告:阿部修士こころの未来研究センター(上廣こころ学研究部門)准教授 >


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[開催ポスター]

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[DATA]
▽日時:2014年12月25日(木)・26日(金)
両日とも10:30 - 12:00、及び13:30 - 16:45
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽講師:森悦朗先生(東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学・教授)
▽参加費:無料
▽対象:研究者・学生
▽参加者数:73名(初日)

こころの未来研究センター研究報告会2014「こころの未来~私たちのこころは何を求めているか~」を開催しました

 こころの未来研究センター研究報告会2014「こころの未来~私たちのこころは何を求めているか~」を、2014年12月21日、稲盛財団記念館中会議室(発表会場)および大会議室(ポスター会場)にて開催しました。当日は、日頃、センターの取り組みに支援をいただいている関係者をはじめ、学内外の研究者など多くの方々にお越しいただきました。


 研究報告会では、センターが取り組むプロジェクトの研究成果をポスター発表で報告すると共に、3つの口頭発表を行い、議論を深める形で進められました。今回のテーマは「こころの未来~私たちのこころは何を求めているか~」。ひとつめの報告では、熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)が、「こころ観の変遷とこころの未来:仏教学からみたこころ観の時代的展開と地域的展開」というテーマで仏教学の視点からこころにまつわる研究の変遷・広がりを紹介しました。続いて、畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)が、「悩まないこころとの対話:臨床心理学からみたこころの現在」というテーマで臨床心理学の現場でクライエントと向き合い様々なケースや調査を経て得た内容を報告しました。そして、三つめの報告では吉川左紀子センター長が、「こころの学際研究の「つなぐ」価値:こころの未来の「未来」に関する考察」というテーマで学問と社会をつなぐ仕組みとその価値について提案、こころ研究の未来について考察しました。その後、ディスカッサントに島薗進上智大学グリーフケア研究所長と増田寿幸京都信用金庫理事長をお迎えし、登壇者を交えて総合的に討論、質疑応答をおこないました。


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▽日時:2014年12月21日(日) 9:30~13:00(9:00~受付開始)
▽会場:京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室(ポスター会場:大会議室)
▽対象:研究者、学生
▽参加者数:57名
▽プログラム
 ・9:30-9:35 開会の挨拶
 ・9:35-10:15 研究報告① 熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)「こころ観の変遷とこころの未来:仏教学からみたこころ観の時代的展開と地域的展開」
 ・10:15-10:55 研究報告② 畑中千紘(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定助教)「悩まないこころとの対話:臨床心理学からみたこころの現在」
 ・10:55-11:25 ポスターセッション+休憩
 ・11:25-12:05 研究報告③ 
  吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター教授・センター長)「こころの学際研究の「つなぐ」価値:こころの未来の「未来」に関する考察」  
 ・12:05-12:55 ディスカッション
  ディスカッサント
  島薗進(上智大学グリーフケア研究所・所長)
  増田寿幸(京都信用金庫・理事長)
 ・12:55-13:00 閉会の挨拶

上廣こころ学研究部門 2014年度研究報告会 「学びの経験と社会」を開催しました

 上廣こころ学研究部門 2014年度研究報告会 「学びの経験と社会」を、2014年12月21日、稲盛財団記念館大会議室にて開催しました。


 こころの未来研究センターでは2012年4月より、公益財団法人上廣倫理財団の御寄付により「上廣こころ学研究部門」を開設し、現代の日本社会が必要とする、倫理を含む広義の「こころ学」に関するユニークな学際的研究活動をおこなっています。今年度の研究報告会は「学びの経験と社会」をテーマに、3名の研究者による口頭発表と若手研究者を中心とするディスカッションをおこないました。午前中に開催した「こころの未来研究センター研究報告会2014 こころの未来~私たちのこころは何を求めているか~」に引き続いて、センターの取り組みに支援をいただいている関係者をはじめ、学内外の研究者などが聴講くださいました。


 冒頭、吉川左紀子センター長の挨拶に続き、丸山登公益財団法人上廣倫理財団事務局長に来賓のご挨拶を頂きました。その後、河合俊雄教授が上廣こころ学研究部門の取り組みを紹介し、若手研究者による発表が始まりました。ひとつめの研究報告は、清家理助教が「学び合いから生まれる新たな価値と力―孤立防止のための互助・自助強化プログラム開発研究より」というテーマで発表。医療倫理学、社会福祉学の視点から日々の現場での経験と知見をふまえた活動の成果を報告しました。続いて、奥井遼研究員が「身体的経験を通じた学びの豊かさ―淡路人形座における稽古場面より」というテーマで教育学の視点から身体を用いたワザの継承と習得に関わる行為、学びと実践に関する研究の成果を報告しました。そして、三つめの報告では阿部修士准教授が「嘘つきはより嘘つきに-繰り返される誘惑には抗えないのか?」というテーマで、認知神経科学の視点からfMRIを用いたヒトの嘘をつく行為に関わる脳機能の実験と調査結果を紹介しました。その後、鎌田東二教授がモデレーターを務め、熊谷誠慈准教授、畑中千紘助教、福島慎太郎研究員、梅村高太郎研究員らをコメンテーターに、上廣こころ学研究部門の研究者らが壇上に揃って活発な質疑応答とディスカッションの時間を持ち、カール・ベッカー教授による閉会の挨拶で報告会は終了しました。


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[開催ポスター]
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[DATA]

▽日時:2014年12月21日(日)14:30~17:30(14:00 受付開始)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
・14:30 - 14:35 センター長挨拶:吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター教授・センター長)
・14:35 - 14:40 来賓ご挨拶:丸山登(公益財団法人 上廣倫理財団 事務局長)
・14:40 - 14:50 上廣こころ学研究部門の取組紹介:河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター教授・上廣こころ学研究部門兼任)
・14:50 - 15:20 研究報告①「学び合いから生まれる新たな価値と力―孤立防止のための互助・自助強化プログラム開発研究より」清家理(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定助教)
・15:20 - 15:50 研究報告②「身体的経験を通じた学びの豊かさ ―淡路人形座における稽古場面より」奥井遼(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定研究員)
・15:50 - 16:20 研究報告③「嘘つきはより嘘つきに-繰り返される誘惑には抗えないのか?」阿部修士(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)
・16:20 - 16:40 休憩 (質問用紙回収)
・16:40 - 17:25 部門研究者による全体討論
モデレーター:鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター教授・上廣こころ学研究部門兼任)
コメンテーター:熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)
畑中千紘(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定助教)
福島慎太郎(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・非常勤研究員)
梅村高太郎(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・非常勤研究員)
・17:25 - 17:30 閉会の挨拶:カール・ベッカー(京都大学こころの未来研究センター教授・上廣こころ学研究部門兼任)
▽参加者数:58名

「第36回こころの未来セミナー Death and Dying East and West:東洋・西洋における死と臨終」を開催しました

 「第36回こころの未来セミナー Death and Dying East and West:東洋・西洋における死と臨終」を2014年11月17日、稲盛財団記念館3階大会議室にて開催しました。


 講師に Tony Walter先生(Ph.D / Professor & Director of the University of Bath Centre for Death & Society)をお迎えし、 東洋・西洋における死や葬儀、死別悲嘆などに対する関係要因の影響についてお話いただきました。セミナーは英語でおこなわれましたが、企画・司会進行役を務めたカール・ベッカー教授が要所要所を日本語訳し、日本人学生や海外からの研究者など幅広い参加者が熱心に聴講していました。


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[開催ポスター]
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[DATA]
▽ 日時:2014年11月17日(月)15:30~17:00 (受付開始15:00~)
▽ 場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽ 講師:Tony Walter先生(Ph.D / Professor & Director of the University of Bath Centre for Death & Society)
▽ 参加資格:特になし
▽ 参加費:無料 / 申込:不要
※本講演は、公益財団法人 上廣倫理財団 平成25年度研究助成により一部支援を受けています。
▽ 参加者数:約30名

「くらしの学び庵」(初級1期目)第3回・第4回レポート

1412manabian2.png 2014年10月より、上京区の風伝館にて一般向けの連続セミナー『くらしの学び庵』が始まりました。11月5日には第3回が、19日には第4回が開催されました。本セミナーの企画・運営・司会進行に携わる清家理助教によるレポートをお届けします。第1回・第2回のレポートはこちら


「くらしの学び庵」(初級1期目)
・第3回:11月5日(水)毎日できる栄養管理で病気知らず! 京都大学医学部附属病院 幣 憲一郎先生
・第4回:11月19日(水)健やかなこころで暮らす知恵  京都大学こころの未来研究センター 吉川左紀子先生


 第1回、第2回は、医学領域の講義でしたが、第3回は「栄養」、第4回は「こころ」と、より生活に即した講義内容でした。幣先生の講義では、いきなり血糖値の上下がないような食べ方など、帰宅してからすぐに取り組める具体的なお話がありました。参加者の皆さん、熱心に講義を聴かれていたためか、講義終了後の意見交換会で出されたお茶菓子に手をつけられず、じっと見つめ続けておられました。しかし、幣先生より、「ゆっくりよく噛んで、帰りは、ウオーキングで帰れば食べても大丈夫ですよ」と言う一声で一斉に食べ始める...そんなほほえましい場面もありました。


 吉川先生の講義では、見ているだけでもうっとりしてしまう「悠久の郷ブータン」の写真を用いながら、こころおだやかに、機嫌よく生活するためのコツのお話がありました。講義が終わるころには、本当に参加者の皆様の表情がよりおだやかになっておられたのが印象的でした。


 この日は、講義の後、「よろず相談会」が開催されました。医療領域は荒井先生、こころ領域は吉川先生、栄養学領域は幣先生、法律領域は小山先生が対応され、京都の茶菓子を片手に、ちゃぶ台を囲みながら、ワンストップサービス相談が繰り広げられました。普段の生活における疑問点から、講義で聴いたことを実践できています!のご報告まで、各ちゃぶ台ともに、白熱相談室でした。


 今回のくらしの学び庵では、受付やお茶の用意等を京都大学の学生が対応しています。回を重ねるごとに、参加者の方々と学生の会話も増えています。「お茶がおいしかったよ」と声をかけられ、嬉しそうにしている学生たちの笑顔も印象的です。世代を超えた交流が生まれつつあります。


<報告:清家理(上廣こころ学研究部門)>


【番外編】京都市生涯学習情報検索システム 京(みやこ)まなびネットのFacebookでご紹介いただきました


京都市教育委員会生涯学習部の竹内佐江様、山田勝彦様が見学に来られ、Facebookページにて、くらしの学び庵をご紹介くださいました。


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【「町のおせっかい役」を育てよう!~「くらしの学び庵」】


子育て,親の介護・・・。生活の中で悩みや苦しみが生じたとき,昔は「町のおせっかい役」たちによる,よろず相談や支え合いが自然な形で行われていました。しかし,高齢化・核家族化が進む現代,そうした「互助・自助」の力が弱体化しています。
 
 京都市社会教育委員の吉川左紀子先生がセンター長を務める,京都大学こころの未来研究センターでは,互助・自助の再生・強化を目指そうと,10月から全6回の市民講座「くらしの学び庵」を開講されています。「受講者の皆さんに『町のおせっかい役』になってもらいたい!」目を輝かせて語ってくださったのは,この講座の生みの親,清家理(せいけ あや)同センター特定助教。
 先日行われた第4回講座では,吉川先生の講義「健やかなこころで暮らす知恵」の後,医療・こころ・法律・栄養学に関する先生方が,ちゃぶ台を囲んで受講者の相談に応じる「よろず相談会」が開かれました。会場の「京町家~風伝館」のアットホームな雰囲気の中,皆さん熱心に聴き入るとともに,受講者同志のつながりも感じられていたようです。
 "等身大のこころ"の姿を視野の中心に置き,各分野の専門家が協働して研究を進めておられる同センターの取組には,今後も目が離せません!


★同センターのHPはこちら
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/index.php 


■○募集開始!【くらしの学び庵 初級コース2期目 参加者募集開始になりました】

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詳しい要項と参加申込方法は下記リンク先をご覧ください。
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/event2/2014/12/manabian-syokyu2.php

「支える人の学びの場 医療専門職のためのこころ塾2014」(11/9、11/16、11/22、11/23)を開催しました

1411kokorojuku_iryo.png 「支える人の学びの場 医療専門職のためのこころ塾2014」が、2014年11月9日(日)、11月16日(日)、11月22日(土)、11月23日(日)の全4日間の日程で稲盛財団記念館3階大会議室にて開催されました。昨年に続く2年目の開催で、今年も作業療法士、理学療法士、臨床心理士、言語聴覚士などの仕事に携わる方々が参加し、多彩な講師陣によるレクチャーや情報交換会で学びと交流を深めました。


 4日間に渡る全日程の午前中は、昨年同様、乾敏郎京都大学大学院情報学研究科教授による講義がおこなわれました。乾教授は、最新の認知神経科学における研究知見と基礎的な知識を各回2時間分にまとめ、「1歳までの認知発達の神経基盤」(11/9)、「高次認知機能と身体性」(11/16)、「言語・非言語コミュニケーションの神経機構」(11/22)、「他者を知り、共鳴する脳と発達障害」(11/23)というテーマで、脳の構造、機能と認知発達、自閉症や発達障害との関係について多くの図説や研究事例をまじえながら紹介しました。


 ゲスト講師を招いた午後の講義には多彩な講師陣が登壇しました。明和政子京都大学大学院教育学研究科教授(11/9)、渡邊克巳東京大学先端科学技術研究センター准教授(11/16)、熊田孝恒京都大学大学院情報学研究科教授(11/22)、田中康裕教育学研究科准教授(11/23)らがそれぞれの専門分野から講義をおこないました(各講師のテーマは下記のDATAをご参照ください)。続く実践報告の時間では、京丹波町子育て支援課の石原詩子先生(11/9)、大阪市更生療育センターの嶋谷和之先生(11/16)、松島佳苗京都大学大学院医学研究科助教(11/22)、愛知県心身障害者コロニー中央病院の小松則登先生が、それぞれの現場からの事例を報告しました。


 講義と実践報告の終了後は、先生方を中心とした討論および参加者のみなさんによる情報交換の場がもたれ、講師や参加者それぞれによる自由な発話があり、盛り上がりました。また、最終日には修了証の授与と全員による記念撮影がおこなわれ、4日間に渡る密度の濃い講義を学び終えた皆さんの清々しい笑顔が見られました。


 本年度は「先生のためのこころ塾(Aコース、Bコース)」と「医療関係者のためのこころ塾」ふたつの種類、合計3コースがおこなわれ無事終了しました。全日程の司会進行は、吉川左紀子センター長が務めました。参加者アンケートでは、「脳科学、心理学、OTそれぞれの視点で発達障害を捉えられた」「とても勉強になり、遠くから参加した甲斐があった」「講義も事例報告もどれも勉強になった。特にディスカッションは講義と臨床をつなぐとてもよい場だった」「受講者のニーズ、理解度に応じて復習や追加資料を提供してもらえてありがたかった」など沢山の感想が寄せられました。


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[DATA]
「支える人の学びの場 医療専門職のためのこころ塾2014」
▽日時:2014年11月9日(日)、11月16日(日)、11月22日(土)、11月23日(日)※各日とも10時~17時まで(受付開始9時30分~)
▽会場:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽ プログラム:
10:00~12:00 講義と質疑/講師:乾敏郎(京都大学大学院情報学研究科)
12:00~13:30 昼食
13:30~15:00 講義と質疑/講師:ゲスト講師
15:20~16:00 事例報告
16:00~17:00 情報交換会
※各開催日によって時間変更がありました


第1回 11月9日(日)
○「1歳までの認知発達の神経基盤」乾敏郎
○「心の発達の定型・非定型を考える」明和政子(京都大学大学院教育学研究科)
○ 事例報告 石原詩子 (京丹波町子育て支援課) 
○ 参加者数:79名


第2回 11月16日(日)
○「高次認知機能と身体性」乾敏郎
○「認知科学からみた発達障害」渡邊克巳(東京大学先端科学技術研究センター) 
○ 事例報告 嶋谷和之 (大阪市更生療育センター) 
○ 参加者数:77名


第3回 11月22日(土)
○「言語・非言語コミュニケーションの神経機構」乾敏郎
○「注意と学習による自動化」熊田孝恒(京都大学大学院情報学研究科) 
○ 事例報告 松島佳苗 (京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻)
○ 参加者数:81名


第4回11月23日(日)
○「他者を知り、共鳴する脳と発達障害」乾敏郎
○「発達障害と「三つの誕生」」田中康裕(教育学研究科)
○ 事例報告 小松則登 (愛知県心身障害者コロニー中央病院)
○ 参加者数:69名


主催:京都大学こころの未来研究センター
共催:京都大学医学研究科 脳機能リハビリテーション学分野 発達障害系研究室

「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2014」(Bコース第1日・第2日)を開催しました

1409kokorojuku_poster.png 「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2014」のBコースが2014年11月2日(第1日目)と8日(第2日目)の2日間に渡って稲盛財団記念館3階大会議室でおこなわれました。9月におこなわれたAコースに続いての開催です。Aコースのレポートはこちら→ Aコース第1日Aコース第2日


 BコースもAコースに続き、各回の午前中は乾敏郎京都大学大学院情報学研究科教授による講義がおこなわれました。認知科学、認知神経科学が専門の乾教授は、第1日目の講義で「身体性の脳内機構:身体でわかることの大切さ」、第2日目で「他者を知り、共鳴する脳と発達障害」をテーマに講演。脳科学の基礎研究における最新の知見を様々なデータと図説をまじえて紹介しました。


 ゲスト講師を招いた午後の講義では、第1日目は宇野彰筑波大学人間総合科学研究科教授が「発達性読み書き障害とその支援」について、第2日目は黒川嘉子奈良女子大学生活環境学部准教授が「プレイセラピーの中で向き合う現実」というテーマでそれぞれの研究を紹介しました。続く実践報告の時間では、第1日目は田村綾菜愛知県コロニー発達障害研究所研究員と小川詩乃京都大学大学院医学研究科研究員の二人が、発達障害の子どもたちに対する個別学習支援のとりくみについて事例を報告。第2日目は元京都市立小学校特別支援学級教員の村上公也先生が、長年、子どもたちとの授業で培ってきた関わりの記録と、会場まで持ち込んだオリジナルな教材の数々を紹介しました。


 第1日目の講義終了後は、参加者がテーブルに分かれて情報交換とディスカッションをおこないました。多くが初対面の参加者の皆さんは、自己紹介と共にふだん教鞭をとるなかで感じている悩みや気付きについて、講義の感想と共に活発にディスカッションされていたようです。また、第2日目の講義後は解散してからも多くの方が会場に残り、村上先生から子どもたちへの指導法について直接お話を聞いたり、参加者同士で交流するなど時間が尽きないようでした。


 なお、全体の司会進行は吉川左紀子センター長が務めました。参加者アンケートでは、「発達障害と脳の関係について理解が深まった」「実践報告を聴き(いい意味で)既成概念を覆された」「現場の教員にとっては、とてもありがたい内容だった」「来年度以降もぜひ開講してください」などの感想が寄せられました。


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「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2014 Bコース」
▽日時:第1日/2014年11月2日(日)10:00~17:00(受付開始 9:30~)
第2日/2014年11月8日(土)10:00~17:00(受付開始 9:30~)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム:
11月2日(日) 
○「身体性の脳内機構:身体でわかることの大切さ」乾敏郎
○「発達性読み書き障害とその支援」宇野彰(筑波大学人間総合科学研究科)
○ 実践報告:田村綾菜(愛知県コロニー発達障害研究所) 小川詩乃(京都大学大学院医学研究科)
11月8日(土) 
○「他者を知り、共鳴する脳と発達障害」乾敏郎
○「プレイセラピーの中で向き合う現実」黒川嘉子(奈良女子大学生活環境学部) 
○ 実践報告 村上公也(元京都市立小学校特別支援学級教員)
主催:京都大学こころの未来研究センター
共催:京都大学医学研究科 脳機能リハビリテーション学分野 発達障害系研究室
▽参加者数:第1日/63名、第2日/60名

「支える人の学びの場 こころ塾2014 仙台」を開催しました

141012kokorojukusendai_poster.png 10月12日、「支える人の学びの場 こころ塾2014 仙台」が宮城県仙台市の仙台国際センターで開催されました。


 昨年から始まったこころ塾ですが、初めて会場を仙台に移し、単独のイベントとして開催しました。会場には、宮城県を中心に東北や関東方面の各地から参加者が集まりました。作業療法士、臨床心理士、言語聴覚士の職に就かれている方が参加者の多くを占め、学生や教員、保育士をされている方もおられました(参加アンケートより)。


 午前中は乾敏郎先生(情報学研究科教授)が、「発達する脳内ネットワークと発達障害」というテーマで講演しました。午後は明和政子先生(教育学研究科教授)が、「心の発達の定型・非定型を考える」というテーマで講演したのち、加藤寿宏先生(医学研究科准教授)、小松則登先生(愛知県心身障害者コロニー中央病院)、嶋谷和之先生(大阪市更生療育センター)がそれぞれ事例報告をおこない、登壇者全員にてディスカッションをおこないました。全体の司会進行は、吉川左紀子センター長が務めました。


 参加者の皆さんから寄せられた感想からは、「普段触れることの少ない脳科学の視点から『こころ』について考えることができ、 大変有意義な時間だった」「事例を交えて脳科学から解釈する大切さを学んだ」「脳とコミュニケーション、教育現場の子どもの様子、早期発見、介入の重要性など様々な話題を知ることができた」「最新の知見、様々な事例にふれられた。また東北でやってください!」など、手応えのあるコメントを頂きました。こころ塾では、今後も「先端の知と実践をつなぐ」取り組みを継続しておこなって参ります。


 11月には再び京都にて「先生のためのこころ塾2014(Bコース)」、「医療専門職のためのこころ塾2014」を開催します。興味のある方は募集要項をご覧ください。


「先生のためのこころ塾2014」募集要項ページ
「医療専門職のためのこころ塾2014」募集要項ページ


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「支える人の学びの場 こころ塾2014 仙台」
▽日時:2014年10月12日(日)9時50分~17時(受付開始時間9時~)
▽会場:仙台国際センター2階 桜1(仙台市青葉区青葉山無番地)
▽プログラム:
9:50-10:00 挨拶 吉川左紀子 (京都大学こころの未来研究センター)
10:00-12:00講演「発達する脳内ネットワークと発達障害」乾敏郎(京都大学大学院情報学研究科)
12:00-13:30 休憩
13:30-15:00 講演「心の発達の定型・非定型を考える」明和政子(京都大学教育学研究科)
15:20-17:00 事例報告と討議:加藤寿宏(京都大学大学院医学研究科)、小松則登(愛知県心身障害者コロニー中央病院)、嶋谷和之(大阪市更生療育センター)、乾敏郎、明和政子、吉川左紀子(司会)
主催:京都大学こころの未来研究センター
共催:京都大学大学院医学研究科 脳機能リハビリテーション学分野 発達障害系研究室
後援:東北文化学園大学
▽参加者数:91名

「くらしの学び庵」が始まりました

1410manabian.png 2014年10月より、上京区の風伝館にて一般向けの連続セミナー『くらしの学び庵』が始まりました。「孤立防止のための互助・自助強化プログラム開発」プロジェクトの大きな柱となるイベントで、10月1日には第1回が、15日には第2回が開催されました。昔ながらの風情をたたえる京町家の座敷で新しいスタイルの「学び」と「研究」が歩み出しました。


 超高齢化社会がさらに進行し、同時に核家族化、地域内コミュニケーションの希薄化も進行しています。そのような中、昔は、「町のおせっかい役」が多数存在し、よろず相談的な取り組みが自然な形で町の中に存在していました。(中略)
 今回のプロジェクトでは、互助・自助の再生・強化をめざしています。本プロジェクトで用意している「三段階ステップアップ方式の学習プログラム」と「よろず相談会」は、「からだ」「こころ」「社会活動(社会参加)」の三側面から、健康で幸せな生活の実現をねらいとしています。二次的な効果として、学びあいによる「つながり」「ささえあい」の醸成、地域の中での「オアシス」「こころのよりどころ」「自己有能感(人のために何かできた、自分にはまだまだこんな力があった)」の創出や発見を期待しています。(イベント案内ページより/詳しい内容はこちら


※[開催ポスター] 右上の画像をクリックすると拡大します


 10月1日におこなわれた第1回は、プロジェクトの企画者である清家理助教がプログラムの説明をおこない、吉川左紀子センター長とアミタグループ代表の熊野英介氏による挨拶があったのち、京都大学医学研究科の青山朋樹先生が「毎日できる運動で衰え知らず!」というテーマで講義をおこないました。参加者は座敷の広間にしつらえた椅子に腰掛け、レクチャー後は、お茶菓子を囲んでの質疑応答やディスカッションで盛り上がりました。15日におこなわれた第2回は、京都大学医学研究科の荒井秀典先生が、「老化と病気の予防で錆知らず!」というテーマで講義しました。レクチャー後は、先生への質疑応答に続いて「よろず相談会」の場が設けられ、吉川センター長が「心理」コーナー、司法書士の小山秀司先生が「法律」コーナー、荒井先生が「医療」コーナーを担当。参加者の方々は、それぞれ各ちゃぶ台に分かれ、日頃の疑問や気になることなどを先生方に相談していました。くらしの学び庵の第一期は、本年12月の第6回まで続きます。


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「京町家 くらしの学び庵」プロジェクト」
(孤立防止のための互助・自助強化プログラム開発研究『京町家 くらしの学び庵』プロジェクト/清家 理 こころの未来研究センター助教、荒井秀典 医学研究科教授、吉川左紀子 こころの未来研究センター教授)
主催:京都大学こころの未来研究センター
共催:京都大学大学院医学研究科人間健康科学専攻近未来型人間健康科学融合ユニット、公益財団法人信頼資本財団
後援:アミタグループ、京都信用金庫、京都大学医学部附属病院
▽日時:2014年10月1日(水)、10月15日(水)、11月5日(水)、11月19日(水)、12月3日(水)12月17日(水)全6回 3ヶ月間開講 毎月第1・第3水曜日 14:00~15:30 ※毎月第3水曜日は、講義後15:30~16:30の間、「よろず相談会」を実施
▽会場:京町家~風伝館~(京都市上京区室町通丸太町上ル大門町253番地)
▽プログラム(初級)
14:00~15:00 講義
15:00~15:30 意見交換会
15:30~16:30 よろず相談会 ※毎月第3水曜日のみ実施
【第1回 10月1日(水)】
〇「毎日できる運動で衰え知らず!」青山朋樹(京都大学医学研究科)
〇意見交換会
【第2回 10月15日(水)】
〇「老化と病気の予防で錆知らず!」荒井秀典(京都大学医学研究科)
〇意見交換会
〇よろず相談会(医療・看護・心理・福祉・法律・貯蓄・くらし全般)

fMRI体験セミナー2014を開催しました

 9月29日(月)、30日(火)の2日間に渡り、「fMRI体験セミナー2014」をこころの未来研究センター連携MRI研究施設南部総合研究1号館地階MRI実験室にて開催しました。


 本セミナーは、おもに学内の大学院生・学部生・研究員を対象に、現在の脳機能画像研究における主要ツールの一つ「機能的磁気共鳴画像法(fMRI)」による研究を体感してもらうためにおこなっています。昨年に引き続き、企画運営、レクチャーおよび実験指導を阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)、上田祥行助教、中井隆介研究員らが担当しました。


 今年は、文学研究科、人間環境学研究科、情報学研究科、経済学研究科、医学研究科など幅広い分野から、おもに大学院生を中心に学部生や研究員の方々が参加されました。はじめに、MRIの基礎と脳機能画像研究の概要について説明を受け、参加者全員がfMRI装置を実際に使った課題をおこないました。MRI装置の中では、右手の運動と左手の運動をおこなう課題を体験。実験後は、その場で担当者と共にデータの解析へ。運動課題によって脳のどの領域に活動が生じているかを実際に見て分析に挑戦し、質疑応答とディスカッションで知識を深めました。


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[開催ポスター]

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「fMRI体験セミナー2014」
▽日時:2014年9月29日(月)、30日(火)13:00~17:00 
▽場所:南部総合研究1号館地階MRI実験室
▽参加費:無料
▽対象:京都大学に所属する大学院生。今後、機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging; fMRI)による研究を行おうと考えている方。
▽担当者:阿部修士(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)、上田祥行(こころの未来研究センター・特定助教)、中井隆介(こころの未来研究センター・研究員)
▽主催:京都大学こころの未来研究センター
▽参加者数:29日・6人、30日・6人


<報告:阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)>

「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2014」(Aコース第2日)を開催しました

1409kokorojuku_poster.png 「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2014」のAコース第1日目が2014年9月21日、稲盛財団記念館3階大会議室にておこなわれました。9月7日におこなわれた第1日目から2週間の期間をあけての開催です。第1日目のレポートはこちら


 この日は、前回に続いて認知科学、認知神経科学が専門の乾敏郎京都大学大学院情報学研究科教授が、「コミュニケーション機能の神経機構と発達障害」という演題にて講演しました。言語、非言語コミュニケーションの神経機構、他者の行為理解の神経基盤などの仕組みを丁寧に解説し、発達障害と脳の神経プロセスとの関わりについて紹介しました。


 続いて、午後からは友田明美福井大学子どものこころの発達研究センター教授が、「児童虐待とこころの傷:望まれる養育環境とは」というテーマで、幼少期における子どもの置かれた環境、虐待やネグレクト等の要因が脳機能におよぼす影響などについて、アメリカでの調査結果など最新の研究成果を紹介しました。その後の実践報告の時間では、畑中千紘こころの未来研究センター助教(上廣こころ学研究部門)と土井奈穂美京都大学大学院教育学研究科研究員の二人が、心理療法におけるプレイセラピーの実践内容と具体的な事例を紹介しました。それぞれの質疑応答では、紹介された事例や研究成果についてより深い理解を求めて質問される先生方が多く、活発な議論が続きました。


 すべての講演終了後は、参加者がテーブルに分かれ、講師陣をまじえながら情報交換とディスカッションをおこないました。前回と同様に各テーブルには大きな模造紙とマジックが配られ、活発な討論と共に様々なアイデアが書き留められました。その後、各討論をシェアするため、まとめの発表がおこなわれました。


 先生のためのこころ塾のAコース二日間のすべての日程は終了しました。参加者アンケートでは、「充実した2日間だった」「専門的な最先端の研究をわかりやすく教えてもらえた」「仕事と向き合う姿勢が具体的になった」など、手応えを感じていただいた内容の感想が数多く寄せられました。


 先生方を対象としたこころ塾のBコースは11月2日(日)と11月8日(土)に開催します。現在参加者を募集しています。詳しくはこちら


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「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2014 Aコース第2回」
▽日時:2014年9月21日(日)10:00~17:00(受付開始 9:30~)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム:
9:30 受付開始
10:00~12:00 講義と質疑「コミュニケーション機能の神経機構と発達障害」講師:乾敏郎(京都大学大学院情報学研究科)
12:00~13:30 昼食
13:30~15:00 講義と質疑「児童虐待とこころの傷:望まれる養育環境とは」講師:友田明美(福井大学子どものこころの発達研究センター) 
15:20~16:00 実践報告:土井奈緒美(京都大学大学院教育学研究科)、畑中千紘(京都大学こころの未来研究センター)
16:00~17:00 情報交換会
司会進行:吉川左紀子(こころの未来研究センター長)
▽参加者数:41名

吉川センター長、上田祥行助教がヨーク大学でのワークショップ「The Mind Across Cultures」に参加しました

 吉川左紀子センター長、上田祥行助教が2014年8月5日、6日に英国ヨーク大学で開催された British Academy主催のワークショップ「The Mind Across Cultures」に参加しました。


 吉川センター長はワークショップ初日に「Mind, Culture, and "Kokoro"」と題する基調講演をおこないました。基調講演では、「こころ」という日本語の紹介も交えながら、文化の視点から心を研究する学際研究の重要性と意義を論じ、こころの未来研究センターでの取り組みについて話しました。翌6日には、上田助教はじめ6名の日本人若手研究者・大学院生も参加してポスターセッションがおこなわれ、英国の研究者と親しく交流しました。


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「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2014」(Aコース第1日)を開催しました

1409kokorojuku_poster.png 「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2014」のAコース第1日目が2014年9月7日、稲盛財団記念館3階大会議室にて開催されました。


 現代社会には、人を支えることを仕事としている人たちがたくさんいます。支える人は、子どもやお年寄り、病気の人や身体の不自由な人たちが幸せに暮らせる社会の、一番の担い手でもあります。そして、支える人たち自身も元気で健やかに毎日を過ごせることが、私たちのめざす日本社会の姿ではないかと考えます。


 京都大学こころの未来研究センターでは、こうした考えのもとで、「支える人たちを支える学びの場」として「こころ塾」を昨年に続いて開催します。


(イベント案内より)


 今年は、先生向けのこころ塾2014(2日間コース)が新たに加わりました。Aコース第1日目には、様々な学校で教鞭をとる49名の先生方が参加しました。


 はじめに認知科学、認知神経科学を専門とする乾敏郎京都大学大学院情報学研究科教授が、「身体性のの脳内機構:身体でわかることの大切さ」という演題にて講演しました。脳と身体機能がつながるメカニズム、 ミラーニューロンシステムと自閉症との関連性など、最新の研究成果と知見を紹介しました。続いて、午後からは明和政子京都大学大学院教育学研究科教授が、「心の発達の定型・非定型を考える」というテーマで、胎児とその母親や乳児らを対象とした発達に関する長年に渡る研究で分かったこと、発達障害のあらわれと胎児期、乳児期の環境との関連性などを最近の研究実績から紹介しました。その後の実践報告の時間では、田村綾菜愛知県コロニー発達障害研究所研究員と小川詩乃京都大学大学院医学研究科研究員の二人が、発達障害の子どもたちに対する個別学習支援のとりくみについて、具体的な事例を写真や動画などと共に紹介しました。いずれの講義、報告でも、参加者からの熱心な質問があいつぎ、日々の現場で先生方が感じておられる疑問点などを発表者と共に考えながら、プログラムが進行しました。


 すべての講演終了後は、参加者が8つのテーブルに分かれ、お茶菓子を囲みながらの情報交換会の時間を持ちました。各テーブルには大きな模造紙とマジックが配られ、任意のテーマでディスカッションをおこない、そこで出たアイデアが書き留められ、終了前にそれぞれのテーブルの代表者が発表をおこないました。立場も世代も役職も異なる教育者たちが、日常で試行錯誤しながら進めていること、手応えを感じているとりくみなどを思い思いに話すなかで、ヒントや新しいアイデアを得て、持ち帰られたようです。


 司会進行を務め、要所要所でコメントしながら会をまとめていた吉川左紀子センター長は、「大学の基礎研究の成果を社会に還元したいと常に思いながらセンターを運営しています。こうして現場の声を研究者が聞かせてもらえたことも大変有意義だと思いました。今日、聴いていただいたこと、共有していただいたことがすぐに効果に表れなくても、いつか皆さんの役に立つときがくることを願っています。第2回もぜひこういう形で学び合える時間を持ちたいと思います」と話し、Aコースの第1回を締めくくりました。


 Aコースの第2回は、9月21日(日)に開催されます。また、同じく先生方を対象としたBコースは11月2日(日)と11月8日(土)におこなわれ、現在参加者を募集しています。詳しくはこちら


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「支える人の学びの場 先生のためのこころ塾2014 Aコース第1回」
▽日時:2014年9月7日(日)10:00~17:00(受付開始 9:30~)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム:
9:30 受付開始
10:00~12:00 講義と質疑「身体性の脳内機構:身体でわかることの大切さ」講師:乾敏郎(京都大学大学院情報学研究科)
12:00~13:30 昼食
13:30~15:00 講義と質疑「心の発達の定型・非定型を考える」講師:明和政子(京都大学大学院教育学研究科)
15:20~16:00 実践報告:田村綾菜(愛知県コロニー発達障害研究所) 小川詩乃(京都大学大学院医学研究科)
16:00~17:00 情報交換会
司会進行:吉川左紀子(こころの未来研究センター長)
▽参加者数:49名

「人が育つ組織」研究会第2回を開催しました【開催レポート】

 2014年7月10日、「人が育つ組織」研究会第2回を稲盛財団記念館3階大会議室にて開催しました(共催:株式会社ウエダ本社、NPO法人ミラツク、後援:京都経済同友会)。
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 この研究会では、企業の中でどのようにすれば人が育つのかに焦点を当て、その関係性を理論的にモデル化していくことを目的としています。


第1回の研究会(5/27開催)のレポート:「人が育つ組織」研究会第2回を開催しました」


 内田由紀子准教授の挨拶に始まった第2回研究会。富士通総研の研究員である大屋智浩氏をお招きし、実践知研究センターでの活動についてご講演いただきました。その後、内田准教授、NOSIGNERの太刀川英輔氏、大屋氏での鼎談を行いました。さらに、研究会の参加者の数名にもディスカッションにご参加いただきました。
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大屋氏の講演要旨:富士通グループのブランドプロミス:"Shaping tomorrow with you" 実際にこれを実践するため、研修プロジェクトが立ち上がっている(野中郁次郎氏の知識創造理論に基づく)。合宿形式のプロジェクトを通して、「何でもやってみよう」という組織風土を生み出すことや、身体性を伴う直接経験が大切にされているということです。また、参加したメンバーに感覚として得たものを言葉にしてもらうことも重要なステップの一つとされています。


 知識創造理論においては、"形式知"という言葉で説明することができる知識と、"暗黙知"という言葉で説明することができない、感覚的な知識を定義づけています。その2つの知識を作る相互作用の中で、業務能力の向上を図っていくことが理論の軸となっています。合宿では、様々な部門・部署から参加する多様な参加者が、同質な経験を行うことによって暗黙知を作ると同時に、身体を動かす中で感覚的に得たものを言葉にすることで形式知も同様に創り出していくということです。
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 後半は内田准教授、太刀川氏、大屋氏による鼎談の時間へと移りました。その際、前回の研究会で使用した「人が育つ組織」を作るキーワードを参考にしながら、大屋氏の講演も踏まえて、あらたに9個のキーワード(たとえば「暗黙知の構造化・形式化」「身体性を伴う直接経験」など)を抽出しなおしました。
「人の認知はコンテクストから切り離すことがとても難しい」と語る内田准教授によると、同じコンテクスト(文脈)の中で過ごしていると、しだいに視点が固定化するということです。いつも浸っている場を離れてみることやいつも業務の中で行うことのない身体を使った経験をすることは、忙しい業務の中で近視眼的になってしまう状況から抜け出すきっかけになります。


 自分の置かれた状況から抜け出す中で、日々の生活に埋もれてしまった自分のやりたいことや、なぜ働いているのかを問い直すことができるのではないかという話が鼎談で取り上げられました。自分が属している当たり前から抜け出すことは不安を伴いますが、人の創造性を引き出したり何らかのブレイクスルーを起こすためには、自分と他者の違いを認め、メタ的な視点に立つことが求められるのではないでしょうか。


 「主体性を持った滅私奉公」というテーマにも話が及びました。「主体性」というと、一見すると個人を単位とした独自性を発揮することと捉えられがちです。しかし、たとえ「個人」としての主体性は持たずとも、集団や場所に自らを埋め込ませることで「集団・場所の主体性」は達成することができるのではないか、ということが登壇者間の議論の中で交わされました。他の人に言われて受動的にとらされる行動ではなく、自らが主体的に滅私を選び取った結果としての行動は、自らの意義が個人内部に収まらずに集団・世界へと広がる契機となります。さらには、集団や場所の主体性を体現することで、はじめて互いの競争関係を超えた共通善を達成することができるのではないか、というところまで議論は深められました。


 主体性の獲得は、能力の形成や経験の獲得など、様々な観点に影響を与えますが、この主体性を獲得し、伸ばしていく際には組織的な広い視点で考えるべきではないでしょうか。主体性を立てつつも、人のつながりを活かすという、よりよいモデルを考えていく必要があります。
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 さらに今回は、ご参加いただいていた3名の方々にもディスカッションに加わってもらいました。日本人の主体性や組織として主体性を持つことができるのか、などといった、様々な話題で議論が深まり、充実したディスカッションの時間になりました。


 最後に、登壇いただいた方々に本研究会の感想を共有していただき、「人が育つ組織」研究会第2回は幕を閉じました。次回以降、本研究会では一回目、二回目のディスカッションを基礎に据えながら、「人が育つ組織」を構成する要素をさらに明確にし、「人が育つ組織」のモデル作りを進めて参ります。


(報告:総合人間学部 学部生 三浦祥敬)


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「人が育つ組織」研究会第2回

・日時:2014年7月10日(火) 17:30-20:30
・場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
・講演:富士通総研 経済研究所 / 実践知研究センター 上級研究員 大屋 智浩氏
・トークセッション:NOSIGNER株式会社 太刀川英輔氏、こころの未来研究センター 内田由紀子准教授
・主催:京都大学こころの未来研究センター
・共催:NPO法人ミラツク、株式会社ウエダ本社
・後援:京都経済同友会

河合教授がドイツ・ベルリンでの学会 International Society for Psychology as the Discipline of Interiority 2014 Berlin Conference で講演しました

1407kawai.png 河合俊雄教授がドイツ・ベルリンで開催された "International Society for Psychology as the Discipline of Interiority 2014 Berlin Conference" で講演しました。


Title: "Initiation and transcendence as substantiated goal or psychological difference: In reference to psychotherapy and Buddhism" by Toshio Kawai


( "The Psychological Difference" International Society for Psychology as the Discipline of Interiority 2014 Berlin Conference / Berlin, Germany July 19 - 21 )
http://www.ispdi.org/en/3-educational/conferences


 河合教授は、今回の大会のテーマである"Psychological Difference"(心理学的差異)について講演をおこないました。たとえば震災後のこころのケア、ターミナルケアの事例などでは心の傷、死や喪失との直面と受容などがテーマになっていると思われがちですが、心理学的にみていくと、自然の脅威は大いなる力との遭遇として、死が我が家への帰還として体験されることがあるように表面的にみえるのとは全く別のプロセスが進んでいることが多くあります。
 心理学的差異とは、上記の例にみられるような区別を semantic(意味的)な次元とlogical(論理的)な次元との差異としてギーゲリッヒ博士が特に強調している概念ですが、河合教授はユングの体験を前提に踏まえつつ、日本での心理療法や日本文化を例にこの概念の臨床的な意義についてわかりやすくお話をされました。


<報告:畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)>

畑中助教がドイツ・ベルリンでのセミナー Psychological Seminar (Dream Interpretation and Psychological Theory) で発表しました

1407hatanaka.png 畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)が、ドイツ・ベルリンで開催された "Psychological Seminar (Dream Interpretation and Psychological Theory)" にて、大人の発達障害の夢についての発表をおこないました。


 このセミナーはすでに出版されている夢セミナーの本の著者でもある Wolfgang Giegerich氏を中心に開催され、夢を中心とした発表とディスカッションが行われます。
http://www.sogensha.co.jp/booklist.php?act=details&ISBN_5=11560


 今回は、この中で大人の発達障害の事例でみられた夢について発表をおこないました。議論の中で、もはや失われてしまったものを保持しておこうとする神経症的なこころの動きに対して、夢を通じて次第に接近していくプロセスが明らかになっていき、夢の力について改めて実感させられるセミナーとなりました。


<報告:畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)>

「人が育つ組織」研究会第1回を開催しました【開催レポート】

 2014年5月27日、「人が育つ組織」研究会第1回を株式会社ウエダ本社、NPO法人ミラツクとの共催のもと稲盛財団記念館3階大会議室で開催しました。

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 研究会のテーマは、「人が育つ組織とはどのような組織なのか」。ビジネス環境が目まぐるしく変化していく中、そこで重要になるのは、その中で生きている「人」、その中にある「つながり」、そしてそれを支える「組織の文化や制度」です。そこで初回はピーターMセンゲの『学習する組織』を翻訳したチェンジエージェントの小田理一郎氏をお招きし、基調講演をおこなっていただきました。


 基調講演後、参加者の皆様でディスカッションをおこない、ディスカッションの中で出てきたキーワードを踏まえつつ、講演者の小田氏に、NOSIGNERの太刀川英輔氏、内田由紀子准教授を交えて鼎談をおこないました。企業の方(経営者、コンサルタント、人事担当者)を中心に、研究職、NPO, NGOの方々を含め50名ほどの方がご参加くださいました。

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ミラツクの西村氏による趣旨説明:変化が激しくなっている現在、経営をうまく進めていくためには、人と組織の学習を促進していくこと。研究会では、人が育つ組織の要素を明らかにしていき、組織の違いに合った人と組織が学習する仕組みを考えていくことを目的としたい。

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小田氏の講演要旨:
・学習する組織とは、「組織システムと個人が相互に発展する、好循環をうみだす相互作用をおこす組織」。目的に向けて効果的に行動するために、集団としての気づきの状態と能力を継続的に高め、伸ばし続ける組織と言いかえることもできます。それらの組織では、急激な変化に耐えられるしなやかさと適応性があり、さらにそこにいる人たちは自ら学び、創造するという特徴があります。
・「気づきの状態」の重要性:今何が起こりどのような仕組みの中にいるのか、コミュニケーションを取る相手は何を感じているのか。
・「観察の重要性」:今の自分たちのパターンを作り出すパターンには構造がある。そのような組織の内的システムの構造を知ること。
・「個々の主体性」:学習する組織に所属している人たちの特徴として、組織内の個人は組織の中の問題を自分事として捉え、自分たちで原因を発見し、組織のシステムに関わっているという主体性を持っているということが挙げられる。


 小田氏は大企業のように一人一人を把握できない際に変えることができるのは思考・関係性・場所の三つの観点であると説明しました。「その中でも注目したいのは、思考の質と関係性の質。それらの変化を生み出すためには、心理的に安心・安全な場所を創り出すこと。本当の知恵は、自分たちが思っていること、感じていることを出していく中で創出する」と学習する組織を作るための「場の創出」の重要性を強調されました。また組織でビジョンを共有するために、フラットな関係で話すことができる場を設定することを勧めました。


 講演後、参加者の方々で4〜5人のグループに分かれ、「それぞれの組織で、どういう課題に直面しているのか」というテーマのもとディスカッションを行いました。組織の中でフラットな関係を築けるような場所を設定することの難しさや、人をつなぐことの重要性など、様々なトピックが飛び交いました。講演に基づいたキーワードを太刀川氏・内田准教授が事前に用意したうえで、特に参加者の関心が高かった(8割近くが関心があると手を挙げた)「組織の多様性のための器、つながり・つなぐ、先行投資としての場の設定」を中心に鼎談を実施しました。

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太刀川氏:多様な人を受け入れる組織作りのポイントを自分の経験談として紹介、勝ち負けを競ってしまう組織のメンバーの作業を円滑にするために、自分よりも優秀な人たちを雇うことが大事だということを挙げました。またその中で、またビジョンの共有、の重要性について語りました。

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内田准教授:社会心理学の観点から農業地域における普及指導員の役割を説明しながら、組織のコミュニケーションに必要なのは「つなぐ」仕事の役割であり、ボンディング型(内部結合型)のつながりの形成とブリッジング型(橋渡し型)のつながりの形成の双方が必要であると述べました。
小田氏:話はキーワードの一つである、先行投資としての場の設定に移りました。小田氏は、「どうやってファシリテートする人を育てるのか。そういう発想を持っている組織は少ない。また場の質を高めることが重要であるが難しい」と企業の現状について話し、内田氏が「場の設定の重要性に対するエビデンスがないと、企業もそういう場を作ろうとしないのでは」と応じました。


(総括コメント)
小田氏:「組織の中の個人が人間力を培うことと経営として結果を追求していくことの両方を大事にすることが重要」
ウエダ本社の岡村氏:「日本社会の閉塞感を打破するために、オフィス環境や働き方の改善を志している、そのためには数値化、検証をしていく必要がある。」
内田准教授:「人が育つ組織に関する日本型のエビデンスを作りたい、今後の研究として、質問紙調査やインタビュー調査を様々な組織を対象におこなっていく。」


 「人が育つ組織」の研究会は2ヶ月に一回ほどの頻度で定期開催していく予定(招待制)で、モデル形成にむけたディスカッションを実施します。


(報告:総合人間学部 学部生 三浦祥敬)


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「人が育つ組織」研究会第1回


・日時:5月27日(火) 17:30-20:30
・場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
・内容:
第一部:ゲスト講演 (有)チェンジ・エージェント 代表取締役 小田理一郎氏「学習する組織--複雑で激しい変化の時代に、人と人が響き合いながら、しなやかに、進化し続ける組織」
第二部:トークセッション (有)チェンジ・エージェント 代表取締役 小田理一郎氏、NOSIGNER株式会社 CEO/デザイナー 太刀川英輔さん、京都大学こころの未来研究センター内田由紀子准教授
・参加者数:約50名

第20回-22回身心変容技法研究会+こころ観研究会を開催しました

 鎌田東二教授が研究代表者を務める身心変容技法研究会の本年度の研究会が進んでいます。2014年4月、5月には計3回の研究会(第20回・第21回・第22回)がおこなわれました。


○身心変容技法研究会とは
 科研基盤研究A「身心変容技法の比較宗教 学-心と体とモノをつなぐワザの総合的研究」は、多彩な研究メンバーによる最新の研究成果を結びつけ、身体と心との相互的な関わりをワザやモノを媒介として分析することを通して「心の荒廃の時代」を突破する理論と実践を提示するための研究プロジェクトです。


身心変容技法研究会ウェブサイト
http://waza-sophia.la.coocan.jp/top.htm


第20回身心変容技法研究会+こころ観研究会/2014年4月24日(於:稲盛財団記念館3階大会議室)


 第20回身心変容技法研究会は、4月24日、パリ大学科学哲学研究所の藤守創氏(科学哲学・統合医療研究)を発表者に迎え、「身心変容技法としての現代日本手技療法~補完代替医療『ヴァートセラピー』における客観的指標の確立」をテーマに開催されました。補完代替医療「ヴァートセラピー」を実践する藤守氏は、科学的な西洋医学と補完代替医療を融合させた「統合医療」を研究しており、研究会ではその研究を多角的に紹介すると共に、東洋医学それぞれの特徴にも言及し、統合医療の可能性や取り組みへの課題を展望しました。研究会の内容や資料は、身心変容技法研究会ウェブサイト「研究問答」に掲載された鎌田教授と藤守氏のコメントをご覧ください。こちら

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「第20回身心変容技法研究会+こころ観研究会」
▽2014年4月24日(木)13時~17時
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
1) 藤守創(パリ大学科学哲学研究所・科学哲学・統合医療研究)「身心変容技法としての現代日本手技療法~補完代替医療『ヴァートセラピー』における客観的指標の確立」(60分発表+60分討議)
2) 研究計画の確認と意見交換 司会:鎌田東二


第21回身心変容技法研究会+こころ観研究会/2015年5月15日(於:稲盛財団記念館3階大会議室)


 第21回は5月15日、京都府立医科大学教授の棚次正和氏(宗教哲学)が「心身問題と魂の死後存続―─ベルクソンの哲学的思索を手引きにして」、独立研究者の森田真生氏が「岡潔の数学と情緒」というテーマで発表をおこないました。棚次氏は、心身問題を、一元論、二元論で語られることへの問題提起から始まり、三元論で捉える論を展開。ベルクソンの思想を紐解きながら「魂の死後存続」「身体からの魂の独立」の問題と身心問題や脳科学の問題にせまりました。森田氏は、多変数複素関数論研究で知られる世界的数学者の岡潔について、その生涯と人生における3つの発見と身心変容体験、数学の主観的内容と客観的形式、最晩年の思想までを紹介し、岡潔の残した「数学の中心にあるのは情緒である」「計算と論理のない数学をしたい」といった言葉の背後にあった数学的時代背景、類をみない研究スタイルと生き方について、深い造詣と情熱をもって解説しました。鎌田教授による研究会の詳細な報告はこちら

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「第21回身心変容技法研究会+こころ観研究会」
▽2014年5月15日(木)13時~17時
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
1) 棚次正和(宗教哲学・京都府立医科大学教授)「心身問題と魂の永生」
2) 森田真生(数学・独立研究者)「岡潔の数学と情緒」
司会:鎌田東二 各発表50分+討議50分


第22回身心変容技法研究会+こころ観研究会/2014年5月29日(於:稲盛財団記念館3階大会議室)


 第22回は5月29日、津城寛文筑波大学教授(宗教学)による「心霊研究圏内のジェイムズその他」、齋木潤京都大学教授(認知科学)による「瞑想と脳波の時間相関構造~経過報告」の発表がおこなわれました。津城教授は、ウィリアム・ジェイムズの心霊研究を中心に、死後存続とそこで浮き彫りとなる「中心・中枢・センター」に関する諸問題について、パイパー夫人をテーマとした霊的研究の実例紹介をはじめ、現代日本の心霊研究にも視線を注ぎ、アーヴィン・ラズロの文献などを紐解きながらジェイムズ論を展開しました。齋木教授は、現在おこなっている瞑想時の脳波測定、脳活動の時間特性に焦点を当てた解析について経過報告をおこない、安静時と瞑想時のLRTC値に関する仮説を検証し、そこから引き続きおこなった別方法での検証結果についても紹介。今後の課題と展望について話しました。鎌田教授による詳細な報告はこちら

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「第22回身心変容技法研究会+こころ観研究会」
▽日時:2014年5月29日(木)13時~17時
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階小会議室2
▽プログラム
1) 津城寛文(宗教学・筑波大学教授)「心霊研究圏内のジェイムズその他」
2) 齋木潤(認知科学・京都大学教授)「瞑想と脳波の時間相関構造~経過報告」
司会:鎌田東二 各発表50分+討議50分

2013年度こころの科学集中レクチャーを開催しました

 2013年度こころの科学集中レクチャー「こころの謎~文化・進化と心:『人間=文化的生物』の不思議に迫る~」が、2014年3月4日〜6日、稲盛財団記念館大会議室で開催されました。

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 こころの科学集中レクチャーは、2009年度から5度目の開催となります。3人の講師陣による講義が3日間に渡って繰り広げられ、参加者とのディスカッションに加え、講師同士が徹底的に議論をおこなうスタイルで、参加者からは「刺激的でワクワクする3日間」として評価をいただいています。


 今年は「こころの謎~文化・進化と心:『人間=文化的生物』の不思議に迫る~」をテーマに、社会科学の最前線で活躍する北山忍ミシガン大学心理学部教授(こころの未来研究センター特任教授)、大平英樹名古屋大学大学院環境学研究科教授、増田貴彦(アルバータ大学心理学部准教授)にご登壇いただきました。講義ごとに質疑応答、ディスカッションの時間が設けられ、受講生(京都大学の学部生・大学院生ならびに学内外の研究者・大学院生)50名との活発な議論が繰り広げられました。


1日目の北山忍教授の講義においては、「なぜ心理学者が文化の研究をおこなうのか」という問いかけからはじまり、心の働きは文化を前提としてできあがったシステムであること、文化を問うことは心の働きを解明するための本質的な作業であることが論じられました。文化が私たちにもたらす「意味」の世界は個人の頭の中の「認知的表象」としてあるだけではなく、人々の間に共有される現実であることについて、哲学や心理学、人類学のこれまでの知見に触れながら説明されました。その後、「怒り」の表明についての比較文化研究や生理学的反応を指標にした研究、遺伝子と文化の相互作用研究など、文化神経科学の最新の知見が呈示されました。


 2日目の大平英樹教授の講義では、特に不確実性下では、直感や感情に基づいた意思決定がおこなわれがちであること、そして脳と身体の双方向的な影響が選択を導いているということについて、神経画像と生理反応の同時測定により詳細に検証された研究事例が呈示されました。たとえば心拍など、目で見て確認することができない内側の身体感覚(内受容感覚)がリスク回避などの意思決定につながるメカニズムを、脳機能との関連から解説されました。後半では正義(justice)や平等性についての判断に関わる意思決定の進化生物学的ならびに生理学的基盤やサイコパシーとの関連について、最新の研究事例とともに論じられました。


 3日目の増田貴彦准教授の講義では、これまでおこなわれてきた思考様式における洋の東西の文化差について解説がなされた後、これらの文化差が発達のどの段階から生じているのか、比較認知発達研究の事例を交えて紹介され、子どもの文化的認知・思考様式は親とのインタラクションの中で獲得されていく可能性が示されました。後半では芸術作品・デザイン・広告などの「文化的産物」の研究を概観し、こうした研究が文化とこころの関係を探る上でどのような役割を担うのか、文化的産物は歴史あるいは個人の発達の過程でどのように変化しうるのかについて議論がなされました。


 毎回の講義後には講師3名と受講生を交えた徹底的なディスカッションが行われ、文化と心の関係を支える生理・神経科学的基盤とは何か、などについて意見が交わされました。トップクラスの研究者である講師陣の関心事から、こころの科学のおもしろさが再認識される、刺激的な3日間でした。


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○受講者の感想(アンケートより)


・一流の研究者がまとう雰囲気、ふるまいを体感することができ、それはとても大きい喜びであった。文化心理学の成り立ちの問題意識が何であるかというところ、遺伝子学的な視座まで展開されて初学者であっても理解しやすかった。(学生/理系)


・大変勉強させていただきました。またパブリッシュされていないような新鮮な研究に数多く触れることができ、自身の研究にも大きな刺激になりました。神経科学、分子遺伝学に加えて免疫系、生理反応まで含んだ非常に包括的かつ緻密な研究についてわかりやすくお話いただいたので、視野・理解が深まる大変有意義な時間でした。(学生/心理学)


・大変刺激的でした。まずアプローチがどれもユニークで、とても興味深かったです。先生方を中心としたディスカッションでは鋭く、しかも建設的な意見が飛び交い、新たなアイディアが誕生していくのを目の当たりにできたのもすばらしい経験でした。(学生/理系)


・文化差に焦点を当てた北山先生、脳神経科学にまで踏み込んだ大平先生、文化差と認知の関係についての増田先生のそれぞれのお話は三者三様でしかも日を追うにしたがってそれらのお話を関連させるように議論が進んでいくのが大変面白かったです。(研究者/理系)


(報告:内田由紀子こころの未来研究センター准教授)


[開催ポスター]
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[DATA]
2013年度こころの科学集中レクチャー 文化・進化と心:「人間=文化的生物」の不思議に迫る
▽日時:2013年3月3日(火)、4日(水)、5日(木)10:00〜17:00
▽主催:京都大学こころの未来研究センター 「こころ学創生:教育プロジェクト」
▽講師:北山忍(ミシガン大学 心理学部教授 文化・認識プログラム所長/専門:文化心理学、文化神経科学)、大平英樹(名古屋大学大学院環境学研究科教授/専門:整理心理学、認知科学、精神神経内分泌免疫学)、増田貴彦(アルバータ大学心理学部准教授/専門:文化心理学)
▽企画・進行:内田由紀子(こころの未来研究センター准教授)
▽プログラム:
3月3日(火)
講義1+ ディスカッション 「文化脳神経科学の視点」(北山)
講義2+ ディスカッション「社会・文化、生物的健康、長寿:炎症反応を手がかりに」(北山) 
3月4日(水)
講義3+ ディスカッション「意思決定を支える脳-身体の機能的相関」(大平)
講義4+ ディスカッション「身体化された正義」(大平) 
3月5日(木)
講義5+ ディスカッション「文化と認知:発達科学との協力にむけて」(増田)
講義6+ ディスカッション「文化と表現:文化的表象研究からわかること」(増田)
▽参加者数:50名

第3回 為末大 vs.下條信輔 対談セミナーを開催しました

 第3回 為末大 vs.下條信輔 対談セミナー「自分の知らない自分:潜在意識と感情」が、2014年2月22日(土)、稲盛財団記念館大会議室で開催されました。

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 3回シリーズの最終回となった今回も、前回に続いて京大内外からの参加者が数多く集まりました。体育会系のジャージに身を包んだ学生から年配の男女まで多彩な顔ぶれで、セミナーの人気をうかがわせるものでした。はじめに挨拶に立った吉川左紀子センター長は、「今日のテーマは為末さんが下條先生と話したいと思うきっかけとなった下條先生の著書にもある『サブリミナルマインド』、潜在意識についてです。また、オリンピックをめぐるトピックについても話が聞けそうです。前回、前々回と同様、参加者の皆さんからの質問をたくさん受けながら、盛り上がりたいと思います」と話しました。


 折しも当日はソチオリンピック最終日の前日。下條教授は、「こんなタイムリーな時期に為末さんと対談できるのだから」と、前半はオリンピックについて話すことを提案。「今回のオリンピックは競技そのものも面白かったが、メディアやインターネットを賑わした話題が多かれ少なかれ人間の心理、社会、政治に対して新たな提案をしてくれたのではないか」と話し、ソチオリンピックでのエピソードを幾つか取り上げ、為末氏のコメントに対して心理学的見知からの考察を加えて分析しました。為末氏は、オリンピックという環境の特殊性にふれながら「これまでの(下條教授との)対談をふりかえると、潜在意識が周辺環境から多分に影響を受けるとすれば、どこまでが自分の潜在意識と判断すべきなのか。フィギュアでの浅田真央選手の2度の演技も、オリンピックという特殊な舞台だったからこそ、あの滑りになったのではないか」と、環境が潜在意識に及ぼす影響の大きさについて話しました。下條教授は、「心の顕在課程に対して潜在課程はより生理的。人間は外部の価値観をインプットして自分の価値観に転化する。潜在的な価値観は、突き詰めると文化、環境につながってくる」と話し、心と身体と環境が一体であることを強調しました。


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 その後の為末氏による単独のレクチャーでは、オリンピックの話題に続く形で、潜在意識とスポーツの現場での経験を関連づけながら「勝負強さ」をめぐって考察。「"ついやってしまう"という見えない自分とのコンフリクトにどう対処するか、スポーツの世界ではその葛藤が如実に表れる。自分を律してコツコツと努力する人がいる一方で、自分との"取引"ではなく単に"好き"でトレーニングし、勝負に挑む人が勝ったりする。他人の期待値が自分の期待値より下回っている選手は強い。今回のオリンピックでメダルを取った人は、オリンピックを知らなかった人か、オリンピックを知り尽くした人のどちらかではないか」と、話しました。


 セミナー中盤には、下條教授が潜在意識に関する研究のこれまでの取り組みと研究事例を紹介。「海面から見える氷山の一角のように、顕在化された意識はごく一部であり、水面下の巨大な氷のように潜在意識が隠れている」と話し、「潜在的なものの一部が顕在化してはいるが、境目は揺れ動いている。心は統合されていない」と、認知心理学的観点から見た脳機能と心の有りようをスライドで解説。「加えて、心の潜在課程は身体的であると同時に社会的。蓮の花の根っこ同士が池の底でつながっているように、自分と他者は意外とつながっている」と、ニューラルネットワークの考え方やユング心理学の集合的無意識などを紹介しながら、人の感情や行為が文化や環境の影響を多分に受けることの裏付けを多角的に解説しました。


 後半には過去2回の対談を総括する形で、参加者から反響の大きかったリベットの「自由意志」や「直感の後付け再構成」と呼ばれる予感の書き換えなどの話題をまとめながら、潜在意識と勝負強い人との関係について、対話が進みました。為末氏が「いざ本番のときに何かから離れられない人は弱い。夢中な状態では自分がいなくなる。あるべき自分からあきらめたとき、人は強くなるのではないか」と考察すると、下條教授は「fMRIを用いた研究データを見ても、報酬の高さを意識すると難しい課題へのパフォーマンスが下がることが明らかになっている」と事例を紹介しながら、「損失回避傾向が大きくない人ほど、"つぶしがきく"のだろう」と応じました。参加者からの質問時間では、これまで同様に活発に手が挙がり、「目標設定時に気をつけるべきポイントは?」「女子選手の話題に指導者がよく出てくる背景は」「自由意志はそもそもコントロール不可能?」といった多彩な問いが投げられました。


 3回に渡った対談セミナーを終えるにあたり、為末氏は「自身の経験を振り返るなかで、潜在意識という関心にぶつかった。経験を後付けで解釈し、今を幸せに生きるための方法論がまだまだ少ないなか、こうして下條先生の学術的バックグラウンドを得ながら心へのアプローチができてよかった」と感想を述べました。下條教授は「為末さんが関心を持って投げかけてきた心の問いと、研究者が持つ心への関心との間には、まだ広大な前人未到のフィールドがある。勝負強い選手の心理メカニズムや、人の限界は一重底ではなく環境によってさらに超えられるという説も、新たな実験で解明できるかもしれない」と、今後の研究への可能性と期待感を示してセミナーを締めくくりました。


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[開催ポスター]
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[DATA]
▽日時:2014年2月22日(土)
▽場所:稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
第3回 為末大vs.下條信輔 対談セミナー「自分の知らない自分:潜在意識と感情」
13:20 挨拶 吉川左紀子 こころの未来研究センター長
13:30 - 17:00 対談・講演・参加者とのディスカッション:
為末大(元陸上競技選手 株式会社R.project取締役)
下條信輔(米国カリフォルニア工科大学教授・こころの未来研究センター特任教授)
▽参加者数:102名

第18回・第19回身心変容技法研究会を開催しました

 鎌田東二教授が研究代表者を務める身心変容技法研究会では、毎回、多彩な専門領域を持つ発表者を迎えて研究会を開催しています。1月23日(木)には第18回、2月19日(水)には2013年度最終となる第19回研究会がおこなわれました。


○身心変容技法研究会とは
 科研基盤研究A「身心変容技法の比較宗教 学-心と体とモノをつなぐワザの総合的研究」は、多彩な研究メンバーによる最新の研究成果を結びつけ、身体と心との相互的な関わりをワザやモノを媒介として分析することを通して「心の荒廃の時代」を突破する理論と実践を提示するための研究プロジェクトです。


身心変容技法研究会ウェブサイト
http://waza-sophia.la.coocan.jp


第18回身心変容技法研究会/2014年1月23日(於:京都大学稲盛財団記念館2階225会議室)


 第18回身心変容技法研究会は、京都大学人文科学研究所研究員の松嶋健氏と作曲家の山田真由美氏を発表者に迎え、「芸術と身心変容技法第3弾」をテーマに開催されました。松嶋氏は「俳優の身心変容技法~演劇人類学とパフォーマー」というテーマで、世界中の俳優(広義の)の身体技法を比較研究したイタリア人演劇家・バルバの演劇人類学を中心に、俳優の身心変容技法について事例を紹介。演ずることは内的衝動と外的リアクションとのあいだの時間感覚がゼロになることとし、技術の獲得ではなく自らを超え出るものへの抵抗を取り除く「Via Negativa(否定の道)」を提唱したポーランド出身の演出家グロトフスキと、彼と共にイタリアで活動したバルバが追求した方法論を、数多くの資料と共に深い考察で紹介しました。また、松嶋氏自身が参加していたイタリアの地域精神保健プロジェクトの一環でおこなわれた「演劇実験室」での経験も詳細に報告し、発表後は、センター所属の奥井遼研究員による発話を皮切りにディスカッションがおこなわれました。みずから演劇集団を率いた実績を持つ鎌田教授を中心に議論は盛り上がり、宗教学、社会学、舞踊等それぞれの専門家による鋭いコメントが寄せられました。


 続いて、山田真由美氏が「心身変容技法としての音ばね」というテーマで、人間の「心身」と外界の「音」に相関が生じる形としての「音ばね」のアイデアを紹介。様々な「音ばね装置」を研究・開発してきたプロセスをユニークな考察や動画をまじえて解説し、今後の研究プランを含めた展望について話しました。


 研究会の詳細な内容は、身心変容技法研究会ウェブサイト「研究問答」に掲載された鎌田教授の報告記事をご覧ください。こちら

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[DATA]
「第18回身心変容技法研究会」
▽日時:2014年1月23日(木)13時~17時
▽場所:京都大学稲盛財団記念館2階225号室(こころの未来研究センター会議室)
▽共通テーマ「芸術と身心変容技法第3弾」
▽プログラム
発表①「俳優の身心変容技法~演劇人類 学とパフォーマー」松嶋健(京都大学人文科学研究所研究員)
発表②「身心変容技法としての音ばね」山田真由美(作曲家・音ばね研究家)


第19回身心変容技法研究会/2014年2月19日(於:稲盛財団記念館3階大会議室)


 第19回身心変容技法研究会は、「瞑想と催眠のメカニズムの認知神経科学」というテーマで乾敏郎京都大学大学院情報学研究科教授が発表をおこないました。人間の高次の認知機能の実現プロセスを実験と理論の両面から研究する乾教授は、脳科学からみた子どもの心の育ち、予測する脳と「所有感」「主体感」「存在感」それぞれの崩れと統合失調症をはじめとする各種問題との関係、脳の三大ネットワークと催眠、瞑想の相互関係や、瞑想者の持つデフォルトモードと情動、記憶とのコネクションの特徴的な切り替え方法など、脳科学を切り口に瞑想と催眠のメカニズムについて紹介しました。発表後は、齋木潤京都大学大学院人間・環境学研究科教授と永澤哲京都文教大学准教授が、それぞれの研究分野からのコメントをおこない、議論がおこなわれました。

 研究会の詳細な内容は、身心変容技法研究会ウェブサイト「研究問答」に掲載された鎌田教授らの報告記事(リンク先の2/19〜2/23の発言)をご覧ください。こちら

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[DATA]
「第19回身心変容技法研究会」
▽日時:2014年2月19日(水)14時~17時
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
「瞑想と催眠のメカニズムの認知神経科学」発表者:乾敏郎(京都大学大学院情報学研究科教授・認知神経科学)
コメンテーター:齋木潤(京都大学大学院人間・環境学研究科教授・認知科学)、永澤哲(京都文教大学准教授・宗教学・チベット密教瞑想研究)
討議・総合討論:60分、司会:鎌田東二

fMRI体験セミナー2013を開催しました

 2月12日(水)、13日(木)の2日間、「fMRI体験セミナー2013」が、こころの未来研究センター連携MRI研究施設南部総合研究1号館地階MRI実験室にて開催されました。


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 本セミナーは、主に学内の大学院生・学部生・研究員を対象に、現在の脳機能画像研究における主要ツールの一つ「機能的磁気共鳴画像法(fMRI)」による研究を体感してもらうために開催しました。阿部修士准教授、上田祥行助教、中井隆介研究員らが講師を担当し、レクチャーおよび実験指導をおこないました。


 はじめに、MRIの基礎と脳機能画像研究の概要を説明した後、参加者全員がfMRI装置を実際に使った課題をおこないました。実験後は、その場で担当者と共にデータの解析へ。自分の脳のかたちと活動の様子を実際に見て分析に挑戦しました。実験デザインの作成方法等についても担当者が説明をおこない、さらに質疑応答とディスカッションで知識を深めてもらいました。


○参加者の声(アンケートより)


・「基礎的なことが分かったので、入門者としてとても良かった。MRI研究を始めるのを後押ししてくれるセミナーになると思う」(教育D3)
・「実験に参加することができて純粋に面白かったです。人数がほどよく質問しやすくて良かったです」 (文学D3)
・「とてもわかりやすくて良かったです。自分の脳活動が実際に画像で見れて良かったです。感動しました」 (経済・研究員)
・「fMRIに入ったのは初めてでしたが、不安もなく楽しむことができました」 (文学4回生)
・「全く初めてのfMRIについてのセミナーでしたが、イメージがわきました。とても親切に色々と教えて頂き、とても勉強になりました」(医学D1)
・「わかり易く丁寧に答えて頂けてとてもよかったで す。MRIの研究室は冷たいイメージが勝手にありましたが、覆されました」(文学2回生)


[開催ポスター]
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[DATA]
▽日時:2014年2月12日(水)13日(木)両日とも13:00~17:00
▽場所:京都大学南部総合研究1号館地階MRI実験室
▽担当者:阿部修士(こころの未来研究センター・特定准教授)、上田祥行(こころの未来研究センター・特定助教)、中井隆介(こころの未来研究センター・研究員)
▽参加者数:初日・2日目合わせて計12名

第2回 為末大 vs.下條信輔 対談セミナーを開催しました

 第2回 為末大 vs.下條信輔 対談セミナー「心はコントロール可能か:モチベーションの源」が、2014年2月1日(土)、稲盛財団記念館大会議室で開催されました。


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 昨年10月の開催に続いて2回目となった今回は、京大教職員や学生に加えて一般からの参加者も迎え、会場が満杯となりました。前回の「心を奪われること:遊び、夢中、ゾーン」に続き、今回は「心はコントロール可能か:モチベーションの源」というテーマが設けられ、はじめに挨拶に立った吉川左紀子センター長は「第1回から3回まで、それぞれのテーマは心理学の王道となるべき重要なテーマです。為末さんと下條先生と会場の皆さんで、存分に語り合ってもらいたい」と話しました。


 最初に為末氏が演壇に立ち、モチベーションと自身の心のコントロール法について、話しました。現役時代から心とモチベーションを管理する難しさを感じてきた為末氏は「自分の心の状況を常に離れたところから観察してきた」といい、「他者の目で心を観察することがモチベーションをコントロールする一歩ではないか」と考察。メダルを取った後のスランプや周囲の期待に苦しんだ時期を乗り越えたときのエピソードを振り返りつつ、モチベーションコントロール法として、「夢中になれないときにも意志の量をマネジメントする必要があること」、「モチベーションを保つために短期の目標と長期の目標を準備すること」、「やる気が出るような『環境』を用意すること」、「目標というゴールを定めても、そこまでの過程はできるだけ自由に選んでいくこと」など、経験と独自の思想に基づいた方法論を紹介し、「下條先生による心理学的な視点でのお話が聞きたい」とバトンを渡しました。


 『サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ』 (中公新書)、『サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代』(ちくま新書) などの著書のある下條教授は、冒頭で「心理学や神経科学に対して、為末さんは自分の経験から切実な問いを投げかけている」と評価し、自身の研究で大きく取り上げている「自分のなかのもうひとりの他人、あるいはもうひとりの私=潜在的自己」というテーマに対する数々の研究事例を紹介しました。人の動機付けに関する欲求には階層分けがあり葛藤が生じることや、情動と報酬に関わる神経活動と新型うつや無気力の人が抱える問題や特徴を挙げて、自己コントロールとモチベーションに関する神経科学の現状を紹介しました。下條教授は「前回に話したフローや夢中になることと関連するが、やる気や無気力は体、環境、社会からの刺激それぞれが心のプラスループ、マイナスループに関わっている。心の状態をダイナミックなループとして捉えるべき。体と脳と環境のポジティブなループのなかで『好き』という気持ちやモチベーションが紡ぎ出され、創造的な行動へとつながる」と考察しました。


 二人の対話は、ベンジャミン・リベットの「自由意志」や環境や他者とやる気の因果関係、集団を扱う心理実験と個人差の難しさ、経験からの応用可能性と人間の記憶の後付けと誤記憶など、様々な話題に及びました。最後におこなわれた参加者をまじえてのディスカッションでは、質問者が続出。「心は意志なのか欲求なのか、それとも両者なのか?」「順位と記録、それぞれに対するモチベーションの違いは?」「モチベーションが暴走したときの押さえ込み方は?」といった様々な問いが為末氏、下條教授それぞれに投げかけられました。最後に為末氏は「心に対し、無理矢理に手を突っ込むのではなく、モチベーションを保つ仕組みを用意し、環境によって心をコントロールすることは重要。また、オリンピックで記録が多発するように、他者の存在が人間のやる気や能力を高める創発効果は必ずある。インターネットで情報共有はできるが、こうして同じ場でテーマを共有することで得られることは大きい」と、今回の対談を締めくくりました。


 セミナーのシリーズを締めくくる第3回「自分の知らない自分:潜在意識と感情」は、2月22日に開催されます。(※参加申込は定員に達したため締め切りました)


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[開催ポスター]
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[DATA]
▽日時:2014年2月1日(土)
▽場所:稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
第2回 為末大vs.下條信輔 対談セミナー「心はコントロール可能か:モチベーションの源」
13:20 挨拶 吉川左紀子 こころの未来研究センター長
13:30 - 14:10 講演 「心を奪われること:遊び、夢中、ゾーン」:為末 大(元陸上競技選手 株式会社R.project取締役)
14:10 - 15:40 対談 為末大・下條信輔(米国カリフォルニア工科大学教授・こころの未来研究センター特任教授)
15:40 - 16:00 休 憩
16:00 - 17:00 参加者とのディスカッション
▽参加者数:120名