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アーサー・ザイエンス博士(Mind and Life Institute, USA)の講演会が開催されました

130125Zajonc_zentai.png 2013年1月25日、Mind and Life Institute, USAの代表であるアーサー・ザイエンス博士(Dr. Arthur Zajonc)の講演会が、稲盛財団記念館中会議室で開催されました。熊谷誠慈こころの未来研究センター特任准教授と安田章紀研究員による報告文を掲載します。
▽日時:2013年1月25日(金) 16:30~18:00
▽会場:稲盛財団記念館3階中会議室
▽講演タイトル:”The Mind & Life Institute: Twenty-five years of Interdisciplinary Dialogue and Research on the Nature of Mind, Consciousness and Reality”(Dr. Arthur Zajonc)
▽参加者数:26名
▽Abstract:
Since its first interdisciplinary dialogue in 1987 with the Dalai Lama, the Mind & life Institute has brought together leading neuroscientists, psychologists, physicists, philosophers, ontemplative scholars and practitioners of meditation to consider the nature of the mind,consciousness and reality with the ideal of relieving suffering and promoting human flourishing. Through intensive interdisciplinary dialogues, large conferences, research awards, book publication and an annual summer research institute, the Mind & Life Institute has succeeded in catalyzinghundreds of research projects globally, especially in the emerging area of contemplative neuroscience. DrZajoncTalk.pngBuilding on its 25 years of success, the Mind & Life Institute is beginning a new phase in its development under the leadership of its new President Arthur Zajonc PhD. who for 30 years workedand published at the intersection of physics, philosophy and contemplative studies. Dr. Zajonc will describe the work of the Mind & Life Institute, especially drawing on his own interdisciplinary research in the experimental foundations of quantum physics, and the work of Mind and Life colleaguesconcerning the neuroscience of meditation and the phenomenology of mind/consciousness. www.mindandlife.org
開催ポスター:画像をクリックするとPDFファイルが開きます→
■”The Mind & Life Institute: Twenty-five years of Interdisciplinary Dialogue and Research on the Nature of Mind, Consciousness and Reality”
Zajonc.png 今回ご講演を頂いたアーサー・ザイエンス博士は、量子物理学、量子工学がご専門でありながら、人文諸科学のほか、瞑想の理論と実践にまで通暁している稀有な研究者です。同博士にはまた、チベット仏教の最高指導者ダライラマ14世をはじめとする有志が、科学と宗教との対話をテーマに、今から25年前に立ち上げた、Mind and Life Institute (MLI)の現代表でもあります。本講演では、MLI設立の経緯や、設立から現在に至るまで行われてきた、心の本質や意識などに関する学際的な取り組みの推移について、ご紹介頂きました。
 MLIは、1987年、ダライラマ法王と心理学者のフランシスコ・ヴァレラ、そして実業家のアダム・エングルの3人によって設立されました。以後2002年までは、非公式の形で、Mind and Life Dialogueが毎年開催され、そこで、ダライラマ法王をはじめとする宗教家と、各分野の世界的な研究者たちが議論を闘わせてきました。ついで翌年、初めて公開の形式で、同DialogueがMassachusetts Institute of Technology (MIT)において開催され、それ以降、年一度の恒例行事として定着しています。
130125yoshikawa.png MLIが焦点を当てているのは、瞑想の実践およびその科学的研究です。ウィスコンシン大学などで瞑想がもたらす効能について科学的研究を実施したほか、大学院生やポスト・ドクターなど若手研究者を集めて、夏季研究会を開催し、後学の育成にも力を入れているそうです。会期中には、100人を超える若手研究者が集い、瞑想の実践を行うと同時に、各自の研究内容を互いに紹介し討議しています。これは、研究者の「こころ」の教育と、幅広い学術交流を並行して行っている貴重な取り組みであろうと思われます。ザイエンス博士はこうした理念は、こころの未来研究センターのそれとも多くの部分で一致していると述べておられました。
130125kumagai.png さらに近年、MLIは世界的展開を進めています。本部はアメリカ合衆国にありますが、昨年(2012年)にはMLI Europeがスイスのチューリヒに誕生、欧米の2大拠点が成立しました。今後は、MLI Asiaの設立を進める予定とのことで、京都はその有力な候補地の1つとなっているようです。京都は多数の大学を擁する現代都市であるのみならず、由緒ある神社仏閣や、日本古来の伝統文化を色濃く保存しているので、科学と宗教との実りある対話にうってつけの場所であろうと思われます。
 なお、講演の終りには、数分間の瞑想を体験しました。聴衆はザイエンス博士の言われるままに目を閉じ、数回鳴らされた鐘の音の余韻に浸りながら、心を徐々に鎮めていきました。熱気と好奇心に沸いていた会場が時の経過とともに、緊張のほぐれた静かな空間に様変わりし、瞑想の一面を実体験する貴重な機会となりました。
(報告:熊谷誠慈 こころの未来研究センター特任准教授・仏教学・チベット学、安田章紀研究員・インド・チベット密教)

2013/02/06

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