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【教員提案型連携研究プロジェクト】治療者・社会・病に関する意識調査 (『きずな形成』領域)

研究代表者
カール・ベッカー 京都大学こころの未来研究センター 教授
共同研究員
駒田安紀 京都大学人間・環境学研究科 大学院生
伊藤和真 京都大学人間・環境学研究科   大学院生
赤塚京子 京都大学人間・環境学研究科   大学院生
泉谷泰行 京都大学こころの未来研究センター  研修員
Peter Skrivanic 京都大学こころの未来研究センター  外国人研究員
                                    (教員提案型)
わが国では、多くの医学的な研究により、治療法も確立されてきているが、それでも治癒の困難な慢性疾患は多く存在する。本研究では、そのような病の中でも特に死亡原因の多くを占めるがんと、近年問題となっているアトピー性皮膚炎、さらには不妊治療で悩む患者などと、その医療者の意識を中心にインタビュー調査を行う。
がん治療においては近年、補完・代替医療の利用が進んでおり、特に鍼灸の利用が日本のみならず欧米においても注目されている。ここではまず、鍼灸治療を受けるがん患者と鍼灸師のコミュニケーションを中心とした関連性とそのときに生じる意識を調査する。特に鍼灸治療時のコミュニケーションの特徴である「身体接触」による患者と鍼灸師の肉体的・精神的相互影響が明らかになると予想される。さらに鍼灸を利用する患者とがん患者を治療する鍼灸師の主観的世界についても探る。これらの所見や考察は看護分野や介護分野への応用が期待できる。
また、アトピー性皮膚炎や不妊に関しては「アトピーや不妊は特に現代病である」という言説や、一方で病者責任論的なイデオロギーが見られる。患者が自らの病気観・病因論を構築する上で、社会的な言説やイデオロギーの影響を、新聞記事の検索から言説を明らかにした上で、インタビュー調査から患者の意識を考察する。患者が「現代病」言説と病者責任論的なイデオロギーのはざまに立たされていることが描き出せると予想している。
いずれの疾患においても、「治癒する」ことが確実に保証されているわけではない。目下、様々な医学的取り組みが行われているところである。そういった病において、患者の意識を描き出すことは今後の医療者―患者関係を再考し、患者教育の在り方を検討する上でとても示唆的であると考える。

2012/06/04

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