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「身心変容技法の比較宗教学」国際シンポジウムを開催しました

1309shinshinposter.png 9月24日-26日の3日間、「身心変容技法の比較宗教学」国際シンポジウムを稲盛財団記念館3階大会議室にて開催しました。今回は、中国から国際的に著名な健身気功専門家であり、中医学、養生学専門家、峨眉丹医養生学十四代伝人、中医新九針療法学術継承人として世界で活躍する張明亮老師(通訳:山元啓子氏)をお招きし、連日に渡り講演ならびに実修指導を行っていただきました。全日程の司会進行は研究代表者の鎌田東二教授が務め、参加者数はのべ310名という大変盛況なイベントとなりました。
 初日、24日は研究者を対象とした「第14回身心変容技法研究会」が行われました。同研究会は、毎回、国内外における様々な「身心変容技法」について、研究者、専門家が各自の研究成果をもとに分析・考察・議論し、参加研究者との討論を加えてより融合的・総合的な研究成果へと展開させています。今回は、張明亮老師が「中国峨眉丹道医薬養生学派派の身心変容技法研究」について2時間に渡りレクチャー。峨眉丹道医薬養生学の成立・内容・伝承までを「峨眉山について」「丹道について」「医薬について」「養生学について」「峨眉丹道医薬養生学派」という構成で、明晰かつ体系的に説明されました。質疑応答と討論の時間には、永沢哲京都文京大学准教授、濱野清志京都文教大学教授らによる質問を中心に活発なディスカッションが繰り広げられました。当日の詳細なレポートは、鎌田教授が身心変容技法研究会HP「研究問答」で公開しています。ぜひご覧ください。第14回身心変容技法研究会レポートはこちら
 2日目の25日は、一般参加者を対象とした国際シンポジウムが開催されました。全国よりお越しになった175名の参加者で稲盛財団記念館の大会議室が埋まり、はじめから終わりまで大変な熱気に包まれました。冒頭、配布された「国際シンポジウム挨拶文」にもとづき、鎌田教授がシンポジウムの企画趣旨・背景・経緯・開催目的などを説明。続いて、張明亮老師の表演がありました。静寂のなか、深い集中状態でゆっくりと表演を始めた老師。鳴り始めた音楽と共に見せた身体の動きと発する「気」で会場は独特の高揚感と心地よい緊張感に包まれ、参加者は食い入るように見入っていました。基調講演は、前日の発表内容をベースに、気功とは何か、日々、気功を実践するうえで大切にしなければならないという基本的な考え方を大変分かりやすく参加者に示してくださいました。例えば武術との違いを説明しながら、気功とは「外から見える形を目的としない、自分自身の心と体の鍛錬法」であり、「心と体をコント―ロールすることのできる能力を養うための手段」あるいは「自分自身の気血を調節する能力を作ること」など。他にも、養生学における「反俗」の側面を説き、「順は凡、逆は仙」という丹道の中庸について紹介があったほか、全員で気のめぐりを高める気功方法を実践する時間も持ち、参加者全員が老師の指導のもと身体を動かしました。
 続いて、指定討論者とのディスカッションの時間が設けられました。濱野清志京都文教大学教授は、気功の中で他者性と向かい合うことのありよう」について、倉島哲関西学院大学准教授からは、太極拳の大衆化を例に挙げながら気功の大衆化とスポーツ化について、アルタンジョラーワザ学共同研究員からは、気功修行における信仰と伝承のありようについての問いかけがありました。国際シンポジウムのより詳細な報告は、鎌田東二教授のレポートをぜひご覧ください。国際シンポジウムレポートはこちら
 3日目の26日は、一般の参加申込者を対象とした峨眉丹道医薬養生学派気功実修が行われました。張明亮老師による実践的な内容をふまえたレクチャーと実修を受講できるとあって全国から申し込みがあり、当日は100名の参加者にお越しいただきました。日々、気功を実践する人、気功の指導者、学術的に気功を学ぶ人など、様々なタイプの方による参加があったようです。午前中に鎌田教授に案内され東山の大山祇神社と白幽子跡を参拝・見学した張明亮老師は、3日目の疲れも全く見えない元気な様子で、訪問の印象を話しました。禅修行が過ぎて難病となった白隠禅師が、白幽子より「内観法」を伝授された意味とはたらきを述べると共に、これから取り上げる功法「峨眉五臓小煉形」の中でも「肺臓小煉形」との関係について指摘されました。続いて、実修指導がおこなわれ、肺の気血のめぐりをよくし、肺を強靭にしていく功法として、歌=咒の方法を教示し、参加者は席から立って指導を受けながら様々な実践方法を学びました。鎌田東二教授による老師との東山訪問レポートおよび実修の報告もぜひ合わせてお読みください。気功実修レポートはこちら
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◎張明亮老師プロフィール
(中国峨眉丹道医薬養生学派第十四代伝人) 1970年山西省生まれ。国際的に著名な健身気功専門家、中医学、養生学専門家、峨眉丹医養生学十四代伝人、中医新九針療法学術継承人。幼少の頃、峨眉気功の四人の老師に見出され、気功・鍼灸・推拿・医薬・養生などの英才教育を施される。峨眉丹道医薬養生学派第十四代伝人として全伝を受け継ぐ。中国国家体育総局で制定された四大功法の編纂に主導的役割を果たす。現在の中国気功界で最も注目されているホープ。2008年北京オリンピック聖火ランナー、スイス丹道中医学院院長、フランス丹道中医学院院長。著書『五臓の音符――中医五臓導引術』『健身気功への道』など多数。中国国家体育総局より「創編健身気功貢献賞」「健身気功普及優秀者賞」受賞、武漢市人民政府より「科学技術進歩賞」受賞、また「common welfare O’Brien Award」賞受賞。
[DATA]
科研:「身心変容技法の比較宗教学」国際シンポジウム 2013年9月24日~26日
◇第14回身心変容技法研究会(研究者対象)
▽日時:2013年9月24日(火)13時~17時30分 (受付開始:12時30分~)
▽講義:張明亮老師「中国峨眉丹道医薬養生学派派の身心変容技法研究について」13時~15時
▽休憩:15時~15時20分
▽峨眉派気功実技指導15時20分~16時20分
▽総合討論 16時20分~17時30分
▽通訳:山元啓子 司会:鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター教授・宗教哲学・民俗学)
▽参加者数:35名
◇国際シンポジウム(一般公開)
▽日時:9月25日(水)13時~17時30分(受付開始:12時30分~)
▽企画趣旨説明:鎌田東二(科研「身心変容技法の比較宗教学」研究代表者)13時~15時10分
▽基調講演:張明亮老師(峨眉丹道医薬養生学派第十四代伝人・中医師・北京黄亭中医薬研究院院長・山西大学体育学院客員教授・中国国家体育総局健身気功協会常任委員)13時10分~15時 テーマ「峨眉丹道医薬養生学派の気功と武道における身心変容技法研究」通訳:山元啓子
▽休憩:15時~15時20分
▽指定討論者:濱野清志(京都文教大学教授・臨床心理学・気功家)、倉島哲(関西学院大学准教授:身体論・中国拳法)、アルタンジョラー(京都大学こころの未来研究センターワザ学共同研究員・文化人類学、モンゴルシャーマニズム研究)
▽総合討論:16時30分~17時30分 司会:鎌田東二
▽参加者数:175名
◇峨眉丹道医薬養生学派気功実修(一般公開)
▽日時:2013年9月26日(木)13時~17時30分(受付開始:12時30分~)
▽実技指導:張明亮老師 通訳:山元啓子
▽司会:奥井遼(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定研究員・臨床教育学)・鎌田東二
▽参加者数:100名
※いずれも場所は、京都大学稲盛財団記念館3階大会議室、主催:京都大学こころの未来研究センター:科研(基盤研究A)「身心変容技法の比較宗教学」

2013/10/07

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