PJ-4 幸福感の総合研究

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プロジェクト4 臨床心理学領域

ポスト成長時代のこころの問題と変容

研究代表者

畑中 千紘  上廣倫理財団寄付研究部門 特定講師

概要

 経済成長時代を経て、ある程度物質的な満足を手に入れることができるようになった1980年代頃、これからは「こころの時代」という言い方が盛んになされていた。しかしながら、21世紀を迎えて十余年が経った現在もなお、我々はこころや生き方についての新たな問題に常に取り組み続けている。2000年以降に発達障害が社会問題となり、今なお大きな課題となっているが、発達障害という問題は特殊な一部の人々が抱える問題なのではない。社会全体が右肩上がりの成長時代を経て、階段を上がるようなわかりやすい前進に代わる発展・成熟のあり方を模索し始めたこととも関係が深いといえるだろう。
 その時々の社会が抱える課題と個人のもつ問題は不可分につながっていると考えられるが、本プロジェクトは臨床心理学的な視点から時代に応じたこころの問題の理解とそれへのアプローチについて模索するものである。心理療法はこのような時代に応じて変わるこころの問題に対応すると同時に、こころの普遍的な層とのつながりを回復するような場ともなりうる。それは個別の臨床的援助であると同時に、ポスト成長時代の社会が抱える課題への取り組み方のヒントを教えてくれるものでもある。このプロジェクトでは、上記のような発想に基づき、こころの表層と深層、個別と普遍など幅広い視野から臨床心理学的に現代のこころについて考えていこうとするものである。

研究プロジェクト

A.こころの非定型化現象についての臨床心理学的研究

 近年、発達障害の事例でもいわゆる「グレーゾーン」と言われるような中間的な事例が増加してきている。発達障害に限らず、近年では社会の自由度が高くなり、「標準」や「理想」のモデルが共有されにくくなってきている。文部科学省や厚生労働省が発表している身体や運動能力の時代比較のデータにも、この20年の間に特定の年齢に相応する標準ラインが曖昧になってきていることが明らかに示されている。本プロジェクトは、こうした「こころの非定型化現象」に注目し、現代のこころの特性を捉えるとともに、そのなかで人のこころが示す可能性についても理解を深めていこうとするものである。

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B.こころの古層と現代の意識

 心理療法においては、時代に応じて変化していくこころの可塑的な側面と同時に、時間を経ても変わらない普遍的なこころの働きが感じられることがある。社会の変化、文化の違い、思わぬ災害やハプニングなど、外的な状況によって現実的には変化を迫られたとしても、人が自らを保っていられるのはそうしたこころの古い基盤が支えとなっているからではなかろうか。本プロジェクトではこのような発想から「こころの古層」を現代の意識との関係から描き出そうとするものである。

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