2012年度以前の講演・公開講義など アーカイブ

京都幸福会議2013に吉川センター長と内田准教授が参加しました

ZBvumtqQa7Hl_vhvIBfndbJlHLZIfsppz5A6SazzKyk.jpeg 2012年より国連決議によって3月20日が「国際幸福デー」となりました。こころの未来研究センターでは、昨年、日本で初めてブータン仏教やブータンの思想哲学を研究する「ブータン学研究室」を設置。現在も、様々な分野での研究活動を通して、人の幸福につながるこころの研究を続けています。

 2013年3月20日、「京都幸福会議2013」(主催:京都市、京都経済同友会 共催:こころの未来研究センターほか)が立命館大学朱雀キャンパスで開催され、吉川左紀子センター長と内田由紀子准教授が参加しました。

 吉川センター長は、プログラム最初の特別鼎談に、カルマ・ウラ王立ブータン研究所長、島薗進東京大学大学院人文社会系研究科教授と登壇し、コーディネーターを務めました。

 カルマ・ウラ所長は、ブータンのGHNの政策について、その考え方や掲げる目標について様々なデータをもとに紹介。「多くの人は所得や生活環境など外部的条件が満たされることが幸せだと考えるが、実は内面的な条件を満たすことが重要」と話し、ブータン人の幸福度が高い背景に、仏教精神と祈りの浸透、ゆったりとした日常の過ごし方、周囲とのつながりがあることを強調しました。島薗教授は、「東日本大震災を機に、今までの文明至上主義を考え直す必要があることを痛感した。今、ブータンを学ぶことはタイムリー」と話し、ブータン人の死生観について質問。カルマ・ウラ氏は、「ブータン人は死を受け入れ、死について熟考している。よく死ぬことがよく生きることだと身をもって感じている。仏教思想の無常を受け入れた上で、日々を悔いなきよう過ごそうとし、それが幸福感へとつながっている」と話しました。

 吉川センター長は、鼎談の結びにあたり、「ブータンは子どもから大人まで、自分だけではなく他人や生きとし生けるものすべてに対し祈る習慣がある。日本とブータンは、共通する部分がある一方、精神の奥底で異なるところもある。それぞれを知ることが、これからの日本のあり方や幸せについて、さらに考える機会になるのでは」と話しました。

ntlK-58j5gvXs-XvgddjHizHpN3RkJuKDMlEGRtf83c%2CYxEVfre5DBh3vDusbYFhekETUIBCvYvXOpmOIsvFGmc.jpeg その後、赤松徹眞 龍谷大学学長、門川大作京都市長、山田啓二京都府知事、田辺親男京都経済同友会代表幹事らによるパネルディスカッションに続いて、研究者や京都経済同友会の会員を対象に「特別セッション」が行なわれ、内田准教授が、西村周三国立社会保障・人口問題研究所所長、山崎亮京都造形芸術大学教授、岡村充泰ウエダ本社代表取締役社長、袖川芳之京都クオリア研究所研究員らと共に登壇しました。

 「成熟国家における新たな幸福への挑戦」というテーマで、内田准教授は話題提供者として、自身が研究を行なった「東日本大震災と幸福感」の調査データ等を提示し、若者の価値観や震災後の幸福感の変化、日米の幸福感に対する考え方の違いを示しました。登壇者それぞれの立場から展開される多様な幸福感についての意見で討論が白熱するなか、内田准教授は、「今、問われているのは、個人の幸福だけではなく、周囲の人を幸せにしようという幸せの求め方の転換。家族や社員を幸せにできているか、あるいは幸せであるか確認だけでもできているか、そんな意識の変化が今後の社会における鍵になるのでは」と、話しました。議長の西村氏が「世代差や地域差など、個々が持つ幸福の定義や感じ方は異なるが、こうして"幸福"とは何か、という対話を重ねることが重要ではないか」と総括し、セッションは盛況のまま終了しました。


130320kyoto_happiness.png「京都幸福会議2013 ~幸せの国ブータンから,これからの幸せの在り方を学ぶ~」
▽開催日時:2013年3月20日(祝)
▽開催場所:立命館大学朱雀キャンパス5階ホール
▽主催:京都市,京都府,京都経済同友会 共催:大学コンソーシアム京都,京都大学こころの未来研究センター,同志社大学,立命館大学,京都産業大学,龍谷大学,京都学園大学 後援:内閣府,経済社会総合研究所,京都商工会議所,京都経営者協会,京都工業会,在大阪ブータン王国名誉領事館
▽プログラム
特別鼎談「ブータンのGNHからこれからの幸福の在り方を考える」(同時通訳/午後1時から午後2時5分まで)
カルマ・ウラ(王立ブータン研究所所長)、島薗 進(東京大学大学院人文社会系研究科教授)、吉川 左紀子(京都大学こころの未来研究センター長)
▽セッション「幸福が実感できる京都づくりをすすめるためには」(午後2時15分から午後3時40分まで)
議長:赤松 徹眞(龍谷大学学長)、門川 大作(京都市長)、山田 啓二(京都府知事)、田辺 親男(京都経済同友会代表幹事)
▽特別セッション「成熟国家における新たな幸福への挑戦」
議長:西村 周三(国立社会保障・人口問題研究所所長)、内田 由紀子(京都大学こころの未来研究センター准教授)、山崎 亮(京都造形芸術大学教授)、岡村 充泰(ウエダ本社代表取締役社長)、袖川 芳之(京都クオリア研究所研究員)


〜追記(2013.4.8)〜

京都幸福会議の模様がテレビ放映されました。

KBS京都 4月7日(日)22:00〜22:30
京都幸福会議2013 「幸福を実感できる京都づくりをめざして」


□関連ページ

「京都幸福会議2013の開催について」(京都市ホームページ)

「『社会貢献で幸福に』京でブータンに学ぶ会議」(京都新聞)

幸せの国ブータンから学ぶ「国際幸福デー」京都(MSN産経ニュース)

こころの未来研究センター連携MRI研究施設開設記念シンポジウム「脳科学の地平を拓く -こころと社会につながる新たな知-」が開催されました

 2013年2月16日、連携MRI研究施設開設記念シンポジウム「脳科学の地平を拓く -こころと社会につながる新たな知-」が、稲盛財団記念館大会議室で開催されました。


MRsympo-1.png▽開催日時:2013年2月16日(土)13:00~17:40
▽開催場所:京都大学稲盛財団記念館3F大会議室
▽対象:研究者、学生
▽参加者数:74名
▽プログラム:
・13:00 - 13:10 開会挨拶 吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター)
・13:10 - 13:20 来賓挨拶 澤川和宏(文部科学省研究振興局学術機関課長)代読 小坂井克也(文部科学省研究振興局学術機関課課長補佐)
・13:20 - 13:30 来賓挨拶 井村裕夫(元京都大学総長・財団法人先端医療振興財団理事長)
・13:30 - 14:10 定藤規弘(自然科学研究機構生理学研究所)「領域架橋共同研究に於けるMRIの役割 -社会神経科学を例に-」
・14:10 - 14:50 坂井克之(東京大学大学院医学系研究科)「ヒト前頭前野と認知制御」
・14:50 - 15:30 本田学(国立精神・神経医療研究センター神経研究所)「感性的質感認知へのイメージングからのアプローチ」
・15:30 - 15:50 休憩 Coffee Break
・15:50 - 16:30 Joan Chiao(Northwestern University, U.S.A.)" Cultural neuroscience: Mapping cultural and genetic diversity in the developing brain"
・16:30 - 17:10 Julie Grèzes(Ecole Normale Supérieure, France)" The interplay between the limbic and the cortical motor systems"
・17:10 - 17:50 Shihui Han(Peking University, China)" How do we understand and share others' pain? The effect of social group relationships"


■ 複雑で多様な人のこころを解明するために。開かれた共同研究施設として新たな一歩へ


130216fMRI1.png こころの未来研究センター連携MRI研究施設は、2012年4月、南部総合研究1号館に設置されました。fMRI装置(機能的磁気共鳴画像装置)を用いた脳科学研究が本格的に始まり、すでに8つの研究プロジェクトが生まれ、センター内外の研究者らが連携して研究を進めています。


 シンポジウムの開催にあたり、吉川左紀子 こころの未来研究センター長は、挨拶のなかでこのように連携MRI研究施設について紹介しています。
 「本施設は、日本学術振興会の最先端研究基盤事業に採択された『こころの先端研究のための連携拠点構築事業(WISH)』の一環として導入されたMRI装置を中心とする研究施設です。こころの未来研究センターのような人文社会系の部局にMRIという大型の先端研究設備が整備されたことは、こころの科学研究の推進にとって画期的な出来事です。設置にあたり、情報学研究科の水原啓暁先生、自然科学研究機構生理学研究所の定藤規弘先生、ATR脳活動イメージングセンタの正木信夫先生をはじめ多くの方のお力により無事に設置されました。この場をお借りして先生方のお力添えとご努力に感謝します。」


 また、2007年4月に設立した当時のセンターを振り返りながら、「開設当初、こころの未来研究センターは、例えていえば更地の上に小さな家を建てたような研究組織でした。6年後、こうした最新の実験設備が整備され、国内外で先端研究を推進されている中堅、若手の研究者の方々をお招きして記念シンポジウムを開催できることを本当に嬉しく思います。さらに先日、WISH事業に参画する東京大学、北海道大学にもfMRI装置が整備されることが決まりました。本日、会場に来られている岡ノ谷一夫先生は、東京大学におけるWISHの中心メンバーです。こころの先端研究を推進する、それぞれに異なる個性を持った国内外の研究組織を結ぶこと、そしてまさに絆を生み出すこころの仕組み、絆が作り出す人間社会のあるべき姿を複数の大学の研究者が共同して研究すること、文部科学省の支援を受けながら、新しい研究の仕組みが一歩一歩作られつつあることを実感しています」と、話しました。


 挨拶の結びには、「人のこころのように、複雑で多様で謎に満ちた働きを科学的に解明するには、様々な役割を担う複数の組織からなるネットワークの共同作業が不可欠です。それはまさに人間の脳の仕組みと同じではないか、と考えます。こころの未来研究センターは、こうした大きな事業の一翼を担い、今後、この連携MRI研究施設から多くの研究成果を発信していきたいと考えています。会場に来られている皆様も、こころの未来研究センター連携MRI研究施設を、どうぞご自身の研究にご活用ください」と、連携MRI研究施設の重要性と、今後の展望を話しました。


P2163600.JPG 来賓のご挨拶として、澤川和宏 文部科学省研究振興局学術機関課長に代わり小坂井克也課長補佐より、次のようなご祝辞をいただきました。
 「21世紀を迎えた現代社会では、心の働きの不調から生まれる様々な問題に直面しています。こころの働きの科学的解明には、認知科学や社会諸科学との連携、さらには脳科学との共同研究の場が不可欠であると考えられています。こころの未来研究センターでは、こころと密接なつながりを持つ脳のデータを科学的に解析するために研究施設内にfMRI装置を導入され、心理学者や脳科学者などに開かれた学際的な共同研究施設として運用されており、人文科学と神経科学の融合による人の社会性に関する研究の発展に大きく貢献しておられます。さらに平成24年度補正予算により、北海道大学および東京大学にfMRI装置が導入されることにより、大規模集団実験と複数fMRI装置を連携した新たな研究の展開が期待されています。文部科学省としても、こころの未来研究センターが国内外の研究者コミュニティに開かれた研究拠点として、研究成果を広く社会に還元することで、こころについての科学的知識の普及を図るとともに、顕在化しているこころの問題の本質的解決へ向けた人材育成にも大きく貢献されることを期待しています。」


 続いて、井村裕夫 元京都大学総長・財団法人先端医療振興財団理事長からは、次のようなご挨拶をいただきました。
 「脳とこころの研究は、21世紀の生命科学に残された最大のフロンティアであるといえます。しかし脳は、その構造の複雑さのゆえに、また、現時点では少なくともこころは最終的に主観的にしか分からないゆえに、アプローチがきわめて困難な分野であります。それゆえにこそ、ゲノム科学、生化学、生理学、臨床医学、心理学をはじめとした様々な手法が研究に用いられています。MRI、特にfMRIが極めて有力な研究手技であるということは言うまでもなく、この度のセンター連携MRI研究施設の完成により、京都大学を中心とした脳とこころの研究が、新しい飛躍の足場を作ることができたのではないか、と思います。本日のシンポジウムでは、こころと社会の関係についての最近の研究が、脳科学の視点から議論されるものと考えております。第一線の研究者の方々から新しい知見を聴くことは大変愉しいことです。そういう意味で、私も愉しみにしてこの会にやって参りました。皆様も、このシンポジウムをおおいに楽しんでいただきたいと思っています。」


 その後、神経科学の第一線で活躍する6名の研究者らが登壇し、特別講演を行なっていただきました。定藤規弘先生(自然科学研究機構生理学研究所)、坂井克之先生(東京大学大学院医学系研究科)、本田学先生(国立精神・神経医療研究センター神経研究所)、Dr. Joan Chiao(Northwestern University, U.S.A)、Dr. Julie Grèzes(Ecole Normale Supérieure, France)、Dr. Shihui Han(Peking University, China)が、それぞれ最新の研究成果と活動内容を紹介しました。シンポジウム会場には、ポスター掲示も同時に行なわれ、休憩時間にはこれらを眺めながらの活発な会話と交流が見られ、盛況のままシンポジウムは終了しました。


 当日のプログラムと特別講演のアブストラクトは、こちらよりダウンロードしてご覧いただけます。


▽登壇者とシンポジウム風景
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内田准教授が「第8回企業向け人権啓発講座(中小企業庁委託事業・京都市主催)」で講演しました

 2012年11月27日、こころの未来研究センター 内田由紀子准教授が「平成24年度第8回企業向け人権啓発講座(中小企業庁委託事業/京都市主催、こころの未来研究センター後援) 」で講演しました。京都市内に事業所を持つ企業等の経営者層、総務・人事責任者、人権研修推進者が主な参加者で、第1部は「日本社会における企業文化とメンタルヘルス ~グローバル化時代の価値観の揺らぎ検証~」という演題で講演、第2部には参加者とのディスカッションが行なわれました。


121127uchida_kyotoshi.png▽日時:2012年11月27日(火)14:30〜16:30
▽会場:ウィングス京都 セミナー室(2階)
▽対象者: 京都市内に事業所を持つ企業等の経営者層,総務・人事責任者,人権研修推進者等
▽主催:京都市
▽講演:京都大学こころの未来研究センター
▽プログラム:
第1部 講演「日本社会における企業文化とメンタルヘルス ~グローバル化時代の価値観の揺らぎ検証~」(京都大学こころの未来研究センター准教授 内田由紀子)
第2部 講師とのディスカッション
開催案内ポスター:右画像をクリックするとPDFが開きます→


 第1部の講演では、内田准教授が専門とする社会心理学の比較文化研究の見地から、グローバル化を目指す社会変化の中で、企業が欧米の個人主義や成果主義の表層的形式のみを導入したことによる職場の人間関係のひずみや,そこから生じているメンタル面での問題などについてレクチャーしました。さらに企業における若手社員の育成について、ひきこもりやニートについての研究や大学生のジョブサポートを行ってきた経験をもとに、研究成果や得られた知見を紹介しました。

 第2部では、参加した企業の総務・人事担当者や経営者層、人権研修推進者らが内田准教授と共にディスカッションを行なう形式で、人事評価や若手社員に対する企業の考え方,人材育成などについて語り合いました。参加者自身が日頃感じている課題について話し合い、講師と共に考える、有意義で活発な時間となりました。

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ジェニファー・クロッカー博士(オハイオ州立大学教授)の講演会を開催しました

PB012369.JPG11月1日、オハイオ州立大学のジェニファー・クロッカー博士(Jeniffer Crocker/ Professor and Ohio Eminent Scholar, Ohio State University)の講演会 "The Constructed Self: The Costly Pursuit of Self-Esteem and Other's Regard"を稲盛財団記念館大会議室で開催しました。クロッカー博士は、自尊心、自己価値、目標達成動機などの研究で知られています。


▽開催日時:2012年11月1日(木)16:30 -18:00
▽開催場所:京都大学稲盛財団記念館3F大会議室
▽講師:ジェニファー・クロッカー(オハイオ州立大学教授)
▽司会進行:内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター准教授)
▽講演要旨:
People use both intrapersonal and interpersonal strategies to construct a sense of self-worth. Intrapersonally, people attempt to succeed in areas where self-worth is contingent. Interpersonally, they attempt to demonstrate their positive qualities to others so others to have a positive image of them. I will present research suggesting that these strategies may lead to short-term boosts but have long-term costs, because they undermine fundamental human needs for growth and connection―needs that are more effectively met by focusing on giving to others, rather than constructing self-esteem.


講演会前日の10月31日には、Culture-Kokoro Networkで運営している文化心理学ゼミにて博士をお招きし、内田准教授による研究内容紹介の後、大学院生2名(教育学研究科荻原祐二・矢野裕理)ならびに竹村幸祐・経営管理大学院助教(こころの未来研究センター連携研究員)による研究発表が行われ、クロッカー博士から有益なコメントをいただきました。

当日は、自尊心、自己価値随伴性、目標について、"The Constructed Self: The Costly Pursuit of Self-Esteem and Other's Regard"という演題で講演いただきました。自分の価値を特定の物事(たとえば成績の善し悪しなど)に特化させてしまう(自己価値随伴性が高い)と、自尊心は変動しやすくなり、そのために不安定な心理状態になる。そして出来事(たとえば試験を受けること)は自分を「査定」する(自分がよくできているかそうでないかを判断する)ものとしてとらえられ、それゆえに恐怖心が経験され、結果として好い成果が残せなくなる。反対に自己価値随伴性が高くなければ、毎回の出来事はあくまで自分を高めるための通過点としてとらえられることなどが、実証データや具体例とともに語られました。

後半では、他者のために振る舞おうとする目標を持てば、実際に他者のためになる行動を行い、それにより自尊心が結果として高まる、というデータが示され、「自分がどう見られたいか」という目標ではなく「他者のためにどう振る舞いたいか」、という目標を持つことがポジティブな自己の状態を導くことが説明されました。

講演には学内外から30名ほどの研究者・院生が集まり、講演後には活発な質疑応答が交わされました。

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当日の案内はこちら
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/en/cultureko_net/events/tlk20121101.pdf

(報告:内田由紀子 こころの未来研究センター准教授)

河合教授が日本箱庭療法学会一般公開シンポジウム「物語と鎮魂-神話・伝説・昔話-」で講演しました

10月27日、第26回日本箱庭療法学会第26回大会の公開シンポジウム「物語と鎮魂-神話・伝説・昔話-」において、こころの未来研究センター 河合俊雄教授が講演を行いました。


121108hakoniwa.jpg▽開催日時:2012年10月27日(土)14:45-18:15
▽開催場所:鳥取県米子市 米子コンベンションセンター
▽タイトル:日本箱庭療法学会第26回大会 公開シンポジウム「物語と鎮魂-神話・伝説・昔話-」
▽プログラム:
14:45〜 石見神楽「大蛇(おろち)」島根県立浜田商業高等学校 郷土芸能部
15:15〜18:15 シンポジウム
三浦佑之 (みうら すけゆき) 立正大学教授 日本古代文学・伝承文学
赤坂憲雄 (あかさか のりお) 学習院大学教授 民俗学・日本文化論
河合俊雄 (かわい としお) 京都大学教授 臨床心理学
司会者 岩宮恵子 (いわみや けいこ) 島根大学教授 臨床心理学


121108kawai1.png本年の日本箱庭療法学会大会は、「神話のちから」をテーマに開催されました。昨年の大災害を契機に、神話の「力」に光をあてて、もう一度、神話の「地から」問い直そう、という主題を掲げ、鳥取県米子市を会場に2日間に渡って行われました。

初日の公開シンポジウムは、上記テーマを受けて「物語と鎮魂-神話・伝説・昔話-」というタイトルで開催。岩宮恵子島根大学教授による司会進行のもと、シンポジストとして、立正大学の三浦佑之教授、学習院大学の赤坂憲雄教授、そして河合教授が登壇し、「物語」の視点から鎮魂について掘り下げていきました。

はじめに、島根県立浜田商業高等学校郷土芸能部のみなさんによる石見神楽「大蛇(おろち)」が勇壮に演じられました。その余韻が残る舞台に古代文学、民俗学、臨床心理学分野の第一線にいる研究者たちが登壇し、シンポジウムが始まりました。

121108kawai2.png「東日本大震災という未曾有の震災を体験し、根本的に生き方を問い直されるようなこの状況のなか、私たちがどのように『こころの問題』に向き合っていけばよいのか」というテーマに対し、河合教授は「物語と鎮魂の二義性:大きな物語と小さな物語」という演題で講演。震災後の被災地での研究活動やユング考をベースにしつつ、体験した出来事の大きさに常に比例するわけではない私たちのこころの不思議さと可塑性、物語の生まれる場としての接点、語りによって抱えていたものを手放していくことの大切さなどについて、実践的研究の視点から考察しました。

総合討論の場では、赤坂教授の出した「和解」というキーワードをめぐり、シンポジストたちが物語による鎮魂について語り合いました。会場を埋めた参加者たちも一体となって、さまざまな思いを巡らせるような場となりました。


日本箱庭療法学会第26回大会HP
http://www.sandplay.jp/conference.html
シンポジウム案内ページ
http://www.ipc.shimane-u.ac.jp/hako26th/symposium/index.html


(報告:こころの未来研究センター特定助教 畑中千紘)

畑中助教が発達障害のコミュニケーションをテーマにした研修会で講師を務めました

10月30日、京都家庭裁判所にて発達障害のコミュニケーションをテーマにした研修会が開催され、こころの未来研究センター 畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)が講師を務めました。


▽開催日時:2012年10月30日(火)14:00-17:00
▽開催場所:京都家庭裁判所
▽講師:畑中千紘(こころの未来研究センター 助教)
▽参加者数:約25名


121108hatanaka.png研修会は、2011年に創元社から発刊された畑中助教の著書『話の聴き方からみた軽度発達障害』を素材に、"発達障害の人のコミュニケーションの実態をリアリティをもって知り、それをどのように現場での関わりや見立てに生かしていくか"という観点で行われました。

発達障害は近年、非行事件や家事事件を扱う家庭裁判所でも大きな問題となっています。畑中助教は、今回の研修会のテーマについて、「発達障害の人との関わりにおいて、こちらが相手をどう理解するかだけでなく、相手がこちらをどう理解しているのかに着目することは、発達障害の理解と支援に新たな光を当てることになると考えています」と述べています。

当日は、参加者の方から実地での経験に基づいたコメントがなされ、有意義な場となりました。


畑中助教の著書『話の聴き方からみた軽度発達障害』(こころの未来選書、創元社 2011年3月)の書籍ページはこちら

吉川教授が京都市生涯学習総合センターで『心理学から考える「ブータンの幸福」』というテーマの講演を行ないました

2012-08-25no1.png8月3日、京都市生涯学習総合センター京都アスニーのセミナー「ゴールデン・エイジ・アカデミー」にて、こころの未来研究センター 吉川左紀子教授が『心理学から考える「ブータンの幸福」』というテーマで講演を行ないました。

本講演は、京都市が京都の伝統文化を守り未来へ継承するために取り組んでいる「京都創生」の特別企画として開催されました。


▽開催日時:2012年8月3日(金)10:00 - 12:00
▽場所:京都市生涯学習総合センター京都アスニー
▽演題:『心理学から考える「ブータンの幸福」』
▽講師:吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター センター長/教授)
▽参加者総数:549名(アスニー山科での遠隔モニター視聴者51名を含む)


京都アスニーは京都市における生涯学習の拠点として多くの市民が利用する文化施設です。「ゴールデン・エイジ・アカデミー」は、同施設が定期的に開催しており、今回で第1,434回目を迎える長寿イベントです。吉川教授は、京都大学ブータン友好プログラムからの3度に渡る同国への訪問経験や、様々なブータン研究の事例をもとに「ブータンの幸福」について講演を行ないました。

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「昨年秋の国王夫妻の来日以後、GNH(国民総幸福量)を提唱するブータン王国は日本人の関心を惹きつけています。ブータンを旅した日本人は、そこに経済的な豊かさでは計ることのできない「幸せな暮らし」の原型を見、不思議な懐かしさを感じます。
 インドと中国という巨大な国家に挟まれた人口70万の小国にある「幸せな暮らし」の原型とはどのようなものなのか。本講演では、生活の中の祈り、輪廻の死生観、家族・地域の絆といった側面から「ブータンの幸福」を考えてみたいと思います。

(プログラムに記載の「講師のことば」より抜粋)
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2012-08-25no2.png吉川教授は、京都大学ブータンブータン友好プログラムのメンバーとして、2010年以降、三度に渡りブータンを訪問しています。

講演前半では、ブータンの地形や人口、経済状況など国の基本知識を紹介し、昨年の第5代国王が日本を来訪した際に国会で行なって多くの議員が感動したというスピーチの印象的なくだりを紹介し、ブータン国王が日本に示した尊敬の念や、仏教精神に根ざした思いやりの態度についてふれ、そんな日本国民を魅了した国王が本国でいかに絶大な支持を国民から得ているかを、ノンフィクション作家の高野秀行氏の著書『未来国家ブータン』からの一文を引用しつつ熱く語りました。

また、現地滞在記を書いた御手洗珠子氏の『ブータン、これでいいのだ』という本の一説を引用しながら、家族や友人を大切にしつつ肩の力を抜いて生活を楽しむブータン人の気質について紹介しました。

講演では吉川教授が訪問時に撮影した現地での写真が数多く紹介されました。認知心理学を専門領域とする吉川教授は現在、人間の大人同士の表情の変化についての研究に取り組んでおり、ブータンで出会った人々が海外からの訪問客に対して見せる屈託のない笑顔に大きな衝撃を受けたそうです。教授が撮影したブータンの人々の「笑顔」写真が大画面に写し出されると、会場全体が明るいムードになりました。

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続いて、昨年3月にブータンを訪問したときの写真が数多く紹介されました。急激な都市開発と、伝統建築が混じり合う風景から、戦後の日本に似た歩みを見せるブータンを危惧しつつも、人々の暮らしに日本にはない「祈り」の時間が根付いていること、老若男女がマニ車をまわして祈りを捧げている独特の風景にふれ、いかに信仰がブータン人の暮らしに密着しているかを強調しました。

後半では、なぜいま日本人がブータンに惹かれるのか、国民の幸福を最優先で考えるという先代の第4代ブータン国王が確立した国家理念について解説しました。

人間は物質の豊かさだけでは幸福になれない、経済発展や近代化が伝統文化を犠牲にしてはならない、という強い信念を持ちながら、子供や老人が幸せに暮らせる国を目指して国策に取り組んできた第4代国王と、その精神を受け継いで現在のブータンを率いる第5代国王。彼らの国民に対する誠実な態度が、わずか70万人の小国を「幸福大国」へと導き、国民にもその思想が浸透しているそうです。こうした、急がずゆっくりと近代化していくブータンのありかたを見て、日本人が失いつつあるものや、もともとあった価値観を見直すヒントを与えてくれるのではないか、と吉川教授は語りました。

また、2003年のアッサム独立ゲリラ掃討作戦でブータンが経験した危機について、元フランス国立科学研究センターの今枝由郎氏の話を紹介し、第4代国王の陣頭指揮のもと、最少限の死傷者数で事態を沈静化させた理由として、ブータンの仏教国としての強い意識、厳格な不殺生の教えが根底に根付いていることを強調しました。

その他にも、同国に滞在した日本人の経験談を数多く紹介しながら、ブータン人がいかにつつましやかに、自分だけでなく他者の幸福を祈りながら、来生の為に功徳を積もうと努めているか、ブータン人の持つ時間軸の広さや、自然や運命に身をゆだねながら精神的なゆとりのある暮らしぶりにふれ、現代の日本人にない精神性について考察しました。

2012-08-25no4.png数々のエピソードと考察を織り交ぜてブータンを紹介した吉川教授ですが、最後に「ブータンは私たちに、幸福について考えさせる国」という言葉で講演をしめくくりました。

満員となった大ホールでは、最後まで熱心に耳を傾ける聴衆の熱気であふれていました。講演中ずっとメモを撮り続けていた女性参加者は、「長年、女性のためのNPOを運営しているが、今回の話であらためて日本人が取り戻さないといけない心について考えさせられました」と感想を述べていました。

こころの未来研究センターでは、今後も、ブータン学研究室での活動を通して、広く研究成果を発信して参ります。


■こころの未来研究センターブータン学研究室のページ
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/Bhutan/index.html
■吉川教授による京大ブータン友好プログラム第5次訪問団参加の写真レポート
http://www.scl.kyoto-u.ac.jp/~mmsicr/5thbhutanphoto/5thbhutan.html

内田准教授が大阪大学社会経済研究所のシンポジウム『文化と経済」(8月22日)で講演します

2012-08-15.png8月22日に大阪大学中之島センターで開催される、大阪大学社会経済研究所・行動経済学研究センターシンポジウム 『文化と経済』で内田由紀子准教授が講演します。
毎回、行動経済学研究の最前線を具体例を用いて紹介している同シンポジウムは本年で9回目を迎えます。今回は「経済パフォーマンスの国際的な差の原因」という全体テーマのもと、内田准教授は『文化心理学からみた日本文化と心』という演題で講演をおこないます。

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 ある国でうまく機能している制度があったとしても、別の国ではうまく機能しないことが多々あります。それぞれの国は文化や慣行が異なるにも関わらず、グローバル化の進展で、世界中同じような経済制度の下で暮らしていく必要性が高まっています。私たちが当たり前と思っていることも、別の国では当たり前ではないことがしばしばあります。(略)
 本年のシンポジウムは、文化や世界観の経済分析を行っている慶應義塾大学の大垣昌夫教授と文化心理学の立場から日本文化や心の問題を研究している京都大学の内田由紀子准教授に講演とディスカッションを行って頂きます。(案内HPより)
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大阪大学社会経済研究所 第9回 行動経済学研究センターシンポジウム 『文化と経済』
日時:8月22日(水)18:00〜20:00
会場:大阪中之島センター10F 佐治敬三メモリアルホール
主催:大阪大学社会経済研究所


■詳しい案内とお申し込み(大阪大学のHP)
http://www.iser.osaka-u.ac.jp/iser-rcbe/2012symp.html

スーパーサイエンスコアSSH事業夏季大学研修のため膳所高校始め滋賀県立高校の生徒さんがセンターを訪れ心理学の授業や実験に参加しました

2012-08-03no1.png8月2日、スーパーサイエンスハイスクールコアSSH事業、高大連携講座「Shiga Science Project 2012 夏季大学研修」のため、膳所高校はじめ滋賀県立高校の生徒さんたちがセンターを訪れ、心理学の授業を受講するとともに、連携MRI研究施設を見学しました。

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)は、文部科学省が将来の国際的な科学技術系人材を育成することを目指し、理数教育に重点を置いた高校を指定する制度です。SSHの指定を受けた学校では、独自のカリキュラムによる授業をはじめ、大学・研究機関などとの連携や、地域の特色を生かした課題研究など様々な取り組みを行なっています。

今回の研修には、SSHに指定されている滋賀県立膳所高校および連携高校の生徒32名と教員10名が参加しました。午前中、こころの未来研究センターで心理学の授業や実験実習に参加した後、センター連携MRI研究施設を見学しました。


▽開催日時:2012年8月2日(木)9:00-12:00
▽場所:稲盛財団記念館および南部総合研究1号館
▽プログラム
・9:00- 9:45  レクチャー1『表情を科学する:心理学のこころみ』吉川左紀子(こころの未来研究センター教授)
・9:45-10:00  実験実習 指導:上田祥行(こころの未来研究センター研究員) 布井雅人(教育学研究科博士課程)
・10:00-10:10 休憩
・10:10-10:40 レクチャー2 『笑顔の力:最近の心理学研究から』吉川左紀子(こころの未来研究センター教授)
・10:40-11:00 実験結果の発表と質疑応答
・11:00-12:00  連携MRI研究施設の見学 説明:阿部修士(こころの未来研究センター助教) 中井隆介(こころの未来研究センター研究員)


〜研修の様子〜

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センター特任教授の北山忍ミシガン大学教授の講演会が開催されました

2012-06-28no1.pngこころの未来研究センターには国内外の研究者が常時滞在しています。


滞在期間は、数か月という短い期間から2年間という長期滞在まで様々ですが、滞在期間中、プロジェクト研究や、センター研究員との情報交換・意見交換、学生への講義など、様々な活動をおこなっています。


6月中はセンター特任教授の北山忍ミシガン大学教授が滞在し、去る6月22日「文化神経科学(cultural neuroscience)の最前線 : 文化環境、心理、そして脳を科学する」というテーマの講演会が開催されました。


▽開催日時:2012年6月22日(金)13:00-14:30
▽場所:稲盛財団記念館 中会議室
▽講演プログラム
・13:00-14:00 北山忍(ミシガン大学教授)
         『文化神経科学(cultural neuroscience)の最前線 』
・14:00-14:30 質疑応答


この講演会は、教育学研究科の学部生・大学院生向けの演習授業の一環で、毎年前期と後期に1度ずつ開催され、多彩な講演者が登壇しています。
約1時間半のレクチャーと質疑応答で構成された今回の講演会には、多くの学生・研究者が集まり、会場となった稲盛財団記念館の中会議室が満席となりました。


2012-07-02no2.png北山教授は、京都大学文学部心理学科を卒業し、同修士課程修了後、ミシガン大学心理学部でPh.D.を取得。オレゴン大学助教授・准教授を経て、1993年から10年間、京都大学総合人間学部で助教授を務めました。現在はミシガン大学心理学部で、ロバート・ザイアンス主席教授の職にあり、Personality and Social Psychology Bulletin誌の編集長を務めつつ、ミシガン大学・「文化・心・脳研究センター」のセンター長として精力的な研究活動をおこなっています。文化心理学における第一人者としての功績により、アメリカ科学・芸術アカデミーの会員にも選出されています。


このように常に新たな領域に挑戦し続けている北山教授ですが、現在、積極的に取り組んでいるのが文化神経科学という分野での研究です。講演前半では、まず文化神経科学の研究がどのような経緯で始まり、理論的な枠組が構築されてきたのかについての紹介から始まりました。


2012-07-02no3.png従来、人間の心は「自律した計算装置」であるという見方が一般的であったが、1980年代になって、様々な学問領域において、心と社会環境の相互作用を研究しようという動きが起こったという背景があること。シカゴ大学のシュウェーダー博士が投げかけた「文化と心は互いを構成しあっている(culture and mind make each other up)」という提題が新たな研究領域を開拓する契機になったこと。そしてそれ以前の研究ではほぼ用いられることがなかったような実験手法による文化比較を行うことで、人が意識していない領域にまで踏み込んだ文化的差異をあきらかにすることが可能になったこと。その結果、どのように「文化が心を構成している」のかを明らかにする挑戦が現実的になったことなどが、北山教授のスピード感あふれる話で紹介されました。ちなみに、こういった背景から生まれた北山教授らの研究成果が現在の文化心理学研究の礎となったことは、広く知られています。


後半では、脳機能を含む様々な指標を用いた研究結果の紹介がおこなわれました。地域文化における人の心のあり方や行動に関連する文化課題に着眼し、そこに住む人々の脳神経活動にまでどのような影響を与えるかを明らかにしようとする研究例が紹介されました。とりわけ、20数種類にも及ぶ複数の実験課題を与えておこなった大規模な実験や、北海道や黒海沿岸地域の文化における人々の独立性の強さを検証するためのユニークな実験など、様々な事例が鋭い考察を交えて紹介されました。


2012-07-02no4.png講演の最後では、いま現在教授が取り組んでいる「感情と感情のコントロール」に関する研究についての紹介がありました。文化によって感情の抑制や表出が異なる点に着目し、感情抑制時の脳神経反応を調べる最新の研究成果についての紹介がおこなわれました。


締めくくりとして、過去20年に渡って文化心理学の分野でなされてきた数々の研究をふまえ、今後、概念・研究手法における新たな展開の必要性が強調されました。とりわけ脳指標を取り入れた研究方法により、感情抑制の健康への影響などを調べるような研究が新たな展開となりうるのでは、という見方を示しました。文化環境が遺伝子レベルでの変化にすら関わっていることが明らかになりつつある現在、自然科学 vs. 文化といった二分法ではなく、文化・心・脳はリカーシブ(再帰的)に影響しあうという理解にもとづいた新たな理論的枠組みを構築していくことが、これからの研究課題であると強調し、講演を終えました。


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北山教授は、今後も定期的に来日し、研究最前線からのメッセージを伝えてくださる予定です。

河合教授が「日本語臨床フォーラム」(6月24日)で講演しました。

河合教授が、6月24日に花園大学で行われる「日本語臨床フォーラム Psychoanalytic Forum for Kokoro コンベンション2012」にて、シンポジストとして『自然の喪失と噴出 内面化・震災・村上春樹」』という題で講演しました。

「日本語臨床フォーラム Psychoanalytic Forum for Kokoro コンベンション2012」のサイトはこちらです。プログラム、申込み等はこちらをご確認ください。

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京都大学公開講座春秋講義で河合教授が講義します(5月23日)。

河合教授が、京都大学公開講座春秋講義で「村上春樹でこころを科学する」という題で5月23日(水)に講義します。

京都大学公開講座春秋講義の案内ページ

河合教授がNHKカルチャー京都教室で、村上春樹論について講義します。

河合教授の講義『心理学者が読み解く村上春樹の「物語」』全3回の案内はこちらです。
NHKカルチャー京都教室

平成23年度「企業向け人権啓発講座」にて、ベッカー教授が講演します。

平成23年度「企業向け人権啓発講座」第10回にて、カール・ベッカー教授が講演します。
この講座は、当センターも後援しています。

平成23年度「企業向け人権啓発講座」第10回についての詳細はこちら(PDF)をご覧ください。

内田准教授・竹村連携研究員が「平成23年度全国普及活動研究大会」にて調査研究を発表しました。

11月16日に東京大学安田講堂で行われた「全国普及活動研究大会」にて内田准教授・竹村連携研究員より「社会的ネットワークの機能と性質:「つなぐ」役割の検証」プロジェクトにて実施した全国の普及指導員を対象とした調査研究の成果が報告されました。

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「国際森林年の文化の日に森林と木の『文化』について語る公開シンポジウム」にて、鎌田教授が講演します。

「国際森林年の文化の日に森林と木の『文化』について語る公開シンポジウム」にて、鎌田教授が講演します。
このシンポジウムは、当センターも後援しています。

「国際森林年の文化の日に森林と木の『文化』について語る公開シンポジウム」のサイトはこちらです。

2011京都大学国際フォーラム「新たな知の統合に向けて」にて、ベッカー教授が講演します

2011京都大学国際フォーラム「新たな知の統合に向けて」にて、カール・ベッカー教授が講演します。
このフォーラムは、当センターも共催しています。


2011京都大学国際フォーラム「新たな知の統合に向けて」のサイトはこちらです。

京都大学附置研究所・センター主催の連続セミナー(「品川セミナー」)で吉川セン ター長がお話ししました。

京都大学附置研究所・センター主催 第14回品川セミナー
タイトル: 「ゆっくり話を聴く」ということ:臨床対話の認知科学
日時: 2011年7月1日17:30~19:30
場所: 京都大学東京オフィス

京都大学附置研究所・センターサイト内
品川セミナ―のご案内 第14回品川セミナー

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『赤の書』編者のソヌ・シャムダサーニ氏の記念講演が行われます。

日本ユング心理学会では、ユング没後50周年として、『赤の書』編者のソヌ・シャムダサーニ氏をお迎えして、記念講演を6月4日(土)に京都大学百周年記念ホールで行います。
http://www.ajaj.info/images/pre-congress_2011_2nd.pdf
河合教授が、通訳および講演後の対談を務めます。

「進化と文化とこころ」公開高座・第2回ワークショップ「文化系統学への招待」が行われました

「進化と文化とこころ」公開高座・第2回ワークショップ」と『文化系統学への招待』出版前勉強会が海佐されました。

第一部では三中信宏先生による公開”高座”「化系統学と系統樹思考:進化するオブジェクトの多様性と系譜」が開催され、30名ほどの方がご参加下さいました。

第二部では、中尾央さんと三中信宏先生の編著により出版が予定されている「文化系統学への招待」(勁草書房)について、出版前の原稿を用いた勉強会が開催され、18名の研究者が5時間にわたって議論しました。

■日時・場所
・2011年3月24日(木) 午後12時半~午後6時
  第一部:12時半~13時半
  第二部:14時~19時
・京都大学稲盛財団記念館・3F大会議室
 (荒神橋東詰・川端近衛南東角)
 
■第1部 公開高座
【時間】午後12時半~午後1時半
【噺役】三中信宏(農業環境技術研究所/東京大学・院・農生)
【演題】文化系統学と系統樹思考:進化するオブジェクトの多様性と系譜


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■第2部 勉強会
『文化系統学への招待(中尾央・三中信宏編著, 勁草書房)』の出版前勉強会を行う。下記の担当者による各章の内容紹介ならびに全体コメントを元に、参加者間でのディスカッションを行う。各章の内容の精読を目指すのではなく、文化系統学というアプローチの全体像を共有し、それが人間研究にたいして持つ可能性を論じた。


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公開シンポジウム「心の先端研究への期待」の映像を配信する予定です。

日本学術会議 心の先端研究と心理学専門教育分科会
公開シンポジウム 「心の先端研究への期待」
2011年2月19日(土)13:00-18:10


シンポジウムの様子は、以下のサイトにて、映像配信する予定です。
http://www.kokoro-japan.org/symposium/2011_feb_19.html

Israel Liberzon先生の講演会が行われました。

ミシガン大学から精神医学者のIsrael Liberzon先生をお招きして、講演会を開催しました。
  
日時:2010年12月28日(火) 10:30 ~12:30
場所:京都大学稲盛財団記念館3階 小会議室1
企画者:内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター) 
講演者:Israel Liberzonミシガン大学心理学部教授
http://www.umich.edu/~neurosci/faculty/liberzon.htm

演題:Novel Insights into PTSD Pathophysiology from Functional Neuroimaging Studies
 
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浜村武先生の講演会が行われました。

香港中文大学から文化心理学者の浜村武先生をお招きして、講演会を開催しました。
 
日時:2010年12月22日(水) 11:00 ~12:30
場所:京都大学稲盛財団記念館2階 こころの未来研究センター会議室
企画者:竹村幸祐(京都大学こころの未来研究センター)・内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター)

講演者:浜村武 香港中文大学心理学部助教授
http://www.psy.cuhk.edu.hk/en/people/thamamura/thamamura.php

演題:Cultural Psychology of Social Class
 
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John Jost先生の講演会が行われました。

ニューヨーク大学から社会心理学者のJohn Jost先生をお招きして、講演会ならびに若手研究者セミナーを開催しました。
 
■ John Jost教授講演会
日時:2010年12月20日(月) 16:00 ~18:00
場所:京都大学稲盛財団記念館3階 大会議室
企画者:内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター)・楠見孝(京都大学教育学研究科)
共催: 京都大学グローバルCOEプログラム「心が活きる教育のための国際的拠点」ユニットB

講演者:John Jostニューヨーク大学心理学部教授
http://www.psych.nyu.edu/jost/

演題:Left & Right: The Psychological Basis of a Political Distinction

講演要旨:
Professor Jost summarized recent theoretical and empirical advances concerning the scientific understanding of the relationship between certain psychological variables and left-right political orientation. More specifically, he summarized converging lines of research that link basic social, personality, cognitive, motivational, and even neurophysiological processes to ideological differences between the left and the right. He also discussed situational factors that are capable of inducing "liberal" and "conservative" shifts in political attitudes. These findings and many others suggest that, contrary to received wisdom in the social and behavioral sciences over the past several decades, political ideology is indeed a meaningful force in people's lives and that it may be rooted in fundamental psychological antinomies, including general preferences for stability vs. change, order vs. complexity, certainty vs. ambiguity, familiarity vs. novelty, conformity vs. creativity, and loyalty vs. rebellion. Implications for psychology and society were discussed.
 
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■ John Jost先生を囲む若手セミナー(The 2nd international seminar on social cognition for young researchers)
日時:2010年12月21日(火) 10:00 ~12:00
場所:京都大学教育学研究科2階 216室
企画者:楠見孝(京都大学教育学研究科)・内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター)
共催: 京都大学グローバルCOEプログラム「心が活きる教育のための国際的拠点」ユニットB

話題提供者:京都大学の大学院生,研究員ほか
 1. Okada, Y. "Perceived power and judgment of causal relevance"
 2. Ogihara, Y. "Cultural differences in the way of control in the friendship"
 3. Yano, Y. "How do NEET Hikikomori people detect emotion from facial expressions?"
 4. Karouji, Y. "Perception of gender equality contributes to maintaining gender inequality"
 5. Kurita, T. "Effect of positive stereotypes toward people with disabilities in societal and personal views"

指定討論者:John Jostニューヨーク大学心理学部教授

「京都府・京都大学こころの未来研究センター主催  「こころ」を考える高校生フォーラム」が行われました。

京都府・京都大学こころの未来研究センター主催 
「こころ」を考える高校生フォーラム
京都大学周辺の森と寺社は、人々に何をもたらしてきたのか
-フィールドワークからみえてきたコト-

開催日時:平成22年12月12日(日) 午後1時30分~午後3時30分
場所:京都大学百周年時計台記念館2階国際交流ホール

講 師:鎌田 東二(京都大学 こころの未来研究センター教授 宗教哲学、民俗学)
司 会:吉川左紀子(京都大学 こころの未来研究センター長)

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こころの未来講演会(講師:Jari Hietanen先生)が行われました。

こころの未来講演会
日時 11月15日(月)16:30-18:00 
場所 京都大学稲盛財団記念館3階小会議室1
題目 How other people affect our attention, emotion, and motivation.
講演者 Jari Hietanen University of Tampere, University of Tokyo

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内田由紀子助教と近藤恵研究員の講演会が行われます。

内田由紀子助教と近藤恵研究員が、プロジェクト
「青年期の社会的適応:ひきこもり・ニートの文化心理学的検討」
に関連する講演会を行います。
詳細はこちらをご覧ください。

こころの未来講演会が行われました。

『医療のこころ構え~自発的改善の実現』


John Wachtel 先生(スタンフォード大学 医学部婦人科医・教授)

概要:
 米国だけでも毎年、10万人もの患者が何らかの医療ミスで寿命を縮めているばかりか、200億円程度の医療費が無駄になっています。とは言え、医療ミスは意図的に行われるものではなく、良心的な医師・看護師でさえも犯しかねないものです。医療改善の第一人者のワクテール教授に、医療ミスの発生原因を分析しつつ、安全な環境作りや医療ミス対策について語って頂きました。


2010年6月8日(日)18:00~19:30
京都大学稲盛財団記念館 3階 大会議室
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近畿農政局の平成21年度近畿ブロック調査研究会にて、 内田助教の講演が行われます。

近畿農政局の平成21年度近畿ブロック調査研究会にて、
内田助教の講演が行われます。


研究会についての詳細は こちら をご覧ください。
(こころの未来研究センターのプロジェクト『ソーシャル・ネットワークの機能グループ内の「思いやり」の性質』の成果報告が行われます)

「第5回京都大学附置研究所・センターシンポジウム京都からの提言 21世紀の日本 を考える」 が行われ、ベッカー教授が講演しました。

第5回京都大学附置研究所・センターシンポジウム 京都からの提言 21世紀の日本を考える
会場:アクロス福岡(福岡市中央区)
時間:3月13日 10:00~17:15
参加:葉書、e-mail、またはFAXにて受付けします。(先着1000名)
詳細はこちらをご覧ください。(受付は3月1日まで)
http://www.uji.kyoto-u.ac.jp/sympo.html)

日本ユング学会で「暴力の由来」シンポジウムが行われ、 河合教授がパネリストをつとめました。

3月7日に日本ユング学会で「暴力の由来」シンポジウムが行われ、
河合教授がパネリストをつとめました。

シンポジウムについての詳細はこちらをご覧ください。

内田助教の講演会が開催されます(6月7日 於:高槻市)。

6月7日に高槻市にて、内田由紀子助教による講演会「漂流する若者たち:日本社会における対人関係の結び方とこころの健康」が開催されます。
 
日時:2009年6月7日(日)13:00~16:00
場所:高槻市立総合市民交流センター 5階視聴覚室
主催:NPO法人高槻オレンジの会
後援:高槻市、高槻市教育委員会
備考:入場無料。高槻市民以外の方でも来場可能
申込先:NPO法人高槻オレンジの会(072-692-2677)
詳細はこちらのファイルをご覧ください


 

日本社会心理学会第49回大会において、ワークショップ「文化と認知研究の現在と今後の展望」が開催されます(11月3日)

11月2日~11月3日に鹿児島で開催される日本社会心理学会第49回大会において、ワークショップ「文化と認知研究の現在と今後の展望」が開催されます。
 
日時:2008年11月3日(月)15:30~17:00
場所:鹿児島県民交流センター 中研修室1、中研修室2
タイトル:文化と認知研究の現在と今後の展望
 
企画者
石井 敬子(北海道大学社会科学実験研究センター)
内田 由紀子(京都大学こころの未来研究センター)
 
司会者
内田 由紀子(京都大学こころの未来研究センター)
 
話題提供者
増田貴彦(アルバータ大学心理学部)
上田祥行(京都大学大学院人間・環境学研究科)・小宮あすか(京都大学大学院教育学研究科)
石井敬子(北海道大学社会科学実験研究センター)
 
指定討論者
唐沢穣(名古屋大学大学院環境学研究科)
番浩志(京都大学こころの未来研究センター)
 
企画趣旨
 人の心は、普遍的かつ生得的要素をもとにして、どの程度当該の文化における日常的現実の影響を受けてきているのだろうか。これまでの文化心理学の研究は、洋の東西において原因帰属、推論、注意配分等の様式が異なっていることを示してきた。そしてこうした認知や知覚様式における文化差は、行動指標や内省指標を用いて明らかにされてきた。しかし近年では、ある個人に対してさまざまな認知・知覚課題を課し、それらのパフォーマンスの相関を検討したり、眼球の動きや脳活動を測定することで、社会的認知の脳内基盤とその社会・文化拘束性を明らかにしていこうとしたりする試みがなされつつある。本ワークショップでは、若手研究者が文化と認知研究に関する最新のデータを報告し、今後の展望について提起する。さらに、神経科学や社会心理学を専門とする指定討論者とフロアの参加者により、こうした文化と認知研究がそれぞれの分野に与えるインプリケーションと今後の課題について論じる。

京都大学医学研究科社会健康医学系専攻公開シンポジウム「公衆衛生、臨床医学と社会科学」(10月25日土曜日開催)にて本センターの内田由紀子助教が講演:「行動科学の文化心理学的パースペクティブ」を行います。

日本心理学会第72回大会において、ワークショップ「文化と進化とこころの未来」が開催されました

日本心理学会第72回大会において、ワークショップ「文化と進化とこころの未来」が開催されました
 
開催日時:2007年9月19日(金)10時~12時
 
企画者
内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター)
平石界(京都大学こころの未来研究センター)
 
話題提供者
大坪庸介(神戸大学大学院 人文学研究科)
内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター)
平石界(京都大学こころの未来研究センター)
 
指定討論
長谷川寿一(東京大学大学院 総合文化研究科)
村本由紀子(横浜国立大学大学院 国際社会科学研究科)
 
企画内容
 2007年、京都大学に「こころの未来研究センター」ができました。「こころ」というテーマについて研究を進め、そして研究者の交流の場となることを目指すセンターです。その交流の一つとして本WSは、「文化」と「進化」を扱います。
 
 文化心理学と進化心理学というと、あまり仲の良くない領域のように思われているかもしれません。しかし実際は、両者は互いの視点が人間理解に不可欠なものとの認識を共有しています。ただ残念ながら、文化と進化というテーマをまとめて論じきる視点が確立されていないのも事実でしょう。そうした視点を得るためには、両者の交流と議論の継続が大事です。
 
 本WSでは、文化心理学者、進化心理学者である3名の話題提供者が、今もっとも面白いと思っている各自の研究を紹介します。その上で指定討論者のみならず、話題提供者同士でも、良い意味で「好き勝手」に思いついたことを話す場とします。そうしたディスカッション(雑談)の中から、両者を結ぶ何かが一つでも見つかれば嬉しく思います。¥

日本心理学会第72回大会において、センター連携プロジェクトのワークショップ(9月19日13時から)が開催されます。

9月19日~21日に北海道大学で開催される、日本心理学会第72回大会において, センター連携プロジェクト「共感的対話における相互作用性に関する多角的研究」のワークショップ(9月19日13時から)が開催されます。

■開催日:
2008年9月19日(金)13:00~15:00
■開催場所:
北海道大学高等教育機能開発総合センターE棟2階E207
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AJAJ日本ユング心理学会主催の「河合隼雄先生追悼シンポジウム」(4月20日開催)に本センターの鎌田東二教授、河合俊雄教授がシンポジストとして参加します

内田由紀子助教(文化心理学)が、1月26日(土)に開催される早稲田大学文化人類学会第9回総会「文化概念の再構想――心理学・経済学との対話を通して」にて、「文化心理学から見た文化とこころ」というタイトルでの講演とパネルディスカッションを行います.