2012年度以前のセミナー・研究会 アーカイブ

こころの科学 集中レクチャー2012「fMRI研究の基礎と実際」が開催されました

 2012年12月26日、27日の2日間、こころの科学 集中レクチャー2012が、稲盛財団記念館大会議室で開催されました。講師に自然科学研究機構生理学研究所 大脳皮質機能系 心理生理学研究部門 教授の定藤 規弘先生をお迎えし、「fMRI 研究の基礎と実際」という演題にてレクチャーを行っていただきました。


sadato.png▽日時:2012年12月26日(水)、12月27日(木)
▽場所:京都大学 稲盛財団記念館3階大会議室
▽こころの科学 集中レクチャー2012「fMRI 研究の基礎と実際」
▽講師:定藤 規弘 先生(自然科学研究機構生理学研究所 大脳皮質機能系 心理生理学研究部門 教授)
▽スケジュール:
12/26・① 10:30-12:00 ② 13:30-15:00 ③ 15:15-16:45
12/27・④ 10:30-12:00 ⑤ 13:30-15:00 ⑥ 15:15-16:45
▽参加人数:57名

開催案内ポスター:クリックすると大きく開きます→


 定藤先生は京都大学医学部を卒業し、国内外での臨床研修を経た後、京都大学大学院内科専攻(核医学: 小西淳二教授) において、人間の高次脳機能を非侵襲的に計測する脳賦活検査の研究を開始されました。その後、米国国立神経疾患卒中研究所、福井医科大学高エネルギー医学研究センターを経て、現在、生理学研究所でご活躍中です。日本の脳機能画像研究を牽引する第一人者であり、最近はヒトの社会性の神経基盤の研究で目覚ましい成果を挙げておられます。

 今回は、fMRI研究の基礎と実際について、下記のような内容で集中レクチャーを行っていただきました。レクチャーでは画像診断の歴史やfMRIの原理と方法論から詳細な実験手法、研究応用例に至るまで最先端研究が紹介され、授業の随所で活発な質疑応答が行なわれました。

■学習目標
・ヒトを対象とした非侵襲脳機能イメージング研究は爆発的な広がりを見せており、人文科学と神経科学を架橋するための鍵と目されている。
・本講義においては、非侵襲的脳機能画像法の原理と解析定量手法の解説からはじめ、その応用例として、言語を含む社会能力発達過程解明に向けた取り組みについて論ずる。
・最先端研究に触れ、その内容を理解する力を養うことを学習目標とする。

■授業の内容
・1)方法論:人体の可視化・機能的MRIと統計
・2)運動制御と模倣
・3)自己認知と自己意識
・4)共同注意と言語発達
・5)心の理論と共感/語用論
・6)対面コミュニケーションにおける感覚統合、学習、可塑性/向社会性行動の神経基盤

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アーサー・ザイエンス博士(Mind and Life Institute, USA)の講演会が開催されました

130125Zajonc_zentai.png 2013年1月25日、Mind and Life Institute, USAの代表であるアーサー・ザイエンス博士(Dr. Arthur Zajonc)の講演会が、稲盛財団記念館中会議室で開催されました。熊谷誠慈こころの未来研究センター特任准教授と安田章紀研究員による報告文を掲載します。


▽日時:2013年1月25日(金) 16:30~18:00
▽会場:稲盛財団記念館3階中会議室
▽講演タイトル:"The Mind & Life Institute: Twenty-five years of Interdisciplinary Dialogue and Research on the Nature of Mind, Consciousness and Reality"(Dr. Arthur Zajonc)
▽参加者数:26名
▽Abstract:
Since its first interdisciplinary dialogue in 1987 with the Dalai Lama, the Mind & life Institute has brought together leading neuroscientists, psychologists, physicists, philosophers, ontemplative scholars and practitioners of meditation to consider the nature of the mind,consciousness and reality with the ideal of relieving suffering and promoting human flourishing. Through intensive interdisciplinary dialogues, large conferences, research awards, book publication and an annual summer research institute, the Mind & Life Institute has succeeded in catalyzinghundreds of research projects globally, especially in the emerging area of contemplative neuroscience. DrZajoncTalk.pngBuilding on its 25 years of success, the Mind & Life Institute is beginning a new phase in its development under the leadership of its new President Arthur Zajonc PhD. who for 30 years workedand published at the intersection of physics, philosophy and contemplative studies. Dr. Zajonc will describe the work of the Mind & Life Institute, especially drawing on his own interdisciplinary research in the experimental foundations of quantum physics, and the work of Mind and Life colleaguesconcerning the neuroscience of meditation and the phenomenology of mind/consciousness. www.mindandlife.org

開催ポスター:画像をクリックするとPDFファイルが開きます→


■"The Mind & Life Institute: Twenty-five years of Interdisciplinary Dialogue and Research on the Nature of Mind, Consciousness and Reality"


Zajonc.png 今回ご講演を頂いたアーサー・ザイエンス博士は、量子物理学、量子工学がご専門でありながら、人文諸科学のほか、瞑想の理論と実践にまで通暁している稀有な研究者です。同博士にはまた、チベット仏教の最高指導者ダライラマ14世をはじめとする有志が、科学と宗教との対話をテーマに、今から25年前に立ち上げた、Mind and Life Institute (MLI)の現代表でもあります。本講演では、MLI設立の経緯や、設立から現在に至るまで行われてきた、心の本質や意識などに関する学際的な取り組みの推移について、ご紹介頂きました。

 MLIは、1987年、ダライラマ法王と心理学者のフランシスコ・ヴァレラ、そして実業家のアダム・エングルの3人によって設立されました。以後2002年までは、非公式の形で、Mind and Life Dialogueが毎年開催され、そこで、ダライラマ法王をはじめとする宗教家と、各分野の世界的な研究者たちが議論を闘わせてきました。ついで翌年、初めて公開の形式で、同DialogueがMassachusetts Institute of Technology (MIT)において開催され、それ以降、年一度の恒例行事として定着しています。

130125yoshikawa.png MLIが焦点を当てているのは、瞑想の実践およびその科学的研究です。ウィスコンシン大学などで瞑想がもたらす効能について科学的研究を実施したほか、大学院生やポスト・ドクターなど若手研究者を集めて、夏季研究会を開催し、後学の育成にも力を入れているそうです。会期中には、100人を超える若手研究者が集い、瞑想の実践を行うと同時に、各自の研究内容を互いに紹介し討議しています。これは、研究者の「こころ」の教育と、幅広い学術交流を並行して行っている貴重な取り組みであろうと思われます。ザイエンス博士はこうした理念は、こころの未来研究センターのそれとも多くの部分で一致していると述べておられました。

130125kumagai.png さらに近年、MLIは世界的展開を進めています。本部はアメリカ合衆国にありますが、昨年(2012年)にはMLI Europeがスイスのチューリヒに誕生、欧米の2大拠点が成立しました。今後は、MLI Asiaの設立を進める予定とのことで、京都はその有力な候補地の1つとなっているようです。京都は多数の大学を擁する現代都市であるのみならず、由緒ある神社仏閣や、日本古来の伝統文化を色濃く保存しているので、科学と宗教との実りある対話にうってつけの場所であろうと思われます。

 なお、講演の終りには、数分間の瞑想を体験しました。聴衆はザイエンス博士の言われるままに目を閉じ、数回鳴らされた鐘の音の余韻に浸りながら、心を徐々に鎮めていきました。熱気と好奇心に沸いていた会場が時の経過とともに、緊張のほぐれた静かな空間に様変わりし、瞑想の一面を実体験する貴重な機会となりました。

(報告:熊谷誠慈 こころの未来研究センター特任准教授・仏教学・チベット学、安田章紀研究員・インド・チベット密教)

第8回身心変容技法研究会「教育と身心変容技法」が開催されました

8thzentai1.png2012年12月18日、第8回身心変容技法研究会「教育と身心変容技法」が稲盛財団記念館大会議室にて開催されました。


▽日時:2012年12月18日(火)13:00-17:00
▽会場:稲盛財団記念館3階大会議室
▽テーマ:「教育と身心変容技法」
▽日時:2012年12月18日(火)13時~17時
▽会場:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
発表1:13:00~14:40
「わざの学習・学習のわざ」鈴木晶子(京都大学大学院教育学研究科教授・教育学)
発表2:14:50~16:30「『関係』をめぐる攻防-『わざ』の継承を支える『三者関係』」 川口陽徳(東京大学大学院教育学研究科博士課程・教育学)
総合討論:16:30~17:00


8thsuzuki.png 今回は「教育と身心変容技法」というテーマで、京都大学大学院教育学研究科の鈴木晶子教授と、東京大学大学院教育学研究科博士課程の川口陽徳研究員、ともに教育学を研究の場とするお二人が発表を行いました。

 発表1の鈴木晶子教授は、「わざの学習・学習のわざーTaktを手がかりに」を演題とし、感覚のわざ、触覚としての「タクト」から教育学の鍵的要素へと発展した「タクト」まで、そのなりたちや働き、わざとしての考え方について紹介。「触覚」「接触」を語源にもつタクトが18世紀には「人間交際の知恵・わざ」として注目され始めた社会的・文化的背景を解説すると共に、タクトに注目した思想家として、カントをはじめ、「教育的タクト」の概念を生み、教師の臨機応変な対応と判断を可能にするわざとしてのタクト論をもたらしたヘルバルトなどを紹介。今日では広くその名が普及した「タクト」について、教育学での実践方法論や継承の問題点などにふれながら「わざとしてのタクトは用いることで成功確率が高まる。わざの修練、考え方の総体として経験を積み様式化することでさらに磨かれる」と話しました。

8thtanatsugu.png 発表後のディスカッションでは、参加者が各々のタクトに対する感想や解釈についてコメント。「日本で最大のタクトを振る人は空海だと感じた。三鈷杵や五鈷杵などの『金剛杵』を実際に振ることで仏とつながり、万象の振動波数を変えようと試みた空海を思い出し、タクトを知ることで金剛杵の意義を知った。タクト論は単に教育学の問題ではなく、大変示唆に富むわざだ」(鎌田東二教授)、「タクトに対してのリズムという言葉について、クラゲスの話を想起した。リズムは自然界にもあるが、タクトは人為的で経験がベースとなる触覚ではないか」(棚次正和 京都府立医科大学教授)などのコメントのほか、「タクトは教育上教えられるもの?」(東京大学大学院人文社会系研究科 鶴岡賀雄教授)という問いに対して、「教育学でも技術として修練可能だという派と、ヘルバルトのようにある種"名人芸"でありながら日常で経験を積むことで人格の中に埋もれることで開花する、という主張もある」(鈴木教授)など、様々な内容で盛り上がりました。(発表資料はこちらからダウンロード可能です。

8thkawaguchi.png 続いて、発表2の川口陽徳研究員は、「『関係』をめぐる攻防-『わざ』の継承を支える『三者関係』」というテーマで研究紹介発表を行ないました。法隆寺の宮大工の師弟関係を例に挙げ、「わざ」の継承の営みを「三者関係」という視点で捉え、実在する宮大工師弟のやりとりと学びのプロセスを詳細に紹介。教育と継承(稽古)の違いについて解説、研究対象となった法隆寺宮大工師弟の出会いと立ち位置、実践の場での関係性、法隆寺という共同体の中核をはさんで師匠がどのようにふるまい、弟子がどのようにわざを体得していったか、具体的事例を豊富に交えながら『わざ』の継承関係と構造を考察・整理しました。川口研究員は「二者関係ではなく『継承』を支えるもう一つの関係項として、"共同体の中核"を捉えることで新たな問いが拓かれた。『先人ー共同体の中核ー継承者』の関係は、繰り返し問い直され、結び直される。この学びのダイナミズム(実践のダイナミズム)にのることが、共同体の内側に入り、そこにとどまるということであると考えている」と話しました。(発表資料はこちらからダウンロード可能です。

8thtsuruoka.png 報告後のディスカッションでは、「仏教におけるサンガ、僧の共同体とブッダの関係性に通じる。また自分が『超訳古事記』を出した際は自身が稗田阿礼(ひえだのあれ)になって口語訳をするというコンセプトで出した、語りの伝承の世界における関係性と通じる」(鎌田教授)、「(共同体の中核は)実体化されていないもののほうがしっくりくる。掴めない部分にわざの伝承があるのでは」(鈴木教授)、「建物としての法隆寺の上にイデア的なものがあり、それを感じて継承しているのではないか」(棚次教授)など、幅広い意見が交わされました。

以下、研究会ホームページに寄せた鎌田東二教授の報告コメントです。

8thkamata.png 「鈴木晶子氏の「わざの 学習・学習のわざーTaktを手がかりに」、 大変示唆に富むワザータクト論でした。「触れる知」としての触覚ータクトや共鳴・同調のことから展開されたので、身心変容に関わる感覚再編のことをいろいろと考えさせられました。特に「触覚問題」。また、わたしにとっては、タクト論から見ると、とりわけ、空海の存在意義の大きさと重要性と面白さが、違う角度から見えてきました。実際、「金剛杵」(三鈷杵や五鈷杵)は、密教タクトですから。その密教タクトを振りかざしながら、万象の振動波数を変えようと試みた空海の戦略・戦術と巧妙さに妙に感心してしまいました。いろいろと、大変刺激を与えられた時間でした。

 川口陽徳氏の「『関係』 をめぐる攻防-『わざ』の継承を支える『三者関係』」、 「わざの継承関係と構造」に関する新しい観点と構造的整理を提示した、きっちりとした理論展開でした。法隆寺の宮大工のわざの継承を事例に、師匠と弟子との間の「二者関係」からではなく、間に、というよりも、基底に、「共同体の中核」を置くことによって、ワザが個的人物間の継承ではなく、複合的で集合的な継承の中にあることを、明快に説き明かしてくれたと思います。

 宮大工のわざの継承からから始めて、サンガや禅や密教や聖徳太子信仰や稗田阿礼の 『古事記』の伝承のことまで、いろいろと考えさせられた時間でした。わたしにとっては、ワザ伝承と三者関係論から見ると、またもや、空海の存在意義の 大きさと重要性と面白さが、また違う角度から見えてきました。

 密教の灌頂、三密加持、行者と大日如来の間に介在する不動明王の存在が、別の角度 から見えてきました。また、書物論も大変興味深い問題でした。書物的継承と物的継承との違いとその底にあるもの。これまた、いろいろと刺激を与えられた時間でした。」

身心変容技法研究会ホームページ「研究問答」より)


■一般公開シンポジウム「第10回身心変容技法研究会『芸能と身心変容技法』」開催のご案内

2013年1月31日(木)、一般公開シンポジウム「第10回身心変容技法研究会『芸能と身心変容技法』」を稲盛財団記念館中会議室にて開催します。詳しくは下記案内ページをご覧ください。
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/event/2013/01/10_1.html

身心変容技法研究会HP
http://waza-sophia.la.coocan.jp/

第3回「持続可能性と幸福度」研究会が開催されました

 2012年12月17日、「持続可能性と幸福研究」ネットワーク第3回「持続可能性と幸福度」研究会との共催で草郷孝好・関西大学教授の講演会が、稲盛財団記念館大会議室で行われました。


jizoku-kofuku.png▽開催日:2012年12月17日(月)16:30~18:30
▽場所:稲盛財団記念館3F大会議室
▽主 催:「持続可能性と幸福研究」ネットワーク
▽共 催: 京都大学経済研究所先端政策分析研究センター(CAPS)、京都大学こころの未来研究センター
▽プログラム
16:30 主催者挨拶
16:35〜18:00 研究報告「持続する開発とは?ブータンGNHの挑戦、ジレンマ、可能性」草郷孝好 関西大学 社会学部社会システムデザイン専攻 教授

開催ポスター:画像をクリックするとPDFファイルが開きます →


【講演内容】

121717kusago.png 草郷教授の人間開発論の立場からのGNHへの関心や、GNHの指標作成、行政システムづくりについて、萌芽期からの取り組みやその精神、さらには具体的調査について、実際にブータンの研究所と活動をともにされてきた草郷教授ならではの貴重な視点での紹介がなされました。今や、国の仕組み作りとしてのGNHは、指標開発の側面においても世界的注目を集めていますが、GNHはブータン独自の生活思想の堅持と近代化、そして国家社会として世界の中で定位していくためにブータンにとって非常に重要な柱であるとの指摘がなされました。

121717uchida.png 講演の後半ではGNH指標では9領域での評価の柱を設け、不足点を充足させるよう政策的優先度を高めるなどの政策へのフィードバックがなされていること、しかし今後ブータンが貨幣経済、共同地域、自給経済の三つ巴にできるかどうかという課題があることが述べられました。日本でのGNHの応用可能性としてブータンでは「当たり前」とされるような「利他の精神」を、日本ではあえて5本目の柱として据える必要があるのではないかという重要な示唆で締めくくられました。

 講演には学内外から研究者・学生が集まり、講演後には活発な質疑応答が交わされました。


(報告:内田由紀子 こころの未来研究センター准教授)

こころの未来研究センター研究報告会2012が開催されました

 こころの未来研究センター研究報告会2012「こころを知り未来を考える ~感情と身体~」が、2012年12月15日、稲盛財団記念館3F中会議室(講演会場)、大会議室(ポスター展示)にて開催されました。

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▽日時:2012年12月15日(土)13時~17時30分
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階中会議室・大会議室(ポスター会場)
▽参加者:約60名
▽対象:研究者、学生
▽プログラム:
13:00-13:15 挨拶:吉川左紀子 (こころの未来研究センター長)
13:15-14:00 「ものの好みはなにで決まる?」
船橋新太郎  (こころの未来研究センター教授・神経生理学,神経科学)
14:00-14:45 「看護師の燃え尽き:こころが職場に及ぼす影響」
カール・ベッカー (こころの未来研究センター教授・倫理学, 宗教学)
14:45-15:30 ポスターセッション(稲盛財団記念館3階大会議室)
15:30-16:15 「<『はじ』の文化>再考~『古事記』からルース・ベネディクトまで」
鎌田東二 (こころの未来研究センター教授・宗教哲学, 民俗学)
16:15-16:45 指定討論
加藤忠史(理化学研究所脳科学総合研究センター シニア・チームリーダー・精神医学,脳科学)
16:45-17:30 総合討論
▽開催ポスター:右上の画像もしくはこちらをクリックするとPDFファイルが開きます。


■「『ひらく 広がる つながる』をコンセプトに」――挨拶 吉川左紀子センター長

PC152995.JPG 研究者、学生、教育関係者らが集まった報告会では、センター所属の3名の教授が「こころを知り未来を考える ~感情と身体~」という総合テーマのもと講演を行ない、指定討論者を交えた討論を行ないました。ポスター会場となった大会議室では、研究プロジェクトを紹介するポスターセッションが行われ、多くの参加者で賑わいました。

 中会議室での研究報告会では、はじめに吉川左紀子センター長が2012年度のセンターの歩みを振り返りました。センター連携MRI施設やブータン学研究室、寄付研究部門「上廣こころ学研究部門」などの設置を報告すると共に、社会に向けた情報発信として「ブータン文化講座」「東日本大震災関連プロジェクト」をはじめ、京都府との共同企画「こころの広場」、研究者と学生を対象とした「こころの科学集中レクチャー」など様々なイベントの開催を報告。他にも人の動きとして、入来篤史理化学研究所脳科学総合研究センターシニア・チームリーダー、北山忍ミシガン大学心理学部教授、下條信輔カリフォルニア工科大学生物学部教授ら3名の特任教授の着任など、新スタッフの紹介を行いました。

 また、設立5年半を経たセンターの将来に向けた展望として、「私たちのセンターは京都大学で最も小さなセンターですが、研究対象をひとつに絞るのではなく『やりたいことをすべて実行する』ことで、テーマが広がりさらにつながってひらいていく、そんな研究の場を目指して日々取り組んでいます」と特徴を紹介しました。

 そして、何を「つなぐ」かについて、「『異なる研究領域をつなぐ・社会と基礎研究をつなぐ・過去の伝統知と現代をつなぐ』をコンセプトに、今まで別のフィールドにあったものをつなぐことを目指しています。今後はさらに「『大学同士をつなぐ』連携ネットワークの場としての充実を図ること、『大学と社会をつなぐ』、企業もまじえたこころ学の研究教育を進めること、加えて医療従事者や教育者など社会のなかで『"支える人"を支える学びの場』として教育分野も視野に入れた取り組みを検討しています」と将来に向けた展望を話しました。


■研究報告1――「ものの好みはなにで決まる?」船橋新太郎教授・神経生理学、神経科学

PC153022.JPG ひとつめの研究報告では、神経生理学、神経科学を専門とする船橋新太郎教授が「ものの好みはなにで決まる?」という演題で発表しました。

 日常で自然に見られる「好みの違い」はいったいどうして起こるのか。例えばとっくり、例えば絵画展で立ち止まる絵の作者...etc.。それらの好みはどうやって決まるのでしょう?船橋教授の研究室では、こうした問いに対して、ものの好みを判断する部分として前頭葉眼下部に注目、サルを用いた行動実験を行っています。つるつる、ざらざら、ピカピカなど、光沢や質感などの変化を与えた実験対象となる画像を見たときの反応を測定し、どのようなパラメータが選好性に影響を与えるかを検証。それにより、サルによっては刺激の選好性が異なり、色付きか否かは選好性に影響を与えないものの、輪郭の強さに対する好みは明確にデータで示され、ぼんやりしたものよりははっきりとしたものが好まれる傾向が強いことなどが分かりました。発表では、それらの研究手法と得られた研究結果が、豊富な画像とデータ等で詳しく紹介されました。


■研究報告2――「看護師の燃え尽き:こころが職場に及ぼす影響」カール・ベッカー教授・倫理学、宗教学

PC153047.JPG 続いて、倫理学、宗教学を専門とするカール・ベッカー教授が、「看護師の燃え尽き:こころが職場に及ぼす影響」という演題で発表しました。

 超高齢化により医療従事者が慢性的に不足する現代社会において、看護師の疲弊とストレスが問題化していることに注目し、ベッカー教授は看護師の燃え尽きに繋がるとされる環境的要因と精神的要因、さらにストレスの時間的経過の影響などを突き止めるための研究を行っています。そのなかで介護者のストレスコーピング(ストレスへの対処法)として有用なSOC(: Sense of Coherence/首尾一貫感覚)に注目。SOCを測定することで看護師のストレス対処能力の違いを特定し、それによる適応状況の違いを明らかにするための大規模な調査研究の結果を報告しました。

 研究では、SOCが高いほど医療者の業務能力が高いことが分かりました。「SOC測定によって患者への虐待などの危険性回避や事前指導のための有効手段になりえ、看護師の離職防止などに繋ぐことが期待できる」と話し、今後はストレス低減のみならずいかにストレス対処能力やSOCを高められるか、またその支援をどうするか、さらなる研究と教育プログラムの開発と実践が必要、と話しました。


■研究報告3――「<『はじ』の文化>再考〜『古事記からルース・ベネディクトまで』」鎌田東二教授・宗教哲学、民俗学

PC153113.JPG 研究報告のしめくくりとして、宗教哲学、民俗学を専門とする鎌田東二教授が、「<『はじ』の文化>再考〜『古事記からルース・ベネディクトまで』」という演題で発表しました。

 2012年は古事記編纂から1300年という節目の年にあたります。長年、古事記や神話の研究を重ねる鎌田教授は、昨年秋の『古事記ワンダーランド』(角川新書)の上梓をはじめ、古事記や神話を独自の視点で読み解く解説書を多数出版しています。そのなかで教授は、古事記に見られる「はじ(辱・恥)」の感情が神々の身体の異様さに伴って生起されることに注目。イザナギ、イザナミ、トヨタマビメなど神話に代表される神々の物語に登場する「はじ」に関するエピソードを紹介。日本研究で知られるルース・ベネディクトが『菊と刀―日本文化の型』で語っていた「恥の文化」論、柳田國男の「罪の文化と恥の文化」(『民俗学研究』)、や作田 啓一の『恥の文化再考』などで論じられる「恥」と対比し、神話に表出される激烈な神々の「はじ」の感情と身体の変化が、日本人の精神性と身体性にいかに強く関わり、現代まで脈々と流れ続けているかを考察しました。

 また、「負の感情」を鎮めるために歌や祭りが用いられ、芸能へと繋がるプロセスを紹介。はじを源泉とする負の感情を鎮める方法としての歌や祭りの誕生について論じながら、「はじ」が発する感情と身体の内実と構造をより深く掘り下げ総合的に研究する必要があると話しました。
 
■指定討論 加藤忠史 理化学研究所脳化学総合研究センター シニア・チームリーダー・精神医学、脳科学

PC153124.JPG 研究会の指定討論者として、理化学研究所脳科学総合研究センターより加藤忠史先生にお越し頂きました。

 加藤先生はセンターの活動報告全体の感想として「こころの未来研究センターは、学会の枠を超えた非常にユニークな活動をおこなっていて、他にない研究の場だと思う」と述べ、各発表に対し、次のように話されました。

 「船橋先生は感情の物質的基盤としての身体を追究しており、ベッカー先生は対人関係や医療看護のなかで生じてくる感情、身体について研究を進め、鎌田先生は、個としての人を超えた社会の根底に流れている普遍的なテーマを扱っている。

 脳の生理学的な事象と対応させる船橋先生の研究では『ものの好み』に関係する各要素を分解し検証し、ベッカー先生は、『燃え尽き』という複雑な感情をSOCによって要素的部分をブレイクダウンして社会的な枠組みのなかで対応する方法を研究しているといえる。鎌田先生は、要素に分解するというよりは全体へ、という逆の強いベクトルが感じられ、千年の歴史を超えた普遍的なテーマとしての『はじ』を考察していたように思う。

 私たちは物質的な存在ではあるが、そこからできた脳が固体として活動して社会を形成している。我々の住む世界は多次元的であり、多次元だからこそ様々な出来事が起き、起きることそれぞれは様々な階層の境界面で起きている。そのようななか、いま起きている様々な社会問題が多次元的な存在としての人間の階層、その摩擦の間で起きているといえるのに関わらず、現代は学問が細分化し硬直化しており、ダイレクトに回答を与えることができない。そのようななか、こころの未来研究センターは、一見すると水と油のようなテーマを扱う分野を融合させる他にない学術センターであり、社会における『界面活性剤』のような役割を担っているといえる。今後のセンターの活動にも期待していきたい」。

 その後、報告を行った教授らをまじえた総合討論の場があり、全体を通しての質疑応答とディスカッションが活発に行われました。


■ポスター掲示およびポスターセッション――稲盛財団記念館3階大会議室

 報告会当日は、大会議室にて研究ポスターが掲示され、2時45分から3時30分までポスターセッションの時間が設けられました。

 センターにおける各研究プロジェクトを紹介する29枚のポスターが一堂に貼り出されるなか、報告会に参加したセンター内外の研究者や学生らが集い、それぞれのポスターの前で活発にディスカッションが繰り広げられました。

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当日配布されたアブストラクト集はこちらです。
 

第4回京都大学ブータン研究会が行われました。

【イベント名】第4回京都大学ブータン研究会 
【日時】 2012年12月4日(火)17:00~18:30
【場所】 京都大学こころの未来研究センター(稲盛財団記念館2階)225会議室
【発表者】 塩見康博氏(立命館大学理工学部・専任講師)
【講演題目】「Bhutan Transport 2040を紐解く」
コメンテーター 中嶋智之氏(京都大学経済学研究所・教授)

 【発表概要】
 幸福大国と言われるブータンも、近代化・国際化を進める上で少なからず問題を抱えています。その1つが近年の首都ティンプへの人口集中です。都市化が進む中で、どのようにして環境や文化を保全していくかということが課題とされていますが、もう1つ注目すべきは交通問題です。今回は、交通工学の専門家である塩見康博氏に、ブータンの交通の状況と今後の展望についてお話し頂きました。
近年のブータンでは、乗用車台数が急激に増加したことで、交通渋滞や騒音などの問題が発生しており、さらには死亡事故の数も増加傾向です。近代化を進める上で乗用車の利用は不可欠ですが、無計画に乗用車台数を増やせば、小国ゆえにその負の側面が顕著に現れます。塩見氏は、ブータンの長期的交通計画であるBhutan Transport 2040の概要と利点、さらには問題点および今後の対策について、具体的なシミュレーションをもとに解説されました。
 質疑応答中には、コメンテーターの中嶋智之氏が、ブータンの交通、産業、文化などについて、経済学的視点にもとづいたコメントを行い、また他の参加者からも、環境、産業的、文化、外交など様々な側面について多くの意見が寄せられ、活発な議論が取り交わされました。

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第7回身心変容技法研究会「『吾に辱(はじ)見せつ』を考える~『負の感情』の発生と鎮め方」が開催されました

12月6日、第7回身心変容技法研究会「『吾に辱(はじ)見せつ』を考える~『負の感情』の発生と鎮め方」が稲盛財団記念館中会議室にて開催されました。


PC062940.JPG▽日時:2012年12月6日(木)13:00-17:00
▽会場:稲盛財団記念館3階中会議室
▽テーマ:「吾に辱(はじ)見せつ」を考える~「負の感情」の発生と鎮め方
▽プログラム
13:00~14:40 発表1「『古事記』からのアプローチ」
発表者:鎌田東二(こころの未来研究センター教授・宗教哲学・民俗学)
14:50~16:30 発表2「臨床心理学からのアプローチ」
高見友理(島根大学教育学部附属教育支援センター講師)
16:30~17:00 総合討論
全体の司会進行:鎌田東二


 第7回目を迎える身心変容技法研究会では、『「吾に辱(はじ)見せつ」を考える~「負の感情」の発生と鎮め方』というテーマで、本研究会の研究代表者をつとめる鎌田東二教授と高見友理 島根大学教育学部附属教育支援センター講師が発表を行いました。

 鎌田教授は、古事記に登場する「吾に辱(はじ)見せつ」という言葉と説話パターンを取り上げ、世代を超えて日本人のこころに流れる「はじ(辱・恥)」の感情に注目。物語のなかで神々の感情を激発させ、怒りと共に異様な形相を伴って関係分断をもたらす引き金となる「はじ」という負の感情について、各ストーリーを読み解きつつ考察しました。

 はじめに教授は、今回のテーマが生まれた経緯を説明。8月に東日本大震災の被災地を訪問した際に出逢った荒神社の西舘宮司から聞いた喪失と再生にまつわる出来事(※)や、10月に出雲の地、松江で行われた日本パーソナリティ心理学会に参加した際、高見講師と共に猪目洞窟を訪れたことを紹介。それぞれのエピソードを繋げるテーマが、古事記における国譲り神話、国生み神話と繋がり、そこから出てきたのが「吾に辱(はじ)見せつ」に代表される負の感情であり今回のテーマとするに至った、と説明しました。そして、神話分析から「はじ」の感情と身体表現を、後半の高見講師は臨床心理の実例から「負の感情」とその鎮め方について発表する旨を紹介しました。(※詳しいお話はこちら

 続いて古事記の構成要素である宇宙起原神話、人類起原神話、文化起原神話を解説したのち、古事記上巻の構造について3つのポイントを説明。世界構造にある三層性、天皇の系譜、世界を「修理」するという生存戦略が語られていることなどを解説しました。さらに今回のテーマとなる「喪失」「はじ」などのキーワードが含まれる冒頭の国生み神話からはじまって、古事記上巻における4つのステージ展開(起承転結)を紹介しました。

 10月に出版した自著『古事記ワンダーランド』に込めた古事記のおもしろさ、おかしさのエッセンス、そして主要なキャストであるスサノヲの母恋物語、父による追放、怪物退治など一連の出来事と歌の発生について触れたのち、教授は本論である「吾に辱(はじ)見せつ」が含まれる古事記の各エピソードを解説。自分の腐敗した姿を盗み見されてしまったイザナミが感じた「はじ」、また、大山津見神が醜いイハナガヒメを送り返された際に感じた「はじ」、トヨタマビメが八尋鮫(やひろわに)に化けて出産する姿を見られ子を置いて去るほどに感じた「はじ」、それぞれの共通性を指摘しました。本居宣長、倉野憲司、西郷信網らによる過去の古事記研究を引用しながら、これまで大きく取り上げられることのなかった「吾に辱(はじ)見せつ」に関連する激しい負の感情が、日本人に脈々と流れる独自のものであるとし、その「はじ」が世界や関係性に修復不可能な亀裂・断裂・分断を産み出す源泉となりうると考察しました。

 発表のなかで、教授は出席者の女性に向け、『古事記』に記された女神の「はぢ」の感情の起こり方に対する意見を求め、参加者からは「隠していたものをあばかれ、聖なるものを犯されたときに生じる怒りは理解できる」「見られたことで憎しみが生じたのでは」などのコメントがありました。また、篠原資明 京都大学大学院人間・環境学研究科教授(哲学・美学・詩人)からはオルフェウスとの相違点、歌であればこそ負の感情が鎮められる点などの意見がなされ、奥井遼 こころの未来研究センター特定研究員からは「注目すべきはイザナミではなくイザナギの(見畏みて逃げ還った)リアクションではないか」といった多彩な意見が述べられました。

 後半は、高見友理 島根大学教育学部附属教育支援センター講師が「選択性緘黙(かんもく)だった青年との面接過程 ホムチワケに見る『反英雄』のイニシエーションの視点から」という演題で、負の感情を臨床心理学からのアプローチから考察した発表を行いました。

 高見講師は、古事記に登場する緘黙の子・ホムチワケの説話に注目し、実際の心理療法の現場で出会った選択性緘黙の少年との長期に渡るカウンセリングのなかで、少年がいかに閉じていた世界から心を開き、現実の生活へと踏み出していった道のりを細やかに紹介。兄と共謀し天皇を裏切り、火のなかで子を産んで去ったサホビメを母に持ち、言葉を発しないまま訪れた出雲の地でヒナガヒメと一夜を共にした際、ヒナガヒメの大蛇に変容する姿を見て逃げ帰ったのち話せるようになったホムチワケが歩んだ再生のストーリーと照らし合わせながら、自らを閉じて自分を語らなかった少年が、箱庭療法やカウンセラーとの対話を繰り返し重ねるなかで、自己否定から自己形成へ、カウンセリングとの結合から分離へ、そして現実生活へと踏み出していく過程を紹介。古事記と現代の心理療法の現場それぞれにおいて、負の感情がいかに鎮められていったか、その共通ポイントを挙げながら丁寧に解説しました。

 発表後には、「自分が語る身体と箱庭に関わる身体の違いは?」(鎌田教授)、「心理療法では何でも"言葉"にして治療するが、身体を使えばより効果があるのではないか」(舞踊、ダンスセラピーを専門とする木村はるみ 山梨大学准教授)、「第三のものがあって否定があり、否定の前に肯定があるのかもしれない」(篠原教授)など、多岐にわたるコメントが寄せられ、活発な議論が行われました。


以下、研究会ホームページに寄せた鎌田東二教授の報告コメントです。

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「『吾に辱見せつ』という『古事記』の言葉を、『古事記』そのものからと、現代の臨床倫理の現場の事例とを重ねるところから、挟み撃ちにしてみるという企画で、高見友里さんの反英雄イニシエーション・ホムチワケモデルの臨床事例があったために、『古事記』を古代人の心や感情の問題としてだけでなく、現代を生きるわたしたちの周りにある臨床事例として考えることができたことは、考察に立体性が生まれたと思います。

また、現代女性の感情の起こり方と『古事記』に記された女神や女性の「はぢ」の感情の起こり方に、意外な共通性や連続性があることに大変驚きました。1300年の時を超える『感情』というものがあるのですね。

また、篠原資明さんのコメントも面白く、話題の広がりと考察の糸口、(特に「第三のもの」)が色々ありました。

身心変容技法研究会ホームページ「研究問答」より)
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〜研究会風景・登壇者とおもなコメンテーター〜

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2012年の身心変容技法研究会は12月18日、第8回身心変容技法研究会+こころ観・ワザ学研究会合同研究会で終了となります。年があけて1月30日には第9回、1月31日には第10回(本年度最終)の研究会が行われる予定です。

研究プロジェクトについて、詳しくは「身心変容技法研究会」のホームページをご覧ください。
身心変容技法研究会HP
http://waza-sophia.la.coocan.jp/

第6回身心変容技法研究会「シャーマニズム/修験道における身心変容技法」が開催されました

10月4日、第6回身心変容技法研究会「シャーマニズム/修験道における身心変容技法」が稲盛財団記念館中会議室にて開催されました。


PA041851.JPG▽日時:2012年10月4日(木)13:00-17:00
▽会場:稲盛財団記念館3階中会議室
▽テーマ:「シャーマニズム/修験道における身心変容技法」
▽プログラム
13:00~14:40 発表1「モンゴルのシャーマニズムにおける身心変容技法」
発表者:アルタンジョラー(こころの未来研究センター・ワザ学共同研究員・科研研究協力者・文化人類学)
14:50~16:30 発表2「出羽三山・羽黒修験の身心変容技法」
奥井遼(こころの未来研究センター特定研究員・教育学)
16:30~17:00 総合討論
全体の司会進行:鎌田東二(こころの未来研究センター教授・宗教哲学・民俗学)


今回は「シャーマニズム/修験道における身心変容技法」というテーマで、こころの未来研究センター・ワザ学共同研究員のアルタンジョラー研究員(文化人類学)と、同じくセンター特定研究員の奥井遼研究員(教育学)が発表を行いました。

発表1のアルタンジョラー研究員は、「モンゴルのシャーマニズムにおける身心変容技法」を演題とし、内モンゴルでのフィールド調査を行った研究成果や文献資料を紹介。モンゴル・シャーマニズムにおける「ブォ」と呼ばれる霊的病気に対する治療儀礼を取り上げ、「火を食する」「羊の生血を飲む」「磁器を噛み砕き、煙草を逆向きに吸う」などの儀礼過程におけるシャーマンのトランス・憑依状態の動画を詳しく解説し、身心変容技法における知識と信念と霊的力の意味と関係性について考察しました。発表後には、こころの未来研究センターの熊谷誠慈特任准教授(仏教学・チベット学)や松下賀和研究員(チベット仏教哲学)、京都文教大学の永澤哲准教授らがコメントし、質疑応答が行われました。

続いて、発表2の奥井遼研究員は、「出羽三山・羽黒修験の身心変容技法」というテーマで研究紹介発表を行ないました。自身が実際に参加した7日間に渡る羽黒修験荒澤寺秋の峰入りの体験プロセスを紹介し、十界修行(地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人界・天界・声聞界・縁覚界・菩薩界・仏界)を経て、その身のまま仏となり擬死再生する過程のなかにおける身体の変容、感覚の変化、信仰の場にいる身体的意味について、実践体験をもとに考察しました。奥井研究員の発表に対して、関西学院大学の倉島哲准教授や広島大学大学院総合科学研究科の町田宗鳳教授らから入峰の動機、修行中のふるまい方、「気」を感じたかどうか、など様々な質問が寄せられました。

また、2名の発表と質疑応答を終えた後には、日本学術振興会特別研究員PD・大谷大学の小西賢吾研究員や、木村はるみ山梨大学准教授らから質問やコメントが多数寄せられ、終始活発な議論が繰り広げられました。

以下、研究会ホームページに寄せた鎌田東二教授の報告コメントです。

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「アルタンジョラーさんの発表は、内モンゴルで『ブォ』と呼ばれるシャーマンのトランス・憑依状態の動画を含む大変インパクトのある発表でした。ブォになっていく過程の中で、憑依儀礼や白鳶の歌や悪霊払いや難関越えを身につけ、体験する、その中から学び、感受し、霊的交流を拡大していく、その様子や過程がダイナミックに示され、モンゴルシャーマニズムおよびシャーマニズムや霊的交流経験において霊的力と知識とは何か、という問題提起がなされたと思います。大変興味深い内容でした。

続く、奥井遼さんの発表は、タイトル通り、奥井さんが身を持って経験した羽黒修験の「身心変容技法」について、先行研究を踏まえて、概要、コスモロジー、修行の身体論、身体にとっての「修験」の意味と変容という角度から切り込んでいく挑戦的な発表でした。」

身心変容技法研究会ホームページ「研究問答」より)
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〜研究会風景・登壇者とおもなコメンテーターの方々〜

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次回の身心変容技法研究会は12月6日、「吾に辱(はじ)見せつ」を考える~「負の感情」の発生と鎮め方」をテーマに開催されます。

研究プロジェクトについて、詳しくは「身心変容技法研究会」のホームページをご覧ください。
身心変容技法研究会HP
http://waza-sophia.la.coocan.jp/

河合教授が日本箱庭療法学会・日本ユング派分析家協会合同震災対策ワーキンググループの研修会「震災とこころのケア」で講演しました

P1000073.JPG河合俊雄教授が委員長を務める日本箱庭療法学会・日本ユング心理学会合同震災対策ワーキンググループの主催する研修会『震災とこころのケア』が、10月8日、福島市三河南町のコラッセふくしまで開催されました。

日本箱庭療法学会・日本ユング心理学会合同震災対策ワーキンググループは、東日本大震災後の被災者へのサポートと心理支援の取り組みを継続して行なっています。研修会は昨年に引き続き、被災地で「こころの支援者」として活動する現地の臨床心理士や教育・福祉・医療関係者を対象に開催しました。当日は64名の参加があり、盛況となりました。

第一部の全体会では、河合教授が「震災のこころのケアと視点:大きな物語と小さな物語」という演題で講演を行ないました。震災という「大きな物語」と、個人の生きる「小さな物語」との関わりや差異について、これまでの活動内容や物語などの題材をもとに分かりやすく解説し、参加者にもたいへん好評でした。

第二部の分科会では、「派遣による心理療法」をテーマとする河合教授のレクチャーや事例発表が行なわれるなど、各会それぞれにおいて活発なディスカッションが繰り広げられました。

研修会のプログラムは以下の通りです。

▽日本箱庭療法学会 日本ユング派分析家協会 合同震災対策ワーキンググループ 主催「震災とこころのケア」
▽開催日時:2012年10月8日(月・祝)
▽場所:コラッセふくしま(福島市三河南町)

<第一部>全体会 10:00 - 12:00 

演題:「震災のこころのケアと視点:大きな物語と小さな物語」
講師:京都大学こころの未来研究センター 河合俊雄
会場:3F 企画展示室

<第二部>分科会 13:00 - 16:00

第一分科会「派遣による心理療法」
講師:京都大学こころの未来研究センター 河合俊雄

第二分科会「攻撃的表現の意味と機能」
講師:茨城大学大学院教育学研究科 岸良範

第三分科会「イメージを用いた心理療法における基本的スタンス」
講師:京都大学大学院教育学研究科 田中康裕

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(報告:こころの未来研究センター特定助教 畑中千紘)

第3回京都大学ブータン研究会が行われました。

【日時】 2012年10月4日(木)17:00~18:30
【場所】 京都大学こころの未来研究センター(稲盛財団記念館2階)225会議室
【発表題目】「ブータンの歴史と仏教」
【発表者】 熊谷誠慈氏(京都女子大学発達教育学部・講師、京都大学こころの未来研究センター・特任准教授)
【コメンテーター】小西賢吾(日本学術振興会特別研究員PD・大谷大学)

【発表概要】
 ブータン仏教は古代から現在まで長らくブータン人たちの精神的基盤であり続けてきたため、ブータンではいたるところで仏教との関わりが見うけられます。そこで今回は、チベット・ブータン仏教専門家の熊谷誠慈氏により、ブータンの歴史に即しながらブータン仏教の概説が行われました。
 熊谷氏は、ブータンという国の歴史について、1.前期伝播期(7~9世紀)、2.後期伝播期(11~16世紀)、3.ドゥク派政権期(17~19世紀)、4.ブータン王国期(20~21世紀)という4つの時代区分を提唱しました。さらに同氏は、ブータンが独立国家として独自のブータン仏教を構築したのは17世紀半ば以降であり、それ以前の仏教はあくまでチベット仏教の一派と考えなければならないことから、ブータンおよびブータン仏教は、時代的な流れに加え周辺地域との関係性の中で捉える必要があると訴えました。
 質疑応答中には、チベットとブータンとでどのような類似性・相違性があるのかといった質問から、仏教的な視点に加えヒマラヤ文化および個々の地域の特性にも着目する必要があるという提言にいたるまで、異なる領域の専門家たちが集まったことにより多角的な議論が行われました。


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こころの科学集中セミナー2012「原発と潜在認知」が開催されました

1209241.png9月5日から7日までの3日間、こころの未来研究センター特任教授の下條信輔カリフォルニア工科大学教授による、こころの科学集中セミナー2012「原発と潜在認知」が稲盛財団記念館中会議室で行なわれました。

下條教授は現在、カリフォルニア工科大学生物学部の計算神経系教授として研究活動を行なっているほか、センターの特任教授として定期的に来日し、最新の研究動向を発信しています。東日本大震災直後からは、福島原発事故についての論考を朝日新聞社の言説サイト「WEBRONZA(ウェブロンザ)」に寄稿し、認知心理学者の立場から独自の意見提起を続けています。

今回のセミナーでは、これまで発信してきた原発に関する数々の論考を現時点で総括する試みとして、3日間に渡って原発をめぐる人間の心理や人間の在り方についてレクチャーを行ないました。

下條教授は自身の専門分野である知覚心理学、視覚科学、認知神経科学分野における研究事例やデータを用いながら、「潜在認知のバイアスと限界」をキーワードに「(1)ヒトの本性、認知の限界」「(2)ニュース/社会現象を読み解く新しい視点」「(3)原発をどうするのか」という3つの論点を軸に講義を進め、ヒトが原発という巨大システムとどう関わってきたのか、事故経験とどう向き合ったのか、未来のリスクと対峙するなかで今後の危機管理をどうすべきなのか、といった課題について鋭く分析、検証しました。

また、各日の発表後にはゲストとして初日は青野由利 毎日新聞専門編集委員・論説委員、2日目は利島保 広島大学名誉教授、3日目は高橋真理子 朝日新聞編集委員が登壇し、吉川左紀子こころの未来研究センター教授をはじめとするセミナー参加者も積極的に質疑に加わり、活発なディスカッションが行なわれました。


追記(10月5日):
セミナー初日ゲストの青野由利氏(毎日新聞)が、10月5日付の毎日新聞「発信箱:脳のクセと原発=青野由利(論説室)」で、本セミナーに参加した感想をもとにコラムを執筆されています。

記事はこちら >>毎日JP「発信箱:脳のクセと原発=青野由利(論説室)」


集中レクチャーの内容は以下の通りです。

▽タイトル「原発と潜在認知」(下條信輔 こころの未来研究センター特任教授)
▽開催日時:2012年9月5日(水)・6日(木)・7日(金)18:00-20:00
▽場所:稲盛財団記念館 中会議室
▽プログラム
<9月5日(水)>
セミナーの基本方針説明
レクチャー(90分)
1.ブラックスワンとビッグ・ミステリー
2.パニック行動と、危機管理。
3.心理リアリティと実態(体)リアリティ
討論(30分/ゲスト:青野由利 毎日新聞専門編集委員・論説委員)
<9月6日(木)>
レクチャー(90分)
4.ヒトは見たいものしか見(え)ない ~コミットメントと、ギャンブラーズ・ファラシー
5.「後の祭り」を科学する ~ハインド・サイト、ポストディクション
6.ヒトは馴れの動物(前半)
討論(30分/ゲスト:利島保 広島大学名誉教授)
<9月7日(金)>
レクチャー(90分)
6. ヒトは馴れの動物(後半)
7.原発をめぐるカネと心
8.仲間意識と「たらい回し」問題-廃棄物など
9.結論-未来へ
討論(30分/ゲスト:高橋真理子 朝日新聞編集委員)

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第17回注意研究会が開催されました

2012-08-06no1.png7月30日、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のAdam Gazzaley准教授を迎え、第17回注意研究会が開催されました。

Adam Gazzaley准教授は、fMRIを用いた研究を専門とし、ヒトの脳機能の加齢に対する影響の研究では第一人者です。研究会では、"Neural networks underlying top-down modulation of visual processing"という演題にて講演を行なっていただきました。


▽日時:2012年7月30日(月)16:30-18:00
▽場所:京都大学 総合人間学部棟 1102講義室
▽主催:こころの未来研究センター 船橋研究室 HP
▽講演者:Adam Gazzaley, MD, Ph.D.
     Associate Professor of Neurology, Physiology, and Psychiatry
     Director of Neuroscience Imaging Center,
     University of California, San Francisco
▽演題:"Neural networks underlying top-down modulation of visual processing."
▽講演概要:
Top-down modulation is a bi-directional process that underlies our ability to focus our attention on task-relevant stimuli and ignore irrelevant distractions by differentially enhancing or suppressing neural activity in sensory cortical regions. It is believed that this modulation is not an intrinsic property of visual cortices, but is achieved via functional connectivity between sensory brain regions and a distributed network of frontal and parietal regions. I will present new data from our lab that reveals differential entrainment of stimulus-selective, visual association cortical areas with regions of the "frontal-parietal attention network" or the "default network" depending on the participant's goals. Additionally, there is sparse evidence in humans that a direct causal connection exists between prefrontal control regions and visual cortical activity modulation. Using a multi-modal approach that couples fMRI, rTMS and EEG, I will present evidence for a direct role of the inferior frontal junction (IJF) in top-down modulation of feature processing and its influence on subsequent working memory.


〜研究会の様子〜

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第2回京都大学ブータン研究会を開催しました

▽日時:2012年7月19日(木)
▽会場:京都大学こころの未来研究センター225会議室
▽参加者:計13名
▽発表者:『龍の国の扉』坂本龍太(京都大学白眉センター特定助教)


7月19日に開催した「第2回京都大学ブータン研究会」には、「京都大学ブータン友好プログラム」のメンバーを中心として計13名の研究者が参加しました。

今回は、坂本龍太氏(本学白眉センター特定助教)に、「龍の国の扉」という題目でご発表頂きました。同氏が、いかなる経緯でブータンに興味を持ち、これまでどのようにブータン研究に取り組んでこられたかなどについて、ご自身の体験をもとにお話を頂きました。

まずは、イントロダクションとして、桑原武夫・芦田譲治両教授を発端とする、これまでの京大とブータンとの関わりについて概論されました。

続いて、坂本さんご自身がブータンを初めて訪問するまでの経緯、現地の役所・研究機関とのコンタクトの取り方、地方でフィールド調査を開始する手順、現地スタッフ・住民との関わり方など、本格的な研究開始に至るプロセスについて紹介されました。

また、坂本さんは、タシガン県のカリンという、いわばブータンの僻地において医療活動・研究をしてこられましたが、日本の先進医療を施設や機材に乏しい現地にそのままの形で持ち込むのは困難なため、予防医療体制の構築に尽力し、村人主導での健康診断を開始するなど、健康に対するコミュニティ全体の意識を高めてこられました。

最後に、ブータンにおいてとりわけ重視される相互扶助や友好関係建設の必要性について言及し、発表を締めくくられました。


発表終了後には、時間を延長して活発な議論が闘わされました。以下に、いくつか意見を紹介します。
・ブータン研究を開始するための労力は、1990年代から現在に至るまでほとんど変わっていない。
・[Q]メールを送信しても返事がないが、どうすればよいのか?[A]ブータンの人たちはメールの送受信をこまめに行わないため、返信が無かったり遅れたりすることがよくある。解決策としては、根気よく何度もメールを送り続けるか、電話で連絡をとるか、あるいは直接面会することが望まれる。相手と面識がない場合には、双方に共通の知人を介してコンタクトを取るのがよい。
・坂本さんのブータン高地医療研究は、わが国にも応用可能である。つまり、過疎化・高齢化が進む農村地帯の将来的な医療体制のモデルとなり得るほか、病気治療に対する莫大な投資の結果、医療費の増加に歯止めのかからないわが国の現状に鑑みて、地域密着型の予防医療体制の整備は、患者の減少・医療費の削減を可能とする。
・[Q]ブータンでは基礎研究がどのように位置づけられるのか?或いはそもそも基礎研究が可能なのか?[A]ブータンでは如何に学術的な価値があろうと、人々の現実的な幸福に結びつく研究活動でなければ支持を得ることは難しい。したがって、歓迎されるのは、貢献型の応用的研究である。ただし、将来的な幸福をしっかりと念頭に置いたものであれば、基礎研究も一定の理解が得られると思われる。

今回は坂本氏に、ブータン研究入門も兼ねたご発表をして頂きましたので、初心者の方にも分かりやすかったのではないかと思われます。一方、これまで手探りでブータン研究に取り組んできた専門家の方々にとっても、各自の研究法を改めて見直す良い機会になったかと思います。坂本氏個人のご研究の詳細については、別の機会を設けて、ご発表頂く予定です。


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なお、第1回京都大学ブータン研究会の概要はこちらでご覧いただけます。

第5回身心変容技法研究会が開催されました

2012-07-27no1.png7月12日、第5回身心変容技法研究会が稲盛財団記念館大会議室にて開催されました。


▽日時:2012年7月12日(木)13:00-17:00
▽会場:稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
発表者:鎌田繁(東京大学東洋文化研究所教授・宗教学・イスラム神秘主義研究)
テーマ:「スーフィズムにおける身心変容技法について」
(鎌田氏の著書・論文としては、『超越と神秘-中国・インド・イスラームの思想世 界』(共著) 大明堂、1994年、『モッラー・サドラーの霊魂論-『真知をもつ者たち の霊薬』校訂・訳注並びに序説』 イスラム思想研究会、1984年、「シーア派神秘思 想とスーフィズム:その連続性とクルアーンの役割」(小林春夫他編『イスラームに おける知の構造と変容 - 思想史・科学史・社会史の視点から -』早稲田大学イス ラーム地域研究機構、2011年、などがある)
コメンテーター:倉島哲(関西学院大学准教授)

研究紹介発表:中野民夫(同志社大学大学院総合政策科学研究科ソーシャルイノベーションコース・ファシリテーション論)
研究計画発表:中川吉晴(同志社大学社会学部・ホリスティック教育学)
全体の司会進行:鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター教授・宗教哲学・民俗学)


今回は「スーフィズムにおける身心変容技法について」というテーマで、東京大学東洋文化研究所の鎌田繁教授(宗教学・イスラム神秘主義研究)が発表を行ないました。イスラーム神秘主義への考察、スーフィの技法である「ズィクル」を主に取り上げ、ズィクルの実践が人の心や意識にどのように働きかけるか、具体的な事例と共に紹介しました。続いて関西学院大学の倉島哲准教授(社会学・身体技法論)がコメンテーターとして意見を述べたのち、参加者との質疑応答が行なわれました。

続いて同志社大学大学院総合政策科学研究科(ソーシャルイノベーションコース)の中野民夫教授(ファシリテーション論)が、「ワークショップにおける身心変容技法 〜調身・調息・調心と自然体験の工夫〜」というテーマで研究紹介発表を行ないました。ワークショップの企画プロデューサーとして長年活動を続ける中野氏が、身心変容技法に通じる「調身・調息・調心」の実践方法を紹介し、実際に参加者と共にミニ実習を行ないました。

最後に、同志社大学社会学部の中川吉晴教授(ホリスティック教育学)が研究計画発表を行ないました。これまでの観想教育の研究の歩みと取り組み、アジア各国やアメリカ、カナダ等における教育研究機関との関わりとネットワーク作りへの展望等についての紹介がありました。

各発表を通して、参加者からは積極的な意見や質問が相次ぎ、活発な議論が繰り広げられました。


〜研究会風景〜

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次回の身心変容技法研究会では、道教やシャーマニズム、芸能等をテーマとする発表が行なわれる予定です。
研究プロジェクトについて、詳しくは「身心変容技法研究会」のホームページをご覧ください。

身心変容技法研究会HP
http://waza-sophia.la.coocan.jp/

第4回の模様とプロジェクトの紹介はこちら
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/news/2012/07/post_38.html

センター特任教授の下條信輔カリフォルニア工科大学教授との研究会が開催されました

2012-07-03no1.png6月28日、こころの未来研究センター特任教授の下條信輔カリフォルニア工科大学教授との研究会が行なわれました。

本年4月よりセンター特任教授となった下條教授は、知覚心理学、視覚科学、認知神経科学を専門領域とし、現在、カリフォルニア工科大学生物学部の計算神経系教授としてグローバルに活動されています。

研究会では、下條教授の研究グループの最近の研究成果の発表と共に、こころの未来研究センター関連の研究から下條教授の専門分野に近いテーマの研究発表が5人の研究者によって行なわれました。各発表後には、全体のコメンテーターとして参加した下條教授から鋭い意見が述べられると共に、今後の研究に向けての示唆に満ちたアドバイスが寄せられ、終始活発なディスカッションが繰り広げられました。


研究会の内容は以下の通りです。

▽開催日時:2012年6月28日(木)10:00-12:30
▽場所:稲盛財団記念館 小会議室
▽研究発表プログラム
・10:00-10:30 下條英子 (カリフォルニア工科大学 Scientific Research Associate)
         『顔の浸透効果に関する最近の研究』
・10:30-10:45 上田祥行(こころの未来研究センター研究員)
         『課題非関連な笑顔がヒトの認知処理に及ぼす影響』
・10:45-11:00 吉川左紀子(こころの未来研究センター教授)
         『微笑み効果:対面状況の表情のドミナンス判断』
・11:00-11:15 布井雅人(教育学研究科博士課程)
         『選好判断への他者の人数の影響力についての検討』
・11:15-11:30 伊藤文人(東北大学大学院医学系研究科博士課程)
         『他者の顔に対する選好の神経基盤』
・11:30-11:45 阿部修士(こころの未来研究センター助教)
         『正直さの脳内メカニズム』
◎全体を通してのコメンテーター:下條信輔 (カリフォルニア工科大学教授・センター特任教授)


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鎌田教授を代表研究者とする「身心変容技法」の研究プロジェクトが進行しています

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こころの未来研究センター・鎌田東二教授を代表研究者とする「身心変容技法の比較宗教学-心と体とモノをつなぐワザの総合的研究」が進んでいます。


6月25日には、第4回身心変容技法研究会が開催され、東京大学大学院人文社会系研究科の蓑輪顕量教授が「仏教における瞑想とその展開」をテーマに講演しました。概要はひとつ前の記事をご覧ください。


2012-07-02-2no2.pngコメンテーターとして高野山大学の井上ウィマラ准教授と、京都大学の篠原資明教授が登壇。参加者も交えた積極的な意見交換と質疑応答がおこなわれました。また、後半には京都大学の小倉紀蔵教授も加わり、研究計画発表がおこなわれました。


(過去の研究会の発表者は、身心変容技法研究会ホームページ「研究会」に掲載しています。
http://waza-sophia.la.coocan.jp/kennkyuukai.htm )


心身変容技法研究会のはじまりと目的


身心変容技法研究会は、2011年より足掛け4年に渡り研究がおこなわれるプロジェクトです。研究メンバーとして、こころの未来研究センターからは代表研究者の鎌田教授をはじめ、河合俊雄教授(研究分担者)、吉川左紀子センター長(連携研究者)、長谷川千紘研究員(幹事)らが名を連ねています。


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研究目的
20世紀末、21世紀は「心の世紀」になると期待された。だが現実には、2010年現在、未来社会へのグランドデザインは描けず、「心の荒廃」が社会問題となっている。このような時代状況下、「心の荒廃」から抜け出ていくための宗教的リソースないしワザ(技術と知恵)として、「身心変容技法」に着目する。神秘思想における観想、仏教における止観や禅や密教の瞑想、修験道の奥駆けや峰入り、滝行、合気道や気功や太極拳などの各種武道・芸道等々、さまざまな「身心変容技法」の諸相(特色)と構造(文法)と可能性(応用性)を、文献研究・フィールド研究・実験研究・臨床研究 の手法により総合的に解明し、現代を生きる個人が自分に合ったワザを見出し、活力を掘り起こしながらリアルな社会的現実を生き抜いていくことに資する研究成果を社会発信する。

「身心変容技法の比較宗教学-心と体とモノをつなぐワザの総合的研究」概要より
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2012-07-02-2no3.png鎌田教授は、宗教哲学、民俗学を専門領域とし、日本思想史、比較文明学など様々な研究分野の垣根を超え、宗教と人、聖地と人との関わりを見つめながら、世界と日本各地でのフィールドワークや文献思想研究を実践しています。


身心変容技法研究会では、多彩な研究メンバーによる最新の臨床心理学や精神医学の臨床研究や認知科学や、脳神経科学の実験研究を結びつけ、身体と心との相互的な関わりをワザやモノを媒介として分析することを通して「心の荒廃の時代」を突破する理論と実践を提示していきます。


また、最新設備を活用した研究の試みも進めています。こころの未来研究センターには2012年3月、文系研究機関では初めて「連携MRI研究施設」が設置され、「fMRI装置」の利用が始まりました。この最新設備と装置を活用し、例えば瞑想指導者や禅および念仏指導者の瞑想状態も測定するなど、科学的データを用いた研究も積極的におこなっていきます。

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研究会が発足して2年次となる今年度は、公開ワークショップやシンポジウムを開催しながら3年次へと繋げつつ、平成26年度の最終年度には、集大成となる国際シンポジウム、ワークショップ、公開演技を行ない、単行本へのまとめなどを通じて、社会に還元することを予定しています。


次回の第5回研究会は、7月12日に開催される予定です。
研究会について詳しくは、「身心変容技法研究会」のホームページをご覧ください。


身心変容技法研究会HP
http://waza-sophia.la.coocan.jp/

第4回身心変容技法研究会が行われました。

第4回身心変容技法研究会


日時:2012年6月25日(月)13時~17時
会場:稲盛財団記念館3階中会議室


発表者:蓑輪顕量(東京大学大学院人文社会系研究科教授・仏教学)
発表題目:「仏教における瞑想とその展開」
(蓑輪氏の著書としては、『仏教瞑想論』春秋社、2008年、『中世初期南都戒律復興の研究』法蔵館、1999年、『日本仏教の教理形成 法会における唱導と論義の研究』 大蔵出版、2009年などがある。)
コメンテーター:井上ウィマラ(高野山大学准教授)、篠原資明(京都大学教授)
研究計画発表:井上ウィマラ・篠原資明・小倉紀蔵(京都大学教授)

詳しくは、「身心変容技法研究会」のHP:http://waza-sophia.la.coocan.jp/をご覧ください。


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第1回持続可能性ワークショップが開催されました。

5月28日(月)に「持続可能性と幸福研究」ネットワーク主催の第1回 「持続可能性と幸福度に関するワークショップ」が行われました。

経済学研究科の諸富徹教授、経済研究所の佐藤正弘准教授、こころの未来研究センター内田由紀子准教授の3名が持続可能性と幸福度に関して検討するワークショップを開催し、多くの領域の研究者、大学院生の方々との連携による、幸福研究、環境経済とのディスカッションが行われました。


▽開催日時:2012年5月28日(月)15:00~17:00(14:40受付開始)
▽会 場: 京都大学 芝蘭会館 別館2階研修室1
▽プログラム
・15:00 主催者挨拶
・15:05 報告および質疑応答
・諸富徹 (京都大学大学院経済学研究科 教授)
     『幸福と持続可能性:理論と概念整理』
 
・佐藤正弘(京都大学経済研究所 准教授)
     『幸福から考える持続可能性の概念と指標』
・内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター 准教授)
     『幸福研究の文化心理学的視座:国際比較からわかること』
・16:00 参加者を交えた全体討論


イベント概要はこちらご覧ください


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第1回京都大学ブータン研究会を開催しました。

2012年5月10日(木)、「京都大学ブータン研究会」第1回研究会を開催し、ブータンに関する情報交換を行うとともに、研究会の方針について話し合いました(参加者17名)。ブータンは、幸福や環境などの優れた取り組みが注目されており、学術の領域においても多くの研究余地を残した非常に魅力的な国であることが、各分野の研究者から述べられました。また、「現代社会論的視点、伝統文化論的視点のどちらかを偏重することなく、バランスよく議論・分析を行う必要がある」、「手持ちの基準を安易にあてがうのではなく、白紙の状態から、ブータンの文化・社会を柔軟な姿勢で理解・評価していく必要がある」など、今後の研究活動に向けた様々な意見・提言が出されました。


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MIDJA(Midlife in Japan)との共催ワークショップ Culture, well-being, and health が開催されました。

こころの未来研究センターでは4月21日に、「幸せ」に関するプロジェクト「MIDJA(midlife in Japan)」と共催して、ワークショップ「Culture, well-being, and health」を開催し、ヘーゼル・マーカス先生、クリストファー・コー先生、北山忍先生による講演を研究者・大学院生を対象に公開しました。


日時: 2012年4月21日(土曜) 15時 ~17時
場所:京都大学 芝蘭会館 別館 研修室2


司会進行: キャロル・リフ Carol Ryff (ウィスコンシン大学・教授)


ヘーゼル・マーカス Hazel Markus (スタンフォード大学教授)
“How to live a good life in Japan and the U.S.”


クリストファー・コー Christopher COE (ウィスコンシン大学教授)
“Lessons from Japan about the worldwide epidemic of diabetes”


北山忍(ミシガン大学教授/京都大学こころの未来研究センター特任教授)
"Culture and emotion regulation: Learning from the MIDJA/MIDUS project"


参加研究者一覧や会議の概要等はこちらのリンクをご覧ください


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こころの科学特別レクチャーが行われました。

2011年度こころの科学集中レクチャーが行われました。学生・研究者を対象に、こころのはたらきのもつ不思議さ、おもしろさをより深く理解するために、国内外からさまざまな専門領域の講師を招いて実施しています。
2011年度集中レクチャーでは、2009・2010年度のレクチャーに引き続き、「こころの謎」に、社会・文化・遺伝から多角的に迫ることを目的に、ミシガン大学・北山忍先生(文化心理学)、慶應義塾大学・安藤寿康先生(行動遺伝学)、北海道大学・亀田達也先生(社会心理学)を講師にお迎えして、3日間連続の講義とディスカッションを行いました。
日時: 2012年3月2日(金)、3日(土)、4日(日) 10:00-17:00
場所: 京都大学稲盛財団記念館 3階 中会議室 アクセス
講  師:
北山 忍 先生 (ミシガン大学 心理学部教授 文化・認識プログラム所長)
    専門:文化心理学、社会心理学
安藤 寿康 先生 (慶應義塾大学 文学部教授) 
    専門:行動遺伝学、教育心理学
亀田 達也 先生 (北海道大学大学院 文学研究科教授 社会科学実験研究センター長) 
    専門:社会心理学、意思決定、行動生態学


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震災関連第2回研究会が行われました。

震災関連第2回研究会が行われました。
2012年1月24日(火)14:00-18:00 京都大学百周年時計台記念館2階 会議室Ⅲ

Japan-France Joint Symposium onNeural Dynamics and Plasticity: from Synapse to Network(神経ダイナミクスと可塑性:シナプスから神経回路まで)が行なわれました。

日時:2012年1月12日(木)— 13日(金)9:00–17:00 (両日とも)
Date: January 12 – 13, 2012
場所:京都大学 稲盛財団記念館 3階大会議室
  (荒神橋東詰、川端通沿いの南北に細長い新しい建物)
Place: Large Conference Hall, 3rd Floor, Inamori Center, Kyoto University


Participants:
From Japan
Shigeru Shinomoto (Kyoto University Graduate School of Science)
Tomoki Fukai (RIKEN Brain Science Institute)
Jeff Wickens (Okinawa Institute of Science and Technology)
Hiroyuki Ito (Kyoto Sangyo University)
Tadashi Ogawa (Kyoto University Graduate School of Medicine)
Nobukazu Isomura (Tamagawa University Brain Science Institute)
Kei Watanabe (Kyoto University Kokoro Research Center)
Shintaro Funahashi (Kyoto University Kokoro Research Center)

From Korea
Min Whan Jung (Ajou University School of Medicine, Korea)

From France
David Hansel (Universite de Paris Descartes, France)
Thomas Boraud (University of Bordeaux, France)
Carl van Vreeswik (Universite de Paris Descartes, France)
Gianluigi Mongillo (Universite de Paris Descartes, France)
Arthur Leblois (Universite de Paris Descartes, France)


[プログラム]

12日(木曜日)
9:30-9:40 Introduction
          Shintaro Funahashi (Kyoto University Kokoro Research Center)
第一部: Prefrontal cortex
9:40-10:20 “Prefrontal neural correlates of cognitive capacity limitation and its adaptive allocation revealed by a dual-task paradigm”
         Kei Watanabe (Kyoto University Kokoro Research Center)
10:20-11:00 “Prefrontal activity during trial-and-error knowledge updating”
         Tadashi Ogawa (Kyoto University Graduate School of Medicine)
11:00-11:15 休憩
11:15-11:55 “Neural activity related to value-based decision making in rodent frontal cortex”
         Min Whan Jung (Ajou University School of Medicine, South Korea)
11:55-12:35 “Multimodality decision making process in the cortex-basal ganglia loop”
         Thomas Boraud (University of Bordeaux, France)
12:35-14:00 昼食
第二部: Synaptic mechanisms
14:00-14:40 “Intracortical mechanism of voluntary movements”
         Yoshikazu Isomura (Tamagawa University Brain Science Institute)
14:40-15:20 “Balanced network model for working memory”
         Gianluigi Mongillo (Universite de Paris Descartes, France)
15:20-15:40 休憩
15:40-16:20 “A bistable model of logarithmic STDP underlies working memory”
         Tomoki Fukai (RIKEN Brain Science Institute)
16:20-17:00 “Some aspects of computation in cortical networks in balanced states”
         David Hansel (Universite de Paris Descartes, France)
17:00-18:00 討論


13日(金曜日)
第三部: Neural networks
9:30-10:10 “Correlated trial variability in cat visual cortex and the possibility of their stimulus dependences”
         Hiroyuki Ito (Kyoto Sangyo University)
10:10-10:50 “Reading neuronal spike trains”
         Shigeru Shinomoto (Kyoto University Graduate School of Science)
10:50-11:10 休憩
11:10-11:50 “Some aspects of computation in cortical networks in balanced states”
         Carl van Vreeswijk (Universite de Paris Descartes, France)
11:50-13:30 昼食
13:30-14:10 “Plasticity and neural dynamics in the corticostriatal network”
         Jeff Wickens (Okinawa Institute of Science and Technology)
14:10-14:50 “Dopamine modulates information flow through the basal ganglia and regulates behavioral variability”
         Arthur Leblois (Unversite de Paris Descartes, France)
14:50-16:00 討論


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"Workshop on Evolution, Culture, and Reasoning"が行なわれました。

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Workshop on Evolution, Culture, and Reasoning
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科研費基盤(B)研究「コンテクストの高低という視点からみた西洋と東洋における認識の文化差についての研究」(研究代表者:山祐嗣・大阪市立大学教授)と、京都大学こころの未来研究センター連携研究プロジェクト「進化と文化とこころ」(代表:平石界・京都大学助教)では、2012年1月7日に、Gary Brase博士(Kansas State University)とLarry Fiddick博士(Lakehead University)を招いてのワークショップを開催しました。

日時:2012年1月7日(土)10:30-15:00
場所:京都大学稲盛財団 3F中会議室

※アブストラクトはこちらからダウンロードできます。

Program (tentative)

10:30-11:00
Taro MURAKAMI, Kyushu University
“How About This?” Contextual Inference About the Ambiguous Referent in Children

11:00-11:30
Katsuhiko ISHIKAWA, Kyushu University
Interpretations of Others’ Interactions of Request By 5- and 6-Year-Old Children: Effects of Syntactic and Pragmatic Cues

11:30-12:00
Sachiko KIYOKAWA, Chubu University
Cross cultural differences in implicit learning

12:00-13:30 Lunch Break

13:30-14:00
Hiroko NAKAMURA, Otsuma Women's University
Postal Address as an Assay of Cultural Cognition

14:00-14:30
Kosuke TAKEMURA, Kyoto University
Cooperation, intergroup competition, and winner-takes-all society

14:30-15:00
Yousuke OHTSUBO, Kobe University
A Test of Costly Apology Model in Seven Cultures

15:00-15:30 Coffee Break

15:30- 17:00 (Open to General Audience)
Laurence Fiddick, Lakehead University
A Modular Account of Open and Closed Societies

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こころの未来研究センター研究報告会2011が行なわれました。

日時:2011年12月10日(土) 13:00 ~17:30
場所:京都大学稲盛財団記念館3階中会議室(ポスター会場:小会議室Ⅰ・Ⅱ)

***** プログラム *****
挨拶:吉川左紀子 (こころの未来研究センター長)

「カウンセリング対話における“聴き方”」
長岡千賀 (こころの未来研究センター研究員・認知心理学)

「農業コミュニティの社会関係資本:“つなぐ”役割の検証」
内田由紀子 (こころの未来研究センター准教授・文化心理学)

ポスターセッション

「こころの調整機能と“きずな”」
吉川左紀子 (こころの未来研究センター教授・認知心理学・認知科学)

指定討論
山極寿一 (京都大学大学院理学研究科教授・霊長類学・人類学)
定藤規弘 (自然科学研究機構生理学研究所教授・画像診断学・システム神経科学)

総合討論

報告会の概要はこちらです(PDFファイル)。

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報告のアブストラクト

カウンセリング対話における"聴く"ということ
     長岡千賀(こころの未来研究センター研究員)
話を「聴く」ことは,「話す」ことと対にすると,「図と地」の「地」,「静と動」の「静」にあたるが、実際には対話の様相を決める大きな要因になる。良い聴き手と出会うことで話し手が新しい発想を得るといったことも起こる。そこで、対話における「聴くこと」の意味や,「聴く人の存在」が人のこころを変える力について,実証的に明らかにすることを目標として,臨床心理学,認知心理学,社会心理学を専門とする研究者が集まり,カウンセリング対話に焦点を当てて研究してきた.研究の方法は,(1)模擬カウンセリングを収録し,50分間の対話中の発話や沈黙の時間やまばたきの回数を計測する,(2)その時系列的な変動パターンをみるなど,長時間の対話における行動をできるだけ定量的に分析する ,(3)対話中の内観を収録後に報告してもらい行動と発言内容と照らし合わせて考察を深めるというものである。本報告では、日常対話と比べた結果分かってきたカウンセリング対話の特徴を報告するともに,カウンセラーとの対話を通して,相談者がカウンセラーに頼りきりにならずに自らが自律的に考え気付きを得る様子,それに前後してカウンセラーが覚悟を決めたり真剣勝負と思ったりするなど,カウンセラーの相談者に対する真剣な姿勢,そしてこうしたことを可能にする2者の関係性について論じたい。


農業コミュニティの社会関係資本:"つなぐ"役割の検証
     内田由紀子(こころの未来研究センター准教授)
2008 年から行ってきた普及指導員への調査研究について報告する。この研究は、社会心理学・文化心理学の立場から見て、農業コミュニティーは日本的対人関係や文化のベースになっていること、そのなかで普及指導員は「プロ」として、絆形成に向けての活動を行っていることに着目して研究を始めた。全国約 4000 人におこなった調査研究の結果から、農村コミュニティーで、生活レベルの向上に一定の役割を果たしているのは、コミュニティー内の互いの信頼関係<ソーシャル・キャピタル>であり、そしてそのソーシャル・キャピタルの上昇に効果をもつのは普及指導員自身のコミュニケーション能力や、他の機関との連携活動能力、普及指導員自身の職場や地域との結びつきであることが明らかになった。また、普及指導員の活動は技術指導という「スペシャリスト機能」と、ネットワーク作りに関わる「コーディネート機能」を持っているが、特にコーディネート機能にかかわる農業者支援の活動が、農業地域での成果を上げていることも明らかになった。今後はソーシャル・ビジネス場面でのコーディネート機能の役割への援用、そして日本の「農」の現場における絆形成などについて研究を発展させてゆきたい。


こころの調整機能と"きずな"
     吉川左紀子(こころの未来研究センター教授)
「感情・認知機能におよぼす他者・モノの影響」プロジェクトの研究を中心に報告する。まわりに他者がいると、不安が強まったり緊張するといったネガティブな影響がある半面、応援団がチームの力をよりよく発揮させるように、ポジティブな効果もある。これまで、周囲にいる他者のネガティブな影響に関する研究が多かったが、ポジティブな効果に注目した研究も重要である。他者の存在が心の機能を安定させたり、機能を亢進するとすれば、それはどういうしくみなのかをいろいろな課題で調べよう、というのがプロジェクトの研究目的である。モニタ画面の4隅に提示される「表情写真」がパソコン中央に提示されるパターンに対する判断にどう影響するかを調べる認知実験課題を実施した。すると、「笑顔」が周囲にあるときに、(笑顔とは無関連な)視覚探索のパフォーマンスが上がることが分かった。怖い顔や中性の顔に比べて、あるいはモザイクのような無意味なパターンに比べて、笑顔が提示されたときに遂行成績が促進されるのである。こうした促進効果は、「おいしそうな食べ物」の写真 vs.「まずそうな食べ物」の写真ではみられない。つまり「周囲にある笑顔」が重要だったと考えられる。報告では、このほかの「笑顔効果」についても簡単に紹介して、こころの調整機能におよぼす他者の影響について考察する。

日仏ひきこもりワークショップ~比較文化の視点から~が行われました

10月31日(月)に日仏ひきこもりワークショップ~比較文化の視点から~が開催されました。
こころの未来研究センター教員提案型プロジェクト「文化と幸福感:社会的適応からのアプローチ」の成果報告が行われ、フランスと日本でのひきこもりについて議論されました。

プログラムはこちらです


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『日本箱庭療法学会・日本ユング心理学会合同震災対策WG研修会:震災とこころのケア』 が行われました。

こころの未来研究センター 夏の研究ワークショップが行われました。

【日時】 2011年8月20日(土) 10:00~17:40
【場所】 京都大学稲盛財団記念館・大会議室

【プログラム】
「快刺激がヒトの視覚的注意に関わる処理に及ぼす影響」
上田 祥行(こころの未来研究センター・研究員)
「レチノトピーに基づいた高次視覚野の同定:大きな受容野サイズにどう立ち向かうのか?」
山本 哲也(こころの未来研究センター・研究員)
「カウンセリング対話における発話理解の認知的枠組み」
長岡 千賀(こころの未来研究センター・研究員)
「社会生態学的環境に依存する個人主義的傾向の社会的適応価:関係流動性と独自性欲求のケース」
竹村 幸祐(こころの未来研究センター・研究員)
「文化の中心と周辺:対人関係の視点から」
内田 由紀子(こころの未来研究センター・准教授)
「コミュニケーションの比較認知・障害児発達研究」
森崎 礼子(こころの未来研究センター・助教)
「社会性の進化と行動遺伝学:双生児による公共財ゲーム実験から」
平石 界(こころの未来研究センター・助教)

○全体を通してのコメンテーター
下條信輔先生(Caltech・教授)

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第34回こころの未来セミナーが行われました。

開催日時:2011年7月26日(火)16:30-18:00
講師:Darcy Harris 先生
(ウェスタン・オンタリオ大学 キングスカレッジ「死の研究」プログラム教授、看護師・臨床心理士(死別カウンセリング))
タイトル:悲嘆へのさまざまな道のり


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「文化・自己・対人関係のワークショップ」が開催されました。

文化と関係性、自己のあり方について様々な比較文化研究の知見を元に議論するワークショップが開催されました。


Workshop on Culture, Self, and Social Relationships


【日時】 2011年6月28日(火) 15:00-18:00
【場所】 京都大学稲盛財団記念館3F大会議室(京都市左京区吉田下阿達町46)
【企画者】 内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター准教授)・竹村幸祐(京都大学こころの未来研究センター研究員)

【講演者と演題】


Steven J. Heine (ブリティッシュ・コロンビア大学)
“Positive Self-Views, East and West”

Vinai Norasakkunkit (ミネソタ州立大学・京都大学こころの未来研究センター外国人特別研究員)
“Unpackaging Cultural Differences in Social Anxiety: The Role of Self-Construal, Self-Enhancement, and Holistic Cognition”

竹村幸祐(京都大学こころの未来研究センター)
“Being Different Leads to Being Connected: On the Adaptive Function of Uniqueness in ‘Open’ Societies”

Beth Morling (デラウェア大学・京都大学こころの未来研究センターフルブライト研究員)
“How Does Social Support Feel? It Depends on Who You Ask”


【指定討論】 内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター)


【プログラム】 こちらからダウンロードしてください。




映画「扉のむこう」上映会が開催されました。

5月31日(火)に、京都大学こころの未来研究センターで映画「扉のむこう」の上映会ならびに「ひきこもり」に関するパネルディスカッションが行われました。


「扉のむこう」上映会~「ひきこもり」に迫る~ 


現在日本に70万人と言われる若い世代の「ひきこもり」について描かれた「扉のむこう」を上映し、映画監督と、臨床心理学、社会学、文化心理学等、様々な視点でひきこもりを考察している研究者を交えてのパネルディスカッションを行いました。


日 時:平成23年5月31日火曜日午後2時30分-6時
場 所:京都大学稲盛財団記念館3F大会議室(京都市左京区吉田下阿達町46)
企画責任者:内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター)
主催:京都大学こころの未来研究センター

14時30分~映画上映
17時~ パネルディスカッション
  ローレンス・スラッシュ(本編映画監督)
  ビナイ・ノラサクンキット(ミネソタ州立大学・文化心理学)
  トゥーッカ・トイボネン(オックスフォード大学・社会学)
  境 泉洋(徳島大学・臨床心理学)
  内田 由紀子(京都大学こころの未来研究センター・文化心理学)

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こころの科学集中レクチャーが行われました。

 こころの科学集中レクチャーは、京都大学の学生を対象に、こころのはたらきのもつ不思議さ、おもしろさをより深く理解するために、国内外からさまざまな専門領域の講師を招いて実施しています。
 2010年度集中レクチャーでは、2009年度のレクチャーに引き続いて「こころの謎:文化、社会、感情、脳の密接な関係」をテーマに、ミシガン大学北山忍先生(文化心理学)、カリフォルニア工科大学下條信輔先生(認知科学)、理化学研究所入來篤史先生(神経科学)を講師にお迎えして、3日間連続の講義とディスカッションを行ないました。


日  時:2011年3月3日(木)、4日(金)、5日(土) 10時より17時まで
場  所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室・中会議室 
講  師:
北山 忍 先生 (ミシガン大学 心理学部教授 文化・認識プログラム所長) 
    専門:文化心理学、社会心理学
下條 信輔 先生 (カリフォルニア工科大学 生物学部/計算神経系 教授) 
    専門: 認知科学、神経科学
入來 篤史 先生 (理化学研究所 脳科学総合研究センター シニアチームリーダー) 
    専門:神経科学、認知神経生物学

   
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こころの未来シンポジウム 『「負の感情」の克服への方途-心理学、宗教学、人類学による東西の文化比較から』が行われました。

こころの未来シンポジウム 『「負の感情」の克服への方途-心理学、宗教学、人類学による東西の文化比較から』が行われました。

開催日時: 2011年2月21日(月曜日)
開催場所: 京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
企画者:宮坂敬造・大石高典

プログラム:
1) 宮坂敬造(慶大)「負の感情の転換とトリックスターの笑い」
2) 渡邊克巳(東大)「仏像の表情を読む」
3) Gerald C. Cupchik(トロント大) "Under the Gaze of the Buddha: Calming Our
Negative Emotions."
4) 指定討論 内田由紀子、平石界、鎌田東二

「負の感情」を抑制しようとする文化もあれば、積極的に抑制しない文化もあります。
3時間半にわたり、「負の感情」についてのべ50人もの参加者と考えました。
講演の合間には、奥井遼、山口亮太、大石高典による映像を用いた研究アプローチの紹介も行われました。

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第2回「進化と文化とこころ」研究会が開催されました。

大阪大学の山田克宣さんをお迎えして第2回「進化と文化とこころ」研究会が開催されました。

開催日時:2010年11月9日(火)15:00~16:30
開催場所:京都大学稲盛財団記念館3F中会議室
話題提供者:山田克宣|大阪大学 社会経済研究所 GCOE特任研究員
講演タイトル:The Easterlin Paradox and Another Anatomy of Income Comparisons: Evidence from
Hypothetical Choice Experiments

「平均所得は上がったのに、人々の幸福感は必ずしも上がってない」というイースターリンのパラドクスについて、Webを用いた大規模仮想実験のデータをご紹介いただきました。

講演内容の元になっているDiscussion Paperをダウンロードできます(PDF)


要旨:
This paper provides evidence from Internet-based, large-scale survey data of hypothetical choice experiment on the relative utility hypothesis. The methodology exploited here complements previous empirical results from happiness studies, incentivized choice experiment studies, and neuroscience studies in such a way that methodological problems among previous studies within these fields are resolved. We show that not only the intensity but also the distribution of relative utility are different across specific comparison benchmarks (internal reference group), and across types of reference groups people are facing in the experiments (external reference group). The relative utility effect among Japanese respondents, while shown to exist in the form of jealousy, is found to be not as strong as can validate the Easterlin paradox. Comparison benchmark with daily contacts is related to stronge jealousy. We also provide empirical evidence, which nuances that the reference group is chosen endogenously.


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こころの未来特別レクチャーが行われました。

2010年度第2回こころの未来特別レクチャーが行われました。

日時 2010年10月7日(木)16:30―18:00
場所 稲盛財団記念館3階大会議室
講演者 山極寿一教授(理学研究科生物科学専攻動物学教室)
演題:動物の社会的知性を探るフィールドワーク
概要:日本の霊長類学は、世界に先駆けて動物の人付けと個体識別を通して、動物の群れの中で社会の研究を始めた。それは人間の側からではなく、動物の側に立って彼らの社会を眺める実践研究である。しかし、人間が彼らの五感を体験できるわけではないから、どうしても擬人的な推測が紛れ込みがちである。そこで、その危険をなるべく回避するために、長期間の調査に基づくことと、自分の体験を重視することを心がけている。そういったフィールドワークを通じてどのような発見があったかをお話し、それを一般化するための方法について討論してみたい。

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第1回「進化と文化とこころ」研究会が開催されました。

チューリッヒ大学の森島陽介さんをお迎えして、第1回「進化と文化とこころ」研究会が開催されました。残暑厳しい中、50名近くの方にご参加いただきました。


日時:2010年9月6日(月)13:00~14:30
場所:京都大学稲盛財団記念館・3F中会議室

話題提供者
森島陽介
Institute for Empirical Research in Economics, University of Zurich

講演タイトル:
「神経経済学から見た社会的選好の個人差とその神経基盤」

講演要旨:
ヒトの利他行動は遺伝的に近い者だけでなく、全くの他人にも向けられる点で非常に特異的である。これまでの研究により利他行動は不平等回避モデルによって定性的には説明が出来ることが示されてきた。しかしながら、独裁者ゲームの行動を詳細に見てみると、全てを自分に配分する者や平等に配分する者に分かれる傾向があり、社会的選好には大きな個人差があることを示唆している。我々は社会的選好の個人差とその神経基盤を明らかにすべく、不平等回避の程度を個人レベルで評価する方法を開発した。健常成人被験者に独裁者ゲームを行わせ、加えて正もしくは負の互恵性が関与した時に独裁者ゲームでの意志決定がどのように変化するかも検討した。Fehr-Schmidt 不平等回避モデル内のパラメーターを個人レベルで推定した所、自分が有利な時の不平等回避には非常に個人差が大きいが、自分が不利な時の不平等回避はその程度、個人差共に小さい事が明らかとなった。機能的MRIによる脳活動データの解析では、負の互恵性が生じた時には右背外側前頭皮質の活動が増大し、不平等が大きい時には左背外側前頭皮質の活動が増大した。また、これらの脳活動の変化と行動パラメーターに相関関係があることが分かった。以上の結果から社会的選好の個人差は前頭皮質の相互作用によって説明される。

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第1回「進化と文化とこころ」ワークショップが開催されました。

2010年度より京都大学こころの未来研究センターでは、”生物学的な視点からヒトを見る「進化心理学」と、文化という視点からヒトを見る「文化心理学」の知見を統合的に理解する枠組みを、研究者同士の交流を通じて探ることを目的”に「進化と文化とこころ」連携研究プロジェクトをスタートさせました。


第1回となる本ワークショップは、「文化の維持と変化」をテーマに、二人の話題提供者によるトークと、参加者間のディスカッションにより構成しました。竹澤正哲氏(上智大学)には、進化ゲーム理論の視点から、制度化された文化の維持と変化について話題提供をいただきました。鳥山理恵氏(トロント大学)には、主として発達心理学の視点から、文化伝達についての研究(模倣・社会学習など)をレビューしていただきました。


当日は、話題提供者含め22名が集まりました。2名の話題提供にたいして5時間という長時間を設定した甲斐があり、ワークショップ前の昼食時から、文字通り夜半にいたるまで、心ゆくまで「文化」についての議論を深めることができました。


■日時・場所
・2010年8月19日(木)午後1時~午後6時
・京都大学・稲盛財団記念館・3階小会議室1
 (荒神橋東詰・川端近衛南東角)


■話題提供
竹澤正哲(上智大学)「制度アプローチから考える文化の維持」
鳥山理恵(トロント大学)「文化伝達:模倣から社会学習まで」


■企画
平石界(京都大学こころの未来研究センター)
内田由紀子(京都大学こころの未来研究センター)

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2010年度 第1回こころの科学特別レクチャーを行いました。

日時 7月9日(金)13:00-14:30
場所 稲盛財団記念館3階大会議室
講師 村井俊哉先生(医学研究科 精神医学)
演題 「社会の中での意思決定、その障害と治療について」
概要 人間の行動とは、つまるところ社会の中での意思決定の連続です。さまざまな心の病気についても、「社会的意思決定」の何らかの破綻であるという見方が可能かもしれません。報酬系を扱う基礎的な神経科学から、行動経済学や倫理学まで、学問の境界を越えた視点で、社会的意思決定とその障害について考えてみたいと思います。

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第1回人間・環境学研究科・こころの未来研究センター交流会が開催されました

第1回人間・環境学研究科・こころの未来研究センター交流会が開催されました
開催日時:6月24日(木)16時~18時30分
京都大学大学院人間・環境学研究科の先生方とこころの未来研究センターの教員との研究交流会が開催され、こころの未来研究センターの吉川左紀子センター長、鎌田東二教授、河合俊雄教授からの研究報告が行われました。人間・環境学研究科からは理系・人文社会系それぞれの様々な領域の先生方にご参加頂き、「こころ」についてのディスカッションを通した研究交流を行いました。

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第33回こころの未来セミナーが行われました。

開催日時:2010年6月22日(火)18:00~19:30
講師:J.Baird Callicott 先生(ノース・テキサス大学 哲学科・教授)
タイトル:環境問題に関するアメリカの倫理・政治・法律 ~その成果と失敗

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ワークショップ「Psychological and Sociological Perspectives on Japanese Youth Issues: Views from Foreign Researchers in Japan」が行われました。

ワークショップ「Psychological and Sociological Perspectives on Japanese YouthIssues: Views from Foreign Researchers in Japan」がグローバルCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」とこころの未来研究センターの「青年期の社会的適応プロジェクト」の共催で開催されました。


現在こころの未来研究センターに滞在しておられるミネソタ州立大学のVinai Norasakkunkit先生を含めた京都大学に滞在している3名の外国人研究者の話題提供と、アメリカのジャーナリストで「ひきこもりの国」の著者でもあるマイケル・ジーレンジガーさんによるディスカッションを中心に、社会学と心理学のアプローチからの議論が行われました。


日時:6月12日土曜日 10:00 - 17:00
場所:時計台会議室4


A Critical Constructivist Approach to Understanding Youth Problems in Japan by Tuukka Toivonen, JSPS Research Fellow, Sociology Department, Kyoto University.
Discussant: Assistant Professor Yukiko Uchida, Kokoro Research Center, Kyoto University.


Psychological Consequences of Post-Industrial Anomie on Self and Motivation Among Japanese Youth by Vinai Norasakkunkit, Associate Professor at Minnesota State University and JSPS Research Fellow, Kokoro Research Center, Kyoto University.
Discussant: Professor Hiroshi Tarohmaru, Graduate School of Letters, Kyoto University.


Play and Empowerment - The Role of Alternative Spaces in Social Movements by Carl Cassegard, Assistant Professor at University of Gothenburg and JSPS Research Fellow, Sociology, Kyoto University.
Discussant: Dr. Megumi Kondo-Arita, Post-doctoral researcher at the Kokoro Research Center.


Key Discussant, Michael Zielenziger, Visiting Scholar at the Institute of International Studies, University of California, Berkeley.


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京都大学附置研究所・センター品川セミナー <略称:品川セミナー>を開催しています。

京都大学 附置研究所・センターの連続セミナー「品川セミナー」を、品川駅前の京都大学東京オフィスにて開催しています。(参加には事前申し込みが必要です)


詳細はこちらをご覧ください。 外部リンク:京都大学附置研究所・センター

第2回定例研究会を行いました。

5月25日に、センター内で定例研究会を行いました。第2回は、”きずな形成”に関する研究プロジェクトから、「社会的ネットワークの機能と性質:『つなぐ』役割の検証」について内田助教が、「カウンセリング対話で何が起こっているか-非言語行動の分析-」について長岡研究員が発表しました。
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定例研究会を行いました。

4月27日に、センター内で定例研究会を行いました。第1回は、”こころ観”に関する研究プロジェクトから、『こころ観の思想史的・比較文化論的基礎研究』について鎌田教授が、『こころとモノをつなぐワザの研究』について大石研究員が発表しました。
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第7回注意研究会が行われました。

開催日時:平成22年3月16日(火曜日) 午後4時半より
開催場所:京都大学大学院人間・環境学研究科  講義室B23B
話題提供:谷 渕 育 夫 (滋賀医科大学 統合生理学教室)
『サル黒質 - 視床 - 前頭前野投射の同定および認知機能』

こころの未来研究会が行われました。

日時 2010年2月25日(木)14:00~17:00
場所 京都大学稲盛財団記念館3階 小会議室


14:00-15-00 河合徳枝(国際科学振興財団 主任研究員)
  「バリ島の感性脳科学~ものとこころとを架橋し合理的に制御する伝統智」
バリ島の人々は美しさ、快さを司る報酬系神経回路を重視して、自然環境および社会環境において高度に調和的な持続可能性を実現している。それは近現代文明社会のさまざまな限界に多くの啓示を与える伝統知である。バリ島社会の基盤をなす水田農耕における水系制御と祝祭儀礼による感性制御を題材に、ものとこころとを架橋し合理的に制御する叡智を紹介する。


15:15-16:15 八木玲子(国際科学振興財団 専任研究員)
 「感性脳科学から観るバリ人の活性構築」
高度に調和的な社会を営むバリ人の行動様式はどのように形成されるのか?バリ島の伝統社会では、頻繁に執行される祝祭儀礼に幼少時から関わることを通じて、子供の感性の適切な発達を実現している。バリ島社会の結晶というべき伝統芸能の表現のメカニズムとその学習を事例に、バリ人の行動様式の基盤を形成する発想法や活性の伝承の実態を紹介する。


16:15-17:00 総合討論

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第6回注意研究会が行われました。

開催日時:平成22年2月17日(水曜日) 午後4時半より
開催場所:京都大学稲盛財団記念館 3階 中会議室
話題提供:福士珠美(独立行政法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー)
  『脳神経倫理の多様性と可能性』

第32回こころの未来セミナーが行われました。

トニー・ホープ先生(オックスフォード大学 医療倫理学教授、精神科医)
『医者は患者とどう接したら良いのか
  ~拒食症患者の精神能力と自己決定への対話』
2010年1月14日(木) 16:30~18:00
稲盛財団記念館 3階 大会議室

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第5回注意研究会が行われました。

開催日時:平成21年12月24日(木曜日) 午後4時半より
開催場所:京都大学稲盛財団記念館 3階 中会議室
話題提供:大 嶋 義 実
(京都市立芸術大学 音楽学部 菅・打楽専攻 准教授)
講演タイトル:『退屈しないクラシック音楽の聴き方』

こころの科学特別レクチャーが行われました。

 こころの科学特別レクチャーは、京都大学の学生を対象に,こころのはたらきのもつ不思議さ,おもしろさをより深く理解するために,国内外からさまざまな専門領域の講師を招いて実施しています.
 今年度最後の特別レクチャーは、「こころの謎:文化、社会、感情、脳の密接な関係」をテーマに、ミシガン大学北山忍先生(文化心理学)、北海道大学亀田達也先生(社会心理学)、東京大学渡邊克巳先生(認知神経科学)を講師にお迎えして、3日間連続の講義とディスカッションを行ないました。


日  時:2009年12月18日(金)、19日(土)、20日(日) 10時より17時まで
場  所:京都大学稲盛財団記念館3階中会議室 
講  師:
北山 忍 先生 (ミシガン大学 心理学部教授 文化・認識プログラム所長)
    専門:文化心理学、社会心理学
亀田 達也 先生 (北海道大学大学院 文学研究科 教授) 
    専門:社会心理学、意思決定、行動生態学
渡邊 克巳 先生 (東京大学 先端科学技術研究センター 准教授) 
    専門:認知科学・脳神経科学
  
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William Newsome 教授を囲んでのワークショップと第4回注意研究会が行われました。

William Newsome 教授を囲んでのワークショップと第4回注意研究会

1.William Newsome スタンフォード大学教授を囲んでのワークショップ

開催日時:平成21年11月25日(水曜日) 午後1時より
開催場所:京都大学 稲盛財団記念館 3階 大会議室

2.第4回注意研究会

開催日時:平成21年11月25日(水曜日) 午後4時半より
開催場所:京都大学 稲盛財団記念館 3階 大会議室

話題提供:William T. Newsome, Ph.D.
(Professor, Department of Neurobiology, Stanford University School of Medicine)

講演タイトル:
“Linking action to reward: multi-electrode array recordings from prefrontal cortex”

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第31回こころの未来セミナー『死別を悲しむ心のケア』が行われました。 

第31回こころの未来セミナー  

『死別を悲しむ心のケア』

◆トーマス・アティグ先生(ボウリング・グリーン州立大学名誉教授・哲学博士)
「喪失体験のケア」

◆エリザベス・デイヴィス先生(ビクトリア大学看護学教授・看護博士)
「子供の悲嘆をどう対応できるか」

日時:2009年11月28日(土)13:00~16:30
場所:京都大学稲盛財団記念館 3階 大会議室
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こころの科学特別レクチャーが行われました。

下記の特別レクチャーが行われました.

こころの科学特別レクチャーはこころのはたらきのもつ不思議さ,おもしろさをより深く理解するために,国内外からさまざまな専門領域の講師を招いて学内の学生,院生を対象に実施します.


2009年度 こころの科学特別レクチャー(2)
講師    北澤 茂先生(順天堂大学医学研究科)
演題    「自閉症治療に挑む心理学と脳科学」
日時    2009年10月23日(金)13:00-14:30
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2009年度 第2回こころ観研究会を開催しました。

2009年度 第2回こころ観研究会を開催しました。


日時 7月2日(木)14:00-17:00
場所 稲盛財団記念館大会議室

松本直子先生(岡山大学・認知考古学)
「考古学におけるこころの問題:認知考古学の挑戦」

司会 鎌田東二(こころの未来研究センター教授)

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文化心理学ワークショップが開催されました。

現在センターに滞在している研究者、学外からの発表者を招いて、クローズドでの「文化心理学ワークショップ」を開催いたしました。
なお、当ワークショップは文部科学省特定領域研究「実験社会科学 - 実験が切り開く21世紀の社会科学 -」の助成を受けて行われました(リンク)。
[日時]:6月25日木曜日13:00-17:00
[場所]:稲盛財団記念館3階小会議室Ⅰ
[発表者](発表順)
Hyekyung Park (Hokkaido University)
"A Paradox of American Individualism: Regions Vary in Explicit, But Not in Implicit, Independence"
Keiko Ishii (Hokkaido University)
"Voluntary Settlement and Individual Agency"
Yukiko Uchida (Kyoto University)
"Shared and Non-shared Happiness: Experience and Expression of Positive Emotion in the United States and Japan"
Rie Toriyama (University of Toronto)
"Cultural Differences in Reasoning about Criticism and Praise from Teachers"
Toshie Imada (University of Minnesota)
"Cultural Narratives: Stories People Read, Create, and Transmit"
Yuri Miyamoto (University of Wisconsin-Madison)
"Interpersonal Antecedents of Analytic vs. Holistic Cognition across Cultures"
Brooke Wilken (University of Wisconsin-Madison)
"Does Holism Cause Individuals to Become More Interpersonally Sensitive?"
Kosuke Takemura (Kyoto University)
"Societal Differences in the Importance of Being Unique: Individualism as an Adaptive Tool for 'Open' Societies"

こころの科学特別レクチャーが行われました。

下記の特別レクチャーが行われました.
こころの科学特別レクチャーはこころのはたらきのもつ不思議さ,おもしろさを
より深く理解するために,国内外からさまざまな専門領域の講師を招いて
学内の学生,院生を対象に実施します.


2009年度 こころの科学特別レクチャー
講師    下條信輔先生(カリフォルニア工科大学)
演題    心は孤立していない~Towards Inverse Translational Sciences
日時    2009年6月10日(水)16:30-18:00

 

2009年度 第1回こころ観研究会を開催しました。

2009年度 第1回こころ観研究会を開催しました。

日時 5月15日(木)13:00-17:30
場所 稲盛財団記念館大会議室

・長谷川敏彦(日本医科大学)
  「人類未到の超高齢化社会」
・末木文美士(国際日本文化研究センター)
 「死者から構築する哲学」
司会 鎌田東二(こころの未来研究センター教授)
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Steven Heine教授(ブリティッシュコロンビア大学)の講演会が開催されました。

ブリティッシュコロンビア大学教授、
Steven J. Heine先生による院生、学部生を対象とした
インフォーマルな講演会を開催いたしました。
[日時]:5月19日火曜日14:45-16:15
[場所]:稲盛財団記念館3階小会議室Ⅰ
[タイトル]The Weirdest People in the World: The Inductive Problem for Psychology
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9月18日~20日に東洋大学(東京都文京区)で開催される, 日本心理学会第71回大会において, センター連携プロジェクト「共感的対話における相互作用性に関する多角的研究」のワークショップ(9月18日)が開催されました.

こころの未来研究センター連携プロジェクト ワークショップのご案内

本プロジェクト(「共感的対話」における相互作用性に関する多角的研究~臨床心理学・認知心理学・社会心理学の立場から~) では、来る9月18日、日本心理学会第71回大会にて、 下記のとおりワークショップを開催いたします。ふるってご来場下さい。


■開催日:
2007年9月18日(火)16:00~18:00
■開催場所:
東洋大学白山キャンパス6号館3階6307(日本心理学会第71回大会 交通案内図

カウンセリング対話を科学する(1)―非言語的行動の分析―

企画者京都大学桑原 知子
司会者京都大学吉川 左紀子
話題提供者京都大学桑原 知子
話題提供者京都大学渡部 幹
話題提供者日本学術振興会(京都大学)長岡 千賀
指定討論者東北大学仁平 義明
指定討論者京都文教大学名取 琢自


本ワークショップでは,カウンセリング対話(心理臨床面接)における共感や他者理解,2者の関係性,問題発見過程などを, 認知心理学的,社会心理学的研究手法を用いて解明する試みを紹介する. 従来カウンセリング対話の映像や音声が臨床家以外の研究者に視聴されることはほとんどなく, 実証的研究の対象となることは稀であった. そこで本ワークショップの第1回では,まず,現実と非常に近い設定で収録されたロールプレイのカウンセリング映像を対象として, カウンセリング対話中の2者の発話の背景にある心理や意図,およびそこに反映される2者の関係性の変化について解説する. さらに,音声行動(発話長,ポーズ長など)や身体動作の2者間同期の定量的分析結果を上記の解説と対応させることにより, 非言語的行動がカウンセリング対話の質を敏感に反映している可能性について議論する.


発表資料

心理面接場面における対話の構造:発話・沈黙の分析(渡部・長岡・桑原・吉川)(PDF)
心理面接場面における対話の構造:身体動作の同調性(長岡・小森・渡部・桑原・吉川)(PDF)


関連文献

  1. 長岡千賀・桑原知子・渡部幹・吉川左紀子 2007(予定)  心理面接における話者理解に関する実証的検討(3)-Thの発話挿入がその後のClの発話速度に及ぼす影響- 日本心理学会第71回大会発表論文集.
  2. 長岡千賀・桑原知子・渡部幹・吉川左紀子 2006 心理面接における話者理解に関する実証的検討(1)-カウンセリング対話の時間構造の分析手法の提案- 日本心理学会第70回大会発表論文集.
  3. 渡部幹・桑原知子・長岡千賀・吉川左紀子 2006 心理面接における話者理解に関する実証的検討(2)-模擬カウンセリングを用いた検討- 日本心理学会第70回大会発表論文集.
  4. Nagaoka, C., Maeda, K., & Komori, M. 2007 Body Movement Synchrony in Psychotherapeutic Counseling: A Study Using the Video-Based Quantification Method Proc. of the International Conference on Kansei Engineering and Emotion Research2007 (KEER 2007)
  5. 小森政嗣・前田恭兵・長岡千賀 2007 ビデオ解析による身体動作同調傾向の定量化手法の提案-カウンセリングを題材として- 対人社会心理学研究. 7, 41-48.
  6. 前田恭兵・長岡千賀・小森政嗣 2006 模擬心理カウンセリングのマクロ的時間構造:ビデオによる身体動作の解析 ヒューマンインタフェースシンポジウム2006論文集, 883-886.
  7. 長岡千賀・吉川左紀子 2005 カウンセリング場面における身体動作の同調傾向‐模擬スクールカウンセリング映像を用いた予備的検討‐ 日本心理学会第69回大会発表論文集, 602.
  8. Nagaoka, C., Yoshikawa, S., & Komori, M. 2006 Embodied Synchrony of Nonverbal Behaviour in Counselling: a Case Study of Role Playing School Counselling. Proc. of the 28th Annual Conference of the Cognitive Science Society (CogSci 2006), Vancouver, July 2006, 1862-1867.
  9. 植田一博・吉川左紀子・伝康晴・長岡千賀・大本義正・榎本美香 2006 会話の分析 とモデル化 人工知能学会誌. 21(2), 169-175.
  10. 長岡千賀・桑原知子・吉川左紀子・渡部幹 2007 心理面接における話者理解-心理面接ビデオ視聴実験による予備的検討- 日本認知心理学会第5回大会.

日本認知心理学会第5回大会のサテライトワークショップ

Workshop on "Visual Cognition" and "Memory and Language"を開催しました.