ニュース アーカイブ

2018年

↑ページトップへ戻る

2017年

畑中助教が大阪、京都で学校給食に携わる栄養士や教職員に向けて講演しました

 畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)が、大阪、京都で学校給食に携わる栄養士や教職員に向けて2つの講演を行いました。


 2017年3月3日、大阪の貝塚市教育研究センターで開催された「平成28年度貝塚市栄養教諭・食育担当教職員研修会」では、上廣こころ学研究部門の「子どもの発達障害への心理療法的アプローチ」の成果から講演を行いました。講演のレポートと参加者の感想が、貝塚市教育研究センターのウェブサイトに掲載されています。


栄養教諭・食育担当教職員研修会を開催しました! | 貝塚市教育研究センター
http://www.kaizuka.ed.jp/kyoi-cn/


 また、2月17日には京都府学校給食会で開催された「学校関係栄養士研究会」(主催:全国学校栄養士協議会京都府研究会)で、「現代の子どもと発達の非定型化」をテーマに栄養教諭・学校栄養職員の方々を対象に講演を行いました。


17.03.07

↑ページトップへ戻る

2016年

上廣こころ学研究部門 2016年度研究報告会「多様化するこころと共生」を開催しました

1612houkoku_uehiro.png こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 2016年度研究報告会「多様化するこころと共生」を、2016年12月11日、稲盛財団記念館大会議室にて開催しました。


 2012年4月に創設した「上廣こころ学研究部門」は、公益財団法人上廣倫理財団の支援のもと、現代の日本社会が必要とする、倫理を含む広義の「こころ学」に関するユニークな学際的研究に取り組んでいます。2016年度の報告会は「多様化するこころと共生」をテーマに、5名の研究者による口頭発表を行いました。午前中に開催した「こころの未来研究センター研究報告会2016『こころの拡がりと未来』」に続き、センターの取り組みに支援をいただいている関係者をはじめ、学内外の研究者、大学院生、学部生など、昨年を上回る114名にご参加いただきました。


 はじめに吉川左紀子センター長が開催の挨拶として、「上廣こころ学研究部門は、創設から5年の区切りを迎えました。大学を取り囲む厳しい環境のなか、若い研究者たちを外部より支援してくださることを本当にありがたく思うと共に、今後もこころと倫理をつなぐ研究を進めていきます」と話しました。続いて、公益財団法人上廣倫理財団の丸山登事務局長より来賓のご挨拶として、「研究者の皆さんには、多くの人々の生き方や考え方を追い求める努力の手助けになる研究を行っていただきたい。こころの未来研究センターを支援していることを大きな誇りに思っています」との言葉を頂戴しました。その後、河合俊雄教授が本研究部門の紹介を行い、メンバー構成や研究活動のあらまし、報告会の流れを紹介しました。


 研究報告は、まずはじめにカール・ベッカー教授が「多様化するこころと倫理」と題し、人々の価値観の多様化が急速に進む現代社会が持つ様々な問題を取り上げながら、本研究部門が目指すべきテーマと今後の展望について話しました。続いて、阿部修士准教授が「利己性の制御と幸福感:心理学と脳科学の視点から」と題し、准教授ら3名を中心に取り組んでいる幸福感プロジェクトの成果と知見を報告しました。三つめの報告は、清家理助教が「認知症をもつ人と家族介護者双方のWell-beingとストレスコーピング:医療倫理学・社会福祉学・老年医学の視点から」と題して、認知症をもつ人、家族介護者のニーズに即した包括的教育支援プログラムでの研究成果と具体的事例を紹介しました。四つめの報告は、畑中千紘助教が「非定型化する現代のこころ:臨床心理学の視点から」というタイトルで、臨床心理学の領域から本研究部門で扱う発達障害に続く現代特有のこころの問題について最新の研究知見を紹介しました。最後に、熊谷誠慈准教授が「アジアの精神性と幸福観:インド、チベット、ブータンを中心に」と題し、ブータンの国民総幸福度(GNH)政策における伝統的精神性の応用例、他国への応用例などを検討し、ポスト経済成長時代における「より良い生き方」について考察しました。締めくくりとして、広井良典教授が「それぞれの研究報告はミクロからマクロに及ぶ多様な発表であると同時に、深い部分でつながり合う内容で、現代社会の課題を学際的に研究し掘り下げ問題提起するものだった」と総括し、報告会は終了しました。


1612uehiro1.png 1612uehiro2.png
1612uehiro3.png 1612uehiro4.png
1612uehiro5.png 1612uehiro6.png
1612uehiro7.png 1612uehiro8.png
1612uehiro9.png 1612uehiro10.png


[DATA]
上廣こころ学研究部門 2016年度研究報告会「多様化するこころと共生」
▽日時:2016年12月11日(日)14:30~17:40(14:00 受付開始)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
・14:30-14:35 センター長挨拶:吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター 教授・センター長)
・14:35-14:40 来賓ご挨拶:丸山登(公益財団法人 上廣倫理財団 事務局長)
・14:40-14:55 上廣こころ学研究部門の取組紹介:河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター 教授・副センター長・上廣こころ学研究部門兼任)
・14:55-15:35 研究報告①「多様化するこころと倫理」カール・ベッカー(京都大学こころの未来研究センター 教授・上廣こころ学研究部門兼任)
・15:35-16:00 研究報告②「利己性の制御と幸福感:心理学と脳科学の視点から」阿部修士(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 特定准教授)
・16:00-16:10 休憩
・16:10-16:35 研究報告③「認知症をもつ人と家族介護者双方のWell-beingとストレスコーピング:医療倫理学・社会福祉学・老年医学の視点から」清家 理(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 特定助教)
・16:35-17:00 研究報告④「非定型化する現代のこころ:臨床心理学の視点から」畑中千紘(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 特定助教)
・17:00-17:25 研究報告⑤「アジアの精神性と幸福観:インド、チベット、ブータンを中心に」熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 特定准教授)
・17:25-17:40 総括:広井良典(京都大学こころの未来研究センター 教授・上廣こころ学研究部門兼任)
司会:熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)
▽参加人数:114名

16.12.29

畑中助教が平成28年度栄養教諭支援セミナー(主催:大阪府学校給食会)で講演しました

 畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)が、2016年10月28日に公益財団法人大阪府学校給食会主催による「平成28年度栄養教諭支援セミナー」で大阪府内の栄養教諭、学校栄養職員の方々を対象に講演を行いました。

IMG_0005.JPG


<講演内容>
 発達の問題を抱えるお子さんに対する食育、お子さんや保護者の方との関わり方、理解の仕方について、上廣こころ学研究部門の「子どもの発達障害への心理療法的アプローチ」プロジェクトの成果などをもとにレクチャーしたものです。
 最近の学校現場では、発達障害という診断を受けたお子さんもたくさんおられます。発達障害についての基本的な理解に加え、診断の有無にかかわらず、発達のあり方が多様なパターンをとるようになってきているという現状についてもお話ししました。この講習会は11月にも第2回が行われる予定です。


<報告:畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)>


16.11.16

河合教授が「日本遊戯療法学会 第22回大会」にシンポジストとして登壇しました

 2016年8月20日・21日、日本遊戯療法学会第22回年次大会が奈良県天理市の天理大学で開催され、初日の公開シンポジウム「発達障害と遊戯療法」(於:陽気ホール)で、河合俊雄教授がシンポジストとして登壇しました。


160820kawai1.png 160820kawai2.png


 河合教授は「発達障害の見立てと遊戯療法における転機」というタイトルで発表しました。これは上廣こころ学研究部門・子どもの発達障害への心理療法的アプローチの成果をもとにしたものです。


 発達障害が時代の変遷と共に増加してきた流れがある中で、昨今では、発達障害と診断を受けていてもそうは見立てられない事例が増えていることを指摘し、そのような事例の状態像について具体的に示しました。一般的な子どもの発達を俯瞰してみても、従来の心理学理論よりも発達が遅れているようにみられる現象が描画の発達的研究から読み取れることを例にあげ、現在では発達が「非定型化」してきていることについて述べました。


<報告:畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)>


1604kawai_sympo.png


日本遊戯療法学会 第22回大会ホームページ
http://www.tenri-u.ac.jp/gr/chs/pt/symposium.html

16.08.22

熊谷准教授がベルゲン大で研究集会「Buddhism, culture and society in Bhutan」を開催しました

 熊谷誠慈准教授が、2016年6月19日から25日にかけてノルウェー・ベルゲン大学で開催された第14回国際チベット学会に参加しました。6月22日には、熊谷准教授主催の研究部会「Buddhism, culture and society in Bhutan」がおこなわれ、各国の研究者らがブータンの社会、文化に関する研究発表と討論をおこないました。


1606kumagai1.png 1606kumagai2.png


Panel7 - Buddhism, culture and society in Bhutan
Wed 22 June (Auditorium Q)
Convener: Seji Kumagai


9.00-9.15: Opening of panel.
9.15-9.45: Seiji Kumagai: A study through biographies and chronicles on Tsangpa Gyare (1161-1211), the founder of the Drukpa Kagyu School.
9.45-10.15: Felicity Shaw: The National Library and Archives of Bhutan: from literary repository to guardian of collective memory.
10.15-10.45: Brian Shaw: Becoming a modern Bhutanese: the continuing development of civil society and social media in a time of change 1972-2015.
10.45-11.15: Tea and coffee break.
11.15-11.45: Johanna Prien: Ritual paraphernalia used by pawo and neyjorma spirit mediums in rural Western Bhutan.

11.45-12.15: Per Sørensen and Hou Haoran: Transnational kinship network: history of the ruling rGya family at the Ra-lung seat between the 15th and 16th centuries.

12.15-12.45: Dagmar Schwerk: Tracing the life and intellectual agenda of a 20th century Bhutanese scholar and yogin, the Sixty-Ninth rJe mKhan-po dGe-'dun-rin-chen (1926-1997).

12.45-13.45: LUNCH

13.45-14.15: Lungtaen Gyatso: Holistic education: redefining the purpose of education in the Royal University of Bhutan.

14.15-14.45: Tashi Tshering: The Tashigomang: portable shrines of Bhutan.

14.45-15.15: Françoise Pommaret: The Bumthang web: migrations, alliances, economy and religion.

15.15-15.45: Tea and Coffee break.

15.45-16.15: Akiko Ueda: Symbolic, monetary and nutritional values of rice: "food security" re-examined in Bhutan's rural context.

16.15-16.45: Akinori Yasuda: Some remarks on the lTa ba klong yangs discovered by Dorje Lingpa.


http://www.iats.info/

16.07.01

熊谷准教授が「京都大学春秋講義(平成28年度 春季講義)テーマ:宗教と平和」で講演します(4月6日開催)

1603kumagai.png 熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)が、2016年4月6日に京都大学百周年時計台記念館百周年記念ホールで開催される「京都大学春秋講義(平成28年度 春季講義) 宗教と平和」で講演をおこないます。


 春秋講義は、京都大学における知的資源を広く学内外の人々に伝えるために、一般の方に無料開講しています。今回、熊谷准教授の講演テーマは「仏教は平和に寄与しうるか?ーブータンの事例を中心に」です。仏教学を専門とし、現地に赴きインド、チベット、ブータンの仏教を研究する熊谷教授が、今回は特にブータンの国に焦点を当て、仏教の本質と仏教国の現状、仏教がいかに平和に寄与するものか、具体的事例と共に考察します。


 参加費、事前申込は不要です。下記リンクにアクセスし、詳細をご覧ください。


京都大学春秋講義(平成28年度 春季講義) | 京都大学ウェブサイト

16.03.18

阿部准教授がNPO法人ニューロクリアティブ研究会・創造性研究奨励賞を受賞しました

IMG_8328.JPG 阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)が、NPO法人ニューロクリアティブ研究会の2015年度研究者支援「創造性研究奨励賞」2等を受賞しました。
 同賞は、「脳と創造性に関する研究」ならびに「創造的人材の育成」 を目的とし、研究者および開発者の支援をおこなう活動の一環で設けられたもので、2015年度は、「研究者支援」(創造性研究奨励賞) と 「開発者支援」 (開発研究奨励賞)の2部門で募集がありました。阿部准教授の研究テーマ「道徳的意思決定に与える創造性の影響-認知神経科学的研究-」は、「創造性」に関する脳科学的エビデンスの解明、または創造性技法の活用を目指した開発研究として、「研究者支援」(創造性研究奨励賞)の部門で2等を受賞しました。
 なお、授賞式は2016年3月14日に東京でおこなわれる同NPO法人による「第17回NCLセミナー『創造する脳~いのちの始まりの脳科学』」にて開催されます。


○阿部修士准教授のコメント

「自分の研究を評価していただけて、大変嬉しく、光栄に思います。賞の名に恥じぬよう、クリエイティブなこころを持ち合わせて研究を続けたいと思います。」


[受賞DATA]
2015年度 研究者支援「創造性研究奨励賞」
NPO 法人 ニューロクリアティブ研究会(NeuroCreative Lab)
http://www.neurocreative.org/jp/?page_id=1285
研究テーマ:「道徳的意思決定に与える創造性の影響-認知神経科学的研究-」


16.02.29

清家助教の解説記事が『糖尿病ケア』に掲載されました

 糖尿病治療に関わる医療スタッフのための専門誌『糖尿病ケア』2016年1月号(メディカ出版)に、清家理助教の解説記事が掲載されました。
 糖尿病と認知症が特集テーマとなった本号の「不安を解決!認知症なんでもQ&A 医療スタッフの疑問編」において、清家助教は、認知症患者とその家族のためのこころのケアや社会的支援に関する質問に答えています。


1602seike_tonyo.png「不安を解決!認知症なんでも Q&A 医療スタッフの疑問編」
京都大学 こころの未来研究センター 上廣こころ学研究部門 助教/
国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 外来研究員
清家 理(せいけ あや)


Q10 認知症の糖尿病患者さんの家族が介護疲れのようで心配です。どうすればよいでしょうか。


... 筆者たちは、包括的な学習と介護者との相互交流を通じて、介護者の人々の身体的、精神的つらさの緩和を目指す主旨で、「家族教室」というアクションリサーチ(社会還元型の実践的研究)を実施しています。その研究結果のうち、介護者には以下3点の学習ニーズが確認されました。(1)認知症の概論的理解(認知症のしくみ、進行過程と出現症状、治療方法など)、(2)薬剤に関する知識の習得(認知症治療に使う薬剤の効用、服薬拒否や飲み忘れへの対応方法)、(3)ケアに関する知識の習得(同じことを何度も言う、いきなり怒り出すことなどへの対応方法)。なかでももっとも高い割合を占めたニーズは、(1)認知症の概論的理解です。


Q11 認知症をもつ人のための、おもな社会的支援を教えてください。


... 社会的支援には、大きく2種類あります。それは、(1)フォーマルサポート(公的機関が行う制度に基づいた支援<例:介護保険制度による通所リハビリテーションなど>)、(2)インフォーマルサポート(家族やボランティアなどが互助的に無償で提供する、非専門的な支援<例:認知症カフェ、認知症当事者の会など>)です。認知症をもつ人が、人として尊重され、安心して生きていくためには、(1)と(2)の複合的活用が大切です。


(記事より)


糖尿病ケア2016年1月号 | メディカ出版

16.02.09

上廣こころ学研究部門 2015年度研究報告会「身体(からだ)からこころを問い直す」を開催しました

 こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 2015年度研究報告会「身体(からだ)からこころを問い直す」を、2015年12月20日、稲盛財団記念館大会議室にて開催しました。


 こころの未来研究センターでは2012年4月より、公益財団法人上廣倫理財団の支援のもと「上廣こころ学研究部門」を開設し、現代の日本社会が必要とする、倫理を含む広義の「こころ学」に関するユニークな学際的研究活動をおこなっています。今年度の研究報告会は「身体(からだ)からこころを問い直す」をテーマに、3名の研究者による口頭発表とディスカッションをおこないました。午前中に開催した「こころの未来研究センター研究報告会2015『からだ・こころ・きずな』」に引き続き、センターの取り組みに支援をいただいている関係者をはじめ、学内外の研究者、大学院生、学部生など97名にご参加いただきました。


 冒頭、吉川左紀子センター長が挨拶に立ち、「上廣こころ学研究部門では上廣倫理財団のご支援とご理解のもと、『京都大学の知的伝統を受け継ぐと共に、こころと倫理をつなぎ未来に向かう研究を推進する』という主旨で研究に取り組んでいます」と説明しました。続いて、丸山登公益財団法人上廣倫理財団事務局長より来賓のご挨拶を頂き、財団設立に到るエピソードと財団の活動理念、京都大学と本報告会に寄せる期待についてお話を頂きました。その後、鎌田東二教授が本研究部門の取り組みを紹介しました。ひとつめの研究報告は、門前斐紀研究員が「芸術からこころを問い直す」と題し、芸術活動に備わる倫理的作用に焦点をあて、東日本大震災における芸能復興の事例などを用いて発表しました。続いて、梅村高太郎研究員が「心身症からこころを問い直す」と題し、平成26年度より取り組んでいる「身体疾患・症状に関する心理療法の研究」プロジェクトから発展させた実証研究の成果と知見を報告しました。三つめの報告では「介護からこころを問い直す」と題し、カール・ベッカー教授が長らく取り組んできた介護者・看護者が直面する心理的ストレスに関する研究と、介護者・看護者のストレス予防の為の診断法についての研究成果を紹介しました。


 その後、部門研究者による全体討論がおこなわれ、熊谷誠慈准教授の司会進行のもと、清家理助教、畑中千紘助教、福島慎太郎青山学院大学総合文化政策学部助教らが発表者と共にディスカッションをおこないました。締めくくりとして、河合俊雄教授が「若手研究者は上廣こころ学研究部門という、非常に豊かでハードな環境のなか研究に取り組んでいる。今日、登壇した若い人たちの話から、アクションリサーチのなかで起こってくることを見つめることの大切さをあらためて認識した」と総括し、報告会は終了しました。


151220uehiro_yoshikawa.png 151220uehiro_maruyama.png
151220uehiro_becker.png 151220uehiro_monzen.png
151220uehiro_umemura.png 151220uehiro_kumagai.png
151220uehiro_discuss.png 151220uehiro_zentai.png


[開催ポスター]
151220uehiro.png


[DATA]
▽日時:2015年12月20日(日)14:30~17:45(14:00 受付開始)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
・14:30 - 14:35 センター長挨拶 吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター・教授/センター長)
・14:35 - 14:40 来賓ご挨拶 丸山登(公益財団法人 上廣倫理財団・事務局長)
・14:40 - 14:50 上廣こころ学研究部門の取組紹介 鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター・教授/上廣こころ学研究部門兼任)
・14:50 - 15:20 研究報告①「芸術からこころを問い直す」門前斐紀(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・非常勤研究員)
・15:20 - 15:50 研究報告②「心身症からこころを問い直す」梅村高太郎(京都大学こころの未来研究センター・非常勤研究員)
・15:50 - 16:20 研究報告③「介護からこころを問い直す」カール・ベッカー(京都大学こころの未来研究センター・教授/上廣こころ学研究部門兼任)
・16:20 - 16:40 休憩 (質問用紙回収)
・16:40 - 17:40 部門研究者による全体討論 モデレーター:熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)、ディスカッサント:清家理(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定助教)、畑中千紘(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定助教)、福島慎太郎(青山学院大学総合文化政策学部・助教)
・17:40 - 17:45 閉会の挨拶 河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター・教授/上廣こころ学研究部門兼任)
司会:阿部修士(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)
▽参加人数:97名

16.01.15

↑ページトップへ戻る

2015年

第6回ブータン文化講座 「輪廻のコスモロジーとブータンの新しい世代」を開催しました

 2015年10月20日、こころの未来研究センターブータン学研究室の主催による第6回ブータン文化講座 「輪廻のコスモロジーとブータンの新しい世代」が、稲盛財団記念館3階大会議室で開催されました。

 ブータン学研究室では、アウトリーチ活動の一環として「ブータン文化講座」を定期開催しています。今回は、教育学研究科の西平直教授をお招きし、「輪廻のコスモロジーとブータンの新しい世代」をテーマにご講演いただきました。司会進行は、ブータン学研究室の熊谷誠慈准教授が務めました。


○参加者アンケートより


・教育、現代の若者という側面でブータンについて知ることができた。(学部生)
・ブータンの人たちの根源としての輪廻の話が面白かった。(社会人)
・ブータンの方々の来世を意識する生活がとても印象的だった。(大学院生)
・グローバリゼーションを西側のモノサシで測ることで他国を見ることは無理であることが分かった。(社会人)
・表面的には発展が急速に進んでいても、思想等の根底にある部分はそう簡単に変わらないのだと感じ興味深かった。(学部生)
・抽象的なGNH論ではなく、現実のブータンで若者がどのように生きているのかを知り興味をもちました。(社会人)


1510nishihira.png 1510bhutan.png


[開催ポスター]
1510bhutan6.png


[DATA]
第6回ブータン文化講座
「輪廻のコスモロジーとブータンの新しい世代」


▽ 日時:2015年10月20日(火) 17:00~19:00(16:30開場)
▽ 場所:京都大学稲盛財団記念館3階 大会議室
▽ 講演者:西平 直(京都大学大学院教育学研究科・教授)
▽ 司会進行:熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター准教授)
▽ 主催:京都大学こころの未来研究センター ブータン学研究室
▽ 参加者数:98名

15.11.13

畑中助教が日本箱庭療法学会第29回大会で研究発表をおこないました

1510hatanaka_hakoniwa.png 畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)が、2015年10月10日・11日に東北福祉大学(宮城県仙台市)で開催された日本箱庭療法学会第29回大会において、「身体的違和感を訴える女性の夢の展開-外的な語りとイメージの関連に着目して-」と題する研究発表をおこないました。


 近年、心理療法場面においても内面が語られにくい事例が増えていることが指摘されていますが、本研究発表では、身体的な訴えが繰り返される事例での夢の展開を素材として、他者や薬など、外的なもののせいにされていた違和感が身体によって引き受けられ、やがては夢のイメージとして内在化されていくプロセスについて分析しました。


 現代的な事例の心理療法的展開のひとつのあり方を提示すると共に、心理学的には一見、無意味にも見える身体的な訴えが当人にとっていかに重要な意味をもちうるかについても示した発表となっています。


<報告:畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)>


日本箱庭療法学会第29回大会ウェブサイト

15.10.20

「発達障害の子どもへの心理療法的アプローチ」の成果を日本箱庭療法学会第29回大会で発表しました

 2015年10月10日・11日に東北福祉大学(宮城県仙台市)でおこなわれた日本箱庭療法学会第29回大会において、上廣こころ学研究部門のプロジェクト「発達障害の子どもへの心理療法的アプローチ」の成果を2つの研究発表として発表しました。


 「発達障害とは見立てられない子どものプレイセラピー(1)」では、これまでプロジェクトで受け容れた事例の見立てと発達検査の結果を総合的に分析し、発達障害と診断を受けていても、そうとは見立てられないという現象がどうして近年起こりやすくなっているのかについて、検討しました。その結果、現在の診断基準は原因論を想定していないために表面的には類似したエピソードがある場合、周囲が心配するためにそう見えてしまう場合など、誤解されやすいいくつかのパターンがあることが明らかになりました。


 そして、「発達障害とは見立てられない子どものプレイセラピー(2)」では、そうしたケースのプレイセラピーではどのような展開がみられるかについて、3事例をとりあげて詳細な検討をおこないました。本プロジェクトでは、自閉症スペクトラム障害の子どもさんに対して心理療法的アプローチを行っていますが、診断の有無とは別に臨床的な見立てを行い、その子に添ったアプローチをすることを重視しています。上記の研究発表では、来談時の見立てと発達検査の結果から適切に見立てをするための理論構築と、その臨床的裏付けを行いました。


 臨床が主体の学会のため、基礎研究は少ない学会であるにもかかわらず、会場にはたくさんの方にお越しいただき、本研究プロジェクトへの関心の高さが感じられました。本研究結果の詳細については、今後、論文にまとめて発表する予定です。


<報告:畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)>


上廣こころ学研究部門「発達障害の子どもへの心理療法的アプローチ」
(プロジェクト概要ページ)
日本箱庭療法学会第29回大会ウェブサイト

15.10.18

fMRI体験セミナー2015 を開催しました

1509fmri.png 2015年9月1日、2日の両日、「fMRI体験セミナー2015」をこころの未来研究センター連携MRI研究施設南部総合研究1号館地階MRI実験室にて開催しました。


 本セミナーは、おもに学内の大学院生・学部生・研究員を対象に、現在の脳機能画像研究における主要ツールの一つ「機能的磁気共鳴画像法(fMRI)」による研究を、センターのMRI実験室を用いて実際に体験・学習してもらうために実施しています。3度目を迎えた2015年は、阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)、上田祥行助教、柳澤邦昭助教、浅野孝平研究員が企画運営、レクチャーおよび実験指導を担当。今年も教育学研究科、文学研究科、人間環境学研究科、総合生存学館、高等教育研究開発推進センターなどから両日合わせて12名が参加しました。


 はじめに、MRIの基礎と脳機能画像研究の概要について説明を受け、参加者全員がfMRI装置を実際に使った課題をおこないました。MRI装置の中では、右手の運動と左手の運動をおこなう課題を体験。実験後は、その場で担当者と共にデータの解析へ。運動課題によって脳のどの領域に活動が生じているかを実際に見て分析に挑戦し、質疑応答とディスカッションで知識を深めました。


1509fmri1.png 1509fmri2.png
1509fmri3.png 1509fmri4.png


<参加者の感想> ※アンケートより一部抜粋


・実験でMRIに入ったのは初めてだったので、今後の実験デザインを考える上でも参考になりました。また。先生方から様々なお話を伺え、その場で解析もしていただけたので、イメージもわきました。
・装置の中に実際に入ることができ、被験者の気持ちが少し分かってよかったです(実際に実験を組む時の参考になります)。
・内容が充実していました。体験、講義、ディスカッションのバランスが良かったです。
・初めて自分の脳を見て、とても感動しました。(略)ますます脳への関心が高まり、脳科学の分野の先生方のお話もきくことができたので、素晴らしい機会になりました。
・異分野の研究について勉強できました。


[DATA]
「fMRI体験セミナー2015」
▽日時:2015年9月1日(火)、2日(水)13:00~17:00 
▽場所:南部総合研究1号館地階MRI実験室
▽参加費:無料
▽対象:京都大学に所属する大学院生。今後、機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging; fMRI)による研究を行おうと考えている方。
▽担当者:阿部修士(こころの未来研究センター・特定准教授)、上田祥行(こころの未来研究センター・特定助教)、柳澤邦昭(こころの未来研究センター・特定助教)、浅野孝平(こころの未来研究センター・特定研究員)
▽主催:京都大学こころの未来研究センター
▽参加者数:1日・6人、2日・6人


<報告:阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)>

15.09.08

福岡県立明善高校の生徒さんがセンターを訪問し、MRI施設の見学などをおこないました

 2015年8月4日、福岡県久留米市の福岡県立明善高校の生徒さん31名がこころの未来研究センターを訪問し、鎌田東二教授と阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)のレクチャーを受け、センター連携MRI研究施設を見学しました。文部科学省SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、その活動の一環として関西研修に訪れた同校の訪問は、昨年、一昨年に続き3度目となり、過去最多の人数で来訪されました。


 はじめに一行は、センター連携MRI研究施設に到着し、認知神経科学が専門の阿部准教授のレクチャーを受けました。阿部准教授は、fMRIの基礎的な知識や発展の歴史、MRI設備を用いて研究する際に注意すべき点、施設内の設備の説明など、動画や写真を多数示しながら紹介しました。その後、柳澤邦昭助教が実際に被験者となり、fMRIを用いた簡単な実験をおこない、生徒さんたちは隣室から実験の様子を見学。質疑応答では、「fMRIによる実験は子どもも被験者になれますか?」「先生はいまfMRIを使ってどんな研究をしているのですか?」といったやりとりがあり、最後まで施設内を熱心に眺める姿が印象的でした。


 続いて、こころの未来研究センター本館のある稲盛財団記念館へ移動し、大会議室にて鎌田教授がレクチャーをおこないました。比叡山に向かって颯爽と法螺貝を吹く鎌田教授の姿に生徒さんたちは釘付けに。講義では、新旧のジブリ映画の描き方について、時代、思想、宗教観などさまざまな要素で比較するなど、具体的で分かりやすい題材を用いて、宗教学、民俗学がどのような学問であるか、解説がありました。理系や文系の枠にとらわれず、分野横断的に研究が進んでいるセンターの特徴にふれた高校生のみなさんは、「初めて知る内容でした」「進路を考える参考になりました」など、感想を話していました。


1508meizen_kamata.png 1508meizen_abe.png
1508meizen_all.png


福岡県立明善高校ウェブサイト

15.08.22

阿部准教授のインタビュー「嘘の研究 脳科学で挑む」が産経新聞に掲載されました

 阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)のインタビュー「嘘の研究 脳科学で挑む」が、2015年7月6日付の産経新聞(京阪奈・京市内版)に掲載されました。「脳科学の観点から人間が嘘をつくメカニズムの解明に取り組む研究者」として、阿部准教授が現在の仕事を志すまでのいきさつや研究への思い、今後の豊富について語っています。


1507abe_sankei.png「嘘の研究 脳科学で挑む」京都大准教授 阿部修士さん(34)


 良くないと分かっていながら、誰しも無縁でいられないのが「嘘」。脳科学の観点から人間が嘘をつくメカニズムの解明に取り組む研究者がいると聞いて、京都大こころの未来研究センターを訪ねた。
 「嘘には、認知や記憶、感情など人間のあらゆる心の働きが含まれている。嘘について研究することで、人間の心のあり方を理解できるのではないか、と思っています」(中略)
 嘘のメカニズムに脳科学からアプローチする研究はまだ少ないが、それを解明することで教育や法律といった社会制度の改善にも役立つと考えている。
 これまでの経験から、研究においては学問分野をまたぐことに抵抗を感じる必要はないというのが持論。今後、環境や文化との関連、加齢による影響など、多角的に嘘の研究を進めていくという。


(記事より)

 

15.07.27

熊谷准教授が TEDxKyotoUniversity に登壇しました【動画をご覧いただけます】

 2015年6月7日、京都大学芝蘭会館(山内ホール)にて開催されたプレゼンテーションイベント TEDxKyotoUniversity で、熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)がスピーカーとして登壇しました。


 TEDxKyotoUniversity には、山極寿一京大総長をはじめ、学術、エンターテイメント、アートなど様々な分野で活躍するスピーカーが参加し、プレゼンテーションをおこないました。熊谷准教授は、「Achieving Happiness through Wisdom(智慧を通じた幸福の実現)」というテーマで英語による講演をおこない、ブータン王国の国民総幸福政策を例として取り上げ、同政策の根底に存在する仏教哲学思想を紹介し、古き伝統知の応用可能性について論じました。さらに、国民総幸福(Gross National Happiness)の次なる概念として、地球総幸福(Gross Global Happiness)の重要性を訴えました。


kumagai_TEDxKyotoUniversity.jpgTEDxKyotUniversity_all.jpg


同講演の動画は下記のリンク先で視聴可能です。
https://www.youtube.com/watch?v=AhQFz5cYk9Q

15.07.24

阿部准教授らのグループが第17回日本ヒト脳機能マッピング学会で若手奨励賞を受賞しました

1507mapping.png 2015年7月2日・3日に大阪・毎日新聞オーバルホールで開催された「第17回日本ヒト脳機能マッピング学会」において、阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)らのグループによるポスター発表(筆頭発表者:上田竜平京都大学文学研究科修士課程2回生、こころの未来研究センターオフィスアシスタント)が「若手奨励賞」を受賞しました。


【受賞した演題】
前頭前野・報酬系の活動が「無分別な恋愛行動」の個人差を説明する
上田竜平、蘆田宏、阿部修士


 若手奨励賞は、同学会で発表された演題の中から35歳以下の筆頭発表者による優秀な抄録に対して贈られる賞です。研究では、すでに特定の個人と交際している異性に対しても交際してみたいと感じる「無分別な恋愛行動」の個人差が、行動の抑制に関わる「前頭前野」と、報酬情報の処理に関わる「眼窩前頭皮質」という2つの領域における脳活動の個人差によって説明できる可能性が示されました。


 筆頭発表者の上田さんは、「大変光栄に思い、これからの研究生活の励みになります。今後は『我々ヒトが恋愛場面でどのように意思決定をしているか』という大きな問題を、さらに詳細に明らかにしていきたいと考えています」と、コメントしています。なお、本研究は、おもにこころの未来研究センター連携MRI研究施設のfMRI装置を利用して進められました。


1507ueda.png
上田竜平さん(京大文学研究科修士2回)

15.07.07

阿部准教授が解説した記事が『読売中高生新聞』に掲載されました

1506abe_yomiuri.png 阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)が解説を寄せた記事が、『読売中高生新聞』2015年5月29日号の特集「文系、理系って何?」に掲載されました。


 『読売中高生新聞』は、読売新聞が発行する中学生、高校生向けの新聞です。阿部准教授は、巻頭特集「文系、理系って何?」という記事において、「文系脳、理系脳はある?」「女子は数学が苦手?」というふたつの問いに対し、脳のメカニズムを紹介しながら答えています。文系脳と理系脳の違いについては、脳の左半球と右半球、それぞれに役割があるとしつつも、「論理的に考える人の左半球が発達しているかというと、そう単純ではない。(中略)勉強する時も両方の脳が働いている」など、具体例を挙げて脳の複雑さをわかりやすく解説しています。


『読売中高生新聞』最新号紹介ページ | YOMIURI ONLINE

15.06.04

阿部准教授の研究が産経新聞記事「もう一人のあなた 嘘の構図 4」で紹介されました

 阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)の研究内容が、2015年4月5日付の産経新聞の連載記事「もう一人のあなた 嘘の構図 4」で紹介されました。


 「嘘をつく」という人間ならではといわれる行為に焦点を当てた連載記事第4回は、チンパンジーの研究を通して人の心の進化を探究する京大霊長類研究所の松沢哲郎教授と、認知神経科学が専門でfMRI(機能的磁気共鳴画像装置)を用いた人の正直・不正直さの研究を進める阿部准教授それぞれの研究知見をコメントと共に紹介。阿部准教授が昨年発表した「脳の側坐核の働きが活発な人ほど嘘をつく傾向が大きい」という研究成果が詳しく取り上げられました。


150405abe_sankei.pngチンパンジーは仲間をだましニヤッと笑った...
他者の心が分かる知性と表裏一体の「進化の副産物」


<嘘の個人差と脳との関係は...>


 ...人間の嘘にはどのようなメカニズムがあるのか。脳科学の観点から、そうした課題に迫る研究がある。京都大准教授の阿部修士(34)=認知神経科学=らは昨年8月、脳の特定領域の働きが活発な人ほど嘘をつく傾向が大きいとの研究成果を発表した。
 阿部らは、約30人の参加者がコインを投げ、裏が出るか表が出るかを予想。当たりなら賞金がもらえるゲームを実施した。ただし、正解したかどうかは自己申告だ。
 このとき、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で脳の働きを調べたところ、嘘をつくことによって賞金を得た人ほど、利益が得られることを期待する際に働く「側坐核(そくざかく)」という領域が活発なことが判明した。
 嘘と脳の関係を調べる研究はまだ始まったばかりだが、阿部は「嘘をつく度合いの個人差と、脳の特定領域との相関関係が明らかになったのは、世界でも初めてではないか」と語る。


(記事より)


 記事は産経新聞のウェブサイトに全文が掲載されています。下記リンクにアクセスしてお読みください。


【もう一人のあなた 嘘の構図(4)】 | 産経ニュース・産経WEST


15.04.21

畑中助教が金沢大学附属高等学校「同窓生による特別授業」で講演しました

1503hatanaka_kanazawa2.jpg 畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)が、2015年3月14日、母校の金沢大学附属高等学校でおこなわれた「同窓生による特別授業」で講演しました。


 講演は、SGH(スーパーグローバルハイスクール)事業の一環で開催されたもので、「北陸から世界を変えるグローバル・リーダーの育成」を目的に、異なる領域から4つの講演がおこなわれました。畑中助教は「こころを知り、こころとつきあう仕事とは」というタイトルで講演し、京都大学について、研究者の仕事について、心理学という研究領域、こころの未来研究センターでの研究成果について話をしました。文理や性別、学年を問わず80名ほどの生徒さんが参加され、熱心に耳を傾けてくれました。


■「同窓生による特別授業」
・日時:2015年3月14日(土)10:45-12:35
・場所:金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校 有朋館


<報告:畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)>

15.03.19

ダムチョ・ドルジ ブータン王国内務大臣ご臨席のもと、熊谷誠慈准教授の出版記念祝賀会が行われました。

【イベント名】Bhutanese Buddhism and Its Culture出版記念祝賀会
【日時】2015年2月27日(金)10:30~11:30
【場所】王立ブータン研究所(ブータン王国ティンプ市)

 熊谷誠慈特定准教授(上廣こころ学研究部門)の近著『Bhutanese Buddhism and Its Culture』 (Kathmandu: Vajra Publications, 2014)の出版記念祝賀会が、ダムチョ・ドルジ内務大臣臨席のもと、ブータン王国ティンプ市の王立ブータン研究所にて開催されました。
 熊谷准教授が同書の内容を解説し、ブータン仏教研究プロジェクト紹介およびブータン学の展望について講演を行った後に、ダムチョ・ドルジ内務大臣、カルマ・ウラ王立ブータン研究所長、Vajra Publicationのビドゥル・タンゴル社長から祝辞が述べられました。
 なお、出版記念祝賀会の模様は、同日夜9時からのBBS(ブータン国営放送)のニュースで放送され、BBSのホームページには記事が記載されています。


0249BBSnews3.jpg


0243BBSnews9.jpg
  BBS(ブータン国営放送)ニュース(2015年2月27日)より


放送された映像はこちらからご覧いただけます。


▽BBS(ブータン国営放送)のウェブ版はこちら
「Book titled "Bhutanese Buddhism and Its Culture" launched」
http://www.bbs.bt/news/?p=48839

15.03.02

『螢雪時代』に阿部准教授の研究成果が掲載されました

 旺文社が発行する受験生向けの雑誌『螢雪時代』の「螢雪ジャーナル・キャンパスニュース」と、旺文社のウェブサイト「パスナビ」の情報欄に、阿部修士准教授が2014年8月に発表し、論文が『Journal of Neuroscience』に掲載された研究成果「どうして正直者と嘘つきがいるのか? ー脳活動からその原因を解明ー」が紹介されました。下記のリンク先で全文をご覧いただけます。


1411abe_keisetsu.png「なぜ正直者と嘘つきがいる? 脳活動からその原因を解明 京都大学」


 京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門阿部修士准教授たちのグループは、機能的磁気共鳴画像法と呼ばれる脳活動を間接的に測定する方法と、嘘をつく割合を測定する心理学的な課題を使って、正直さ・不正直さの個人差に関係する脳の仕組みについて解明した。(中略)
 阿部准教授は「今回の研究では、嘘をついてしまう人と正直な人とで脳の活動パターンに違いがある可能性を明らかにした。この結果は、人間の『道徳性』を科学的に理解するための重要なステップである」と語る。今後の研究の目標は「宇宙で最も複雑な存在」とも言われる脳の仕組みと、人間の心のメカニズムの関係性を明らかにすることという。


(『螢雪時代』2014年11月号 より)


なぜ正直者と嘘つきがいる? 脳活動からその原因を解明 / ニュース | 大学受験パスナビ:旺文社


□関連情報
阿部准教授の論文が『Journal of Neuroscience』に掲載されました

15.02.13

阿部准教授が読売テレビ「ウェークアップ!ぷらす」に出演しました

1501abe_yomiuritv.png 2014年12月27日に放映された報道番組「ウェークアップ!ぷらす」(制作:読売テレビ」に阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)が出演しました。


 番組では、「2014総決算!嘘つきはどろぼうのはじまり」というテーマで、昨年に世の中を賑わした事件や出来事を振り返り、それらにひそむ「嘘」をキーワードに、人がなぜ嘘をつくのか、嘘にちなんだ話題の数々が特集として取り上げられました。冒頭、阿部准教授が昨年に論文発表した「人の正直さ・不正直さの個人差に関係する脳の仕組み」を調べた研究内容が詳しく紹介され、阿部准教授のコメントと共に「側坐核(そくざかく)の活動が高い人ほど、嘘をつく割合が高い」といった結果が図説で紹介されました。


 番組のホームページに詳しい内容が掲載されています。下記リンク先をご覧ください。


2014総決算!嘘つきはどろぼうのはじまり|ウェークアップ!ぷらす(ytv)


□関連情報:阿部准教授の論文の発表記事と概要はこちら
阿部准教授の共著論文が『Journal of Neuroscience』に掲載されました

15.01.12

上廣こころ学研究部門 2014年度研究報告会 「学びの経験と社会」を開催しました

 上廣こころ学研究部門 2014年度研究報告会 「学びの経験と社会」を、2014年12月21日、稲盛財団記念館大会議室にて開催しました。


 こころの未来研究センターでは2012年4月より、公益財団法人上廣倫理財団の御寄付により「上廣こころ学研究部門」を開設し、現代の日本社会が必要とする、倫理を含む広義の「こころ学」に関するユニークな学際的研究活動をおこなっています。今年度の研究報告会は「学びの経験と社会」をテーマに、3名の研究者による口頭発表と若手研究者を中心とするディスカッションをおこないました。午前中に開催した「こころの未来研究センター研究報告会2014 こころの未来~私たちのこころは何を求めているか~」に引き続いて、センターの取り組みに支援をいただいている関係者をはじめ、学内外の研究者などが聴講くださいました。


 冒頭、吉川左紀子センター長の挨拶に続き、丸山登公益財団法人上廣倫理財団事務局長に来賓のご挨拶を頂きました。その後、河合俊雄教授が上廣こころ学研究部門の取り組みを紹介し、若手研究者による発表が始まりました。ひとつめの研究報告は、清家理助教が「学び合いから生まれる新たな価値と力―孤立防止のための互助・自助強化プログラム開発研究より」というテーマで発表。医療倫理学、社会福祉学の視点から日々の現場での経験と知見をふまえた活動の成果を報告しました。続いて、奥井遼研究員が「身体的経験を通じた学びの豊かさ―淡路人形座における稽古場面より」というテーマで教育学の視点から身体を用いたワザの継承と習得に関わる行為、学びと実践に関する研究の成果を報告しました。そして、三つめの報告では阿部修士准教授が「嘘つきはより嘘つきに-繰り返される誘惑には抗えないのか?」というテーマで、認知神経科学の視点からfMRIを用いたヒトの嘘をつく行為に関わる脳機能の実験と調査結果を紹介しました。その後、鎌田東二教授がモデレーターを務め、熊谷誠慈准教授、畑中千紘助教、福島慎太郎研究員、梅村高太郎研究員らをコメンテーターに、上廣こころ学研究部門の研究者らが壇上に揃って活発な質疑応答とディスカッションの時間を持ち、カール・ベッカー教授による閉会の挨拶で報告会は終了しました。


141221uehiro_1.png141221uehiro_2.png
141221uehiro_3.png141221uehiro_4.png
141221uehiro_5.png


[開催ポスター]
141221uehiro.png


[DATA]

▽日時:2014年12月21日(日)14:30~17:30(14:00 受付開始)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
・14:30 - 14:35 センター長挨拶:吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター教授・センター長)
・14:35 - 14:40 来賓ご挨拶:丸山登(公益財団法人 上廣倫理財団 事務局長)
・14:40 - 14:50 上廣こころ学研究部門の取組紹介:河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター教授・上廣こころ学研究部門兼任)
・14:50 - 15:20 研究報告①「学び合いから生まれる新たな価値と力―孤立防止のための互助・自助強化プログラム開発研究より」清家理(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定助教)
・15:20 - 15:50 研究報告②「身体的経験を通じた学びの豊かさ ―淡路人形座における稽古場面より」奥井遼(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定研究員)
・15:50 - 16:20 研究報告③「嘘つきはより嘘つきに-繰り返される誘惑には抗えないのか?」阿部修士(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)
・16:20 - 16:40 休憩 (質問用紙回収)
・16:40 - 17:25 部門研究者による全体討論
モデレーター:鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター教授・上廣こころ学研究部門兼任)
コメンテーター:熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)
畑中千紘(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定助教)
福島慎太郎(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・非常勤研究員)
梅村高太郎(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・非常勤研究員)
・17:25 - 17:30 閉会の挨拶:カール・ベッカー(京都大学こころの未来研究センター教授・上廣こころ学研究部門兼任)
▽参加者数:58名

当日のアブストラクトはicon_pdf_32.pngこちらです。

15.01.09

↑ページトップへ戻る

2014年

「第36回こころの未来セミナー Death and Dying East and West:東洋・西洋における死と臨終」を開催しました

 「第36回こころの未来セミナー Death and Dying East and West:東洋・西洋における死と臨終」を2014年11月17日、稲盛財団記念館3階大会議室にて開催しました。


 講師に Tony Walter先生(Ph.D / Professor & Director of the University of Bath Centre for Death & Society)をお迎えし、 東洋・西洋における死や葬儀、死別悲嘆などに対する関係要因の影響についてお話いただきました。セミナーは英語でおこなわれましたが、企画・司会進行役を務めたカール・ベッカー教授が要所要所を日本語訳し、日本人学生や海外からの研究者など幅広い参加者が熱心に聴講していました。


141117_1.png141117_2.png
141117_3.png141117_4.png


[開催ポスター]
1411kokoronomirai_seminar.png


[DATA]
▽ 日時:2014年11月17日(月)15:30~17:00 (受付開始15:00~)
▽ 場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽ 講師:Tony Walter先生(Ph.D / Professor & Director of the University of Bath Centre for Death & Society)
▽ 参加資格:特になし
▽ 参加費:無料 / 申込:不要
※本講演は、公益財団法人 上廣倫理財団 平成25年度研究助成により一部支援を受けています。
▽ 参加者数:約30名

14.12.25

第3・4回京都大学ヒマラヤ宗教研究会の報告

【イベント名】第3・4回京都大学ヒマラヤ宗教研究会
【日時】 2014年10 月6日(月)16:30~18:00(第3回)
         11月17日(月)17:00~19:30(第4回)
【場所】 京都大学こころの未来研究センター225会議室
【発表者】 小西賢吾(京都大学こころの未来研究センター・研究員)
【講演題目】 「フィールドからみるボン教研究―ボン教の地域性に着目して」

【概要】
 「京都大学ヒマラヤ宗教研究会」の第3・4回研究会を開催しました。本研究会は、ヒマラヤ圏の宗教・歴史・文化に関心を持つ若手研究者が最新の研究成果を共有・議論する場として、昨年度からこころの未来研究センターで立ち上がったものです。今回はこころの未来研究センター小西賢吾研究員が、ヒマラヤ圏の基層文化を考える上で不可欠な宗教「ボン教」について、最新の研究動向とフィールドワークの成果を2回にわたって紹介しました。講演の要旨は以下の通りです。
 ボン(ポン)教は、かつてチベット高原に仏教が伝来する以前から存在したといわれる宗教であり、近年ではヒマラヤ圏の基層文化を理解する上で不可欠な要素として国際的に注目を集めている。古代チベット王国の衰亡後、11世紀から仏教の「後伝期」のはじまりと並行して、ボン教もまた教義の整備を進め、現代に受け継がれる「ユンドゥン・ボン」の体系が成立した。その教義は、氏族による継承と、中央チベットのメンリ僧院を代表格とする僧侶共同体による継承の二つの側面をもっている。そのため、均一な教義・テクストにとどまらず、各地域に根ざした世界観もまた継承されてきた。
 発表者は、チベット高原東端部のシャルコク地方(中国四川省アバ州松潘県)でのフィールドワークを通じて、固有の地域性と、地域を越えたグローバルなネットワーク双方に支えられてボン教の実践が存続する動態を研究してきた。近年中国の急速な経済発展を背景に、現金収入が増加した人びとは多くの財を宗教活動に投じることが可能になった。それが端的に表れたチョルテン(仏塔、供養塔)建設の事例では、土地神を軸とするローカルな宗教空間と、よりユニバーサルな教義が複合しながら、「村を守る」宗教シンボルが確立したことを論じた。またシャルコクは20世紀以降地域を越えて展開するボン教徒ネットワークの重要な結節点でもあり、ボン教徒が現代の社会変容の中で自らの独自性と生き残りを模索する場となっていることを論じた。そしてボン教の現状をとらえるためには、欧米、中国、日本などを含めた研究者の連携が不可欠であることにも言及した。

 研究会には各分野の研究者が参加して活発な意見交換が行われ、ヒマラヤ宗教の現代的展開とその意義を多角的に議論する場となりました。


(小西賢吾 こころの未来研究センター研究員)

14.11.20

【京大学部生・院生むけ】京都大学付属図書館のレクチャーシリーズ第4回(11月27日)で熊谷准教授が講演します

 2014年11月27日に京都大学付属図書館1階ラーニング・コモンズで開催されるレクチャーシリーズ第4回 で熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)が講師を務めます。


 テーマは「チベット・ブータンの宗教文化研究の紹介 〜文献研究およびフィールド研究の両側面から〜」です。仏教がインドから他国へとどのように伝播し、受容され展開していったかを、熊谷准教授がおこなってきた文献学やフィールド研究などに基づきながら解説します。


 セミナーの対象は、京都大学の学部学生、大学院生です(無料・自由参加)。該当者で興味のある方は、下記ページに詳細が載っていますので、ご覧ください。

1411kumagai.png
京都大学付属図書館レクチャーシリーズ<第4回>熊谷誠慈准教授(京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門)

14.11.14

河合教授、畑中助教による『大人の発達障害の見立てと心理療法』の書評が『心理臨床学研究』に掲載されました

1411kawai_shinririnsho.png 日本心理臨床学会が発行する学会誌『心理臨床学研究』vol.32 No.3 に、河合俊雄教授と田中康裕教育学研究科准教授が編著者を務め、畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)が二つの章を執筆した『大人の発達障害の見立てと心理療法』(創元社)の書評が掲載されました。評者は、滝川一廣学習院大学教授です。


 『大人の発達障害の見立てと心理療法 』は、上廣こころ学研究部門における臨床心理学領域のプロジェクトの一つである「大人の発達障害への心理療法的アプローチ」の研究成果がまとまった一冊です。書評では、全体に流れるテーマである「主体」の立ち上がりや世界の捉え分けに着目しながら書籍の全体像と各章の概要を紹介し、「『発達障害』を、ひとつのこころのあり方という観点から捉えて、心理療法的なアプローチの必要性と可能性とを追究し」、「『発達障害』とはいかなる現象かを考える上で示唆に富む内容をもっている」と評しています。


書評1『大人の発達障害の見立てと心理療法 河合俊雄/田中康裕 編』 評者 滝川一廣 学習院大学文学部


 本書の「発達障害」とは公汎性発達障害(自閉症スペクトラム)を指す。これを, 脳中枢神経系の障害という観点からではなく, ひとつのこころのあり方という観点から捉えて, 心理療法的なアプローチの必要性と可能性とを追究しているのが, 本書の大きな特色である。
 もう一つの特色は, 「大人」の発達障害を対象としたことである。ここで大人とは, 単に「成人年齢者」の謂いではなく, アンバランスはあるにせよ, 発達の歩みに極端なおくれはなく(だから幼小児期には発達障害とは気づかれず), 基本的な発達水準は成人レベルに達した人たちを指す。たとえば成人言語によるコミュニケーションが可能で, その点でも心理療法的アプローチに開かれていると言える。裏返せば, そこまで精神発達を遂げながらもなお抱える困難さに, この人々固有の「こころのあり方」が見てとれる。それがどんなあり方なのか, 1章で河合俊雄, 2章で田中康裕が論じている。
 河合は, そのこころのあり方の中核に「主体のなさ」を見る。そしてこれが本書所収の諸論文を貫く縦糸となっている。「主体」とはなにか。...


(書評より)


河合教授、畑中助教による『大人の発達障害の見立てと心理療法』が出版されました
出版社の書籍ページ
Amazon.co.jpの書籍ページ

14.11.06

「fMRI体験セミナー2014」を開催しました

 9月29日(月)、30日(火)の2日間に渡り、「fMRI体験セミナー2014」をこころの未来研究センター連携MRI研究施設南部総合研究1号館地階MRI実験室にて開催しました。


 本セミナーは、おもに学内の大学院生・学部生・研究員を対象に、現在の脳機能画像研究における主要ツールの一つ「機能的磁気共鳴画像法(fMRI)」による研究を体感してもらうためにおこなっています。昨年に引き続き、企画運営、レクチャーおよび実験指導を阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)、上田祥行助教、中井隆介研究員らが担当しました。


 今年は、文学研究科、人間環境学研究科、情報学研究科、経済学研究科、医学研究科など幅広い分野から、おもに大学院生を中心に学部生や研究員の方々が参加されました。はじめに、MRIの基礎と脳機能画像研究の概要について説明を受け、参加者全員がfMRI装置を実際に使った課題をおこないました。MRI装置の中では、右手の運動と左手の運動をおこなう課題を体験。実験後は、その場で担当者と共にデータの解析へ。運動課題によって脳のどの領域に活動が生じているかを実際に見て分析に挑戦し、質疑応答とディスカッションで知識を深めました。


1409fMRI1.png1409fMRI2.png
1409fMRI3.png1409fMRI4.png


[開催ポスター]

1409fMRIposter.png


[DATA]
「fMRI体験セミナー2014」
▽日時:2014年9月29日(月)、30日(火)13:00~17:00 
▽場所:南部総合研究1号館地階MRI実験室
▽参加費:無料
▽対象:京都大学に所属する大学院生。今後、機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging; fMRI)による研究を行おうと考えている方。
▽担当者:阿部修士(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門・特定准教授)、上田祥行(こころの未来研究センター・特定助教)、中井隆介(こころの未来研究センター・研究員)
▽主催:京都大学こころの未来研究センター
▽参加者数:29日・6人、30日・6人


<報告:阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)>

14.10.09

京都大学東京オフィス連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」シリーズの講演録が公開されました

1409kyodainochi.png こころの未来研究センターでは、研究拠点のある京都以外の様々な場所に研究者が赴き、研究成果を発信しています。


 2014年5月から6月にかけて、京都大学東京オフィスで4回に渡っておこなわれた連続講演会「東京で学ぶ 京大の知 シリーズ15『こころの未来-私たちのこころは何を求めているのか』」には、吉川左紀子センター長、河合俊雄教授、内田由紀子准教授、阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)、熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)らが参加し、それぞれの研究分野での知見や成果を紹介し、ディスカッションをおこないました。


 この度、各講演会の詳しいレポートが京都大学のウェブサイトに公開されました。満員盛況となったレクチャーの様子をぜひご覧ください。


 以下、それぞれの概要とレポートへのリンクです。


○「日本文化における主体性とは何か -日本人の意識、感情、関係性からの考察」(2014年5月28日 )
講演者:内田由紀子准教授、ディスカッサント:吉川左紀子センター長
写真と詳しいレポート(PDF)


○「自分の意思で決めるとはどういうことか? -心理学と脳科学の視点から こころの未来研究センター」(2014年6月4日)
講演者: 阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)、ディスカッサント:河合俊雄教授
写真と詳しいレポート(PDF)


○「求めるべき幸福とは -ブータンの国民総幸福とその根底に横たわる精神性」(2014年6月11日)
講演者:熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)、ディスカッサント:吉川左紀子センター長
写真と詳しいレポート(PDF)


○「主体性は超えられるのか? -心理療法における揺らぎと超越」(2014年6月25日)
講演者:河合俊雄教授 、ディスカッサント:内田由紀子准教授
写真と詳しいレポート(PDF)

14.09.04

熊谷准教授のインタビューが京都新聞「探求人」に掲載されました

 熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)のインタビューが、8月23日付京都新聞朝刊の教育面「探求人」に掲載されました。インタビューでは、研究室での様子を写したカラー写真と共に、熊谷准教授が研究人生へと踏み出したいきさつからブータン仏教と出逢ったきっかけ、現在、ブータン学研究室で取り組んでいる古文書の解読や現地に溶け込んでの活動など、独創性に満ちた研究生活がいきいきと語られています。


1408kumagai_kyotonp.png「探求人 『幸せの国』の仏教思想に迫る よりよい社会へのヒント ブータンと精神文化交流を」京都大こころの未来研究センター准教授 熊谷誠慈さん(34)仏教学


 「GNHが生まれたルーツを探ることで、現代社会に応用できる知恵を見つけられないだろうか」。そんな思いから、12年に「ブータン学研究室」を京都大こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門に設け、国内やブータンの研究者とともにブータン仏教の研究を始めた。
 対象とするのは他の研究者が手をつけていない領域だ。現地で探し出した古文書を日本に持ち帰って解読を進める一方、寺院や遺跡を訪ね、僧侶や土地の長老からその歴史を聞き取った。これまでの研究で、ブータン仏教の二大宗派であるドゥク派とニンマ派、少数宗派のサキャ派の思想や成り立ちの全体像がつかめてきた。


(記事より)


□関連情報
こころの未来研究センター ブータン学研究室のページはこちら

14.09.01

阿部准教授の論文が京都新聞や多数のテレビ番組で報道されました

 『Journal of Neuroscience』に掲載された阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)の論文「Response to anticipated reward in the nucleus accumbens predicts behavior in an independent test of honesty」の内容が、京都新聞の「科学トピックス」や、全国放映のニュース番組やバラエティ番組などで多数報道されました。


 8月23日付の京都新聞朝刊の教育面では、論文の内容が詳しく説明され「人間の行動予測に役立つ可能性がある研究成果」と紹介されました。また、下記リストにあるように、テレビでも多数報道され、うそと脳活動の関係への社会の関心の高さがうかがえました。


1408abe_kyotonp.png【新聞報道:追加】
・京都新聞「科学トピックス うそと脳活動に関係」(8月23日付朝刊/教育面)


【テレビ報道:追加】
・日本テレビ ヒルナンデス(2014年8月6日)
・日本テレビ 情報ライブ ミヤネ屋(2014年8月6日)
・朝日放送 キャスト(2014年8月6日)
・日本テレビ Oha!4 NEWS LIVE (2014年8月7日)
・日本テレビ スッキリ!!(2014年8月7日)
・日本テレビ ウェークアップ!ぷらす(2014年8月9日)


□論文の発表記事と概要はこちら
阿部准教授の共著論文が『Journal of Neuroscience』に掲載されました

14.09.01

阿部准教授の論文が日本経済新聞で報道されました

 『Journal of Neuroscience』に掲載された阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)の論文「Response to anticipated reward in the nucleus accumbens predicts behavior in an independent test of honesty」の内容が、日本経済新聞(2014年8月6日夕刊14面)で報道されました。


1408abe_nikkei.png「うそつき、脳で分かる?京大、活動領域で解明 学生ら30人を測定」


脳の活動領域から正直者とうそつきの違いが分かったと、京都大の阿部修士特定准教授らの研究グループが発表した。報酬を期待する際に働く「側坐核」という領域の活動が活発な人ほど、うそをつく割合が高かったという。論文は7日、米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(電子版)に掲載される。


(記事より)


□論文の発表記事はこちら
阿部准教授の共著論文が『Journal of Neuroscience』に掲載されました

14.08.20

京都府/京都大学こころの未来研究センター共同企画「第13回こころの広場」を開催しました

1408kokoronohiroba_1.png 8月6日、京都府と京都大学こころの未来研究センターの共同企画による「第13回こころの広場 悩みと不安のイマ、むかし ~心理学と宗教学から考える~」が稲盛財団記念館3階大会議室でおこなわれました。


 「こころの広場」は、毎年、「こころ」について多彩なテーマで一般の皆さんと考えるシンポジウムです。今年も大会議室を埋め尽くす満員のご参加をいただき開催しました。今回は、臨床心理学者と仏教学者がそれぞれの専門分野から、「悩みや不安」のむかしといまにスポットをあて、現代の私たちがどんな悩みと向き合っているかについて考える、ユニークなイベントとなりました。


 冒頭、司会進行を務めた河合俊雄教授が、シンポジウムの主旨とこころの未来研究センターの取り組みについて紹介しました。「センターは、幅広い視点からこころを研究しています。私は臨床心理学が専門ですが、現代の人々の『悩み』のタイプが変わってきたように思います。この『悩み』や『不安』の変化について、文献に基づいた研究を進める熊谷准教授と、実践に基づいた研究を進める畑中助教、それぞれの知見から広く長い視点で見つめていきます」と話しました。


 はじめの講演者として熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)は、「悩みと不安のむかし 古き仏教は悩みや苦しみとどう向き合ってきたか」というタイトルにて発表をおこないました。「私は仏教学、宗教学を専門としているので、過去と現在、あるいは世界と日本を比べながら、仏教が悩みや不安とどう向き合ってきたかを考えてみたい」と話し、講演を「0.イントロダクション」「1.原始仏教の説く『苦』」「2.部派仏教や大乗仏教の説く『苦』」「3.仏教の死生観」「4. 悩みと不安のイマ」に分け、仏教の大きな流れ、苦悩への対応、死生観、時代や宗派、地域差について紹介しました。


 熊谷准教授は、原始から教典で説かれているブッダの教えの目標は、心の生み出す「苦」をいかにしてのりこえるか、ということであり、仏教の根源的なテーマが苦悩から開放され乗り越えることだと、紹介しました。その「苦」にも様々な原因とタイプがあり、怒りや恨み、妬みや物惜しみなど、苦悩に関わる心の作用が部派仏教や大乗仏教で事細かに分類され、仏教における「苦」がいかに大きなテーマであるかを詳細に解説しました。また、死の恐怖について仏教は民衆の苦悩といかに向き合ってきたか、それぞれの時代と地域における死生観を紹介しました。最後に現在、世界各地で仏教がどのように広がっているのか、インド、ブータン、チベット、アメリカ、日本それぞれの仏教の特徴を紹介。日本では古くからの仏教が衰退する一方で、娯楽、観光の対象として文化的側面で注目されているものの、仏教の本質が再評価されているにはまだ到っていない、現代人の苦悩や悩みに対応する仏教としてはまだ課題なかばである、と現状を話しました。締めくくりとして、熊谷准教授は、「今日は仏教にかぎって話したが、仏教に限らず様々な古き知恵や伝統をたずねることで、現代の苦悩をのりこえ幸福の可能性を見いだすことができるのではないか」と提言しました。


 続いて、畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)が「悩みと不安のイマ:現代の悩みのかたちを考える」というテーマで講演をおこないました。「私のほうでは現代人のこころの変化についてお話ししたい。悩みや不安の形から今のこころはどうなっているのか、私自身の10年の臨床心理士の経験からみつめてきた変化を追いながらご紹介したい」と前置きをし、「1.心理療法の前提:こころの『中』への窓口」「2.イマの悩みのかたち:『深さ』の消滅?」「3.くさいものにもふたいらず?:社会・文化的側面」「4.心理テストに現れた変化:プロジェクト研究より」「5.イマのこころのかたち:『関係』に溶け出す<私>」という分け方で、数多くの事例と共に解説しました。


 畑中助教ははじめに、河合隼雄名誉教授の著書『カウンセリングを語る』(講談社+α文庫)や『新版・心理療法論考』(創元社)などを引用し、「心理療法は、その人の悩みのさらに中をみつめる作業。悩んでいる人は、悩みを話すことで自分のこころを見つめ直すことができる」と、心理療法が果たす役割と意義について説明。最近のクライエントの特徴として「簡単にカウンセリングにやってくる」「自分の心のなかで葛藤しない」など、悩み方の変化を紹介。「学期のはじめには授業登録の仕方が分からない、という悩みが心理相談室に寄せられる」というエピソードでは会場に笑いとどよめきが起こりました。また、過去に共同で取り組んだ「トイレ研究」の事例を紹介し、汚さを感じさせず他の空間と区別がなくなってきたトイレが現代人のこころのありようと共通している、と指摘。ロールシャッハ・テストに見る心理テストでは、何が見えているかをはっきりと答えない反応をする人が増え、主体性のなさが浮き彫りとなっていること、SNSやラインに見られるインターネットのサービスでタイムラインの中にそれぞれのつぶやきがまぎれ、中身よりもつながりを重視する傾向、「自分というものが関係に溶け出している」ことを指摘し、「悩みも不安も自分の内部に宿るものではない。だから葛藤もしない。それがイマの悩みや不安の形なのではないか」とこころの変化について考察しました。


 講演のあと、河合教授の進行にて討論の場がもたれました。来場者からの質問やコメントに応えながら、三人によるディスカッションがおこなわれました。河合教授は、「熊谷さんの話を聴き、仏教は心理学であり、分析的な心理療法に通じると思った」と話し、「近代の意識は関係性が重視されるなか、その関係というものがどんどん狭まっている。仏教の関係性はおのれと宇宙にまで及ぶが、現代人の関係性はどんどん閉じた方向へと進んでいる」と指摘しました。熊谷准教授は、「『我がない』という意味では現代の若者が持っている悩みはある種、仏教的だと思ったが、仏教はもともとある我を徹底的に否定する。しかし、現代人には最初から我がない、というのは不思議。似て非なりという感覚だ」と感想を述べました。同じような指摘は参加者から寄せられたコメントにもあり、自我、主体性、関係性をめぐる興味深い考察がなされました。畑中助教は、「人の苦しみに入っていき、それを超えるための教えを説く仏教は、心理療法そのものだと思った。今回、思いがけず仏教と心理療法のつながりを実感した」と話し、河合教授は「今回で得たことをヒントに研究を進めて、共同プロジェクトへとつなげていければ」と今後への展望を話し、シンポジウムを締めくくりました。


 参加者へのアンケートからは「古き仏教の話と現代人のこころの話、それぞれを対比できて良かった」、「熊谷先生の話で仏教の全般が分かり、勉強になった。畑中先生の話からは日頃感じている『今の若者像』がやはり現実なんだなと感じられ、納得しつつも不安になった」、「若い研究者二人の発表は新鮮で興味深く、元気になれた。こころに関する取り組みが知れてよかった」「河合教授の話から二人の発表者の人柄や意図がよく分かった」といった感想が数多く寄せられました。今後も、こころの未来研究センターでは、研究現場からの知見や研究者の声を多くの方々にお届けし、こころについて共に考える場を持ち続けて参ります。


1408hiroba_zentai.png1408hiroba_kawai.png
1408hiroba_kumagai.png1408hiroba_chihi.png
1408hiroba_discuss.png


<開催ポスター>
1408kokoronohiroba.png


<DATA>
▽日時:2014年8月6日(水)15:00~18:00 (受付開始 14:30~)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム
15:00~15:10 はじめに 河合俊雄(こころの未来研究センター・教授/臨床心理学)
15:10~16:00 講演1 熊谷誠慈(こころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門・特定准教授/仏教学・チベット学)『悩みと不安のむかし:古き仏教は悩みや苦しみとどう向き合ってきたか』
16:00~16:50 講演2 畑中千紘 (こころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門・特定助教/臨床心理学)『悩みと不安のイマ:現代の悩みのかたちを考える』※講演順序が当日変更となりました
16:50~17:10 休憩
17:10~18:00 ディスカッション+質疑応答
総合司会:河合俊雄
主催:京都府/京都大学こころの未来研究センター
▽参加者数:131名

14.08.19

阿部准教授の論文がKTVニュースなど多数のメディアで報道されました

140807abe.png 『Journal of Neuroscience』に掲載された阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)の論文「Response to anticipated reward in the nucleus accumbens predicts behavior in an independent test of honesty」の内容が、KTV(関西テレビ)ニュース、読売テレビニュース、Yahoo!ニュース、マイナビニュース、ライブドアニュースなど、多数のメディアで報道されました。


 関西圏で放映されたKTVニュース(8月6日、午後2時55分〜)では、阿部准教授が大学本部でおこなった記者会見の模様やfMRIを用いた実験の様子が映し出され、今回の論文で発表された「正直な人、嘘をつく人は脳の側坐核(そくざかく)の活動に違いがある」という内容が図表と共に分かりやすく紹介されました。


 また、Yahoo!ニュースのトップなど、インターネット上のニュースメディア各社でも報道されました。以下、ウェブ上でご覧いただけるニュースのリンク(2014年8月7日現在)をご紹介します。


うそつき、脳で分かる? =活動領域で解明―京大 - Yahoo!ニュース

"ウソつき"は脳で分かる...京大研究G発表 - 日テレNEWS24

なぜ正直者と嘘つきがいるのか?-京大が脳活動から原因を解明 - マイナビニュース

"ウソつき"は脳で分かる...京大研究G発表 - ライブドアニュース

うそつき、脳で分かる?=活動領域で解明―京大 - ガジェット通信

"ウソつき"は脳で分かる...京大研究G発表(日本テレビ系(NNN)) - Y!ニュース


□論文の発表記事はこちら
阿部准教授の論文が『Journal of Neuroscience』に掲載されました

14.08.07

畑中助教がドイツ・ベルリンでのセミナー Psychological Seminar (Dream Interpretation and Psychological Theory) で発表しました

1407hatanaka.png 畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)が、ドイツ・ベルリンで開催された "Psychological Seminar (Dream Interpretation and Psychological Theory)" にて、大人の発達障害の夢についての発表をおこないました。


 このセミナーはすでに出版されている夢セミナーの本の著者でもある Wolfgang Giegerich氏を中心に開催され、夢を中心とした発表とディスカッションが行われます。
http://www.sogensha.co.jp/booklist.php?act=details&ISBN_5=11560


 今回は、この中で大人の発達障害の事例でみられた夢について発表をおこないました。議論の中で、もはや失われてしまったものを保持しておこうとする神経症的なこころの動きに対して、夢を通じて次第に接近していくプロセスが明らかになっていき、夢の力について改めて実感させられるセミナーとなりました。


<報告:畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)>

14.08.01

第10回ブータン研究会の報告

【イベント名】第10回京都大学ブータン研究会
【日時】 2014年7月17日(木)17:00~18:30
【場所】 京都大学こころの未来研究センター(稲盛財団記念館2階)225会議室
【発表者】 西澤和子氏(京都大学霊長類研究所・研究員)
【講演題目】「ブータンの新生児に寄り添って:- 3年間の活動報告と今後の展望 -」


【発表概要】
 ブータンの抱える問題の1つとして慢性的な医師不足が挙げられます。特に新生児医療を担う小児科医は、ブータン国内に計7名しかおらず、毎年何千人と生まれてくるブータンの子供たちを僅か7名の医師で診察・治療しなければならないという困難な状況が存在するようです。
 今回は、現地で3年間、小児科医として医療・研究活動に従事してこられた西澤和子氏をお招きし、ブータンの新生児医療の現状と今後の課題について、自らのご体験やご研究にもとづいてお話し頂きました。
 ブータンを含む途上国が先進国に比べて平均寿命が低いことの主原因の1つとして、幼児の死亡率が高いことが挙げられます。ブータンにおける小児死亡率は下がりつつあるそうですが、依然として1カ月未満の死亡率は高いとのことです。その原因としては、高度な医療設備を持つ病院や小児科医の数が不足していることや、道路の未整備により救急搬送が困難な地域が多数存在するなど、様々な要因があるようです。
 また、これまでのブータンの医療においては臨床のみに力が注がれていたそうですが、西澤氏は、今後の医療の質改善を加速させるために、研究・教育・臨床の3つのバランスの重要性を説いておられます。さらに、病院や医師の数を劇的に増やすことは困難なため、限られた施設、人材、物資を効率よく活用する医療体制を構築していく必要があります。現在、西澤氏はティンプの王立病院を中心として、保健省と共同で、研究・教育・臨床を強化するための政策・システムづくりを行っておられるとのこと。今後のさらなるご活躍が期待されます。
 京都大学では、2010年に開始された京都大学ブータン友好プログラムに加え、2013年には京都大学付属病院、ブータン医科大学、ブータン政府保健省が三者覚書を締結し、京都大学側から医師や看護師が定期派遣されています。今回の研究会には、ブータン滞在をされた京大病院のスタッフも複数参加し、現地で経験した臨床や教育などについて様々な議論が交わされました。また、人類学や開発学、宗教学などの研究者からは、ブータンの文化や社会、死生観などと医療との関わりについて多数の質問や議論が行われました。

Bhutan10th.jpg

14.07.28

畑中助教の研究紹介記事が『Kyoto University Research Activities』に掲載されました

IMG_3471.jpg 京都大学の外国向け研究紹介冊子『Kyoto University Research Activities』(Vol.4 No.1 June 2014)に、畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)の研究紹介記事が、顔写真と共に掲載されました。女性研究者を特集した今号の「Cutting-Edge Research in Kyoto University」というコーナーにて、畑中助教は専門とする臨床心理学の研究において、災害のただ中と災害後における人々のこころの問題の表出と、それに向き合う心理学者の奮闘について英語で紹介しています。


" Do we need psychological problems? - Researching kokoro from the perspective of clinical psychology. " Chihiro Hatanaka, PhD / Uehiro Assistant Professor, Kokoro Research Center

During times of great disaster, the human psyche exhibits no psychological symptoms. The reality of the danger does not allow space for inner conflict. After the disaster, however, many psychological symptoms emerge. We found such phenomena in the care work for the Great East Japan earthquake. Even when peace is attained in the outer world, we need some inner struggles to work itself. Clinical psychologists research into the psychological problems and their transformation through the psychotherapy, which shows us the resilience and potential of our psyche.


冊子は、下記リンク先のページにて後日公開され、ダウンロードのうえご覧いただけます。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/issue/research_activities/index.htm

14.07.07

京都大学東京オフィス連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」シリーズで熊谷准教授が講演しました

 京都大学東京オフィス連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」シリーズ15 こころの未来 -私たちのこころは何を求めているのか-」が、全4回に渡って港区の京都大学東京オフィスでおこなわれています。第3回目は、2014年6月11日、熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部)が「求めるべき幸福とは -ブータンの国民総幸福政策とその根底に横たわる精神性」という演題で講演しました。当日は、吉川左紀子センター長が司会進行とディスカッサントを務め、講演についての説明やセンターの活動等を紹介するとともに、講演後に熊谷准教授とディスカッションを行いました。


 なお、第4回目は6月25日、河合俊雄教授による講演がおこなわれます(申し込み受付終了)。後日、ホームページにてご報告します。


 京大のウェブサイトでもレポートが掲載されました。
「東京で学ぶ 京大の知」シリーズ15 こころの未来 -私たちのこころは何を求めているのか- 第3回を開催しました。(2014年6月11日) - 京都大学


140611kyodainochi1.png140611kyodainochi2.png
140528office.png


[開催ポスター]
14kyodainochi_poster.png


[DATA]
「東京で学ぶ 京大の知」シリーズ15 こころの未来 -私たちのこころは何を求めているのか-」
第3回「求めるべき幸福とは -ブータンの国民総幸福政策とその根底に横たわる精神性」
▽日時:2014年6月11日(水) 18時30分~20時00分
▽場所:京都大学東京オフィス(港区)
▽講師:熊谷誠慈(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定准教授)
▽内容:「 近年、ブータンの「国民総幸福」(GNH)は大きな注目を集めていますが、そもそもブータンの人々はどのような精神性を持ち、いかなる幸福を求めているのでしょうか。宗教学の視点から考えていきたいと思います。」
▽参加者数:103名

14.06.23

京都大学東京オフィス連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」シリーズで阿部准教授が講演しました

 京都大学東京オフィス連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」シリーズ15 こころの未来 -私たちのこころは何を求めているのか-」が、全4回に渡って港区の京都大学東京オフィスでおこなわれています。第2回目は、2014年6月4日、阿部修士准教授(上廣こころ学研究部)が「自分の意思で決めるとはどういうことか? -心理学と脳科学の視点から」という演題で講演しました。当日は、河合俊雄教授が司会進行とディスカッサントを務め、講演についての説明やセンターの活動等を紹介するとともに、講演後に阿部准教授とディスカッションを行いました。


 なお、第3回目は6月11日、熊谷誠慈准教授による講演がおこなわれました。第4回は6月18日に開催されます(申し込み受付終了)。後日、ホームページにてご報告します。


 京大のウェブサイトでもレポートが掲載されました。
「東京で学ぶ 京大の知」シリーズ15 こころの未来-私たちのこころは何を求めているのか- 第2回を開催しました。(2014年6月4日)- 京都大学


140604abe.png140604kawai.png
140604zentai.png140528office.png


[開催ポスター]
14kyodainochi_poster.png


[DATA]
「東京で学ぶ 京大の知」シリーズ15 こころの未来 -私たちのこころは何を求めているのか-」
第2回「自分の意思で決めるとはどういうことか? -心理学と脳科学の視点から」
▽日時:2014年6月4日(水) 18時30分~20時00分
▽場所:京都大学東京オフィス(港区)
▽講師:阿部修士(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定准教授)
▽内容:「現代の社会で私たちは驚くほどたくさんの決断を迫られます。感情の赴くままに決めることもあれば、自分の気持ちを抑えて決めることもあるでしょう。心理学と脳科学の観点から、私たちがどのように迷い、決めているのか、そのメカニズムを考えていきたいと思います。」
▽参加者数:141名

14.06.13

第2回京都大学ヒマラヤ宗教研究会の報告

【イベント名】第2回京都大学ヒマラヤ宗教研究会
【日時】 2014年6 月2日(月)16:30~18:00
【場所】 京都大学こころの未来研究センター225会議室
【発表者】 安田章紀(京都大学こころの未来研究センター・研究員)
【講演題目】 「ゾクチェン概論」

【概要】
 「京都大学ヒマラヤ宗教研究会」の第2回研究会を開催しました。本研究会は、ヒマラヤ圏の宗教・歴史・文化に関心を持つ若手研究者が最新の研究成果を共有・議論する場として、昨年度からこころの未来研究センターで立ち上がったものです。今回はこころの未来研究センター安田章紀研究員が、ヒマラヤ圏で継承された宗教思想体系として知られる「ゾクチェン」について解説し、最新の知見を紹介しました。講演の要旨は以下の通りです。

 「ゾクチェン」は、チベット仏教ニンマ派の教義として有名であるが、その内実はあまり知られていない。ゾクチェンと一言にいっても、ほとんど一千年にも及ぶ長い歴史があり、それに携わった思想家・実践家も膨大な数に上る。例えば、ニンマ派の代表的学僧である14世紀のロンチェンパ1人をとっても、彼のゾクチェンの中には、「心部」の徹底した抽象的一元論と、「教誡部」の、哲学、儀式、身体技法が混然一体となった複雑な体系とが、共存している。しばしば発せられる「ゾクチェンとは何か」という問いに答えるには、歴史的にも思想的にも、未解明な部分があまりに大きいと言わざるを得ないのが現状である。したがって、これからの展望としては、残された膨大なゾクチェン文献の1つ1つに即し、どんな種類のゾクチェンが存在したかを逐一記録し、分析していく作業が求められる。

 研究会には仏教学、宗教学、歴史学、文化人類学等の研究者が参加して活発な意見交換が行われ、分野を越えた議論を通じてヒマラヤの宗教思想を理解する意義を共有する場となりました。

DSC_0970.JPG


DSC_0972.JPG

(小西賢吾 こころの未来研究センター研究員)

14.06.10

第9回ブータン研究会の報告

【イベント名】第9回京都大学ブータン研究会
【日時】 2014年5月15日(木)16:30~18:00
【場所】 京都大学こころの未来研究センター(稲盛財団記念館2階)225会議室
【発表者】 藤澤道子(京都大学東南アジア研究所・研究員)
【講演題目】「サムテガンBasic Health Unit (BHU)からの報告」


【発表概要】
ブータンの代名詞とも言えるGNH(国民総幸福)には、4つの柱とともに9つの領域が存在しますが、「健康」(Health)はGNHの9領域の1つとして、ブータンの国政における重要なテーマの1つとなっています。今回は、藤澤道子先生に、ブータンの医療事情についてお話頂きました。
 藤澤先生は、西ブータンのワンデュポダン県、ニショ郡、サムテガンのBasic Health Unit(BHU)を拠点として、同BHUの現地スタッフと共同で、高齢者の日常生活の自立維持を目指すべく、サムテガン地域の高齢者の疾患および身体機能の調査を進めてこられました。これまでの調査により、同地域では高血圧や貧血の患者が多いことが分かり、また糖尿病が増加傾向にあるとの疑いも起こってきたそうです。
 今後は、BHUでの検診をさらに進めていかれるとともに、現地スタッフと共同で、調査結果の分析を進めるとともに、地域での高齢者支援システムの構築を進めていかれるとのことで、今後のご研究ならびに現地への成果還元がさらに期待されます。
 質疑応答中には、現地の伝統的な食文化と疾患との関係性や、都市化と肥満・糖尿病などとの関係性について、さらには栄養学的視点からの質問や議論が行われました。

DSC_0962.JPG
藤澤道子先生(京都大学東南アジア研究所)

DSC_0969.JPG
研究会終了後の集合写真

14.06.02

上廣こころ学研究部門人事異動のお知らせ


◎離職
長谷川 千紘 特定研究員


◎着任
梅村 高太郎 非常勤研究員

14.04.01

清家助教が「終末期に対する早期支援」研究プロジェクトの一環でワークショップを開催しました

140328seike_engawa1.png 清家理助教(上廣こころ学研究部門)が、平成25年度の研究プロジェクト「終末期に対する早期支援ー日本人の倫理とこころに基づいた Advance Care Planning の開発研究」の一環で、国立長寿医療研究センター老年社会学研究部室長の村田千代栄さん(プロジェクト共同研究者)と共に愛知県常滑市で地域の高齢者を対象とするワークショップを開催しました。


 「縁がわカフェ」と名付けられたワークショップは、2013年10月から5回に渡って実施され、清家助教は2013年11月16日(土)『治療やケア現場で泣き寝入りしないためにー患者学A to Zー』と、2014年1月11日(土)『人生の終末期で泣き寝入りしないためにー終末期の備えを考えてみようー』の2回で講師を務めました。


 以下、清家助教によるレポートをご紹介します。


『治療やケア現場で泣き寝入りしないために-患者学A to Z-』,2013.11.16,常滑 
『人生の終末期で泣き寝入りしないために-終末期の備えを考えてみよう-』,2014.1.11,常滑


◇実施者:京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門 特定助教 清家理、国立長寿医療研究センター老年社会学研究部室長 村田千代栄(平成25年度京大プロジェクト共同研究者)


140328seike_engawa2.png 2013年10月よりヘルスリテラシー(医療受療者が主体性をもって、治療や予防に参画していく行動)を高める目的で、5回シリーズのワークショップが開催されました。村田先生の故郷でもある愛知県常滑市をフィールドに、地域のパワフルリーダー渡辺様をはじめ、住民の方々と共に、試験的にスタートされた取り組みでした。京都大学プロジェクト側は、今後、実施を予定している「人生の終焉を自己決定できる力をつける取り組み」のニーズ探索目的で関わりました。2回にわたり提供したテーマ・話題は、『治療やケア現場で泣き寝入りしないために-患者学A to Z-』、『人生の終末期で泣き寝入りしないために-終末期の備えを考えてみよう-』でした。


 このワークショップより数ヶ月前に実施した別調査では、「自分の終焉をどのように迎えるのか」「万一に備えて、どのような医療を受けたくないのか」をいきなり考えても答えが出にくい結果が示されていました。そのため、重苦しい雰囲気だけが漂うか、全く興味関心がなく空振りで終わるか、いずれかに陥る危険性を危惧していました。しかし、ふたを開けてみると、茶話会のような肩が凝らない雰囲気の中、過去の医療体験で困ったこと、嫌だったこと、逆に嬉しかったことが参加者から口々に出され、次第に「こうしたらよかった」「こうしないといけない」など、自らの行動をふりかえる言葉がたくさん出ていました。また「延命治療」「人工呼吸器」等、医療用語を言っても、それが何なのか、何のためにあるのか、具体的にイメージできない方々が多くおられることも分かり、医療従事者感覚で当然のように用いている言葉にも留意する必要性を痛感しました。医療倫理では、倫理原則で「医療享受者の最大の利益」「自律(自己決定)」がありますが、その前に医療専門職の情報提供や説明のあり方(インフォームドコンセント、インフォームドチョイスを実施する上での対応方法等)もふりかえる必要性があります。平成26年度は、この辺の気づきを踏まえたアクションリサーチの実施を京都にて、地域住民、多職種とともに展開していく予定です。


 そして、今回の取り組みを通じて痛感したこと・・・それは、「人と人のつながり」です。家で閉じこもりがちな方、退職後いきなり地域で過ごす時間が増えて戸惑っている方等々、諸事情でつながりが断絶されている方々もおられました。今回のように、「生きること」に関連するテーマで集うことにより、悩みを打ち明けたり、何か助言的な知恵をもらえたり・・・そんなWin-Winの関係も見られました。この点も、今後のアクションリサーチの「核」になりそうです。


<報告:こころの未来研究センター助教(上廣こころ学研究部門)清家理>


◇メディア掲載
中日新聞知多版(2013年11月8日付朝刊/「和室解放 高齢者講座に」 )に掲載されました。

14.03.28

第4回ブータン文化講座を開催しました

 第4回ブータン文化講座が2月24日、稲盛財団記念館大会議室で開催されました。今回は関西大学社会学部教授の草郷孝好先生をお迎えし、熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)の司会進行で「ブータンの魅力とGNHの現在 ~世界はGNH社会を求めるのか~」というテーマで講演いただきました。

DSC_0937.JPG

 今や「GNH」(国民総幸福)という言葉は、ブータンという国の代名詞となっている感があります。第4回ブータン文化講座では、開発学がご専門の草郷孝好先生に、GNHについて、「ブータンの魅力」、「ブータンのGNH」、「GNHに対する世界の目」、「GNHと日本の取り組み」という4つの観点からお話をいただきました。


 ブータンは1960年代からようやく開国を始めた小国として、いわば「最後尾からの近代化」という困難な事業に取り組まねばなりませんでした。その際、先進国の近代化をただ真似るのではなく、自ら「望ましい社会のあり方」を決め、その方向に沿って、適切な近代化の方策を自己決定する、その羅針盤として、GNHを掲げるに至ったのです。GNHは「公正な社会経済の発展」、「文化保存」、「よい政治」、「環境の保全」という4本柱からなっていますが、これらが現代の国際社会が目指す方向と合致していることは、GNHをテーマとする国際会議の開催や、国際幸福デーの制定からはっきりと知ることができます。また我が国とGNHとの関わりとしては、「量」から「質」への大胆なモデルチェンジが必要な時代が到来していること、それを受けて、兵庫県に代表される幾つかの自治体が「良質な」社会発展を目指し、長期的な見通しに立って、実際に政策の形成と導入を進めつつあることが指摘されます。


 講演では、豊富な統計データに加え、ブータンの人々との交流など先生ご自身の体験や取り組みも交えて、分かりやすくお話しいただきました。会場からは、GNHが指標として独り歩きしてはいないのか、ブータンの実社会ではGNHがどのように認知されているのか、といった踏み込んだ質問が多数なされました。


140224bhutan.png140224bhutan2.png
140224bhutan3.png


<報告:安田章紀研究員(上廣こころ学研究部門)>


[開催ポスター]
140224bhutan_poster.png


[DATA]
第4回ブータン文化講座「ブータンの魅力とGNHの現在 ~世界はGNH社会を求めるのか~」
▽日時:2014年2月24日(月)17:00 ~ 19:00 (16:30開場)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽講演者:草郷孝好(関西大学社会学部・教授)
司会進行:熊谷誠慈(こころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門准教授)
▽参加者数:101名

14.03.06

福島慎太郎研究員(上廣こころ学研究部門)が『社会階層と健康 国際会議2013』で優秀演題賞を受賞しました

上半身カラー写真_福島.PNG 福島慎太郎研究員(上廣こころ学研究部門)が、2013年8月31日・9月1日に東京大学で開催された『社会階層と健康 国際会議2013』において、優秀な演題発表をおこなった若手研究者に贈られる「優秀演題賞」を受賞しました。


 『社会階層と健康 国際会議2013』は、文部科学省科学研究費新学術領域「社会階層と健康」に関心を持つ、あるいは関連した研究をおこなう国内外の研究者や学生らが参加し、講演、シンポジウム、一般演題によるポスターおよび口頭発表などが2日間に渡っておこなわれました。


 福島研究員は「The synergy effect of economic and social capital on health: A multilevel analysis in rural areas of northern Kyoto prefecture」という演題で口頭発表をし、日本の農村地域においては、1)個人の経済水準が人々の幸福感を上昇させる効果は人間関係が密に形成されているコミュニティほど増大するとともに、2)コミュニティ全体の経済水準が人々の幸福感を上昇させることを提示しました。この発表が評価され、優秀演題賞を受賞しました。


『社会階層と健康 国際会議2013』概要
抄録集

14.02.07

上廣倫理財団との共催で「上廣フォーラム~日本人の生き方『わが先人・師を語る』京都大学知の伝統」を開催しました

 1月26日(日)、公益財団法人上廣倫理財団とこころの未来研究センターの共催により『上廣フォーラム~日本人の生き方 「わが先人・師を語る」京都大学知の伝統』が、稲盛財団記念館大会議室で開催されました。


P1267666.JPG


 はじめに、主催者を代表して上廣倫理財団の丸山登事務局長がご挨拶のため登壇されました。2012年の3月、東京大学でおこなわれた島薗進教授(宗教学)の退官記念講演において、安丸良夫一橋大学名誉教授(歴史学)との師弟関係について島薗教授が話されていたことにインスピレーションを受け、今回のフォーラムの構想を得たという丸山事務局長は、「偉大な先人たちも、豊かな師弟関係に支えられて近代日本を作り上げた。今日は現代の知を代表する方々に、一世代前の師や先人から受けた学問的、人間的影響について率直に語っていただきたい」と、フォーラムにこめた思いについてお話しになりました。


 続いて、こころの未来研究センターの吉川左紀子センター長が共催の挨拶として、「この会場にも今日、語られる三名の先人から影響を受けてお越しになった方も多いと思います。ぜひゆっくりとお聞きになり、これからの日本人の生き方について思いをめぐらせていただければ、と思います」と話しました。


 フォーラムは、河合俊雄こころの未来研究センター教授、河合雅雄京大名誉教授、中西寛京大法学研究科教授がそれぞれの師について1時間半ずつ講演しました。河合俊雄教授は「河合隼雄との三度の再会」という演題で、河合隼雄京大名誉教授と過ごした日々について、父と同じ心理学の道を歩むことを選んだ若き日の葛藤、京都大学で教鞭をとる父から学びを得た時間、単身渡ったスイスで年に一度開催された「エラノス会議」講演のためにやって来た父と過ごした濃密な時間、そして没後、膨大な量の著書や講演録の編纂にたずさわるなかで出逢うことのできた新たな父の姿について、静かに語りました。


 河合雅雄京大名誉教授は「今西錦司先生と仲間たち」という演題にて、生態学者、人類学者、登山家として多くの後進を育てた今西錦司京大名誉教授との日々を、「猿の行動のその先にある『人間とは何か』という普遍的なテーマのもと集った仲間らと切り拓いた、かけがえのない時間だった」と振り返り、日本の霊長類学の誕生期に伊谷純一郎氏ら個性あふれる研究者たちと経験した様々なエピソードを散りばめながら、終始ユーモアたっぷりに語ってくださいました。


 中西教授は「髙坂正堯先生の日本への思い」という演題で、国際政治学者として60年代以降の日本の外交と政策に多大な影響を与えた高坂正堯(まさたか)元京都大学法学部教授のもとで学んだ13年間を振り返り、国際政治のオピニオンリーダーとして戦後の日本を疾走し、63才の若さでこの世を去った恩師の活躍の軌跡とその人となりについて、数々の具体例を挙げながら切れ味鋭く紹介しました。


140126uehiroforum_maruyama.png140126uehiroforum_yoshikawa.png
140126uehiroforum_kawaimasao.png140126uehiroforum_kawaitoshio.png
140126uehiroforum_nakanishi.png140126uehiroforum_kumagai.png


 なお、このフォーラムはNHKラジオ第二放送の「文化講演会」にて後日放送される予定です。詳しい日程は、下記リンク先の番組ホームページにて放映月になりましたら発表されます。


文化講演会|NHKラジオ第2 文化番組 - NHKオンライン


[開催ポスター]
140126uehiroforum_poster.png


[DATA]
上廣フォーラム~日本人の生き方「わが先人・師を語る」京都大学知の伝統
▽日時:2014年1月16日(日)10:30~16:30(10:00~受付開始)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム:
10:30~10:40 開会挨拶
丸山登(公益財団法人 上廣倫理財団 事務局長)
吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター教授・センター長)
10:40~12:10 「河合隼雄との三度の再会」
河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター 教授)
13:10~14:30 「今西錦司先生と仲間たち」
河合雅雄(京都大学名誉教授)
15:00~16:30 「髙坂正堯先生の日本への思い」
中西寛(京都大学法学研究科 教授)
▽参加者数:110名(関係者をのぞく)

14.02.06

上廣こころ学研究部門2013年度研究報告会「生きることの価値」を開催しました

 こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門2013年度研究報告会「生きることの価値」が、1月25日(土)、稲盛財団記念館3F大会議室にて開催されました。

P1257453.JPG


■分野を超えてこころを探究する「里山」のような研究部門に


 上廣こころ学研究部門は、こころの未来研究センターの寄付部門として2012年4月に設置されました。その成果を報告する初めての報告会に、一般の方々をはじめ学内外の研究者や学生らが数多く集まり、会場は終始熱気に包まれました。


140125maruyama.png140125yoshikawa.png140125becker.png


 初めに、吉川左紀子センター長からの挨拶があり、「上廣こころ学研究部門では、臨床心理学、倫理学、神経科学、教育学などさまざまな領域の若い研究者らが研究に取り組んでいます。以前からセンターの活動に注目し、お力添えくださっていた上廣倫理財団の事務局長、丸山登さんに、『里山のような研究部門をつくり、こころのあり方を研究したい』とお伝えしたところ、『京都大学の知的伝統を受け継ぎ、こころと倫理を未来につなぐ研究の場を作ってはどうか』とご賛同いただき、上廣こころ学研究部門がスタートしました」と研究部門設立のエピソードが紹介されました。続いて、上廣倫理財団の丸山登事務局長から、「財団は、昨年4月からiPS細胞研究所への支援を開始しており、現在、京都大学では2つの拠点の研究支援をおこなっています。大学の研究機関は、ゆったりとした時間の流れのなかで里山の樹木や花のようにのびのびと研究することがのぞましい。求めずして成る、の思いで研究を見守っています。今日は来場者の皆さんと共に、研究部門で研鑽を積んでいる若い研究者の研究成果を見て喜びたい」と、ご挨拶いただきました。


 続いて、カール・ベッカー教授による上廣こころ学研究部門の紹介があり、「現代社会では、さまざまな物事の価値が揺らいでおり、今こそ、倫理的な自己選択と責任が重要になってきています。今日の前半では『生きることの価値とその揺らぎ』をテーマに、各研究の紹介と問題提起と対策に、後半は『幸福感と伝統の価値』をテーマに、伝統からの育成と科学からの考察を各発表者がおこないます」と、報告会の主旨とプログラムが紹介されました。


■研究報告セッション1「生きることの価値とその揺らぎ」


座長・コメンテーター 河合俊雄(こころの未来研究センター教授・上廣こころ学研究部門兼任)
発表1:「現代社会における主体と価値の揺らぎ」畑中千紘(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定助教)
発表2:「病をめぐる自己の揺らぎ」長谷川千紘(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定研究員)
発表3:「認知症における家族介護者の価値の揺らぎ」清家理(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定助教)


140125hatanaka.png140125hasegawa.png140125seike.png


 前半の研究報告セッション1では、「生きることの価値とその揺らぎ」というテーマで3名の研究者らが各20分の持ち時間で発表しました。


 はじめに畑中千紘助教が「現代社会における主体と価値の揺らぎ」という演題で、臨床心理学領域における「大人の発達障害への心理療法的アプローチ」「こころの古層と現代の意識」という2つのプロジェクトからの研究成果を紹介しました。畑中助教は、増え続ける発達障害の特徴として「主体の弱さ」に注目し、ロールシャッハテストで発達障害の人たちによくみられる「不確定要素反応」を例として取り上げ、考察しました。また、ソーシャルネットワークなど、インターネットサービスの時代による変化に着目して、「かつてはブログなど自分のページに『訪問してもらう』形態が主流だったものが、Facebookやツイッターなどのタイムラインに自分の書き込みが紛れ『流れていく』形態へと移行している。このことも含め、社会全体が主体性を失いつつあるのではないか」と問題提起しました。

 
 次に長谷川千紘研究員が「病をめぐる自己の揺らぎ」という演題で、臨床心理学領域における「甲状腺疾患におけるこころの働きとケア」プロジェクトからの成果報告をおこないました。身体疾患を抱える人の心理的特性を調べるため、甲状腺疾患患者を対象に実施した3種類のテストを実施した結果を紹介。質問紙に対する自己評定では甲状腺疾患患者は健常者と差がなかったものの、木を描くバウムテストでは、自我境界の危うさを示す「開放型」が多く見られ、反構造化面接(面談)では平静な言葉とは裏腹に泣いてしまうことがあるなど、自己評価、絵、語りの間にあるギャップが特徴的であることが示されました。長谷川研究員は「病気の人は、自覚していなくても深いレベルでしんどさを抱えているのではないか。援助する側は、患者さんの表面的な訴えの背後にあるものを見つめて対処していく必要があると考えられ、今後もこうした研究を進めていきたい」と話しました。


 続いて清家理助教が「認知症における家族介護者の価値の揺らぎ」という演題で、倫理学領域における「倫理的観点に基づく認知症介護改善」プロジェクトからの研究成果を報告しました。清家助教は、昨今、認知症の測定スケール(認知症の程度を調べる質問項目)や薬剤の多様化など、研究や治療法の普及が進む一方で、介護者の負担や価値の揺らぎによって起こる問題が増加している状況を指摘。在宅介護者を対象としたデータ収集をおこない、半年に一度の面接と測定スケールを用いた統計分析に取り組んでいる経過実績を報告しました。清家助教は、「現時点では、介護負担が大きくても前向きな人や、他者のサポートを得て介護負担が下がっても介護の継続に不安を示す人がいるなど、まだまだ全体像の把握が難しい。新しい測定スケールや介護者のこころとワザを支援する方法を開発するための取り組みを進めている。引き続き、臨床現場の声に基づく政策提言型の研究を続けていきたい」と話しました。


■実践と研究をつなぐ学際研究で社会支援を


140125kawai.png 3つの報告の後、河合俊雄教授の座長によるパネルディスカッションがおこなわれました。河合教授は「どの研究も、実践と社会支援の側面を持ちながらも、特殊な事象から社会の動きや方向性を探ろうという研究の視点が含まれている」と評価し、各研究者に対して、「自分の研究は実践的提言として何が言えるのか、何が見えるのか?」と質問を投げかけました。それに対して、「発達障害の増加により社会自体もどう対応すれば良いか試行錯誤している。発達障害をどう理解すべきかを追究すると共に、支援をする人とされる人、それぞれのための研究を進めることが大切と捉えている」(畑中)、「病院でのカウンセリングを出発点に、病気の人たちを対象にして心理検査法をやってきたが、一般の人を見る部分でも研究が活きている。実践、研究、成果、発信という形で、カウンセラーの枠組みづくりに貢献していければ」(長谷川)、「臨床と研究は本来つながっているべきであり、常に折衷点を見出していきたい。政策はあっても実態が伴っていない、という状況があるので、適切な政策を提言していきたい」(清家)と、それぞれが自身の研究の手応えと今後の展望を話しました。討論は各研究から見えてきた現代の他者論、社会の様相にまで発展。河合教授は「社会学の研究者の話を聞けば、社会の意識としての変化が分かるなど、学際的な視点からの研究はとても重要」と話し、あらためてこころの未来研究センターの位置づけと重要性を強調しました。


■研究報告セッション2「幸福感と伝統の価値」


座長・コメンテーター:鎌田東二(こころの未来研究センター教授・上廣こころ学研究部門兼任)
発表1「身体の学びと伝統の価値の探究」奥井遼(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定研究員)
発表2「GNH(国民総幸福)政策に見られる伝統の価値の探究」熊谷誠慈(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定准教授)
発表3「脳科学による幸福感の探究」阿部修士(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定准教授)


140125okui.png140125kumagai.png140125abe.png


 後半の研究報告セッション1では、「幸福感と伝統の価値」というテーマで3名の研究者らが各20分の持ち時間で発表しました。


 はじめに奥井遼研究員が「身体の学びと伝統の価値の探究」という演題で、民俗学・教育学領域のプロジェクト「こころとモノをつなぐワザの研究―伝統芸能・武道における心技体の研究を中心に」の成果報告をおこないました。奥井研究員は、淡路人形浄瑠璃の一座が全国の学校でおこなっているワークショップを調査し、「学校におけるワザの継承」事例を数多くの写真と共に紹介。人形遣いが子供たちにどのようにワザを伝えているか、「人形遣いと子どもたちの身体の出会い」「教え手のペースに巻き込む稽古」「わきあいあいとしたやりとり」の3要素を挙げ、教え手と学び手それぞれの身体が相互交流し、いつしか学校の空間が「舞台」へと変化し、互いの関心が演技の成功へとつながっていくプロセスと特徴を示し、近年の学校教育のあり方とは異なるワザの継承事例をいきいきと紹介しました。


 続いて熊谷誠慈准教授が「GNH(国民総幸福)政策に見られる伝統の価値の探究」という演題で、幸福感の総合研究領域における「国民総幸福(GNH)を支える倫理観・宗教観研究」プロジェクトからの研究成果を報告しました。熊谷教授は、世界的に注目を集めるブータンのGNH(国民総幸福)政策について、「政策を知る以前に、ブータン人にとっての幸福とは何か、ブータン人にとってのGNHの価値は何かを理解して初めて日本や他国の政策に応用できると考え、総合的に研究を進めている」と説明。ブータンでは仏教の利他的精神が根付いており、物質的、精神的幸福それぞれを重視した「中道の精神」が生かされ、仏教の持つ科学的、哲学的、倫理的な知識を政策に取り入れている、とGNH政策の背景と成り立ちを紹介しました。「日本はいま伝統的な価値が見直されているが、さらに一歩進めて今の社会へと取り入れる必要があるのではないか」と提言し、「今後も宗教学、ヒマラヤ学を通じて、"こころ"と"倫理"をつなぐ研究に取り組んでいきたい」と結びました。


 報告会最後の発表として、阿部修士准教授が「脳科学による幸福感の探究」という演題で、幸福感の総合研究領域における「幸福感の神経基盤」プロジェクトからの研究成果を報告しました。阿部准教授は「文化・社会心理学が専門の内田由紀子准教授の知見と脳科学を融合させた幸福感研究を進めている」とプロジェクトを紹介。心理学における幸福感研究の歴史や幸福感を測定するための評価方法の変遷を紹介すると共に、近年、日本人の精神性に合わせて開発された「協調的幸福感」を評価する尺度とfMRIでの脳測定を組み合わせた研究結果を報告。幸福感が高い人ほどfMRI測定結果における報酬情報の処理に関わる眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)が小さいことが分かり、協調的幸福感と利己的な報酬追求に相関がある可能性が示されたことを紹介しました。阿部准教授は「今後、データ数を増やして研究をさらに進め、脳科学とこころの幸福についてより広い視点で検討していきたい」と話しました。


■現代の課題と伝統的価値を結びつけ、新たな視点を提供する「中間者」の存在へ


140125kamata.png その後、鎌田東二教授の座長によるパネルディスカッションがおこなわれました。鎌田教授は「新たな領域に果敢に挑戦する3つの研究から浮かび上がってきたことは、他者との関係の中でポジティブな価値をいかに見出すかという点と、価値の『地域差』についても考えるべきだという点。伝統の価値を活用するなら、前半の発表で取り上げられた今日的な問題と後半の研究をいかにダイナミックにつなげていくかが課題となる」と話しました。鎌田教授から発表者3人への「他の発表と自分の発表との接点は?」という問いかけに対し、奥井研究員は「ブータンのGNHは現代版に翻訳されたブータンの伝統的な知恵。その意味ではブータン国王はブータンの知恵の『翻訳者』といえる。伝統芸能を伝える人も、言葉を超えた形で伝える翻訳者ではないか」と話し、それを受けて熊谷准教授は「翻訳という意味では、そもそもブータンにおける幸福は"Happiness"というよりも、充足や満足を意味する"Contentment"がふさわしいと提唱者の4代国王が言われている。ブータンの仏教徒たちは『執着』『怒り』『無知』を取り除くための教えを大切にしている。その部分を忘れてはいけない」と補足しました。阿部准教授は「日本人の持つ協調の精神は、震災時の報道からも世界的に評価されている。上廣こころ学研究部門における自分の仕事として、日本人のこころを脳のデータを用いて科学的に裏付けた上で、日本人独自のこころの性質を広く発信していきたい」と話しました。


 鎌田教授は、「これから先に考えるべきことは、生き方をただせばこころの状態が変わり、脳のレベルにも影響が及ぶ可能性を認識すること。そこには人の倫理性も関わってくる。問題に対して指標をつくり、分かりやすく人々に示し、社会に寄与していく『中間者』の存在が重要になってくる。その意味で、こころの未来研究センターの上廣こころ学研究部門が果たす役割は大きい。今後、現代の病理的な課題と伝統的な文化領域、思想領域を結びつけ、新たな理解と実践につながる視点を提供することが課題となるだろう」と話し、報告会を締めくくりました。


[開催ポスター]
140125poster.png


[DATA]
こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門2013年度研究報告会「生きることの価値」
▽日時:2014年1月15日(土)14:00~17:50 (13:30受付開始)
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽プログラム:
・14:00 - 14:05 センター長挨拶 吉川左紀子(こころの未来研究センター教授・センター長)
・14:05 - 14:15 来賓ご挨拶 丸山登氏(公益財団法人 上廣倫理財団 事務局長)
・14:15 - 14:30 上廣こころ学研究部門の紹介 カール・ベッカー(こころの未来研究センター教授・上廣こころ学研究部門兼任)
・研究報告セッション①「生きることの価値とその揺らぎ」(14:30 - 16:00)座長・コメンテーター 河合俊雄(こころの未来研究センター教授・上廣こころ学研究部門兼任)
・14:30 - 14:50 「現代社会における主体と価値の揺らぎ」畑中千紘(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定助教)
・14:50 - 15:10 「病をめぐる自己の揺らぎ」長谷川千紘(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定研究員)
・15:10 - 15:30 「認知症における家族介護者の価値の揺らぎ」清家理(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定助教)
・15:30 - 16:00 パネルディスカッション
・16:00 - 16:15 休憩
・研究報告セッション②「幸福感と伝統の価値」(16:15 - 17:45)座長・コメンテーター 鎌田東二(こころの未来研究センター教授・上廣こころ学研究部門兼任)
・16:15 - 16:35 「身体の学びと伝統の価値の探究」奥井遼(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定研究員)
・16:35 - 16:55 「GNH(国民総幸福)政策に見られる伝統の価値の探究」熊谷誠慈(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定准教授)
・16:55 - 17:15 「脳科学による幸福感の探究」阿部修士(こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定准教授)
・17:15 - 17:45 パネルディスカッション
・17:45 - 17:50 閉会の挨拶 鎌田東二
▽参加者数:83名(関係者のぞく)
プログラムとアブストラクトはこちらです(PDFファイル 約0.6MB)

14.01.28

↑ページトップへ戻る

2013年

京都大学アカデミックデイ2013に参加しました

12月21日(土)、京都大学百周年時計台記念館にて、京都大学アカデミックデイ2013が開催されました。


academicday.jpg academicday02.jpg


◎京都大学アカデミックデイ2013とは?
 京都大学アカデミックデイは、「国民との科学・技術対話」支援事業の一環として毎年京都大学で開催されるイベントです。市民・学生・研究者、文系・理系を問わず、誰もが学問を楽しみ、その魅力について語り合うコミュニケーションの場を提供しています。
(京都大学学術研究支援室の開催概要はこちら


 こころの未来研究センターからは、熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)、清家理助教(上廣こころ学研究部門)、安田章紀研究員(上廣こころ学研究部門)、福島慎太郎研究員(上廣こころ学研究部門)、大学院生の富永仁志くん(内田由紀子研究室)が参加しました。


【お茶を片手に座談会】では、熊谷准教授が齊藤准教授( iPS 細胞研究所)と磯部准教授(京都大学学際融合教育研究推進センター)と「宇宙、生命、精神の交差点」 をテーマにトークライブを行いました。


【ポスター前で立ち話】では、時間ごとにポスターをはりかえて、「こころ学」への挑戦として出展しました。
清家特定助教 9時半-11時
福島研究員 11時-13時
富永くん 13時-15時
熊谷特定准教授・安田研究員 15時-17時


academicday01.jpg academicday03.jpg
academicday06.jpg academicday07.jpg


文系・理系によらず幅広い研究者が参加し、研究者それぞれのスタイルで市民のみなさまと「対話」することができる場となりました。


[DATA]
京都大学アカデミックデイ2013
▽ 日時:2013年12月21日(土)10:00-17:00
▽ 場所:京都大学百周年時計台記念館2階
▽ 参加費:無料(申し込み不要)
主催:京都大学(学術研究支援室、研究国際部研究推進課、「国民との科学・技術対話」ワーキンググループ)
後援:京都府教育委員会、京都市教育委員会、大阪府教育委員会、大阪市教育委員会、奈良県教育委員会、滋賀県教育委員会


◇関連ページ
京都大学学術研究支援室 「京都大学アカデミックデイ」開催。

13.12.27

第8回京都大学ブータン研究会の報告

【イベント名】第8回京都大学ブータン研究会
【日時】 2013年12月5日(木)17:00~18:30
【場所】 京都大学こころの未来研究センター(稲盛財団記念館2階)225会議室
【発表者】 永澤哲氏(京都文教大学 総合社会学部 准教授)
【講演題目】「浄土のために踊ること―第二次ドゥアル戦争とドチュラ祭―」

【概要】
 ブータンといえばGNH(国民総幸福)が思い起こされますが、この理念の背景にはブータンの伝統的な思想、とりわけ仏教思想が存在しています。ブータンという国の理解にはブータンの仏教を理解しておく必要があります。今回は、チベット密教の専門家(仏教学・文化人類学)である永澤哲氏に、2003年の第二次ドゥアル戦争とドチュラ祭との関係についてお話を頂きました。
 ブータンは1990年代後半より、ブータン南部に立て籠もっていたアッサム分離・独立派ゲリラに対し、再三の退去要求をしていましたが要求は受け入れられませんでした。2003年にはインド側からゲリラ掃討に関する最後通牒を受けたことで、アッサムゲリラの国外一掃軍事作戦を行いました。しかし、非暴力・不殺生を掲げる仏教的倫理観と、この軍事行動との狭間で、ブータンは大きなジレンマを抱えるに至りました。戦争後、勝利パレードなどは一切行われず、ドチュラ峠には、ゲリラ側およびブータン側の戦没者慰霊のため仏塔が建立され、ドチュラ祭が行われるようになりました。
 本ご発表では、戦争に至る経緯やその後の展開について時系列にご解説頂いたのち、ドチュラ祭で行われている踊りについても詳細に解説をして頂きました。会場からは、ブータンにおける仏教の位置づけや、経典や踊りの浸透具合や理解度などについて多岐にわたる質問がなされました。
0650_8thBhutan_meeting.JPG

13.12.25

第1回京都大学ヒマラヤ宗教研究会の報告

【イベント名】第1回京都大学ヒマラヤ宗教研究会
【日時】 2013年9月13日(金)17:00~18:30
【場所】 京都大学こころの未来研究センター225会議室
【司会者】 熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター・准教授)

【概要】
 ヒマラヤ地域には、チベット仏教やヒンドゥー教、ボン教、さらには地域ごとの土着信仰など様々な宗教形態が存在していますが、その文化的影響はインドから中国、遠くモンゴルにまで及びます。しかしながら、通常、研究は地域ごと、分野ごとに棲み分けて行われるため、同じヒマラヤ地域の宗教文化を対象とする研究者でありながら、相互の情報交換・共有は難しいのが現状です。
 そこで、このたび、こころの未来研究センターは、ヒマラヤ地域の宗教およびその文化圏に関する研究に取り組む若手研究者を中心に互いの研究情報を交換し、若手間の交流を活性化することによって、ヒマラヤ圏の宗教文化研究全体の底上げを目指し、「京都大学ヒマラヤ宗教研究会」を立ち上げました。
 第1回は、国内の若手研究者が集まって当研究会の方針を確定するとともに、今後のヒマラヤ宗教研究のありかたについて議論を行いました。今後、定期的に研究会を開催するとともに、メーリングリストやSNSなどを用い、参加者各自の研究の進捗について適宜情報交換を行っていく予定です。

Himalaya1.JPG

Himalaya2.JPG

Himalaya3.JPG

13.10.22

2013年度前半期のブータン研究会・ワークショップの報告

2013年度前期には、計3回のブータン研究会・ワークショップを開催いたしました。
以下、各研究会、ワークショップの概要をご報告いたします。



【イベント名】第5回京都大学ブータン研究会
【日時】 2013年4月25日(火)17:00~18:30
【場所】 京都大学こころの未来研究センター(稲盛財団記念館2階)225会議室
【発表者】 上田晶子(大阪大学グローバルコーポレーションセンター・准教授)
【講演題目】「ブータンの農村におけるフードセキュリティ」
コメンテーター 熊谷誠慈(京都大学こころの未来研究センター・准教授)

【発表概要】
近年、ブータンでは、首都ティンプへの人口集中とともに、各地で都市化が進行しています。その一方で、農村地域では過疎化に歯止めがかかりません。今回は上田晶子氏に、ブータンの農村におけるフードセキュリティの問題についてお話頂きました。
ブータンでは近代化が進むにつれ、道路交通網が変化し、労働形態が変容を遂げて来ています。また、都市化による首都ティンプへの人口集中の反面、過疎化によって農村地域がいかに変貌しつつあるかなどを事細かに解説して頂きました。さらに、食糧としての作物生産のみならず、換金作物による収入や、農業以外の収入源の実際などについても、これまでの歴史と現状の両面から、詳しく説明して頂きました。
 質疑応答では、コメンテーターの熊谷誠慈氏が、仏教学の視点から、ブータンの農村文化に垣間見える仏教的理念についてコメントを行いました。また他の参加者からも、中国との交易の歴史と現況、香辛料や食品の種類、都市部と農村部との関係などについて、多くの質問や意見が寄せられ、活発な議論が取り交わされました。


 

【イベント名】第6回京都大学ブータン研究会
【日時】 2013年7月4日(木)17:00~18:30
【場所】 京都大学こころの未来研究センター(稲盛財団記念館2階)225会議室
【発表者】 福島慎太郎氏(こころの未来研究センター・研究員)
【講演題目】「ブータンのGNH政策と幸福の多層性」
コメンテーター 内田由紀子氏(京都大学こころの未来研究センター・准教授)

【発表概要】
 GNH(国民総幸福)は、ブータン王国の代名詞ともいえる理念であり、国策の大きな基盤となっています。この理念を理解しなければ、ブータンという国の現在を理解することは難しいと言えます。
今回は、地域社会学、社会心理学の専門家である福島慎太郎氏に、地域社会学的視点から、ブータンのGNH政策の現状と今後の展望についてお話頂きました。
福島氏は、西ブータンのハ県の幸福度が他地域よりも高いことに注目し、その理由の1つとして農村コミュニティが機能していることを挙げました。日本でも都市部より農村部が高い幸福度を維持していることから、この現象は、地域差を超えた普遍的なものではないかという見解が、実例を交えながら解説され、幸福実現のためにコミュニティ(人のつながり)がいかに重要であるかが明確に示されました。
質疑応答では、コメンテーターの内田由紀子氏が、経済的な豊かさとこころの豊かさ、都市部と地方、地域と個人などのバランスをとりながら、いかに幸福度を高めていくべきかについて、さらに議論を掘り下げ、参加者全員で討議を行いました。

DSC01449-1.jpg 



【イベント名】ブータンワークショップ(第7回京都大学ブータン研究会)
【日時】 2013年9月11日(水)13:00~14:30
【場所】 京都大学稲盛財団記念館3階中会議室
【発表者】 高橋孝郎氏(国際金融公社:元ブータン首相フェロー)
【講演題目】「ブータンのGNH(国民総幸福)政策の詳細と現状」
コメンテーター 内田由紀子氏(京都大学こころの未来研究センター・准教授)

【発表概要】
 ブータンはGNH(国民総幸福)を単なるスローガンに留めず、具体的な政策に反映させるために幾つもの施策を講じており、今や国内外から大きく注目されています。
本ワークショップでは、元ブータン首相フェローの高橋孝郎氏にお越し頂き、GNHの解説を行って頂いた上で、氏がGNH委員会の実務を自ら経験される中で学ばれた政府の取り組みの骨子と、GNH 調査から読み取れるブータンの現状について語って頂きました。また、ブータンの国会における与野党逆転を引き起こした本年7月の総選挙の背景にある経済問題についても解説して頂きました。そして、ブータンとGNH の可能性、そして日本がブータンから学ぶべき点など、有益な提言を行い、お話しを締めくくられました。
 質疑応答では、ブータンの金融政策や農業政策、国内の物流や輸出入、さらに、ブータンに対して日本以外の国々がどのような関心を抱いているかなど、様々な視点から質問がなされ、大変活発なディスカッションが行われました。

P9115696-1.jpg
ワークショップの様子

P9115708-1.jpg 
GNH政策の基本構造を解説する高橋孝郎氏

13.10.17

『本を楽しむ、科学と遊ぶワークショップ』で福島研究員が話題提供しました

京都府立図書館主催の『本を楽しむ、科学と遊ぶワークショップ:第四弾「つながり」をたどる』で福島慎太郎 研究員(上廣こころ学研究部門)が話題提供しました。


flyer.png


▽ 日時:2013年9月21日(土曜日)13:00~16:30
▽ 会場:京都府立図書館 3階マルチメディアインテグレーション室
▽ 主催:京都府立図書館
▽ 共催:井戸端サイエンス工房


「本を楽しむ、科学と遊ぶワークショップ」は、研究者からの話題提供や参加者同士のコミュニケーションを通じて、ひとつのテーマに対して多様な角度から知識や考えを深め、より能動的な読書へのきっかけをつくることを目的としています。【第四弾:「つながり」をたどる】は、2013年9月21日(土)京都府立図書館にて開催されました。


 ワークショップは、大きく二つのパートからなっていました。


1)研究者のお話を聞く、新しい視点との"出会い" の時間


2人の研究者のお話を聞きながら、この日のテーマ「つながり」へのイメージを膨らませる時間でした。

01.png 02.png

1人目は、地域における人々の研究をしている福島慎太郎さん。東日本大震災以降、重視されてきた「つながり」「きずな」(信頼関係)ですが、福島慎太郎さんは、このつながりを大きく二つに分けて調査しています。二つの信頼(不特定の他者に対する信頼&自分が知っている特定の他者に対する信頼)を指標として、日本の農村地域と都市部とで、つながりにどのような違いがあるのかをお話しされました。
2人目は、森と里と海のつながりを研究している福島慶太郎さん。森の健康状態を、窒素(硝酸)を手がかりに調査しています。窒素の流れをたどることによって森だけでなく、森を流れる川、川の近くの里や川が流れ着く海が、それぞれお互いにどのように影響しているのかをお話しされました。


2人のお話を聞いて、「つながり」に対する新しい見方が発見できたはず。


2)参加者同士で語り合う、本との"出会い" の時間


 研究者からの話題提供も参考にしながら、グループで「つながり」に関するイメージやアイディアを出し合う時間をとりました。付箋を使ってキーワードをどんどん挙げながら。ここで出したキーワードも頭に置きつつ、図書館内を探検して、「つながり」に関連しそうな本を集めてもらいました。
 探しにいってすぐに選んで帰ってくる人、なかなか決められなかった人。一冊だけ厳選して選んできた人、選びきれなくてたくさんの本を選んできた人。本の選び方だけでもそれぞれ全く異なっていました。
 みんなが持ち帰った本をグループで共有した後は、グループ内で『これはよい出会いだった!ベスト1』の本を決めます。そして、他のグループの人にプレゼンです。最後は、2人の研究者からこれが読みたい!という本を選んで、ゲスト賞を出してもらいました。


 みんなでつくった『つながりの本棚』。ワークショップ後の1週間は、京都府立図書館で展示されます。
(もちろん、この本棚に並んだ本は、来館者の方が借りてかえることができます。)


04.png 05.png
06.png 08.png

13.10.11

福島研究員が京都府立図書館のワークショップに話題提供者として参加します

福島慎太郎研究員が、9月21日(土)に開催される京都府立図書館のワークショップ【本を楽しむ、科学と遊ぶワークショップ 第四弾 「つながり」をたどる】に話題提供者として参加します。


tsunagari0921.png


 「本を楽しむ、科学と遊ぶワークショップ」は、研究者からの話題提供や参加者同士のコミュニケーションを通じて、ひとつのテーマに対して多様な角度から知識や考えを深め、より能動的な読書へのきっかけをつくることを目的とした場です。
 今回のテーマは「つながり」です。私たちのまわりに存在する様々な「つながり」をたどると、その先には?ー「つながり」に思いをはせてみませんか。

_


本を楽しむ、科学と遊ぶワークショップ 第四弾
「つながり」をたどる


平成25年9月21日(土曜日)13時開始
京都府立図書館にて


応募締め切り:9月8日(日曜日)

_


ワークショップは、大きく2つのパートからなります。

1.新しい視点との"出会い"の時間
地域における人々の研究をしている福島慎太郎さんと、森と里と海のつながりを研究している福島慶太郎さんのお二人に、それぞれの観点から「つながり」について話題を提供していただきます。
「つながり」に対する新しい見方が発見できるはずです。
2.本との"出会い"の時間
図書館の書架の間を歩きながら、今回のテーマ「つながり」に関わる本を集めてきます。
もちろん、お気に入りの本と出会うことができたら、図書館から借りて帰ることもできます。
1人で探しても出会えなかった本との出会いが待っているはずです。


【日時】
平成25年9月21日(土曜日)13時00分縲鰀15時30分
(受付開始:12時30分)


【場所】
京都府立図書館 3階マルチメディア室


【お話をする研究者】
福島 慎太郎さん
京都大学こころの未来研究センター 研究員


福島 慶太郎さん
京都大学フィールド科学教育研究センター 特定研究員


【参加費】
無料


【定員】
30名(事前申込み制)
*応募者多数の場合には、抽選となります。


【対象】
どなたでも参加できます。


【申込み方法】
以下のいずれかの方法で、「ワークショップ申込」と明記の上、お名前・連絡先(メール、FAX番号等)をお伝えください。
なお、申し込み先は、「京都府立図書館」です。
*個人情報は今回の催し運営にのみ使用いたします。


1)Eメール:tosyokan-shiryou@pref.kyoto.lg.jp
2)FAX:075-762-4653
3)京都府立図書館のカウンターにて受付


【応募締め切り】
平成25年9月8日(日曜日)


【参加の可否についてのご連絡】
9月13日(金曜日)までに、京都府立図書館からお知らせします。


【お問い合わせ先】
京都府立図書館 総務課企画調整係
TEL:075-762-4655(代)


【主催】
京都府立図書館
http://www.library.pref.kyoto.jp/


【共催】
井戸端サイエンス工房
http://islkyoto.web.fc2.com/


井戸端サイエンス工房は "科学の多様な楽しみ方を提案する" というコンセプトのもと、様々な企画を立案・運営していこうとする、京都大学の学生が主体となった団体です。

13.08.16

国際チベット学会で"Bhutanese Buddhism and Its Culture"を開催。熊谷准教授、安田研究員、松下研究員が口頭発表を行いました

 2013年7月23日、モンゴル国立大学で開催された国際チベット学会において、熊谷誠慈准教授の企画による "Bhutanese Buddhism and Its Culture"(ブータン仏教と文化)と題する研究部会を開催し、計8名が口頭発表を行いました。こころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門からは、熊谷准教授、松下賀和研究員、安田章紀研究員の3名が以下の題目で口頭発表を行いました。


 熊谷准教授は「ブータンにおける宗教マイノリティの研究」、松下賀和研究員は「ドゥク派開祖ツァンパギャレーのマハームドラー理論の紹介」、安田章紀研究員は「ペマリンパに発見されたギュブチュン文献の研究」という演題での発表でした。詳しい英語タイトル、全ての発表者の演題は下段の「発表者と演題」をご覧ください。


 また、本研究部会ではセンター外からの発表者として、ルンテン・ギャツォ(王立ブータン大学言語文化研究所・所長)、デンドゥプ・チューペル(王立ブータン研究所・研究員)、デヴィッド・ディヴァレリオ(ウィスコンシン大学・助教)、リアンサラ・クヤカノン・クナップ(ケンブリッジ大学・大学院生)、エリザベス・モンソン(ハーバード大学・大学院生)ら5名の研究者が口頭発表を行いました。


 ブータンに対する注目は世界的に高く、本研究部会にも非常に多くの研究者が聴講に訪れ、活発な議論が取り交わされました。本研究部会の発表者を中心に、近日中に論文集を刊行する予定です。本会議への参加には上廣倫理財団からのご支援をいただきました。心より感謝申し上げます。


1308011.png 1308012.png
1308013.png 1308014.png
1308015.png 1308016.png
1308017.png 1301088.png
13080111.png
13080112.png


[DATA]
▽研究会名:"Bhutanese Buddhism and Its Culture"(ブータン仏教と文化)
▽場所:モンゴル国立大学(国際チベット学会会場)
▽日時:2013年7月23日
▽企画者:熊谷誠慈准教授(こころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門)
▽発表者と演題:
・熊谷誠慈准教授(こころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門) "A Study on the Religious Minorities in Bhutan"(ブータンにおける宗教マイノリティの研究)
・松下賀和研究員(こころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門) "Introduction on the Theory of Mahamudra by the Founder of Drukpa Kagyu: Tsangpa Gyare Yeshe Dorje (1161-1211)"(ドゥク派開祖ツァンパギャレーのマハームドラー理論の紹介)
・安田章紀研究員(こころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門) "A Study of rGyu bu chung discovered by Pema Lingpa"(ペマリンパに発見されたギュブチュン文献の研究)
・ルンテン・ギャツォ(王立ブータン大学言語文化研究所・所長) "A Note on the Concept of Happiness and Prosperity Beyond the Radar of 'Deluded Self'"(幸福という概念と惑った自己の探知機を超えた繁栄)
・デンドゥプ・チューペル(王立ブータン研究所・研究員) "Byis pa'i dpa' bo: The Dance of Youthful Heroes"(若き英雄の舞踏について)
・デヴィッド・ディヴァレリオ(ウィスコンシン大学・助教) "Who was Drukpa Kunle?"(ドゥクパ・クンレとはいかなる人物か?)
・リアンサラ・クヤカノン・クナップ(ケンブリッジ大学・大学院生) "Mountain Closure Practice, Buddhist Sacred Sites and Ecological Knowledge in Eastern Bhutan"(閉山儀礼:東ブータンにおける仏教聖地と生態学的知識)
・エリザベス・モンソン(ハーバード大学・大学院生) "Alternative Voices: The Case of the Imperfect Saint, Kun dga' Legs pa"(破天荒な言説:不完全な聖者クンガレクパのケース)


(報告:熊谷誠慈准教授/こころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門)

13.07.31

畑中助教のコメントが朝日新聞『京大学食「ぼっち席」人気』記事に掲載されました

130729bocchi.png 7月29日付の朝日新聞・朝日新聞デジタルに『視線気にせずおひとりさま 京大学食「ぼっち席」人気』という記事が掲載され、学生の声などと共に、畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)のコメントが掲載されました。


 最近、京大の食堂にできた、ついたてのある「おひとりさま」でも視線を気にせず食べやすい「ぼっち席」が人気だそうです。「大きなテーブルだと恥ずかしい」「急いでいるとき便利」という学生の声と共に、提供する生協側ではテーブルの回転効率が上がったということで、神戸大など他大学にも「ぼっち席」が広まりつつあるそうです。


 記事の最後に登場した畑中助教は、「孤独を恐れる現代の若者らしさがみてとれる。60年代以降、日本の若者に多くみられた『対人恐怖』では、実際に見られていなくても他者の視線を過剰に意識する傾向があった。ついたてで自分の視界を遮れる『ぼっち席』には、対人意識のあり方の変化が表れているようだ」(記事より抜粋)というコメントを提供しています。


 記事は朝日新聞デジタルでご覧いただけます。こちら

13.07.29

清家助教の共同研究が日本認知症ケア学会大会「石﨑賞」を受賞しました

 清家理助教(上廣こころ学研究部門)の認知症に関する共同研究が、日本認知症ケア学会大会の2013年度「石﨑賞」を受賞しました。


 石﨑賞は、日本認知症ケア学会大会において優秀な演題発表をした者に対し贈られる賞です。認知症ケアに関する独創性・有用性・発展性の観点から評価されます。清家助教らの研究「認知症を有する人と家族に対する早期教育的介入の必要性」(筆頭発表者:櫻井孝国立長寿医療研究センターもの忘れセンター外来部長)は、6月1日・2日に開催された「第14回日本認知症ケア学会大会」で発表され、17の受賞演題のひとつに選ばれました。


「認知症を有する人と家族に対する早期教育的介入の必要性 ー認知症疾患医療センターにおける「もの忘れ教室」アクションリサーチからの考察ー」櫻井孝1. 清家理1.2, 住垣千恵子1. 武田章敬1. 遠藤英俊1. 鳥羽研二1(1 国立長寿医療研究センター, 2 京都大学こころの未来研究センター)


【背景と研究目的】
 認知症政策では、「早期診断・早期対応」が重点課題となった。併せて、患者や家族が早期に治療や生活の備えをする視点も重要である。今回、「早期」「キュアとケアの連続性」を重視したくりにかるサービスを「もの忘れ教室」として開始し、この取組みを「早期教育的介入」と設定した。そこで本研究の目的を「認知症の確定診断直後の患者、家族に対する早期教育的介入の必要性の検証、実証」とした。


(発表内容より抜粋)


一般社団法人日本認知症ケア学会「石﨑賞」のページ

13.07.22

熊谷准教授が、イギリス・オックスフォード大学で開催された2013年カーネギー・上廣・オックスフォード倫理会議にて、口頭発表を行いました。

熊谷誠慈准教授(上廣こころ学研究部門)が、2013620日、21日にオックスフォード大学セントクロスカレッジにて開催された、2013 Carnegie-Uehiro-Oxford Ethics Conference2013年カーネギー・上廣・オックスフォード倫理会議)に参加し、"Bhutanese Spirituality and Gross National Happiness"(ブータン人の精神性と国民総幸福)という題目で口頭発表を行いました。ブータンの掲げる「国民総幸福」(GNH)政策は、近年、各国から注目されていますが、「国民総幸福」政策と、その根底に存在する仏教思想との関係については、これまであまり研究されてきませんでした。そこで、同准教授は、GNHをテーマとして、仏教倫理哲学思想とブータン人の幸福観との関係性について分析を行い、ブータン人の保持する幸福区分を仮説として提示しました。本発表の詳細については、近日中に学術雑誌等で公表される予定です。


038.jpg


039.jpg

発表終了後に上廣オックスフォード倫理研究所のジュリアン・サヴァレスキュ教授と

13.07.19

阿部准教授が第15回ヒト脳機能マッピング学会で若手奨励賞を受賞しました

P7131126.JPG 阿部修士准教授(上廣こころ学研究部門)が、2013年7月5日・6日に東京大学伊藤国際学術研究センターで開催された「第15回ヒト脳機能マッピング学会」において、「若手奨励賞」を受賞しました。


 若手奨励賞は、同学会で発表された演題の中から35歳以下の筆頭発表者による優秀な抄録に対して贈られる賞です。今回、阿部准教授は「虚記憶の記銘と想起に関わる神経基盤」という演題で、記憶の間違いの背景にある脳活動をfMRIを用いて調べた研究について発表し、同賞に選ばれました。


 阿部准教授は、「このような賞を受賞できて大変光栄です。今後もさらに身を引き締めて研究を続けていこうと思います」と、コメントしています。


第15回日本ヒト脳機能マッピング学会のホームページ
130717abe.png

13.07.17

清家助教が「認知症の予防と治療」パネルディスカッションに登壇します

130708seike.png 清家理助教(上廣こころ学研究部門)が、7月15日に開催されるセミナー「認知症の予防と治療」(主催:杉浦地域医療振興財団、場所:京都テルサ)の第二部パネルディスカッション「多職種による認知症の困難事例の対応」に登壇します。


 医療倫理学・社会福祉学を専門とする清家助教は、本年4月よりこころの未来研究センター・上廣こころ学研究部門の助教に着任し、終末期患者に対する支援や倫理的観点に基づく認知症介護改善に関する研究などを進めています。本セミナーのパネルディスカッションでは、「多職種による認知症の困難事例の対応」をテーマに、座長を務める荒井秀典京都大学大学院医学研究科教授らと共に、認知症患者の困難事例をみながら幅広い知見によるディスカッションが行われます。


 セミナーについて詳細は、主催者のページをご覧ください。


□杉浦地域医療振興財団
http://sugi-zaidan.jp/index.html

13.07.05

福島慎太郎・非常勤研究員が、ドイツのBad Homburgで開催された第12回日独社会科学学会にて、口頭発表を行いました

福島慎太郎・非常勤研究員が、ドイツのBad Homburgで開催された第12回日独社会科学学会にて、口頭発表を行いました(2013年5月23日)
Shintaro Fukushima & Yukiko Uchida, 発表タイトル:"Collective Well-Being in Japan"

13.05.31

上廣こころ学研究部門ウェブサイトを開設しました

上廣こころ学研究部門ウェブサイトを開設しました。メンバー、プロジェクトの概要を紹介します。今後の活動報告と関連ニュースはニュースの項目に掲載していきます。これまでの活動報告は、センターのニュースをご覧下さい。

13.05.14