池田 功毅 Archive
怖い顔の目的、あるいは楳図かずおについての一考察
- 2011-11-30 (水)
楳図かずおでも何でも良いので、ホラーやサスペンスの漫画や映画で、恐怖に襲われて叫んでいる被害者の顔を想像してください。感情の心理学という研究領域では、それを「恐怖顔」 fearful face とか「恐怖表情」fearful facial expression などと呼びます。人類学的な調査に基づいて、この「恐怖表情」をはじめ、「怒り」、「嫌悪」、「幸福」、「悲しみ」、「驚き」といった表情は、文化や民族によらず人間一般に共通していると考えられており、「基本6感情」と呼ばれることもあります。
さて、仮にこうした顔表情がヒト一般、すなわちホモ・サピエンス Homo sapiens という種一般に見られるとすると、そこには何らかの進化的背景がありそうだ、という気がしてきます。事実、進化理論を最初に唱えたチャールズ・ダーウィン Charles Darwin も、既にこの点に気付いていたようで、『人及び動物の表情について The Expressions of Emotions in Man and Animals』という著作で、人間の顔表情が動物のそれから連続的に進化してきた可能性を提唱しています。
しかしそれにしても、それぞれの表情は、なぜ「この形」になったのでしょうか?
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「男らしさ」とは何か?:テストステロン出世仮説
- 2010-02-26 (金)
男性ホルモンと聞いて何を思い浮かべますか? 筋肉増強、体毛、声変わり、そして禿げ。男性ホルモンは、良くも悪くも「男らしさ」の活性化に重要な役割を果たしています。では、脳に対する影響はどのくらいあるのでしょうか? 巷では、「男脳」と「女脳」はどう違うのかといった議論も流行していますが、こうした話にホルモンはどの程度関係しているんでしょうか? 試しに、「男性ホルモンが濃そうな人」をイメージしてみてください。見た目はやっぱり、立派な筋肉、濃い体毛、低い声といった感じで、まさしく360度肉食系。では性格は? どうやら多くの人は、「攻撃的」と想像するようです。たしかに肉食獣は攻撃的ですからね。でも男らしい男性は、本当に攻撃的なんでしょうか? ただの迷信? それとも真実? 今回はそんな研究をご紹介します。
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虚空を見つめて
- 2009-07-28 (火)
こんなシーンを想像してみてください。友だち3人が、道端で立ち話をしています。そのうちひとり(Aさん)が先に立ち去った後、残ったふたりは、そのAさんの話をし始めます。「で、実は彼女最近ね...」と言いながら、ふたりはさっきまでAさんが立っていた場所をちらっと見ながら、話を続けます。
よくある風景ですよね。さて問題は、どうして後に残ったふたりは、Aさんの話をする時に、Aさんがさっきまで立っていた場所を見たのか?です。Aさんはもうそこにはいないというのに、いったいふたりは誰に、あるいは何に、眼をやったんでしょうか?
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人間椅子:神経科学版
- 2008-12-04 (木)
前回は幽体離脱実験を紹介したので、ついでにもうひとつ恐怖夜話を。やっと冬らしくなってきたのにすいません。
江戸川乱歩の小説に『人間椅子』というのがあります。これは主人公の女性が、自分がいつも座っていた大きな椅子の中に、実は見知らぬ男が入っていたらしいという事実を知るという気持ち悪いストーリーなのですが、今回紹介する研究は、まさしくそんな感じの不気味な話です。この話は本当に恐いよ!
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霊体験は可能です。
- 2008-12-01 (月)
誰でも一度くらいは心霊現象に興味を持ったことがあるんじゃないでしょうか。霊が出没すると言われる深夜の山道や廃墟になったホテル。よくあるテレビの心霊特集では、レポーターが「確かにあそこに誰かいたよ!」と震える声で言っている。さて、こうした心霊現象は、科学的に解明可能なんでしょうか?(*1)
実は、既にそれっぽい研究がいくつか行われています。今日はその中から、幽体離脱(out-of-body experience)についての研究を紹介しようと思います。
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