高齢者による商店街での買物荷物の配達支援の実証実験
研究課題 高齢者による商店街での買物荷物の配達支援の実証実験
研究代表者 吉田哲 京都大学大学院工学研究科建築学専攻 准教授
共同研究者 岩田伸一郎 日本大学生産工学部建築工学科 教授
本申請は、買物支援による外出機会の拡大を通じて、高齢者のコミュニティでの自立的な生活の継続について社会実装的に研究するものである。
京都市伏見区の山沿いの住宅系市街地では私鉄駅(京阪藤森駅、墨染駅)や、商店街までの1km 程度の距離を歩くのに30-40 分もかかる高齢者が数多く住む。この高齢者の徒歩での外出を支援するため申請者は3小学校区2つの地域団体と各々’15年、’19 年から上記の歩行経路沿いの私有地(個人宅・店舗、高齢者施設、宗教施設等)にベンチを製作・設置する活動を進め、昨年度末に合計47 カ所になった。地元の人からは高齢者のベンチ利用、ベンチでの交流・歓談が見られるようになったと聞く。
本申請では、上記のうち深草商店街関係者が地域団体の代表となる深草学区で、高齢者が商店街に来街して購入した物を、住宅系市街地などに設置したベンチまでリヤカーで配達する他、幾通りかの方法で配達する実証実験を行う。さらに実験に伴い、配達利用者の健康面の満足度の変化、商店街での買物に際する店員や知合いとのふれあい、配達代、荷物配達に対する満足度等を検証し、一方で運営面等、関係者の可能な範囲での事業継続法を模索することも目的とする。イベント的単発の支援、補助金ありきの支援でないやり方で、住宅系市街地における持続的な買物支援を構想することで、高齢者の買物を契機とした外出を増やすことが最大の目的であり効果でもある。
なお本申請関連では深草商店街振興組合が代表となって「令和3 年度京都府新しい商店街づくり総合支援事業、地域課題解決コミュニティ活性化事業」も申請中である。当該申請内の月1 回の高齢者サロン来場者に、朝市で購入したものをベンチまで配達する事業について使用する物品を共有するため、本申請予算からの支出も案分する。
2021/06/15