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社会的交流が高齢者の認知機能維持に果たす役割の神経生物学的検討

研究課題      社会的交流が高齢者の認知機能維持に果たす役割の神経生物学的検討

研究代表者     積山薫     京都大学大学院 総合生存学館 教授

共同研究者     山下雅俊    京都大学総合生存学館 特定研究員
          豊島彩     京都大学教育学研究科 特別研究員
          王雪姸     京都大学総合生存学館 5年一貫制博士課程3年生
          柿原マルセロ  京都大学総合生存学館 5年一貫制博士課程2年生
          堀川裕之    京都大学総合生存学館ソーシャルイノベーションセンター 連携研究員

科学技術や医療の進歩・産業社会の進展は、長寿化、教育費の高騰などを通して、世界中の国々を少子高齢化へと方向づけている。とりわけ、我が国においてはこの傾向が急激に進行し、対応が求められている。本研究では、持続可能な超高齢社会の姿を模索する一助として、高齢者の認知機能維持に果たす社会的交流の役割を、脳機能イメージングや神経内分泌物質の計測を通して明らかにすることを目的とする。
高齢者のライフスタイルに関する疫学研究によれば、社会的交流が頻繁な高齢者は、主観的幸福感が高く(Okun et al., 1984; Zhang & Zhang, 2015)、認知症のリスクが低い(James et al., 2011)。逆に、高齢期の孤独感情は、後の認知症発症を予測する(Holwerda et al., 2014)。これらのことから、社会的交流は、幸福感のみならず認知機能にもポジティブな効果をもつと考えられる。実際、高齢者の認知症リスク低減に最も効果が高い余暇習慣とされるダンスや楽器演奏は(Verghese et al., 2003)、社会的交流の要素を含んでいる。しかし、これらの活動には、訓練的側面と社会的交流側面の二面があるため、どちらの側面が認知機能へのポジティブな効果をもつのかは、疫学レベルでは特定できない。
本研究では、介入研究によって、社会的交流と認知的訓練の効果を分離し、それぞれが高齢者の認知機能維持に果たす効果を検討する。その際、社会的交流がもたらすポジティブな作用の生物学的基盤として、オキシトシンなどの神経内分泌物質や神経伝達物質の測定もおこない、認知課題中の行動成績および脳機能イメージングデータなどとつき合わせることにより、精緻な検討をおこなう。
本研究により、社会的交流が認知脳機能をも向上させることが明らかになれば、薬物療法以外の画期的かつ簡便な認知機能低下予防法として、社会的交流の効果を提言できる。それは、認知症予防の心構えを「脳トレ」から「つながり」へと変えることになる。

2021/06/15

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