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社会の持続可能性に関わる格差とストックの関係性の検討と事例調査

研究課題      社会の持続可能性に関わる格差とストックの関係性の検討と事例調査

研究代表者     加藤猛     オープン イノベーション機構日立京大ラボ 特定准教授

共同研究者     広井良典    京都大学こころの未来研究センター 教授

世界の様々な国において所得格差や地域格差が社会問題となっている。経済学では、所得の分布に関してパレートの法則、都市サイズ人口や経済の規模の分布に関してジップの法則という経験的なべき乗則が知られている。経済物理学では、理想気体の運動エネルギー交換のアナロジーに基づ いた資産交換モデルが提案されている。このモデルでは富者と貧者の交換量、交換後の分配比率、貯蓄率などのパラメータに応じて指数分布、べき乗分布、Δ分布などが現れ る。従来 は、主にそれらの分布形状や格差について検討されてきた 。
今回のプロジェクトの目的は、新たに提案する資産交換モデルに基づいて貯蓄率、総交換量、ジニ係数の間の関係を検討することにある 。貯蓄率(ストック)が増えれば、総交換量(フロー)とジニ係数(格差)が減ると予想される。また、 富者の余剰ストックの拠出率が増えれば フローが増え、格差が減ると予想される。本プロジェクトでは、まずこれらの予想をシミュレーションによって検証することで、市場活性化と格差のトレードオフ関係 や、富者の余剰ストックと格差の関係に焦点を当てたい。さらに、これらの結果を踏まえて、格差問題の 解決には格差を許容レベルに抑えつつ余剰ストックを活用することが必要であることが分かれば、例題として地域社会の持続可能性に関わる耕作放棄地(空き地)やシャッター通り(空き店舗)におけるストックの活用事例調査と照らし合わせつつ、社会構想と施策の提言を行うことを目指したい。

2021/06/15

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