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こころの未来連続セミナー「ラカンとニューロサイエンス」

学生参加 研究者参加
タイトル:
こころの未来連続セミナー「ラカンとニューロサイエンス」
日時:
2010年11月24日(水),12月1日(水),12月8日(水)17:00-19:00(予定)
講師:
久保田泰考准教授(滋賀大学保健管理センター)
場所:
こころの未来センター別館セミナー室1 
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/about/access.html
あらまし:
 1950年代のセミナーにおいて、ラカンは当時最先端の神経科学理論、たとえばサイバネティクスに一定の興味を示しながらも、「脳と意識」あるいは「無意識の神経学的基盤」といった問題設定をとることはありませんでした。彼は「思考と延長」というデカルト=スピノザ的な古典哲学の図式において思考したのですが、当時において、すでにそれは「無意識と脳」といった図式を意識した戦略的な選択であったのです。
 今日、アントニオ・ダマシオのような神経学者が、身体内部感覚の知覚とその表象化という観点から、デカルトを、次いでスピノザの思想を再発見するのを見るとき、この戦略は半世紀遅れで、奇妙なアクチュアリティーをおびはじめるように思われます。意識体験における主体の位置はどこにあるのか(仮に意識の物質的基盤が脳であるとして)―それこそが50年代のラカンの問題意識であったのですが、それは現在の意識研究のパラダイムにおいて、「困難な問題」として形を変えて回帰しているといえるでしょう。もし今日ラカンが生きていたら、神経科学者たちに対して何を問いかけるだろうという問いは、あたかもすでにラカン自身よって先取りされているように見えるのです。
 今回のセミナーにおいて、わたしたちが精神分析と神経科学という二つの知の境界領域について語ろうという無謀な試みを企てるのは、こうした問題意識からに他なりません。そもそも精神分析はその起源において、思考の物質的基盤とは何かという問題を抱えて生まれましたし、フロイトがニューロンによる思考のモデルを最初に理論化した人物であることをわたしたちは忘れるべきではないからです。もっとも、精神分析という固有の経験についての知が、神経科学の実証研究に何らかの貢献を行うということはおよそありそうにない話ですし、神経科学の知見が分析の臨床に決定的な変革をもたらすこともまたありそうにありません。とはいえ、北極熊と鯨のようにおよそ出会いそうにもない、これら二つの領域のクリティカルな関係性は、精神の科学について思索するものにとって常に本質的な問題を提起するはずです。
講師プロフィール:
久保田泰考
滋賀大学保健管理センター准教授、精神科医、精神生理学・行動神経科学・ラカン派精神分析
2001-2002年サンタンヌ病院精神科(パリ、フランス)にて研修
2002年京都大学医学部精神科大学院博士課程修了、博士号取得
2002-2004年ケースウエスタンリザーブ大学精神科(クリーブランド、米国)客員研究員
2004年より滋賀大学保健管理センター勤務。
1991年よりMme. Colette Soler(パリ、フランス)のもとで精神分析を受ける。

2010/11/05

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