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第11回身心変容技法研究会「芸術と身心変容技法」が開催されました

P5144200.JPG 鎌田東二教授が研究代表者を務める第11回身心変容技法研究会が、5月14日、稲盛財団記念館大会議室で開催されました。
 「身心変容技法の比較宗教学――心と体とモノをつなぐワザの総合的研究」は、今年で3年目に入りました。2013年度最初の研究会は「芸術と身心変容技法」というテーマで、柿沼敏江京都市立芸術大学音楽学部教授と高橋悟京都市立芸術大学美術学部教授を講師に迎えました。研究会後半には、鎌田教授と研究会メンバーらによる「2013年度の研究計画」の確認および意見交換が行われました。
■発表1「ヒルデガルトの音楽と言葉縲恊コを発し、記す身体縲怐v柿沼敏江京都市立芸術大学音楽学部教授
 西洋音楽史を専門とし、幅広い視野から音楽研究を続ける柿沼教授は、今回、12世紀ドイツの作曲家・ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098~1179)に光を当て、「ヒルデガルトの音楽と言葉縲恊コを発し、記す身体縲怐vと題した発表を行いました。
 12世紀ドイツの修道女であり数々の聖歌を生んだ作曲家として、また、幼少時からの幻視体験を書物に残し、数々の「知られざる言葉」を創作し聖歌に織り込んだ神秘家としてのヒルデガルトの人生とその創作の軌跡を、柿沼教授は彼女の残した譜面や幻視体験をビジュアル化した絵の数々と共に詳細に紹介。幻視を見、それを受けとめた身体で語り、歌い、記すことで再び身体が蘇るとしたヒルデガルトにとって、身体とは「神の声を受けとめ、美しい響きとして放出する『魂の容器』だった」、と柿沼教授は解説しました。
 発表後は、研究会メンバーよりコメントが寄せられ、ウィリアム・ジェームスの宗教現象学との共通性、シャーマンとの類似性、環境からなるケルト系の影響、宮沢賢治を想起させる創造的言語空間など、様々な視点から議論が行われました。
■発表2「記憶・知覚・身体への芸術的アプローチ ~ inter-Score/行為を誘発する装置としての記譜」高橋悟京都市立芸術大学美術学部教授
 続いて、京都市立芸術大学美術学部教授の高橋悟教授が「記憶・知覚・身体への芸術的アプローチ ~ inter-Score/行為を誘発する装置としての記譜」という演題で発表を行いました。
 多角的な視点と手法で芸術、医療、科学など諸分野の垣根を越えたアートプロジェクトを探求し続ける高橋教授は、過去に取り組んだ実験的プロジェクトやアートイベントを紹介・解説しながら、実験的アートからのアプローチで揺らぎや刺激を与えることによって、ばらばらに解離した人間の行動・知覚・感情からどのような行為が誘発され、新たな経験・世界が降りかかってくるのかを考察。アルツハイマーの患者を対象とした実験などから特定の情動を伴った記憶を引き出す装置の可能性に注目し、学生らと取り組んだ長期記憶と短期記憶を誘発する装置作りや、揺れる円盤上に客を着座させ知覚を混乱させた「ゆれる茶会」での反響などを数々の映像と共に紹介しました。
 発表後には、芸術から身心変容のテーマへ切り込むことの斬新性、宗教的アプローチとの差異、記譜としての瞑想における脳波、ブレヒトの異化効果など様々なキーワードが飛び交い、議論が盛り上がりました。 
 研究会の報告における鎌田教授のコメントは次の通りです。
 「柿沼敏江氏発表のヒルデガルトは大変興味深い人物でした。その生い立ち、「幻視」体験、女子修道院創設、著作(幻視三部作、神学、自然学、 歌集)、音楽(作曲)、演劇、新造語などなどの諸活動。その先駆性と独創性は、考えれば考えるほど、凄いことであったと思わずにはいられ ません。と、同時に、彼女が生きた12世紀という時代に、改めて興味を持ちました。春日大社の『おん祭り』が行なわれ始めたのも、院政が敷かれたのも、平氏と源氏武士団が登場したのも、法然や親鸞が念仏を唱えたのも、みな、この12世紀でした。十字軍戦争や源平の合戦が繰り広げられた12世紀は、革命の時代だと思います。そこからルネサンスへと繋がった特別な時期だったといえるでしょう。
 高橋悟氏発表の『inter-Score/行為を誘発する装置としての記譜~記憶・知覚・身体 への芸術的アプローチ』は、副題の通り、人間の知覚そのものを捉えかえす身心変容として根源的な話が聞けた、まさにアーティストによる『記憶・知覚・ 身体への芸術的アプローチ 』でした。コンテンポラリー・アートと現代思想との接合点での脱主体的な知覚の『非統合・解 離』を意図的かつ方法的かつ挑発的に揺らぎや揺れを仕掛けつつ、解除していく作法 は、大変興味深いもので、現代芸術の思考と志向を存分に味わいました。宗教にも『非統合・解離』のプロセスや意図的な仕掛けもないことはありませんが、 最終的な『大統合と最終着地』を達成しようと意図する点で、現代芸術とは最終形を まったく異にするものだと思い、その違いが大変面白かったです。が、仮に、宗教と現代芸術の違いがそのようであるとしても、両者の中にある過激で 非統合的なトランス過程は『身心変容』過程として極めて重要な共通現象であると思いました」(身心変容技法研究会ホームページ「研究問答」より。全文はこちら
 ふたつの研究発表の後、2013年度の研究計画の確認および意見交換が行われ、鎌田教授による本年度の計画の発表とメンバーらによる活動計画の発表がありました。発表内容は、研究会ホームページで参照できます(こちら)。
 次回の身心変容技法研究会は、2013年6月13日に「ベルクソン研究第2弾」を総合テーマとし、発表者に鶴岡賀雄東京大学大学院教授、コメンテーターに津城寛文筑波大学大学院教授を迎えて開催する予定です。
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[DATA]
「第11回身心変容技法研究会」
▽日時:2013年5月14日(火)13;00-18:00
▽場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
▽総合テーマ:芸術と身心変容技法
▽発表1:柿沼敏江(京都市立芸術大学音楽学部教授・音楽学・音楽史)「音楽と身心変容技法」 50分発表+50分討議
▽発表2:高橋悟(京都市立芸術大学美術学部教授・構想設計)「記憶・知覚・身体への芸術的アプローチ ~ inter-Score/行為を誘発する装置としての記譜」50分発表+50分討議
▽総合討論 司会:鎌田東二
*17時~18時:「2013年度の研究計画」の確認および意見交換第1弾

2013/05/28

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