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河合教授の寄稿文「脱『他者』時代へのコミットメント」が毎日新聞に掲載されました

 7月7日付の毎日新聞夕刊文化面「パラダイムシフト――2100年への思考実験 第4部」の連載7回目に、河合俊雄教授の寄稿文「脱『他者』時代へのコミットメント」が掲載されました。
 新たな「思考の枠組み」について考える同紙の「パラダイムシフト」シリーズの第4部は「転換期の人類に求められる倫理を問う」というテーマで様々な分野の識者が寄稿しています。河合教授は心理療法家の視点から、若者の心の葛藤の欠如や罪悪感の希薄化について、臨床現場での事例を挙げながら、現代社会における善悪の基準の揺らぎや他者の視点による倫理観の消滅傾向との関連性について考察しています。この先、偏った倫理観や人工的に規定された倫理を超えるためのヒントとして、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』(新潮社)のキーワードとなった「コミットメント」(関与)を取り上げながら、自身の内部から発生する新たな倫理を模索するための手がかりを提示しています。

1407kawai_mainichi.png「脱『他者』時代へのコミットメント」河合 俊雄(京大教授・臨床心理学)
 心理療法は、「こうすべきだ」という基準から自由なことが大切である。たとえば、不登校の子どもに対しても、「学校に行くべきだ」という考えをすぐに押しつけない。それどころか親に暴力をふるったり、万引きをしたりする子どもに対しても、「暴力や万引きは悪いことだ」と教えない。そういう形でこころが求めざるをえないものは何かを考えていこうとする。たとえば万引きは、愛情など何か足りないものを求めているのかもしれない。
 その意味で心理療法は外の世界での倫理を一度括弧に入れて、個々人の内面の成長に取り組んでいると言えよう。だから倫理の揺らぎや葛藤に直面しやすい。親に暴力をふるうのが悪いこととわかっていても、怒りと衝動に圧倒される、などのように。
 ■   ■
 ところが、近年に葛藤や罪悪感をあまり感じないクライアント(心理療法を受ける人)が増えている。日本人の代表的な心理症状は、自意識の葛藤である対人恐怖であったのが、解離性症状や発達障害に代わってきていることにも関連しているようである。
(記事より)

2014/07/18

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