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『心理臨床の広場』(日本心理臨床学会発行広報誌)に河合教授の論考が掲載されました

 日本心理臨床学会が発行する広報誌『心理臨床の広場』Vol.7 No.1(2014年8月30日)に、河合俊雄教授の論考が掲載されました。今号は「ことば」をテーマとした特集が組まれ、河合教授は「『赤の書』ーユングと言葉」というタイトルで寄稿しています。
 極彩色の絵やカリグラフィーなどイメージ的要素が中心の『赤の書』において、言葉はどのような役割を果たし、どのような意味が持っているのか。河合教授は、イメージを描写する第一層の言葉、第一層を解釈する役割を持ちながらも既存の概念を超える試みがなされている第二層の言葉、さらにイメージから切り離されて一次的な文節としてのはたらきを見せる独立したテキストなど、本の各部分での言葉が持つ特徴と役割について解説しています。

写真 (44).jpg「『赤の書』ーユングと言葉」 京都大学こころの未来研究センター 河合俊雄
 「あなたがたに物語った、私が自分の内的なイメージを追求していた歳月は、私の生涯において最も重要な時期であった。ほかのことはすべてこの時期から導きだすことができる。この時期にすべてが始まったのだ」と八〇歳を過ぎたユングは、自分の『赤の書』を振り返って語っています。ユングは第一次世界大戦の前に精神的危機に陥り、ヨーロッパが洪水になる恐ろしいヴィジョンに何度も襲われます。後に自分の見た夢やヴィジョンだけでなく、それらに基づいて、積極的にイメージを喚起していったアクティヴ・イマジネーションの内容を『黒の書』という日記に書きつけます。そのイメージの記述部分に、さらに絵と解釈するテキストを加えたのが『赤の書』です。ここには、後のユングの心理学の元になったもの全てがあると言えるでしょう。(中略)
 このように『赤の書』はイメージを中心としつつも、それを言葉で描写し、さらにそれを言葉で解釈したものです。また第三部の「試練」は深層が直接に言葉として分節されたものと考えられます。その意味で、このたび挿画を含まない、小判で廉価な『赤の書 テキスト版』(C.G.ユング/S.シャムダサーニ編/河合俊雄監訳、創元社、二〇一四年)が刊行されるのは、『赤の書』の言葉に焦点を当てるためにもよい機会になるのではと期待しています。
(記事より)

 なお、論考にもあるように、この夏、日本では河合教授の監訳のもと、挿画を含まないテキストのみの『赤の書 テキスト版』が刊行されました。
1408kawai_akanosho.png『赤の書 テキスト版』書籍情報はこちら(創元社のページ)

2014/08/29

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