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鎌田教授のコラムが徳島新聞に掲載されました

 徳島新聞文化面「こころの未来 22」(2014年10月1日付)に鎌田東二教授のコラムが掲載されました。
 8月、鎌田教授は東北被災地を再び巡りました。浪江町では震災の傷跡がそのままの寺を訪問。復興が進まない被災地の現状と共に、旅先から戻った矢先に網膜剥離で緊急入院手術を受けた自身の過酷な体験について報告しています。入院期間中、作家・石牟礼道子氏による水俣病をテーマとした「苦海浄土」を妻から読み聞かせてもらった鎌田教授は、退院直後に実際に石牟礼氏に対面しておこなったインタビューの感想を記し、水俣、福島の経験をつなぎ合わせながら世に引き継いでいかねばならない、と語っています。

1410kamata_tokushima.png「痛ましさの中の希望 福島から水俣へ、そして『苦海浄土』の水俣から福島へ 祈りのような『福音』聴く」鎌田東二 京大こころの未来研究センター教授
 8月末、NPO法人東京自由大学の夏合宿で福島県の浪江町から岩手県まで400キロほど東北被災地を巡った。浪江町では特別許可をもらって、地元の真言宗のお寺の住職さんの案内で東日本大震災が起きた時の状態そのままになっているお寺を参拝した。一行で般若心経を唱え、法螺貝を奉奏した。(中略)
 入院中は、23時間うつぶせ状態を維持し、「山伏」ならぬ「うつぶせ行」の修行のようだった。入院中の2週間の間に石牟礼道子氏(87)の「苦海浄土」第1部、第2部全部と第3部の一部を毎日妻に読んでもらった。こうして「石牟礼道子全集」の第2巻と第3巻のほぼ2巻分、1000ページ余を耳で読んだ。
 そして実に悲しくも美しい作品であると思った。悲しみとは水俣病患者の痛みや苦しみと、その原因をなした企業や行政や国の対応の暴力的な無慈悲さ。美しさとは、病を得てもなお水俣の海とともに行きている人々の生活世界の、伝承世界とそれの感応する生の息吹の涸れることのない美しさ。つまりはタイトル通り、「苦海=苦界」と「浄土」とが共に鋭く深く美しく描かれ、ループしている奇跡のような作品であり、透明な祈りとやり場のない呪詛のこもった、実に深々と肺腑を抉り貫く作品だと感じ入った。
(記事より)

2014/10/01

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