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内田准教授のインタビューが『一水』42号(大阪弁護士会会派・一水会発行)に掲載されました

 内田由紀子准教授のインタビュー「それぞれの社会における『幸せのカタチ』〜若手心理学者が「こころ」に迫る」が、大阪弁護士会の会派・一水会の会誌『一水』42号(2015年3月発行)に掲載されました。
 「幸せってなんだろう?」という特集において、内田准教授は社会心理学・文化心理学の研究者の道を選んだ経緯、「こころ」を学際的に研究するこころの未来研究センターの取り組み、幸福感や引きこもりといった研究を通して考える幸せな社会についてなど、10ページに渡るロングインタビューで数多くの質問に答えています。

1504uchida_issui.pngそれぞれの社会における「幸せのカタチ」
〜若手文化心理学者が「こころ」に迫る〜
内田由紀子氏

<幸せを「測る」〜日本は幸福な国か>
ー内田先生は、2010年12月から2013年3月まで、内閣府の「幸福度に関する研究会」の委員を務めておられましたね。この研究会の活動について教えていただけますか。
内田 近年、国際的にも幸福度の指標づくりに国家が積極的に関与していく動きがあって、例えばドイツでは大きなシンクタンクが継続した調査を行っていますし、フランスではノーベル経済学賞をとった学者などを招いて本格的に幸福度についての研究を始めました。OECDでも豊かさ指標を作るという流れになっています。
 そのような中、日本では、これまで内閣府が行っている「国民生活選好度調査」の中で、どの程度幸福か、どういった要因が幸福度の増減に影響しているのか、といった質問項目があるくらいで、国家レベルでの多角的な幸福度の指標は未だ策定されていない状態でした。
 それで、先ほど申し上げた国際的な流れの中で、日本でも、2010年に研究会が立ち上がりました。その後2011年に東日本大震災が起こったり、ブータンの国王ご夫妻が新婚旅行で被災地を訪問されて国会でスピーチをされたのをきっかけにブータンブームが起こったこともあり、幸福度の研究会に対しては国内外から多くの注目が集まって、マスメディアにも頻繁に取り上げられました。
 ただ残念ながら、この研究会はその後政権交代の流れもあって2013年に終了となり、作成された指標を使っての経年での大規模調査は実施されないままになっています。(中略)
<幸せを感じやすい社会にするために>
ー日本社会を、幸せを感じやすい社会にするためには、どのようなことが必要だと思われますか。
内田 おそらく、高度経済成長期など、経済的にどんどん発展していくことが求められた時代というのは、目標を達成し獲得していくこと、競争に勝っていくことが幸福であるという前提に基づいて、社会のシステムが構築されていったと思います。
 では、今の時代に何を幸福と感じるか。冒頭でお話しした地域の話とも関連すると思うのですが、人間には、やはり何かを成し得て競争に打ち勝って得られる幸福と、人から喜ばれたり人とつながったりして感じる幸福の、両論があると思うんですよね。あるいは、自然に触れることで感じる幸福もあるでしょう。そういった色々な幸福の感じ方のポテンシャルがある中で、これまで「関係性から得られる幸福感」のようなものを、ゆっくり感じられる社会のシステムになっていなかったとすれば、それをもう一度見直せるようなシステムにできないのかということを考えています。
 地方回帰の話も同じで、人口が都市に一極集中してきたことで、人とのつながりや安心感みたいなものが失われていったときに、地方に移住する方がおられるじゃないですか。そういう人たちに移住の理由を聞くと、自然とのつながりや地域とのつながりに関する幸福を求めていきたいからという答えをされる。その受け皿が都市にはないけど、地方にならあるということなのかなと思うんですよね。東京に一極集中になっている現状の中で、地方が何をするのかという問題がありますが、東京では感じられない幸福を、地方では見出すことのできる人が多いのであれば、そこに何か答えがあるような気がします。
(記事より)

大阪弁護士会「一水会」ウェブサイト

2015/04/20

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