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第1回京都こころ会議シンポジウム「こころと歴史性」を開催しました

 2015年9月13日、京都ホテルオークラにて第1回京都こころ会議シンポジウム「こころと歴史性」を開催しました。4月に発足した「京都こころ会議」の第1回シンポジウムとして、こころの歴史性に焦点をあて、5人の講演者がそれぞれの専門分野から講演、討論をおこないました。当日は、400名を超える参加者にご来場いただきました。
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 はじめに吉川左紀子センター長が、京都こころ会議発足の経緯を紹介し、その意義と取り組みについて、「歴史や文化、自然や環境など大きな枠組みと関係づけながらこころの豊かさやかけがえのなさを明らかにし、豊かなこころを育む人間社会のあるべき姿を国内外に”Kyoto Kokoro Initiative”として発信していきたい」と挨拶しました。
 続いて、公益財団法人稲盛財団の稲盛和夫理事長より、「稲盛財団では、人類の未来は科学の発展と精神的進化のバランスがとれて初めて安定するとの理念を掲げ、さまざまな取り組みを続けてきた。ひとのこころの大切さを問い直し、日本人に古くから伝えられて来た倫理観や道徳心について、その実践や提言を世界に向けて発信する本事業が、今後の人類の精神的進化に大きく貢献することを願っています」と、激励の言葉を頂きました。
 また、文部科学省研究振興局学術機関課の牛尾則文課長より、「こころの未来研究センターは、学問の領域をこえてこころに関する学際的な研究を進め、社会にも積極的に成果を発信している。真のこころの豊かさが問われている今この時期に、本会議が始まるのはタイミングとしても素晴らしい。ますますの発展を祈念します」とお祝いの言葉を頂きました。
 続いて、中沢新一明治大学野生の科学研究所所長が「こころの構造と歴史」というテーマで基調講演を行いました。中沢先生は「自然科学と人文学が考えるこころをつなぐことが、今こそ必要である」とし、現代の神経科学において解明されてきたこころと、人文学が捉えてきたこころを比較しながら「21世紀は、ものとこころの統一が重要な要素となる。今後、脳の過程とこころの過程が近付き、さらに深い理解が可能になるだろう」と、京都こころ会議への期待を話されました。
 次に、こころの未来研究センターの河合俊雄教授が「こころの歴史的内面化とインターフェイス」というテーマで講演しました。「自然や異界にまで広がるオープンシステム」として捉えられてきた日本人のこころと、キリスト教での祈りから精神分析にまでつながる「個人の中に閉じ込められたクローズドシステム」としての西洋人のこころを比較すると共に、インターネット社会が出現してこころをインターフェースとして捉える傾向へと変化してきた流れについて、臨床心理学の視点から考察をおこないました。
 午後は、広井良典千葉大学教授が「ポスト成長時代の『こころ』と社会構想」というテーマで講演をおこないました。公共政策、科学哲学を専門とする広井先生は、拡大・成長から成熟・定常へと変化する日本において人のこころや社会はどのように対応するべきか、文化的史実やデータに光をあてながら、ポスト成長時代のこころと社会の在り方について展望しました。
 休憩をはさんで、下條信輔カリフォルニア工科大学教授・こころの未来研究センター特任教授が「こころの潜在過程と”来歴”~知覚、進化、社会脳」というテーマで講演をおこないました。下條先生は、自身の研究から生まれた「こころの来歴(らいれき)」という概念について、「年輪がその木の生育歴を一瞬で示すように、来歴は遺伝-経験、環境-脳の相互作用の痕跡が、あらゆる時間スケールで、個体の歴史を超えて重ね合わさったもの」とし、自分や他者の来歴を丹念に振り返ることで人間の本性や、未来のこころを探る手がかりになる、と考察しました。
 最後に、山極壽一京都大学総長が「こころの起源――共感から倫理へ」というテーマで講演をおこないました。霊長類学が専門の山極先生は、性を隠匿し食を公開するという、他の霊長類とは逆の独自システムを持つ人間の特性に注目し、複雑な人間社会の背景にある人のこころの成り立ちについて、ゴリラをはじめとする霊長類研究の成果を様々な動画とデータとともに示しながら、こころの理解における比較研究の意義について論じました。
 その後、5名の講演者による総合討論がおこなわれ、総括コメントとして、鎌田東二こころの未来研究センター教授が「知のフロントランナーたちがこころについて様々な角度から考察した豊かな時間だった」と語り、日本人のこころとアニミズムに関連して、戦後に流行した「リンゴの唄」の歌詞を紹介し、「りんごにもこころを見出す日本のアミニズムがどんな可能性をもつのか、今後の京都こころ会議での議論の展開に期待している」と述べました。
 また、閉会の言葉として湊長博京都大学理事・副学長が、「京都大学には20をこえるたくさんの研究所、センターがあり、こころの未来研究センターはそのうち最も小さいセンターだが、こころという最も大きいものを対象に研究をおこなっている。こころをめぐる研究が今後、個人と社会の道しるべにつながるよう発展していくことを期待しています」と話し、シンポジウムは閉会しました。
 今回おこなわれた第1回京都こころ会議シンポジウムの講演内容は、書籍として出版される予定です。また、2016年には「国際京都こころ会議」を開催する予定です。
[シンポジウム写真(登壇順)]
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[開催ポスター]
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[DATA]
▽ 日時:2015年9月13日(日)9:30~18:00(9:00~受付開始)
▽ 会場:京都ホテルオークラ3階 翠雲(アクセス)
    (京都市中京区河原町御池)
▽ プログラム:
   9:30-9:50  開会の言葉 吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター・センター長)
            挨拶    稲盛和夫(公益財団法人稲盛財団・理事長)
            祝辞    牛尾則文(文部科学省研究振興局学術機関課・課長)
   9:50-11:00  講演①   「こころの構造と歴史」
                  中沢新一(明治大学野生の科学研究所・所長)
   11:00-12:00 講演②   「こころの歴史的内面化とインターフェイス」
                  河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター・教授)
   12:00-13:20 休憩
   13:20-14:20 講演③   「ポスト成長時代の「こころ」と社会構想」
                  広井良典(千葉大学法政経学部・教授)
   14:20-15:20 講演④   「こころの潜在過程と”来歴”~知覚、進化、社会脳」
                  下條信輔(カリフォルニア工科大学生物・生物工学部・教授)
   15:20-15:40 休憩
   15:40-16:40 講演⑤   「こころの起源――共感から倫理へ」
                  山極壽一(京都大学・総長)
   16:40-17:40 総合討論  中沢新一、河合俊雄、広井良典、下條信輔、山極壽一
   17:40-18:00 総括    鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター・教授)
            閉会の言葉 湊長博(京都大学・理事)
主催:京都大学こころの未来研究センター
後援:公益財団法人 稲盛財団

2015/09/30

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