「発達障害の子どもへの心理療法的アプローチ」の成果を日本箱庭療法学会第29回大会で発表しました
2015年10月10日・11日に東北福祉大学(宮城県仙台市)でおこなわれた日本箱庭療法学会第29回大会において、上廣こころ学研究部門のプロジェクト「発達障害の子どもへの心理療法的アプローチ」の成果を2つの研究発表として発表しました。
「発達障害とは見立てられない子どものプレイセラピー(1)」では、これまでプロジェクトで受け容れた事例の見立てと発達検査の結果を総合的に分析し、発達障害と診断を受けていても、そうとは見立てられないという現象がどうして近年起こりやすくなっているのかについて、検討しました。その結果、現在の診断基準は原因論を想定していないために表面的には類似したエピソードがある場合、周囲が心配するためにそう見えてしまう場合など、誤解されやすいいくつかのパターンがあることが明らかになりました。
そして、「発達障害とは見立てられない子どものプレイセラピー(2)」では、そうしたケースのプレイセラピーではどのような展開がみられるかについて、3事例をとりあげて詳細な検討をおこないました。本プロジェクトでは、自閉症スペクトラム障害の子どもさんに対して心理療法的アプローチを行っていますが、診断の有無とは別に臨床的な見立てを行い、その子に添ったアプローチをすることを重視しています。上記の研究発表では、来談時の見立てと発達検査の結果から適切に見立てをするための理論構築と、その臨床的裏付けを行いました。
臨床が主体の学会のため、基礎研究は少ない学会であるにもかかわらず、会場にはたくさんの方にお越しいただき、本研究プロジェクトへの関心の高さが感じられました。本研究結果の詳細については、今後、論文にまとめて発表する予定です。
<報告:畑中千紘助教(上廣こころ学研究部門)>
上廣こころ学研究部門「発達障害の子どもへの心理療法的アプローチ」
(プロジェクト概要ページ)
日本箱庭療法学会第29回大会ウェブサイト
2015/10/18