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鎌田教授の論考が『天河太々神楽講社通信』第14号(発行:天河大辨財天社)に掲載されました

 奈良県天川村の天河大辨財天社が発行する会報『天河太々神楽講社通信』第14号(2016年1月)に、鎌田東二教授の論考が掲載されました。「『和の国』の原点と未来」と題し、鎌田教授は『日本書紀』における「憲法十七条」の内容と意味合いについて解説。「和の国」の構想が根底にある日本書紀の憲法十七条には、非常に深い示唆に富む洞察に基づく重要な精神原理や指針が示されているとし、天河大辨財天と秘神「天照日輪辨財天」は、このような「和国」文化と原理の象徴的な場所と事例になっている、と考察しています。

1602kamata_tenkawa.png「『和の国』の原点と未来」京都大学こころの未来研究センター 鎌田東二/太々神楽講直講員
 天河大辨財天社の秘神は「天照日輪辨財天」と呼ばれる。本来、弁財天の神が、インド最古の神典『リグ・ヴェーダ』の中に記載されたサラスヴァティという河の神であり水の神であることはよく知られているが、しかし、日本に弁財天信仰が入って来て、「吉野熊野中宮」とも「金胎不二の霊地・男女冥会の勝地」と称えられた天河の地で、六十年に一度御開帳される秘神「天照日輪辨財天」の信仰と神像を生み出したことは画期的な出来事であった。
 そのことは、日本人にとって「和・環・輪」すなわち「不二」の思想がいかに重要であったかということを示している。天河の「天照日輪辨財天」の神像には、一見対立するものを融合調和する「不二」の思想が表現されているとわたしは思う。日と水、火と水、火山列島の日本と豊葦原の瑞穂の国の日本、この二つの対極が一つに結ばれている。それが「天照日輪辨財天」像であると。その底抜けに明るく、生命的輝きと微笑みに満ちた造形は地球上の全存在を祝福するオーラに包まれている。
 『日本書紀』の推古天皇十二年(西暦六〇四年)の条には、聖徳太子が制定したとされる「憲法十七条」が記載されている。『古事記』は推古天皇の記録で終わっているが、仏教の記録も仏の記録もまったくない。『古事記』には意図的に仏と仏教の記録が消されている。だが、『日本書紀』は違う。仏教の伝来とそれが日本の社会にどのように導入されたかが詳しく生々しく記録されている。(中略)
 戦後の「日本国憲法」もさることながら、『日本書紀』に記された「憲法十七条」もよくよく吟味されなければならないと思う。非常に深い示唆に富む洞察に基づく重要な精神原理や指針が示されていると思うからだ。ここに示された「和の国」の構想は『古事記』では「国譲り」などというあり得ないような「政権交代」を実現した国の文化と思想性を深く掘り下げ、問い直すところからわたしたちの未来を構想し、実践したい。
(論考より)

天河大辨財天社ウェブサイト

2016/01/24

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