『ミネルヴァ通信「究」』に河合教授の連載第3回が掲載されました
ミネルヴァ書房の発行する月刊誌『ミネルヴァ通信「究」(きわめる)』11月号に河合俊雄教授の連載「こころの最前線と古層」第3回が掲載されました。
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《概要》
今回のテーマは、「箱庭療法と内面化」です。
箱庭療法を日本に導入した河合隼雄が、
日本人にぴったりだと直観したというが、それはどのような機序によるのでしょう?
箱庭によって、「内面が表現される」からなのでしょうか?
なんでもマイルドにミニチュア化したり自然を否定するのではなくて、
自然であって自然でないものとして関わっていくという日本人の心性について述べています。
(畑中千紘助教・上廣こころ学研究部門)
「箱庭療法と内面化」 河合俊雄
箱庭療法とは、内側を青く塗った浅い木箱に砂を入れたものに、ミニチュアを用いて世界を作っていく心理療法の技法の一つである。砂を掘って青い底を見せると、海や川も表現できる。ユングの影響を強く受けて、ドラ・カルフによってはじめられた。
心理療法は、基本的にこころや内面を表現することによって治療を進めていこうとする。悩みや気持ちを言葉にするというのは一番わかりやすい表現の仕方であるが、それに対してユング派の心理療法では、イメージで表現することが重視される。その意味では箱庭も、クライエントの内面をイメージで表現したものと言えよう。
この技法を知った河合隼雄が、日本人に合っていると直感したように、箱庭は一九六〇年代後半から日本において爆発的に受け入れられ、ユング派の心理療法は箱庭療法として日本に導入され、広まったとしても過言ではない。それでは箱庭療法は、なぜ日本人に合っているのかを少し考えてみたい。
箱庭を作っていると、もちろん最初は私が対象としての砂箱の中に何かを作っている。‥‥
(ミネルヴァ通信「究」11月号より)
出版社のページ(ここから購入可能です)
https://www.minervashobo.co.jp/book/b245686.html
□関連書籍
『河合隼雄と箱庭療法 (箱庭療法学研究 第21巻特別号) 』(創元社、2009年)
編集:日本箱庭療法学会編集委員会、著:河合俊雄ほか
『〈こころ〉はどこから来て,どこへ行くのか』(岩波書店、2016年)
著者:河合 俊雄, 中沢 新一, 広井 良典, 下條 信輔, 山極 寿一
2016/11/01