『ミネルヴァ通信「究」』に河合教授の連載第17回が掲載されました
ミネルヴァ書房の発行する月刊誌『ミネルヴァ通信「究」(きわめる)』2018年1月号に河合俊雄教授の連載「こころの最前線と古層」が掲載されました。
今回のテーマは「こころと論理」です。
こころ、という言葉から「論理」は遠いように思われるかもしれません。
この連載では、こころにおける「論理」ということを論じていくようですが、今回はまず、こころには我々が一般的に思う「論理」が通用しないということをわかりやすく示しています。
たとえば、「私はこの商品を買うけど買わない」ということがあり得ない一方で、こころには「私は私であって私ではない」という論理は簡単に通用してしまう、というわけです。ただし、こころの「論理」とはそうした日常のものとは異なる次元に存在しているものと思われます。
次回の連載が楽しみです。
(解説:畑中千紘助教・上廣倫理財団寄付研究部門)

論理(ロゴス)は、しばしば感情的(パトス)と対立し、こころの介入する余地のない世界を構築している要素や原理とみなされがちである。もちろん子どもがどのように認知機能や論理を獲得していくかという視点からは心理学にとって重要かもしれない。しかしここで問題にしてきているようなこころの古層や深層とは無縁のものとして通常は考えられている。ただしそれは、われわれのロゴスの理解が狭く、西洋哲学や近代の論理だけに限られているためであって、広い意味で捉えられたロゴスは、まさにこころの古層と歴史に関わっているいることをこれから示していきたい。
その前にまず、近代の論理の特徴とさらにはそれの限界を示しておくことが必要であろう。….
(論考より)
出版社のページ(ここから『究』の講読が可能です)
https://www.minervashobo.co.jp/book/b341482.html
2017/12/20