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河合教授の書評「『騎士団長殺し』における絵画の鎮魂とリアリティ」が『新潮』7月号に掲載されました

17shincho.png 河合俊雄教授による村上春樹小説の最新作『騎士団長殺し』(新潮社/2017年)の書評、「『騎士団長殺し』における絵画の鎮魂とリアリティ」が、『新潮』2017年7月号に掲載されました。
 河合教授は、ユング派分析家としての独自の視点で村上春樹小説を論じ、2011年には『村上春樹の「物語」―夢テキストとして読み解く―』を出版、その後も『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋/2013年)の書評や、海外に向けて村上作品を分析する英語の論考等を発表しています。今回の『騎士団長殺し』の書評では、「心理学的に見て、あるいは心理療法の立場から見て、自然なリアリティを持っている」とし、作品の中心に絵画があることを端緒として、関係のあり方、個人とそれを超える次元、主人公の変化のプロセスなど多角的に論を展開しています。

 村上春樹の小説には、ストーリーとはもう一つ次元の異なる世界を示す小さな物語が含まれていることが多い。たとえば『1Q84』では、ふかえりという少女の書いた「空気さなぎ」という物語がそうであるし、『ねじまき鳥クロニクル』では、謎の女性ナツメグの息子であるシナモンがパソコンの中に残していた文章がそれにあたる。『スプートニクの恋人』では、疾走したすみれが残したフロッピーに、疾走の謎を解き明かすような2つの文書が保存されていた。村上春樹の作品それ自体が、既に不思議な世界を描き出しているかもしれないけれども、それらの言わば物語の中の物語は、物語からもう一段奥に入っていくことによって、さらに不思議な世界を垣間見せることに成功していると思われる。また奇妙だったり、恐ろしかったりする夢を見ても、それは夢であるので直接的にはわれわれの現実を脅かさないのと同じように、それらの不思議な物語は、作品を深めつつも、長編の中の短編整合性を狂わせない働きを持っている。
 それに比べて『騎士団長殺し』には、それほどはっきりとした作中作に当たるような物語はない。….
(記事より)

□関連書籍
『村上春樹の「物語」―夢テキストとして読み解く―』(河合俊雄/著、2011年、新潮社)
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2017/06/21

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