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『ミネルヴァ通信「究」』に河合教授の連載第11回が掲載されました

 ミネルヴァ書房の発行する月刊誌『ミネルヴァ通信「究」(きわめる)』7月号に河合俊雄教授の連載「象徴性と直接性」が掲載されました。
 今回のテーマは「象徴性と直接性」です。
 前回の連載では、一般的に象徴が貧困化してきていることが指摘されましたが、そのように象徴が機能しなくなると、象徴のつなぐ機能が失われることになるため、直接の噴出を引き起こす可能性が高まります。
 今回の連載では、そのことを村上春樹の作品や時代の病理を例にとって指摘すると共に、無の次元に至ることを通じた新たな可能性についても示唆されています。

(解説:畑中千紘助教・上廣倫理財団寄付研究部門)

1707kiwameru.pngこころの最前線と古層(一一)
「象徴性と直接性」  河合俊雄
 前回では、現代において一般的に象徴性が貧困化していて、また発達障害などのように象徴性の機能が弱いと考えられるクライエントが増えていることを指摘した。これはある意味でユングが象徴と対比させていた記号の世界であり、デジタル化された世界であるとも言える。つまりあるものの意味が一義的に決まっていて、そこに比喩や象徴が働く余地がないのである。
 それでは世界は、完全に一義的で曖昧さのないものになるように進んでいるのであろうか。こころの興味深いところは、ある方向に一面的に進むのではなくて、必ずそれへの反作用が生まれることである。近年におけるグローバリズムについても、それが一方的に進むのではなくて、民族主義や、保守的な原理主義による反動が生じている。一九六〇年代、七〇年代には、学生運動をはじめとする支配階級や世代に対する反発の力や暴力が社会の表面では吹き荒れたけれども、その背後で無気力の学生が増えていたことが指摘されている。
 同じようなことは象徴の貧困化についても言え、それは画一的で静的な世界に至るのではない。….
(論考より)

出版社のページ(ここから『究』の講読が可能です)
https://www.minervashobo.co.jp/book/b302200.html
◆関連書籍
kawai_murakami.png
『村上春樹の「物語」―夢テキストとして読み解く―』(河合俊雄/著、2011年、新潮社)

2017/07/05

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