上田祥行特定講師らの研究が英国の国際学術誌『Scientific Reports』のオンライン版に掲載されました
上田祥行特定講師、京都大学大学院生の藤野正寛さんらの研究が英国の国際学術誌『Scientific Reports』のオンライン版に掲載されました。
健康や幸福感を高めるマインドフルネス実践法への注目が高まっています。マインドフルネス実践法は、特定の対象に意図的に注意を集中する集中瞑想と、今この瞬間に生じている経験にありのままに気づく洞察瞑想から構成されています。従来、「意図的に注意を集中する」ことの心理メカニズムや神経基盤の解明は進んでいましたが、「 ありのままに気づく」ことの心理メカニズムや神経基盤は解明されていませんでした。
上田特定講師、京都大学大学院生の藤野正寛さんらの研究グループは、瞑想実践者の洞察瞑想時の脳活動を MRI 装置で測定し、脳領域間の関係を調べる機能的結合性解析を実施しました。その結果、洞察瞑想時に、自分の過去の経験に関する記憶に捉われる程度と関係していると考えられる、腹側線条体と脳梁膨大後部皮質の結合性が低下することを発見しました。この結果は、今この瞬間に生じている経験に「 ありのままに気づく」際に、自分の過去の経験に関する記憶に捉われる程度が低下していることを示唆しています。
今後は、洞察瞑想によって自分の過去の経験から自由になれるという観点から、マインドフルネス実践法が日々の健康や幸福感を高めるメカニズムを解明することが期待されます。
本研究は、こころの未来研究センター連携MRI研究施設の実験装置および防音室を用いて実施されました。
Masahiro Fujino, Yoshiyuki Ueda, Hiroaki Mizuhara, Jun Saiki, & Michio Nomura
Open monitoring meditation reduces the involvement of brain regions related to memory function
Scientific Reports DOI 10.1038/s41598-018-28274-4.
こちらから論文をご覧いただけます
京都大学のサイトで研究成果をご覧いただけます http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2018/180702_1.html
2018/07/06