広井良典教授の論説「公共政策 AIが開く未来」が読売新聞2018年12月28日付朝刊に掲載されました
広井良典教授の論説「公共政策 AIが開く未来」が読売新聞2018年12月28日付朝刊「論点」欄に掲載されました。
AIについての過大評価は避けるべきとしつつ、AIを未来社会の構想や公共政策に活用していくことには様々な可能性があるとし、日立京大ラボとの共同研究としてまとめた「AIの活用による持続可能な日本の未来に関する政策提言」や、文部科学省高等教育局と作成した高等教育と日本社会の未来に関するシミュレーション等の内容を紹介しながら、「AIに基づく政策」あるいは「AIBP(AI-based Policy)」の可能性を論じる内容となっています。
[論点]公共政策 AIが開く未来 広井 良典氏
近年、あらゆる場面で「AI(人工知能)」という言葉を見聞きするようになった。私は1980年代末にアメリカに留学していたが、当時はAIの第2次ブームといわれた時期で、医師などの仕事もすべてAIに取って代わられるという議論がよくされていた。そうしたブームはやがて沈静化し、再び現在の隆盛となっているわけだが、「AIにできること」については、少し冷静な視点が必要だろう。
一方、AIの活用について実はまだ十分に論じられていないのが、それを未来社会の構想や公共政策に活用していくという可能性である。そこで私たちの研究グループは、京都大学に2016年に設立された「日立京大ラボ」との共同研究として、一昨年から今年にかけ、そうした試みを具体的に進めてきた。
最初に成果としてまとめたのは昨年9月で、「AIの活用による持続可能な日本の未来に関する政策提言」を発表した。そこでは「2050年、日本は持続可能か?」という問いを立てた。今のままの政策を続けると日本社会はやがて持続困難な状況に陥るのではないかという問題意識から出発したものである。……
(読売新聞2018年12月28日付朝刊より)
2019/01/08