佐藤弥特定准教授らの研究成果が『 Frontiers in Psychology 』 に掲載されました
2019年2⽉12⽇、海外⼼理学専⾨誌「Frontiers in Psychology」のオンライン版に佐藤弥特定准教授らの研究成果が掲載されました。
表情は感情を表すメディアで、⼈のコミュニケーションに不可⽋です。⼼理学研究において著名なエクマン博⼠は、感情を表す普遍的な表情があるという理論を提案しました。理論は、観察や直感に基づいていました。
しかし、基本感情の表情表出を実証的に調べた先⾏研究は,理論を部分的にしか⽀持していませんでした。さらに、そうした研究は今まで、⻄洋⽂化圏でしか実施されていませんでした。
そこで佐藤弥特定准教授らのグループは、⽇本⼈65⼈を対象として、 表情の表出を調べました。被験者は基本6感情(怒り・嫌悪・恐怖・喜び・悲しみ・驚き)のシナリオに基づいて表情を表出しました。ベースラインの写真条件として、エクマンの理論に基づいて作られた表情写真 を模倣しました。表出された表情は、AIによって、エクマン理論による感情の判別および表情の動きの判別 について解析されました。
その結果、写真条件ではターゲットの感情が明確に表出されましたが、シナリオ条件では幸福と驚きの条 件でしかターゲット感情ははっきりと表出されませんでした。さらに、写真条件とシナリオ条件では、全て の感情で、感情およびと表情の動きのパタンが異なっていました。 この結果は、⽇本⼈の基本6感情の表情を報告する世界初の実証的知⾒となります。そして、⽇本⼈におい て(⻄洋での実証研究と同様に)エクマンの普遍的な表情の理論は部分的にしか⽀持されず、理論を実証研究に基づいて修正する必要があることを⽰唆します。
Sato, W., Hyniewska, S., Minemoto, K., & Yoshikawa, S.
Facial expressions of basic emotions in Japanese laypeople
Frontiers in Psychology
DOI:10.3389/fpsyg.2019.00259
京都大学ウェブページ 研究成果
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2018/190212_2.html
2019/02/15